2009/12/25

IDE, No.514, 2009/10, 私立大学の価値観

  • 小規模大学(入学定員800人未満・学部収容定員3200人未満)の課題と戦略
    • カリキュラム編成・学科改組に機動性があり、新しい学問動向を機敏に取り入れ、学生定員の増減に機敏に対応する。
    • アットホームは雰囲気で、学生間に連帯意識を醸成しやすい。
    • 教員が学生に密着し、丁寧な教育を行える。
    • 資金量が少なく、外部資金獲得を急がなければ、研究面で遅れをとる。
    • 職員が少なく、一人一人が精鋭になる。
    • 教授会・理事会の意思決定が迅速で、意見がまとまりやすい。教職員が互いに協力的で教職協働が充実している。

2009/12/18

鎌田浩毅(2009)『一生モノの勉強法―京大理系人気教授の戦略とノウハウ』東洋経済新報社

 本書の基本的なメッセージは、勉強は人から認められたり成功のために行うもので、見栄や自己満足のためにやってはいけないという点にある。勉強は場当たり的にやるものではない。よって、勉強は常に戦略的でなければならない。第1章だけ読めば、そのエッセンスは理解できるだろう。後半は、いわゆる鎌田メソッドで、著者の経験が語られているにすぎない。
  • 仕事のための勉強には3つの能力を磨く。
    • コンテンツ能力:商品に関わる膨大な知識
    • ノウハウ能力:時間内に仕事を進めたり円滑に行うなどの、仕事のやり方
    • ロジカルシンキング:なるほどと思わせるよう、最終的にデータを論理立てる作業
  • 大学の講義は3分間スピーチで話す。
  • パソコンはアウトプットに使う。インプットに使用すると、時間を浪費しがち。

2009/12/17

河添恵子(2009)『エリートの条件―世界の学校・教育最新事情』学研新書

 本書は、世界の学校の事例を紹介したものであるが、事例紹介にとどまり、タイトルにあるエリートの条件を語るには考察不足な点が残念である。世界の多様な教育事例を表面的に知るには良い本であるが、エリートを考えるには、学校教育の事例紹介では不十分であり、社会背景や労働市場の特性など需要サイド・供給サイド両にらみで考える必要がある。
  • 世界ではエリートとは、何かの分野でトップリーダーとして活躍している人たち、エリートの条件は、ミッション、ビジョン、パッションを持っていること。
  • 教育に関する機会の平等の考えは、学力の差がある生徒が、一緒に机を並べるのは平等ではない。フランスでは、画一的に扱われることは、平等ではなく不平等と考える。
  • 世界の学校はコミュニケーションを重視し、様々な方法で早くからそのスキルアップを図っている。ディスカッションでは、ある物事についてみなで意見を出し合い、異なる意見を出した人の立場も尊重しながら、一定時間内に「個人」で答えを見つけ出すパターンが主流。日本では、子供=個人に答えを出す訓練をあまりさせない。

2009/12/16

中原淳・金井壽宏(2009)『リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する』光文社新書

  • 内省と対話で学習が個人間で連動していけば、組織学習となる。
  • 管理職になりたくない症候群
    • まだここで一皮むけたくない:担当者として一人前なのに、管理職になるともう一皮むけないといけない、一人でやる方が気楽
    • 管理職になると損をする:時間的・金銭的にプアになると予想
    • 現場にもっといたい:慣れ親しんだ第一線と距離を置くのが寂しい
    • 管理という言葉が情けない:人を鋳型にはめる、プレッシャをかけるなど管理の仕事には憂鬱感がともなう
    • 仕事を他人に依存する不安:仕事のできばえが他の人のがんばりに依存するのが不条理・不安
  • 働く大人は職場にいる人との「かかわりと支援」を通じて学び、仕事をこなせるようになる。人はひとりで一人前にならない。
  • マネジャーは、「自らのイニシアチブで何らかの絵を描いて、その実現のために人々を巻き込む」リーダー的要素があるかどうかを試される。戦略発想で実現していく変化であり、既存のシステムを壊してでもリーダーシップを発揮し、最後までやり抜くことが求められる。
  • プレイングな状態にあるマネジャー以外に部下は育てられない。
    • 認知的理由:マネジャーの行動の観察を通じて部下が学ぶ。
    • 情動的理由:プレイしているあの人が言うからそうだろう、と腑に落ちる。
  • 部下の育成は、常にインプロビゼーション。
    • タイミング:教育的瞬間を外した経験の語りは説教になる
    • 失敗経験
    • プロセス:5W1Hと自分が感じたこと、教訓を語る
    • 吟味と反論の可能性を与える
  • Kolbの経験学習モデルでは、何よりも経験の質が重要。
    • 連続性の原理:いかなる経験も、引き続き起こる後の経験の質に影響する
    • 相互作用の原理:経験は個人の内面だけで進行せず、個人と環境の相互作用によって起こる
  • 成人の能力開発の7割は現場の経験による:研修か現場かではなく、現場の経験をリフレクションする機会を持つこと
  • ワークショップで行うエンドロール内省
  • 心理的安全が低いと、人は変化するのをためらう。攻撃されるのではないかと恐怖におびえる状況では挑戦しない。研修は、安心して主観を語る場所を確保するためにあってもいい。
  • リーダーシップが発揮できるようになる上で有益なのは、仕事上の経験、上司・取引先との関係を通じた薫陶、研修がそれぞれ、7,2,1。
  • マインドセットを変える教育はできない。マインドセットを変えたいと願う人たちの場を作ることはできるかも。
  • 経営理念は、2つの機能を持つ
    • 成員統合機能:(1)行動指針・緊急時の問題解決の拠り所、(2)一体感醸成、(3)コミットメット引き出し
    • 社会的適応機能:(1)変革を進める拠り所、環境変化適合機能、(2)変化の中で組織の存在理由を維持する、正当化機能
  • ミッションマネジメントでは対話が重要。あえて曖昧でどうとでも解釈可能な理念を従業員に示し、その理念を解釈する機会を職場で持ち、従業員同士が自分の仕事の中に理念に関連する出来事があったかどうかについて対話する。
  • 競争優位を獲得するには、ポジショニング、資源ベース、動的能力の3つの視点でアプローチする。
  • 人事部門の役割は、戦略のパートナー(重要な会議にいつも出て戦略策定と実施の両面で支援)、変革の促進者(自ら変革して存在意義を認めてもらう)、能率のエキスパート(採用・給与計算)、従業員のチャンピオン(声をキャッチして会社のために声をあげる)
  • 人事部門はサーバントリーダーたれ。本気で相手の要望を聞けること。
  • 緩いコミュニティの方が、キャリア確立に寄与する。その理由は、なぜここにいるか、何を目指して来ているかを考えざるを得ないから。
  • 社会の勉強会で最先端を学んだとき、その人は会社のために役立てたいと思っても会社の事業の枠を超えているとき、本人は成長したと思っても、上司や同僚はそれを快く思っていない。会社の枠をはみ出て学ぶことは、一人の大人として正しくても、会社からは全く成長していないと見られる。この問題は、多くの職場で発生しているだろう。

2009/12/15

セールスコピー

ダイレクトマーケティング(DM)で商売している大手の通販会社でも、お客様の反応率は良くても0.08パーセント。誰でも知っているような有名な会社で商品サンプルを無料で送っても同様だ。

http://diamond.jp/series/sales_letter/10001/

数字の典拠が知りたい。

2009/12/08

佐野享子(2007)「経営学分野を中心とした大学院における大学経営人材育成の可能性 -筑波大学経営システム科学専攻の事例を手がかりとして-」Rcus Working Paper No.1

  • 学生は、4分野のいずれかに属して研究:マーケティング&ストラテジック・マネジメント、ファイナンス&アカウンティング、オペレーションズ・マネジメント、ビジネス・インフォマティクス
  • 経営学と高等教育の教員の共同指導
  • 出身学部が多岐にわたるために、基礎科目を配置
  • 専攻より提示されたプロジェクトのテーマに即した実施計画書等に基づいて選抜され、入学後は修士論文執筆に代えて、教員グループが指導するプロジェクトに1年次から参加
  • 教育目標では、組織の経営における実践(プラクティス)をリサーチする能力の育成に重点を置く(プラクティスリサーチャーの養成)

2009/12/07

佐野享子(2005)「ケース・メソッド授業における教師・学生間の相互作用に関する一考察 ─ビジネス・スクールにおける討論授業での教師の発話に焦点を当てて─」『京都大学高等教育研究』第11号

  1. 教師と学生との応答は、「学生の発話→教師による学生の発話内容の確認」が主体となっており、その後学生の発話内容が十分でない場合の教師の応問、又は学生の発話内容が十分でない場合の教師から他の学生への発問が必要に応じて展開されている。
  2. 授業全体の展開はあらかじめ構想された主題の順序どおりに進められており、それまでの討論内容の要約が教師によって確認されてから次の主題が導かれている。
  3. あらかじめ構想された主題の下位のレベルに位置付く主題は、学生の発話内容によって異なるものが設定されることがある。それらは教師による学生の発話内容の確認の後に新たな発問によって導かれている。
あらかじめ構想された授業の主題の範囲内であれば、学生の発話をもとに、学生の関心に基づく新たな主題が適宜設定され、授業が展開されている。このような授業展開において重要な役割を果たすのは、学生の発話内容を「確認」する機能を果たす教師の発話であるといってよいだろう。

2009/12/04

無謀な目標は、組織の健全性に悪影響を及ぼしかねない

 適切なレベルの目標を設定するための方策として、目標設定のプロセスにチーム・メンバーを参加させる。

 重要なのは、目標を達成する手段をよく考え、協力者の賛同を得ることだ。それには、目標の内容をやたらと細かく決めたり、無茶なスケジュールを設定したりするのは避けるべきである。また、作業の進捗状況だけでなく、その過程もモニタリングする必要がある。人々が現実的だと感じられる目標なら、それは効果的に機能するはずだ

http://www.ciojp.com/contents/?id=00006042;t=0

2009/12/02

大森不二雄(2008)『IT時代の教育プロ養成戦略―日本初のeラーニング専門家養成ネット大学院の挑戦』東信堂

  • 20世紀の偉業は肉体労働の生産性を50倍に上げたこと。21世紀に期待される偉業は知識労働の千三世を同様に大幅に上げること。
  • eラーニングは万能ではなく、eラーニングによって効率的・効果的に学習目標を達成できる部分を判断することが重要。
  • 博士後期課程の設置に伴って、修士課程が博士前期課程になった。
  • 通学から通信への途中変更可(インディアナ)、通信では科目選択が限定的、ポートフォリオ修了試験(FSU)。
  • Certified e-Learning Professionalの5つの専門家の定義:チューター(情報収集、評価手法選択、効果的フィードバック)、トレーナー(メディア選択、クラス運営ルール決定、シナリオ作成)、デベロッパー(コース開発)、マネジャー(プロジェクトの準備、モニタ、指導、評価)、コンサルタント(インパクト、利益、変化を明確に示す)
  • オンライン教育では、修了者が身につける学習成果が明確である必要がある。そこで、先行事例調査に基づき、修了者に求められる職務遂行能力一覧をコンピテンシーリスト(12のコア+7つのオプション)として制定・公開している。
  • カリキュラムは科目間で重複を排除し、前提科目の設定を行っている。
  • シラバスガイドラインに沿ってシラバスを作成し、それを教員会議で吟味・調整を経た上でなければ、科目開発に入らない。
  • コンテンツはレビューにかけられ、公開承認が得られるまで改訂作業が続けられる。
  • 各種調整を行う教員集中会議やレビューは、教員間の意思疎通機能として有効。
  • 全教員の動画自己紹介。
  • 厚生労働大臣指定教育訓練講座の指定を受け、一定条件を満たした入学者へ学費の一部がハローワークから支給。
  • 学会開催時に合宿を実施。
  • 専攻修了で取得可能なプロフェッショナル資格がある。

2009/12/01

IDE, No.516, 2009/12, GPの光と影

  • GPが種別化ファンディングシステムの1つであるという割には、研究至上主義の大学が多数採択されている実績があるのはどう説明するのか?
  • 国立の申請率は80%水準を維持、公立・私立は初年度60%から30%へ低下、短大は10〜30%。私立は、旧制度下で設置された大学の申請率は高いが、2000年前後に新設された機関は低い。多数の学部を持つ国立は申請のカードを多く持ち、小規模大学は一度採択されると次の手が探せない。
  • GPの外部からの評価や関心は薄い。大学関係者の間で評価されても高校生や高校教員の評価に結びついていない。