本稿は、国立大学の最適な収入について考察を加えたものである。収入には、授業料などの自己収入と運営交付金などの公費がある。前者をミクロ的に、後者をマクロ的に分析する。
授業料は一物一価が成立していないのが現状である。教育サービスの価格付けには2つの考え方があり、フルコスト原理と市場での評価が価格に反映される方式であり、本稿では市場での評価で分析する。高等教育需要者の効用をUとして効用関数を次式で表す。
U = UE(e) + UC(c) - US(e)
ただしeは高等教育の質、UEとUCはそれぞれ教育と消費からの効用、USは受験勉強の不効用を表す。所得をy、授業料をpとすると、予算制約は、y = c + pe となる。最大化問題を解くと、
UE' - US' - pUC' = 0 (UE' = pUC' + US':大学入学の限界便益=限界費用)
が得られる。授業料が上がると高等教育授業が減ることがわかる。その結果、大学の収入が増加するか減少するかは、価格弾力性に依存する。これによると、国立大学の授業料の低さはUSが大きいことが反映されており、授業料の引き上げは需要を減らしUSを減らすが、USを減らすために定員を増員することは質の低下を招くため、入試機会の増大で対応すべきである。
大学への公費の投入は、情報の非対称性(商品の品質が取引終了後にわかる、一旦取引を行うと取引前の状況に戻し難い)、費用逓減産業(巨額の固定費による自然独占で過小供給)、外部性の3つで説明される。