2009/11/17

芹沢一也・荻上チキ・飯田泰之・岡田靖・赤木智弘・湯浅誠(2009)『経済成長って何で必要なんだろう?』光文社

 本書は、評論家による日本の社会問題、特に労働問題に関する意見をまとめたものである。経済成長の必要性を率直に示した点は評価できるが、本書は全体的に社会の問題を評論家がさまざまなレトリックで説明する言葉遊びに終始しており、示唆に富むものではない。評論者の個人的な満足を高めるための議論と言えよう。
  • 若者論の多くは、だらしない若者に対する説教であり、まるで彼らが自分自身の環境をすべて自分で決定できるかのように、彼らが心を入れ替えさえすれば問題が解決するかのように論じている。
  • 日本の公共事業は、ある段階からお金を配る手段としての公共事業に切り替わってしまった。
  • 経済学者は、個人の直面する問題解決は個人問題と思っている。しかし、公害問題は社会的問題だから社会的に解決しないといけない。
  • 電話の取り方一つもOJTで行うなら、OJTの機会がない人はいくつになっても電話の取り方がわからないまま。
  • 平均的に生産性は2%程度で伸びていく。作るモノの量が一定であれば、2%の人がいらなくなっていく。実質で年2%以上成長しないとどこかにしわ寄せが行く。
  • 日本は、社会保障システム全体が、正社員をベースに作られている。会社による福祉を前提としていたのに、非正規という働き方が生まれた状況に国が追いついていない。
  • 企業福祉、家族福祉、公的福祉のうち、前の2つがしぼんで隙間が目立つようになってきた。
  • 企業活動は富を拡大するため、富の分配は政府が行う、という役割分担が重要。
  • 均等待遇を実現するには、生活の支出を下げる必要がある。子供の学費を払う前提を壊さないと、山型賃金は壊れない。
  • 日本は正社員への優遇、補助金が大きい。退職金の所得税。
  • 教育以外はお金で代替すべき。子供は自分の教育水準を自発的に選択することができないので、教育クーポンを出す、手当を払うなどが必要。