本書は、独自の統計調査に基づいて、現代の社会階層の実態の説明を試みる文献である。本書の特徴は、独自調査の数値を根拠に、若い世代の価値観や消費生活を批判的に論じる点である。巷で大変売れてるとのことで読んでみたが、政策的な内容ではなく娯楽書と捉えるべきであり、残念な点も多かった。
本書でいう下流とは、中の下を指す。物の所有から見ると絶対的に貧しいわけではないが、意欲がないために中流から落ちる人を下流という。
下流の人間に圧倒的に不足しているのが、コミュニケーション能力である。働く・学ぶ・消費する・生活する能力も低い特徴があるが、コミュニケーション能力が低いために、恋愛がむずかしく、一人でいることを好み、仕事も消費も意欲がないという、上流との分断が生じる。
下流は、自分らしさを求める傾向があるが、その選択によって非正規雇用となり、所得の上昇と結婚の機会を低下させ、生活満足度を落としている。自分らしさ志向が強い若者は、自分らしさにはこだわるものの、性格が内向的で、仲間が少なく、就職活動がうまくいかず、非活動的で一人でいることを好む傾向がある。
55年時点での恋愛結婚率は約35%、75年時点で65%まで上昇する。民主化が進まないと自由恋愛ができないため、階層が中流化する過程では、恋愛結婚は理想的な形態であった。しかし、近年にかけて上流化と下流化が進むことで、階層化が進むと逆に、結婚が進まなくなり結果として晩婚化している。
本書の論拠は独自調査のデータであるが、サンプル数等の問題があり、検討の余地がある。