本稿は、初年次教育プログラムの評価方法をまとめた論考である。実際の評価業務に携わる者へ向け、概念と実践的方法論をコンパクトにまとめている。
まず、評価を行うにあたり、どの評価方法にも必ず限界があり、複数の評価方法を組み合わせる等、必ずその限界を認識しておく。次に、プログラムを評価するのか、個人を評価するのかを決める必要がある。前者は平均であるが、後者は固有の情報を持つ特徴がある。時間と費用を勘案して組織に適切な評価方法を決める必要がある。特に、個人の評価とプログラムの評価が逆方向に解釈される時は注意を要する(プログラム→個人の方向で)。
評価には4つの方法がある。(1)Criterion Referenced:要するに、Cut scoreとかMinimum scoreによる評価であり、成果の達成水準を客観的に把握できるものの、どの実践が成果に貢献したかを特定するには非常に限定的な情報しかもたらさない。(2)Value-Added Assessment:要するにAstinのIEOモデルである。Outcome-only、Environment-only、Input-Output、Environment-Outputで評価を行う。(3)Benchmarking:ある成果が、通常期待されるような水準なのだろうか、を確かめるために、他の機関の成果と比較することを指す。基本的にIEOモデルの応用。(4)Prediction Assessment:この方法は、GPAの低迷、退学など目標の達成に向けて達成見込みの低い個人を特定する活動を指す。これもIEOモデルの応用である。
評価でよく聞かれる定性的・定量的という意味について確認しておく。この両者の違いはデータタイプの違いであり、前者が文字の資料、後者が数値の資料を指す。質の高い評価は、必ず複数の観点から複数のデータを用いて行われている。これらを集める方法としては、(1)Institutional Record:IR部門等で収集される大学の基礎データ、(2)Student Interview:収集時間がかかるが、データの質が高く、内容に応じて個別インタビュー、グループインタビューを使い分ける、(3)Student Writing:学生のレポート・小論文・ポートフォリオを集めることで、インタビューよりはデータ数が多く集められる。(4)Survey:マークシート等による授業評価アンケートがこの方法で、入学前調査、初年次成果調査、学生総合調査(行動態度・学習スキル・満足度)、プログラム別調査、特定階層調査、成績振り分け調査・試験、授業評価等がある。