2009/06/05

伴信太郎・佐野潔(2002)『臨床の場で効果的に教える』南山堂

 本書は、臨床医が医学生・研修医を効果的に指導できるようその手引きをまとめたものである。

教育とはコミュニケーションであり、そのためには、次の7つのポイントが重要である。
  • 教育の雰囲気
  • 教育のコントロール(進め方・進度・課題)
  • 目標の明確化
  • 理解と定着化の促進
  • 評価
  • フィードバック
  • 自己学習の促進
そして、それを指導する教員には、6つの役割がある。
  • 専門家
  • 権威者
  • 自分の専門領域の面白さを伝える
  • 理想像を体現する
  • 学習の促進者
  • 一人の対等な人間
医学生や研修医は大人であるから、成人学習の原則に従わなければならない。
  • 成人は学習したことをすぐに実践したがる
  • 成人は知識の詰め込みよりも概念や原則を学びたがる
  • 成人は自分自身の学習目標を立てることを好む
  • 成人は自分の行為を評価するのに役立つフィードバックを好む
さて、教育で難しいのがプラス・マイナスのフィードバックの与え方であるが、ここでは3つの特徴を指摘する。
  • フィードバックは評価的ではなく、描写的
  • 可能な限り具体的
  • タイミングよく(=イベントの直後)
1点目は機器がうまく使えないとき、評価的には「君はずいぶん不器用だね」、描写的には「君が粗雑に挿入しようとした時、患者はかなり痛がってましたよ」。2点目は「君は患者の不安な気持ちに気を配っていたね」より、「君が患者の良性の心雑音と父親の心臓疾患の違いを説明したことで、患者の言葉に出さなかった不安を取り除いたようですね」。

学習者の独立性の度合いと能力には、相関関係があると考えられる。よって、能力の低い学習者には依存性を保ち、高い能力の学習者に対しては独立させる教育方針が望ましい。学習者は過剰な自立を求められると「不安」を感じ、過剰な依存を求められると「欲求不満」になる。