- NPM型大学政策=専門職ロジックに説明責任を持ち込んだ
- 各教員はどう対応しているのか?:主に4つの反応(遵守、反抗、取捨選択、細分化)で対応していることを示す
- 各教員の対応はとても多様かつ微妙、しかも意図的でなく即興・偶然・非一貫性もある
- 説明責任ロジックの問題点も示す(授業アンケート重視が教育に悪影響)
- 説明責任政策は大学をどう変えるか?
- 業績主義は学内に仲間意識よりも競争意識を高める(フィンランド)
- ジャーナルランキングが創造性を阻害して、安全な研究を量産する
- 学生アンケートは全大学で行っているのに、国レベルでの活用はされない
- 制度ロジックとは:組織の現実をどのように解釈するか、何が適切な行動を構成するか、どのように成功するかに関する暗黙的な前提や価値の集合(Thornton 2004)
- 制度的論理は、組織や個人が意味を理解し、社会的に正当化された方法で行動することを助ける、歴史的に偶発的な、当然とされる信念と実践の蓄積を指す
- これへの対応の類型がある:黙認、妥協、回避、反抗、操作(Oliver 1991)
- 競合する制度ロジックに対する個人の反応は5つある
- 無知:意図的な抵抗をしない、無反応
- コンプライアンス:一方の論理に反しても、もう一方の論理に従う
- 反抗:意識的に抵抗する(攻撃、除去もする)
- 組み合わせ:ロジックの価値観は規範の一部を混ぜる
- 細分化:両方のロジックに精通してるなら、選択的に遵守や拒否をする
- ケーススタディ:あるビジネススクール
- 企業化を経験:高学費留学生獲得、国際誌論文掲載、起業家学長任命、授業満足度調査重視
- なのに、個人の自律性、協議、合議ガバナンスを保持
- 外部者からは、伝統的な専門家ロジックに固執している印象
- 教員14名のインタビュー、8名が教育研究職(phd教員)、6名は教育職(実務家教員)、主題分析
- 教育をどう行うか?
- 教員は探究させたい、答えの出ない問いに取り組みたい
- ⇔ 答えが明確なほど、受動的に参加できるほど、学生の評価が上がる
- 実務家教員は学生に共感しやすい
- 学生も自分は顧客と思っている
- 信念と矛盾する要求にどう対応したか?
- コンプライアンスとサブカテゴリ:強制、内在化、消耗、道具的コンプライアンス
- 教員は専門職ロジックの価値観に忠実→説明責任には「圧力に屈した」
- 微妙な差異:ミスを録音し直す←苦情はないが、学生が不満に思うのでは?という圧力を感じた
- 試験を易しくして合格させる対応と、合格率を低いままにする対応
- 対応に多様性がある←なぜここまで個人ごとに対応が多様なのか?
- (1)説明責任文化に共感している=遵守傾向⇔共感しない人=反抗傾向
- (2)組織内外の個人の地位:研究力高い・他大学移籍可能=反抗傾向
2023/02/27
Gebreiter, F. & Hidayah, N. (2019) Individual responses to competing accountability pressures in hybrid organisations: The case of an English business school, Accounting, Auditing & Accountability Journal, 32(3), 727-249
2023/02/26
DiMaggio, P. (1997) Culture and Cognition, Annual Review of Sociology, 23, 263-287
- 文化の分析単位はどう定めればよいか?
- 教育、収入、居住地、社会階層などになる?
- 潜在変数(一貫性がある)ではなく、心理的な前提を知る必要がある
- 文化と認知プロセスの関連性
- 共有されたシンボルが共通のアイデンティティの感覚を呼び起こす仮定
- 特定のフレームが人々に新しい方法で社会問題について考えるように促すと仮定
- 空間と時間の構造について学んだ学校が職場に一般化されていると仮定
- 調査が階級意識を測定できると仮定など
- 人は社会化を通じて文化を獲得するとは限らない
- 人は自分の信念や表現における安定性と一貫性の源を探す
- まず、あるアイデアやイメージを他のものよりもアクセスしやすくする図式的な組織化に向ける
- 次に、物理的・社会的環境に埋め込まれた手がかりに向ける
- スキーマを文化の研究のための分析の基本単位として扱える
- スキーマの獲得、拡散、修正の社会的パターンに焦点を当てることが有用かも
- スキーマ=知識と情報処理システムの表現、かつ、認知を単純化するメカニズム
- →制度論社会学との類似性高い(エージェンシーの有効性のmicrofoundationになる)
- 文化自体は情報にもスキーマにも存在しない
- →人はどのようにある状況下で多くのスキーマから1つを選ぶのか?→外部刺激やフレーム(社会調査のフレーミング効果)
- 制度ロジック=スキーマと社会構造を接続する試み
- ロジック=複雑な文化構造←スキーマがどのように集約されるのかを理解すること
- 文化が実践に与える影響についての説明は、認知における文化の役割についての仮定にかかっている
2023/02/25
Yuzhuo Cai & Nicola Mountford (2022) Institutional logics analysis in higher education research, Studies in Higher Education, 47:8, 1627-1651
- 制度ロジック
- 当初定義:キリスト教圏の個人に内在する矛盾した実践と信念が、政治的な場における個人の行動をどのように形成するか(Alford & Friesland 1985)→5ロジック:官僚制、資本主義、核家族、民主主義、宗教
- 次の定義:個人が実生活を生み出し、時間と空間を組織し、社会的現実に意味を与えることにより、個人の具体的な行動、仮定、価値観、信念に関する社会的に構築された歴史的なパターン (Thornton & Ocasio 1999)→6ロジック:国家、市場、家族、宗教、職業、企業
- →コミュニティをいれた7ロジック(Thornton, Ocasio, & Lounsbury 2012)
- 制度ロジックを使った高等教育研究
- 当初は新制度論中心(同型化プロセス)
- 大学は専門職組織でありながら、複数の制度的論理を含み、相互に競合する複雑な制度システム
- 制度ロジックの混乱の源=体系的に分析できていない
- ロジックに関する多くの研究があるのに、それらがどのように識別、記述、測定できるのか議論していない
- →組織研究者が制度的ロジックを質的に捉えるために用いる3技法:(1)パターン演繹、(2)パターン照合、(3)パターン誘導
- 4つ観点で先行研究を整理
- 高等教育研究において、どのような制度的論理分析のアプローチが用いられているのか?
- 高等教育研究において、どのような制度的論理が確認・適用されているのか?
- 制度的論理を高等教育研究に適用する際に、どのような課題が見られるか?
- 高等教育研究における制度的論理の使用は、制度的論理の理論にどのように貢献するのか?論理理論にどのように貢献するか?
- 3技法
- パターン演繹:「大量のテキストデータを収集し、テキストをカウント可能な出現頻度に変換し、分析してパターンを明らかにする
- 既存研究にパターン演繹が少なすぎる
- パターン照合:現存する文献からパターン(ロジックの理想型)を特定し、データを理想型と比較する
- 質的インタビューやドキュメント分析によるパターン推論研究あり
- パターン誘導:ボトムアッププロセスで生のデータに焦点を当て、パターン(ロジック)を特定して、現存の文献と比較する
- (1)古典的な制度論理の文献で述べられている社会論理をガイドの枠組みとして使用する研究
- (2)影響力のある学者(Gumport 2000; Berman 2011など)が特定したフィールドレベルのロジックを用いる研究
- →ボトムアップのプロセスで高等教育研究の「新ロジック」を特定した研究が多い
- 制度的ロジックを捉えるとは?=研究者がどのようにロジックを特定し、記述し、測定するかということ
- →高等教育研究は、制度的ロジックを捉えることと実証研究における組織分析にロジックを適用することの双方が含まれる
- →一方で、上の3パターンの境界は、実際かなりあいまい。(テキストからパターンを明らかにする=誘導と照合の両方で可能。)
- 組織論者は理想型制度論理を社会レベルの論理と捉えているが、高等教育研究者が考える理想型制度論理は、社会レベルと現場レベルの両方である
- 高等教育制度ロジック研究を再定義
- 帰納的推論・演繹的推論×社会レベル・現場レベル
- 社会レベル×帰納的:古典理論があてはまり、実際はほとんどない
- 社会レベル×演繹的:古典的な制度論理の文献で定義された社会的制度論理を直接適用した実証研究
- 理想型としての8つの社会的論理のすべてに言及、個々の研究で2~5の論理を適用
- 議論されるロジックは、市場、職業、国家が最も多い。
- 厳密に制度ロジック研究の理論に従う傾向がある⇔高等教育特有のロジックを見落とす可能性
- 現場レベル×演繹的:実証分析の指針となる理想的なタイプとして、他の文献にある特定の現場レベルの制度論理を引用する研究
- ロジックが18もあるのは多すぎる(似たものも多い):学術、市場、専門職、商業、管理、高等教育産業、高等教育社会、科学、ビジネス、学問の自由、操作的、経済的、学術資本主義、国家、官僚、三重らせん、セクター、時代
- →現場レベルの理想型ロジックがないことが問題
- 競合する2ロジックを使うものが多い:専門職VS商業的、学術VS商業、官僚制VS企業制
- ロジックの解釈に違いがありすぎる問題
- 最も一貫して使用されるロジック=「社会制度としての高等教育(教育的・ 民主的利益の名の下に、より広範な活動を正当に追求することを可能にするもの)」と「産業としての高等教育(目的と実践を経済合理性の範囲に限定するもの)」(Gumport 2000 2003)
- →これらを企業ロジックと専門職ロジックで表すと考える研究と、市場論理と学問論理と解釈する研究がある→学術と専門職は交換可能ではない。
- さらに、Gumportのロジックをのぞいて、追跡ができない
- 現場レベル×帰納的:特定の制度的ロジックを参照せず、経験的データを帰納的に分析
- →フィールドレベル・アクターレベルのロジックを修正・拡張する
- →30以上のロジックを作る
- 個人は自分の利益のために制度ロジックを戦略的に選択する(エージェンシーの重要な役割)、こういうミクロレベルのメカニズムを明らかにすることが必要
- 競合するロジック間で妥協したりバランスを取るための戦略:ブリッジング、バッファリング(Narayan, Northcott & Parker 2017)、相反する制度ロジックに個人が対応する戦略マップ(Gebreiter & Nunung 2019)
2023/02/24
Narayan, A., Northcott, D. & Parker, L. (2017) Managing the accountability–autonomy tensions in university research commercialisation, Financial Accountability and Management, 3, 335-355
- 研究の商業化:研究管理を研究者の自律性から組織による管理への移行をもたらした
- 大学はこの緊張関係をどう緩和すべきか?
- →競合する外部と内部のロジックにどう対処するか?
- →ブリッジング、バッファリング、デカップリングが、説明責任と自律性の緊張管理において重要になる
- 研究の商業化の背景は、高等教育予算削減・大学の自己資金調達
- 説明責任要求増大→研究者の自律性の低下
- 組織環境とは?=組織化された社会的信念、規則、神話、規範、受け入れられた慣行の現れ(=制度的環境)
- →模倣・規範の圧力を通じて各組織を均質化する、あるいは、3戦略で対応するか両手利きで対応する
- ブリッジング戦略:ネットワーク、コラボレーションで従来と異なる関心を持ち込んで管理すること
- バッファリング戦略:正式な構造と運用のための構造を分離する、正当なイメージを投影できる構造や慣行を象徴的つくる
- デカップリング戦略
- 差別化戦略(両手利き)
- 統合戦略(両手利き)
- ただし、組織の歴史、文脈、価値観にも注意を払わないと解釈を誤る
- 研究デザイン
- 2002~2012の8年間=研究商業化圧力の期間
- 28回インタビュー、ドキュメント
- 伝統研究大学と新興教育大学の2ケーススタディ
- 研究大学の商業化圧力対応
- 両手利き組織としての2研究所設立
- 学術部門から切り離された自律的な管理と独立外部予算(バッファリングでもある)
- →自律性確保と商業化促進が矛盾しないようにできた
- 教育大学の教員認識=商業化につなげるためにも自律性が必要=高い緊張
- 当初はデカップリングで対応:商業化は別活動、基礎研究重視から切り離す
- →文化的コンフリクトに:教員の多くは基礎研究にしか興味ない
- →研究活性化は教育の質向上につながるというロジックで公式戦略を策定
- →産業界と連携した研究の推進を公約する
- →ブリッジングを選択:小規模研究センターの乱立
- →実際には、外部資金を得たセンターは大きな裁量が与えられていた(研究大学は、完全に独立した研究センターがなかったのに)←隠れ蓑効果?
- →ただし、商業化の優先は不明確、成果も出なさそう
- 2つの事例から何が言えるか?
- 予算削減・説明責任政策=研究目標と戦略の均質化につながった→緊張は緩和できた
- 同じ戦略をとりながら、異なる結果になった=戦略は文脈に依存する(高い研究能力、構造的な両義性、資源への自律性、商業化インセンティブがあると、より容易に緊張が管理できる)
- 基礎研究と商業化を補完するには、デカップリングとブリッジングが選ばれる
- 政府の圧力政策にどう対応するか?
- 積極的に対抗しない=変化に対応する
- 研究者間で共有された価値観・規範・信念→規範的圧力になる→研究者の自律性要求を強化する+研究構造・プロセスの均質化を通じてコラボレーションを促進する
- →研究商業化目標を採用することで、組織の安定と国際的評価の向上を追求できる→大学の戦略やミッションの均質化(Parker 2011)←正当性の獲得、継続的資金調達
- 研究能力と商業化能力が高度に発達している場合=両利きな組織構成を採用することで、研究の商業化に関する説明責任と自律性の緊張関係を管理できる可能性がある
- 両利きであるためには、予算、人材、システム、構造の自律性と、基礎研究または商業化(あるいはその両方)を追求する上で研究者が自らの判断を行使するための柔軟性とインセンティブを許容する文化的背景が必要
- 研究能力が未発達な場合、次のステップである商業化を目指すよりも、研究を進めることに重点が置かれるため、商業化活動が周回遅れになる可能性がある
- 自律性と商業化は選択問題ではない:ブリッジングで補完することができる
- 結論として、研究者の自律性と商業化という相反する論理を調整する適切な戦略があれば、必ずしも基礎研究が犠牲になるとは限らない
2023/02/17
Carla Patricia da Silva Souza & Adriana Roseli Wünsch Takahashi (2019) Dynamic capabilities, organizational learning and ambidexterity in a higher education institution, Learning Organization, 26(4), 397-411
- テーマ:DCはOLやOAにどう関連しているのか?
- ダイナミック・ケイパビリティ=組織が自らを適応させ、更新するために必要なもの
- リソースの再構成を通じて開発され、変化を調整、創造し、能力を更新する
- 組織が効率性を向上させるために、組織的にその運営ルーチンを生成し、修正することを通じて、学習された安定的な集団活動のパターンを表す
- 組織学習=社会的・心理的プロセスや知識の流れと組織の変化を伴うダイナミックでマルチレベルな現象
- 組織的両利き性=変化に適応するには柔軟性と俊敏性が必要、組織は革新と安定性の維持を両立させる必要→いずれも緊張感のあるプロセス
- 本稿は、ブラジルの私立(営利?)大学のケーススタディで、DCがOLとOA(探索・活用のバランス)にどう影響するかを分析
- 私立大学が、強い市場競争で生き残り・成長を迫られているため
- 9人の管理職インタビュー、文書分析、参与観察
- 2つの学内事例に注目
- DC=急速に変化する環境に対応するために、内外の能力を統合し、構築し、再構成する組織の能力
- 3つの活動を通じて構成される
- 環境を監視すること(sensing)
- 定された 機会を利用すること(seizing)
- 資源を再構成すること(reconfiguring)
- →つまり、個人および組織の新しいルーチンの創出を促す
- そのプロセスはセンスメイキングとセンスギビングで表せる
- OL=変化を伴うダイナミックでマルチレベルの組織的プロセス
- 集団的センスメイキング活動が重要→マルチレベルの学習と将来の行動を形成する
- OA=探索と活用の実践の間に適切なバランスを見出す能力
- 探索=研究・発見
- 活用=洗練・実行
- 構造アプローチと統合アプローチで研究されてきた
- 構造:両利き性を実現するためには、異なるプロセス、構造、文化を持つ、1つのユニットと1つ以上の探索に焦点を当てた2つの構造を持つ必要がある
- 統合:メンバーの行動を、働くコンテクストにおける一連のシステムとプロセスを考慮する(個人は組織のコンテクストに組み込まれているため、マネジャーは、メンバーが各自の時間を探索と活用の両方に使うことを奨励するために、コンテクストを作成し、維持する必要がある)
- 両手利き能力を育成するには、変化から生じる緊張に対処する個人のスキルと、個人の統合を促進する正式な構造や調整メカニズムが必要
- ブラジルの高等教育
- 87%私立、75%の学生が私立
- 事例校=マーケットリーダー、最も成長せいているHEI
- 2つの事例
- オンラインコース提供
- 「希望する人たちだけがDEに取り組むようになったので、より多くの障壁を避けることができた」
- 資本のオープン化(?)
- 家族経営→専門家経営へ移行:組織文化を大きく変える
- どちらにもDCの3活動(感知、把握、再構成)が見られる
- どちらも個人の意図が個人レベルのセンスメイキング、トランスフォーメーションに影響を与え、それが他のメンバーの行動に影響を与えていた
2023/02/16
Nerland, M. (2022), "Organisational learning in complex epistemic environments: reflections from studies of professional work in Norway", The Learning Organization, Vol. 29 No. 3, pp. 243-254.
- 情報技術の発展
- 職場に複雑な認知的環境を持ち込む
- 職場の概念を拡張する
- 組織境界を曖昧にする
- 専門職の特徴:分業が基本、方法論の共有
- 専門職の認知的付加を高める要因:情報技術の発展+知の生成者の多様化(マルチレイヤー化)
- ノルウェーは高学歴化、生涯学習社会化
- 組織学習=認識論的実践:知の生成と共有の集団的な実践の変更
- 認識論的実践:メンバーが知識の主張を提案し、伝達し、正当化し、評価し、正当化するための社会的、相互作用的に確立された方法
- 教員養成課程の改革
- 決められたことを教える仕事から、現場で知を生成して実践する仕事へ
- チームでカリキュラムを作る仕事が増える
- →権力から遠く、現場に自律性が与えられていたからできたこと
2023/02/15
Lukic, D. (2022), "Organisational learning and competence for boundary crossing", The Learning Organization, Vol. 29 No. 3, pp. 284-290.
- 組織学習の課題は大きくなっている:人間-システム-構造-技術の相互作用の複雑化
- 組織学習メカニズム:技術と文化の2つの面で構成される
- 組織内の知識境界の越境を促すために、中間オフィスを提唱したい
- 個人・組織の変化への開放性とコミュニケーションレベルの関係
- コミュニケーションレベル高+個人・組織開放性高→組織学習にプラスの効果
- 組織開放性>個人開放性→知識共有レベル低下(個人の視点に注目することが重要)
- 個人と組織の態度に差があると、過剰なコミュニケーションでメンバーは知識を共有しない
- 中間オフィスの3段階
- プロジェクトの目的と相違点の確認、全関係者の声を聴取、共同で計画を作る
- 定期的なミーティング+建設的批判
- 結果の評価・解釈・データから、次の学習につなげる
2023/02/12
Love, P., Smith, J., Ackermann, F. & Irani, Z. (2018) The praxis of stupidity: an explanation to understand the barriers mitigating rework in construction, Production Planning & Control, 29(13), 1112-1125,
- 安全インシデントの多くは手戻りの最中に生じる
- 全体の知識が欠けるため、手戻りの原因・コストに関する質問ができない(あるいは避ける)。
- 実務と文化の根本的な変革なしには、効果的な解決はできない。
- なぜ問題解決に取り組めないか?4つの視点
- ゼロビジョンと安全スローガン
- ビジョンが抽象的
- スローガンの存在=インシデントに関する情報提供に否定的
- Stupidity Self-Management
- 一定金額以上の不適合手直しは、上級管理職が決裁する
- →1件のNCRを分割して按分
- →手戻りの根本的な抑制のための批判的思考機会を奪う
- Stupidity management
- 上級管理職が、手戻りが収益上の問題であることを認識していない(現場は認識しているのに)
- エラー防止ではなくエラー管理に重点を置く考え方をするべき
- 品質と安全性は相反するのではなく、両者に同等の注意を向ける
2023/02/11
Morrison, E. and Milliken, F. (2000) Organizational Silence: A Barrier to Change and Development in a Pluralistic World, Academy of Management Review, 25(4), 706-725
- Organizational silence:従業員が潜在的な問題や課題に関する情報を広く保留する力
- 組織のパラドックス:メンバーが組織内の問題・課題について、真実を知っていてもあえて上司に話さない(裸の王様理論)
- なぜ話さないのか?理由2つ
- 発言することでマイナスの影響を受けることを恐れた
- 発言することで何かが変わるとは思えなかった
- この問題が深刻な点:従業員自身は多様なのに、表明される意見が一枚岩にしかならない(=多様性が組織の強みにならない)
- 本研究の3つの特色
- 従来の研究は、メンバーが意見を発するかという個人の意思決定に注目→集団レベルのダイナミクスに注目
- なぜメンバーが意見を言わなくなるかという規範に注目→ある個人が沈黙する動機と、残りの全員が沈黙する動機は全く異なることに注目
- 個人レベルの先行要因(=コミットメント、満足度、リスクテイク)に注目→個々の行為者の外側の要因に注目
- 組織的沈黙は2つのビリーフに起因する
- (1)否定的なフィードバックに対する管理者側の不安
- ネガティブフィードバックが下から来る=正確でなく、正当性に欠け、自分の権威や信頼性を脅かすものと見なす傾向がある
- これが、情報を上向きに流さない慣行を生む(沈黙風土)
- (2)マネジャーがもつ3つの暗黙の前提
- 個人は自分の利益を最大化するために行動するという暗黙の前提(ビジネススクールの影響?)=インセンティブや懲罰なしには、組織のための行動しない
- 組織の重要な問題の多くは、上層部が知っているという暗黙の前提
- コンセンサスは組織の健全性の証であり、不一致や異論は避けるべきという信念(=組織の一元的な見方を助長する)
- なぜこうした信念が形成されるのか?
- 上層部が経済・金融分野出身者で占められている(合理的経済人モデルの前提を持つ)
- 機能的な訓練と経験に関して均質であればあるほど、平均在職期間が長いほど、前提共有が強固になる
- 上層部が上下関係の強い文化圏の出身者で構成されている(上司が正しいのは、単に上司だからだと考える傾向が強い)
- 上層部とメンバーの非類似性(性別、人種、民族、年齢)が高い(=メンバーの意見を疑惑の目で見る可能性が高くなる)
- 環境要因:予測可能性、統制、効率に依存する組織+資源の枯渇を特徴とする競争の激しい環境の組織+成熟した安定した業界の組織
- 内部要因:上層部とメンバーの交流が薄い組織(垂直的乖離が大きい組織)+内部昇進よりも外部からマネジャーを採用する組織
- 組織内の3つのイデオロギーによる影響:(1)メンバーは自己中心的である、(2)上層部が最も良く知っている、(3)意見の相違は悪いことである
- メンバーは利己的という信念=メンバーを意思決定に参加させないことが合理的(タスクフォースなどで関与させても、真の意思決定はトップだけで行う)→公式の上方フィードバック傾向が弱くなる
- メンバーは利己的という信念=メンバーの提案を(1)マネジャーへの攻撃と見る+(2)組織を心配しての行動と思えない
- こうした上層部の傾向は、組織に影響する
- 中間管理職に影響し、組織全体の傾向になる
- 中間管理職が下からの上方を遮断する
- 沈黙風土はどう発生するのか?
- 組織風土=特定の職場環境の心理学的に重要な側面に関する、共有された永続的な認識
- 風土は個人のニーズや動機づけ状態よりも強力な行動決定要因になりうる
- 象徴的相互作用論(Blumer, 1969)が基盤=意味は所与でなく、メンバー間の相互作用から生じる
- 人は自分の信念や認識を評価する強い欲求を持つ
- →他者の信念や認識と比較する→職場の認識や経験を共有し、仕事の様々な側面の意味の共通理解をつくる(トライアンギュレーション)
- 沈黙風土=(1)組織内の問題について発言することは努力に値しない、(2)自分の意見や懸念を口にすることは危険であるという2つの信念で定義する
- 沈黙風土の発生ダイナミクス
- 個人は、自分と似ていると思う人と一緒にいることが最も快適+自分の信念や認識を検証する参照先として似た他者を好む
- →メンバーが発言機会ない+メンバーの類似性が高い=沈黙風土が生まれやすい
- ワークフローの相互依存度が高い場合:より多くの人と調整が生じ、認識共有機会が増える→沈黙傾向解釈がより進む
- インフォーマルネットワークが強い場合も同様
- センスメイキングプロセスのゆがみ
- メンバーは、限られた・偏った情報に基づいて、上層部の行動を理解する。
- 情報の多くは又聞き
- 人は自分が正しいと思うことよりも、他者が信じているように見えることをより信用する(他者が組織内で声を出すことに無関心だと思うと、自分は声を出すべきと思っても行わない)
- メンバーは、自分と同じような人間がトップに立っていないことを知ると、組織は自分たちの意見を尊重していないと考える傾向がある
- 多様な意見を出せるようにすべきだと言うが、なぜそれが難しいかの複雑な力学に関する理解が足りない。
- その力学の多くは観察できない。
- シニシズムは、不信感と同様、いったん根付くと排除することが困難
- システム全体の変化には、強力な外圧が必要だが、それさえ十分とはいえない
- トップの認識改革は必要条件だが、十分条件ではない。
2023/02/10
Schilling, J. and Kluge, A. (2009) Barriers to organizational learning: An integration of theory and research, International Journal of Management Reviews, 11(3), 337-360
- 研究目的:(1)OLの障壁に関する既存の概念や理論を整理、(2)それをOLプロセスのモデルに統合、(3)OLに関する今後の研究課題を示すこと。
- OLの定義:組織のパフォーマンスや目標の向上に関する個人やグループでの学習経験が、組織のルーチン、プロセス、構造に伝達され、それが組織のメンバーの将来の学習活動に影響を与える、組織的に規制された集合的学習プロセス(=情報の獲得、伝達、蓄積の集合的なプロセス)
- 個人とOLが相互に依存している(個人は組織の代表として学習する一方、個人が組織を離れても獲得した知識が適切に保持(文書、ルーチン、プロセス、構造などの形で)されなければ利用できない
- 変化する環境の中で成功するには、組織が既存のアイデアや機会を活用すること(個人の学習経験をルーチン・構造・プロセスに移す)と、新しい機会を探求すること(個人や集団が行う学習経験)の両方が必要
- OLの障壁を説明するには、OLのプロセスに関するモデルが必要
- →4Iフレームワーク→OLの政治モデル(Lawrence 2005):解釈=影響力・道徳的手説得・交渉・恩着せ、統合=強制(正式な権限を持つ組織のメンバーが利用できる選択肢を制限するような状況を作り出す)、制度化=支配・規律(採用・社会化・報酬・研修・チーム作業)
- Barriers to Intuiting
- Actional-personal
- 組織のセンサーとしての従業員の偏りや欠点
- 迷信的な学習
- 体系的な失敗分析に関するノウハウの欠如
- イノベーターのモチベーションの欠如
- 高いレベルのストレス
- 一次的な問題解決を特徴とする専門家としてのアイデンティティ
- 不利益を被ることへの恐れ
- 制限的、統制的な管理スタイル
- Structural-organizational
- 明確で測定可能な目標やパフォーマンスのフィードバックの欠如
- プロセスエラーをカバーする在庫と棚卸資産
- 狭いコーポレートアイデンティティ
- 同質的な労働力を持つ一枚岩の企業文化
- 厳格な労働規則と規制
- 狭い職務記述書と高度な分業(「私の仕事ではない」現象)
- スケープゴート文化
- Societal-environmental
- 複雑でダイナミック・競争的な市場環境
- 成功の基準が不明確な支店
- 文化的な距離があり、関連する文化での経験値が低い
- 複雑で、曖昧で、難しい知識 関連するが、暗黙的で、動かせない知識
- Barriers to Interpreting
- Actional-personal
- 知識の所有権と支配権の喪失への恐れ
- イノベーターやスポンサーの政治的・社会的スキルの欠如
- イノベーターの地位の低さ、自信、信頼性
- イノベーターとグループ間の対立関係
- 既存の慣行に対する相対的な優位性の欠如
- グループメンバーの吸収力・保持力の欠如
- グループメンバーのモチベーションと不安の欠如
- Structural-organizational
- 組織的沈黙
- 地位文化
- 知識と重要な組織目標との間の連関性がない
- 高い仕事量と最前線の状況
- グループの失敗回避規範
- 強い集団的アイデンティティのエ自己防衛
- グループ内の目的、価値観、隠れた意図の相違
- Societal-environmental
- 既存の(職業)マインドセットと相容れない知識
- Barriers to Institutionalizing
- Actional-personal
- イノベーションが将来の目的とは無関係であるとの認識
- チームや従業員のイノベーションを実行するための知識不足
- 穿孔された記憶
- 自由放任の上級管理職スタイル
- 不十分なダウンラインリーダーシップスキル
- 学習移転の際に生じた過去の衝突の経験
- チームや従業員に対する低い受容性と信頼性
- 組織やイノベーションに対するシニシズム チームの願望がバラバラ 脅威としてのイノベーション
- チーム/従業員の新しいアイデアに対するオープン度の低さ
- 機会主義的行動
- Structural-organizational
- 職場の安定/静的状況
- 時間と資源の不足(移転プロセス、トレーニングと開発、コミュニケーションの方法と実施のためのスペース) 従業員と管理職の高い離職率
- 実施・保管に関する責任の所在の不明確さ
- 一貫した規範体系の欠如:組織の偽善性
- 組織戦略、システム、方針、慣行の一貫性のなさ
- イノベーションの初期目標とそれを評価する成功基準との不一致・分権化(サイロ構造、強力な部門構造との縄張り意識)
- Societal-environmental
- 組織の行動やパフォーマンスをコントロールする手段や手段の欠如
- 急激な技術革新
- 手っ取り早い成功を約束する新たな経営ブーム
- 言語と国民文化の問題
- 暗黙知を保存する技術的・構造的な難しさ
- これらから導かれる今後の研究課題
- こうした障壁が、特定の部門にどのような影響を与えるか?
- OLのレベルの違い(シングルループやダブルループなど)とOL障壁の間にどのような関係があるか?
- OL障壁のどの組み合わせが典型的であり、組織に深刻な結果をもたらすか?
2023/02/09
Using Case Studies to Develop Questioning Skills
ケーススタディで用いる発問
- 事例分析のための発問
- どのような状況か?
- このケースにおける様々なアクターの異なる価値観、規範、あるいは利益は何か?
- これらの異なる価値観、規範、または利益は互いに対立しているか?
- このシナリオにおける異なるアクター間の力関係はどのようなものですか?
- 力関係はこのケースにどのような影響を与えますか?
- 関係者の行動と行為を明確にする文化的枠組みは何ですか?
- 事件の進展に影響を与えたと思われる要因は何か。
- このケースのどのような文化的、社会的、政治的側面が問題を引き起こしたのか?
- 問題解決のための発問
- 実行可能な解決策があるか?
- あなたがこのケースの当事者であれば、どうしますか?
- あなたがこのケースの当事者であったとしたら、何を伝えますか?
- この場合、ある種の妥協は可能か、あるいは有用か?
- 代替案としてはどのようなものがありますか?
- この状況はどのような倫理的問題を提示しているか?
- 事例の文脈を読み取る発問
- このケースを検討する上で、どのような追加情報が有用か。
- 同じような状況を他にどこで見ることができるか。
- この事例の関係者の行動の根底には、どのような前提があるか。
- この人が経験したことはどのようなものか、どのように表現するか。
- この事例を評価する際に、どのような歴史を考慮することが重要か。
- この人が置かれた状況で、どのような資源や支援に直面したのか。
- この人が自力で自分の状況に立ち向かう上で、どのような障壁があったのか(もしあれば)。
- このような状況において、他の人がその人を支援するべきだったか。もしそうなら、どのように?
- 教訓を得る発問
- この事例から何を学ぶことができるだろうか。
- このケースを読み、話し合った後、あなたはどのような感想を持ちましたか?
- このケースについて話し合ったことで、あなたの行動に何か変化がありますか?
- このケースは、あなたの思い込みを見直すきっかけになりましたか?
- あなたなら、この状況にどのように対処しますか?
- このケースについて、何か驚くようなことがありましたか?
- このケースを一言で表すとしたら、どんな言葉になりますか?
2023/02/07
Zaki, J. (2022) Don’t Let Cynicism Undermine Your Workplace, Harvard Business Review, September–October 2022
- シニシズム:他人は利己的で、貪欲で、不誠実であるという信念
- 組織内で、業績不振、燃え尽き症候群、離職、不正行為につながりやすい。
- 他人の行動を悪く見る人=噂話・陰口が多くなる。
- シニシズム傾向のメンバー:収入減、精神疾患等の傾向
- 調査では「デフォルトで他人を信用しない」=60%
- シニシズム傾向の人は、人の感じ方・考え方のバグを利用する
- 悪意同調性、先制攻撃、天賦の才の3要因に注目
- 悪意同調性
- 騙されないように用心する傾向が、人は悪いものと決め、他者の悪い資質に目を向けるようになってしまうこと(心理学で正負の非対称性という)。
- 「一滴のタールが蜜の樽を腐らせる」
- 人は、そこにいる人よりも悪い他者を想像している。
- 先制攻撃
- シニシズム傾向の人は、他者を助けるために時間やお金を使わない。不誠実な交渉をする傾向がある(行動同化という)。
- 天賦の才
- シニシズム傾向の人は、他者の悪意を感じる性質を、自分が苦労して身につけた知恵を考え、そうでな人を世間知らずと考える傾向がある。
- 組織の方針がシニシズムを強化する可能性:特にゼロサムリーダーシップとオーバーマネジメントの2つが重要
- ゼロサムリーダーシップ
- 組織内の競争がゼロサムゲームにする(スタックランキングの導入=チーム内の成績上位者が評価され、下位者は警告や罰則を受ける)→自分がうまくやるだけでなく、同僚が失敗するように仕向ける必要がでる→職場は新しいアイディアを思いつく孤独な創造的スターを評価する傾向を持つ(天才文化)→不健全な競争が起こる→メンバー間での競争導入で、メンバーが集団のアイディアに貢献しなくなる→人間関係が悪化しイノベーションが失われる
- オーバーマネジメント
- 上司が部下を信頼しない=制限・圧力・監視の傾向→組織への信頼を失う→モチベーション低下
- 人は最低限のことだけを強要されると、それしかしなくなる。
- アンチシニシズムをどう導入するか?:協働文化とリーダーの信頼行動
- 協働文化
- 他者のために行動し、協働的な行動が評価されるインセンティブスキーム
- 競合他社に対しても協働アプローチ(消費者に利益をもたらす相互補完)
- 信頼を作る
- メンバーが協働で学ぶことを奨励(例:大規模ハッカソン)
- メンバーに選択の余地を与える
- 社内ルールは「あらゆる場面で適切な判断をすること」のみ
- アンチシニシズムを教える
- メンバーに信頼を与えるには、まずリーダーが信頼を示すこと(研修で獲得できる?)
2023/02/06
Butler, N. (2016) Functional stupidity: A critique, Ephemera, 16(2), 115-123
- FSに関する説明
- メンバー側が、自分が何をしているか(省察性)、なぜそれをしているか(正当化)、自分の活動の結果が目前のタスクを超えてどうなっているか(実体的推論)について批判的に考察する能力がないこと。
- 権力・政治と明確に結びついている:組織的に承認された規範や価値に疑問を投げかけるような批判的な内省を阻止しようとするときにFSという現象が生じる 。
- プラスとマイナスがある:組織が円滑に機能するための確実性をもたらし、疑念や反省によって引き起こされる摩擦から組織とそのメンバーを救う ⇔ 批判的省察は、自分が何をしているのか、なぜそれを行っているのかという確信の感覚を損ない、キャリアアップの妨げになる+組織にとっても追加的資源を用いるのでコストになる(安価な海外労働力にたよる倫理的問題に対応するには大きなコストがかかる)
- 4つの提案:(1)組織は知識集約度と賢さの定義についてより謙虚な態度をとるべき、(2)アンチ・バカマネジメントを活用すべき(詳細不明)、(3)FSは組織が育成し、維持し、技術すべき重要な資源(知識経営とFSのバランスが重要)、(4)FSのネガティブ面に警戒すべき
- しかし、こうした批判的な提案は、はるかに保守的な、まさに経営的な目的によって覆い隠されている。
- FSのネガティブ面
- FSにはプラス・マイナスがあると言いながら、FSの過剰・誤動作の時(=愚かさの管理者によって適切に管理されなかったとき)のみ、否定的な結果をもたらすと説明される。
- FSの管理とは?:Stuidityが増えすぎると機能不全になるから、管理が必要
- Stupidityにはもともと機能的な面と愚かな面の両方が含まれているのではなかったか?
- 両面ある中で、愚かな面の割合が増えるということか?
- 著者は概念の内部緊張と説明する ⇔ 議論自体に矛盾があるのではないか?
- FSをどのように管理すれば、プラス面が増えてマイナス面が減るかは不明確。
- なぜ賢い組織が愚かであり続けるのか?
- 組織=代替案にコストと時間がかかるため、従業員の認知能力を制限しようとする
- メンバー=不確実性を最小限に抑え、キャリアを向上させるために自らの内省性を抑制する
- 愚かさは組織に不可欠:
- Stupidityの機能的な面が仕事を円滑にする
- Alvesson and Spicerはビジネスと学術の両方に訴えたために窮地に陥ったのでは?:学術的な概念と経営上の流行語の間の区別が曖昧になってしまった
- ビジネススクールの研究は、一貫性・論理性の高い慎重な考察に基づく研究をすべきか、多少の一貫性はなくとも刺激的な議論を喚起すべきか?
2023/02/05
Paulsen, R. (2016) Slipping into functional stupidity: The bifocality of organizational compliance, Human relations, 70(2), 185-210
- 公共職業安定所のFS研究:FSは、個人の性格ではなく、一過性の非省察的コンプライアンス様式
- 仕事に「従事」している人=13%(ギャラップ調査)
- 63%=給料をもらうために続けている←経済的余裕があれば仕事を辞めたいと言う人の割合と同じ
- なぜ、これほど多くの人が不満なのに職場が維持されるのか?
- 組織的に支持された省察性・実質的推論・正当化の欠如があれば、メンバーによる気の進まない仕事の遂行を支援できる
- 職場におけるシニシズム研究:メンバーは、思考と行動を切り離し、システムを「見通す」ことで、システムの外側に立てる。
- シニシズム=舞台裏の身振り
- 批判家でさえ、他のメンバーと同様に日常の仕事に従事する
- FS=「意識化概念」=気づきと指針を与えるもの⇔処方箋
- ただし、意識化概念は全面的適用へ拡大されて、研究分野をファッションで覆うリスクもある。
- ↑省察性を欠くという特徴ゆえにあとからでなければとらえられないため。
- 人間の意識は二重性を持つ
- メンバーは仕事中に愚かな行動をとっても、それを後から批判的に省察し、何度でも再演する能力を保持している。
- FS研究の2つの障害
- FSは、職場における他の機能的行動と区別するのが難しい
- FSとは、組織的な場において、道具的合理性を無反省に適用すること
- 「外科医の合図でメスを渡す看護師」省察なく行うが、これは機能的に愚鈍とは言えないのでは?
- FS概念の問題点
- Functional stupidityとFunctional intelligenceの区別は難しい=ある場面で省察的であったり正当化を求めるには、高度な知性の発揮が必要。倫理的に曖昧であったり、自分の仕事の目的が揺らいでいる時、非省察的な道具性はStupidになる。
- 非省察的なモードは、インタビューで検証しにくい。インタビューによって、批判的な思考を始めるとFSを実践していることにならない。
- →FSはどのような形で存在するか?を問うべき(現状に批判的な問いを持たない人はいないのでは?)
- 省察的な「愚かさの自己管理」がないところでFSを明らかにすることは困難。
- 冒頭のとおり、多くの人は仕事を終わらせるためにあまり考えないようにする。←この説明自体、省察的にしかできない。
- 本事例はまれな例:全対象者が既存組織を非難した事例。
- 発話と行動の不一致:主観的な説明における虚偽、道徳的な話法が原因
- Layer of understanding:率直な議論をするために必要なこと
- SPESでの観察研究
- 週数回のスタッフミーティングの見学
- 在職22年のITマネジャーに6ヶ月キーインフォーマント
- 3~7年勤続の27名に面接:構造化質問
- 労働プロセスの効率性
- 特定の行動計画や管理プロセスに関する感情や考え
- 職業規範に関する考え
- 期待や義務における時間的変化
- 理想と実際の労働プロセスの間の対立
- これらの対立をどのように処理するか
- 全員、求職者を助けるためにやりたいことと、求職者に要求されることの間にコンフリクトを経験
- 求職者面接、新聞記事、内部報告書
- 実証分析:鍵になる質問は「一日をどうやり過ごすか?」
- 生成された概念

- 「自分が納得できない規則や命令に従うことについてどう感じるか?」
- 明らかになった省察的遵守の様式を示していく。
- Marcuseの1次元思考:経験主義(何であるかのみを考察する)、運用主義(何であるかの中の現象を測定可能なものに還元する)、潜在性という反事実的領域に属する思考を放棄することの3つに注目する。
- 2次元思考:省察的な行為を妨げるものではない。絶望もその1つ(=劇的に変化する必要があるという強い感覚を保証するという意味で、最も一面的でない態度)。
- SPESの事例:
- 1980年代:サービス>コントロール→細部にわたって失業者をコントロール
- 移民対象の新基準:数字達成不可能=ストレスが大きくなる
- 組織の否定的な側面を語ることは「不毛」
- 絶望とシニシズムの違い:前者は「もしかしたら違ったかも」を含むが、後者は希望の共有がない。
- マネジャーによるシニシズム共有:モラルを脅かさない←メンバーは上からの指示を擁護すると思ったら、クソだなと。→メンバーも楽になる。
- 現場のメンバー:「自分は人に言われたことをやる。できるだけ早く、簡単に、効率よくやるだけ。」という権威に縛られていることを省察的に話すことができる。←権威が実際に権威である必要はない、泣き言を言うよりもましと考える。
- 職場は、労働市場、組織文化、分野、職種等の要因で独自のStupidityを構築する。
- 健康主義:現実主義(仕事の正の側面に焦点化すること)でもいいが、健康主義の方が個人が管理しやすい。
- 建設的:健康主義よりは制限された省察性に陥りやすい
- 倫理的経験主義:「意味のない仕事はない。事務的ではあるが、必要悪だ。」←悪としてみる点でポジティブシンキングとは違うが、悪に変わるものがないので疑わない。
- 代理人シフト:自分の仕事は政府・経営陣が提示したことを伝えること。
- 言われたことをする:仕事は何でも大事。依頼をこなすことが大事。
- 適者生存:法律や規則を読むことを楽しむべき。
- 権威主義の終着点=この仕事が好きだ。
- Stupidity self-management:個人が疑念、批判、その他省察的な懸念を脇に置き、組織生活のポジティブな側面に集中するプロセスのこと。
- メンバーが組織権威との衝突を経験する→遵守を選択する→多様な遵守モードがある
- メンバーは組織の不条理や欠点を認識している
- 仕事は省察の機会を与えない⇔仕事が省察の能力を奪うわけではない
- 自分が批判的であると同時に批判的である組織をどう再生産できるのか?
- ジレンマに直面するメンバーの反応=絶望、シニシズム、権威主義等の態度
- ↑いずれの態度も、その態度を変えることなく省察できる
- Pulish or Prish:満足する研究者はいない、しかし皆適応する。その適応は、ある者は絶望的に、ある者はシニカルに、ある権威主義的な者はリラックスして。
- どの態度をとっても、査読の過程ではそうした省察的態度を押し殺して目の前の課題に集中する。
2023/02/04
Alvesson, M. & Spicer, A. (2012) A Stupidity-Based Theory of Organization, Journal of Management Studies, 49(7), 1194-1220
- Functional stupidity:省察の欠如、知的能力の不使用、近視眼、説明不足→愚行管理、対話的行動の阻害→前向きで一貫性のある個人の内的対話の促進→生産的な結果をもたらす可能性→個人と組織の不協和をもたらす
- この問題の背景は、知識経済化、組織における知識経営。これまでにも、semi-rational、集団浅慮として研究されてきた。
- FS:organizationally-supported lack of reflexivity, substantive rea- soning, and justification.
- 外部の知的資源の活用を拒むことで生じる
- 疑念や省察がもたらす摩擦から組織を守れる
- 問題のある思考パターンから抜け出せない
- 本論文の貢献
- 既存の認知能力活用による組織運営の過程を疑うこと
- 認知能力の活用がパワー・支配関係でいかに抑制されるかを示す(単に時間や資源の不足や認知的な固執による抑制ではなく)
- 普遍的だが認識されてこなかった側面を示す
- 従来の優秀さを制限するコンセプト
- 限定合理性(Simon 1972):個人はベストを尽くすが、資源や時間に限度があるという考え方。
- Midless ways(Ashforth & Fried 1988):所与の条件下で標準的な手続きを見出そうとする=一度学習すれば、深く考えずにできるので、認知的効率性が上がる。
- 熟練された無能(Argyris 1986):大規模組織で保守的なルーチンを作ることによる、管理職側の仕事のしやすさと、深い思考や探索を避ける問題。
- ゴミ箱型意思決定(Cohen et al 1972):組織内の曖昧さ、動態、不確実性による意思決定時の注意拡散。
- Foolishness(March 1996):曖昧な目標の組織が複雑な環境下にあると必要になる。Foolishな行動が、組織の選好を明確化・焦点化し、試行錯誤を促進する。
- Ignorance(Abbott 2010など):知識集約的な状況が作る問題、特に科学・社会政策(温暖化研究は、地球の温度が上がってきたことに注目を集めたが、その詳細な要因=新領域は無視されている)。部長がTQMの技術的詳細について無知→非現実的な期待を持つ。見せかけの知識が、いかに組織のメンバーを混乱させるか。
- これらのコンセプトは、「認知能力の発揮が組織活動の中心」という仮定を疑わない(=つまり、合理的な知的行動に伴う不可避な限界を論じている→半合理的な機能による限界を見落とす)。
- 例えばIgnorance:問題の中身に焦点化=専門家や教育を活用して知識を付加すれば問題に対処できると考える。←認知能力の積極的な活用・不活用の限界について論じることができない。
- 例えば熟練された無能:効率的な人的交流のための組織内規範が、問題に気づき、対処する行動を妨げることを示した。←感情や動機づけに関する問題(=不安、不確実性、組織内の和を乱したくない感情など)を見えにくくする。
- 要するに、認知的限界と感情的問題の関連性を説明できない。パワーや政治活動が知能の活用を妨げることにいかに貢献しているかを考察できない。
- だからこそFSの導入が必要。
- Stupidityの例:影響力のありすぎるリーダーの存在、インターネットバブル時のオンラインベンチャーへの過大投資、金融テックへの非合理的な信頼によるショック
- →知識の豊富な人は認知能力を積極的に使わないようにすることが必要。
- 実際多くの経営行動が、誤った推論に基づいて採用される(優れたタレントマネジメント手法を採用しない・採用してもしばらくすると使われなくなる)。
- →組織にはシステムとしてStupidityが存在するのではないか?と考えるべき。
- →Stupidityは病理・不合理・機能不全ではなく、積極的に支持され、積極的な結果を生み出すものと考えるべき。
- 心理学的なStupidity:自分の認知資源や知性を動員できない、あるいは動員する気がないこと ≠ 無知
- →組織がそうした行動を奨励する=組織文化の問題
- FS=知的能力活用をしない・できない3側面:省察性、正当化、実体的推論
- Lack of reflexivity:知識の主張や規範に疑問を出せない・出さない(メンバーが組織内で支配的な規範や信念に疑問を持たない場合に起こる。=既存ルーチンは、自然なもの、良いものと考えている。)
- Lack of Justification:組織内の行為について、行為者が理由や説明を要求しない・提供しない(重要な批判的吟味や強固な理由づけのプロセスを経ることなく、慣行を受け入れる←会社をよく見せるため、他の人がやっているため)。
- Lack of substantive reasoning:認知資源が、特定の組織、職業、仕事の論理によって定義された小さな関心事に集中しているときに起こる(与えられた目的を効率的に達成することに焦点を当てた道具的合理性を近視眼的に適用し、その目的が実際に何であるかという幅広い本質的な問題を無視する)。
- FS=認知的側面だけでなく、情緒的側面の問題でもある
- 動機づけ:好奇心の欠如、閉鎖的な考え方、組織人・専門家アイデンティティ→広い思考に対する障壁になる
- 感情:感情は認知プロセスを左右する=仕事への不安・不安定な立場がFSを強化する。
- →これらを合わせると、能力不足と能力を発揮しようとしないことには相互作用がある。
- 反射性・正当化・実体的推論は、一般に組織内で中心的活動と位置づけられていない(一定程度行われてはいる)。←時間の浪費と思われるため、場合によっては危険な活動とも見られる
- ここでFSを再定義:認知的・省察的能力を狭く控えめにしか使わない・使いたがらないこと(知能の高い人がFSと無縁とは限らないし、知能の活用とFSは共存する)。
- 1つの例:組織内の情報の扱い
- 情報収集への関心の高さ、情報不足への不安→情報過多・活用不十分
- これは情報=理性的・信頼・知性というイメージがあるため→情報を使って意思決定をすれば、プロセスも結果も正当である=それを行った管理者は優れている
- つまり、情報偏重の組織文化の問題
- 組織内のFSダイナミクス:マネジメント層が対話的行動を阻害し、管理的命令が強化される。←組織が強い文化・アイデンティティ・ブランド・カリスマ的リーダーシップにより、シンボリックな操作を強化する時に起こる。←現代の説得型経済の影響。
- 説得型経済とは?:需要喚起が製品を作ることではなく、魅力的なイメージ・期待を作ることにより、仕事もイメージづくりが中心になる。
- →ブランディング、広報、イメージ構築 > 生産
- →メンバーは、イメージに忠実であることが期待される
- 管理職による愚かさの管理
- マインドセットを作ろうとする、特定の文化・価値観を浸透させようとする
- 組織内の実践を肯定的に理解することを求める
- メンバー間のコミュニケーションは4つのパワーの行使で阻害される
- 直接的な抑圧:現場を見に行くな、毎朝歩け
- アジェンダ設定:建設的な提案を行う場合しか議案に加えない
- イデオロギー的枠組みの設定:「考えるな・実行しろ」
- 特定の立場の設定と拡散:具体的にはリーダーの賞賛(リーダー主義)、分権的リーダーシップでさえリーダーは道徳的・精神的・社会的にフォロワーより優れているという前提を置いている=フォロワーはリーダーの提案を受動的に受け入れる行動が期待される
- 4つは相互に連関している
- メンバーがFSのプロセスに置かれる→省察的な活動を控え、組織の肯定的な側面に集中する
- →(1)意図的に組織から距離を取って内省に取り組み人もいる
- →(2)主観的には距離を取りながら現実的に組織規範に沿って行動する
- →(3)支配的な考えを内面化する
- →出世するために、組織が推奨するポジティブな価値観を受け入れることで、自分の経験を選択的に編集し、愚鈍なマネジャーに合わせる行動を取る。
- FSはどういう帰結をもたらすか?ポジとネガがある
- プラス面:個人=確実性の感覚をもたらす、キャリア形成に集中できる+組織=批判的思考に要する資源・コストを下げられる
- マイナス面:個人=自律性の低下、懐疑的態度→コミットメント低下+組織=問題回避や誤認(銀行のサブプライム問題への疑問封印)
- FSを見直すきっかけは大災害・大失敗。
- 学者の世界ですら同じ。狭い分野でトップ誌に載せることだけを目指し、社会的に有用なことを述べられない。
- 研究課題:FSが時間の経過と共にどう変化・進化するか、問題提起能力は時間の経過と共にどう発達するか、FSと理性的行動は共存できるか
この概念は正負両面あることが、面白さであり扱う難しさでもある。
2023/02/03
Karimi-Ghartemani, S., Khan, N. & Esfahan, A. (2020) Developing a framework for organizational stupidity, Journal of High Technology Management Research, 31
- 何も考えず、自分の仕事の状況を批判することもなく、ただ仕事をこなすだけの満足度の低い従業員が多数いる→なぜこれらの組織は仕事の効率が悪いのか?
- Organizationa Intelligenceには組織に不満をもたらす負の側面がある(OSと命名)。
- Albrecht(2003):知的なメンバーが愚かなふりをするのは、支配的な組織文化が原因。
- group stupidity=組織内の知的なスタッフが、より高い職位を得ることにつながる自身の能力向上ために、チームワークに参加することを避ける状況
- Paulsen(2017)のOS定義:仕事をするために考えすぎないように努力するメンバー・マネジャー
- OS定義の変遷
- Albrecht (2003) = Smart people that pretend to be stupid
- Ercetin et al (2007) = Avoid to participate in team working, in order to enhance their own capabilities
- Alvesson & Spicer (2012) = Employees refusal to use intellectual capacities
- Paulsen (2017) = Endeavor to not think too much in order to do their job
- Alvesson & Spicer(2012)の貢献=OSを、説得の経済性、象徴的操作、愚かさの管理、愚かさの自己管理の4概念で説明した点
- ただし、実証されていないことが問題
- ↑そもそも実証が難しい=無反省的概念(自覚のない概念)だから(サルトル)⇔反省的概念=その人自身が自分の仕事を自覚している自発的行動
- Paulsen(2017):初の実証研究
- 批判的思考がOSに対抗できる
- 知性はどう理解すべきか?:(1)個人の学習能力、(2)個人の環境適応能力、(3)抽象的な概念を処理する思考力
- Stupidityはどう定義すべきか?:知識と意識の両方の欠如
- この時の知識は、主要される知識(=存在しない知識):例=地球は温暖化しているが、その確実な理由は不明
- この含意は、人間は簡潔な知識を持つことで深い無知を隠す
- OSは組織的知性の欠如を意味するか?:知的な組織は同時に愚鈍=相互連関する概念
- マネジメントファッション:定義が曖昧であるために、社会に浸透し、用語が一般化するにつれて、その曖昧さのパラダイムはさらに強化され、より複雑さを伴う。
- 組織や社会におけるうまくいかない議論のこと→用語のリストが出版されやすい
- CTの定義:証拠に基づいて評価し、意思決定する能力や傾向
- CTには認知的側面と情意的側面が含まれる
- OSの4段階
- 愚鈍さのない組織:CTが上級管理職にとって魅力的なツール、メンバーにもCT教育が行われる。ただし、仕事のスピードは落ちる・パフォーマンスの低い組織になる可能性がある。
- 愚鈍さのレベルが低い組織:メンバーが自分の仕事、なぜそれをやるのか、仕事の結果はどうなるのかについて無関心な状態=時給労働に多い→マネジャーが斬新なアイデアを出して実行に移そうとしても、メンバーは消極的で決められた仕事をこなすことを好む。
- 愚鈍さのレベルが高い組織:マネジャーがメンバーの愚鈍さを助長し、メンバーに葛藤や疑念を許さない職場。規律を守り、安定した組織構造を作って、生産性を最大化しようとする。メンバーがマネジャーの指示に従うインセンティブスキームを作る。→FSが起こる=管理されたStupidity
- 完全に愚鈍な組織:メンバーがCTを問題行動で不適切と思う職場(=自己管理されたStupidity)。メンバーのマインドセットを作ることがマネジャーの役割。→メンバーは自分たちの組織が優れた職場と思い込む。→組織はポジティビズムで満たされる。
- OSプロセス
- 省察的行為=管理されたStupidity→認知能力の抑制
- 非省察的行為=説得の経済→シンボル操作→自己管理されたStupidity→認知能力発揮の抑制
- →組織適応→組織満足度→組織メンバーの団結→OS
2023/02/02
Karimi-Ghartemani, S., Khani, N. and Isfahani, A. (2022) Designing a Conceptual Model for Organizational Stupidity Using a Combination of Grounded Theory and Interpretive Structural Modeling, Iranian Journal of Management Studies, 15(3): 549-568
- OSを明確に定義するのは難しい。
- Foolishmess=考える前に行動する意思決定プロセス、不明確なゴールを持つ複雑な組織で起こりやすい
- Ignorance=知識生産の陰で2段階ある、知識が増えるとわからないことも増える、人は知識不足による無知を隠す傾向がある
- 第1段階=未知の知識
- 第2段階=反知識、無視される知識 ← Supidityの定義に近い=正誤がわかっていて誤ったことをする
- OSは組織的病理:組織文化の影響で知的なメンバーが無知のふりをすること、これはメンバーのスキルを組織内で隠してしまう。
- Group stupidity:知的なメンバーがグループで働きたがらない・知識を共有しようとしない
- Functional stupidity:創発性を抑制する規律・ルール・規制を増やすこと、協働を制限したり情報共有を阻害すること
- OSは秩序と安定性をもたらすメリットもあるが、組織の崩壊をもたらすこともある。
- 質的調査:12名の官公庁職員への面接調査逐語録をグラウンデッドセオリーで分析
- 8つの構造化質問を用意:組織コンプライアンス、自己管理の愚行、組織の俊敏性、Economy of persuasion、シンボル操作、マネジメントの愚行、組織的悪影響、無意識の忠誠
- Casual conditions, Contextual conditions, Intervening conditions, Phenomenon, Strategies, Consequencesの6つの概念を生成
- Casual conditions:中心現象の発生や成長を導く立場
- Contexual conditions:戦略の提示や妥当で効果的な条件の提示に間接的に影響する条件
- Intervening condition:戦略を左右する中間要因
- Phenomenon:出来事、考え、状況
- Strategies:既存の環境下で主なPhenomenonを管理するための行動
- Consequences:Strategiesの結果
- Paradigmatic Model
- Casual conditions→Phenomena
- Contextual factors・Phenomena・Intervening factors→Strategies
- Strategies→Conseque
2023/02/01
鈴木宏昭(2022)『私たちはどう学んでいるのか』ちくまプリマー新書
- 能力というのはアブダクションから生まれた仮説である。そこに不適切なメタファーが加わることで、誤った能力観(=能力の安定性、内在性という見方)が広まっている。
- なぜこれらが誤っているのか?人の認知にほぼ普遍的に見られる文脈依存性を説明できないから。よって認知的変化を考えるときに、能力という仮説は不要である。
- なぜ誤った能力感が広がるか?人は原因を探る生き物、内化があると原因を推定したくなる(アブダクション)。
- 知識の3つの性質
- 一般性:いろいろな場面で使える
- 関係性:他の知識とリッチな関係を持っている必要がある
- 場面応答性:知識が必要となる場面で発動・起動されなければならない
- 人間の認知過程、知識の構築過程の研究は劇的に進化した。その鍵は身体化(embodiment)。
- 人がものを知る経験はリッチ(=様々な感覚が総動員される)。
- 知識+感覚情報+感情がリンクして経験を作り出す。
- スキルは環境の存在を前提とする:スキルと実行環境の一体化(環境がスキルの実行を助ける)=自動車の運転スキルは、口頭では伝えにくいが、車に乗ると手順を一挙に実行できる。
- 環境は自分の外部と考えがちだが、自分の身体も環境。
- ある部分で働く部品を良いものに変えても全体のパフォーマンスが上がらない=前後の接続性・適合性が、新たな方法の導入で壊れるから(ある操作の前後の操作は、実行の環境)。
- 発達の定義:加齢による非可逆的な変化(加齢=ある年齢に達することが重要、特別な練習は不要)。
- 制約=膨大な情報から今行うことと関連性の高い情報を抜き出すフィルター。認知を支えるポジティブな面、ひらめきを制約するネガティプな面がある。
- 制約を緩和させるには、失敗が必要。失敗を重ねると制約の強さが減少する。
- 転移はめったに生じない:問題を解くには、認知的リソース(情報、記憶)とそれを用いる状況が提供するリソース(文脈情報)を組み合わせて知識を構築する必要がある。しかし、情報だけを教えていると、応用問題が解けないのは当然(カカオ豆を渡されてチョコレートを作りなさいと言われるようなもの)。
- 細分化された要素目標の達成(スモールステップ)は、元の目標達成の兆候や近接項にすぎず、遠隔項(それらを生み出す原因系)内の複雑な相互依存関係・因果関係の産物。兆候が点在するだけでは、真正の理解にならない。近接項に特化した学習は、形だけの結果の模倣が生み出されやすく、転移の可能性が低くなる(融通が利かない)。
- チェックリスト教育は、やる方も受ける方も満足しがち。ここまでできた、次の課題は何かという雰囲気を作れるから。
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