2009/12/25

IDE, No.514, 2009/10, 私立大学の価値観

  • 小規模大学(入学定員800人未満・学部収容定員3200人未満)の課題と戦略
    • カリキュラム編成・学科改組に機動性があり、新しい学問動向を機敏に取り入れ、学生定員の増減に機敏に対応する。
    • アットホームは雰囲気で、学生間に連帯意識を醸成しやすい。
    • 教員が学生に密着し、丁寧な教育を行える。
    • 資金量が少なく、外部資金獲得を急がなければ、研究面で遅れをとる。
    • 職員が少なく、一人一人が精鋭になる。
    • 教授会・理事会の意思決定が迅速で、意見がまとまりやすい。教職員が互いに協力的で教職協働が充実している。

2009/12/18

鎌田浩毅(2009)『一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ』東洋経済新報社

 本書の基本的なメッセージは、勉強は人から認められたり成功のために行うもので、見栄や自己満足のためにやってはいけないという点にある。勉強は場当たり的にやるものではない。よって、勉強は常に戦略的でなければならない。第1章だけ読めば、そのエッセンスは理解できるだろう。後半は、いわゆる鎌田メソッドで、著者の経験が語られているにすぎない。
  • 仕事のための勉強には3つの能力を磨く。
    • コンテンツ能力:商品に関わる膨大な知識
    • ノウハウ能力:時間内に仕事を進めたり円滑に行うなどの、仕事のやり方
    • ロジカルシンキング:なるほどと思わせるよう、最終的にデータを論理立てる作業
  • 大学の講義は3分間スピーチで話す。
  • パソコンはアウトプットに使う。インプットに使用すると、時間を浪費しがち。

2009/12/17

河添恵子(2009)『エリートの条件―世界の学校・教育最新事情』学研新書

 本書は、世界の学校の事例を紹介したものであるが、事例紹介にとどまり、タイトルにあるエリートの条件を語るには考察不足な点が残念である。世界の多様な教育事例を表面的に知るには良い本であるが、エリートを考えるには、学校教育の事例紹介では不十分であり、社会背景や労働市場の特性など需要サイド・供給サイド両にらみで考える必要がある。
  • 世界ではエリートとは、何かの分野でトップリーダーとして活躍している人たち、エリートの条件は、ミッション、ビジョン、パッションを持っていること。
  • 教育に関する機会の平等の考えは、学力の差がある生徒が、一緒に机を並べるのは平等ではない。フランスでは、画一的に扱われることは、平等ではなく不平等と考える。
  • 世界の学校はコミュニケーションを重視し、様々な方法で早くからそのスキルアップを図っている。ディスカッションでは、ある物事についてみなで意見を出し合い、異なる意見を出した人の立場も尊重しながら、一定時間内に「個人」で答えを見つけ出すパターンが主流。日本では、子供=個人に答えを出す訓練をあまりさせない。

2009/12/16

中原淳・金井壽宏(2009)『リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する』光文社新書

  • 内省と対話で学習が個人間で連動していけば、組織学習となる。
  • 管理職になりたくない症候群
    • まだここで一皮むけたくない:担当者として一人前なのに、管理職になるともう一皮むけないといけない、一人でやる方が気楽
    • 管理職になると損をする:時間的・金銭的にプアになると予想
    • 現場にもっといたい:慣れ親しんだ第一線と距離を置くのが寂しい
    • 管理という言葉が情けない:人を鋳型にはめる、プレッシャをかけるなど管理の仕事には憂鬱感がともなう
    • 仕事を他人に依存する不安:仕事のできばえが他の人のがんばりに依存するのが不条理・不安
  • 働く大人は職場にいる人との「かかわりと支援」を通じて学び、仕事をこなせるようになる。人はひとりで一人前にならない。
  • マネジャーは、「自らのイニシアチブで何らかの絵を描いて、その実現のために人々を巻き込む」リーダー的要素があるかどうかを試される。戦略発想で実現していく変化であり、既存のシステムを壊してでもリーダーシップを発揮し、最後までやり抜くことが求められる。
  • プレイングな状態にあるマネジャー以外に部下は育てられない。
    • 認知的理由:マネジャーの行動の観察を通じて部下が学ぶ。
    • 情動的理由:プレイしているあの人が言うからそうだろう、と腑に落ちる。
  • 部下の育成は、常にインプロビゼーション。
    • タイミング:教育的瞬間を外した経験の語りは説教になる
    • 失敗経験
    • プロセス:5W1Hと自分が感じたこと、教訓を語る
    • 吟味と反論の可能性を与える
  • Kolbの経験学習モデルでは、何よりも経験の質が重要。
    • 連続性の原理:いかなる経験も、引き続き起こる後の経験の質に影響する
    • 相互作用の原理:経験は個人の内面だけで進行せず、個人と環境の相互作用によって起こる
  • 成人の能力開発の7割は現場の経験による:研修か現場かではなく、現場の経験をリフレクションする機会を持つこと
  • ワークショップで行うエンドロール内省
  • 心理的安全が低いと、人は変化するのをためらう。攻撃されるのではないかと恐怖におびえる状況では挑戦しない。研修は、安心して主観を語る場所を確保するためにあってもいい。
  • リーダーシップが発揮できるようになる上で有益なのは、仕事上の経験、上司・取引先との関係を通じた薫陶、研修がそれぞれ、7,2,1。
  • マインドセットを変える教育はできない。マインドセットを変えたいと願う人たちの場を作ることはできるかも。
  • 経営理念は、2つの機能を持つ
    • 成員統合機能:(1)行動指針・緊急時の問題解決の拠り所、(2)一体感醸成、(3)コミットメット引き出し
    • 社会的適応機能:(1)変革を進める拠り所、環境変化適合機能、(2)変化の中で組織の存在理由を維持する、正当化機能
  • ミッションマネジメントでは対話が重要。あえて曖昧でどうとでも解釈可能な理念を従業員に示し、その理念を解釈する機会を職場で持ち、従業員同士が自分の仕事の中に理念に関連する出来事があったかどうかについて対話する。
  • 競争優位を獲得するには、ポジショニング、資源ベース、動的能力の3つの視点でアプローチする。
  • 人事部門の役割は、戦略のパートナー(重要な会議にいつも出て戦略策定と実施の両面で支援)、変革の促進者(自ら変革して存在意義を認めてもらう)、能率のエキスパート(採用・給与計算)、従業員のチャンピオン(声をキャッチして会社のために声をあげる)
  • 人事部門はサーバントリーダーたれ。本気で相手の要望を聞けること。
  • 緩いコミュニティの方が、キャリア確立に寄与する。その理由は、なぜここにいるか、何を目指して来ているかを考えざるを得ないから。
  • 社会の勉強会で最先端を学んだとき、その人は会社のために役立てたいと思っても会社の事業の枠を超えているとき、本人は成長したと思っても、上司や同僚はそれを快く思っていない。会社の枠をはみ出て学ぶことは、一人の大人として正しくても、会社からは全く成長していないと見られる。この問題は、多くの職場で発生しているだろう。

2009/12/15

セールスコピー

ダイレクトマーケティング(DM)で商売している大手の通販会社でも、お客様の反応率は良くても0.08パーセント。誰でも知っているような有名な会社で商品サンプルを無料で送っても同様だ。

http://diamond.jp/series/sales_letter/10001/

数字の典拠が知りたい。

2009/12/08

佐野享子(2007)「経営学分野を中心とした大学院における大学経営人材育成の可能性 -筑波大学経営システム科学専攻の事例を手がかりとして-」Rcus Working Paper No.1

  • 学生は、4分野のいずれかに属して研究:マーケティング&ストラテジック・マネジメント、ファイナンス&アカウンティング、オペレーションズ・マネジメント、ビジネス・インフォマティクス
  • 経営学と高等教育の教員の共同指導
  • 出身学部が多岐にわたるために、基礎科目を配置
  • 専攻より提示されたプロジェクトのテーマに即した実施計画書等に基づいて選抜され、入学後は修士論文執筆に代えて、教員グループが指導するプロジェクトに1年次から参加
  • 教育目標では、組織の経営における実践(プラクティス)をリサーチする能力の育成に重点を置く(プラクティスリサーチャーの養成)

2009/12/07

佐野享子(2005)「ケース・メソッド授業における教師・学生間の相互作用に関する一考察 ─ビジネス・スクールにおける討論授業での教師の発話に焦点を当てて─」『京都大学高等教育研究』第11号

  1. 教師と学生との応答は、「学生の発話→教師による学生の発話内容の確認」が主体となっており、その後学生の発話内容が十分でない場合の教師の応問、又は学生の発話内容が十分でない場合の教師から他の学生への発問が必要に応じて展開されている。
  2. 授業全体の展開はあらかじめ構想された主題の順序どおりに進められており、それまでの討論内容の要約が教師によって確認されてから次の主題が導かれている。
  3. あらかじめ構想された主題の下位のレベルに位置付く主題は、学生の発話内容によって異なるものが設定されることがある。それらは教師による学生の発話内容の確認の後に新たな発問によって導かれている。
あらかじめ構想された授業の主題の範囲内であれば、学生の発話をもとに、学生の関心に基づく新たな主題が適宜設定され、授業が展開されている。このような授業展開において重要な役割を果たすのは、学生の発話内容を「確認」する機能を果たす教師の発話であるといってよいだろう。

2009/12/04

無謀な目標は、組織の健全性に悪影響を及ぼしかねない

 適切なレベルの目標を設定するための方策として、目標設定のプロセスにチーム・メンバーを参加させる。

 重要なのは、目標を達成する手段をよく考え、協力者の賛同を得ることだ。それには、目標の内容をやたらと細かく決めたり、無茶なスケジュールを設定したりするのは避けるべきである。また、作業の進捗状況だけでなく、その過程もモニタリングする必要がある。人々が現実的だと感じられる目標なら、それは効果的に機能するはずだ

http://www.ciojp.com/contents/?id=00006042;t=0

2009/12/02

大森不二雄(2008)『IT時代の教育プロ養成戦略―日本初のeラーニング専門家養成ネット大学院の挑戦』東信堂

  • 20世紀の偉業は肉体労働の生産性を50倍に上げたこと。21世紀に期待される偉業は知識労働の千三世を同様に大幅に上げること。
  • eラーニングは万能ではなく、eラーニングによって効率的・効果的に学習目標を達成できる部分を判断することが重要。
  • 博士後期課程の設置に伴って、修士課程が博士前期課程になった。
  • 通学から通信への途中変更可(インディアナ)、通信では科目選択が限定的、ポートフォリオ修了試験(FSU)。
  • Certified e-Learning Professionalの5つの専門家の定義:チューター(情報収集、評価手法選択、効果的フィードバック)、トレーナー(メディア選択、クラス運営ルール決定、シナリオ作成)、デベロッパー(コース開発)、マネジャー(プロジェクトの準備、モニタ、指導、評価)、コンサルタント(インパクト、利益、変化を明確に示す)
  • オンライン教育では、修了者が身につける学習成果が明確である必要がある。そこで、先行事例調査に基づき、修了者に求められる職務遂行能力一覧をコンピテンシーリスト(12のコア+7つのオプション)として制定・公開している。
  • カリキュラムは科目間で重複を排除し、前提科目の設定を行っている。
  • シラバスガイドラインに沿ってシラバスを作成し、それを教員会議で吟味・調整を経た上でなければ、科目開発に入らない。
  • コンテンツはレビューにかけられ、公開承認が得られるまで改訂作業が続けられる。
  • 各種調整を行う教員集中会議やレビューは、教員間の意思疎通機能として有効。
  • 全教員の動画自己紹介。
  • 厚生労働大臣指定教育訓練講座の指定を受け、一定条件を満たした入学者へ学費の一部がハローワークから支給。
  • 学会開催時に合宿を実施。
  • 専攻修了で取得可能なプロフェッショナル資格がある。

2009/12/01

IDE, No.516, 2009/12, GPの光と影

  • GPが種別化ファンディングシステムの1つであるという割には、研究至上主義の大学が多数採択されている実績があるのはどう説明するのか?
  • 国立の申請率は80%水準を維持、公立・私立は初年度60%から30%へ低下、短大は10〜30%。私立は、旧制度下で設置された大学の申請率は高いが、2000年前後に新設された機関は低い。多数の学部を持つ国立は申請のカードを多く持ち、小規模大学は一度採択されると次の手が探せない。
  • GPの外部からの評価や関心は薄い。大学関係者の間で評価されても高校生や高校教員の評価に結びついていない。

2009/11/30

「ホット・グループが生み出す創意と組織活力」DHBR, 1996

  • 内的条件:開放性と柔軟性、独立と自主性、真理の探究
  • 外的条件:危機と競争
  • 整然とした組織はたいていホットグループを窒息させる。
ホットグループは意図して作れるものではなく、育成する土壌を用意することしかできない。こう言われると、介入の余地がないということで、研究に乗せにくい。

2009/11/29

IDE, No.515, 2009/11, 「学習させる」大学

  • 学習時間の増加のカギは学生をいかに授業に巻き込むか(経験した授業形態と学習時間の変化・東大調査)
  • 多くの子供にとって理科はおもしろいけれど勉強する意義がわからない教科(小中学校教育課程実施状況調査)
  • ICU、アカデミックプランニング・エッセイを在学中5回提出

2009/11/27

EU-Denmark: The flip-side of quality assurance

Evaluation is forward-looking, inspiring change
Accreditation is backward looking

http://www.universityworldnews.com/article.php?story=20091127125452132

2009/11/26

吉川徹(2009)『学歴分断社会』ちくま新書

 本書は、今日の社会の様々な場面で発生している格差の源泉に、学歴の差が存在することを主張するものである。

  • 現代は、高い学歴水準にある親たちがいるにもかかわらず、18歳の進路選択時に2人に1人が大学短大進学を希望していない。昭和の日本人を駆動した子供は親より学歴が高くなると言う学歴や受験に対する心構えが、現在では失われている親子がいるということ。
  • 日本の社会では、大学側の門戸の広さ、少子化による18歳人口の漸減、大卒者を受け入れる雇用数、高校生の進学希望、親の進学希望など、どの要素をとっても、進学率50%あたりで均衡するように作用している。
  • 子供の学校教育に熱心な親をつくるために、まず親が学校教育を受け直しましょうという政策提言は笑い話?
  • 人生のスタートラインにあるものの中で最も注目すべきなのは、親の職業や経済力ではなく、親の学歴という発想。
  • 学歴が地位の本体として親子をつなぐ。日本社会で学歴にの働きが際立っているのは、(1)欧米のような職業に基づく階級区分がない、(2)大卒層と非大卒層を分ける学歴分断社会が長く続き、その分断線が子供の教育の影響し始めている、(3)雇用の流動化で職業の階級としての重みがなくなってきているため。
  • 中高生の多くは、将来の見通しを立てられないと考えており、就きたい職業の具体的イメージを持っていない。確実に見通せるのは、数年先のどのような学歴を得るかというところまで。また、自分の親について職業や収入をあまり知っておらず、出身階層を自覚できていないが、親の学歴だけは知っている。
  • 近年の教育格差現象の主成分は、大卒再生産を目指す大卒の父母の数が大都市部で増えてきたこと。お受験を目指す親の大多数は大卒で、非大卒のリスクを減らす戦略。
  • 親が大卒であれば子供の大学進学を願い、親が高卒層であれば子供が高卒であってもかまわないと考える。こうした過程の進路選択が集積した結果、社会の真ん中に学歴分断線が引かれ、世代から世代へ受け継がれていく社会に直面している。これは、良いか悪いかではなく、日本社会の実像。
  • 高校生の多くは、20代までしか見通しを持っていないため、自分の将来に保証のない投資としての大学進学より、高卒学歴の人生が不利だと思っていない。しかし、30〜40代の大卒のメリットは明瞭。高卒は不安定な人生を強いられる傾向が強い。高卒の親世代は、それでも早く社会に出て技能を身につけることで生活できたため、我が子も同様に生活できるはずだと考えてしまう。
  • 高卒の利点は、大卒者が在学中に仕事上の技能を磨き、地位を上げること。自分探しに使ったり、アルバイトをするなど、ハイリスク。

2009/11/18

船曳建夫(2005)『大学のエスノグラフィティ』有斐閣

 本書は、東大教授が大学教員の生態とそれを取り巻く組織や制度について語ったものである。2005年に書かれたものとは思えないほど、ゆったりとした旧来型の大学教員像が描かれている。これは、ある個別の事例なのか、大学教員像として一般化できるのか、むずかしいところ。ただ、こうした職業生活にあこがれて大学教員を目指した者、目指している者は多いだろう。

2009/11/17

芹沢一也・荻上チキ・飯田泰之・岡田靖・赤木智弘・湯浅誠(2009)『経済成長って何で必要なんだろう?』光文社

 本書は、評論家による日本の社会問題、特に労働問題に関する意見をまとめたものである。経済成長の必要性を率直に示した点は評価できるが、本書は全体的に社会の問題を評論家がさまざまなレトリックで説明する言葉遊びに終始しており、示唆に富むものではない。評論者の個人的な満足を高めるための議論と言えよう。
  • 若者論の多くは、だらしない若者に対する説教であり、まるで彼らが自分自身の環境をすべて自分で決定できるかのように、彼らが心を入れ替えさえすれば問題が解決するかのように論じている。
  • 日本の公共事業は、ある段階からお金を配る手段としての公共事業に切り替わってしまった。
  • 経済学者は、個人の直面する問題解決は個人問題と思っている。しかし、公害問題は社会的問題だから社会的に解決しないといけない。
  • 電話の取り方一つもOJTで行うなら、OJTの機会がない人はいくつになっても電話の取り方がわからないまま。
  • 平均的に生産性は2%程度で伸びていく。作るモノの量が一定であれば、2%の人がいらなくなっていく。実質で年2%以上成長しないとどこかにしわ寄せが行く。
  • 日本は、社会保障システム全体が、正社員をベースに作られている。会社による福祉を前提としていたのに、非正規という働き方が生まれた状況に国が追いついていない。
  • 企業福祉、家族福祉、公的福祉のうち、前の2つがしぼんで隙間が目立つようになってきた。
  • 企業活動は富を拡大するため、富の分配は政府が行う、という役割分担が重要。
  • 均等待遇を実現するには、生活の支出を下げる必要がある。子供の学費を払う前提を壊さないと、山型賃金は壊れない。
  • 日本は正社員への優遇、補助金が大きい。退職金の所得税。
  • 教育以外はお金で代替すべき。子供は自分の教育水準を自発的に選択することができないので、教育クーポンを出す、手当を払うなどが必要。

2009/11/16

吉本佳生(2008)『クルマは家電量販店で買え!』ダイヤモンド社

  • ランチは混むからこそ稼働率が上がり、安くておいしくなる。
  • 高学歴は能力の高さを示すシグナルから、親の教育投資の多寡を示すシグナルへ
  • たばこ税増税は、密輸品を未成年に売る非合法ビジネスの裁定機会を高める。

2009/11/15

吉本佳生(2007)『スタバではグランデを買え!』ダイヤモンド社

  • 取引コストが一物一価を阻む。
  • 所得格差より資産格差が深刻。
  • 子供医療費無料化は、小児科の混雑を増し、母親の機会費用を高め、祖母付き添いの事案と母親付き添いの事案との間の不公平を高める。小児科医を増やす方へ投資すべき。

2009/11/14

橋本和彦(2009)『3本線ノート術』フォレスト出版

できる子が持つ3つの力
  • 制限時間内で自分の解ける問題はすべて解く時間管理の力
  • 難しい問題を解くときに、自分なりの問題解決の方法を持っている
  • 生まれて始めてみるような問題も、推論や仮定を繰り返し当てはめて、論理的に解く発想の仕方を知っている
時間管理の3要素
  • モチベーションにかかわらず、すべきことを着々とこなす自動化する力
  • 勉強内容を定型的なルーチンに落とし込んで単純化する力
  • 自分の勉強を振り返って身についたかを自己測定する力
要するに、時間管理とはスケジュール管理ではない。

問題解決の基本は、問題を構成している要素や条件を確認すること(例:リバースエンジニアリング)。

発想力は、すでに知っていることを組み合わせて、新しい思考を構成し、形として表現すること。その基本は、問題解決と同じ、問題の要素を分けること。

プレ正解ストック法
崖崩れを3つの面から見る。

    2009/11/13

    美崎栄一郎(2009)『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』ナナ・コーポレート・コミュニケーション


     本書はビジネススキルのノウハウをまとめたものであるが、多くの社会人に既知の内容であり、新規性は見あたらない。

    2009/11/12

    村井瑞枝(2009)『図で考えるとすべてまとまる』クロスメディア・パブリッシング

    • とにかくペンを持って図を書く(慣れの問題)、考えるプロセスでは図は手書き。
    • 手書き資料はプロセスを見せる行為で、相手を巻き込む。
    • 図のタイトルには乾いたメッセージでなく、具体的なメッセージをつける。
    • PPTでは共通する部分をくくってみせる、重要度の高いものから濃い色を使う。
    基本的な図のパターン
    • ツリー(分解)
    • マトリックス(分類)
    • 表(会議、項目だけ書いて記録)
    • 比較
    • 線表(時系列)
    • 要素○(コンセプト)
    • プロセス(縦軸は項目、横軸はホームペース矢印)
    これらはあくまでテクニック。軸にどのような項目を設定するかという点が、実際の仕事では重要で、これが能力の源泉であろう。

    2009/11/11

    上杉道世(2009)『大学職員は変わる―東大SDトータルプランの実践』学校経理研究会

     本書は、東大事務局長を務めた著者が、大学職員の育成・改革について、自身の経験に沿って総合的に述べたものである。本書は、東大の事例や実際の経験を元に書かれているが、それと共になぜそのように取り組んだかを筆者の視点で述べており、国公私を問わずすべての事務職員が一度は目を通すべきであろう。本書は、大学改革のノウハウや理論をまとめたものではないが、大学改革のアイディアが豊富に詰まっており、思考を支える素材・土台になることは間違いない。また、大学職員の研究テーマのアイディアの宝庫としても活用できるだろう。
    • なぜ、真理探究の場である大学の教授会が、文科省がだめの一言であっさり思考停止になり、議論を終わっているのか。事柄が成就市内原因の多くは、学内で意見がまとまらないからではないか。
    • 大学職員向けの改善の基本的視点
      1. 組織の活力の発揮と職員個人の職業生活の幸福の実現が両立できるようにする。
      2. 各職員が、東京大学の教育研究を支える一員として、採用から退職までの間、能力を向上させつつ、手応えのある職業生活を送れるようにする。
      3. 各職員が、自分の得意分野、専門分野を持ちながら、東京大学の仕事全般への視野も持てるようにする。
      4. 各職員が、指示されたことをやるだけでなく、自分の意見を持ち、創意工夫を発揮できるようにする。
      5. 各職員が、周囲の人々と気持ちよく理解しあい、支え合い、喜びを分かちあえるようにする。
      6. 各職員が、心身ともに健康で、誇りを持って人に語りうる仕事ができるようにする。
    • 職員ミッションにおける東京大学職員7か条
      1. 東京大学職員であることの自覚、誇りを持つ。
      2. 広い視野を持ち、状況変化に柔軟に対応する。
      3. 自ら考える力を持ち、行動する。
      4. 得意分野を持ち、積極的・意欲的に業務を遂行する。
      5. 向上心を持ち、自己啓発、自己研鑽する。
      6. 改革・改善を積極的に推進する。
      7. 職業生活に幸福感が得られるように努める。
    • 世代間ギャップを埋めるための、幹部職員行動指針
      1. 方針・目標の策定:幹部職員として高い視点を持ち、その視点を明確な方針として具体化する。また、その方針を部下や関係者が納得する形で浸透させる。
      2. 状況の構造的な把握と対応策の企画:組織を取り巻く状況と、それが組織全体にどのような意味や価値を持つかを正確に把握・理解し、どのような働きかけをすればよいかを企画する。
      3. リスクマネジメント・組織コンディションの維持:冷静かつ客観的な姿勢を保ち続ける。
      4. 判断・決定:明確な根拠を持った、タイミングよい判断を下す。また、実行すべき方策や遂行体制も、現実的か実行可能かを間違いなく判断する。
      5. 組織統率:組織の中に相互信頼関係を作り上げ、チームとしてまとめ上げる。
      6. 部下の育成・管理:部下に気づきを与え、業務を通じて計画的に部下の業務遂行能力と人間性を高める。モチベーションの向上に努める。
      7. 業務改善の推進:教務の問題点・改善点を掌握し、改善点への積極的取り組みと、省力化・費用対効果を念頭に置いた業務改善。
    • 問題のある職員へは、まず上司が正面から向き合うことが第一歩。
    • 教員を変える手法は、
      1. 現状、課題、対処方針、将来構想を明確に情報提供。教員と執行部の意見交換の機会を持つ。特に初任の部局長との懇談。
      2. 受け入れやすい名称や形態による、経営、教育力向上、危機管理の研修。特に初任者研修。
      3. 部局運営を少人数のチームで運営、教授会は教育研究上の課題の審議と、経営上の伝達事項の場のみとする。教員が雑務という会議を返上させる。
      4. 教員の行っていることの見える化。活動報告書の情報公開、研究室のガラス張り化。
      5. 教員評価の仕組みと、学生・職員・同僚から見える仕組み。

    2009/11/10

    全国大学高専教職員組合(2009)『大学破壊―国立大学に未来はあるか』旬報社

     本書は、国立大学への運営費交付金削減がもたらす様々な弊害を指摘し、問題として取り上げるものだが、論理的に出された具体的な改善策がなく、示唆に乏しい。

     たとえば、高い質を発揮する教育研究は、多様で広範に伸張する裾野があってこそ築くことが可能であると言うが、なぜそうなのかを論理的に示さなければならない。基本的に事実データと、論理的に説明されない筆者の主張の組み合わせで本文は構成され、分析や考察がされないため説得力がない。

     著者はほぼ全員研究者であるが、高等教育分野の研究者でないためか、新聞報道以下の内容となってしまっている。

    2009/11/09

    関根雅泰(2007)『これだけはおさえておきたい仕事の教え方』日本能率協会マネジメントセンター

     本書も、近年多い職場における部下育成にあたってのノウハウをまとめたものである。
    • 仕事を教えることは学び方を教えること、要するに自分でPDCAが回せるようにすること。
    • 仕事はチームで教える。
    • 新人には大変さを認める言動をとる、仕事を任せる、新人なりの案を聞くが原則。
    • 教える基本は、質問型コミュニケーション。

    2009/11/08

    関根雅泰(2009)『教え上手は、学ばせ上手』クロスメディア・パブリッシング


    • 人に教える難しさは、人とコミュニケーションする難しさ。
    • 教え下手の共通点は、相手のことを考えない自分本位な点。教え上手は、相手本位。
    • 自分が好む対人スタイルを相手にも強要しがちだが、相手にあった接し方をする。(行動型:目標達成重視、分析型:思考重視、友好型:対人関係重視、感覚型:称賛・注目重視)

    2009/11/05

    外山滋比古(2008)『ちょっとした勉強のコツ』みくに出版

     本書は学習の際に行う具体的なヒントをまとめたものである。
     メッセージは自明なものが多く、挿話的説明も多く、全体として冗長なものである。

    2009/11/04

    中尊寺ゆつこ(2008)『やっぱり英語をしゃべりたい!』ちくま文庫

     本書は、著者の英語学習経験をまとめたものである。
     著者の基本的な主張は、文法の学習こそが基本であるという点にある。
     楽して英語が上達するなら、誰でも上達できる。地道で苦労なしに獲得できないからこそ、多くの人にとって難しい。だから、基本に忠実に、地道な語彙の獲得をすべき。

    2009/11/01

    授業のアイディア


    • {(データ)ー(平均)}÷(SD)でできるデータの平均値は0,SDは1。

    2009/10/16

    Portfolio Assessment’s Inherent Limitations

    • (a) not standardized
    • (b) not feasible for large-scale assessment due to administration and scoring problems
    • (c) potentially biased
    http://www.insidehighered.com/views/2009/10/16/shavelson

    2009/10/14

    Thematic Review of Tertiary Education - Synthesis Report Vol1

    OECDは「学生、教員、職員」三者による協働運営(Shared governance)が必要とする一方、大学トップ・マネジメントの組織的な訓練を行って、ビジョン構築から戦略的意思決定、効率的執行に至る必要な知識、技術を獲得させることが不可欠と指摘する。

    http://www.oecd.org/document/52/0,3343,en_2649_39263238_40113908_1_1_1_1,00.html
    http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/arcadia/0368.html

    2009/10/13

    事務職員に求めたい「変化」

    (アメリカの学長は)迅速な決定ができるからではなく、キャンパス文化はもとより物事が実現する政治的、構造的プロセスに精通しているからこそリーダーシップを発揮している。

    熊本大学事務職員意識変革シンポジウム基調講演

    2009/09/15

    リベラルアーツ教育とは

    リベラルアーツ教育とは、リーダーを育てる教育。リーダーのための基礎教育。
    • あらゆる問題を総合的に判断できる
    • 狭い視点にとらわれず、幅広い視野で議論し、決断できる
    • 説得力があり、多様な人々とコミュニケーションできる
    • 人格的に優れている
    • 体力的に優れている
    ハーバードカレッジ創設の経緯でもある。大学人は、なぜこういう教育が必要なのかを、語らなければならない。

    http://www.wasedajuku.com/wasemaga/unipro-note/2009/06/post_451.html

    2009/09/14

    矛盾した考え方が共存

    —記録を狙う上で大事なことは。

     大事だと思って、それを大切にしているわけではないが、結果的に野球が大好きだ、ということがそれに当てはまると思う。僕には相反する考え方が共存している。打撃に関して、これという最後の形はない。これでよしという形は絶対にない。でも今の自分の形が最高だ、という形を常につくっている。この矛盾した考え方が共存していることが、僕の大きな助けになっていると感じている。

    2009/09/08

    歴史を学ぶ

    思考を支えるには歴史を学ぶ必要がある。 中曽根康弘は、いま日本は時間と空間の座標の中のどの位置にいるのか、これからどの方向に進むのかを常に念頭に置いていた。

    http://dhbr.hontsuna.net/article/2260741.html

    2009/09/05

    柳川範之(2009)『独学という道もある』ちくまプリマー新書

     著者が独学に成功したのは、勉強することが実現につながる目標を持っていたためであろう。
    • 本人があきらめてしまうと、別ルートを探すことすらできなくなってしまう。
    • 社会現象をうまく整理できて、それに対して提言できる。
    • 自分に何が欠けていて、何を学んで卒業していく必要があるかを十分に認識したうえで勉強する。

    2009/09/04

    浦坂純子(2009)『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』ちくまプリマー新書

     本書の正確な題目は、なぜ有名大学は出ておきなさいと言われるのか、であろう。本書で主張される大学を出ておく理由は、賃金の高い仕事に就く可能性が高くなるという点につきる。その背景は、情報の非対称性や統計的差別など標準的な考え方で説明するのみである。

     後半で大学での学び方を論じているが、教員から見た理想的な学生像を述べているにすぎない。そうした学びが成立しない大学は捨象されており、著者の論理の前提が、有名大学を出ることにあるからだろう。

     高卒と大卒を比較するのは、大卒が希少であった時代の発想だろう。今や大卒者が増え、その中でも求職市場が分断している。また、そもそも高卒者と大卒者が異なる労働市場で求職しているのだから、大卒と高卒の賃金を比較した説明では弱い。逆にそうした説明をするくらいだから、高卒で就職するかとりあえず大学へ行くかを選択している学生をターゲットにするのか思ったが、そこで選択する大学は有名国立大学を前提にする。

     冒頭の命題はある程度自明で、改めて説明する意味はない。むしろ、今日的な課題である、「なぜ名前も知られない崖っぷちの弱小大学であっても出ておきなさいと言われるのか」を論理的に説明しなければいけない。

     以下、気づいた点のメモ。
    • なりたいものからなれるものへのブレイクダウンは、社会人になるためにはあまりにも当然であり、必要不可欠な作業
    • 何を学ぶかではなく、どう学ぶかという点を重視し、そのプロセスを着実に実行できることが社会人としての底力にもなり得る

    2009/09/03

    追手門学院大学教育研究所(2006)『大人数授業をどう改革するか』アスカ文化出版

     本書は、大人数授業に関する調査結果の報告と、いくつかの実践事例をまとめたものである。授業の工夫はよくわかったが、授業の目標や評価の情報が少なく、どういう場面で一般化できる知見なのかがわかりにくい。結局、どう改革するかに対する答えは示せていないのではないだろうか。

    2009/08/27

    山中伸之・内田聡(2009)『できる教師の子どもを変えるステキな言葉』学陽書房

     教師の仕事の多くは、言葉を通して行われる。言葉の特質や力を十分に知り、いつでも存分に使えるとよい。本書はマニュアルではなく、意図を理解して、自ら言葉の力を引き出すことが重要。
    • 今日は2つしか教えません。3つめは、ヒミツ。大事なことはじらして伝える。こどもは秘密が大好き。
    • ナイス失敗!
    • 静かにしなさい → 雨の音を聞いてごらん

    2009/08/26

    諸葛正弥(2009)『フィンランド教育 成功のメソッド』マイコミ新書

     本書は、学習塾での指導経験を持つ筆者が、自身の実践してきた教育方法を、フィンランドでの教育を傍証にしながら正当化することを論じたエッセイである。タイトルからフィンランド教育について述べられていると連想するが、主題は著者の職業体験談であり、注意を要する。

    以下、気づいた点のメモ。
    • フィンランドで重視している読み聞かせでは、聞く側は本を持たず手ぶらで聞くだけに集中する。
    • 日本はインプット(暗記)の教育、フィンランドはアウトプット(表現)の教育。
    • 大人が自ら学ぶ姿を見せることが大切。日本では大人にこそ教育が必要。
    • 欲求段階説は「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」という仮定の下に成り立っている。
    • 他人に求めずに他人の聞く力を育てる方法は、自分の行動を変えることで他人に影響を及ぼす方法。まず自ら聴くことを実践し、周囲に聴く行為が定着する環境を作る。
    • ゆとり教育がだめだったのではなく、それを扱う大人が処方を間違えただけ。
     本書で紹介されるフィンランドメソッドであるが、カルタはマインドマップ、トレーニング部分は戦略策定など、多くのビジネスマンにとって既知のものが多い。ただし、トレーニングは、初年次教育の教材になるかもしれない。あえて本書の価値をあげると、「まず行動すること」から得られるメリットを、著者自身が行動して出版し表現したことで、現実に提示した点であろうか。 

    2009/08/25

    中野民夫(2001)『ワークショップ―新しい学びと創造の場』岩波新書

     本書の基本的なメッセージは、ワークショップとは、長い時間を掛けて深い学びをするための方法であり、だからこそまず輪になって座ることからはじめることだ、という点であろう。

     本書で述べられているワークショップは、自立した学習者である大人が一定のレディネスのもとに参加するものという暗黙の前提が置かれている。我々が日常で直面するワークショップは、必ずしも大人と言えない、レディネスの多様な参加者で構成されるワークショップである。これは、そもそもワークショップとは呼ばないのかもしれない。
    • ワークショップとは、参加体験型のグループ学習であり、参加、体験、グループが特徴を表している。
    • 体験は、知性(Mind)、からだ(Body)、感情(Emotion)を使い、直感・霊性(Spirit)も動員するホリスティックな学びである。
    • 余裕のある大人のプログラムで、そう簡単には学んだり変わったりできない私たちの変容を徐々に深めていく。深い学びのためには、それなりの時間を掛けることが必要であり、短時間で速効を求めるプログラムは危険である。
    • ワークショップは目的やねらいがあって企画されるが、意図した結論を押しつけたりはじめから落としどころを決めつけているようでは、よいワークショップとは言えない。効率よい学習はむしろ洗脳に近く、有害ですらある。
    • 非日常による中毒性と、忘却することという危険性がある。
    • 洗脳のプロセスは、(1)参加者を日常の世界から引き離して隔離する、(2)精神的に空白の状態に追い込む(不眠・断食等)、(3)教義、思想、イデオロギーを注入する、(4)思い切って壁を乗り越える体験をさせる(勧誘等)
    • 数日のワークショップで、人間が急に変化したり、問題が一気に解決することはない。少しずつ努力を重ねる以外に、変化は起こらない。
     となると、ワークショップの価値は、個人が対等でそれぞれが尊重される平たい場で、安心して率直に自分の真実が語れる場であることだ。今の短期で成果を求めるワークショップブームに、一定の警鐘を鳴らす考え方と言える。一歩進めると、授業こそワークショップの場として最適なのかもしれない。

    2009/08/22

    石渡嶺司・大沢仁(2008)『就活のバカヤロー 企業・大学・学生が演じる茶番劇』光文社新書

    • なぜ学歴差別は存在するか。採用する側から見れば、二重の意味で外れがない。1つは、一度ハードルを越える努力をしていること、もう1つは、外れた時に言い訳ができること。
    • 中堅次第や地方大の学生は、この点を割り切れず、ぐずぐずしている。実は、学生による学生の差別である。うちの学生はどうせ偏差値が低いからという自己暗示にかかっている。
    • 東京経済大学では、金融業界OBによる就職講演や交流会を行っている。
    • ナビサイトの営業で、優秀な学生が多数参加するイベントです、優秀って何ですか?、登録者の学歴一覧が登場。学生向けのメッセージで学歴は関係ないと言いながら、企業向けの資料には学歴しかアピールポイントがない状態。
    • 結局、学生、大学、企業、情報会社の誰もが主体性を持っていない。パカヤローは、そう叫びたい自分自身。バカヤローと誰かのせいにして、自分は部外者のごとく振る舞っている。
     最後でもまとめられている通り、本書の事例に従えば、学生も企業も大学も思考していない。一部の優秀な人たちを除き、就活ビジネスは大多数の主体的思考ができない学生・大学・企業によって成り立っていると言える。大学は、教育目標の実現、学生指導、大人の教育と重要な変革の役割を果たせるアクターであり、この社会の重要な課題を解決しなければならない。

    2009/08/21

    ピーター サックス(後藤将之訳)(2000)『恐るべきお子さま大学生たち―崩壊するアメリカの大学』草思社

    • ポストモダンな学生は、学習の価値を知ってはいるが、エンターテイメントで面白がらせてもらうのを期待している。彼らは、資格を得ることには抜け目なく敏感だが、自分で成功を手に入れようという動機付けはほとんどもたない。これこそがジェネレーションXの本質である。
    • 私の学生の多くは、自分自身に対して非常に大きな期待を持っていたが、その高い目標を達成するために学校ではあまり熱心に勉強していなかった。他の商品を買うのと同じように、自分自身をカレッジの消費者と見なして、彼らは自分が成功するかどうかについての責任の多くを、自分自身の知識や技能や実績にではなく、むしろ教師としての私や、教育システムそのものに置こうとしていた。
    • 彼の話では、とにかくクラスを黙らせたかった。成績ばかりを考えるのをやめて、アメリカ史に集中してほしかった。もう一度、学習に集中してはくれないかと、彼らにポイントをあげたのです。
    • 第1の優先事項とは、セールスを、つまり入学者数を最大化させることである。そして、それをすることは、学術水準をいい加減にする可能性があるということだ。仕事を失うまいとする教師はきっとそうするだろう。
    • 高等教育水準を維持するための問題の多くは、そもそも学生消費者自身が、大学レベルの学術水準をクリアするために労力を使うのを望んでいないということに起因する。
    • 成績証明書に学生のクラスの成績を、クラス平均とクラスサイズと共に公表する。キャンパスの全授業について、意味のある成績分布を規定する。
    • どうかあきらめないで下さい。ほとんどいないけど、勉強したがっている私たちにチャンスを下さい。

    2009/08/20

    白石裕(2009)『学校管理職に求められる力量とは何か』学文社

     先行研究では、(1)不測の事態に備えた危機管理や児童生徒の健康・安全管理といった管理的力量、(2)使命感、教育に関する理念や価値観と言った管理職の力量を支える見識・資質、(3)ビジョンの提示、中期的な計画、教職員への伝達・説明といった教育目標・計画の設定の力量、の3つが必要性が高いと示されている。本書は、追加調査により、校長のスクールリーダーとしての資質を明らかにすることを試みている。そのまとめは、下の通りである。

    この結果について、現在の学校は、法的管理を伴う判断を含めた自律的運営が期待されるのではなく、目標達成のための組織的な職務遂行が期待されていることが、学校管理職の内部意識として位置づけられている結果と指摘する。学校の自立的・自律的経営をどこまで求めるかという制度枠組みのあり方によって、これは変化するだろう。

    結論として、学校管理職に必要な資質・力量とその形成については、次の4点を指摘する。
    1. よりよい学校経営のために現職校長が求めている権限・支援体制は、「教職員定数」と「予算」についての権限、「教職員採用」の体制である
    2. 学校管理職に必要な資質・力量は、「学校目標形成・達成力」「洞察判断力」「協働協調力」「法的管理力」「家庭地域連携力」「学校管理職倫理」の6つの要素に整理できる
    3. 学校管理職の養成には「学校管理職倫理」と「学校目標形成・達成力」が特に必要と考えられており、「法的管理力」の必要性は低い
    4. 校種や校長の経験によって必要と考えられている資質・力量の位置づけが異なる
    自己評価 現在自分に必要 将来管理職に
    なる教員に必要
    管理職の自覚と使命感
    教育理念・価値観
    誠実さと責任感
    地域の協力獲得
    教職員との協調的関係
    児童生徒の健康安全管理
    報告・連絡・相談体制
    各地の教育活動の知見
    幅広い教養
    教育法規への精通
    校務分掌・教職員配置
    教職員をまとめる
    教育目標達成の戦略・計画
    地域の+ -面の把握
    教職員への規範指導
    教育課程の把握
    幅広い知見・豊かな思考
    校内の整備・緑化
    教育委員会の協力の確保

    2009/08/04

    松下祥子(2008)『科学者たちの奇妙な日常』日本経済新聞社

     本書は、自然科学系女性研究者の自伝である。一般向けに書いているが、逆にそれが若干の嫌みのある文章になってしまっている。

     PFFの準備で参考にしたが、参考になる内容ではなかった。

    2009/07/31

    梅津和郎(2006)『大学経営を斬る』創成社


     本書は、著者による大学経営の私論である。そのため大学で働く人の意識を無視した極端な私見が展開されているが、学ぶべき点もいくつかある。
    • 日本には少子高齢化社会の構造変化に対応できる学部・大学院が不足している。特に、複数の専門職を持つテクノロジストの需要に対応できる専門職大学院・自然科学関係の夜間工学部がない。
    • 基本金は2重の意味で間違いを犯している。企業が内部留保を積み立てるのは利益を確保してからであるが、私大は先に基本金を差し引く。経営者にとっては当初から利益が確保される仕組みである。また、内容にも問題がある。第1号に含まれた固定資産を取得する目的で留保した預金等の資産は、利益の中から積み立てる事前的内容である。第1号には、校地・校舎・図書等のストックの取得価格を含む。これはすでに支払った事後的なものである。これは第2号から払われて処理済みである。第1号と第2号を合算することは、既に支払った額と、これから支払うための準備額を混同しており、二重計算になる。また、第3号は学生納付金から差し引くのではなく、外部から獲得した基金を充てるべきである。
    • 経営刷新の方向は通常、統合か分離のいずれかに収斂する。
    • 大学の生き残り戦略で一貫して重要なポイントは、政策決定プロセスには構成員に対する透明性と、恣意性を排除した合目的生が必要である。決定された目標に向かってはその遂行に伴うリスクを覚悟した経営・教学責任者のイニシアティブと責任感が不可欠。
    • 日本の私立大学は、学生納付金が収入の80%を占めているため、学生囲い込み運動に成果を上げようとして、大規模化を志向してきた。しかし、それでは経営が安定しても、マスプロ教育が浸透して大学卒業が通過儀礼化し、レジャーランド化することで、何の個性も特徴も持たない大学になってしまった。
     本書は、龍・佐々木型の大規模化、反リベラルアーツ型を否定する点は評価できるが、働く教職員の適応過程を無視した経営論は、トップの頭の中だけで考えられた見解であるという印象がぬぐえない。

    2009/07/14

    鼎談「大学、この100年」特集 大学の20世紀 IDE現代の高等教育 2000年12月 pp.5-29.

    東京帝国大学が設置されたのは、明治19年(1886年)、京都帝国大学は明治30年(1897年)、明治34年(1901年)に旧制高等学校から医学部が独立して医学専門学校になり、官立高等教育システムが完成。1902年に東京専門学校が早稲田大学として最初の私学となる。大正7年(1918年)の大学令公布で、大学は帝国大学のみだったのから官立私立の大学設置が認められる。  

    日本の政府は国立セクターを広げることで機会の平等かを図ろうとせず、エリートセクターとして残す努力をしてきた。大衆化・マス化は職業目的のはっきりしないgeneral studentsの増加を伴って進行する。国立大学はその受け皿にならず、私学がそれを担ってきた。昭和42年(1967年)頃からの大学入学志願者急増対策は、圧倒的に私学依存。

    アメリカにとって私学を自由にするのは当然の選択。問題は、帝国大学を補完大学と同じレベルにどう引き下げるか。一方で、エリート型研究大学をどう残すかが、文部省にとって重要な選択。

    大学院は研究者養成=修士課程は完結的でなく博士課程への前段階=プロフェッショナルスクール的なものは作らない=専門職業教育は学部教育でやればいい。最近までの支配的な考え方。

    日本の戦後大学改革は、占領改革による形式的な画一性の手直し=一般教育と履修基準の弾力化であり、平成3年(1991年)の大綱化でそれが終わった。この時点で大学人の世代交代が完了した。世代交代で、大学改革の柱が理念から技術論へ移り、評価の方法等が問題になってきた。

    アメリカに学ぶべき点は、企業体化の進んだ大学の中でなぜあれだけ教育研究が活性化され、高い質の教育研究が維持できるかという点。

    2009/07/13

    三和総合研究所「デザイン産業研究会中間報告書」平成6年9月

    • コトのデザイン:ネットワークデザイン、制度・仕組み・法律、企業戦略、コンセプトデザイン
    • 中間のデザイン:都市デザイン、インターフェイスデザイン、環境デザイン
    • モノのデザイン:インテリアデザイン、プロダクトデザイン、パッケージデザイン、グラフィックデザイン
    デザインとは「ある一定の用途をもつものを作ろうとする時、それが用途にかない、しかも最も美的な形態をもつように計画・設計すること」。現在では、「ある目的に向けて計画を立て、問題解決のために思考・概念の組立を行い、それを可視的・触覚的媒体によって表現・表示すること」。

    潮木守一(2000)「大学教授の100年」『IDE現代の高等教育』12月号 pp.34-38.

     研究大学が抱える矛盾は、アイデンティティを学園というローカルコミュニティに求めるか、それを超えた場に求めるかの対立とも言える。

    2009/07/12

    橋本鉱市(2000)「学位の100年」『IDE現代の高等教育』12月号 pp.43-48.

    昭和49年の大学設置審議会における、大学院及び学位制度の改善についてという答申の中で、博士の学位は研究者として自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力とその基礎となる豊かな学識を備えていることの証明という性格を持つもの、とされ、従来の、独創的研究・研究を指導する能力が削除される。

    オープンマインドで生きる。

    「怒っている知識人」とか「不機嫌な研究者」というのは定義上「バカ」か「怠け者」か、その両方だということなのである。

    いつもにこにこしている。この方々は、人間は「理解しがたいこと」を受け容れ理解しようと願い、それを受け容れるために脳の容量を押し広げているときに脳の情報処理能力が最高速になることを体験的にも理論的にも熟知しているからである。http://blog.tatsuru.com/2009/07/13_1100.php

    2009/07/11

    絹川正吉(1999)「「一般教育」の終焉と展開」『IDE現代の高等教育』11-12月号 pp.38-43.

     戦前の学制では、高等普通教育(人間教育・全人教育・リベラルアーツ)は、旧制高等学校で行われ、旧制大学には主として高等普通教育修了者が進学した。新制大学は、そうした旧制高等学校を大学の一部に取り込み、それを教養部として一般教育(高等普通教育)を担当させた。このことが、一般教育の問題を日本の大学へ複雑な形で持ち込むことになった。

     当初の一般教育科目は、人文・社会・自然から均等に合計36単位修得。これに工学部系から専門教育が不十分になるという批判が出る。1956年に、一般教育科目の単位のうち、8単位に限り基礎教育科目の単位で帰ることができる、1970年に、3分野均等履修を緩め、総合科目の開設、36単位中12単位までを外国語科目、基礎科目、専門教育科目の単位で代えることができる、1991年に、設置基準の大綱化で設置基準上の科目区分としての一般教育は消滅する。

     一般教育は人類・市民に関するもの、専門教育は職業に関するもの。同じ科目も教育の目的と方法で、一般教育にも専門教育にもなりうる。一般教育は、(1)効果的な思考の仕方(effective thinking)、(2)意思・感情・情意の伝達と発表の作用への習熟(communication)、(3)総合的相対的思考による判断(relevant judgement)、(4)価値判断の決定(discrimination among values)の4つの能力の育成が目的である。

     日本の一般教育は、縦割り専門学部組織を維持したまま、アメリカ起源のリベラルアーツを押し込めるために、教養部という組織で吸収させたと言える。しかも旧制高校教員を教養部に封じ込めて、一つの大学の中に階層組織を作ってしまった。

    年金未納問題の本質 ~ 国民年金は損か得か?~

    授業の教材として。

    2009/07/10

    ハロルド・パーキン(1990)「「イギリス病」と高等教育」『IDE現代の高等教育』12月号 pp.5-15.

     イギリス高等教育は短期間に専門家を要請する専門教育型。

     イギリスではエンジニアは二流市民で人文社会出身より俸給が悪い。

     オックスブリッジ、ポリテク、地方カレッジと強固な序列形成。フランス・日本と同様。  さらに、大学の序列が社会階層に基づく。

    2009/07/09

    大崎仁(1990)「英国高等教育のゆくえ」『IDE現代の高等教育』11月号 pp.15-23.

     1963年のロビンズレポート。英国大学の弱点は、学部教育の過度の専門化と不十分な大学院にあるとして、学部での幅広いコース大幅増加と大学院の拡充を強調する。しかし、大学はこれを実現する努力をせず、ポリテク中心の公立セクターを大学セクターに並列させる2元化制作へ。その背景は、エリート養成機関へ平均的な学生を取り込むことが困難と思われたため。大衆化する高等教育では職業教育が重要。

    2009/07/08

    潮木守一(1990)「イギリス高等教育の評価」『IDE現代の高等教育』11月号 pp.23-31.

     UGC/UFCの予算配分方式は、次の通り。

     各大学への予算配分額=c(教育活動+研究活動+各大学の特殊事情)

     ただし、cは調整係数で実際にはほとんど1。教育活動は学生一人当たり標準経費×所属学生数、研究活動は次式で決定される。

     研究活動=民間・政府部門との研究契約+科研費的な研究助成費+(基準研究費×所属学生数)+研究評価の結果

     UFCでは各大学の学科レベルでこれらを算定、その合計から授業料徴収分の差額を資金として配分する。

     UFCの研究評価は大学単位ではなく、各専門分野ごとの評価。具体的には学科レベルよりも若干細かい152種類の専門分野。これを大学教員と外部者を交えた評価委員会へ評価を委嘱。評価項目はいくつかあるが、評価基準はピアレビューなので、何をどれだけ重視するかは委員の裁量。5段階で評価する。科研費評価に非常に近い。このやり方には人文社会系と自然系の間で意見が分かれる。

    2009/07/06

    乾淑子(2009)「共感のためのリテラシーとしての教養」『世界思想』36号

    大学の教養課程とか、旧制高校における教養主義という言説には、大学や旧制高校という場で学ぶ階層の問題が潜んでいる。その人々の父祖の世代における教養には漢籍があった。日本の社会における教育を受けた階層で通奏低音となっている知識が教養であり、それは当然、時代によって少しずつ変化していく。
    幕末から明治にかけて西洋の文明に追いつき追い越すことを国是とした我が日本の中流階級の教養には、欧米に関するものが多かったのは当たり前である。
    中流階級と高等教育がイコールで結ばれていた時代は既に過ぎている。私たちの日常で必要とされる知識の範囲は、日々多様化しており、その一部はアジア、アフリカ、中南米との関係である。

    2009/07/05

    舘昭(1992)「英国高等教育のゆくえ」『IDE現代の高等教育』11月号 pp.44-49.

     General Educationは、一般教育ではなく高等普通教育と訳すべき。欧州では、高等普通教育は中等学校で完成し、大学は専門教育の機関。米国では大学の1~2年次で完成する。日本では、高等学校で高等普通教育は終わるはずだが、大学でも一般教育が行われる。つまり、高等普通教育は、米国では大学で行われ、世界的には後期中等教育で行われる。その背景には、米国の主要大学は私立大学で、専門教育より安価な高等普通教育を行うことは、学生確保の面で有益となる面がある。

    2009/07/03

    特集「欧米高等教育の新動向」『IDE現代の高等教育』1993年11月

    先進国に共通する高等教育のキーワードに、大衆化、財源の多様化、自治の増大と自助努力、専門教育の重視、評価、国際化がある。フランスの大学は、バカロレア取得者には原則的に無試験入学を認めている。よって入学者の急増は、学生の学力と志向の多様化に直結する。その結果、はじめの2年の過程で留年・中退者が続出する。取得者の50%が大学へ進学する。 フランスの高等教育制度は、大学とグランゼコールの二元体系。グランゼコールは、厳しい入学者選抜で入学定員を抑制することで、卒業生の価値の希少性を維持してきた。

    ドイツの大学で在学者数が増加している要因の一つは、在学期間が長期化し学生が対流していること。大学における学習には標準学習時間が定められているが、これを超えて在学する者がほとんど。学生が自らの計画と責任に基づいて学習を進める、学習の自由の伝統があるため。また、修了試験が2回しか受けられないため、合格の見込みがつくまでなかなか試験を受けない。この状況を打開するために、従来無償であった州立の高等教育機関で授業料を徴収する案が浮上。

    2009/07/02

    示村悦二郎(1991)「設置基準が変わると大学はどう変わるか」『IDE現代の高等教育』9月pp.5-10. 

     設置基準の改正で最も大きくかわる点。

     大学において開設すべき科目を従来、一般教育、外国語、保健体育、専門教育という4つのカテゴリーに分けて具体的に提示していたことをやめ、各大学・学部・学科の掲げる教育目標の達成に必要な科目を開設するとしたこと

     大学に自己点検・自己評価の実施を求める規定が加わったこと

     4つの科目区分は、新制大学の発足時に新しい大学教育のモデルとして必要であった。設置科目の区分がなくなったということは、編成すべきカリキュラムは一般教育・専門教育それぞれの範囲だけで考えるものではなく、全ての関連する分野を統合したものでなくてはならない。

    2009/07/01

    清水畏三(1991)「私学にとって新設置基準とは」『IDE現代の高等教育』9月 pp.29-34.

     日本の大学は、戦前から学部が基本単位で、学部の連合体。教授会も学部単位が通例で、日本独自の学部自治がまかり通っている。その学部は専門志向・職業志向で、幅広い教養を志す米国流リベラルアーツカレッジは発展しなかった。

     大学の経営者は次第に弱体化・不在化する。国立大学を真似して、学長や学部長を公選する。米国では州立・私立を問わず、学長選挙などあり得ない。

    2009/06/29

    天野郁夫(1992)「学部教育像の再検討」『IDE現代の高等教育』7月 pp.11-18. 

     学部は「教育研究上」から組織される。つまり、教育と研究は不可分。確立された学問分野ごとに学部が作られ、その学問の研究者が集まって教授陣を構成する。学問・学部・教授陣・教育課程の間に一貫した縦の対応関係があり、そのモデルはアメリカよりも19世紀以来のヨーロッパ的大学であり、まさにエリート型の大学に特権的な組織形態である。

     逆にアメリカは教育と研究が分離され、カレッジは筑波の学群相当、デパートメントは学系相当、教員は学系所属、学生は学群所属、デパートメントは専門を同じくする研究者集団のユニット、カレッジは学生に対する教育の必要に応じて組織される教育のユニット。

    山中伸之(2008)『できる教師のすごい習慣』学陽書房

    • 朝は5時前に起きる
    • 見たいテレビは録画する
    • わずかでもいいからやる
    • 情報はラジオから得る
    • 新聞は読まない
    • 仕事は単純作業から始める
    気になったところのみ。

    2009/06/27

    井門富二夫(1994)「学部再編の動向1994年」『IDE現代の高等教育』7月 pp.5-14. 

     昭和31年に設置基準の運用が文部省にあずけられた後、大量に進学してくる学生を受け止めるために、受益者負担の原則を利用して多数の私立大学を創立した過程で、大学の質の均質化を守るために、旧制高校と旧制大学の両面を一般教育と専門教育の2面に縦に分割する誤訳が行われた。

     アメリカの総合大学は、基礎学術学部(faculty of liberal arts and sciences)と応用学術の各学部(メディカルスクール等)に分かれ、日本の文・理・政・経・社会科学は、基礎学術分野のデパートメント(筑波大学の学系、ICUのデパートメント・ディビジョン)にすぎない。

    2009/06/26

    苅谷剛彦(1994)「カリキュラム改革の教育学、経済学、社会学」『IDE現代の高等教育』7月 pp.48-55.

     設置基準の大綱化によるカリキュラム弾力化の方向性について。

     (1)履修要件の弾力化(人文、社会、自然、外国語、体育という領域別履修要件の取り外しや軽量化)、(2)科目区切りや名称の変更(ディシプリンごとの科目編成からテーマ中心の学際性を強調した科目編成)、(3)時間の区切りの弾力化(4年を通じた教養教育=年次単位の弾力化、セメスター制・学期制=学期編成の弾力化)、(4)担当者の組織構成の弾力化(教養部改組、全学共通教育を特定の教員組織に固定させない)、が主流。

    2009/06/25

    鎌田浩毅(2006)『ラクして成果が上がる理系的仕事術』PHP新書

     本書は、文書を書くような知的創出活動のためのノウハウをまとめたものである。書かれた内容は全て基本的なことであるが、初年次向けの学習リテラシー教材としても活用可能な文献である。
    • 知的生産と知的消費は違う。知的生産とは、企画書・論文・書籍など文章の集積が出来上がること、知的消費とは本を読む、教養ある会話をする、ネットサーフィンをする。知的消費は人生を豊かにするが、知的アウトプットから遠ざかる。知的生産は理系が得意、知的消費は文系が得意。
    • 完璧主義とは自己満足の世界。よりよくするために必要以上のデータを集めたり思索したりすることで自分は満足し安心するが、来るべきアウトプットから遠ざかるうえ、自分でそれに気づきにくい。
    • 知的生産を行う前に、必要以上に資料・情報を集め、使わない情報を溜め込むのが、日本人に多いインプット偏重主義。どこが不足して何を埋めれば完成に近づくかを直観的に判断する構造主義が重要。
    • できるところから書き始める。ある程度調べたらとにかく書き始める。調べるのはいくら調べても論文にならない。
    • 大事なのは思いつき、発想で、それを書き留めておくことに価値がある。メモにしなければ思いつきはあっという間に蒸発してしまう。
    • とりあえず最後まで完了する。できるところから完成させればよい。何をする上でも最大の目標となる。
    • 本は読んだところに線を引くなど印をつけておく。
    • パソコンを起動してメールを見る、ついでにブラウザでニュースを見る、ということは、仕事の開始から受け身の姿勢に陥っている。情報が垂れ流される結果、受け身でモニターを見る時間が長くなっている。
    • 人はそれぞれ固定観念というフレームワークを持っており、対人関係はそのフレームワークのすりあわせである。相手に認識反射を出させるためには、相手が言ってほしいことを一言でまとめて返す、相手の良い点を見つけて言葉にする。相手の発する言葉に繰り返し出るフレーズを使ってキーワードを作る。
    • ブレーンストーミングはWin-Winが大前提。そして、目標を明確化することが最も重要。そのためには、環境を設定することが大事。時間を区切る、メモを作る、マッピングする、対案なしに批判しない。
    • 三脚法の手順。一つの論文に3つの性格の異なるキーコンセプトを出す。正反対の二つと中間に成り立つ一つが理想。それぞれを3つのサブメーッセージに分割。3章構成にしてそれぞれに3つの節を立てる。1節のメッセージは一つに絞る。全文で9章27節の文章ができる。

    2009/06/24

    小塩隆士・妹尾渉(2003)「日本の教育経済学:実証分析の展望と課題」内閣府経済社会総合研究所ディスカッションペーパー No.63.

     本稿は、教育経済学の領域で行われた過去の実証研究を包括的にまとめたサーベイ論文である。本稿で得られる結論を先にまとめると、今後解決すべき問題として、教育成果に関する実証分析を蓄積するための、教育履歴情報を含む長期パネルデータの整備、教育成果に関する市町村間のクロスセクション分析、国立大学法人の経営学的分析、教育と社会階層・所得格差の関連の研究、の4つが今後蓄積されるべき実証研究課題としている。本稿は、リファランスのためのポータルで、詳細はFurther Readingsで検討。

     その他のメモ。

     ミンサー型賃金関数では、サンプルセレクションパイアスがかかることが広く知られている。

     教育の生産関数Ai = F(I, F, Q, P)+e(A:統一学力テストスコア・教育後の賃金、I:IQ等生来の能力、F:子供の家庭・社会環境、Q:学校で提供される教育の質、P:子供と一緒に脅威奥を受けるグループの特性・ピア効果、)の推定では、教育の成果に関係すると思われる変数をアドホックに説明変数に加えた回帰分析が行われ、理論的なモデルがあるわけではない。

     10年ごとに行われる社会階層と社会移動調査のデータがある。

    2009/06/22

    川野辺裕幸・前川公志(2005)「高等教育政策の転換と競争的資金供給」mimeo.

     本稿はCOE採択と特色GP採択が、どのような変数で説明できるかを計量的に分析した実証研究論文である。

     COEの採択分析では、COE採択数を、博士課程入学定員、特色GP採択数、科研費配分額、偏差値、他大学学長の研究評価、旧帝大ダミーへ回帰するOLS推定を行う。他大学学長の研究評価の詳細は朝日新聞社の大学ランキングを使用している。この分析で最もCOE採択を説明する変数は、博士課程入学定員という結果が得られる。科研費配分額以上に説明力を持つ点が興味深い結果である。

     特色GPの採択分析では、採択か否かを、COE採択数、国公立ダミー、大都市圏ダミー、学部入学定員数、修士入学定員数、博士入学定員数、科研費採択数、研究評価学長数、教育評価学長数、偏差値で説明するプロビット推定を行う。ここでは、博士課程入学定員が負の効果を持つが、科研費採択数が正の効果を持つ。特色GPの採択確率には、研究実績が説明するという点が興味深い結果である。

    意見を通したいなら翻訳しなさい

    会社は、人為的につくりだした極めて不自然な空間だ。
    そういう不自然を承知で、チームで分業するからこそ、個人が一生かかってもできない規模で、社会に働きかけることができ、すばらしい経済効率で稼ぎ続けることができる。
    だから、「会社」という道を選んだ以上、「言葉が通じない」ということは、実力に関係なく起こり続けるのだ。
    キーワードの明確な定義と、相手側の論理構成に置き換えて話してみること、通じないときは、この2つを試してほしい。
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090619/198111/

    2009/06/18

    速水敏彦(2006)『他人を見下す若者たち』講談社現代新書

     本書は、心理学者による現代の若者の行動に関する考察をまとめたものである。速水先生がベストセラーを書いていると知って、読むことにした。
    • 自尊感情は過去の自己経験を踏まえたものであるのに対し、仮想的有能感は過去の自己経験に基づかず、自分の将来の適応のために自動的・無意識的に発生する。
    • 他者評価と自己評価は相反する方向に作用する。人間は本来常に自分を高く評価したいので、人は自分よりも優れた人物よりも劣る人物に関する情報を求める。この傾向が下方比較。
    • 真の自己肯定感は、親しい人間関係にある周りの人たちから、承認されて賞賛される経験を通じて形成されることが多い。人間関係が希薄化することで、他者軽視行動が多くなる。
    • 対人スキルの劣る者ほど、メールに頼るコミュニケーションを図ろうとする。
    • 仮想的有能感を持つ人の特徴は、(1)共感性が低い、(2)友人関係が狭い、友人が少ない、(3)友人関係あるいは家族関係に不満がある、という傾向がある。
    • 自尊感情は、自分を非常によいと感じることではなく、これでよいと感じること。ありのままの自分を価値あるものとして尊敬できると、自尊感情は高い。
    • 青年は高い理想を尺度として他人や一般社会を眺め、それと比べて現実の他人の能力や社会があまりに低級で汚れているのを感じ、それらを軽視する。
    • 昔の子供に比べて今の子供は、怒りやすく、悲しみにくく、喜びにくい、感情を表面に出さなすぎる、しかし文章にはできる。子供が不快感を感じなくなった、あるいは親が不快感を感じさせなくなった。
    • 一度自分の非を認めると、その後一貫して弱者の立場に立たねばならないと考えて、謝れない子供も親も多い。
    • 高校・大学進学で最近の生徒は自分の現実の学力とはかけなはれた水準の大学を志望する場合が多い。
    • 高校中退者は、これまでの学習経験から、他の人と違った才能を仮定する。現代は、誰もが自己肯定感を求めている。

    2009/06/17

    Cosgrove, E.(2006)"How PBL Fullfilled its Promise?" 東京大学医学教育国際協力研究センター客員教授セミナー

     本報告は、PBLによって得られるアウトカムが、従来の伝統的カリキュラムと比較して優れているという証拠がない、ということを示す報告である。

     PBLには有用な点があり、(1)PBLで学んだ学生は自校を高く評価する、(2)課題に対する学習者の内的な興味をかきたてる、(3)自主学習に必要なスキル修得に役立つ、(4)PBLで培われた自主学習スキルは10年以上保持される、等である。また、PBLが特に有効な学生もおり、女子学生、中高年者、入試成績の高い学生、社会的マイノリティとされる家庭で育った学生、に有効と考えられている。

     一方で、PBLのマイナス面があることも見なければならない。これがあるから、米国での普及度も高くならないと考えられる。
    • 学生はどの情報が有用か、関連があるかを判断する能力に乏しく、調べすぎたり、ほとんど調べられなかったりする
    • 教員の時間とパワーを消費する
    • 教室、コンピュータ、図書等いろいろな資源が必要
    • 学習目標が明確に示されないため、学生は隠されたテーマを探さなくてはならない
    • 文脈の中で学んだ概念を一般化することは、学生にはむずかしい
    • 多様な背景を持つ学生の中には、PBLに求められる文脈を経験上持たないものがいる
    本報告では、PBLの長所を認めながらも有効ではないと主張する。PBLが問題解決スキル獲得に優れているという証拠がないからである。シェフィールド大学での大教室PBLでは、2名で22グループを指導する場合と、各グループにファシリテータ1名がつく場合で、同じ学習目標・評価項目の授業を行うと、学習成果で両者に差がないことを示している。

    2009/06/13

    藤村正司(2001)「大学教員の所得関数の計測と昇格」『大学論集』vol.32, pp.117-130.

     本稿は、日米の大学教員の個票データを使用して、昇進確率と所得を属性等の変数へ回帰する分析を行う実証研究である。本稿の分析のカギとなるのが、1992年に行われたカーネギー調査という調査から得られた国立大学7校963人、私立大学12校880人の教員のデータである。

     教授を1、助教授を0とするロジット回帰で、勤続、外部勤続、女性D、研究大学D、単著数、編著数、論文数、研究評価Dへ回帰すると、日本では勤続年数の効果が大きく、国立は勤続、私立は外部勤続の効果が大きい。研究大学では昇進が遅くなる。

     大学からの総収入/17を、勤続と2乗項、外部勤続と2乗項、移動回数、研究大学D、教授D、助教授D、女性D、医学分野D、著書数、編著書数、論文数へ回帰すると、やはり日本は勤続の効果が大きく、国立より私立の方がその効果は大きい。また、国立の研究大学では博士課程手当分の収入上昇がみられる。

     同様に、大学以外の学術活動からの収入+学術活動以外の仕事からの収入を回帰した結果では、日本では単著数が多いほど大きく、また国立では医学分野であることが高い収入につながっている。

    2009/06/05

    伴信太郎・佐野潔(2002)『臨床の場で効果的に教える』南山堂

     本書は、臨床医が医学生・研修医を効果的に指導できるようその手引きをまとめたものである。

    教育とはコミュニケーションであり、そのためには、次の7つのポイントが重要である。
    • 教育の雰囲気
    • 教育のコントロール(進め方・進度・課題)
    • 目標の明確化
    • 理解と定着化の促進
    • 評価
    • フィードバック
    • 自己学習の促進
    そして、それを指導する教員には、6つの役割がある。
    • 専門家
    • 権威者
    • 自分の専門領域の面白さを伝える
    • 理想像を体現する
    • 学習の促進者
    • 一人の対等な人間
    医学生や研修医は大人であるから、成人学習の原則に従わなければならない。
    • 成人は学習したことをすぐに実践したがる
    • 成人は知識の詰め込みよりも概念や原則を学びたがる
    • 成人は自分自身の学習目標を立てることを好む
    • 成人は自分の行為を評価するのに役立つフィードバックを好む
    さて、教育で難しいのがプラス・マイナスのフィードバックの与え方であるが、ここでは3つの特徴を指摘する。
    • フィードバックは評価的ではなく、描写的
    • 可能な限り具体的
    • タイミングよく(=イベントの直後)
    1点目は機器がうまく使えないとき、評価的には「君はずいぶん不器用だね」、描写的には「君が粗雑に挿入しようとした時、患者はかなり痛がってましたよ」。2点目は「君は患者の不安な気持ちに気を配っていたね」より、「君が患者の良性の心雑音と父親の心臓疾患の違いを説明したことで、患者の言葉に出さなかった不安を取り除いたようですね」。

    学習者の独立性の度合いと能力には、相関関係があると考えられる。よって、能力の低い学習者には依存性を保ち、高い能力の学習者に対しては独立させる教育方針が望ましい。学習者は過剰な自立を求められると「不安」を感じ、過剰な依存を求められると「欲求不満」になる。

    2009/04/21

    共感で人を動かす―ロジックを超えるコミュニケーション

    実際のビジネスにおいて、ある程度の時間や労力を伴うアクションを起こすためには、「理解」だけではなく、強いインセンティブがそこに存在するか、もしくは、単なる理解を超えた「共感」が醸成されなくてはならない。これらがあるからこそ、自分自身が積極的に動いたり、さらに誰かを巻き込もうという気になるのだ。 http://www.globis.jp/921

    2009/04/20

    Birnbaum, R. (1991) "Effective Administration and Leadership in the Cybernetic Institution," How Colleges Work, Ch.9, pp.201-229.

    本書では、大学の組織を自律モデルでとらえようという試みと思われる。
    自律モデルにおけるリーダーシップの特徴は、下位組織にリーダーシップを作ることがトップの役割である点である。大学におけるリーダーシップとはトップダウンではなく、下位組織がリーダーシップをとれるよう制約を外すことである。
    本章では学長の仕事のあり方について書かれている。学長は努力した結果として運営の効果や成功を測ることができないため、確信を持って事前に結果が予想できる取り組みを示すことはできない。しかし、以下のような仕事をすべきと示されている。情報の収集チャンネルの設置、情報の適切な伝達経路の確保、意見の不一致の奨励などである。
    本書の知見はあくまで米国におけるものと思われるが、この経験を日本でどう活用するかがこの過渡期の大学経営陣の課題でもある。

    2009/04/18

    Birnbaum, R. (1991) "The Cybernetic Institution: Providing Direction Through Self-Regulation," How Colleges Work, Ch.8, pp.177-199.

    自律モデルは、平等・官僚・政治・無秩序の各モデルを統合する考え方である。実際の大学は断片化・構造化されており、単一のモデルで説明できるわけではなくそれぞれのモデルを部分的に取り入れながら活動していると考えられる。
    自律モデルでは、アウトプットの測定や改善ではなくインプットに対応するのが特徴である。また、その対応もインプットの許容量を超えたときのみ対応する、非連続の対応が特徴である。しかしすべてのインプットにトップが対応できるわけではないので、相当な単純化や曲解とともに対応することになる。また、インプットは複雑であるため、通常は下位組織に対応を任せることによって、相反する目標への対応が可能になる。下位組織自体は独立・安定的で、下位組織同士はゆるやかに関わり合いを持つ。
    おもしろい点は、こうした組織では、データを集めるだけでは対応が起こらず、データによって組織が対応するチャンネルを持っていなければ変化が起こらない。そこで、リーダーの役割は対応に気づくためのコミュニケーションシステムの開発であるという点。
    自律モデルは4モデルの統合とはいうものの、4モデルの方がより直観的に大学の組織を説明できると思われる。まだよくわからない部分が多い。

    2009/04/17

    Birnbaum, R. (1991) "The Anarchical Institution: Finding Meaning in a Community of Autonomous Actors," How Colleges Work, Ch.7, pp.151-174.

    無秩序モデルには、以下のような特徴がある。
    目標に問題が含まれていること、生産技術が曖昧であること、構成員が流動的に参加することの3点が、無秩序モデルの特徴である。1点目は、目標の明確な規定ができず達成を評価することができないことを指す。例えば、教養教育を重視するという目標があっても何が教養教育かに関する意見は一致しておらず、結果的に個人や学科の利害を反映したカリキュラムができる。2点目は多様な教育方法・学習経験の中でそれぞれの効果を説明できないことを指す(それはどこでもおなじではないのか?)。3点目は出席がまばらな委員会方式を指す。
    このモデルにおけるリーダーは、影響力が小さく、内部の改革よりも環境の変化の影響力が大きい。そうした中では、委員会に権限と手柄を移譲し実体的な組織にする、委員会には反対者を必ず入れ推進者の慎重な思慮と反対者の理解を得ることを進める、大学の対応能力を超える提案を避ける、計画と関係ない問題を議論する委員会を作って注意をそらす(ゴミ箱をつくる)ことが有効になる。大規模基幹大学に当てはまるモデルということだが、どうだろうか。
    これまで説明されてきたモデルは、事例から読み取れる解釈としては適切と思われるが、一般化されたモデルとまではいかない。

    2009/04/16

    Birnbaum, R. (1991) "The Political Institution: Competing for Power and Resources," How Colleges Work, Ch.6, pp.128-149.

    政治モデルには、以下のような特徴がある。
    権力と意思決定が集中せず分散し、多数の個人・集団が権力を持ちその大きさは状況によって変化する(教育担当副学長の影響力と外部の視覚認定期間の影響力)。また、大学は単一の組織ではなく、学部・大学院・人文系研究者・社会系研究者・自然系研究者・専門職大学院・非教学部門・管理職などの複数の組織体。
    教育・研究・社会貢献という抽象的な大学の使命には合意が得られるものの、どのプログラムが最も重要かについては合意が得られず、有限の資源配分を巡る競争が起こる(研究支援よりも初年次支援の方がよりよいことを証明するデータはなく、よい方を選ぶのではなくよいものの中から選択する)。
    構成員のほとんどが無関心である特徴があり、ほとんどの問題に関心がない。
    平等モデルでは水平的相互作用、官僚モデルでは垂直的相互作用があったが、政治モデルでは競争と調整による相互作用が特徴である。どのグループも圧倒的な力を持たないので、共謀と交渉によって意思決定が進められる。このことは結果が妥協の産物となることを意味し、各グループは最低限要求する水準を高めるために多大な要求水準を設定する。対立や意見の不一致は決して問題ではなく当然のことであり、リーダーはこれを説得と駆け引きで調整する。
    リーダーは各グループを尊重し、強制力は必要最低限にとどめなければならない。基本的に各グループは不満があっても負担が増えるという理由で改善に参加しない。参加せずとも一定に利益があるためで、明確な動機なしに行動が起こらない。むしろ、負担をいやがる傾向があるので、グループに与えられる課題を明確に示し、その活動のみに参加してもらうことが適切である。
    地方国立大学に当てはまるモデルということだが、なかなか的を得ている。

    2009/04/15

    Birnbaum, R. (1991) "The Bureaucratic Institution: Rationalizing Structure and Decision Making," How Colleges Work, Ch.5, pp.105-126.

    官僚モデルには、以下のような特徴がある。ある部署間のコミュニケーションを促進すると他の部署とのコミュニケーションを減少させる可能性がある。従って、組織構造を作ることは取引の問題。意思決定が文書化される。昇進昇格が業績に基づいて行われる。官僚モデルは合理的組織であり、目標の明確化とその費用算定等のデータ収集・分析を行う。無能な者が上の職位につくことを制限し、意思決定において宗教等本質的でない要因を排除できる。自己保存のために自己を強化する目標を立てる、目標達成のための手段自体を目標にすることがある。アカウンタビリティが形式主義を生む場合がある。
    興味深い点は、権威は命令を出す側の権力によって規定されるのではなく、命令される側がどれだけ進んで命令を受け入れるかに規定され、権威の関係を確立するのは上司ではなく部下である。

    2009/04/14

    Birnbaum, R. (1991) "The Collegial Institution: Sharing Power and Values in a Community of Equals," How Colleges Work, Ch.4, pp.85-103.

    平等モデルでは、職階上の違いは重視されず平等な関係で関わるコミュニティ、決定は命令ではなく合意、全員に発言する機会が与えられている、学長は教職員の代理人と見られており平等な筆頭仲間、80人程度の構成員、という特徴で語られる大学があてはまる。意思決定を合意で行い、効率が悪いという面もあるが、取り組みが形骸化しない利点がある。こうした組織では、リーダーが組織内で模範的な行動を示し、職位の違いを超えてコミュニケーションを取り、構成員の自己規制を尊重することが最適な管理職モデルとなる。
    どうやらこの文献は、事例は豊富だがボリュームの割に一般化された知見は少ない文献のようである。

    2009/04/12

    Birnbaum, R. (1991) "Making Decisions and Making Sence: The Administrator's Role," How Colleges Work, Ch.3, pp.56-82.

     本稿の要旨を示すと以下の通り。大学での意思決定において客観的合理性は存在しない。よって意思決定は最大化ではなく、満足させるための意思決定となる。通常、組織には目標がありそれが明確であるほどよいが、大学においては目標の集合は制約条件であり、活動が分権化された大学では教職員が成果を左右する以上、どの制約条件を最大化するの合意はない。また、目標の評価についても、活動の効果に関して構成員が対象・基準・期間全てにおいて異なる基準を持っている。
     こうした状況下では、構成員がより同じものの見方ができるよう促進し、現状の共通認識を形成する交流の場を提供する活動を、管理職が支援しなければならない。
     なかなか抽象的な内容で大変分かりにくい。

    2009/04/11

    日本の教養の定着

    教養は学問と文化をベースにしないと語れない。 法令では薄くしか語れない。

    2009/04/10

    Birnbaum, R. (1991) "Thinking in Systems and Circles: The Structure and Dynamics of Academic Organizations," How Colleges Work, Ch.2, pp.30-54.

     本稿の要旨を示すと以下の通りである。大学組織の特徴はLoose Couplingであり、ある影響が組織内のシステム間で弱くしか働かない。よって、調整が困難で、あたらしいアイディアが伝わりにくく、運用に費用がかかる。その一方で独立した専門組織を持ち、環境に適応しやすい。環境が変化する状況下では、下位組織を多様化すべきである。大学は管理部門と生産技術の2つがあり両者を連結させるのが学部長など。その学部長も任期があって出ては去っていく。
     Systemの方はわかりやすいがCircleの方がわからない。因果関係が複雑で非線形であるということはわかった。

    2009/04/08

    Birnbaum, R. (1991) "Problems of Governance, Management and Leadership in Academic Institutions," How Colleges Work, Ch.1, pp.3-28.

     本書は数少ない大学組織論の文献である。本稿では、大学と他の組織体の根本的な違いについて指摘している。その根本的な違いは、究極的にはガバナンスの違いであり、ガバナンスシステムが最終的に大学の責任を持つという点で、他の組織と異なる。
     大学には通常、理事会・管理職・教授団という3つの登場人物がいる。大学は、企業のような収益に関する目標を持たず、活動の成果が数量化されて示されないために、目標について合意がない。すなわち、企業で使われるガバナンス手法が有効でなく、経営管理者が権威を持たない。階層的で目的が明確な組織ではトップのリーダーシップが重要であるが、大学では機能しない。目的が曖昧かつ多様で、権限者が専門職化されており、流動的に関与する特徴がある。

    2009/04/06

    入社式、親子で一緒に、感謝の言葉、食事会も…、企業は離職歯止め期待

    入社式は社会人最初の一歩。企業も新人を大人扱いする、と思っていたら最近はどうも様子が違うようだ。

    企業は職場を親に見せたいらしい。採った人材にはしっかり育ってもらわなければ困る。新入社員の三割が三年以内に退社する昨今、家庭でも新戦力をケアしてほしいというわけだ。

    日経夕刊

    2009/04/03

    大学進学、愛知は地元志向(なるほどマップ)

    入学・進学の春を迎えた。高校卒業者の大学・短期大学への進学率は2005年度以降、50%を超えており、2人に1人が大学に進む時代。ただ、地元と県外の大学のどちらを選ぶかは地域によってばらつきが大きい。
    08年度の文部科学省の学校基本調査によると、地元大学に入学した高校生の割合は愛知県が最も高く、10人のうち7人が県内の大学に入学している。反対に、最も低かったのは和歌山県で、県内の大学を選んだのは10人中1人しかいなかった。
    文科省によると、このように大きな差が開いている要因として、地域ごとに東京志向に温度差があるほか、県内で通える大学の数や地理的な条件などが影響しているという。例えば和歌山県。県内に大学が少なく、周辺の府県に関西の大学がたくさんあるため、県外に出る高校生が多いとみられる。
    全国的にみると地元の大学を希望する高校生の割合はこの10年で少しずつ上昇している。昨秋以降の景気後退の影響も家計に重くのしかかっており、実家から通える地元の大学に入る高校生は今後も増えそうだ。

    日経夕刊

    本当に転職に有利なのか? 日本の社会人大学院事情

    受講者は、キャリアプランも研究も中途半端だったという印象を持つ。大学院卒の資格及び授業の内容を仕事や転職に生かすという明確な戦略がある方は少ないし、道を変えて研究の世界に入るには明らかに基礎学力不足の方が多かった。

    縮みゆく大学経営

    国立大学法人化の精神はどこへ行った http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20090327/190353/

    2009/03/27

    金子郁容(2005)『学校評価』ちくま新書

     本書は、義務教育過程の学校の活動を評価する枠組みと方法を示すものである。
    本書で言う学校評価とは、学校が何を目指し、実際に何が起こり、成果を上げているかを知り、課題を改善するにはどうするかという基本的な情報を、教員・保護者・児童生徒・地域住民の関係者で共有するための材料を言う。
    現在の教育改革は、(1)多様な選択肢、(2)信頼される学校とアカウンタビリティ、(3)開かれた学校、という3つのキーワードで語ることができ、これまでの国と自治体の独占状態では求められることがなかったものである。一言にまとめると、入り口の管理から出口の管理へのシフトであり、結果のチェックに重点が移ることで評価も重要になってきた。
    情報公開は重要で、自己診断調査結果を積極的に公開している学校ほど、調査結果を学校改善につなげている傾向がある。この背景には、学校の問題は基本的にコミュニティの問題であるからだ。
    学校評価のデザインは、具体的にはどんな目的で、誰が、誰を対象として、どのように評価するかを決めることである。これらを決めるにあたり、(1)権威に基づく問題解決(ヒエラルキーソリューション)、(2)市場を通じた問題解決(マーケットソリューション)、コミュニティによる問題解決(コミュニティソリューション)という3つのモデルが参考になる。義務教育はこれまで、基本的にヒエラルキーで問題を解決してきた。しかし、イギリスでは3つのソリューションを組み合わせた問題解決に取り組んでいる(国の関与・統一テスト・LMS)。本書では、これからの学校評価で重要なのはコミュニティソリューションであると主張する。
    コミュニティを分析するには、ルール・ロール・ツールの3つに注目する。ルールとは、コミュニティから自生した約束事・了解事項を指す。ロールとは、権威に基づいた職位ではなくコミュニティのメンバーに承認されることで有効になるメンバーが果たすことを期待されている役回りを指す。ツールとは、メンバー間のコミュニケーションと情報共有の手段・仕組みを指す。
    評価の具体的な手順は、以下の通りである。
    1. 課題分析と可視化 (i)定性調査による気づきの洗い出し、(ii)課題の抽出、(iii)ゴールの設定、(iv)マトリックスへの整理、(v)課題の絞り込み・重要度実現度分析
    2. 評価システムの構築 (i)評価指標の選定、(ii)現状値の調査、(iii)目指す値・役割期待値の設定
    3. 情報共有の推進
    4. 活動実践と役割分担・活動連携
    5. モニタリングとフィードバック
    著者は教育学者ではないが、学校の評価論にそった評価方法を提案している。根拠の確かな論述は少なく、著者の主観で語られる部分があったり、根拠として引用する事例が根拠にならない部分もあるが、大きく評価の方向をとらえたい時には読んで損がない文献である。

    2009/03/25

    「派遣切り」をどう考えるべきか

    日本の現場は、一体感が大事。これが世界と戦う原動力を作ってきた。
    http://www.murc.jp/nakatani/column/2009/03/20090323.html

    2009/03/22

    吉田浩(2003)「国立大学に対する財源政策に関する経済学的考察」『国立大学の財政・財務に関する総合的研究』国立学校財務センター研究報告 第8号 第7章 pp.141-175

    本稿は、国立大学の最適な収入について考察を加えたものである。収入には、授業料などの自己収入と運営交付金などの公費がある。前者をミクロ的に、後者をマクロ的に分析する。

    授業料は一物一価が成立していないのが現状である。教育サービスの価格付けには2つの考え方があり、フルコスト原理と市場での評価が価格に反映される方式であり、本稿では市場での評価で分析する。高等教育需要者の効用をUとして効用関数を次式で表す。

    U = UE(e) + UC(c) - US(e)

    ただしeは高等教育の質、UEとUCはそれぞれ教育と消費からの効用、USは受験勉強の不効用を表す。所得をy、授業料をpとすると、予算制約は、y = c + pe となる。最大化問題を解くと、

    UE' - US' - pUC' = 0 (UE' = pUC' + US':大学入学の限界便益=限界費用)

    が得られる。授業料が上がると高等教育授業が減ることがわかる。その結果、大学の収入が増加するか減少するかは、価格弾力性に依存する。これによると、国立大学の授業料の低さはUSが大きいことが反映されており、授業料の引き上げは需要を減らしUSを減らすが、USを減らすために定員を増員することは質の低下を招くため、入試機会の増大で対応すべきである。

    大学への公費の投入は、情報の非対称性(商品の品質が取引終了後にわかる、一旦取引を行うと取引前の状況に戻し難い)、費用逓減産業(巨額の固定費による自然独占で過小供給)、外部性の3つで説明される。

    2009/03/21

    赤川学(2004)『子供が減って何が悪いか!』ちくま新書

     本書の基本的な主張は、社会政策は少子化を前提にした制度設計をするべきであり、少子化が進むからといって少子化を抑止する政策を通じた特定階層への優遇や排除を行うべきではないというものである。

     タイトルである子供が減って何が悪いかの意味は、政策・制度設計を出生率上昇策の効果・効率面から評価することをやめろという意味のようである。すなわち、男女共同参画が重要ならば(重要であるが)、それが出生率を低下させる政策であったとしても促進するべきであり、男女共同参画が出生率を上昇させるという解釈をするべきではない。

     本書の前半は少子化対策の根拠として示されるデータの脆弱生を、著者なりに明らかにする。出生率と女子労働率の散布図を13カ国のサンプルで示して相関を見ても意味がない、等の議論である。この中で、実証分析は現存する社会構造を前提にした分析であり、既存社会の構造から出生率の高さと相関する変数を探す作業である。しかし、政策提言は既存の社会構造を変革することであるから実証分析を基に政策を提言することは、過去の中に未来を探る作業であり、その限界に自覚的であるべきと指摘する(田舎が出生率が高いなら都市を田舎化すれば良いのか)。

     子供の数を規定しているのは、どういう都市に住んでいるかという生態学的な要因と、学歴・年収・従業形態等の社会経済的要因であり、既にキャリアを重ねてきた人には政策的介入で大きく変更できない要因ばかりである。

     少子化のデメリットは、生産年齢人口の減少による経済活動の萎縮・生産性の低下と若年対象市場の縮小、社会保障費の増大の2点。(少子化のメリットは、住宅問題解消、財政の好転(?)、通勤混雑緩和、レジャーの享楽、高齢者と女性の基幹雇用上昇を指摘するが、検証されていない)

     年金制度の廃止は出生率を上昇させる可能性がある。その根拠は、子供がもたらす喜び(消費的効用)に加え、子供がお金をさせぐ労働効用と、老後に面倒を見てもらえる生活保障効用が生まれるため。逆に賦課方式の年金制度は、子供の需要を下げ、次世代の再生産を抑制して家族システムを崩壊させ、自らを崩壊させる矛盾がある。年金の積立方式化でこの効果を減少させる可能性がある。

     賦課方式の下で世代間公平を測る基準は、給付代替率(生涯を通じての負担と給付の比率)と、所得代替率(高齢世代が現役時代の平均手取額の何%を受け取るか)の2つ。

     高齢化率の老年人口÷総人口よりも、養われる世代と養う世代の比率、(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口の方が重要。高齢化率が高まると、一人当たりの生活水準を下げないためには産む子供の数を減らすしかない。

     少子化の別の要因は、女性の稼得能力上昇による機会費用の上昇。

     99年からスウェーデンで採用された年金制度は、(1)所得比例年金に一元化し、最低保証額に見たない場合は国庫負担、(2)拠出建ての賦課方式で、保険料拠出は年収の18.5%の固定、平均寿命の伸び・経済成長の変動で給付を調整、(3)18.5%のうち16%は個人別勘定で記録、年間所得に一人当たり賃金上昇率を掛けて16%の保険料拠出を積み立て、残り2.5%は実際に積み立てて個人別に運用。(概念上の積立で実際は賦課方式運営)、(4)61歳時点で積み立てた総額を平均余命で割った値が年金受給額で受給開始年齢を引き上げることも可能。これにより、負担と給付の関係が明確化、賦課方式から積立方式に移行する際の二重負担を回避、負担を巡る世代間公平も世代内公平も問題にならない、早期退職誘因・貯蓄率低下誘因がない。賦課方式は人口変動リスク、積立方式はインフレ・利回り低下リスクがあるが、この制度では年金債務が年金資産(保険料+積立金)を上回ると運用利回り(=一人当たり賃金上昇率)を下げる仕組み。

    2009/03/19

    松谷明彦・藤正巌(2002)『人口減少社会の設計』中公新書

     本書は人口が減少してく社会で直面する課題を指摘しながら、質的に充実した社会を確立する好機であること示すものである。実際の中身は、一貫した主張が述べられるものではなく、これまでの社会の特徴、今後の特徴を説明的に述べるにとどまっている。仮説がある研究書というよりは、役人の書いた優等生な文章という印象が強い。

     人口を維持するために子供の数を増やすという議論があるが、合計特殊出生率が持続的に2を超えるOECD加盟国はあり得ず、少子のような言葉で問題化されることもない(少子の英訳はない、出生数は個人の問題)。

     人口減少は少子化ではなく平均寿命の上昇で起こる。出生数を一定にしてベビーブーム世代が高齢化すると、他死になる。出生率が上昇しない理由は、養育費が経済成長率以上の割合で上昇するためであり、日本では出産と結婚の関係が強固であるために未婚率上昇も影響する。

     終身雇用・年功賃金のルーツは戦時の賃金統制令と従業者移動防止令。戦後は量産効果追求を支える勤労意欲の維持のために終身雇用・年功賃金で忠誠心を確保した。国全体の人口構造もピラミッドであったために、終身雇用を維持しても昇進ポストを用意できた。

     成長期の日本企業は売上高至上主義をとってきた。これが機能するためには、売り上げが右肩上がりであることで、終身雇用とポスト維持のためにも必要。しかし、利益率の低い投資は労働生産性を引き下げる。それでも維持できるのは、利益率を重視しなくても資金調達に困らないメインバンク金融のため(逆に欧米は市場で資金を調達するため、投資の利益率を重視する)。

     経済成長率は生産性と労働者数で決まるので、生産性が一定であれば、労働者数がマイナスになれば経済成長率はマイナスになる。さらに、労働時間が減れば経済成長率はさらに下がる。こうして経済が縮小するとこれまでの売上高を重視する経営モデルに変革を迫る。つまり薄利でも売れれば良いというビジネスは持続不可能になる。

     人口が減少すると消費者が減少し、生産者は売り上げ減少により生産量を減少させることから負の連鎖となるという議論は、景気循環と経済成長を混同している。人口減少による生産量低下は、生産能力の低下でもたらされるものであり、その下での採算と資金繰りで経営は可能。

    有力人事部の告白〜大異変「お金、出世、採用」

    この時代に大学で学ぶべきことは何ですか?
     他者から育ててもらいますか?

    フェリシモ、社員の約3分の1にリーダー教育

    100人以上が社内留学「経営戦略研究会」に参加 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090317/189256/

    2009/03/15

    溝上慎一(2004)『現代大学生論』NHKブックス995

    本書は、現代の大学生の生き方を心理学の立場から解説したものである。
    • 学生の自己評価の高低に関わらず、現代の学生の自己評価を最も規定する要因は学業
    • 60年代の青年の一人前になる人生形成の仕方は、まず学歴トラックに乗ること、できるだけ上級の学校へ進むことで一般化される。それを背後で支えたのが、所得水準の上昇と子供の数の減少。
    • ただし、戦前期の学問で身を立てる立身出世は50年代に消滅済みで、怠惰な学業生活が珍しくなかった。
    • 私は何者かというアイデンティティが成り立つ条件を、エリクソンは自己同一性(自分がどこから来てどこへ行くか)と、心理社会的同一性(他者・社会の中で私はどのような存在か)の二次元で示し、両方が必要条件であると考えた。
    • 60年代の人生形成は、より高い社会階層に属する大人社会に参入するために最適な学校を選ぶ、アウトサイドインと言える。
    • 70年代のは、アウトサイドインが強化された時代。ただし学生同士のコミュニケーションは、流行的、消費的、娯楽的な自己表現で成り立つ変化があった。
    • 90年代のバブル崩壊は、企業の採用戦略の変化をもたらし、同時に大学に教育への要請が高まる結果をもたらした。より上級の学校へのレールは維持しながら、大学が将来を保証された青春を謳歌する場所でなくなった。
    • 人生形成の仕方の大きな転換は、学生の学業中心型キャンパスライフへの転換として現れた。
    • これらは、職業世界における大人社会の権威の失墜を意味する。これが、自分のやりたいことを目標に人生を形成するモデルが突出化する。実際、就業意識調査でもやりがい重視傾向が出ている。これをインサイドアウトと呼ぶ。
    • しかし、そこでも70年代に確立した学歴トラックも強く機能している。
    インサイドアウトの難しさ。
    1. 生き方の情報化:メディアで理想とする生き方を提供しながら、裏側の困難や努力が伝わっていない。
    2. やりたいことが趣味・娯楽:消費文化から発したもので、職業世界に入ることを前提としない考えで、仕事になるかどうかを考えていない。
    3. 目標の実現場所・実現方法不明
    4. システム化された大学生活:全体を部分にわけ、その有機的連関をはかって全体を再定義。様々な私の全体性が自己感情の総体を作り上げる。目標とその実現に向けた活動が、大学生活全体でどう位置づくのかの調整がむずかしい。
    現代の学生への対応
    • ある程度の将来の目標にあたりをつけたあとは、行動しながら具体的な形に修正する。(将来見通しを持っている学生が6~7割いるというデータが前提)。今の学生は、勉強でもしなければ将来のことを考える機会を得にくい。
    • やりたいことを他者へ話す。
    • 受け身的な授業に対する不満を超えて、双方の相乗的改善(学習観の転換)が必要。

    2009/03/13

    喜多村和之(2002)『大学は生まれ変われるか』中公新書


     本書は、大学の法人化等で注目されている大学評価に関する著者の主張を述べたものである。本書の基本的な主張は、次のようなものである。高等教育の大衆化は、大学の多様性をもたらすと同時に自律性の喪失をもたらした。その中で、大学がその機能、果たす役割、資源確保の手段を自ら把握する手段は、自己研究・自己評価である。しかし、現在の自己評価は改善や改革に結びつかない形式的な作業に多大なエネルギーが裂かれている。

     著者の危惧は、客観的・普遍的・目に見える指標で測定することになじまない学問分野があることらしいが、ではそれをどう評価するかは述べていない。結論に照らせば、自己評価で行うのだから、なじまない分野で具体的な自己評価の方法を示せばよいのだが。著者の主張は、上の一点と思われるが、なぜそう主張するかを示して書かれておらず、著者の知識の羅列の後に唐突に結論が示される構成で、研究書というよりエッセイという視点で見るとおもしろい本だろう。さまざまな経緯・事実も豊富なので、評価論の基礎を学ぶ本としてもよい。しかし、一論者の観念論と言う批判をされても仕方ない面もあるだろう。

     その他、いくつかのポイント。
    • 大学への役割・期待は高まっているが、政府が高等教育・研究に投資すべき資源は何らかの形で重点配分を行う必要性に迫られている。そのために世間を納得させる合理的・客観的な評価の基準・方法が開発されなければならない。
    • 現代の評価は自己の内省や吟味ではなく、他者の納得・説得を要求されている。
    • 大学評価で評価するものは大学の質。旧来の質は卓越性、現代の質は目的への適合性(fitness for purpose)(を証明したもの)。
    • アメリカ社会では評価するものは必ず相手からも評価されるテェックアンドバアランスが貫かれている。
    • 大学と言う名の機関は多数存在しているが、近代大学は理念としては死んだ、大学とは何かの答えは得られない。

    2009/03/11

    苅谷剛彦(1995)『大衆教育社会のゆくえ』中公新書

     本書は学歴を軸に社会階層や教育制度を考察したものである。
    • 親の職業が学歴を決める要因として重要、成績との相関も高い。これは、戦後安定して変わらない傾向。私立へ行ける財力の差が要因となるのはごく一時期。
    • 学歴が必要とされない職業も学校の成績と関連づける傾向がある。学力を誤りのない情報と理解し、将来の成功を示す指標となる。
    • 外国では教育と貧困・階級の関係を分析する研究が盛んなのに対し、日本では社会階層の問題が教育問題から消えている。
    • 日本の中等教育は普遍的に統一された特徴がある。外国では社会階層ごとに進学先が異なる場合が多い。
    • 学歴の獲得で生まれ変わりができる。しかしどのレベルの学歴を獲得できるかに生まれの差があるにもかかわらず、学歴社会を批判する論調の中に学歴取得以前の不平等を問題視する議論が見られない。

    2009/03/04

    戸田昭直(2004)『相手がわかるように教える技術』中経出版

     本書はいわゆるビジネス書の類だが、大学の教員に読んでもらいたい内容が的確にまとめられている良書である。大人を相手に講義をする上で、参考になる。

     教える前の段階では、誰に教えるか(whom)、なぜ教えるか(why)、目標は何か(goal)、の3点を確認すればよい。

     教えるプロセスでは、(1)言って聞かせる=Guidance:具体的な目標を示してやってみようという気にさせる、(2)やってみせる=Modeling:ゆっくり多様な方法で見せる、(3)やらせてみる=Roleplaying:手順を役割を示して実践的に体感させる、(4)結果を伝える=Feedback:もう一つ上の段階へ進めるか決める、(5)ほめる=Feedback:自信を持たせて努力・進歩を認める、(6)改善する=Feedback:改善点を指摘する、(7)上位目標を設定する=Followup:改善点を具体的な目標にする、の7段階を経るというが、ここはスリム化できる余地があると思われる。

     教える前のチェック
    1. 教える相手の状況・興味・期待を理解しているか
    2. 教える内容は相手にとってわかりやすいか
    3. 展開を具体的にイメージできているか
    4. 時間配分に無理はないか
    5. 資料はわかりやすく工夫されているか
    6. 利用する機材・機器の使い方に習熟しているか
    7. 教える環境(広さ・配置)を把握しているか
    8. スケジュールや場所を確認したか
    9. 配布物を確認したか
    10. 体調管理は万全か。
    教えた後のチェック
    1. 開始時に教える目的、時間配分を明確にしたか
    2. 早い段階で相手の注意を引きつけることができたか
    3. 声のトーンや大きさは相手にとって聞きやすかったか
    4. 常に体と顔を相手に向けてアイコンタクトをとったか
    5. 相手の理解度や反応を相手のボディランゲージから読み取ったか
    6. 相手の反応の変化に応じて説明方法を工夫したか
    7. 身近な事例を出して興味を持たせるようにしたか
    8. 相手の疑問や質問を積極的に聞き明確に答えたか
    9. 最後に理解できたことと残った課題を確認したか
    10. 相手からフィードバックを取り、よい点や改善すべき点を把握したか。

    2009/02/25

    三浦展(2005)『下流社会 新たな階層集団の出現』光文社新書

     本書は、独自の統計調査に基づいて、現代の社会階層の実態の説明を試みる文献である。本書の特徴は、独自調査の数値を根拠に、若い世代の価値観や消費生活を批判的に論じる点である。巷で大変売れてるとのことで読んでみたが、政策的な内容ではなく娯楽書と捉えるべきであり、残念な点も多かった。

    本書でいう下流とは、中の下を指す。物の所有から見ると絶対的に貧しいわけではないが、意欲がないために中流から落ちる人を下流という。

    下流の人間に圧倒的に不足しているのが、コミュニケーション能力である。働く・学ぶ・消費する・生活する能力も低い特徴があるが、コミュニケーション能力が低いために、恋愛がむずかしく、一人でいることを好み、仕事も消費も意欲がないという、上流との分断が生じる。

    下流は、自分らしさを求める傾向があるが、その選択によって非正規雇用となり、所得の上昇と結婚の機会を低下させ、生活満足度を落としている。自分らしさ志向が強い若者は、自分らしさにはこだわるものの、性格が内向的で、仲間が少なく、就職活動がうまくいかず、非活動的で一人でいることを好む傾向がある。

    55年時点での恋愛結婚率は約35%、75年時点で65%まで上昇する。民主化が進まないと自由恋愛ができないため、階層が中流化する過程では、恋愛結婚は理想的な形態であった。しかし、近年にかけて上流化と下流化が進むことで、階層化が進むと逆に、結婚が進まなくなり結果として晩婚化している。

    本書の論拠は独自調査のデータであるが、サンプル数等の問題があり、検討の余地がある。

    2009/02/22

    Parker, J., Duffy, J, Wood, L., Bond, B. and Hogan, M. (2005) "Academic Achievement and Emotional Intelligence: Predicting the Successful Transition from High School to University," Journal of the First-Year Experience, vol.17, no.1

     本稿は、初年次移行の成功要因を社会心理学的な調査に基づいて検討する研究である。移行の達成を初年次の学業成績(多くの研究ではGPAを用いる)80点以上、失敗を59点以下とすると、対人関係能力、適応力、ストレス管理の高い学生ほど成功する相関が見られる。こうした関係を調査した研究は既に多数あり、本稿もこの延長線上に位置づけられるものの、EQ-iショートスコアとGPAとの相関を見る点が新しい点である。

     しかしながら、学業成績と学生の感情面の相関は弱いとする研究もあり、本稿の結論から含意を得るのは早計といえる。むしろ初年次のジャーナルがあることに感心した。

    2009/02/17

    日戸浩之(2006)「少子化時代の教育ビジネスと大学経営」知的資産創造 3月号

    民間コンサルによる大学経営に関する論稿。
    • 教育産業の特徴:費用負担者の市場の分断、外部性、情報の非対称性、労働集約産業
    • 大学の事業多角化の道は2つ:(1)個客の拡大(学生→行政社会→社会人→企業)、(2)機能の拡大(教育→研究→産学連携、地域貢献付帯事業)
    学生の質が向上するように努力することが大事と指摘するが、これを意図した取り組みの例が貧弱。
    メモ
    • BSCは、財務、顧客、組織内業務プロセス、学習と成長という背反しかねない4つの管理側面を多面的にバランスよく再編すること。

    改革の心得

    J:仕事にはmust, can, willがあるらしい。willがないと仕事はおもしろくならない。
    K:willは人と人の間に生まれるもの。〜しよう、というもの。
    I:改革は仲間がいないとできない。同僚の間ではなく、まず縦の関係で作るもの。その後で同僚の関係が広がればよい。

    2009/02/15

    Swing, R. (2004) "What's So Special about Assessment in the First Year of College?," Assessment Update, vol.16 no.2, pp.1-4.

     初年次プログラムと初年次学生の形成的・総括的評価指標はどのようなものがあるのか。本稿は、こうした問題を考察している。

     従来の評価は、初年次から2年次への残存率で行っていたが、現在は学習への関与度を明確な目標に到達する学習期間で測る傾向がある。大学初日の時点を変化分の基準点にするという点は、従来と変わらない。

     learning community, first-year seminar, experiential education, critical thinkingといったジャーゴンを避けよというメッセージは重要。まして評価項目のタームとしてはナンセンス。結局、本稿の主張は評価のために具体的で明確な評価項目を立てよということであり、その開発の上で配慮すべき点を示したものである。

    2009/02/14

    すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる

    大学で学ぶべきことは、どちらか?

    Swing, R. (2004) "Tools and Techniques for Assessing the Frist College Year," Proving and Improving Voluume 2, The First-Year Experience Monograph Series no.37.

     本稿は、初年次教育プログラムの評価方法をまとめた論考である。実際の評価業務に携わる者へ向け、概念と実践的方法論をコンパクトにまとめている。

     まず、評価を行うにあたり、どの評価方法にも必ず限界があり、複数の評価方法を組み合わせる等、必ずその限界を認識しておく。次に、プログラムを評価するのか、個人を評価するのかを決める必要がある。前者は平均であるが、後者は固有の情報を持つ特徴がある。時間と費用を勘案して組織に適切な評価方法を決める必要がある。特に、個人の評価とプログラムの評価が逆方向に解釈される時は注意を要する(プログラム→個人の方向で)。

     評価には4つの方法がある。(1)Criterion Referenced:要するに、Cut scoreとかMinimum scoreによる評価であり、成果の達成水準を客観的に把握できるものの、どの実践が成果に貢献したかを特定するには非常に限定的な情報しかもたらさない。(2)Value-Added Assessment:要するにAstinのIEOモデルである。Outcome-only、Environment-only、Input-Output、Environment-Outputで評価を行う。(3)Benchmarking:ある成果が、通常期待されるような水準なのだろうか、を確かめるために、他の機関の成果と比較することを指す。基本的にIEOモデルの応用。(4)Prediction Assessment:この方法は、GPAの低迷、退学など目標の達成に向けて達成見込みの低い個人を特定する活動を指す。これもIEOモデルの応用である。

     評価でよく聞かれる定性的・定量的という意味について確認しておく。この両者の違いはデータタイプの違いであり、前者が文字の資料、後者が数値の資料を指す。質の高い評価は、必ず複数の観点から複数のデータを用いて行われている。これらを集める方法としては、(1)Institutional Record:IR部門等で収集される大学の基礎データ、(2)Student Interview:収集時間がかかるが、データの質が高く、内容に応じて個別インタビュー、グループインタビューを使い分ける、(3)Student Writing:学生のレポート・小論文・ポートフォリオを集めることで、インタビューよりはデータ数が多く集められる。(4)Survey:マークシート等による授業評価アンケートがこの方法で、入学前調査、初年次成果調査、学生総合調査(行動態度・学習スキル・満足度)、プログラム別調査、特定階層調査、成績振り分け調査・試験、授業評価等がある。

    2009/02/13

    栗田佳代子(2006)「アメリカにおけるon-line型授業評価」『大学の諸活動に関する測定指標の調査研究報告書』pp.17-28.

    本稿は、米国で先行して取組んでいるウェブによる授業評価アンケートについて言及した論稿である。

    米国で、オンライン回収を実施している大学の特徴としては、規模が小さい、宗教的ポリシー等特色のはっきりした大学である、コンピュータ関連の研究領域に強いという特徴があり、大学規模が小さいために学生および教員への周知が容易である、学生および教員が比較的等質であるために大きな変化への適応が容易である、コンピュータを使う環境に抵抗がない、という導入上の長所があるという。

    日本でも近い将来、必ず取組まれると思うが、米国の経験に基づけば、回収率を高める工夫が必要であるという。米国では、学生が授業評価の意義をよく理解しているため回収率が高い(個人的にはそうは思わないが)。また、日本の学生は一学期に履修する授業数が多く、回答の負担を軽減しなければ回収に影響が出る。米項では、回答者に抽選で賞品を出すような動機付けまでしているようである。費用面では、10年単位で見れば確実に安いので、中期計画を立てて導入すべきである。カーネギーメロンでは、紙からオンラインへの移行に3年かけたという。

    2009/02/09

    Scott, B. (2000) "Alverno College Ability-based Learning Program," in Mentkowski, M. eds. Learning that Lasts, Appendix A, Jossey-Bass, pp.415-423.

     本稿は、Alverno Collegeので開発されたカリキュラムを紹介したものである。同校が指すAbilityとは、(1)Communication、(2)Analysis、(3)Problem Solving、(4)Valuing in Decision-Making、(5)Social Interaction、(6)Global Perspectives、(7)Effective Citizenship、(8)Aesthetic Responsiveness、の8つを指す。

     Alverno Collegeでは、この8つのコア能力について、1~6の発達レベルを設定しており、それぞれ科目目標レベルの内容である。これらがどのように設定されたかはわからないが、Bloom's Taxonomyと似たようなものなので、理解できないものではない。問題はこれらを具体的な開講科目の中でどのように獲得させているかであり、その開発プロセスこそが報告されるべきであろう。

    2009/02/07

    金子元久(2008)「転換する学士課程教育の質 学生のニーズや学習行動の把握を」アルカディア学報 No.348

    適格認定制度(アクレディテーション)で保証する教育の質は、カリキュラム、施設、組織などについて大学が管理するなど、基本的にはインプットの管理にすぎない。 質の改善は大学がその組織をあげて取り組まねばならない課題であることが改めて認識される。そうした意味で、これからの大学経営の最も重要な課題は、学士課程の質的転換であるといえよう。

    Smith, K., Sheppard, S., Johnson, D. and Johnson, R. (2005) "Pedagogies of Engagement Classroom-Based Practices," Journal of Engineering Education, pp.1-15.

     本稿は、工学教育分野で学習者参加型の教育実践に関するサーベイ論文である。この中で、PBL実践に関する研究に触れた部分があり、PBLをはじめて全分野で行った大学はデンマークのAalborg大学であることが示されている。本稿におけるPBLの位置づけは、Pedagogies of Engagementの中に、Cooperative LearningとPBLがあるという前提で書かれている。  医学教育ではPBLが効果的な教授法であることを示した研究がある一方、工学教育ではそれほどの効果がないという研究がある。この点については、医学教育では7~10人の学生グループに専属のテュータがついて指導するが、工学教育では3~4人の学生グループで課題に取組み、専属のテュータがいないという環境要因が大きいと指摘されている。

    2009/02/01

    トップ選出の心得

    トップに選ばれる者は、選出されたいという体裁を気にしてはいけない。 自分がやると思うのであれば、何があってもやりたいことを示すべき。 なぜならトップに選ばれた後の1,2年は批判しかされないから。 選挙でトップを選ぶ組織ならではの考え方。

    2009/01/27

    EUA (2005) Lessons Learned from the Institutional Evaluation Programme

    An audit is an externally driven peer review of internal quality-assurance, assessment, and improvement systems.
    Unlike assessment, an audit does not evaluate quality: it focuses on the processes that are believed to produce quality and the methods by which academics assure themselves that quality has been attained. 
    Unlike accreditation, it does not determine whether an institution or a programme meets threshold quality criteria and, therefore, certifies to the public the existence of minimum educational standards. 
    Audits do not address academic standards, or determine the quality of teaching and learning outcomes, but evaluate how an institution satisfies itself that its chosen standards are being achieved.

    丸山文裕(2008)「デンマーク高等教育の資金配分 タクシーメーター制の導入」アルカディア学報No.339

    • 現在の大学は8つ、再編統合を繰り返して現在の数字に至る、統合の理由は、財務経営の効率化というより、教育研究の国際競争力の強化
    • 自国学生およびEU出身学生は学費無料、それ以外の外国人学生に対しては、授業料を2006年から徴収
    • 高等教育進学率は約50%
    • デンマークでは各課程の退学率が、長い間問題で、2000年時に中期(学士)課程で40%以上、その他の課程でも30%以上の学生が退学する。そこで学士号が、修士課程退学者に何らかの資格を付与しようと便宜上の理由で設置される。しかし分野によっては、学士号を持った卒業生の就職が好調で、学士号を付与する中期課程の存在が大きい。また大学の意向に反して、そこでの学生数の伸びが最も高い。
    • 質保証に関する国立センターを1992年に設立し、高等教育システムの監視、最低基準の保証、教育課程の改善勧告を行ってきた。1999年からはデンマーク評価機構が、評価とともに、評価情報の管理、国内外の評価情報収集を行っている。
    • 教育についての評価は、教育改善が目的で、イギリスのように評価結果と資源配分の直接の関連はない。
    • 以前は、学長は教授の選挙で選ばれ、最高の議決機関は、学長、教職員、学生という学内者で構成される評議会であった。しかし大学の最高決定機関として、理事会が設置され、理事会には外部識者が中心となり、教職員学生代表も加わる。理事会は学長を任命し、学長は学部長を任命する。
    • 大学は政府に対して3~4年の戦略的目標を達成する契約を交わす。目標の内容は、教育、研究、社会貢献などである。大学は毎年、業績について政府に報告する。これは単なる資源の消費状況報告ではなく、目標と結果の管理を強調したものである。

    2009/01/26

    吉田香奈(2005)「高等教育機関の財政経営と管理:アイルランド」国立大学財務・経営センター『大学経営危機への対処』

    • アイルランドには14の技術インスティテュートと7つの大学がある
    • すべての大学は独立した理事会によって管理される
    • 大学は1969年に創設された高等教育庁を通じて資金の交付を受け、また、技術インスティテュートとその他のカレッジは教育科学省から直接に資金を交付されている
    • 高等教育庁は教育科学省や政府に対して高等教育全般に関する助言を行う独立法人(independent statutory body)であり、大学への国の資金交付と計画を策定する緩衝装置として機能
    • 高等教育の需要と必要性、高等教育の機会均等の促進、大学の戦略的計画の点検、大学の品質保証の手続きの点検、大学の機会均等策とその実施に関する点検を行う
    • 高等教育庁は毎年ブロックグラント方式で基盤的な経常費を配分しており、これは教育と基礎研究をカバー
    • 大学に対する基盤的な経常費の配分は算定式に基づくユニットコスト方式をとっており、算定式に用いられるデータは大学の監査済みの財務諸表と認定された在学者数である。

    2009/01/25

    北川文美(2005)「高等教育機関の財政経営と管理:イングランド」国立大学財務・経営センター『大学経営危機への対処』

    • イングランドには131の高等教育機関があり、そのうちわけは、大学が77、総合高等教育カレッジが14、専門的高等教育カレッジが40である。
    • 学部の年間授業料は、上限1100ポンドフルタイムの学生のうち43%は学費を全額免除、16%は部分的に学費を負担、41%が学費の上限額を納入(2001-2002年)、留学生に対しては学費を自由に設定可能
    • 政府は高等教育機関と直接の関係は有さず、中間的機関であるHEFCEに対し政策目標を設定し、資金を提供する。
    • HEFCEは政府から切り離された公的組織で、その役割は、(1)大臣やその他関係機関から提供された教育と研究の実施のための資金の管理、(2)イングランドの高等教育の資金的ニーズに関して大臣に助言を与える、(3)HEFCEから資金を受ける高等教育機関と継続教育カレッジにおける教育の質の評価のための対策を保証する
    • 質の評価はQAAが行う。2001年までに、科目レベルにおける総合的なレビュープログラムが行われ、イングランドのすべての高等教育機関におけるすべての主要な科目はカバーされた。今はより軽いアプローチに移行中。
    管理と運営
    • 高等教育機関の長としての役職。名称は、歴史や伝統を反映し、各高等教育機関の間で異なる。呼び方はPrincipal, director, vice-chancellor, master, provost, rectorもしくは単に最高責任者(chief executive)であることもある。
    • 運営責任グループ 通常、高等教育機関の長と、学事・行政的機能に責任を持つシニア・マネジャーからなる。

    2009/01/14

    調査の心得

    仮説を持たずに、単にデータを得るためだけに、質問紙調査を行ってはいけない。 残念ながら大型研究費でもそうしたただの調査と調査報告が行われている。

    2009/01/13

    天野郁夫「見直し論高まる大学設置基準「事後チェック」確立が重要、適正評価へ制度充実を」

    設置基準の自由化は、一般教育過程の解体と教養教育衰弱、新名称学部の族生と安易な学部学科の新設再編、教員資格基準の緩和に伴う非アカデミック実務家教員の増加、単位認定・編入制など他の高等教育機関との曖昧化、などの教育研究の質低下を危惧させる変化をもたらし始めた。 しかし、設置基準緩和は、事前規制から事後チェックへの制作の大転換の一環であり、大学の活性化と開放化を目的に主体的に選択されたもの。想定外の事態も当然予測されていたはず。十分な資源投入をせずに大転換を拙速に進めた甘さを反省すべきである。 認証評価制度などの事後チェックシステムは、まだ慣らし運転期間であり、質保証装置として適切に機能するにはまだ課題が多い。その一つに、変革の主要アクターである大学と大学人による、大学と大学人を超えた組織や団体によるネットワークである。

    2009/01/10

    藤本隆宏他(2005)『経営学研究法』

    尺度と統計処理
    • 名義尺度(nominal scale):Yes/Noの2項目選択回答、多項目選択回答(単一、複数回答)のこと、度数と最頻値はOK、加減乗除はNG
    • 順序尺度(ordinal scale):リカート尺度(非常に好き、好き…に-2,-1が対応するもの)、強制順位付け(1位から順位を振る)、多段階カテゴリー尺度(非常に好き、好きを言葉で表したもの)、中央値、累積度数(パーセンタイル)、順位相関はOK、平均等はNG
    • 間隔尺度(interval scale):極カテゴリー尺度(両端のみに非常に賛成=5,非常に反対=1、その間は単に2,3,4)、等間隔の区分(月に0~4回、5~9回、10~14回、…、で具体的な数字をきく)、平均、標準偏差、相関、回帰、判別、因子がOK
    • 比率尺度(ratio scale):上に加えて、幾何平均もOK
    相加平均(算術平均):(x1+…+xn)/n 相乗平均(幾何平均):^n√x1…xn 統計データ分析から言えること言えないこと
    1. 回帰分析が直接示すのは測定指標の間の相関関係で、真の因果関係ではない
    2. 回帰係数で相関関係が推定されてもX→Yという因果関係は保証されない。Y→X、両者に影響するZの存在を消していく必要がある
    3. 統計量の有意性についてなにかしらいうには、少なくとも30サンプルほしい
    4. 多重共線性の有無をチェックすること
    5. 回帰式の残差項を変数に対してプロットした散布図をよく眺め、推定式が改善できないか考えること
    6. 仮説なしに回帰分析の結果を事後解釈するのは邪道

    2009/01/09

    荒井一博(2007)『学歴社会の法則』光文社新書

    人的資本論とシグナリング理論の相対的重要性は教育タイプと雇用制度で異なる。
    • 基礎教育(義務教育)ほど人的資本論機能が有効
    • 理科的教育・職業ほど、人的資本論が有効(経済学の学習が生産能力を高めるかは疑問?)
    • 採用決定者が責任回避的なほどシグナルが有効
    • 採用後の企業内訓練が学歴によって明確に区分されているほどシグナルが有効
    • 経済や技術が高度化・複雑化するほど人的資本が有効
    • ネットワーク価値が高いほどシグナルが有効
    女性教育の便益を議論するときは、子供に発生する便益も考慮すると、将来十分な収益となる。 学校選択制では、需用者側に自由意志があるが、供給者側に自由意志がないために、市場として機能しない。 よって、需要の増大はそれ以前の品質を維持することを困難にする。実際は、超過需要に対して抽選を行っている。これには合理性が全くないため、議論が不可能になる。 選択制で選ばれた学校により教員が配置されることで、組織として以前と同等の教育ができなくなる可能性がある。 バウチャー制度支持者は、私立校の生徒選抜機能温存を求める。すると、同制度は子供を有名私立に通わせる富裕層に有利となる。貧困家庭の子供が学力を高めることは容易でないから(?)。これで、公立校の生徒が被害者になる(公立校の雰囲気や教育力が落ちるから)。 バウチャーで完全な学校選択が可能になると、学校と地域の関係が希薄になる。 いじめの加害者の心理特性は、
    • 力に対する欲求が強い
    • 周囲に対するある種の敵意を持っていて、他社を傷付けることで感情や衝動を満足させる
    • 私利追求の程度が強い
    いじめの防止法は
    • いじめネットワークに参加する便益を小さくする(断固たる態度を取ることをアナウンスする)
    • ネットワークに参加する費用を高くする(いじめが悪であることを明確に説く)
    • ネットワークを破壊する(参加者に個別に働きかける)
    教育は教員の与える熱意と学生の示す尊敬があって成立し、一方が欠ければ成立しない。 不的確教員の排除も大事だが、自主・自律以外に、学校では勉学意欲や公共心に欠ける生徒がふさわしくないことを明確に教えることの方が重要。 高等教育の最大の便益は、専門分野における体系的思考を獲得すること。体系的思考ができれば、矛盾したことや的外れな発言や行動が少なくなる。

    2009/01/08

    伊東乾(2008)『バカと東大は使いよう』朝日新書

    ハーバード大学を卒業した西洋古典学の久保正彰教授は、寮生活で得られる最も重要な経験として「書かれざる法」が身につくことを挙げている。本当に重要なルールである書かれざる法は、共同生活をしない限り、なかなか身につけられないという。 現在の日本の大学で生活習慣や社会規範を学ぶのは、運動部かもしれないし、バイト先かもしれないが、生活全体を共有する場はない。 教養とは何かをハーバード内で議論したら、喋ることとと食べることだった。食べ方と喋り方を見れば、教養のほとんどがわかる。 官学の研究教育改革の政策立案を担当した最終結論は、精神構造の改革なき機構改革は無意味。 逆に、目に見える機構改革などなくとも、精神構造や意識の改革さえ徹底していれば、学術や教育は十分に建設的な未来を展望することができる。 教授会には全権が付与されている。近代国家の権力分散は、三権分立・議会民主制が基本。大学は今でも教授会という唯一の意志決定機関しか持たず、パワーバランスを調整する機構を欠いている。まさに、旧体制。 日本の大学よ、そしてあらゆる学校よ、あなたたちは最先端科学をはじめとする最先端の学術を教授すると称しているが、大学での教えが教師の意に反して、あるいは教師の知らぬ間に悪用された場合、どのように考えるのか?さぞ迷惑でもあろうが、その場合は教師が具体的に責任を負うのか?もし詭弁家ゴルギアスのように無責任を決め込むなら、あなた方にアカデミーを名乗る資格はない。ソフィスト詭弁塾とでも名乗るがよい。あるいは、そのようなことが起こらないように事前に十分な教育を施すのか? リベラルアーツが決定的に普及したのは、カロリング朝・西ローマ帝国のカール大帝が、現在のドイツ西部アーヘンに設立した宮廷学校で講じられた自由七科による。自由七科は、文法、修辞、弁論(語学系3学科)と算術、幾何、天文、音楽(理数系4学科)からなる。これは、官吏養成システムとして機能した。租税を徴収し、聖歌を強要し、統治のために演説を行った。算術は税の計算、幾何は耕地面積の測量、天文は日付と時間を定めるために必要だった。 8世紀の自由七科は、12世紀の中世大学の設立時には形骸化して、読み書きそろばんの役割になっていた。それより上位の、法学、医学、神学が上の学問となっていて、これは自由七科を学ばないと専門学部に進めない。上の過程ではマスターとドクターが授けられるが、これは大学の成立以前から有力な修道院で行われていたもの。ユニバーシティは、キリスト教的な単一の観点から、多様な宇宙論を統一するものとして成立した。ユニバーシティとは一種の宗教ギルドである。 ユニバーシティが中世スコラ学以来の神学的世界観に基づいた統一的な学問体系であるのに対し、宗教支配を離れ科学的世界観に基づいた多様な学問の集合がポリテクニークである。日本の官学(東京大学)はポリテクニークとして始まったと考えてもよい。冠を持たないポリテクニークは、個別専門の行き過ぎに待ったをかける倫理的な歯止めを持たない。日本の官学は、富国強兵・殖産興業市場の個別専門集団として出発してしまった。 近代大学は、自分自身で力の行使に価値判断が下せる倫理=戦略の頭を持たなければならない。 古代ギリシャから現代の学術誌を俯瞰すると、冠の脱着を繰り返してきた歴史であることがわかる。それには常に、戦争と地域世界の拡大再編成が関係している。 現代は質・量ともに膨大な知識と力を手にしている。わずか100年程度の日本の官学の歴史は、発展という甘い誘惑に負けて暴走しないためにも、自らを縛る戦略、倫理のくさびとなる憲法を持たなければならないだろう。力の自己制御が、現代の大学に課された課題である。

    2009/01/07

    酒井穣(2008)『あたらしい戦略の教科書』ディスカヴァートェンティワン

     戦略を解説した本としては、初学者でもわかりやすく、本質的な知識が得られる本。カーナビに例える説明がわかりやすい。
    • 全ての問題の原因は、必ず過去にある。将来の問題は、今の自分の判断にあるという視点を持たないと、いつまでも同じ問題に悩まされる。
    • 戦略とは現在地と目的地を結ぶルートである。そして、(1)現在地は常に変化し、(2)目的地は現在地ほど頻繁に変化せず、(3)ルートは現在地に応じて変化する
    • 現在地は客観的な事実でできており、目的地は、現在地に依拠した不確実な未来であり、幅のある未来である。
    • 目的地はイベントによって思いがけず変化することがあり、目的地によって確認すべき現在地の内容や優先順位が変わるため、目的地によって戦略を考える難易度は変わる。
    • 戦略は時間とともに成長し、立ったばかりの戦略は頼りなく見えて当然。新しく得られた現在地情報によって戦略は成長する。
    • 議論を尽くすことは不可能と思うこと。
    • 危機感を希望を失わない態度を持った人材を、戦略策定メンバーに選ぶ。
    • 将来の読みにくさが高まるほど、戦略を立てることが難しくなる。そこで、(1)なるべく近い未来を予想する(3年)、(2)未来を自らの手で作り出す(新製品投入=シェアNo1)、(3)現状から未来を予測する(現在の赤ちゃん数=将来の労働力人口)
    • ライバルとの勝負は、情報力の格差を持つことが重要で、これが戦略の難易度の格差となる。
    • (1)顧客が求めること、(2)競合にできること、(3)自社にできることのうち、1と3の和集合から3つの和集合を引いた部分がスイートスポット(=顧客に対して自社にしか提供できない価値)、戦略は、SSをいかに活用するか(攻める戦略)、いかに維持するか(守る戦略)、いかに広げるか(成長戦略)の3つに絞って議論する。
    • 顧客の情報こそ集める情報、競合情報を集めても戦略につながらない、競合と競うのはどちらがより顧客を理解しているかを競うこと。
    • 情報は商品であり、同僚であっても無料で手に入るものではない。そこで、(1)ドライ情報をできる限りたくさん集める、(2)ドライ情報をベースにしたインタビューで相手にとっての重要な問題や気づきを引き出す、(3)自らウェット情報を発信する。
    • 情報分析の基本は、(1)情報の異常値に注目する(標準的な値を知っておく)、(2)ドライ情報とウェット情報の食い違いに注目する(ドライが間違い=貴重な情報、ウェットが間違い=自社の危険)、(3)複数の情報源に当たって情報の信頼性を常に疑う、(4)人間を観察する(顧客自身が気づいていない欲求を観察で見つけ出す)、(5)1:29:300の法則(大きなトラブルは突然起こらない、悪い情報は早く入手する)、(6)6収集したら4分析する、タイミングを逃さない、(7)定性情報を忘れない
    • 優れた目標とは、第1にそこにいる人々のモチベーションを有効に高めることができる
    • 優れた目標の条件は、(1)リーダーが設定した目標であること、(2)3年程度の期間で達成したい目標であること、(3)背伸びをすればぎりぎり届く高さの目標であること、(4)測定できる目標であること、(5)利他性のスパイスが入っていること
    • 戦略とはコミュニケーションを活性化させるための道具
    • 戦略の立案を密室で行うことはタブー
    • ブレイクスルーとは、それまでトレードオフと思われていたことを、これまでにないアイディアで一発で解消する行為。
    • 戦略では、まずクイックウィンのテストケースを走らせてチェックする。
    • やめるべきことを常に探すことが、戦略の基本
    • バックアップシナリオを用意しておく
    • 戦略を関係者に売り込むキャッチコピーが必要、(1)組織の部門を超えて集中すべきポイントが明確になっている、(2)構成員が自分の行動が正しいものであるかを判断する基準になっている、(3)具体的な方向性を示しながら、そこから先の判断を現場に任せるものになっている、がポイント。
    • 組織には、自己主張が強い⇔弱い、感情が表に出る⇔出ないを掛けて、自由奔放タイプ(プロモーター)、専制君主タイプ(コントローラー)、縁の下の力持ちタイプ(サポーター)、求道者タイプ(アナライザー)の4タイプを考えるとわかりやすい、タイプに合わせて戦略を伝える(説得する)
    • 臆病なトップには、今、○○、これから○○するつもり、と簡素に報告だけする、ワンマンなトップには、トップの口から戦略やアイディアを発言させる。誰がトップかわからない時は、有力者へ根回しをする。
    • 人間の正義感とは、自らが十分に世間に認められていないという不遇感を埋め合わせるために発露することが多い。情熱は、実際の行動や態度で示すこと(イルカの調教の例)。
    • 優しい空気をつくるには、笑う、ほんわかした雰囲気の人を取り入れる、傾聴する
    • 戦略で対立したときは、反対派を決して遠ざけないこと、反対派の中の最も声の大きい人を個別に説得するか、それ以外の取り巻きを個別に説得してその人を孤立させること
    • 戦略実行中のアドバイスは最小限、たとえて企画でもアドバイスはまず採用されない、そのために、非公式のブリーフィングを行うこと、また、割り振りは立候補で行い、進行状況をマラソンに例えて何キロ地点かを聞く

    2009/01/06

    酒井穣(2008)『はじめての課長の教科書』ディスカヴァートェンティワン

    • 課長の仕事で最も大事な仕事は、部下のモチベーションを管理すること。そのためには、部下一人一人を徹底的に熟知すること。
    • 会社組織の基本はピラミッド型で、経営者は戦略の策定と実施、中間管理職は例外の処理、末端社員はルーティンワークを行うのがそれぞれの担当。
    • 中間管理職は、現場からの重要な情報を引き上げ、経営者が描くビジョンにつなげるために知恵を絞る。これがミドルアップダウンの仕事。
    • 部下の失敗は課長の失敗。課長は、部下を守ることが仕事。
    • ほめるときは人前でほめる、しかるときは人陰でしかる。しかり方は、事実関係を確認する、問題に至った原因を究明させる、部下が気づかなければ直接原因を伝えてしかる、感情のフォローアップをする、の4フェーズで行う
    • 予算管理の数値目標はどううまくやっても形骸化する。経営層は企業の成長と人事評価がリンクしている、課長は予算達成と人事評価がリンクしている、両者の利害のポイントが違うので調整が必ず難航する。
    • 政治とは、権力に関係し、利害が対立する場所で自分に有利な結果を生み出すことを言う。政治力は課長が持つべき力。政治力を付けるには、(1)キーマンを知り、その権力範囲を知る、(2)自らがキーマンにとって有用な人材になる、(3)至る所で政敵をほめる、を行う。
    • 能力の低い社員でもできる仕事を見つけて与えることが課長の仕事、エースは自由にしておく方がよい。
    • 誰かに監視されていたら決してやらないことは、はじめからしない。
    • 昇進させる部下は本物を昇進させる。本物は、会社全体の利害を考えて会社を成長させることができる人物を言う。本物が生意気な場合は、協調性を教えるのも課長の仕事。
    • テレビより本を読むと伸びる理由は、他人が文章に圧縮した情報を脳内で解凍して再生する能力(想像力)が鍛えられるから。

    2009/01/05

    鹿島茂(2003)『勝つための論文の書き方』文春新書

    本書は、フランス文学者が卒業論文レベルの論文作成指導を示したものである。冒頭は構成が明確でわかりやすいが、資料の収集から論文構成までは、文学の題材が中心で、必ずしも容易に理解できるものではない。
    • 論文に絶対になければならないものは、問い。自ら問いを立てるものが論文、教員が問いを立てて学生に書かせるものがレポート。論文には問いのオリジナリティーが求められる。
    • 独創的論文には、(1)いままで多くの人が問題を立てながら未解決の問題(宇宙のはじまりはいつか)、(2)いままで誰も立てたことのない問題の2つしかない。
    • 問いは、比較の対象がなければ生まれない。問題を立てるには、比較のフィールドを広げることが必要。論文指導は、それを支援すること。
    • 問いは、(1)時間軸で移動する比較(歴史的方法)と、(2)領域軸で移動する方法の2つか、その組み合わせで見つける。
    • 他分野からの類推から構造的な把握をする。
    • ホリプロの25%ルール:流行が去ったときのために、常に書けるテーマを4つくらい用意しておく
    • 論文を書くときは、紀要論文を当たると、同じようなテーマに取り組んだ論文がみつかりやすい。
    • つまらない論文を読むことは、それは違うだろう、という気持ちが高まって、逆に自分の考えがすっきりまとまるために使う。
    • 資料を集めるときは、コーパス(資料体)の大きさに気をつける。
    • 資料を一通り集めてまとめたら、図式化・公式化する。
    • 論文は序論、本論、結論を1:8.5:0.5で書く。
    • 序論では、読者を呼び込み、読者を驚かし、問いの正当化(根拠付け)を行い、プログラムと方法を説明する。
    • 本論は大クエスチョンを小クエスチョンに分割し、(1)連鎖的三章構成、(2)並列的三章構成、(3)弁証法的三章構成のどれかで書く。
    • 前提を崩すには、相手のファクトを観察する(?未消化)
    • 結論は短く単純に書く
    詳細は読まなくとも、大まかな考え方を知るために、初年次生がざっと読むにはいい本だろう。

    2009/01/04

    館昭(2007)「大学の評価と質の保証」『改めて「大学制度とは何か」を問う』東信堂

    • 国際的な評価組織の連合体、International Network for Quality Assurance Agencies in Higher Education、高等教育品質保証機関国際ネットワーク
    • ここでは、評価の焦点は質の保証、それも教育面の保証。
    • 研究は教育とは別に資金配分の文脈で行われており、適格認定とは別の評価法を開発する必要がある。
    • 日本の認証評価は、大学の活動全てを適格認定するような、無理のある理解がされている。
    • アメリカの地域協会の適格認定は、大学の運営の正直さの確認、職業系は分野別の適格認定評価の結果を活用。

    2009/01/03

    苅谷剛彦・山口二郎(2008)『格差社会と教育改革』岩波ブックレットNo.726

    >
    • 格差:英語ではInequality=不平等、格差の問題には社会正義の問題ともかかわる。
    • 政策議論を読むときに医療に例える:診断と処方は適切か、ふさわしい処方か、医者の腕前は確かか?
    • 再生会議の議論は、ポジティブリストを並べる一方で、資源配分の議論をせずに、競争と評価を導入するもの
    • ポジティブリストの弊害は、自分たちがコストを負担するということを考えていないこと
    • PISA数学学力:平均点が落ちたことよりも、学力の低い層が一層落ちたことの方が深刻
    教育改革の議論は、ここまでできていればいい、という発想の転換が必要と述べている。

    2009/01/02

    本間正人・松瀬理保(2006)『コーチング入門』日経文庫

    コーチングとは、信、認、任に集約される。
    • 信とは、人間の無限の可能性を信じることと、上司部下の間に信頼関係を築くこと
    • 認とは、相手の良いところをみて心にとめること、
    • 任とは、適材適所の役割を割り振り、実力のあった目標を設定して任せること
    コーチングに必要なスキルは、傾聴、質問、承認。 傾聴のポイントは、環境を整える(座り方)、受け止める言葉を使う、繰り返し・あいづち・うなずきを行う、結論を急がない、心を込める。 質問のポイントは、答えはクライアントが持っている、7つの質問をする、ヒーローインタビューをする。 7つの質問は、
    • Yes/Noで尋ねる質問(事実の確認、意志を明らかにする)
    • Yesを引き出す、念押し・確認の質問(最後に合意事項を確認する、責任の自覚を促す、許可を取る)
    • Noを引き出す質問(極端な質問で自尊心やプライドに働きかける)
    • 自由回答で意見を尋ねる質問(アイディアを引き出す、リストスリー)
    • 自由回答で事実を尋ねる質問(5W1H)
    • 選択肢を選ぶ質問(考えやすくする・助け船を出す)
    • 数字で答える質問(程度の違いを数字で表す)
    承認のポイントは、プラスリストを作る(美点凝視) コーチングでは、Goals(目標の明確化)、Reality(現状の把握)、Resource(資源の発見)、Options(選択肢の創造)、Will(意思の確認、計画の策定)のアプローチがある。

    2009/01/01

    2009年の目標

    2008年は、だいぶインプットを怠ってしまった。インプットを怠らず、インプットを自らの血肉とするために、インプットの記録を行いたいと思う。
    今年は、
    • 時間を小さく区切って作業に集中する
    • ゆっくり話をする
    • 体を鍛える
    • 笑顔で過ごす
    を忘れない。