- 大学の自由は,教師は教室の中で何を言おうが自由,学生は講義に出るのも出ないのも自由という意味で使う。ベルリン大学では,いつ何を学ぶかのカリキュラムが全くなかった。これがフンボルト型大学での学生の自由。
- 大学は国家から独立した組織で,そうした組織には構成員を自分たちで裁く権限があった(大学裁判所)。学生は男を上げる名誉として,大学は裁きを甘くし,市民は歯がゆく見ていた。
- 裁きが甘くなるのは,学生が持つ自由居住権のため。しかし,ベルリンは大学がなくてもやっていけいるとフィヒテ学長は宣言した。
- 当時は多くの大学は,誘惑の多い大都会を避けて地方の静かな田舎に作るのが一般的だった(オックスフォード,ケンブリッジ)。
- フンボルトは,学生を学ぶ学生でなく,研究する学生と考えた点が新しい。
- 大学で教えるべきことは,知識をいかに作り出すか,いかに発見するかという方法であり技法である。
- フンボルト型大学が相手にしていたのは,選ばれた少数の学生だけ。ゼミナールの学生になるには,厳しい選抜試験をクリアする必要があった。
- ゼミナールとは,図書室・資料室とセットになった教室のことである。学生を研究させながら教育するために設計された特別の空間である。学生が研究を発表し,疑問点が出ればすぐ文献にあたり,その場その場で知識を確定していく。つまり,研究と教育の統合の具体的な姿。
- ゼミナール生になると奨学金が出たため,一部の学生には厳しい選抜に挑むインセンティブがあった。
- フンボルトの時代にも,時間割の生活から大人扱いされる大学生になって,万事を手探りで進む不安定な隙間に陥る困難があった。
- 学生がレジャーランドであった背景には,学生を大人として扱う以外に,書籍の普及があり,講義に対する本質的な疑問が生じたことによる。
- 20世紀を支配したフォーディズムは,労働者の賃金が機械の前に立っている時間で決まるものだが,単位制にも影響を及ぼし,何を学んだかではなく,何年在籍したか,何時間教育を受けたかで単位や卒業資格が与えられるようになった。現行の単位制度は,工場労働者の労働時間を基準に組み立てられた。
- フンボルト型大学での教育の自由は,学生を教育するためのものではなく,自分の学説を紹介する場であった。
- フンボルトが克服しようとしたのは,縁故採用による親族大学であり,教授の選考権を政府に引き上げようとしたことである。
- そのために研究業績で教員を採用するようになる。これは,血縁で選ばれる教師を淘汰する一方,業績原理の導入は私講師に厳しい生活を強いる。今の非常勤と同じ構造。
- フンボルトは教授会から選考権をはがそうとした。当の教授会も,閉鎖的な人事を自覚していた。重要なのは,教授会という制度の可否ではなく,その制度を支えている人間の思想である。大学と学問の閉鎖性を回避するには,大学と学問を取り巻く環境との緊張関係が欠かせなく,これを欠くと大学はマンネリとステレオタイプに支配される。
2012/12/18
潮木守一(2008)『フンボルト理念の終焉?―現代大学の新次元』東信堂
2012/12/17
島田次郎(2007)『日本の大学総長制』中央大学学術図書
- 学校教育法には総長の名前はなく,学長が校務を掌り,所属職員を統督することになっている。
- 東京大学は帝国大学になる前の創立時は,東京大学と称していた。その長は綜理といい,2名任命された。当時は4つの学部があり,一人が法学・理学・文学の3学部を,もう一人が医学部綜理であった。創立5年目に,これが一人の長である総理になった。
- 当時の官制では,参謀総長,検事総長など,総長が最高責任者の一般名称であったこと,帝国大学令では,従来の学部がそのまま分科大学(法科大学,医科大学,工科大学,文科大学,理科大学)となり,それぞれに学長が置かれたために,帝国大学長が学長を名乗れなかったことが考えられる。
- 短期間ながら,帝国大学総長は私立の諸校に対して,教育内容・教育方法・教育成果を詳細に把握し,規制することが行われていた。
- 新制大学の学制で総長の制度的根拠は失われたが,東大の評議会は総合大学の長は総長と称すべきと提案されて了承される。その後,7帝国大学総長会議でも総長の名を存置することを申し合わせた。総合大学であることと,これまでの慣行であることが,存置理由の全て。帝国大学の格差意識が示されている。
- 47年以降に総長を使っていたのは,東大・京大・阪大。しかし,91〜92年に,東北・九州・名古屋・北海道で総長が復活した。これも7大学学長会議で提案されたと言われ,特権意識がわかる。
- 私立大学の学長制は,
- 法人教学一体型(一元型):総長=理事長・学長,三位一体,早稲田・慶応・法政
- 法人教学分立型(二元型):総長・学長⇔理事長,亜細亜・関西・上智・日本・立命館
- 法人教学分立型(三元制):理事長⇔総長・院長⇔学長,青山・関西学院・専修・中央・東海・同志社・明治・立教。
2012/12/16
鈴木亘(2010)『年金は本当にもらえるのか?』ちくま新書
- 年金制度が頻繁に変わるのは,将来財政が維持できないことがわかると改革を行わなければならないから。
- 基礎年金の設立目的は,制度の共通化・一元化ではなく,国民年金の財政支援にあった。
- 賦課方式は百害あって一利なし。設立当初は積み立て方式で運営されていたが,いつのまにか賦課方式になった。その理由は,政治家・官僚が無計画に年金積立金を使ったから。使い道は,高齢者への年金振る舞い,天下り先へのプロジェクトや福利厚生。歴代の政権は,人気取りのために年金受給額に見合う保険料引き上げを行ってこなかった。つまり賦課方式とは,自転車操業のこと。
- 賦課方式の下では,高齢者/現役比率と保険料負担は完全に比例する。高齢化率の予測は,2070年の85%までをピークに,60年で50%以上も上昇する。ピーク時は,現役1.17人で高齢者1人を支える状態。現役に主婦や失業者が含まれると,勤労者負担はより高くなる。
- 少子化対策は,意味がないわけではないが,年金財政に影響する高齢者/現役比率は,当面影響を受けない。
- 年金は保険であるから,税金での調達は論理的におかしいが,国民年金の空洞化が深刻なため,いっそ消費税で徴収すれば未納・未加入問題や三号問題が解決し,年金受給者からも徴収ができ,世代間問題を多少改善できる。さらに,保険料徴収業務も大幅に縮小できる(行政コスト削減)。
- それでも未納対策を行うのは,厚労省がもつ年金財政予算の権限を維持したいため。
- 人々が努力せざるを得ないような制度的仕組みを,コミットメント・デバイスと呼ぶ。25年保険期間がそれにあたる。しかし,25年納付の給付額は,都市部では生活できず(4.1万円),コミットメント・デバイスとして十分機能しない。ここに,10年を加えれば,未納・未加入を助長するだけ。そして,将来の生活保護財源を圧迫するだけ。
- 有限均衡方式とは,100年後に積立金がなくなるように,今ある積立金をどんどん取り崩すこと。なくなった時点で,今の年金をいったん精算し,以降は新制度として高保険料・低給付を行う。これは反発を招くので,難しい言葉でごまかす。
- マクロ経済スライドは,要するに給付カットだが,実際には発動されていない。18.3%保険料固定をした時点で,財政均衡のためには給付カットしかないが,これも難しい言葉でごまかす。
- 積立方式はインフレに弱いといわれるが,これは規制金利時代なら正しい。今は,インフレになれば,その分長期金利も上昇し,資産価値の目減りを防ぐ(フィッシャー効果)。銀行も預金を獲得する競争のために,インフレ分金利を上げなければならない。実際,デフレで資産価値が上昇して嬉しかったというわけではなく,実際は低金利で資産価値は上がらなかった。
2012/12/15
宮田由紀夫(2012)『米国キャンパス「拝金」報告 - これは日本のモデルなのか?』中公新書ラクレ)
- 大学は医療と同様,経験財である。売り手と買い手の間でサービスの質に関する情報の非対称性があり,かつその便益は購入してすぐにわからず,将来に渡って生じる。さらには,通常は1回限りの購入で,しかも一括購入である。悪いと思っても途中で買い直せない。
- そこで,医薬と同様,認可されたものだけが販売される。また,非営利で運営しなければ,消費者がだまされたり買い控えたりする。質に関する情報がなければ,低コストで低質な教育を行うものが残る逆淘汰も起こる。
- 有名大学では,子供が生まれると寄付がはじまり,受験・合格でピークになり,不合格で寄付が減る。スポーツ推薦などで入学しやすくなり,実際にそうしたメリットがあるから寄付を行う。
- 日本のAO入試では,プライバシー・個人情報の保護のために,思想,生活信条,尊敬する人物などを聞けない。APを定めても,そうした受験生を判別することはできない。逆に,一般入試では得点のみが有効で,APは機能しない。
- テニュア審査は就職して6年目に行われ,認められれば8年目から昇進,だめなら7年目に食を探して8年目からは去る。テニュアを取れる確率は,平均で50%。
- テニュアを解雇する条件は,財政難が正当に証明された場合,学生数の減少で学科廃止が正当に示された場合,明らかな職務不履行や違法行為の時。
- 非営利組織は,利益の極大化ではなく,収入の最大化を目指すために,そのために費用の増加もいとわないという拝金行動が働きやすい。
2012/12/05
松田久一(2012)『成功と失敗の事例に学ぶ 戦略ケースの教科書』かんき出版
- ビジネスの成否は,環境の差,戦略・ビジネスモデルの差,運・偶然性の3つで決まる。従って,市場や環境を知り尽くし,優れた戦略アイディアを構想すべき。
- 戦略パラダイムの基本の型は,経験曲線とBPM,SWOT分析TOWS発想,競争優位,RBVコアコンピタンス,機動戦略の5つ。
- SWOTでは,何を基準に機会と脅威,強みと弱みを分けるかは,分析者の判断にゆだねられる点が難しい。
- 戦略の発想は,帰納でも演繹でもなく,類推法からしか生まれない。自分の体験や知っている事例に依存するため,個々人のものとなり,これが独創的な戦略に結びつく。
- SWOTの際は,どのフレームで分析するか(3CかPEST),SO・ST・WO・WTのどのオプションを取るか,どうマーケティング戦略を組み立てるか(4P=製品ブランド,価格,プロモーション,流通・営業)。
- 競争戦略の際は,中途半端が厳禁。コストも差別も両方は不可能であることが実証されている。
- RBVでは,経営資源をリストアップして,VRIO(価値・希少性・模倣可能性・組織)の観点で評価した後,横軸に強みの経営資源・縦軸に市場を置く資源ポートフォリオを描く。
- 機動戦略は,新規市場創出,フリーミアム,ロングテール,破壊的イノベーション,多次産業化という裏をとる。(対応するライバルはそれぞれ,既存市場深掘,コスト優位,上位集中,持続的イノベーション,産業内競争)。
- 機動を成功させるには,まず機動ありき,起動した先で布石を打つ,ライバルが対応できない攻め方で市場を主導する。
- 戦略は実行されて目的を達成できる。実効性を高める鍵は,戦略と組織文化の適合性。トップダウン,現場主導,ミドル主導に合わせる。特に日本はミドル主導が多い。つまりミドルがボトムを育てる。やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ。
ここで登場する事例は,スケールメリットの働く製造業・小売業ばかり。スケールメリットが働かない業種や,非製造業では戦略論は適応できないなのか,という疑念を残す説明となっている。
2012/12/04
大鐘良一・小原健右(2010)『ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験』光文社新書
- 宇宙飛行士の選抜で重視する点は,
- 時間内に決められた作業を,きちんと達成できるように,集団をコントロールできるか
- チーム内に意見の対立があっても,それをまとめて,課題を遂行できるか
- チームに目標を示し,それに向かって作業を進めることができるか
- リーダーからの指示を正確に実行できるか
- 必要な場合,リーダーに対して適切に意見を述べることができるか
- 宇宙飛行士に求められる資質は,
- ストレスに耐える力
- リーダーシップとフォロワーシップ
- チームを盛り上げるユーモア
- 機器を乗り越える力
- 自らが日々積み重ねてきた努力を信じて,自身を誠意を持って伝えれば,相手の心を動かし,自らのペースに引き込むことが可能である。
- 面接とは,つまるところ,この人間と一緒に働きたいかどうかを見ている。
2012/12/03
飯田泰之(2012)『飯田のミクロ 新しい経済学の教科書1』光文社新書
- 経済学思考の源に個人主義があり,これは個人の集合が社会であるという考え方。個人の嗜好や判断を,他人の嗜好・判断を阻害しない範囲で,最大限尊重する。これにより,個人の満足度とは別の社会的価値を排除する。
- これは,価値判断から一歩引き,どの価値観に基づく目標に対しても,政策・制度の設定が可能になる。
- かつては,労働価値説など,商品に客観的な価値があると考えていたが,今は主観価値説に基づく(ステーキの価値は人によって違う)。
- 個人主義に立てば,個人の選択は常に合理的。これは,自分にとって主観的により満足な状態を得ようとして行動しているという意味で,合理的と考える。
- 無料であった時に人がほしいと思う総量が,全体の存在量よりも多いとき,その対象は希少である。
- ある行動をするか否かを,主観的な損得を比較して行動すると考える(インセンティブ)。
- 裁定取引が消滅することは,ノーフリーランチの原則。金融市場では,購買力平価説と利子率平価説に現れる。
- 長期定常状態とは,仮想的な状態を指す。この長期は日々変化する。無限先以外は,短期。
- 購買力平価は,1ドル50円になり,アメリカで1万ドルの車を買って,日本で2万ドルで売る裁定が可能になったとき,ドル資金の需要が上がり,ドル高へ調整が進む。こうして,購買力平価レート1ドル100円台後半が長期で実現される。
- 実際には,現在1ドル80円で,購買力平価レートへの調整が進まないが,これは金融市場の影響が大きいため。このときは,物価差に応じて為替レートが決まるのではなく,為替レートに応じて物価が変化する。
- 先の例では,アメリカで車の価格上昇で,日本で車の価格低下で調整する。
- 100万円を,2%の日本と4%のアメリカのどちらで運用するか。アメリカで運用して換金する裁定は成立せず,現在の為替レートが将来も同じという予想が間違っている(利子率平価)。
- 高金利の国の通貨に上昇トレンドがあるわけではない。高金利の国の通貨は,現時点で将来より相対的に高くなっている。
- 2財の機会費用は逆数であり,2国で機会費用を比較すれば,両財とも比較優位はありえない。
- 生産フロンティアの傾きは機会費用。
- 少ない家庭で導く結論は汎用性が高い。自然な仮定から導く結論は信頼できる。
- 個人の幸せを考える際には,他人の満足度に左右されないと仮定する。理由は,とりあえず問題ないことと,他人の不幸は蜜の味といった規範に配慮する必要がないこと。
- 所得が上がると消費も増える=上級財,消費が減る=下級財,価格が上がると需要が増える=ギッフェン財。
- ある財が超過需要なら,他の財の中に超過供給になっているものがある=ワルラス法則。
- パレート最適は,適切な配分のための必要条件。満たす最低限の条件を与えるもの。社会科学で,十分条件や必要十分条件が導けるケースはまれ。
- 競争均衡はパレート最適=厚生経済学の第一定理。
- いかなるパレート最適も,適当な初期分配から競争均衡として実現可能=厚生経済学の第二定理。財の消費量を政府が決めるより,初期保有点の再分配と自由な取引が最適分配を達成する。現物支給より,セーフティネットの下で競争する方がよい。
- 余剰分析の際は,人間の経済的なうれしさが,どれだけ高く売れたか,どれだけ安く買えたかで決まり(幸福が金銭で計れて,1円の価値は誰にとっても同じ),異なる人間の間でその損得を演算できる仮定が必要。
- 価格を戦略変数とする競争は,企業にとって不完全競争のうまみがなく避けたい。回避の方法の1つがコミットメント。独占的な回避方法は,ニッチと差別化。
- 自然独占(費用低減=固定費用が大きすぎる)の多くは,インフラ事業だが,その全てが費用低減とは限らない。多くは,供給網がそれ。そこで,そこだけ独立公益法人にして,その他を競争させる(発送電分離)。さらに残った独占部分には,他地域の同業他社との比較による適正価格以下を求めるヤードスティック規制,適正価格をインフレ率+標準的技術進歩率に設定するプライスキャップ規制がある。
- なお,限界費用規制や総括原価方式(=平均費用規制)もあるが,政府が企業の費用関数と需要関数を正確に理解する必要があり,企業は需要予想や人件費を高く設定する報告をしてしまう。
- 再分配は,パレート改善になっていない,直ちに正当化できない。しかし,第二定理では,再分配の重要性が示される。
2012/12/02
柴田義松(2006)『批判的思考力を育てる―授業と学習集団の実践』日本標準
- 9歳の壁:抽象概念を表す漢字が増える,2つの数・量の関係を表す分数が出る。
- 日本の学校は,知識を教えるが,知識の獲得の仕方はあまり教えてくれない。詰め込み教育の問題点は,詰め込めないことにあり,詰め込めない詰め込み教育が,子供に非人間的な過剰な努力を強いている。
- 学問とは,問うことを学ぶこと。教師が問い,子供が答える授業を,教師が見直す必要がある。何を問うか,価値ある問いは何かを教えることが,教師の必要性。
- 問い心を育てるには,師問児答から児問児答へ,学習題材を現実性のあるものに,対立意見をたたかわせる討論学習が必要。
- なぜ集団で学ぶのか。労働と学習はもともと一体で,集団的なものであった。教育の基本的目的は,人間を労働のために準備することである。
- 国語の時間数は多いのに関わらず,読み方の力がついたという実感がわかない授業が繰り返されている。読み方には,文章の構造をとらえる,表現性をとらえる,視点(語り手の区別)をとらえる,人物をとらえる,文体をとらえるを教えなければならない。
これを見ると,学習集団を作る上で,大学の週1回授業は制約が大きい。これでは同様の学習集団づくりは困難だろう。
また,いろいろ批判してるものの,著者が指摘していない問題として,教員養成の問題が大きいと思われる。本書で指摘されるような批判的思考力を持たないまま教員になるのであれば,どれだけ本書のような知見があっても追いつかない。
2012/12/01
児美川孝一郎(2011)『若者はなぜ「就職」できなくなったのか?―生き抜くために知っておくべきこと』日本図書センター
- 高卒の内定率は,90年頃の7割から,2010年頃の3割まで大きく減った。家計が許せば,進学へ進路を切り替えられる。この進学が,日本の高卒無業の放出を防いできた。
- 教育は,経済,雇用,社会保障などと同じ,社会のサブシステム。どこかのサブシステムが機能不全であったり,大きく変容すれば,教育もその影響を受ける。
- 高校の就職推薦を,学業成績と生活態度に基づく校内選抜で行うことで,就職希望者が多い高校における学習モチベーションを維持する機能として作用した。
- 終身雇用,年功賃金,企業別組合というメリットの背後には,中小企業の大卒者確保困難,女性の排除,調整が不能,新卒就職以外の疎外,家族型企業・過度の忠誠心というデメリットがあった。つまり,保護や育成と引き替えに,支配に服従があった。
- もう一つ,企業が,トレーナビリティを重視するために学校歴に注目した結果,学校は職業的レリバンスを失い,ランク上昇のみを目指すようになった。
- 今のキャリア教育は,学校から職業への移行を構造的にとらえておらず,意図的に付け焼き刃の教育になっている。
- それは,相変わらずの正社員モデルであり,エンプロイアビリティで着飾って,勝ち組コースへ進めというキャリア教育である。
- 正社員の絶対数が決まっているのであれば,正社員を外れたときにいかに準備するかという教育こそが重要。正社員になれなかったことを自己責任にしてはあまりに酷。
- 若者がフリーターが容認するのは,自分がフリーターになる現実を認識しているから。自分を納得させて自分の尊厳を守っているだけ。
- キャリア教育は,社会理解,職業理解,労働理解こそが出発点。日本の労働をリアルに学ぶこと。
- 仕事をしないうちから,職業と自分のマッチングをはかることは,発想が逆転している。やりたいこと探しは危険。
- オーストラリアのように,中等教育の職業教育は,普通高校と職業高校,専修学校,職業訓練機関の連携で充実させる。全て1校で行うことは,資源の観点からも無理で無駄。
- 自立とは,一人で何でもすることではなく,他人に上手に迷惑をかけること。
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