- 現代は、高い学歴水準にある親たちがいるにもかかわらず、18歳の進路選択時に2人に1人が大学短大進学を希望していない。昭和の日本人を駆動した子供は親より学歴が高くなると言う学歴や受験に対する心構えが、現在では失われている親子がいるということ。
- 日本の社会では、大学側の門戸の広さ、少子化による18歳人口の漸減、大卒者を受け入れる雇用数、高校生の進学希望、親の進学希望など、どの要素をとっても、進学率50%あたりで均衡するように作用している。
- 子供の学校教育に熱心な親をつくるために、まず親が学校教育を受け直しましょうという政策提言は笑い話?
- 人生のスタートラインにあるものの中で最も注目すべきなのは、親の職業や経済力ではなく、親の学歴という発想。
- 学歴が地位の本体として親子をつなぐ。日本社会で学歴にの働きが際立っているのは、(1)欧米のような職業に基づく階級区分がない、(2)大卒層と非大卒層を分ける学歴分断社会が長く続き、その分断線が子供の教育の影響し始めている、(3)雇用の流動化で職業の階級としての重みがなくなってきているため。
- 中高生の多くは、将来の見通しを立てられないと考えており、就きたい職業の具体的イメージを持っていない。確実に見通せるのは、数年先のどのような学歴を得るかというところまで。また、自分の親について職業や収入をあまり知っておらず、出身階層を自覚できていないが、親の学歴だけは知っている。
- 近年の教育格差現象の主成分は、大卒再生産を目指す大卒の父母の数が大都市部で増えてきたこと。お受験を目指す親の大多数は大卒で、非大卒のリスクを減らす戦略。
- 親が大卒であれば子供の大学進学を願い、親が高卒層であれば子供が高卒であってもかまわないと考える。こうした過程の進路選択が集積した結果、社会の真ん中に学歴分断線が引かれ、世代から世代へ受け継がれていく社会に直面している。これは、良いか悪いかではなく、日本社会の実像。
- 高校生の多くは、20代までしか見通しを持っていないため、自分の将来に保証のない投資としての大学進学より、高卒学歴の人生が不利だと思っていない。しかし、30〜40代の大卒のメリットは明瞭。高卒は不安定な人生を強いられる傾向が強い。高卒の親世代は、それでも早く社会に出て技能を身につけることで生活できたため、我が子も同様に生活できるはずだと考えてしまう。
- 高卒の利点は、大卒者が在学中に仕事上の技能を磨き、地位を上げること。自分探しに使ったり、アルバイトをするなど、ハイリスク。
2009/11/26
吉川徹(2009)『学歴分断社会』ちくま新書
本書は、今日の社会の様々な場面で発生している格差の源泉に、学歴の差が存在することを主張するものである。