2009/01/05

鹿島茂(2003)『勝つための論文の書き方』文春新書

本書は、フランス文学者が卒業論文レベルの論文作成指導を示したものである。冒頭は構成が明確でわかりやすいが、資料の収集から論文構成までは、文学の題材が中心で、必ずしも容易に理解できるものではない。
  • 論文に絶対になければならないものは、問い。自ら問いを立てるものが論文、教員が問いを立てて学生に書かせるものがレポート。論文には問いのオリジナリティーが求められる。
  • 独創的論文には、(1)いままで多くの人が問題を立てながら未解決の問題(宇宙のはじまりはいつか)、(2)いままで誰も立てたことのない問題の2つしかない。
  • 問いは、比較の対象がなければ生まれない。問題を立てるには、比較のフィールドを広げることが必要。論文指導は、それを支援すること。
  • 問いは、(1)時間軸で移動する比較(歴史的方法)と、(2)領域軸で移動する方法の2つか、その組み合わせで見つける。
  • 他分野からの類推から構造的な把握をする。
  • ホリプロの25%ルール:流行が去ったときのために、常に書けるテーマを4つくらい用意しておく
  • 論文を書くときは、紀要論文を当たると、同じようなテーマに取り組んだ論文がみつかりやすい。
  • つまらない論文を読むことは、それは違うだろう、という気持ちが高まって、逆に自分の考えがすっきりまとまるために使う。
  • 資料を集めるときは、コーパス(資料体)の大きさに気をつける。
  • 資料を一通り集めてまとめたら、図式化・公式化する。
  • 論文は序論、本論、結論を1:8.5:0.5で書く。
  • 序論では、読者を呼び込み、読者を驚かし、問いの正当化(根拠付け)を行い、プログラムと方法を説明する。
  • 本論は大クエスチョンを小クエスチョンに分割し、(1)連鎖的三章構成、(2)並列的三章構成、(3)弁証法的三章構成のどれかで書く。
  • 前提を崩すには、相手のファクトを観察する(?未消化)
  • 結論は短く単純に書く
詳細は読まなくとも、大まかな考え方を知るために、初年次生がざっと読むにはいい本だろう。