2009/08/26

諸葛正弥(2009)『フィンランド教育 成功のメソッド』マイコミ新書

 本書は、学習塾での指導経験を持つ筆者が、自身の実践してきた教育方法を、フィンランドでの教育を傍証にしながら正当化することを論じたエッセイである。タイトルからフィンランド教育について述べられていると連想するが、主題は著者の職業体験談であり、注意を要する。

以下、気づいた点のメモ。
  • フィンランドで重視している読み聞かせでは、聞く側は本を持たず手ぶらで聞くだけに集中する。
  • 日本はインプット(暗記)の教育、フィンランドはアウトプット(表現)の教育。
  • 大人が自ら学ぶ姿を見せることが大切。日本では大人にこそ教育が必要。
  • 欲求段階説は「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」という仮定の下に成り立っている。
  • 他人に求めずに他人の聞く力を育てる方法は、自分の行動を変えることで他人に影響を及ぼす方法。まず自ら聴くことを実践し、周囲に聴く行為が定着する環境を作る。
  • ゆとり教育がだめだったのではなく、それを扱う大人が処方を間違えただけ。
 本書で紹介されるフィンランドメソッドであるが、カルタはマインドマップ、トレーニング部分は戦略策定など、多くのビジネスマンにとって既知のものが多い。ただし、トレーニングは、初年次教育の教材になるかもしれない。あえて本書の価値をあげると、「まず行動すること」から得られるメリットを、著者自身が行動して出版し表現したことで、現実に提示した点であろうか。