2016/12/28

濱中淳子(2013)『検証・学歴の効用』勁草書房


  • 高卒と大卒は何が違うのか,大卒は自己学習ができる。自己学習が所得を高める。大卒の成長は自己学習によって生じていた。
    • 大学は,自己学習で伸びる人材を育てている(大学教育のキーワードは,応用,問題発見,問題解決)。
    • 自己学習ができる学生を選抜している点は検証していない。
  • 文系の所得は,企業規模と就労時間で決まる。知識能力は有意でない。会社主義・現場主義が色濃い世界。大学時代の熱心な勉強がマイナスにもなる。工学系と逆。
  • 読書離れは進んでいるが,大学は専門書を読ませることで,読書習慣の形成に貢献している。読書週間ができると,卒後の所得を高める。(大学教育の効果の部分。)
    • 大学のメリットは,自らの専門をいったん固定して行動する機会を与えること。読書の出発点としての専門書。
  • 学歴に関して言えることは,
    • 大卒の効用は増大している:賃金は大卒一人勝ち。
    • 大卒は能動的な学習ができる点で,高卒とは異質の人材。
    • 大学時代の読書経験が,経済的効用を高める。
    • 女子にとっての大学進学は,正規就職,非正規就職,配偶者所得の全てで効用がある(オールマイティ)。
    • 専門学校進学は,資格につながるなら効用がある。
    • 院卒の効用は小さいが,教育機能の潜在的有効性がある(フレームワーク思考など)。
  • なのに,(1)一部の人の効用低下発言,(2)問題を見つけたがるメディア報道によって,学歴効用低下が流されている。
  • 早すぎた高学歴化:後発効果の3つ命題(ドーア)。
    • 学校の修了証書が求職者の選別に利用される範囲が広くなる。
    • 学歴インフレの進行が早くなる。
    • 真の教育の犠牲において,学校教育が受験中心主義に傾く。

分析上の問題は,日本は賃金と昇進がリンクしているのに,選抜と読書習慣を扱っていないこと。

2016/12/16

Honeycutt, B. 2016, "Ready to Flip: Three Ways to Hold Students Accountable for Pre-Class Work"


  • Flipped=授業前がブルームの低次領域に,授業中がブルームの高次領域にフォーカスすること。
  • 事前課題は何をするかではなく,何を用意してくるかを指示する。
    • × 1章を読みなさい,ビデオを見なさい
    • ○ 1章の2つの仮説を比較できるようにしてください,ビデオを見てワークシートを埋めてきてください
  • 事前課題をaccountableにする
    • Ticket to Enter:教室に入る際に,文献やビデオの疑問点を3つ書いた紙を出す。
    • Choose a Side:事前課題が対立軸を扱う場合は,指示する側に座ってもらう。
    • Pass-the-problem cheat sheet:覚えることが多い科目の場合,最終試験に持ち込み可能な1ページ要約を作ってきてもらう(他は持ち込み不可)。友達同士でつくることを奨励してもよい。


http://www.facultyfocus.com/articles/blended-flipped-learning/ready-to-flip-three-ways-to-hold-students-accountable-for-pre-class-work/

2016/12/15

Snyder, S. 2016, A Practical Approach for Increasing Students’ In-Class Questions

Prompts to Elevate Students’ Questioning Skills

Level One

  • Contextuals
    • How was X (event, text, work, etc.) shaped by its time?
    • Where did X originate and why?
    • Who was the originator of X and what was he or she like?
  • Definitions and clarifications
    • How do you define X (word, term, idea, etc.)?
    • What does this passage, concept, etc., mean?
    • What would be a specific, concrete example of X?
  • Analyzers
    • What parts or features make up the whole and what does each part do? How do the parts contribute to the whole?
    • How is X organized and why is it organized this way?

Level Two

  • Comparatives
    • How is X the same as that?
    • How is X different than that?
    • How are these more or less similar?
    • What is the opposite of X?
  • Causals
    • What factors caused X to happen?
    • Which of these factors is sufficient? Which contributing or probable? On what grounds can we eliminate possible causes or explanations?
  • Evaluatives
    • What are the most important features of X?
    • Why do you like or dislike X (or agree or disagree with this)? How strong is the case that X is correct?
    • What criteria are best for judging X?
    • What is the best order or priority for these things and why? What is the strongest argument against X?

Level Three

  • Counterfactuals
    • How would X change if this happened?
    • How would things be different if X had not happened?
    • How would things be different if X happened to a greater (or lesser) degree? 
  • Extenders (Synthesizers)
    • How can we apply X to this set of circumstances?
    • What can we predict if X is correct?
    • What ideas should be added to X?
    • What might happen if you added this to X?

2016/12/14

Weimer, M. 2016, Why Are We So Slow to Change the Way We Teach?


  • 教育は変わりにくいデータは多数ある(7割が講義など)。
  • では,なぜ変わりにくいのか。
  • 1つは,変えるということは,人が想像する以上に難しいこと。
    • 教育を変えることは試行錯誤で進むもの。
  • 教え方を変える複雑さを過小評価している。
    • ○○をやればいいという態度がそれを助長している。寄せ集めのアイディアだけが増えて,肝心の改善する方向を見失っている。
  • 一人で取り組みすぎている。
http://www.facultyfocus.com/articles/teaching-professor-blog/why-are-we-so-slow-to-change-the-way-we-teach/

2016/12/05

藤本昌代(2005)『専門職の転職構造』文眞堂


  • 外部の集団への準拠集団選択行動が,個人にとって順機能であるか逆機能であるかは,社会構造の開放性/閉鎖性に規定される(Merton)。
    • 移動の余地が低い場合:所属組織の規範に沿わない行動は,所属集団から排除される可能性がある。
  • 業界トップの研究職の情緒的コミットメント:企業理念の浸透や終身雇用される企業内研究職共通の態度でもない。
  • 専門職が所属組織に対してコスモポリタン的態度であるといわれてきたのは,所与の条件として移動可能性の高さと専門職集団への準拠が想定されていたため。
    • 移動可能性は社会との相対性の中にある
    • 転職することで何らかのメリット(社会的・経済的地位向上,研究環境・権限・社会的意義向上)があり,それが実現可能と予測されなければ,実質的に移動可能性が高いと認知することはできない。
  • 準拠集団(reference group):人が自分自身を関連づけることによって,自己の態度や判断の形成と変容に影響を受ける集団。
  • 予期的社会化(anticipatory socialization):将来参加するであろう社会システムの価値や規範,将来付与されたり独得されたりするであろう位置や役割に関する知識や態度,技能などを学習すること。
    • 比較的開放的な社会構造の場合にのみ,予期的社会化が機能的(Merton)。
    • 比較的閉鎖的な社会構造の場合(=外部集団への移動が困難な状況):外部集団への志向的態度は所属集団から「腰の落着かない奴」として排除され,外部集団からも所属集団からも受け入れられない境界人となる(=逆機能)。
    • つまり,準拠集団選択行動が個人にとって順機能になるか逆機能になるかは社会構造が規定する。
  • 研究者の移動
    • 水平移動:基礎科学系研究者の多様な方面への移動(国立大学,政府系研究機関,ベンチャー)
    • 垂直移動:同分野でのヒエラルヒーでの上下移動(学界・産業界での地位の移動)
  • 相対的不満(relative deprivation):自己の評価に対する基準を他者に合わせることで,自己が不当に評価されていると感じることを示す準拠集団概念。
  • A社の研究者の場合,学界は受け入れられたい集団としての規範的準拠集団であり,自己の地位を確認する比較的準拠集団でもある。
    • しかし自己の地位の非一貫性を痛感させられる場合,彼らは学界を比較的準拠集団とはせず所属組織を産業界における比較的準拠集団として位置づけ,価値の内面化が起こる。
    • 応用科学系研究が学界で低位に置かれる(=研究者が共有する学問的序列意識)→ 研究者たちは相対的不満をもつ。
    • → 研究者の所属組織への愛着には,研究者が共有している学問的序列意識が影響を及ぼしている。
  • 組織の地位は研究者にとって凝集性を高める要素。
  • 移動可能性が低いと予測された場合,研究者といえども組織に依存的にならざるを得ず,組織は存続のための価値客体になる。
  • 外部集団を見ている専門職であるからこそ,自己の相対的な地位が,業界での地位だけではないことを認識している。
    • 業界での地位の方が学界での評価よりも高いことを知る → 2つの所属組織のうち,自尊感情を高める方をより重要な準拠集団として選択する。
    • ← ローカル・マキシマムという非一貫的状態は研究者の自尊感情を脅かし,認知的不協和を起こすものであるため。
  • プロフェッションの定義が時代と共に増加する新しい職業を包括できずに,常に定義づけを堂々巡りの中で行ってきており,その雛論に過度に集中しすぎた。
    • スペシャリスト(⇔はジェネラリスト):ある1つの職務に精通している人。知識・技術の習得形態の違いを表現しているのであって,職業人を指す語ではない。
    • エキスパート(⇔アマチュア):熟練者を指す。知識・技術の習得レベルの違いを表現しており,これも職業人を指す語ではない。
    • オキュペーショナル・プロフェッション(⇔ステイタス・プロフェッション):(1)体系化された専門知識や技術の習得,(2)仕事へのコミットメント,(3)同僚への準拠,(4)職業団体による専門分野の評価システムの存在,(5)標準化されない仕事。
  • 直接生産に結びつかないプロフェッションの基礎をなす科学技術の導入は,民間にゆだねることが不可能。
    • → 最大の財源をもつ政府がその導入のためのスポンサーになる。
    • → 多くのプロフェッションは官僚制という巨夫な機構により,その機構の一部として導入されることが多くなる
    • → 科学自体が講座制という官僚機構の中で育成される
    • → 官で養成して民に放出するをくり返す。(石村 1969:227)
  • マイナスのプロフェッション:人々の不都合に対処するプロフェッション
    • 専門職に援助を求めざるを得ないような不都合がある場合に,クライアントが救済を求めるため,その秘儀的な専門知識により支配関係が成立しやすい。
    • ⇔ プラスのプロフェッション:クリエイティブの仕事。
  • プロフェッションは組織に雇用されていても,(1)自己のアイデアを実行する自由,(2)仕事それ自体,(3)専門分野の深化,(4)役職にこだわらず専門を生かす,(5)というように専門分野を志向しており職業人性の強さを示している。
  • 日本のプロフェッション概念はヨーロッパのようにキリスト教という文化的な背景がないため,キリスト教を背景としたエートスは輸入されず,制度だけが模倣された。当時,社会的地価位が低かった医師や弁誰士の職業威信は,政府の力によって確立されたといっても過言ではない。
  • 科学は哲学からの自立に際して唯一性・普遍性が重要な要素であったため,具体的な技術を厳しく峻別した。
    • エコール・ポリテクニク=工学の基礎として科学を教えるという現在の工学教育の原点となるカリキュラムを考案。→ 科学と技術の一体化というもくろみは,基礎は科学で技術はその派生に拍車をかけた。
    • → アメリカで応用科学を確立。
    • アメリカの研究者は大学という組織より,専門分野に忠誠心をもっている(=所属組織より専門職集団が重要)。アメリカの科学は経験から学ぶことで発展してきたが,アメリカの研究者たちはヨーロッパの伝統的価値意識によって確立された学問に対抗するためにプラグマティックな業績を重ねることで,伝統による正統性や名声に代わるものを手に入れようとした。
    • 日本の植民地化を防ぐために,科学・技術を導入 → 世界で最初に総合大学(東京帝国大学)に工学部を組み込んだ。ヨーロッパの大学が技術を下位に置き,工学部の位置づけを試行錯誤している間に,スムースに科学と技術の結合を行った。
    • → 専門的教育と実践的教育のサンドイッチ方式(工場実習に多くの時間を割いて,技術の習得を重視したカリキュラム)。
    • → 工部大学校:1885年の工部省の廃省に伴い東京帝国大学の工学部と統合され,それにより分科大学として帝国工科大学となって文部省に移管された。
    • → 工学部は帝国大学の他学科の影響を受け,教養主義的な学理伽偏重傾向の工業教育となった。実践できるエンジニア教育が幕を閉じ,工業教育がアカデミズムの中で下位に置かれる。
    • → 原爆による戦争終結+スプートニクショック:アメリカで基礎科学が技術
    • 革新をもたらす素因になるという認識。戦後はヨーロッパが疲弊していたため,基礎科学系研究の源泉となり得ず,アメリカは自国による基礎科学支持の科学政策パラダイムを打ち出した。
    • → 日本の西洋科学輸入:体系化された学問が導入されたために,学問とはそういうものであると誤解してしまった。具体的な問題を解くことによって新しい学問分野を開拓しようとする態度はほとんど見られない。(奥田 1996)
  • 潜在的な移動可能性とは,移動することが可能であると予測できることであり,現実的に転職行動を起こすこととは別。
  • 日本の大学や政府系研究機関は,研究したらそれで満足してしまって,それ以上アイデアがない。アメリカの大学は「こちらにはこういう研究があるが,あなたの研究所とこのような展開をすれば,事業につながるのではないですか」といった具体的なアイデアとセットで売り込んでくる。
  • 人材の流動性を抑制している要因のひとつとして年金制度などの社会保障に関するポータビリテイの悪さがある。
  • 電産型賃金体系:基準労働賃金と基準外労働賃金とに分類。基準労働賃金=生活保障給・能力給・勤続給の3つで構成。
    • 職位が上昇しても賃金が上がらない:肘掛付きの椅子を与えるなど,シンボルで職位の上昇を示す工夫をする。
    • 勤続年数20年未満で他社へ移動することは,退職年金受給資格を失う。

2016/12/02

Dee, J. and Leisyte, L. (2016) "Organizational Learning in Higher Education Institutions: Theories, Frameworks, and a Potential Research Agenda," in Paulsen M. (Ed.) Higher education: Handbook of Theory and Research, vol.31, 275-348.


  • 組織学習:部門が組織にとって有益と認識した知識を組織が学ぶ。→ 知識の創造と活用に関する理論。→ 変革,効率改善(改悪),エンパワーメント(抑圧)を引き起こす+職場の社会化,意味づけ,影響力にも関与する。
    • 学内のあらゆる活動を意味あるものにできる:認証評価などのルーチン,教職員研修,新人の社会化など。
    • にもかかわらず研究蓄積が少ない。← これは高等教育研究が過度に機能主義パラダイムに立つため。= 組織学習を効率性・効果性促進ツールととらえる。→ マネジャーによる組織学習メカニズムのコントロールに注目。
    • このトレンドは,高等教育機関をビジネス組織への加速ツールとなる。
      • eg. 80年代の財政問題
        • 財源や学生を巡る市場的競争を促進 → 民間的運営が普及 → 非常勤職員の増加 → 本部機能の膨張 → 3つの深刻な問題。
          1. 大学の中心的価値を知識創造・公教育から収入増大へシフトさせた,
          2. プロセスと成果の標準化を進めた(教育研究のイノベーションを阻害した),
          3. 執行部と教員集団間の信頼関係を壊した。
  • 機能主義の組織学習の効果
    • データによる意思決定の改善,実践の改善に役立つ新しい知識の導入,合意形成を促進する共有されたメンタルモデルの構築。
    • → 解釈主義も考慮:異なるグループ間の意味づけの理解,組織アイデンティティの形成と保持,職場における価値とコミュニティの感覚づくり,パワーダイナミクスの理解もできる。→ 異なるグループサイロ間で効果的なコミュニケーションをつくれる。
  • 大学=異なる目的を同時に追求=関係者間での合意形成困難。
  • 大学で組織学習が困難な要因:高度な専門性と部署分断,個人の成果で評価,成果に対するフィードバックが貧弱。(分権化,部局自治もサイロ指向を促進,組織統合・協働・学習を阻害。)
    • 大学はそもそもフィードバックループが困難な組織特徴。
    • → (1)学際・プロジェクト活動,(2)自己点検・認証評価,(3)ベンチマーキング,(4)FD・SD・COP,
    • IR室=組織学習の草の根リーダーとしての能力がある。(実際は単にデータ担当部署としか認識されていないが。)
    • IR室は意思決定支援から組織学習促進へシフトすべき:それには,データに対する認識転換が必要=判断の道具→多様な集団間で意味や解釈をする道具
  • 組織学習の関心:
    • 機能主義:個人の学習は組織学習の代理人(組織目的達成に必要な知を求め,それを保存・拡散する。)+学習を促進するメカニズム:IRなど。
    • 解釈主義:学習は対話と相互作用を通じて起こる⇔学習は個人の頭の中で起こる。
    • ポストモダン:学習は影響力の装置で,影響力の小さい部局を周辺化・沈黙化させる。= 学習は全員が同じ考えを持つ手段 → 個人の力を促進する自由な学習になるべき。(ポストモダンは基本的に,集団的な取組に対して懐疑的。)
  • 学習主体:
    • 機能主義:個人かトップ(組織は無生物)→ 個人の和以上の共有知(でなければ退職したらなくなってしまう),行動,メンタルモデル,規範,価値観に保存される(逆に個人が学習してもそれに反映されないものは組織学習でない)。
      • 行動主義者は,組織が内外の刺激に反応できることが学習。
      • 今後の研究課題:個人の学習はどう組織の学習を規定するか,組織の学習はどう個人の学習に影響するか?
    • 認知変化=組織学習,行動変化=組織適応で分離する → 学習せずに行動変化する現象を説明できる(はやりの経営手法の導入など)。
      • この場合,学習は直ちに行動変容にならない。将来の変化への柔軟性を獲得するもの。
      • 学習が組織のメンタルモデルを拡大・深化させるなら,学習は組織の有効性を高める力を持つ。
    • 解釈主義:COP
  • 学習の牽引要因:
    • 機能主義=獲得,解釈主義=参加
    • 機能主義=意図的 VS 解釈主義=生得的
      • → 大学は部局分断なので学習装置なしでは学習できない。
      • → 意図できてなくても付随的に学ぶことはある(認証評価など)。
      • COPは意図的か発生的かは意見が分かれる・どちらもある。
  • ナレッジマネジメント:
    • 機能主義:競争力≠組織の知識,=知識を問題に合わせて再構築する組織の能力。(知識があっても問題に適用できなければ意味がない。)
    • 解釈主義:暗黙知→形式知は問題がある。= 知識を文脈から切り離すと実用性が失われる。
      • マニュアル化しても使われない,マニュアルよりも修羅場ストーリーの方が学習になる。
    • 知識を形式・暗黙ととらえるのがおかしい,両者は同じ知識の両側面(自転車にのる知識と同じ)。教育はまさにこの種の知識。
    • 批判主義=暗黙知→形式知はマネジャーによる知識の盗用。専門職から得た知を低賃金労働者にさせようとする。
    • Bernbomの定義:知識の発見,その加工と適用,組織内でのその共有と活用。→ 組織学習を支援する不可欠な組織装置。← IR室はそれになりうる。= 知識は組織の「資産」。
    • センゲのメンタルモデルとワイクのセンスメイキングは基本的に同じ。学習する組織とダブルループ学習は基本的に同じ。
  • 機能主義の主要理論:ダブルループ学習,学習する組織,探索・活用枠組み,情報処理モデルの4つ。
    • ダブルループ学習:メンバーから大きな抵抗を招く活動。← 外部からの介入がDLを起こすには不可欠(外部評価など)。
      • DLは常に有効とは限らない。問題は,思考に偏って実践になりにくいこと。
      • これを避けるには,トリプルループ学習(ダブルループの学習を組織がどう学んでいるかの学習)が有効。(本当?)
      • DLを重視することは組織変革に偏るということ,シングルループも漸進的変革には重要。← 実際はどちらの学習による変革かはわからない可能性が高い,変革の最中は自分たちの活動がどの方向へ向かっているかわからない場合が多いので。さらに,ある人の漸進的変革は他部署から大変革に見える。(これらも同じ変革の両側面)。
      • DLの問題:(1)エラー検知型学習で,新しい知識創造に言及していない,(2)外部刺激で発動と言いながら,既存のメンタルモデルにとらわれている誰が組織内から必要性を言い出すかという矛盾。
    • 学習する組織:5つの取組が行われれば,組織学習が起こる。
      • 大学はルースカップリング組織なので,5活動が学内のボトルネックを探す際に有用。(システマティックでないのによく研究で使われる。→ 流行研究。)5取組の調査票を用いた実証研究もある。
      • 5活動は産業に近いので教員は好まない?
      • 構成員は自由な存在ではなく,エージェントとして学習するので,この活動はトップの力を強める作用がある。
    • 探索・活用:トップが戦略をつくる時,学内・学外双方の知識のバランスを取らないと実行可能な改革戦略にならない。
      • 学外知識の獲得=探索(=収集,リスクテイク,実験,柔軟性,発見,イノベーション),学内知識の適用=活用(=修正,選択,産出,効率性,実践)(March 1991)。両者は異なる学習メカニズムを持つ。
      • バランスを欠く=迷信学習,→ これを避けるには,構造分離が有効=ある部門は探索,ある部門は活用に特化する。(本当?コンフリクトをまねくのでは。)← 一例は企業家大学:共同研究に特化する学際部門と,伝統的教育に特化する学部部門に分離する。
    • 情報処理モデル(Huber):外部からの情報獲得+内部知識への統合=組織を機能させる新知識の創造
      • 4つのプロセス:情報獲得,情報拡散,情報解釈,組織的記憶(それぞれに対応するシステムを作る必要がある)。基本は経験学習モデル。
      • 制度理論は組織同型化を指摘するが,他大学の模倣は深刻な学習能力低下を招く。
      • 特に大学は,基本的にインプットはうまいが,拡散は苦手,保存にどの部署も責任を持たない。また,弱小組織は情報拡散が届きにくい。対応は,部局間対話とジョブローテーション。
      • 組織学習は組織変革と結びつきやすいが,日常改善の学習としても重要。
      • このモデルは学習プロセスを描写する点が魅力,ただし,あまりにリニアなモデルであることと,パワーダイナミクスを考慮しない点が課題(4つのプロセスの活動にトップの承認や支援が必要なのに)。
  • 解釈主義の主要理論:マルチレベル理論(4iフレームワーク),COP,実践ベースアプローチ,非公式社会ネットワーク
    • 4iモデル:個人-組織学習連結モデル(探索・活用モデルを援用)。
      • 探索=feed-forwardプロセス(学生支援課が環境を見て新しい支援策を思いつく),活用=feedbackプロセス(学長が新しい支援策を制度やルーチンに入れる)
      • → この2つのプロセスは4つの社会的認知プロセスとリンクしている:Intuiting,Interpreting,Integrating,Institutionalizing(有名な階段図)。
        • Intuiting:専門性と想像力の間で生じるもの,言語かされにくい暗黙知を含む(なのでメタファーが使われやすい,家電としてのMac)。
        • Interpreting:個人と部署間で行われる,共通言語を磨き,将来像を明らかにし,共通の意味づけをつくる段階。
        • Integration:知識が実践と結びつく段階,実践によって知識が磨かれる,部署内の共通認識は実践しなければ決して形成されることはない。
        • Institutionalizing:実践が構造・戦略・文化に埋め込まれる段階。トップが制度を整える。これによって他部署からのフィードバックが得られる。
      • Institutionalizingは,いくつか問題があるし困難。人は自分の信念にあうものに注目し,合わないものを見過ごす。よって組織化は組織に制約を課す。
        • 通常大学での変革は,先にプロジェクトがあってそれの全学展開という形を取る。もし,構成員がこの枠組みに合わない変革と見なすと,変革をしても十分に認識できない可能性がある。→ 制度化した仕組みをプロジェクト的に試す期間が必要。
      • 4つのプロセスは,リニアではなく実際には断片化・不完全・混乱がある。特に時間制約とトップの介入で阻害される。
      • 学習の阻害要因(特にInstitutionalizingの阻害要因):マネジャーの時間制約,専門性分業・目標不明確・メンバー-の自律性(教育機関の特徴),マイクロマネジ,心理的危険,部門間の競争,
      • このモデルも,トップが好んだものが埋め込まれるという問題がある。
      • 何が埋め込まれるかを決めるのは,パワーと自己関心。← 組織学種を起こすには政治力が必要。
        • 2つのパワー:エピソードパワー(自己関心からの政治行動,交渉・説得)とシステムパワー(ルーチン・構造・文化)。
      • 4iモデルはマルチパラダイムフレームワーク(理解に注意,基本は機能主義という見方もある)。
    • COP(=アイデンティティ開発)
      • 解釈主義≠何が個人の中で認識されているか,=何がグループの中で進んでいるか。
      • 認知に注目して文脈を無視するリーダー=無意味な情報を集めるIRシステムを作ってしまう。ベストプラクティスを拡散するのではなく,その部署の独自の強みをつくることがリーダーの仕事。
      • 新人がグループの言語を覚えるプロセス=組織アイデンティティを形成する。学科や専攻はまさにCOP。全学的なナラティブの例もある。
      • ただし,実践者へのインプリが弱い。COPはどう知識を生成して共有するのか,あるCOPは他のCOPにどう影響するか,という問いに明確に答えられない。また,パワーダイナミクスも説明できない(Lave and Wengerの研究ではもともと考慮されていたにもかかわらず,後の研究はCOPの合意や統合の達成に注目してしまった)。
      • eg. 高まる説明責任要求 → コンプライアンス文化をつくる(質の高いデータをつくり,詳細なレポートをつくろうとする)。→ データが意思決定に使われることはない。代わりに,エビデンスベース探究チームを作ろう(COPの1つ)。
    • 内部社会ネットワーク=何らかの相互依存(共通の仕事・目的・価値観)を持つ人同士のつながりのこと。通常は非公式なもので公式命令でつくれない。
      • 毎日ジムで会うメンバー同士のつながりなど。「弱いつながりを強化する」。知り合いの知り合いの助けを借りる。
      • 越境構造は,グループ内でしか共有されない知識を運搬できる可能性がある。越境構造=2つの部署にいる越境者のつながり。ただし,遅延・不正確運搬(どちらも意図的・非意図的がある)のために機能しない場合もある。→ 全体越境の方が効果的(出向など)。
  • 批判主義:組織学習におけるパワーダイナミクスに注目する(組織学習によって誰の関心が満たされるのか?)
    • 通常,トップが組織学習の手段と構造をコントロールする。= 組織学習はメンバーの統制手段。
      • 機能主義モデルは,トップの力を強化する学習となる。=トップの代わりにメンバーが学習するだけ。
      • また,暗黙知が形式知されてマニュアル化されると,メンバーの持っていた強みが失われる。
      • 学習する組織は自発的なものという主張 ← そもそもコミュニティに誘われる人が地位や立場で選ばれている。
      • → ラーニングアリーナをつくる(場所だけでなく心理的に)。= そこでは意見をまとめない。シェアドガバナンスの委員会はその例(ビジネス化で縮小傾向にあるが)。
      • → 別の方法,批判的アクションラーニング:仕事の経験を話す場。
    • 機能主義と批判主義の問題:パワーの分散が必要という主張は重要だが,そうした主張はトップの力なくしてどのように組織化されるのか?という疑問に答えられない。
  • 今後の研究
    • テニュアシステム,シェアドガバナンス,ルースカップリング,高度専門職組織は,組織学習プロセスに大きく影響する。
    • 組織改善
      • 機能主義研究
        • 外部情報収集:管理者,IR室,教員集団がどう情報を取ってくるか。
        • 情報共有機能:知識はどう部署を超えるか。
        • 知識の上方移動:現場のイノベーションがどう組織化されるか。
      • 解釈主義研究
        • COPなどがどう高い成果につながるのか。高い成果はデータ分析ではなく,実践者の暗黙知による(Dowd 2005)。
    • 組織変革
      • 4iモデルによる教職員集団の組織化。
    • 教員の学習
      • FDセンターの役割。


2016/12/01

Gioia, D. and Thomas, J. (1996) "Identity, Image, and Issue Interpretation: Sensemaking during Strategic Change in Academia," Administrative Science Quarterly, 41(3), 370-403.

  • 今日の環境変化=意図された変化のために,高等教育機関がビジネス指向になっている。
    • 戦略的と言いながら,ビジネスのような戦略的ではない。
    • これは利益のようなベース指標がないことも関係する。=何が大学の競争力かの判断が主観的にならざるを得ない。+ ランキングが台頭。
    • → 組織イメージが重要な戦略要素になる(?)
      • イメージ・アイデンティティは,先行研究が指摘するほど強固でない。(戦略が変わってもアイデンティティは変わらないか?)
      • 変化を起こすには,構成員の解釈枠組みを変える必要がある。
      • = 新ビジョンに合致する新しい取組(=既存解釈と不整合の取組)は既存イメージ・アイデンティティを揺るがす。
  • イメージ・アイデンティティのシフトと,それが問題解釈に果たす役割が本論の中心課題。
    • RQ:戦略的変化に取り組む際,TMTはどのように問題を解釈するのか?
    • TMTの追う戦略・情報処理構造は,センスメイキング活動に影響される,
    • TMTの組織アイデンティティ解釈は,組織レベルの課題を解釈するのに用いるレンズによって構築される,
    • 組織課題は,機会/脅威で認知されるのではなく,戦略的/政治的カテゴリーによって認知される。
  • 外部環境だけでなく,内部文脈も課題解釈プロセスに影響する。
    • 戦略=組織の意図の宣言。← TMTの重要課題の解釈に影響されたもの。
    • → 戦略=組織がイナクトした環境の重要な要素。
  • イメージ・アイデンティティ=認知レンズ
    • ここで注目するのは,TMTの組織アイデンティティ。特に,戦略変化の文脈における組織アイデンティティ。
    • → 組織アイデンティティは,TMTの情報処理プロセスや重要課題解釈を移す鏡となるから。
    • 戦略変化=通常,TMT+メンバーの解釈枠組み変更を意味する。
  • 問題の認識
    • 戦略的か非戦略的で重要なものの2カテゴリーで認識。
  • TMTの解釈枠組み=間主観的に構築された物事を理解する枠組み。
  • 研究デザイン
    • 3名のTMT,6ヶ月面談,戦略変更に関わった期間,エスノグラフィ,1名質問者でもう1名は記録者,24時間ルールで初期分析,他大学の11TMT周辺スタッフも調査,会議資料等も収集。
    • 分析カテゴリーの設定が詳細。
    • 印象分析(Van Maanen 1988)。
  • 課題解釈
    • 戦略的/政治的の2分類,戦略的=最も重要の意。
    • 戦略的課題:トップ10研究大学につながると解釈した課題。← ずいぶん主観的(=ビジネス型の情報処理ではない)。← にもかかわらず,各部局を平等に扱うなどはしない。
      • 戦略的課題:本人たちは3本の支柱原理(公的財源増加,私的財源増加,戦略プラン)を主張しているにもかかわらず,主観的情報処理。
    • 政治的課題:トップ10に関連するが,競争的な関心に関するもの。たとえば,学生参画。
      • トップ10達成に学部がたいした役割を果たさなくても,学部を無視できない。
      • 学内外の関係者がトップ10構想を受け入れないと,戦略変更の努力は実を結ばない。→ TMTは影響力のある言葉を選んで使用する。
    • 戦略的カスケード
      • マイノリティの入学=政治的課題,→ 将来急増するマイノリティ入学への対応と定義して,戦略的課題に。
    • トップ10=戦略的変化を生み出すシンボルとして機能。← TMTも構成員も曖昧な定義であることを認知(現実的でないという声も)。
    • 組織アイデンティティ:TMTは現状を保守的と判断して,トップ10をそれを動かすてことして使用。
  • ここまでの結論
    • アイデンティティとイメージは課題解釈に個別に関係する。
      • トップのイメージは政治課題解釈に関係する。
      • 望ましい将来像は戦略的課題解釈に関係する。
  • センスメイキング
    • TMTが問題を重要と認識する際に注目すること:戦略と情報処理構造
    • 戦略:既存の戦略が,何に注目するかを特定している(それはそれですごい)。戦略は注意を引くためのデバイス。
    • 情報処理構造:データベースの意思決定をする(以前は直感の意思決定)。
  • ここまでの結論
    • 戦略と情報処理構造が問題解釈に関係する。
      • 戦略は,戦略的課題の解釈と関係する。
      • 情報処理構造は,戦略的課題・政治的課題両方の解釈と関係する。
    • 戦略と情報処理構造が組織アイデンティティ・イメージに関係する。
    • イメージとアイデンティティの認識は,センスメイキングと課題解釈の関係を部分的に媒介する。


  • 含意
    • まずアイデンティティが変わらなければ,組織の中心的な質が変わらない。
      • 望ましい将来像は,既存のアイデンティティを変えることができる。
      • ← イメージとアイデンティティの関係。アイデンティティ形成装置としてのイメージ。
    • TMTは組織外よりも組織内のセンスメイキングによって解釈している。
    • 課題が意図的・主観的変化をつくるなら,基盤的な組織特性が変わらないといけない。
    • 構成員が望ましいと思う将来像を示せれば,変化につながる。

2016/11/30

Hatch, M. (2013) "Loose ends: Some promising new ideas in organization theory," Organization Theory, Ch.10


  • 3つの視点
    • 組織学習・ナレッジマネジメント:実践ベースの変革とは異なる視点を提供する考え方。
    • 組織アイデンティティ:組織の文化・構造・影響力を理解する視点を提供(プロセス理論の1つ)。
    • 組織美学:技法や技巧が成果や努力の表現に与える影響を考える。
  • 組織学習・暗黙知・知識の転移
    • 経験曲線:累積生産量の増加と共に生産費用が下がること。
    • 暗黙知:個人的,直感的,文脈依存の理解で構成される知識 → SCCIモデルへ(Nonaka and Takeuchi)。
  • 探索と活用(March)
    • 組織は常に柔軟性と効率性のバランスを求める。
    • 活用:既存の知識を使ってより資源効率的に成果を出す。
    • 探索:既存の知識を考え直したり今まで使わなかった状況で使うなどにより柔軟性を出す。
  • ダブルループ学習・自己組織システム
    • 前提を見直すというDLの性質は,自己組織システムと関連している。= 自ら有効性の基準を定め,行動とアイデンティティを決める。
    • 組織変革の4つのプロセス
      • ダイバシティ:差別解消と公平性,法令遵守の段階 → 正当性を得る段階 → 組織の一部になる段階
      • CSR:法令遵守 → 特定部署が組織環境と交流する段階 → CSRが内部組織に統合される段階 → CSRの価値を内包した成果を出す段階
      • 持続性:リーダーが責任を認識する → 組織内で変革に必要性が議論される → 持続性の価値観を取り入れた大変革を行う → 組織外に組織が経験したストーリーを見せる
      • ブランディング:顧客と伝統の接続 → 望ましい変革を強調したリストラ → 組織内外の関係者との相互作用 → 実践・政策・コミュニケーションの統合
  • 組織学習の注意点
    • 誤った学習:実践と成果が誤って認識されると生じる。
    • 成功の曖昧性:成功の指標は常に変化している。
    • コンピテンシーのわな:局所的にフィードバック学習がうまくいき,DL学習が起こらなくなるような,有効性をもたらさない改善プロセス。
  • 組織アイデンティティ
    • (組織現象を個人レベルの分析で理論化するのはよくない。)
    • 予算削減をきっかけに自分たちは何者と問うことで発現。
    • 実証主義者:central, distinctive, enduringなもの。≒ ポジショニング。
    • 社会構築主義者:自分たちは何者かについて再交渉された意味のセット。
    • ポストモダン:マネジャーがつくった何者かについての省察。
    • 2つの側面で考える:US=外の人がどう思っているか,WE=自分たちはどう思うのか。
    • ダイナミクス:組織文化とステークホルダ文化の二重ループ。
      • 組織アイデンティティ→ステークホルダ→(イメージ:外の人はどう思うのか)→組織アイデンティティ→組織メンバー→(省察:自分たちは何者か)組織アイデンティティ
  • 組織美学
    • イメージや物理的な環境・人工物は組織アイデンティティの形成を担う。

2016/11/29

Hatch, M. (2013) "Theory and Practice," Organization Theory, Ch.9


  • 実用主義:アイディアの有用性が証明できるかが,重要な基準。
    • たとえば,組織をどうデザインするか。組織デザイン理論は規範的な知見。実証主義者の基準は効率性と有効性。
    • しかし,実際には効率性や有効性は達成できない。たとえば,組織図。デザインにおいてよく使われるが,組織図は調整メカニズムや非公式な関係に関する情報が含まれない。
  • 一般的な組織デザイン
    • 単純組織:全員が同様に仕事をする。
    • 機能別組織:専門化による規模の経済の最大化と,無駄を最小限にする効率性をもたらす。ただし,従業員が組織全体よりも部署への忠誠心を持つようになる(サイロ問題が生じる)。
    • 多部門組織:地域別に機能別組織を持つ形態。トップは予算の配分でしか部門を動かせなくなる→トップの関心が財政問題のみになる→部門が財政のみの成果に注目するようになる→組織全体の有効性が損なわれる。それでも機能別組織のデメリットを上回るなら,採用すべき。
    • マトリックス組織:新しいプロジェクトを起こしやすい形態(他の形態では組織構造の調整をしないと新しい仕事ができない)。また,分散した専門性を容易に束ねられる点も長所。ただし,権威の二重性の問題が生じる。
    • ハイブリッド組織:ジョイントベンチャー(新組織設立)や連携(新組織つくらない)などの形態。
    • ネットワーク組織・バーチャル組織:相手ブランドでのサービス提供など,基本的に需給関係にある組織間で組まれる。重要な情報や資源を持つ組織が,他の組織を不当に利用する場合がある。
    • 新組織:従来の組織が壊れて,新しい組織へ移行する。その過程は,アウトソーシングから始まる。アウトソースで,異なる組織文化が組織に持ち込まれ,既存の組織文化に取り込まれて,組織が溶解する。
  • 組織変革の理論
    • 主要な関心は,何が組織変革を起こすのか,どう変革が管理されるのか。
    • 変革自体は組織に必然の性質:環境変化,組織の成長,新技術の開発,コンフリクトの発生などが変革につながる。
    • 計画された変革(Lewin):解凍・移行・凍結プロセス。標準的な組織開発理論。
    • カリスマのルーチン化(Weber):カリスマの考えをフォロワーが広め現状の組織文化の中で機能させる(Systematization),新しい考えが組織内で政治的な力を持ち,ルーチン化を始める(Accommodation)。
    • 制度的起業:
      • 制度理論への疑問:組織環境が行為や信念を規程する時,構成員はどのように変革を行うのか?(外生的ショックが暗黙の前提への疑問を投げかけることで,組織内の確立された合意を不安定にする。)
      • 制度的起業はエージェンシーによる内生的組織変化。
  • 実践理論
    • 実践はルールやルーチンと結びついたもの。またスキル獲得プロセスでもある。
    • コンサルタントの活用=コンサルタントを通じて他の組織での成功に従うにすぎない。トップの実践は,同業の間での流行やトレンドでつくられる。
    • 実際の仕事は合理的基準に沿って行われるわけではないので,実践の論理が強くなる。そのため現状維持圧力が働く。
  • プロセス理論
    • 組織変革は,他者との相互作用から得られた新しい経験の結果として蓄積される信念と行動様式のこと。

2016/11/28

冨田知世(2015)「「進学校」制度の普及過程に関するミクロレベル組織分析」『教育社会学研究』96,283-302


  • 東北地方に所在する公立高校組織をめぐる「進学校」制度の普及過程を事例とし,その過程における教師の行為を明らかにするとともに,制度の普及を担う教師というアクターを捉える概念を検討する。
  • 制度論:組織構造や組織内のアクターの行為が,制度というマクロレベルに適合する形で形成される側面を強調。
    • 制度=規制,規範,文化・認知的要素からなる。
  • 進学校制度=進学校としての組織構造や教師の振る舞いを形成する制度。
    • 制度的ルール=進学校制度下で取り込むべき組織構造や教師の振る舞いの個別具体的なもの。
    • 進学校制度の中で,一種の社会的な約束事と化した制度的ルールとして,教師が進学指導と称する行為に着目。
  • 進学校制度の普及をミクロレベルから捉える理由:
    • 制度に対して受動的に埋め込まれるだけではなく,能動的に反応するアクターの 2 面性を同時に捉えるため。(進学指導の受容先の学校組織において,教師の行為を制度の受容ではなく創造と見ることで能動的な行為を捉える。)
  • 文化-認知的制度:教師文化ほど広範な影響力を持たないが,組織文化ほど単一の組織への狭い影響力を想定しない = 組織の境界を越えた影響力(一定のまとまりを持つ行為や思考パターン)。
  • 制度の普及を担うアクター=制度的運搬者。
    • 象徴システム(重要な情報が含まれた象徴的な枠組み),関係性システム(個人間・組織間のつながり),ルーティン(行為者によって伝えられる戦略的知識を反映したパターン化された行為),人工物(人間の創意によってつくられた物的文化)の 4 つに分類できる(Scott)。
    • 下位組織から見ると,新たな制度の創造者(制度的企業家)。
      • 他組織とつながることで別の制度に気づき,自組織に代替する可能性をもたらし,制度変化を起こす。
    • 制度的運搬者概念と制度的企業家概念の積=制度的移植者。
      • 制度変化をトップダウンに行わず,一度自組織に「埋め込んだ後で」制度変化を引き起こす。
  • 進学校の構成要素:教師個人が 各々授業を展開するのではなく,共通理解(特定の大学への合格者輩出という明確な目標)や大枠をもって足並みをそろえていく。
  • 制度の創造
    • 教師間関係変化(月1飲み会→資料や情報の共有→負担軽減,指導内容共通化)
    • 生徒教師間関係変化(なんでできないの?→どのまでわかった?,個別指導→一斉指導=上位者を同じクラスへ)
    • 時間配分変化:部活中心→学習課題・週末課題の導入
    • 抵抗はあったが移植者の実践は埋め込まれた ← 同僚教師の中に理解があった+変化を期待する雰囲気があった(そんな理由?そのプロセスが重要なのに)
  • 制度の普及
    • 移植者が他校の進学指導を説明,他校は進学指導を文書化。
    • Y校が進学実績トップという事実=進学校制度のルールとして機能(権威付与)。← 教師ABはここで,進学校制度に埋め込まれた経験を持つ。→ 移動先で新制度を普及。← 環境条件として,(1)XはYに次ぐ進学実績,(2)ABが同時異動,(3)既存の価値よりも進学校制度の方が上位の教師文化に合致した。

2016/11/25

間嶋崇(2008)「組織アイデンティティと組織不祥事」『専修大学経営研究所報』174,1-28

  • 自己アイデンティティ:
    • 斉一性:自分について自分も他人も同一の人と認めること,
    • 連続性:昔の自分も今の自分も一 貫して同じであること,
    • 帰属性:自分自身は何らかの集団に属し,それと一体感を持っていること。
  • 社会的アイデンティティ:
    • 所属する社会集団の特性によって記述される個人の自己概念・自己定義。
    • 2つの研究の焦点:
      • 集団間の葛藤と社会変化の分析に用いる。人々が肯定的な社会的アイデンティティを得るために,外集団に対する内集団の肯定的で価値づけられた特徴を維持し,高めようとする個人の欲求に焦点を当てる(集団間の理論)。
      • 成員に共有された社会的アイデンティティが,個人の自己知覚や行為を非個人化するという考えに基づいたもの。(集団過程の理論)。
    • 3つの代表的機能:
      • 内集団びいき:内集団に好意的・肯定的な態度を示すことがいきすぎて集団ナルシズムになる。
      • 過度の同調:内集団規範の学習によるグループシンク。
      • 不確実性の削減:社会的文脈における自身の不確実性があるとき,どの集団のアイデンティティが最も不確実性を削減するかを探し,明確に定義され,他と明確な区別ができ,安定的で規範的なものを選ぶ。
  • 組織アイデンティティ:
    • 我々は何者か,何を欲しているかに対する理解・定義
    • 3つの基準を満たす必要がある
      • 中心的性質:何らかの方法で組織の本質と見なされる性質,
      • 特異性:他組織と区別する性質,
      • 時間的連続性:時間を超えた連続性の度合いを表す性質
    • 理解の3つのレンズ


    • 組織アイデンティティ:一枚岩か多様性か
      • 多様性 → ハイブリッド(同類とはみなされない完全に分節されたアイデンティティの組み合わせ)かマルチプル(2つ以上の多様なアイデンティティの維持・ 表現を仮定し,アイデンティティ間のコンフリクトを想定しない)か。
      • ハイブリッド → イデオグラフィック(下部組織にそれぞれのアイデンティティを維持・表現する多様性)か,ホログラフィック(組織全体 で多様なアイデンティティを維持・表現)か。
  • 組織アイデンティティと組織に基づくアイデンティティ
    • ミクロ・ミドル・マクロの関係がある(個人が所属組織の特性に基づいて自分自身のアイデンティティの一部を確立するという側面も存在する=組織に基づくアイデンティティ)。
  • コーポレートアイデンティティ:
    • 組織の外部のステークホルダーに向けて,組織の中心的で特異なアイデアをいかに表現し伝えるかに関係するマネジメント志向・マーケティング志向の概念。
    • 組織アイデンティティは,組織の自省的な問いへの組織自身の理解ないし定義(組織・組織メンバーたちが主体的に創出していくもの)。
  • 組織アイデンティティの形成プロセス
    • 組織イメージ→(鏡映)→組織アイデンティティ→(反省)→組織文化→(表現)→組織アイデンティティ→(印象づけ)→組織イメージ。
    • ただし,組織イメージ=組織の他者として行為する者によって持たれる組織に関する観念のセット。
      • 鏡映(mirroring):他者という鏡に映し出された自分(組織イメージ)と彼らのアイデ ンティティとの間に不一致が生まれるとアイデンティティは不安定になり,自己定義の見直しが迫ら れるようになる。
      • 反省(reflecting):鏡に映ったイメージを既存文化を通して反省しながら,アイデンティティは強化されたり,変化したりして組織文化の中に埋め込まれていく。
      • 表現(expressing):シンボル(広告や CI,デザイン,アーキテクチャ,制服など)による組織アイデンティティの表現が組織文化理解の表現に結びつく。(組織文化理解が組織アイデンティティの表現を通して表現される。)
      • 印象(impressing):広告やロゴ,制服などによって表現された組織アイデンティティが 他者に組織に対する印象を残す。
    • このプロセスが機能不全になると,組織ナルシズムや過剰適応を引き起こす。

      • 組織ナルシズム:外部に耳を貸さず・鏡映のプロセスを無視/信用せず,組織文化のみ参照するアイデンティティの構築から生まれる,自分本位でひとりよがりな状態。
      • 過剰適応:外部のイメージをあまりに気にしすぎ,自分が誰なのか,その意味を見失ってしまう。

2016/11/24

宮原浩二郎(2008)「社会美学のコンセプション(1)」『関西学院大学社会学部紀要』106,27-43


  • 美学=感性的経験に関わるもの(×美・芸術)。
  • 現代の生活:断片化されたもの → とくに非政治的になろうとしなくても,ただ現代社会を体験するだけで,自分の行動のもつ公共的意味を見極める力を失っていく(各人の生活に影響を及ぼす社会的諸力を 見分ける能力を失っていく)。 → 空間的断片化と時間的狂熱の増大(デューイ)。
    • 人は定期的に複雑性から撤退しなければならない(コスノスキー):人が小さな対面的アソシエーションのなかで,まとまりのある落ち着いた「社会美学」に身をゆだねることのできる時空間を確保するため。(停電になればわかる。)
  • 社会美学の特徴:
    • 社会のもつ感性的・美的質を把握しようとする(×制度論・イデオロギー論)。
    • 社会美学が対象とする「社会」は研究者個人による知覚が容易な小社会が中心となりやすい。
    • 社会美学は単なる事実認識にとどまらない,規範的・倫理的・ユートピア的指向を持つ。
  • 組織美学
    • 従来の組織構造分析や組織文化論の認知主義的偏向を批判し,視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚などによる感覚データを導入することで,人間の組織生活の現実に即したきめ細かな研究。
    • ex. 組織のパトスを把握するためにさまざまなアーティファクトに注意を向けることが重要。

2016/11/23

松嶋登・高橋勅徳(2008)「制度的企業家の理論的射程」『神戸大学経営学研究科 Discussion paper』39


  • 企業家:制度の外部から既存の制度に変化をもたらす存在(DiMaggio and Powel)
    • = 制度を変革する役割概念 ← +補助的制度(企業家に正当性や資源を提供する)
    • 企業家に想起された新結合も,近代的な合理性の下で管理の対象となる。
    • 制度変化を説明する外的要因としての企業家概念は,概念の外延に頼っており,制度変化の具体的な説明図式になり得ていない。
  • 制度は組織論の課題は,制度を主体から独立した実体として分析的に想定し,その制度に適応していく主体の実践を積極的にとらえ返していたこと。
  • → 言説分析で克服:制度を言説体系に現れる主体間の権力関係として,制度化を主体間の対話的闘争としてとらえる。→ 他者に対して納得的な言説を生産し,自らの言説を普及させうるより強力な主体として制度的企業家を概念化する。
  • アクター・ネットワーク理論
    • 翻訳:ネットワークの作動原理
    • 環境を構成する利害を主体の立場から仮説的に構成されたものとみなすために翻訳という概念が必要。
    • 制度化プロセスは,主体によって見出されたさまざまな主体の利害を取り込んでいくプロセス。
  • 制度理解の反省
    • 新制度派:組織が従う技術的効率性と制度的正当性を対置(市場原理下の競争的理由と市場原理でとらえられない文化的な理由の対置)
    • 経済学=制度化されない主体の利害の注目,新制度派=利害で説明されない制度化された主体に注目

2016/11/22

高橋勅徳(2007)「企業家研究における制度的アプローチ」『彦根論叢』365,53-69


  • 制度的アプローチ:
    • 国・地域・業界・集団などマクロの分析対象を仮想する,
    • 正統性,文化(規範)等を鍵概念として起業という行為を捉える,
    • マクロへの帰結に注目するという理論志向を有する。
    • 埋め込み(embedednessを理論的基盤に置いた埋め込みアプローチ,
      • 人が起業する行為を選択するメカニズムに注目,
      • 特定の集団内部で単一の文化が共有される前提をおく,
      • 企業がイノベーションに帰結する現象を説明できない,
    • 新制度学派社会学(DiMaggio)を理論的基盤に,制度の生成・変革への注目から起業への注目に至った制度的起業アプローチで研究,
      • 人々の行為に影響する文か(規範)に注目,
      • 業界内で複数の文化が存在し,業界内で権力を行使しうる主体が多数存在することを前提。
  • 新制度派社会学:
    • 官僚制・事業部制・職能制といった組織形態が,経済的合理性に基づく合理的判断によって選択されるのではなく,そのような組織形態が肯定され,企業・官庁などあらゆる組織体に受け入れられ,普及してく社会的コンテクストの中で捉えるべき。
    • 文化そのものの多様性・多元性を想定し,どのように文化が形成され,正統であると受け入れられ,普及していくのかを問う。
    • → 制度も単一の文化が通底した一枚岩の存在ではなく,多様な規範を持つ集団が結合され,一時的に安定した存在として捉える。
  • 制度的起業アプローチ:
    • 特定の正統性の源泉との連携を実現することで,競争優位や参入障壁の構築を試みる個別企業の戦略性に注目する研究群,
      • 特定の技術仕様がいかにしてディファクト・スタンダードに成り得たのかについて,様々な制度当局との関係(=ネットワーク)に注目し,分析を試みる実証的研究など,
    • 正統性を鍵概念としつつ,新規事業の成立を様々なアクターの相互関係として捉える研究群がある。
      • 特定の市場に対して強制的同型化を迫りうる権力を保有した制度当局が存在することは希(医薬業界はこれにあたる)。
      • → 新たな技術や新規性の高いサービスを提供するベンチャー企業であるほど,様々な制度当局との連携の中で市場の中で自身の事業を守り,育てうる正統性を構築せねばならない。
    • 新技術・新サービスの普及のために,行政や学会,教育機関ど顧客や業界関係者に強い影響力を持つ制度当局との関係作りを通じた正統性の構築プロセスを描く。

2016/11/21

桑田耕太郎(2015)「制度的起業研究と経営学」『経営と制度』13,1-24


  • 制度理論における制度:組織から独立した安定的な客体として仮定,技術的合理性や経済的合理性では説明できない,組織の同型化をもたらす「非合理的」で安定的な強制力を持つもの
    • → この仮定は,パラドックスを生む。
    • 埋め込まれたエージェンシーのパラドックス:制度に埋め込まれた企業が、い かにして制度を変えることができるのか?
    • → 制度とは独立に存在する制度の外部にある企業家なるものを仮定する必要が生じる→そのような企業家を仮定すると,何の制度からも独立した超越的合理性を持った企業家など存在しうるのかという論理的問題に陥る。
  • 制度的起業研究の制度観:制度は,それが価値あるものとして実践において参照されることを通じてのみ存在する。制度を維持しようとする実践も,制度を変えるような実践も,基本的に制度を参照するという点では変わりはない。
  • 協働体系において人々が活き活きと活動するには,その根幹に道徳的制度たる公式組織の構築と維持が不可欠である(バーナード)。
    • 経営学の根幹に組織概念を置く(脚本)→メンバーが協働する(演技)
  • 企業が社会における正当性を獲得しなければならない:
    • 交換手段の貨幣を、,貨幣そのものの増殖を目的とした資本として利用して利潤を獲得することの正当性,
    • そのために産業経営体という自由な個人を制約する組織形態を採用し,人々の行動を意識的に調整するという経営実践の正当性の2つの獲得。
  • 利潤の類型を 3 つに分類し,イノベーションへの対価としての利潤が正当性を獲得できるという考え方(Dean)
    • イノベーション:既存の定常状態を創造的に破壊し,経済を動的に成長させるキー概念。イノベーションを担うのは企業者精神。
    • → 正統性をすでに獲得した事業から新たな事業を生み出し,その事業を正当化し,制度化していくという企業者精神を研究する必要性。

2016/11/18

跡田直澄(1999)「国立大学民営化論」『大学の財政と設置形態』


  • 設置形態の議論
    • 社会の変化(貧困層減,低価格高等教育の必要性減)
    • 政府の役割変化(民でできることは民で)
    • 大学の閉鎖性と独善性(社会と接点もちたがらない)
  • 大学システムとしての問題点
    • 組織運営上の問題(部局意思決定,組織整理不可)
    • 評価を嫌う体質
    • 独善的なサービス供給(夜間学生支援せず)
  • 国立大学としての問題点
    • 事業者意識の欠如(収入と歳出の不一致)
    • 会計ルールの問題(少額も入札?)
    • 雇用ルールの問題(3/31失業,雇用が切れないなら給与で見直す)
    • 附属学校の甘えの構造(お受験に偏りすぎ?)
  • 国立大学民営化論
    • 民営化の形態(根本は権限の分権化=自律)
    • 主要国立大学校法人化・地方国立大公立化(地方は民営化不能,自治体で)
    • 教育と研究の会計上の分離(教育はペイ可能,研究は補助金獲得,希少な研究には寄付がくるはず(本当か?))
    • 評価の必要性

2016/11/17

Deci, E. and Ryan, R. (2000) "The "What" and "Why" of Goal Pursuits: Human Needs and the Self-Determination of Behavior," Psychological Inquiry, 11(4), 227-268.


  • 動機づけ理論:人は望ましい成果が得られる行動を取る(ゴールによる動機づけ)
    • 自己決定理論:ゴールの中身と遂行のプロセスを分離,この2つの統合に生得的心理的欲求がベースとなる。(欲求はモチベーションの中身を特定する考え方。)
    • → ゴール選択と遂行のプロセスに注目する研究へシフト。
    • なぜ・何のゴールを求めるのか:能力・関係性・自律性の3つが心理的欲求のコア。(欲求は心理的成長・統合・健全性に不可欠であるため)。
    • (注)欲求=生得的,× 学習されるもの,ただし動因とは異なる。
  • 自己決定理論の前提:人は,関心のある活動に関わり,能力を伸ばし,社会集団とのつながりを求めるものと考える。
    • 動因理論による欲求=不足を満たす(passive),自己決定論による欲求=成長志向の活動(active)
    • → 欲求が満たされていれば,重要なこと・面白いことをしようとする。
    • パーソナリティ理論による欲求=学習されるもの,SDTによる欲求=普遍的・生得的なもの
  • 内発的動機づけ:
    • 心理的欲求の充足に貢献する条件によって促進される。優れた学習,成果,状態と関連する。
    • 有能さの自覚は動機づけに不可欠,自律性の自覚は動機づけが内発的であるために不可欠。
    • 関係性も一定程度重要(ベースは愛着理論)。
  • 外発的動機づけの内面化:
    •  統制のタイプが無気力→内発的の順に,外的,取り込み,特定,統合,内的。
    • 外的な価値や統制を受け入れるには,レディネスが必要。自己決定的であるには,その外的な価値や動機づけの意味を統合し,重要性を理解する必要がある。
  • 目的追求が差異を生み出すプロセス
    • 教育目的の達成に向けた自律性は,価値の内面化,行動の持続,概念理解,自己調整,積極的対応と密接に関連している。
    • ゴールへ向かう行動が受動的よりも自律的な時,関係性と結果はよりポジティブになる。特に,行動の質と状態の健全性にポジティブ。なぜゴールへ向かうか,自律的制御が高い欲求を満たすから。
  • SDTの要点
    • 内発的な目標(高い心理的欲求を満たす目標):健全なメンタルヘルスと関係。
    • 目標追求の自律性:よい成果とよいメンタルヘルスにつながる。3つの心理的欲求を満たすため。
    • 能力・自律性・関係性への欲求の働き:内発的動機づけを高める,外発的動機づけの統合と取り込みを促進する,人生の目標(基本的欲求の充足をもたらすもの)に向かわせる。

2016/11/16

Gersick, C. (1988) "Time and Transition in Work Teams: Toward a New Model of Group Development," Academy of Management Journal, 31(1), 9-41


  • 従来のグループダイナミクス理論:基本的なパターンは同じ,
    • 状況の定義,新しいスキルの開発,適切な役割の開発,仕事の遂行(Hare 1976)
    • オリエンテーション,不満足,解決,実行,解散(LaCoursiere 1980)
    • オリエンテーション,評価,コントロール(Bales and Strodtbeck 1951)
  • グループのライフスパンは明らかにしたが,その変化のメカニズム,何がきっかけで変化するか,1つのステージをどの程度継続するかなどのダイナミクスは不明。かつ,クローズシステムを前提にしている。これに対応するのがこの研究。
  • コーディングではアドホックなコーディングをせず,スクリプトを何度も読んで何が話され・行われたかの記述にフォーカスする。
  • 実際のグループダイナミクス:
    • グループ形成,維持,成果の枠組みの見直しが突如行われる。
    • これを左右する要因が,タイミングと環境からの影響。
    • 初期の活動=ゆっくり,中盤=パラダイムシフトを経験,それでも初期のプランを変えたくない力が働く,変革中にプランの方向性が見直され,終盤で過去の経験の長所と短所が振り返られる。
  • ステージの継続時間:
    • メンバーが集まる前に確立された条件に依存:仕事への期待,他のメンバーへの期待,置かれた状況,ルーチンの幅。
  • なぜ,中盤で変革が起こるのか:(1)誤った情報収集(=限定合理性),(2)アラームクロック効果(期限までにやらないといけないけどできるの?)
  • 実践への示唆:
    • 初回のミーティングでセットされたマインドが,中盤まで継続する = 初回のミーティングが重要。
    • 従来のモデルは混乱期を必須としたが,むしろ初回のミーティングの状況が中盤まで続くことが重要。

2016/11/15

Kim, S., Price, J. Mueller, C. and Watson, T. (1996) "The Determinants of Career Intent among Physicians as a US Air Force Hospital," Human Relations, 49(7), 947-976


  • 転職モデル:期待理論による,入職した組織の期待と価値が自分の期待と価値と合致すれば残留する。
    • 期待:職場を特徴づけるもの,価値:行動基準の選好
    • これらをどう定式化するかが実証上の課題 → 先行研究は,構造変数,環境変数,個人変数を使って測定。
    • Price and Mueller:職務満足度,組織コミットメント,サーチ行動の3変数で測定。
  • 測定データ
    • 内生変数:職務満足度,組織コミットメント,サーチ行動,残留希望
    • 環境変数:定住状態,転職機会
    • 個人変数:一般訓練,仕事への動機づけ,期待にあっているか,気分の正負
    • 構造変数:自律性,分配的公正,仕事の物理的危険度,仕事のストレス,給与,専門的な成長,昇進可能性,ルーチン度,社会化の支援
  • 因果モデル:
    • 環境変数 → サーチ行動,残留希望
    • 個人変数 → 職場満足,組織コミットメント
    • 構造変数 → 職場満足,組織コミットメント
    • 職場満足 → 組織コミットメント+,サーチ行動-,残留希望+
    • 組織コミットメント →サーチ行動-,残留希望+
    • サーチ行動 → 残留希望-
  • テキサス州空軍基地病院の医師244サンプル(46%カバレッジ),質問紙調査,5件法,OLS推定(なぜOLS?SEMでよいのでは?内生変数は推定値で推定?)
  • 結果:
    • 因果モデルは全体的に良好に推定
    • 満足度,コミットメント,サーチ行動が残留行動を左右することを示した
    • 価値やストレスの要因は先行研究で過大評価された可能性あり
    • 残留に最も大きいインパクトを持つのは,組織コミットメント
    • 満足度の規定要因には,期待の合致,モチベーション,プラス感情が重要 = 先行研究が軽視してきたKi個人の要因をより重視すべき

2016/11/14

生和秀敏(2016)『大学評価の体系化』東信堂


杉谷祐美子 第2章 大学評価の展開 第1節 プロセスアウトカム重視の評価
  • 出口管理の強化:評価の厳格化 → 評価や管理の対象である知識・技能・態度へ
  • 学修成果重視の背景
    • 人材養成による国際競争力強化(+学位の国際通用性),市民の基礎教育,米国の学習パラダイム転換
  • エバリュエーション=教育プログラム内容の価値判断,アセスメント=学習者の到達度評価
  • 評価の原理
    • 妥当性:評価対象をどの程度よく測れているか,構成妥当性=現象の背後にある技能や属性を意味する構成概念が,評価しようとしている概念をどの程度適切に測れているか
    • 信頼性:安定的に一貫して測れるか
    • 公正性:社会集団間の平等性,評価の実施が及ぼす影響を見る結果的妥当性,条件の明確さ,評価基準の公表と承認の原則
    • 実行可能性
  • アセスメントツール
    • 間接・直接 vs 認知(既存)・態度技能(新規)
    • 新しいアセスメントツール:大規模継続型学生調査(間接・態度技能),AHELO標準テスト&パフォーマンス評価(直接・態度技能)
    • AHELO=一般技能が過度にアメリカ的,記述式問題が難しい,資金不足で短期間実施,最終報告書が複雑でわかりにくい → 関係者の参加,調査の設計・結果の分析にお金と時間がかけられないなら,調査すべきでない。
    • ルーブリック:観点は最大でも6-7,尺度は3が最適・最大5。長期的プログラムルーブリック,授業科目ルーブリック,課題評価ルーブリックの3つ。
生和秀敏 第2章 大学評価の展開 第5節 教育プログラムの評価

  • カリキュラムは公教育の目標達成のために国が定めるもの,大学の教育課程は教育プログラム。
  • 教育プログラム制:教育目標を明確に定めた上で,相応しい科目を解説し,相応しい教員が担当し,学生が主体的にプログラム選択をする制度。
  • 全学教育は専門分野別評価に含まれないが,特定部局が編成や実施責任を担う場合は対象としないわけにはいかない。→ 評価対象の組織単位が,(1)学生の受け入れと定員管理に権限と責任を持つ,(2)教員の人事計画・選考に権限と責任を持つ,(3)教育課程の編成権を持つ,(4)教育内容・方法を決定し成績評価・単位認定権を持つ。=制度的には教授会を構成する組織。
  • JABEEはアメリカ参照なのでプログラム評価。
  • 教育プログラム評価の視点:教育目標の明確化,教育内容の充実,適切な履修コースの設定,適切な教育組織の構成,系統的な授業科目の配置,プログラムに適合した教育方法の採用,成績評価の厳格化,教育成果の保証,プログラムの点検・評価・改善。

鳥居朋子 第2章 大学評価の展開 第6節 内部質保証システムを支えるIR機能

  • 外部質保証:プログラムの質の審査・維持・向上のための機関間・機関上位にある制度
  • 内部質保証:プログラムの一連の活動に関する質の監視と向上に用いられる大学内部の仕組み
  • 基準協会の内部質保証の3評価項目
    • 大学の諸活動について点検・評価を行い,その結果の公表で社会への説明責任を果たしているか
    • 内部質保証に関するシステムを整備しているか
    • 内部質保証システムを適切に機能させているか
  • 適切なリサーチクエスチョンから始める(多様な社会経済背景による学士取得経路の違いをリサーチクエスチョンと呼ぶと誤解を招く)

誰向けの本か。

2016/11/11

加藤毅(2016)「大学職員の職務特性と育成環境」『大学研究』42,27-47


  • 大学職員 ≠ 狭い領域に特化したスペシャリスト,= 専門家の力を借りて積極的に協働し,難度の高い問題群の解決や課題群の達成をもたらす総合職
  • 全ての職務の中核的職務特性:技能の多様性,職務の完結性,職務の重要性,自律性,フィードバック(職務設計理論)
  • 重度習熟=4年以上の習熟が必要
  • 専任職員の仕事=定型的作業51%,軽度習熟業務19%,重度習熟業務・新規課題対応各10%。経験を積んでも比率がほとんど変わらない。高度人材にはなれない。
  • 有期職員は軽い業務が80%。成長ややりがいは得にくい。
  • 高度な仕事が与えられれば,情報収集や自己学習などが積極的に行われる。
  • 軽度業務が大いに関わらず,マニュアル化がほとんどされていない。
  • 自己認識としても,仕事は難易度が高くないと考えている。
  • 専門職による高度業務に対しても消極的(財政問題による自主制約か)→ 専門職には依存しないという組織対応
  • プロジェクトも,標準的なプロジェクトマネジメントの枠に沿うものは少ない(スコープ,期間,リソースは事前に定められない)。

2016/11/10

木下康仁(2007)「修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの分析技法」『富山大学看護学会誌』6(2),1-10


  • GTA:
    1. 継続的比較分析法による質的研究で生成された理論,
    2. データに密着した分析から独自の概念をつくり,統合的に構成された説明図が分析結果として提示される,
    3. 人間行動の予測と説明に関するものであり,研究者によってその意義が明確に確認されたテーマに限定された範囲内で説明力に優れた理論,
    4. 実践的な活用のための理論(提示された理論は現場に戻されて評価されるべき)。
  • GTAが適した研究:(1)ヒューマンサービス分野,(2)現象がプロセス的な特性を持っている
  • 分析の特徴:
    • 理論生成よりも,データに密着することが優位。
    • 生データより生成した概念が優位。(上と矛盾するように見えるが,生成された概念は着想のもとになったデータの当該部分を具体例に使える。具体と抽象の関係。)
    • → 質的研究は結局,データを解釈してコードにすることと,コードと元データの関係がたどれるの2点に集約される。
  • データに関する心配はいらない(1-2時間自由に話せば大きな問題はない)。
  • 概念は簡単につくらない。データから数通りの解釈をして,その概念の独自性をはっきりさせる。
  • 生成した概念は分析ワークシートに記入する。1概念1ワークシート。理論的飽和によって分析終了。
  • M-GTAは,データの解釈をぎりぎりまで行い,データから直接概念を生成する。その方が優れた概念を生成できる。(GTAは,データ→コード→概念,手順重視。)
  • 論文を書く側はデータ→概念→カテゴリー→プロセス・結論だが,読む側は結論から始まり逆にたどる。なので,都合のよい恣意的な結果という批判が来る。

2016/11/09

白石賢(2009)「組織の不祥事問題と組織形態--中央省庁「三報告書等」からみた組織の不祥事問題」『企業と法創造』6(2),273-290


  • ルールで縛れば不祥事は生じにくくなるか?→ 組織における不祥事発生の原因を,組織における情報の集中と分権の議論を発展させることにより検討。
  • 3報告書の共通点:個人の使命感・責任感の欠如の下での行動が,情報伝達・情報共有といった組織構造の問題を通して組織全体としてのルール違反,誤った・偏った意思決定・行動として顕在化したこと。
    • (1)使命感・責任欠如,(2)情報伝達・共有の問題,(3)利害関係者を中心とする偏った意思決定の問題,(4)閉鎖的な組織の問題。
    • 「企業不祥事や事故に共通するのは,それが単純なミスではなく,積極的な意思決定のもとで違反の黙認・隠蔽・秘匿・偽装が行われ,その意思決定の多く は,会議や非公式な懇談でなされている。」
  • 適切な意思決定:正しい情報が過不足なく意思決定者のところにあり,伝達する機能が必要。
  • 中央官庁の意思決定は課長レベル。定型化されたものは組織上部へ伝える必要性が少ない。
    • 環境が安定=情報集中型・人事分権型,環境が不安定=情報分権型・人事集中型(双対原理)
    • ← 情報が分権型=現場間調整が必要で労働者に一般的な幅広い技能を求めるので,人事を集中することが効率的
  • 情報システムとしてのヒエラルキー:ピラミッド構造では,情報チャンネルは線形的にしか増加しないですむ。
    • ヒエラルキー組織:階級システムとしてのヒエラルキーがあるから,情報システムとしてのヒエラルキーが機能する。
    • → ただし,この組織はコミュニケーション障害が多く生じる。
      • メンバーの個人的要因,組織内構造要因,文化的要因,コミュニケーション状況要因のうち,組織内構造要因による。
  • 情報が上司に伝わる時:(1)その情報が上司に不愉快な結果をもたらさない場合,(2)いずれ上司が他の経路から入手するので,伝えておくこ とが望ましい場合,(3)上司がさらにその上司と交渉する場合にその情報が必要であり,その情報がないと上司が不快に感じると思われる場合。(Simon)
    • → 悪い情報は伝わらない。
  • 人事集中システムは,労働者の仕事ぶりのモニターが不十分になる(現場から離れているので)。→ 異動させて長期間で情報を集め,相場をつくる(=積み上げ型褒賞)。 
  • 組織にヒエラルキー構造がある方が,ゴミ箱型意思決定(見過ごし・飛ばし)が起きやすい。

2016/11/08

Ödalen, J., Brommesson, D., Erlingsson, G. Schaffer, J. and Fågelgren, M. (2016) "Teaching university teachers to become better teachers – does it work (and should it be made compulsory)?," American Political Science Association Conference


  • スウェーデンの大学:学生数が倍増したのに政府予算は増加せず。学生のレディネス低下。→ 教育の質が問題になる,特に教員の教育能力として。
  • 教員の採用・昇任に,教授法コースの履修が求められるようになる。(優れた研究者が優れた教師ではないのに。)
  • 教授法コースを検証する:
    • コースは意図した効果があるか,自分の教授法の点検に有効か,教師としての自信を持つに有効か,コースに満足できるか。
    • 先行研究は,ポジティブな評価。
  • 教員の基本的な姿勢が学生の態度を決めるという仮説,特に学習者中心学習について。
  • 459教員調査,239サンプル,コース終了後再調査,183サンプル。Approaches to Teaching Inventory(Trigwell 1994 1999)を調査項目として使用。
  • 結果は,コースの効果がほとんどない。
    • 若手教員は,まず教員中心の教育を身につけないと学習者中心の教育へ進めないのではないか。
    • 悪いことではなく,基礎としてとらえるべき。
    • 教員としての自信が得られると,学習者中心の教育へ進みやすくなる。
    • コースの費用対効果は再検討すべき。
学生の質が落ちたから学習者中心の教育へというロジックが気になる。

2016/10/26

シャイン,E.(梅津裕良・横山哲夫訳)(2012)『組織文化とリーダーシップ』白桃書房


  • 組織文化:文化人類学,社会学,社会心理学,認知心理学の研究。
    • 文化的な現象が関係する場面では,注意深い観察,グループに対する面接,情報提供者に対する焦点を絞った質問で研究。
  • マクロカルチャー(国・民族・宗教) ⇔ 組織文化 ⇔ サブカルチャー(組織内の職業別グループ) ⇔ マイクロカルチャー(組織内外の特定職業マイクロシステム)
  • 文化とリーダーシップの関係は,組織文化とマイクロカルチャーに明確に現われる
    • 文化は究極的にはリーダーによって創成され,定着が促され,育てられ,最終的には操作されるもの。
  • あるレベルの文化を理解するためには,すべてのレベルの文化についての一定の理解が求められる。
  • 文化は抽象的概念だが,文化が生む力は強力。
    • なぜ,部下は変化に抵抗するのか,なぜリーダーが組織を生産性の高い組織にしようとするのに,部下は非生産的な方法を続けたり,グループ間でコミュニケーションを取らないのか。
    • 職業に就くには,その職業に伴う価値化や規範を身につけることが求められる。
    • 細織やグループで共有されている前提認識を検証し,それらを自分自身の前提認識と比較することから文化の分析が始まる。(これができないと,現場で何が起こっているかが理解できない。)
    • 優れた文化という議論は困難。文化が優れているかは環境との関係で決まるので。
  • 文化の概念は,構造の安定性,深さ,広さ,パターン化と統合化を意味している。
  • 文化の定義:パターン化と統合化。
    • グループが外部への適応,内部の統合化に取り組む過程で,グループによって学習された共有される基本的な前提認識のパターン。
    • このパターンはそれまで騒本的に効果的に機能してきたので適切なものと評価され,その結果新しいメンバーに対しこれらの問題に接して,認識し,思考し,感じ取る際の適切な方法として教えられる。
  • 安定したメンバーと共通の学習経験を備えたグループであれば,どのグループもあるレベルの文化を築いている。
    • メンバーやリーダーの間の数多くの離脱,挑戦を含む出来事を経験してこなかったグループは,共有された前提認識がない可能性。= 人がただ集まるだけでは文化は生まれない。
  • 文化のレベル:文化的現象が観察者に見える程度。← 構造的な記述
    • 基本的前提認識:妥協の余地のないもの。アイデンティティや自己尊厳を促す価値観も定義する。
      • 前提認識が違っている場合は,双方が自分たちの一貫性を守ることができる第3の前提認識を見つけないといけない。
    • 価値観:議論の対象として開かれていて,賛成しても賛成しなくてもよい。
      • 分析する際は,すぐれた業績を導く底を流れる信条と合致したものやその組織の理念や哲学の一部を占めるものと,単に将来に対する言い訳または願望にすぎないものを区別しなければならない(教育が大事と言っているが,実際は研究を評価するなど)。
    • 人工物:認識しやすいが,解釈も難しい。それだけでは理解できない。まして,人工物から前提認識を推論することは危険。長時間所属すると,人工物の意味が次第に明確になる。
    • グループの文化を理解するには,共有された基本的な前提認識にたどりつくように努力し,その基本的前提認識が形作られる学習プロセスを理解することに努めるべき。
  • サブカルチャーを生む源泉
    • その組織内の機能組織ユニットで形成されることが多い。← 部署横断的なプロジェクトチームをまとめる難しさの源泉。各自が自分の文化を持ち込むため。(ex. 入試改革という言葉の各部署の意味は?)
    • 共通の(成功)経験を反映して形成される文化。
    • 職業別のコミュニティ。(ex. 学長コミュニティ,国立大学コミュニティ)。
  • 現場の前提認識
    • 自分たちは不可欠の存在,実際に動かしている存在,組織の成功は自分たちにかかっている。
    • 求められる知識・スキルは現場にある,そのために学習が必要,自分たちは協調的なチームを作り,オープンで相互信頼でコミットメントが必要。
    • そのために必要な資源の提供をマネジメントに期待している。
  • エンジニアの前提認識
    • 理想的な世界は,人間の介在なしにプロセスが正確・完璧に機能する世界。
    • 人間は間違いを犯すので,システムに含めずデザインすべき。
    • 自然は統治可能,仕事は優れた成果物を目指すこと。
  • エグゼクティブの前提認識
    • トップは孤高の英雄,全知全能,不可欠の存在をアピールすべき。
    • 部下から信頼できるデータは得られないので,判断はトップしかできない。
    • マネジメントの本質は階層的,階層がコントロールの主要手段。
  • 専門化,グローバル化,ICTの活用で,マイクロカルチャーが生まれやすくなった。
    • 構造ではなく,次元から文化を見る = 組織生存と成長のための外的環境への対応,組織内部の統合のためのマネジメントの問題の2つ。
    • 多様なステークホールダーの期待を調和的に充足することが組織のミッションとなるという論理は,どの組織にとっても変わりはない。
    • そもそもミッションは誰にでも一応の理解はされるが,明白にわかりやすく表現されていない。ゴールについてのコンセンサスを成立させるためには,関係グループは共通の言語表現と前提認識の共有を必要とする。それは基本的なロジスティカルな作業を意味する。つまり抽象的な何か,あるいはミッションの総括的認識を具体化,現実化することである。
    • 組織文化のなかでもっとも重要で,しかも見えにくい要素としてあるものは,「物事の達成がどのようにしてなされるべきか,ミッションはどのように遂行されるべきか,ゴールはどのようにして達成されるべきか」についての前提認識の共有である
    • 内部統合の問題
      • 共通言語と概念分類の創出,グループの境界規定・参入除外の基準設定,権力・権限・地位の委譲,信頼・親密・仲間意識に関する基準,賞罰規程・適用,説明困難なことの説明。
    • 組織における案件の決定は,他の案件と連結・連動することが多く,経験的に処理するかコンセンサスを前提とするかについて,共有された前提認識がなくてはならない。(それはもっとも経験の深い者に決定を委ねよう・多数決で決めようになる。
      • ただし,ここでコンセンサスとは決定の基準(criteria)についてのコンセンサスと,決定のプロセス(decision process)についてのコンセンサスであり,必ずしも決定そのもの,決定の実体を意味することではない。
    • グループが多文化になるほど,コンセンサスの進捗と成立は社会的現実を共有するプロセスは複雑になる。
    • 文化の分類では,現実,真実,情報がどう定義されるかの前提認識が重要。個人にとっては,時間・空間に方向付けできることが基本。
    • 個々人はグループ内のメンバーシップを確実なものにするために,一定の基本的な前提認識に従う。
      • 外から思考や認識の方法を変えることを求めると抵抗する ← グループからの逸脱になるから。
    • グループの進化の段階:
      • グループの形成:前提認識=依存(リーダーは自分たちがなすべきことを理解している)
      • グループの構築:前提認識=融合(自分たちは優れたグループで,お互いを尊重し合っている)
      • グループが稼働:前提認識=稼働(自分たちはお互いを知り認めているので,効果的に仕事ができる)
      • グループの成熟:前提認識=成熟(自分たちは誰で,何を望み,どう実現するかを理解している)
      • 文化の源泉:
        1. 創設者の信条,価値観,前提認識
        2. 組織の成長に連れてグループメンバーが獲得する学習経験
        3. 新しいメンバーやリーダによって持ち込まれる新しい信条,価値観,前提認識
      • 文化の自然な進化のプロセスが遅すぎたり間違った方向の時に,リーダーが管理された変革を起こす。
      • 組織変革の段階
        1. 解凍(変革への動機づけを生む):不当性の証明(データ,データと重要な目標との結びつきなど),生き残りのための不安感や×意識の創成,学習への不安感を克服するための心理的な安心感の創成
        2. 学習(新しい考え方,新しい基準を学ぶ):ロールモデルの模倣と同一化,ソリューション間の選択と試行錯誤による学習
        3. 内面化(新しい考え方,意識,基準の内面化):自己イメージ・自己同一性への統合,継続する諸関係への統合
      • 不当性への反応:
        • (1)拒否(データは妥当でない,一時的なものだ,意味がない),(2)責任転嫁(そのデータは他部門が原因),(3)操作・交渉(データを受け入れる代わりに見返りを要求する)
        • → 生存への不安感・罪意識 > 学習に伴う不安感
        • → 左辺の増大ではなく,右辺の減少にフォーカス。
        • (1)力強い役割ビジョン,(2)公式のトレーニング,(3)学習者の参画(自分のインフォーマルな学習プロセスを管理できる確信が重要),(4)チームに関する非公式トレーニング(新しい前提認識を得るため),(5)実習,コーチング,フィードバックの提供,(6)効果的なロールモデル,(7)学習に伴う問題のガス抜き,支援グループ,(8)新しい思考と仕事の進め方と一貫したシステムと構造
      • 変革のゴールは,文化の変革という文脈ではなく,自分が解決したい問題という文脈の中で具体的に記述されなければならない。
      • 文化に伴う古い部分は,その部分を「担っている」人たちを除去することを通じて打ち壊すことが可能。しかし,文化に伴う新しい部分は,新しい行動が人材を成功と満足に導いたときにはじめて彼らが学ぶことが可能。
      • 文化の変革は,心理的な苦痛を伴う解凍の期間を要求する,トランスフオーメーショナルな,大規模で根本的な変革だ。
      • 学習する文化の姿
        • (1)先取り的発想,(2)学習すること自体が習得すべきスキルという前提認識の獲得,(3)人間の本性についての前向きの前提認識,(4)環境は管理可能という信念,(5)問題に対する解決策は,探究に含まれる深い信念,真実に対する実用主義から生まれる,(6)将来への前向きの指向性,(7)開かれたコミュニケーションへの理解,(8)文化の多様性の理解,(9)体系的な思考への理解,(10)文化の分析に関する理解
      • 学習と変革を人々に強制することはできない。
        • メンバーの貢献と参画は,何が進行しているのかを診断し,何をすべきかを明確にし,実際に学習と変革を進めるプロセスにおいて不可欠。
        • 学習プロセスは,学習を進める社会的ユニットのすべてのメンバーによって共有されていることが求められる。
      • 多文化ユニットの管理
        • 組織の効果性についての理論では,縦系列と横系列にオープンなコミュニケーションが築かれていることの重要性が強調されている。しかしこれらの理論では,文化の垣根を越えたオープンなコミュニケーションも可能であり,そこでは理解と共感を促す文化の島のセッティングが必要とされるという事実を見逃している。
        • 外科医と看護師にお互いにオープンに接することを促すだけでは十分とは言えない。彼らに共通の場と相互理解を築くための文化の島の共通な経験を持たせることが求められている。
        • → サブカルチャーの存在を認識する文化的な視点こそ,組織のリーダーにとって根本的な条件。

      2016/10/25

      Hatch, M. (2013) "Organizational Culture," Organization Theory, Ch.6


      • 文化:いろいろあるが共通点は,グループで共有されているものであり,意味,信念,仮定,理解,規範,価値観,知識の組み合わせに関するもの。
        • ある集団のメンバーが獲得した知識,信念,技法,倫理,ルール,習慣,能力や傾向の複合体(Tylor 1871)。
        • 人が生きていくために生み出した信念,行動,知識,拘束力,価値観,目標の全体(Herskowitz 1948)。
      • 文化は,ある問題に対する共通性や合意をもたらすものだが,個別の違いに依拠するものでもある。
        • → 多様な個人を共通の枠組みにまとめるものが文化
      • 下位文化:組織内で共通性や親密性(専門性,性別,人種,職務,出身,国籍など)を持つ特定の集団が持っている文化
        • そのため,下位文化はメンバーが頻繁に交流するほど発展する。= 組織内で特定の設備や場所を共有することが促進する。
        • もう1つの下位文化の現れ方:トップの文化に対する態度でわかる:促進的,無差別的,反対的
        • 下位文化はそれ自体が良いとか悪いではない。ただし,サイロになると組織統合を困難にする意味で課題になる。← Strogn Cultureと呼ばれる。
      • 組織文化が注目される背景:構造研究だけでは,メンバーの感情的な要素を考慮できない。
        • 初期の研究は規範の研究 = 文化は管理可能なものという認識 = 組織の競争力や有効性を高めるツール
        • しかし文化は操作的な定義が難しい:エスノグラフィー(参与観察+非構造化面接)が主要な研究方法になる。
      • 実証主義の組織文化理論
        • 国別文化の組織への影響分析
          • 個人の持つ国の文化が組織の持ち込まれる ⇔ 組織がその地域の文化に影響を与える(フランスディズニー:強い反対 → 現地文化採用 → 経営危機 → 地元が支援)
          • IBMの国別分析:権力・富・威信の偏在受容度 × リスク回避志向度,個人主義・集団主義度数 × 性別役割主義・性別平等主義,長期志向 × 短期志向(ハードワークが長期的な見返りがあると信じる度合い)
        • シャイン:組織文化論
          • 人工物,価値観,前提認識
          • 価値観は新人,達人,革新家によって揺さぶられる。
          • 規範は明文化されないが期待される行動
          • 文化的な人工物:対象物(ロゴ,什器,服装,設備,ポスター,標識),言語(専門用語,表現,伝説,噂,ジョーク,比喩,スローガン,スピーチ,言葉遣い),活動(儀式,会議,コミュニケーションのパターン,伝統,習慣,ルーチン,ジェスチャー,褒賞,懲戒)
      • 象徴としての組織文化研究
        • 象徴:多様な意味を持ったり,感情を抱いたり,行動を駆り立てるような,対象物,行為,関係性,言語のこと。
          • Denotation:道具として象徴を使うこと,Connotation:象徴を表現として使うこと。
        • グラウンデッドセオリー,エスノメソドロジー,分厚い記述,ストーリーテリング,ナラティブ,ドラマ化
        • 勤続表彰などは象徴の1つ
      • 組織文化の変革
        • 管理者の関心:文化をどう変えるか。(ただし,トップは文化に大きな影響力がある。)
        • 実証主義者:文化が規範や価値観を通して行動に影響するなら,管理可能なはず。→ 採用方法を変えて組織に望ましい規範や価値観を持った人を採用し,訓練と社会化を行い,トップに合う文化の人を褒賞する。
          • クランコントロール:望ましい文化を身につけるよう新人を社会化する。
          • シャイン:環境適応か内部統合の際に組織文化を変えるメリットがある。
        • 象徴としての文化:組織文化や下位文化は,メンバーと交流しない限り理解できない。
          • 戦略の採用が文化を変える。文化の変化が起こるのは,既存の仮定や価値観と整合的でない戦略がとられる時。
          • → 既存の価値観や仮定が壊されたり覆される = 戦略は実行されない。
          • → 既存の価値観と整合的であれば,戦略は次第に実行される。
        • 組織文化変化のダイナミクス(Hatch)
          • 人工物→(象徴化)→象徴→(解釈)→前提認識→(表明)→価値観→(現実化)→人工物
          • マネジャーがこのプロセスに参加するなら,変革可能。現実化か象徴化から着手が可能。

      2016/10/24

      Tierney, W. (1988) ”Organizational Culture in Higher Education," Journal of Higher Education, 59(1), 2-21.

      • 組織文化が,組織内の問題解決に役立つのではという関心が高まる。
        • そういう問題よりも,議論の枠組みを提供したい。
        • 組織文化が高等教育機関のマネジメントとパフォーマンスを理解する上で,有用なコンセプトであるため。
      • 管理者のよくある疑問:何が共有されているのか?ミッション?価値観?
        • 計画通りにならなかったり,思いもよらない抵抗があるとよく出る言葉。
        • ← 行為と結果は1対1対応でないので,そもそも愚問だが。
      • 同じリーダーシップが異なる結果,同じミッションで異なる大学:
        • 源泉は,組織内部の価値観,プロセス,ゴール,文化
      • 組織文化 = 自分で張った蜘蛛の巣。
        • マネジメントの危機の状況で組織文化は表面化する。
      • 組織の複雑化 = コスト増,文脈不明確,資源配分困難
        • → 難しい意思決定 ≠ コンフリクト,→ = 目的やアイデンティティに関する感覚の表面化
      • 文化の理解は問題解決にならないが,組織を正しく理解する上で不可欠。
        • まず文化の構造と要素の理解からはじめる。
      • 西洋=戦略プラン,マーケティング,管理統制,日本=終身雇用,集団意思決定,少ない昇進,非公式・暗黙の評価
      • 組織文化のフレームワーク:環境,ミッション,社会化,情報,戦略,リーダーシップ ← 実際にこれに沿ってケーススタディ。
      • アカデミック文化の密度 ≠ シンボルの多さや適切さ = 社会的なつながり
      • ある州立大学の事例:
        • 衰退産業地域,労働者階級のための教育,家族的な組織,ボトムアップの意思決定プロセス(参加型意思決定),オープンドア・歩き回るトップ,少ない政治的衝突,
        • 学長の決まり文句:2つの意味で重要,(1)組織のミッションがカリキュラムの一貫性を保つ基準となる,(2)構成員が自らのパフォーマンスと自己評価の基準を持つ。
        • 解釈戦略:トップが意味を伝達する
      • 下位文化,反体制文化,専門分野文化の理解も必要。

      2016/10/21

      Schein, E. (1990) "Organizational Culture," American Psychologist, 45(2), 109-119.


      • 文化の理解や定義が難しい背景:社会科学の諸分野の交点にあるテーマだから。
      • 文化を本気で研究するなら,臨床的でエスノグラフィによる研究が必要。
        • 臨床研究:コンサルタントとして現場に入り,自分の関心でデータにアクセスし,観察でデータを補う。
      • 組織文化:組織が,外部環境での生存と内部組織の統合を克服する中で学習したもの。この学習は,態度,認知,感情のプロセスでもある。
      • 文化の定義:(1)前提認識のパターンである,(2)それはグループ内で開発,発展したものである,(3)それは適応と統合に対応するために学習されたものである,(4)それらは有効であると認識されて,実際に効果があったから学習された,(5)よって新人にも教えられる,(6)それは今後の問題を発見・考察して感じるための方法となる。
      • 文化のレベル:人工物,価値観,前提認識
      • 文化を理解するのに必要なプロセス:内部者の知識と観察者の質問を組み合わせるには,前提認識を表面化する必要がある。ただし,質問は双方向的に行われないといけない。そこでは観察者が,前提認識が確かに表面化し,双方がより理解したという感覚が得られるまで継続的に検証する必要がある。
      • 組織文化の中に含まれる要素:
        • 組織の環境における位置づけ(リーダー,フォロワー,ニッチ?)
        • 人間活動(どう振る舞うのがよいか,支配者,先取り,受け身?)
        • 現実と真実(どうやって正しいことを定義するか?実験,合意,規範,先人の知恵?)
        • 時間(過去・現在・将来への志向性,どのような時間単位が最も適切か?)
        • 人そのもの(人はどういう存在か,性善説,性悪説?)
        • 人間関係(適切な関係性はどういうものか,支配と服従,競争と協力,個人と集団,自律と管理,同僚的と参加的?)
        • 同質性・多様性(集団は多様な方がいいか同質な方がいいか?)
      • 文化は学習されるものであるなら,学習モデルを理解することが重要。
        • 集団は,どのように規範,信念,前提認識を学ぶのか?
          • 文化は危機の中で学ばれる。
            • ex. トップを批判→制裁を受ける→甘んじて受ける→トップは批判してはいけないという学習が起こる。
          • 創設者が文化を創る → やがて各部門での学習も進む
        • 主な学習手段:(1)リーダーが何を注視し,評価し,管理するか,(2)リーダーが危機にどう対応するか,(3)ロールモデリングとコーチング,(4)地位や褒賞を与える基準,(5)採用・選抜・昇任基準
        • 副次的な手段:(1)組織デザイン・組織構造,(2)組織内のシステム・手続き,(3)物理的な環境・スペース,(4)逸話,伝説,象徴,(5)組織の哲学,信条,理念
      • 新人を社会化するプロセスに注目するとよい
        • 同じ学習をしても,個人は異なる反応をする。
          • 完全順応:全ての前提認識を学ぶ
          • 個性発揮:中心的な前提認識だけ学ぶ,
          • 反乱分子:全ての前提認識を学ばない
        • 完全順応を引き出す学習の組み合わせ:フォーマル,自己再構築,連続的,可変的,トーナメント型。
        • 個性発揮を引き出す組み合わせ:インフォーマル,自己発展,ランダム,固定的,コンテスト型。
      • 組織文化の発展
        • 自然発展:部署がある限り,下位文化は生まれる。→ 全体の文化はその混合になる。
        • 管理的発展:新しい前提認識を入れる変革をする。(合併統合でよくある)。

      2016/10/20

      Boje, D. (1991) "The Storytelling Organization: A Study of Story Performance in an Office-supply Firm," Administrative Science Quarterly, 36(1), 106-126


      • オフィス用品会社の臨床研究,ストーリー研究。
        • できごと,変化,政治的優位性の獲得などをどう理解しているかについて調査。
      • 物語は理解をつくる上で有用。ただし,不確定で時に政治的。組織内の情報処理ネットワークの一部を担う。組織としての記憶装置にもなる。
        • 法廷で行われるのは主にこれ。
        • 同じできごとに対して,別の人は別の物語を語る。
        • 物語を話す→誰かが自分の解釈を入れて記憶する→断片化。
      • シャドウイング型の参与観察を実施,幹部7人,管理職23人,その他顧客やスタッフ。100時間の録音データを文字化。ストーリーを8パターンでカテゴリー化。11ストーリーを分析。
      • ストーリーの語られ方 ≠ そのまま話されることはない
        • 話者はある一面を取り上げる,ある面を強調する。
        • 話者と聞き手が,お互い納得をするように共同でストーリーをつくる。
        • マネジャーは,抽象的な戦略に合意を取り付けるために,ある一面のストーリーを語る。

      2016/10/19

      Top 20 ways to improve your world university ranking


      • 大学を変えるには,インセンティブを変える
        • これが変わらないと行動が変わらない。
      • 最高の教員を招くには,最高のリーダーが必要
        • 優れた学者をリーダーにする。
      • 採用方法を変えて質を管理
        • TMTが選考プロセスに同席する。教員は同質な人を採用するので。
      • 最高の人を採用する
        • 人事部の力量を上げる。
      • タレントリストをつくって褒賞する
        • 優れた教職員を知るべき。大学がメンバーにロイヤルティを示す。
      • 痛みが必要
        • 組織変革は痛み。
      • ころころ変えない
        • リーダーを選ぶ際は,一貫性を優先する。
      • いい人(リーダー)を採用するには,相応の処遇をする
      • 研究費を取るためのインセンティブを用意する
      • 役所仕事削減,委員会削減
      • リーダーにアクセスしやすくする
        • 学生を含む。
      • 教員と職員の関係をつくる
      • 教員を早い段階からマネジャーのトレーニングをする
        • ただし,若い教員にはインセンティブないので,適切に動機づける。
      • ボードメンバーを教育する
        • 大学をよく知ってもらわないと関わってもらえない。
      • 政府にノーを突きつける
        • TMTは大学の最後の砦。メンバーを必ず守る。
      • 教員が互いに会えるようにする
        • 高質な飲食の場を提供する。
      • リーダーとしての教員を採用する
      • リーダーは少なくとも5年奉職する
      • リーダーに十分な権限を与える
      • リーダー自身がTMTを選ぶ
      まさに,新自由主義マネジリアリズム。

      https://www.timeshighereducation.com/features/top-20-ways-to-improve-your-world-university-ranking/410392.article

      2016/10/13

      日本教育行政学会研究推進委員会(2009)『学校と大学のガバナンス改革』教育開発研究所


      • 一見,大学は市場のもとで自律的に活動しているように見えるが,資源配分と評価のメカニズムを設定することで,政府による遠隔操作が行われている。(政府・大学・市場の三項対立の構図に基づいて権力の移動を論じるべきでない)。
        • → 変化しているのは権力関係そのものではなく,政府と大学の権力関係の様式である。市場・政府・同僚制(大学寡頭制)のトライアングルモデルは,市場・政府関係をゼロサム関係と把握するので,この変化を表示することはできない。
        • 市場メカニズムが人為的に創出されているものと捉え,政治的要因に注目しなければならない。
      • アメリカ・イギリス・オーストラリアの大学:法人格をもつ=遠隔操作による新たな政府統制を導入しやすい。
      • 日本・中国・台湾。韓国:威信が高くそれぞれの国で規範的役割を果たす=政府立期間,政府の庇護と統制下。
        • 中国:98年法人化,台湾:2003年閣議決定,否決されて未成立,韓国:導入計画中。
      • 国立大学法人制度は,マネジメントにおける自律性を拡大するものではない。
        • 年度計画は前年度3月に認可,前年度の評価結果は機関レベルで次年度6月末に確定後,国立大学法人評価委員会によって9月に確定,=PDCAサイクルに成り得ない。
        • 年度計画・中期計画は文部科学大臣の認可を受けた計画を許可なく変更できない。
      • 国立大学法人の業務はあくまでも運営(教育研究ではない)。
        • 「団体,機関その他の組織又は機構がその機能を発揮するようにそれを活動させて働かさせていくこと」(国立大学法第22条第1項第1号)。
        • ⇔ 「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の中期目標期間の業務実績評価に係る実施要領」は教育研究に対する業績評価そのものを行う(法人と大学の区分があいまい)。
      • 不効率な大学運営は転換する必要があるが,学長のもとに権限を集中してリーダーシップを強化すれば成功すると考えるのは,企業モデルの思いこみで大学の重層性を理解していないといわざるをえない。


      • アメリカのアクレディテーション:最低基準を保証する評価で,大学がその目的や目標をどの程度まで達成しているかを評価するものではない。
      • 州交付金の一般的な算定方法は,Formula Budgeting(設定された算定式から交付金を算出)。= 教育や学生サービスの質を加味できない。

      • 日本でガバナンスという言葉が頻繁に使われ出したのは90年代の後半から。サッチャー政権が用いた民営化政策による統制手法をニューガバナンスと呼んだのがきっかけといわれる。
      • 独立行政法人の枠を残しつつ国立大学としての独自性を発揮できるような検討が加えられた成果が,(1)学長を自らの組織で選考できること,(2)中期目標・中期計画を自ら決定することができるとした点。
        • 大学にとっての不幸は,この程度の修正で国立大学法人化という大事業を鵜呑みにしてしまったこと。
        • 基本設計にみる国立大学法人化の要点は,(1)トップダウン型の大学運営,(2)学外者の大学経営への参加,(3)評価の重視による競争原理の導入。= 独立行政法人と何ら変わらない。これで大学を含めて大かたの公的サービスに対応できると考えたとしたら,その発想はずいぶんと浅く貧しい。
      • トップの仕事:長年にわたって努力されてきた教育・研究の成果をじっくりと見定め,それらを支援すること=トップができるのは環境条件を整えることのみ。
      • 国立大学法人の運営は,教授会中心のボトムアップ型から大学執行部が自らの提案を評議会に降ろすトップダウン型に変わった。= 評議会も教授会も合議制の審議機関から連絡調整会議と化した
      • 法人化後の体制で注意が必要なのは大学執行部の実態:本当の執行部の範囲がどのように設定されるかは学長・学長側近の判断による。
        • 通常は学長・理事・監事・副学長(執行責任者)の範囲で非公式の会議を設置して大学執行部を構成。= 人数が少ない分だけより集権的な意味合いの濃い会議。
      • トップダウンといっても,本来はそれが正常に作動するためには要所要所で適切なチェックが効かなければならない。
        • それをすべて外すと,学内は無秩序になり,学長執行部以外はすべてフラットな組織になる。
      • 法人化3つの誤謬:
        • 国立大学法人の設計に独立行政法人を下敷きにしたこと。
        • NPM自体の評価:行政改革の手段として卓越した手法であったか疑問。
        • エラーマネジメント:独善的トップダウン,意欲ある教員の離職。

      2016/10/12

      佐古秀一・曽余田浩史・武井敦史(2011)『学校づくりの組織論』学文社


      • 組織の有効性研究は消えない:(1)あらゆる組織モデルの中心に位置する,(2)究極の従属変数である,(3)有効性判断の必要性に常に直面している。
      • 効果のある学校の5つの特徴(Edmonds):(1)校長の教授・学習上のリーダーシップ,(2)教員集団の意思一致,(3)安全で清潔で静かな学習環境,(4)公平で積極的な教員の姿勢,(5)学力測定とその活用。
      • 学校の有効性のモデル
        • 目標モデル(学力,ドロップアウト率,進学率)
        • 内部プロセスモデル(リーダーシップ,コミュニケーション,参加,協働,組織風土,文化)
        • 非有効性モデル(葛藤,逆機能,困難,欠陥)
        • 資源-インプットモデル(入学者の質,施設設備,財政支援)
        • 関係者満足度モデル(政府,理事会,管理者,保護者,生徒の満足度)
        • 正当性モデル(一般の人との良好な関係,公的イメージ,アカウンタビリティ)
        • 組織学習モデル(内部プロセスのモニタリング,プログラム評価,人材開発)
      • 組織論と有効性
        • 構造アプローチ:学校を工場ととらえ,学校組織は,測定可能な目標を効率的に達成するために固有の役割と機能を持つ諸要素を組み立てた機械と見る。
          • 合理的な構造化と計画化をすれば(=教職員の活動を統制すれば)学校はうまく機能して効率的に目標を達成できる
        • 人的資源アプローチ:個人が職場の中で仕事にやり甲斐や意義を見出し,組織目標達成に必要な資源(=エネルギー・アイデア・才能)を獲得すれば組織はうまく機能する。
        • オープンシステム論:組織の外部に目を向ける。(⇔上の2つは内部に注目)
          • 組織は相互作用・相互依存する複数の下位システム(構造・人間,・文化・政治・技術等)から成り立つ有機体であるため,組織の全体性や他の部分との相互調和が重要。(⇔ 組織=機械=部品の交換で前回が改善できる)
          • 組織は複数の目的を持ったシステム(研究,教育,社会貢献。学力保障,人格完成,進路保障)。
          • 組織は外に開かれていて絶えず相互作用するので,問題解決プロセスとしてオープンなコミュニケーションが重要。
          • オープンシステムにとっての有効性は,長期にわたって環境に適切に対処していく能力を持つこと
          • ベニスの組織の有効性基準:(1)環境を積極的に支配する(適応性),(2)まとまりのあるパーソナリティを示す(アイデンティティ),(3)周りの世界と事故を正しく認識する能力がある(現実のみきわめ)
      • 組織学習と有効性
        • オープンシステム論や学習する組織論が重視するのは,経験からの学習や日々の実践を通しての学習。
        • シングルループとダブルループの違い:今日の学校が置かれている状況に対して,閉じた防衛的なスタンスで向き合うのか,開かれた探究的なスタンスで向き合うかの違い。
        • アージリスとショーンにとって有効な組織は,ダブル・ループ学習を促進することのできるスタンスと力をもった組織
        • 有能なチェンジリーダーはメンバーを参加させる手腕に長け,深い共通理解と変革の目的に対する純粋なコミットメントを育てる。
      • 場と力
        • ○○力の問題:もともと力とは関係づけられていなかった概念に「力」がプラスされることで,自己啓発や能力開発,教育の対象として措定されるようになった。
        • 場:人々が参加し,意識・無意識のうちに相互に観察し,コミュニケーションを行い,相互に理解し,相互に働きかけ合い,共通の体験をする,その状況の枠組みのこと(伊丹)
        • 場の論理と力の論理:互いに二律背反ではないが,双方の論理を共存させて物事を判断することは難しい。(起こってしまった事故は力の論理で解決,事故を未然に防ぐには場の論理が有効に働く)。
        • 目標構造図:いくつもの異なる目的性を有した活動が学校には多い。→ 目的の多様性が失われたかたちで位置づけられると,単一目的の尺度から評価されるため,活動の意味は過小評価される。
        • アカウンタビリテイの発想からするならば,学校組織経営の論理として正当性をもちやすいのは力の論理。
      • いかに組織を動かすか → どのように動いているか(ルースカップリング,ゴミ箱モデル)
        • 合理的な組織運営を主張する組織論=リーダーにどう行動すべきかを示唆する ⇔ どのように動くかの組織論=組織の動きを観察,その特徴を記述するで成立した後付け」の理論。
      • 「これをしなさい」という強制はしていないが,「何かを考えろ」「自由にしてみろ」ということは強制している。
        • 改革の初発の段階におけるリーダーシップは場の設定に向けて発揮されている。
        • ゴールが固定されていない,暖昧さを残した課題設定のもとで多様な参画者が時間と空間とを共有する機会が存在する。これが意思形成において重要な位置づけを担っている。
        • コミュニケーションの中から派生してくるこぼれ球を拾い上げ,育てていくプロセスが存在している。
      • 学校の意思決定を校長に集権化する動向は,2000年の学校教育法施行規則の改正で,職員会議が校長の円滑な執行を補助する機関として明示された。新しい教職員人事評価でも,校長・教頭の評価者としての役割が明確化され,人事管理における校長の実質的な権限が増大した。
      • 学校組織の特徴(ワイク)
        1. 教育における目標が不明確
        2. 教師が用いるべき技術が明らかでない
        3. 管理者が多数の教師を相手にしなければならない(管理者の統制範囲が大きい)
        4. 監督と評価(組織的統制)がほとんど機能しない
      • ルースカップリング論によって提示された学校組織は,教員の裁量性に依拠した組織。
      • 学校組織の独自性
        1. 学校における教育の目的は多義的で包括的(拡散的)な傾向がある。このことは組織・組織行動を統御する基準軸としての目標が暖昧にならざるを得ない。
        2. 職務遂行の標準化(標準的な技術)が成立しがたい。
        3. 教育活動の対象となる児童生徒の不確実性と多様性がある。
        • → 課業の標準化に準拠した一元的な管理統制システムは機能的ではなく,教員の裁量性に依拠した組織が機能的。
      • 学校組織の問題
        1. 教員の個人的な力量を越えた問題に対して,学校の問題解決能力が脆弱。
        2. 児童生徒に対する学校教育の連続的で蓄積的な教育成果を保証することが困難。
      • 結局,学校の教育活動の質や水準は,相当な程度,個々の教員の意識と行動に依存せざるをえないという特徴がある。
        • すでに個々の教員の自己完結的な教職の遂行に依存するシステムとしての学校では乗り切れなくなっている。
        • 教員の自律性を喚起することを助長しながら,一定の組織的統合性を可能にする装置としての組織(教職の独自性に適合した組織化)のあり方と可能性を探究することが必要。
      • → 統制化と協働化は相反するプロセスではなく,むしろ相補的な関係で進展できる。
      • 協働性を構築することによって教員の自律性と学校の組織化を促進しかつ教育活動の具体的改善に資する方途を見出したい。

      2016/10/11

      Blond, H. (1995) "Postmodernism and Higher Education," Journal of Higher Education, 66(5), 521-559


      • 4つのPM議論を扱う:デリダ,フーコー,リオタール,ボードリヤール
        • 前二者はポスト構造主義,後二者は歴史的視点。
      • デリダ:言語が現実の描写と考えの伝達を行う。→ 二項対立をつくる → 脱構築
        • 高等教育:教員と学生,教育より研究,修士より博士,文系より理系
        • → 周辺者を際立たせる → 既存の報酬体系,組織目的,権威や責任に疑問を投げる。
        • 大学業界の業績主義:それ自体は否定しないが,何が業績かを注意深く見ることは必要。
      • フーコー:ディスコース理論
        • 支配力 ≠ 力,= システム,ネットワーク。状態ではなく,支配力の帰結が重要。(Modernistは階層・葛藤・政治活動に注目する。)
        • 大学は分野ごとに異なる方法・指向・言語を持つ ⇔ 共通価値も持つ(学問の自由,ピアレビュー) → 内部コミュニケーション活性化すればよい(Moderninst)→ 失敗する。
        • なぜなら,覇権的な価値があるから。周辺集団は共通土台でコミュニケーションできない。
      • リオタール:メタナラティブ(絶対的な存在)(の可能性はない)
        • 高等教育の存在意義は経済的発展への貢献のみにある,という高等教育像に将来なる。
          • 知識の伝達は,経済成長に役立つものだけが残る。教員も今は必要だが,将来は不要。
        • 人文学は科学的方法をとるべきという議論 ← 大学を支配している見方
        • 大学にあるメタナラティブ:(1)科学のみが絶対的存在,(2)効率性・効果性と技術転移性のみで判断
        • 価値の中心はパフォーマビリティになる。
      • ボードリヤール:内部崩壊
        • メタナラティブの進展で,組織の境界は曖昧になる。→ 1校独占支配へ。キャンパスが必要なくなる。
      • ポストモダンの資源調達
        • より競争的で多様な資源に移る = 政府の権威が落ちる。(ポストモダンや矛盾を含んでいる)。
      • では,どう対応するか?
        • 社会的保守(昔の体制に戻る?),ハードコア,未達成ポストモダン,フェミニスト,マルクス派的対応,文化論,ポストコロニアリズム,カオス理論,越境,自由・実用主義

      2016/10/10

      John, K. (1995) 'A Multimethod Examination of the Benefits and Detriments of Intragroup Conflict," Administrative Science Quarterly, 40(2), 256-282

      • グループ内コンフリクトが生産的になるかは,コンフリクトのタイプ,タスクのタイプに応じたグループ構造,タスクの相互性,グループの規範に依存する。
        • 関係コンフリクト,タスクコンフリクトは共に,個人のパフォーマンスにマイナス。
        • グループのパフォーマンスに対しては,タスクコンフリクトのみマイナス効果あり。
        • 非ルーチン仕事では,タスクコンフリクトがプラスになる時がある。
        • オープンディスカッションは常にプラスとは限らない。→ コンフリクトとの関係の数や密度を高めることはあっても,個人のコンフリクト対応能力を高めることにつながらない。

      • Hackman (1987) のグループパフォーマンス基準:(1)成果が標準以上,(2)個人の仕事能力を高める社会的プロセス,(3)個人の満足度を高める。
      • ここで扱うグループ内コンフリクト:(1)関係コンフリクト(個人間の感情に関するもの),(2)タスクコンフリクト(仕事の見方・考え・意見の相違によるもの)。
      • 先行研究から仮説を生成。
      • 仮説1:関係コンフリクトが高まると,満足,メンバー間のつながり,グループへの残留意思が低くなる。
      • 仮説2a:関係コンフリクトは,個人のパフォーマンスを下げる。
      • 仮説2b:関係コンフリクトは,グループのパフォーマンスを下げる。
        • 他のメンバーからの情報を評価する能力が下がる。
        • 他のメンバーのアイディアを取り入れようとしなくなる。
        • 貴重な仕事時間がコンフリクトの議論・解決・無視に使われる。
      • 仮説3:タスクコンフリクトは,個人の満足,メンバー間のつながり,グループへの残留意思を低くする。
      • 仮説4a:タスクが非定常の場合,タスクコンフリクトと個人のパフォーマンスは,Low-Low,High-High,Very High-Moderateの関係がある。
      • 仮説4b:同上,グループのパフォーマンス。
      • 仮説5a:タスクがルーチンの場合,タスクコンフリクトと個人のパフォーマンスは,Low-Moderate,Moderate-High,High-Lowの関係がある
      • 仮説5b:同上,グループのパフォーマンス。
      • タスクとコンフリクトの関係は,タスクの相互性とグループの規範の2つに影響される。
      • 仮説6a:タスクの相互性が高まると,仮説1の効果が大きくなる。
      • 仮説6b:タスクの相互性が高まると,仮説2aの効果が大きくなる。
      • 仮説6c:タスクの相互性が高まると,仮説2bの効果が大きくなる。
      • 仮説7a:コンフリクトに寛容なグループは,仮説1のコンフリクトのマイナス面を小さくする。
      • 仮説7b:コンフリクトに寛容なグループは,仮説2aのコンフリクトのマイナス面を小さくする。
      • 仮説7c:コンフリクトに寛容なグループは,仮説2bのコンフリクトのマイナス面を小さくする。

      • 運送業633人調査(93%,589人カバー),26部署,79グループ。68管理職にはパフォーマンス調査。リッカートスケール調査票6ページ配付。
      • 冒頭の結果を確認。

      2016/10/07

      鈴木宏昌(2004)「人的投資理論と労働経済学」『早稲田商学』401,29−44


      • 人的資本:シュルツ会長講演(1960):経済発展の要因は教育と技能の向上,賃金格差は教育投資の違いで説明できる。
        • この背景は,旧植民地の経済発展の模索。
        • 資本蓄積を柱とした経済政策・工業投資 → 結果は惨憺 → 物的資本の量的拡大と別の戦略を模索。
        • 60年代の主流研究:個人の教育収益率測定。
      • ベッカーの人的資本(1964):教育・訓練の「年数」に応じて個人の職業能力が高まると仮定。
        • さらに,一般訓練と企業特殊訓練を想定。費用負担の合理的行動を示した。
      • 人的資本論の貢献
        • 賃金格差の説明:以前は,労働市場の不完全性と制度的要因による。人的資本論以降は,労働者の質の諭して説明される。
        • 貧困の説明:発展途上国の貧困問題は人的投資が不足しているか高技能雇用機会が不足している。
        • 差別行動の説明:コントロールの残差が差別を説明する。
      • 人的資本論の批判
        • 統計的差別・スクリーニング:教育が生産性を高めるのではない。
        • 制度要因:人事評価と賃金・勤続に相関がない。
        • 内部労働市場:大企業の中核人材は,外部から独立で内部で人的資源配分をし,OJTで特殊技能を形成し,それに応じて賃金が上がる。
      • 60-70年の日本の研究:年功制・年功賃金(労務政策,生活非保証,日本的経営で説明),春闘賃金決定(労働需給,物価上昇,交渉力で説明),労働市場の二重構造(規模間格差を労働者の質で説明)が代表研究。
      • 人的資本論の課題:
        • 人的投資と生産性:賃金≠生産性が実証される,賃金上昇と人事評価に相関なし=制度的要因で賃金決定。これに反論すること。
        • 一般技能と特殊技能:実証の対象にならない,実際は一般的知識と個別の適用。特殊熟練は10-20%(小池)。→ 一般教育と職業教育という区分なら実証可能?
        • 企業の役割の不明確さ:企業組織を人的資本に取り入れる,関連がブラックボックス化されている(ベッカーは一般教育以外に生産性を高める要素があることを示すことを目的にした)。

      2016/10/06

      Salancik, G. and Pfeffer, J. (1974) "The Bases and Use of Power in Organizational Decision Making: The Case of a University," Administrative Science Quarterly, 19(4), 453-473


      • 合理的・官僚的な意思決定は,目的および,行為と行為の結果の因果関係の両方についての合意がない限り採用されない。
      • どのような行動がどのような結果になるかについての選好や信念に違いがある時には,官僚的でない方法がとられる。
      • 下位部署の支配力の源泉:不確実性への対応能力,不確実性に対応する能力の代替不可能性,仕事フローにおける中心性の3つ(Hickson et al 1971)。
      • 大規模研究大学で実証研究。
      • データ
        • 下位部署の支配力:(1)各デパートメント長が,7段階で各デパートメントの支配力を評価,(2)全学委員会における各デパートメントの代表数
        • (これらは単に部局の大きさと比例していると思うかもしれないが,実際は相関が少ないことを確認。学生時間数,フルタイム換算教員数の2つで確認。)
        • 資源の重要性:7つの変数のうち,どれが部局に予算を持ってくる上で重要かを評価してもらう → 重要なのは,大学院生数,ACEによる威信ランキング,学部生数,外部資金量,社会での認知度,学内行政・サービス貢献度,ビジネス・専門的契約数の順。
        • 部局の貢献度:(1)過去13年で,全体の学部資金獲得における部局の割合,(2)各デパートメント長が,上の7つの資源についてどの程度部局が全学に貢献しているかを5段階で評価。
      • 結果
        • 学内の影響力に重要なのは,外部資金の獲得貢献,大学院生数も影響あり(相関&回帰分析)。
      • 資源が希少になると配分問題が生じる。
        • 仮説1:資源が希少になると,配分において客観的な基準が用いられなくなり,支配力で決まるようになる。
        • 仮説2:部局にとって重要な資源不足が生じると,よりその獲得を画策するようになる。
        • 仮説3:多くの部局にとって資源不足の状況では,組織内の配分が支配力によって決まるようになる。
        • 仮説4:部局にとって重要でない資源については,配分において支配力は用いられない。
      • データ
        • 過去13年の,大学院一般研究費(原資は外部資金),夏期教員研究費(外部資金がなく夏期講座を教えない若手向け),学内教員研究費,高等研究院採用数(トップ教員向け)(金額はインフレを考慮して全体の割合で表示)。
        • 資源の不足度:上の7つの資源についての不足度を評価してもらう。
        • 資源の重要度:上の7つの資源について,それぞれの重要度を7段階評価してもらう。
        • 不足度,重要度とも上位なのは大学院一般研究費。
      • 結果
        • 支配力と資源配分には強い相関(仮説を支持)。
      • この分析で考慮されないのは,学外者・卒業生などの要素。

      2016/10/05

      「大学グローバル化の現段階」『IDE現代の高等教育』No.581,2016.6

      大崎仁「国と大学」
      • 強い中央集権国家の日本が,分権国家であるアメリカで自発的に形成された多様で流動的なシステムを,十分咀嚼することなしに一律に制度化した点が,大学政策の最大の問題点。
      • 法律を実施するための政令・省令(法律を補完する規則)を定められる。
        • 執行命令:法律を執行するための手続きなどの細則を定めるもの。
        • 委任命令:法律と同等の制約や義務を課す規則を定めるもの(強力な政策手段)。
      • 学校教育法(法律):学校教育法施行令(政令),学校教育法施行規則(文部科学省令)
      • 大学設置基準は,大学の教育課程を規制している(104条)。= 設置基準改正が有力な政策手段になる。
      • 民間情報教育局(CIE):大学基準(協会)によりアメリカモデルの導入を義務づけ。
        • 大学基準=CIEの政策手段 → 大学設置基準=大学改革の政策手段
        • 新制大学以降の一貫課題:(CIEの押しつけた)一般教育と課程制大学院をどう根付かせるか。
        • → 大学紛争で硬直した人文・社会・自然の履修緩和
        • → 89,大綱化で一般教育・専門教育の区分と区分ごとの単位数義務づけ撤廃。
        • → 大学運営の枠組みは大学設置基準で決められるという印象を関係者に植え付ける。
        • → 委任事項である卒業要件を超えて,設置基準で大学運営のあり方を義務づけようとする傾向を生む。
        • 自己点検,情報公開は望ましいことだが,設置基準で義務化するのは学校教育法の委任の範囲を超えている。(学校教育法が委任したのは,学長・教員の資格と卒業要件の定めだけ。)
        • → その後自己点検,情報公開義務づけは,認証評価の法制化の際に学校教育法で法制化されて問題解消。

      2016/10/04

      Hatch, M. (2013) "Organizational power, control, and conflict," Organization Theory, Ch.8


      • 政治活動:合理的な組織では,権威の力を損ない管理統治を脅かすものとして位置づけられる。
      • 意思決定における限定合理性:政治活動によって意思決定が支配される余地をつくる。→  水面下の連携を通じて次善最適の意思決定になる。
        • これは組織全体にとって得策になることはあまりないが,デッドロックを壊したり行動に移す上では有効なこともある。
      • 支配力:別の者・集団にせざるを得ないことをさせる力。
      • 支配力の種類:権威,個人の性格,専門性,威圧,希少・重要な資源のコントロール,規範的な制裁,機会(支配力の強い人とのコネ)。
        • このうち,権威だけはコストが小さい。他はコストが高い。
      • 支配力をつくる方法:
        • 他者に対して
          • 依存関係をつくる(不確実性の高い領域で仕事をする,重要な領域の仕事の中心をとる,代替不可能なスキルを身につける)
          • 組織を代表して不確実性に対応する(回避・予想・吸収)
          • 個人的なネットワークをつくる
          • 専門性を伸ばし続ける
        • 組織内で
          • 情報の流れを操作する
          • 問題を操作する(問題の定義,議論の優先順位づけ,問題の除外で行う)
          • 意思決定の水準を操作する(長期と短期,リターンとリスク,自分の能力や関心にあった基準設定)
          • 協力・連携関係をつくる(組織外,組織内(忠実な下位部署,任命委員会,重要な会議に参画する)
          • 自分の意見を支持する組織外の有力者を連れてくる
      • 組織内政治:不確実性や意見の相違がある状況で,望ましい成果を得るために支配力や資源を獲得・発展・行使する組織内の活動。
      • アイデンティティ政治:支配力の関係には一定の属性傾向がある(自学出身,医学部出身)
      • 3つの統制(支配力も統制の1つとして使われる):圧力・支配力による統制,報酬による統制,規範による統制
      • 戦略的状況理論:
        • 学内で学生募集力がある,外部資金を多数取れる部署 = 支配力を使うことができる(上層に人を送るなど)
        • これは,支配力の分布が不確実性と関連しているという意味。→ 組織のニーズに対応できる部署が支配力を得る。
        • 不確実性を支配力に変換する3つのルート:単位の実質化不適格の場合
          • 回避:シラバスに時間外学習を記述するシラバス作成方針を立案する
          • 予測:他大学の対応状況を調査・分析して情報提供する
          • 吸収:不適格の指摘を受けて改善に対応する
      • 資源依存理論:
        • 環境の不確実性は組織内の個人や集団に支配力を集める機会を与える。
          • ある主体が代表して不確実性に対応しても,より重要な資源を押さえて別の主体が対応することがある。
      • 言語と象徴の支配力:文科省が言っている,学長が言っている
      • 組織統制の理論:成果による統制
        • サイバネティック理論
          • 統制の目的:望ましい成果と実際の成果の差異を調整すること
          • 統制の対象:成果と行動
          • プロセス:組織の目標を設定→各部署の目標水準を設定→目標と成果の差を測定→差異を評価して修正する
          • 資源の配分を使って統制する。目標設定,成果水準の設定,成果や行動の測定手法を開発することからはじまる。(成果よりも行動指標の方が測定が容易)。
          • 成果に見たな場合の対応:(1)組織が目標か成果水準を見直す,(2)主体が目標か行動を変えることで,パフォーマンスを上げる,(3)主体を変える・やめさせる。
        • エージェンシー理論
          • 統制の目的:管理者が望む行動を対象が最大限行うことの保障
          • 統制の対象:成果と行動
          • プロセス:管理者と対象とで契約をする→契約した義務に合致しているかをモニタリングする→契約に合致した場合に報償する。
          • プリンシパル側のモニター能力が得られる情報の質と量に依存するため,モニター結果を操作するホールドアップ問題がある。
          • アウトプット測定が容易であればこの方法は強力。
        • 市場・官僚・集団
          • 統制の目的:協働のための取引コストを最小化すること
          • 統制の対象:成果と行動と象徴
          • プロセス:市場=他組織の成果と比較する(成果統制),官僚統制=注意深い観察でルールに合致しているかを比較する(行動統制),集団=組織のメンバーを文化,価値観,期待で統合する(象徴統制)
          • 競争が少ない環境(または市場の失敗)では,組織は官僚的,分業的,権威階層の側面を強化する。(大規模組織が官僚化しやすい理由)。非営利組織は常にこの状況とは言えない(教育バウチャー制など)。
          • さらに,市場も官僚制も失敗すると(環境が複雑で急速に変化する時など),集団統制が好まれる。その時は,組織の目的に構成員が向かえるように,適切な行動を定義する価値観や規範で統制する。
          • 大規模専門職組織はこの統制が多い(専門職集団の規範・期待があるので)。ただし,この統制力が組織の目的と一致するとは限らない。
        • 実際はこの3つを組み合わせて統制する。
          • 社会的システムが最も発達⇔最も未開発:集団⇔官僚⇔市場
          • (環境モニタ)情報システムが最も発達⇔最も未開発:市場⇔官僚⇔集団
      • 別の支配力:イデオロギー,管理主義,ヘゲモニー(=学外の専門家を連れてくる)
        • TQM,PDCAは典型的なヘゲモニー。こうした測定やラベリングは,組織メンバーを小さい抵抗で強くコントロールすることを強いる方法。



      • コンフリクト理論
        • コンフリクト=相互作用の一種,ある努力に対して妨害・強制・攻撃・抵抗・復讐すること。
      • コンフリクトはその便益を最大化するよう,適切にマネジメントすべき。
        • 適度なコンフリクトは,部署内に適度な一体感・協力関係・生産性をもたらすため。
      • コンフリクトを減らす方法:
        • 回避戦略:物理的な隔離,資源の増配分,感情や意見を抑える
        • 協力戦略:より上位の目標を設定する(創発する)
        • スムージング:類似点・共通点に目を向けて強調する
        • 妥協戦略:交渉してもらう
        • 階層委任:より上位の権威に問題を理解してもらい裁定してもらう
        • 構造変化戦略:人事異動
        • 対面戦略:物理的に近づける
      • コンフリクトを増やす方法:
        • 抑制されたコンフリクトを表面化させる
        • コンフリクトのロールモデルを示す(不同意のうまい表明の仕方を見せる)
        • 既にあるコミュニケーションのルートを変える
        • 情報を隠す
        • コミュニケーションの量を必要以上に増やす
        • 意図的に曖昧なメッセージを流す
        • 下位部署の活動や成果に差別を行う
        • 既存の支配構造を否定する

      2016/10/03

      「アクティブラーニング」『IDE現代の高等教育』No.582,2016.7

      小笠原正明「アクティブラーニングの陥穽と構造的問題」
      • エリート的な学習の仕掛けを増す段階の大学でも機能できるようにしているのがアクティブラーニング。
      • アメリカのAL:形式ではない(講義が乗っ取られる),国民性,大量のリーディング,成績評価。
      • 構造的問題に手をつけない限り,ALの実質化問題がやってくる。
        • 構造的問題:学部学科縦割→開講科目数多い→教員授業数多い,就活問題で2・3年次が過密,授業の組織ががない(全て教員の仕事)
      • ALは大学が戦略的に組織化する課題。
      松下佳代「何のためのアクティブラーニング?」
      • ALの政策的推進:資質・能力育成の方法である。
      • コンピテンス VS 教養:生涯学習として重要 VS 知の空洞化
      • 事実的知識と概念・原理・一般化の間を行き来して,知識を広げ原理を深める,それを実際にやってみるのが(ディープ)AL。
      大崎仁「大学運営資金の確保」
      • アメリカ私立大学を国立大学経営のモデルと考えることは幻想。
      • (1)研究受託収入が民間からというのは事実誤認。連邦政府10%,民間2%。連符政府は憲法上,大学に直接関与する権限がないので,補助金・受託量のほとんどは研究助成。
      • (2)資産運用収入が大きいのは,巨額な原資があるから。
      • (3)学生納付金収入は国立でも既に高騰。→ 別定員の学生増か,社会人・留学生の別枠化。
      • イギリスの授業料徴収(デアリングレポート,1998)は日本からヒントを得た。教育費=交付金+授業料。授業料の支払いは政府資金のローン会社が行い,学生は326万円以上の収入を得たら所得から返済。返済しきれなかったら免除。
      • HEFCEは大学の研究基盤整備に資金を出す(特定の活動のためでない)。リサーチカウンシルは特定のプログラム・プロジェクトに必要な資金を供給する。=デュアルサポート → HEFCE:運営費交付金,RC:科研費。

      2016/09/30

      西郡大(2009)「大学入学者選抜における公平性・公正性の再考」『クオリティ・エデュケーション』2,119-136


      • 受験する:明治40年頃に頻繁に使用され始める → 大正時代:受験競争の激化が社会問題になり受験地獄という言葉が生まれる(竹内 1991)。
      • 戦後の共通試験:進学適性検査(1949-1954),能研テスト(1963-1968),共通一次試験(1979-1989),大学入試センター試験 (1990-)
        • 公平性の確保・適切な能力の判定・下級学校への悪影響の排除のどれに重きを置くかという試行錯誤の繰り返し。
      • 選抜手続きの公平性:合否の結果に対して納得するための根拠の1つ。
        • ⇔ 選抜方法の多様化 = 公平な手続きによる選抜は不可能になった。
      • 受験生の認識:多様な選抜方法の並存には不満あり。⇔ 自分が経験した選抜手続きは公正だったと認識。複雑な心境。
      • 公平:ある分配状態の妥当性,ある決定の実質的適切さを表す。
      • 公正:分配や決定の過程や手続きの正当さを強調する概念。(大渕 2004)→ 実際はほぼ同義語。
      • 分配的公正(Distributive Justice):
        • 報酬や資源の分配に対して人々が知覚する公正判断のメカニズムを扱う。
        • 大きく3つ:均等原理(全員に均等分配,Equality Principle),衡平原理(能力や業績に応じて分配,Equity Principle),必要性原理(複数合格者より1校合格を優先など,Need Principle)。
        • 公正さの判断には,相対的な比較可能な他社の存在が想定されている。
          • Adams:投入と成果が同じになることが公正
          • 満点者はボーダー合格者との間で不公正を認知,ボーダー不合格者は0点の不合格者との間で不公正を認知。→ 大学入試では手続き的公正に。
      • 手続き的公正(Procedural Justice):
        • 構造的要因(物事の決定あるいは報酬分配手続きの構造に注目)
          • コントロール理論:面接で形式的な回答しか許さない VS 自分のアピールを自由にできる → 後者の方が公正な扱いと認識。
          • 6つの基準:一貫性,偏りのなさ,正確さ,修正可能性,代表制,倫理性
          • 職務関連性:選考基準が職務と関連しているか。職務が数学なら,数学的能力が評価されることが妥当と感じる。
        • 社会的要因(決定手続きに影響力を持つ人物を問題にする)
      • 「対的な公平性ではなく,もう少し柔軟にこれをとらえ,合理的に許容される範囲の中での公平性という考え方に転換していくことが必要(大学審議会 2000)」

      2016/09/29

      東俊之(2004)「制度派組織論の新展開 : 制度派組織論と組織変革の関係性を中心に」『京都マネジメント・レビュー』6,81-97


      • 非連続的組織変革論:環境不確実性の高い状況下での大規模で抜本的な変革
      • 制度:複数の関連しあう役割が統合されてつくられた役割の複合体。
        • 制度は社会内部の個人がある行為を行うばあいに,社会的に認知され確立された標準的な行為の様式であり,個人の行為を規制する。このように公式に承認された役割期待のルールにしたがって形成された具体的な行為の様式は,それが社会の規範的秩序として確立されるとそれは制度体になる。
        • → 今の企業の活動は社会によって支持されることが必要不可欠。
      • 制度派組織論:制度的環境から正統性を確保することで組織は安定する。
        • 環境の変化が比較的緩やかにおこり,またその環境から正統性を受けることが組織存続のための必要条件である。
        • 組織が環境変化に対して能動的に行動する存在とは考えられていない。
          • 組織はすべて制度的環境に埋めこまれているという基本的仮定から出発し,組織構造や組織成果は制度的環境の影響を受け,組織は制度的環境から正当性を確保し,,社会的支持を得る限りで存続可能になると考える。制度派組織論では,制度的環境は,制度に制約を与える存在でもあり,同時に組織の活動を正統化し活性化する存在でもある。
        • ⇔ 不確実性の高い環境で,環境変化を先取りした組織変革がつねに求められている。
      • 60年代の組織研究:オープン・システムとしての組織の研究
        • コンティンジェンシー理論:技術や規模市場といった技術的要因と組織構造との関係に注目。
        • 制度派組織論:社会に広く浸透している価値や規範といった文化的要因と組織との関係に注目。(Selznick=旧制度派組織論,DiMaggio & Powell=新制度派組織論)。
      • 旧制度派組織論:組織と制度を区別
        • ある特定の仕事をするために考案された合理的機械としての組織。
        • 社会的に必要な圧力によって生まれた反応性・順応性を持った有機体としての制度。
        • → 組織が制度となることによって,社会的に存在理由を認められる。このプロセスが制度化(institutionalization)。← 3段階
          • 組織(=フォーマル体系=技術的・合理的・非人格的・課業志向的体型)は個人や集団の反応的相互作用によって条件付けられている。
          • 時間がたつと,反応的相互作用が型にはまる(社会構造が生み出される)。この型は歴史的で,特定の組織の特殊な経験を反映。
          • 組織は価値を注入されたとき(単に道具としてでなく,直接的な個人的欲求充足の源泉として,また集団的完全性の媒体として重宝視されるとき)制度となる。
          • → 組織が制度へと変化する制度化のプロセスに影響を及ぼすことがリーダーシップの本質。
      • 新制度派組織論:制度的環境(社会に広く認知されている価値や規範といった文化的要因)によって組織構造が規定される。
        • 組織の公式構造は,組織の持つ合理性によって意図的に形成されるものではなく,社会から正統性を確保するために,「制度的ルール」への適合を目指した結果として形成される(Meyer & Rowan)。
        • 制度的ルール:典型(typification)や解釈(interpretations)が交換されることによって社会につくられた類型(=神話)。
          • → 官僚制を導入するのは,それが機能的だから選択されるのではなく,官僚制を導入することで機能的になるという神話があり,それに適応するために選択される。
        • 組織の環境適応を,技術的環境から社会全体の価値・規範・思考基準の次元まで広げた精緻化が貢献。
        • 一方で,実践的含意が薄い:制度的プレッシャーへの反応は受動的で,裁量の余地がない。(視点がマクロなのでミクロなインプリが薄い。)
      • 組織変革の仮説(Greenwood & Vinings)=マクロ視点とミクロ視点の統合
        • 変革の特性:
          • 制度に引き出された模範によって組織は構造化される。
          • ある模範から別の模範への抜本的変革は,制度的コンテクストの中にある組織の規範的埋め込みが問題となる(部分的変革はより日常的に起こる)。
          • 制度的コンテクスト内の組織の規範的埋め込みが強力であればあるほど,変革は進化的よりも革命的。
        • カップリングによる違い:
          • タイト:抜本的変革は珍しいが,変革が起これば革命的になる。
          • ルース:抜本的変革は,タイトよりも一般で,変革は進化的に起こる。
        • 境界による違い(制度フィールドは他のフィールドよりも閉鎖的):
          • 不浸透性の制度フィールド:抜本的変革は低い割合でしか起こらない → ペースが革命的
          • 浸透的なフィールド:進化的変革
        • 抜本的変革のダイナミクス(制度的圧力による同型化へのダイナミクス):
          • ダイナミクスの促進段階:関心と価値コミットメントが重要。
            • 価値コミットメントが競争型(現状満足と代替手段模索グループに分かれる)か改善型(全グループが代替手段を模索)なら抜本的変革。関心への不満が生じると抜本的変革。
            • 改善型は革命的変革,競争型は進化的変革に関係。
          • ダイナミクスの実践段階:抜本的変革はパワー依存と行動のための能力によって起こる。
            • 抜本的変革は,価値コミットメントが改善型か競争型で,パワー依存との結合がなければ起こらない。
            • 抜本的変革は,価値コミットメントが改善型か競争型で,行動のための能力の十分な授与との結合がなければ起こらない。
            • 行動のための能力の高さが革命的変革に関係する。
      • 個人が持つ価値の重要性:
        • 威圧的なプレッシャーは変革の開始時に重要な役割を果たす。しばらくすると組織メンバーが共有する価値と一致するようになる。この一致がなければ,儀式的一致を見るにすぎず,すぐに元来保持している価値によって元の組織デザインやオペレーションへと逆戻りする。
      • 制度環境や市場環境からのプレッシャーのみならず,自らが環境を創造することによって組織変革がもたらされるという側面(イナクトされた環境)を統合する必要がある。

      2016/09/28

      Spender, J. and Grinyer, P. (1995) "Organizational Renewal: Top Management's Role in a Loosely Coupled System," Human Relations, 48(8) 909-926.


      • ここではカップリングの程度に注目する。→ 組織内の組織化力がある組織。
      • 停滞的な変化を伴うトップの入れ替えはLC組織ではあまり起こらない。
      • トップ万能モデル:漸進的変化 = Tactical,非連続的変化 = Strategic
        • 戦略の変更はトップの変更によって行われる。
        • しかし,トップダウン改革は不十分,かつ漸進的変化を考慮しない。
        • よって,トップの役割は,スムーズな変化を促進する自問を継続的に行うことで,組織横断的な学習を起こすこと。
      • Orton and Weick (1990)の指摘:LCを保持する連結力は,単純ではない。
        • しかし,なぜ,どのようにその連結力を保持するか(特にトップマネジャーの実践として)については,曖昧にしか述べていない。
      • 認知,価値,行為の相互交換に注目することが,この問題へのアプローチの鍵。
        • Brown and Duguidのポイントは,非公式で非主流の実践に注目したこと。
        • しかも,それは個人の認知だけによるのではなく,集団内の非公式な認知によって促進され,結果として組織全体での学習になったこと。
        • つまり,ここでのCoPは,まさにLCシステムを説明するもの。
        • → LCは構造とマインドフルアクションの二重システムである。
      • CoPはデザインできない,発生するもの。トップの役割は発生を検知してサポートすること。
      • LCシステムをつくるトップの役割は,ゴールの共有。
        • もう1つの役割は,誠実であり続けること,目的にあわせながらも連結力を保持するオープンな反応を維持すること。(組織をオープンすぎず,クローズすぎずにする。)
      • 大きな変革にトップの変更は必要か:常に必要ではないが,それに近い促進要因が必要:オーナーシップの変更,新しいCEO,トップの問題認識,トップの機会の発見など。
      • 組織変革モデルは,レシピの採用から始まる。
        • このレシピは組織そのものではなく,組織の外部からマネジャーが独立して創造したものでなければならない。
        • その源泉は,専門職コミュニティなど。
      • トップが組織変革のコントローラであるなら,トップを変えればよいだけだが,実際はそうしたことは行われていない。
      • LCシステムは理論で述べられているよりもずっと知的な姿勢を持っている。
      • Orton and Weickでは認知的問題を軽視しているが,LCシステムをCoPの異なる一面ととらえることで,境界のマネジメントをより理解できるようになる。

      2016/09/27

      Orion, D. and Weick, K. (1990) "Loosely Coupled Systems: A Reconceptualization," Academy of Management Review, 15(2), 203-223.


      • LCに言及した研究は多いものの,背後にある構造や原理を踏まえたものが少ない。
      • Glassman(1973)のLCは,システム間に共通要因が少ない,または共通要因が弱い関係を指した。Weick(1976)では,各要素が反応しながらも独自性と分離が保たれていることをLCとした。その背後は,突発的(非連続的),散発的(非定常的),無視可能(深刻でない),間接的(非直接的),漸進的(即座でない)。
      • LCは組織の単純すぎる問題に使われすぎなので,あらためて複雑な問題を解明するものとしてのLCを示す。
        • 先行研究は,大きく分けると因果関係,類型化,効果,問題状態,組織の成果の5つに言及するものが多いが,これに注目するうちはLCの背後にある原理を理解できない。
      • LCの背後にある考えは,Thompsonの組織形態は内在的な矛盾を調整するよう設計される,を理解しないとむずかしい。
        • 合理性と矛盾を扱うには,両者を切り離す必要がある。
        • そこでThompsonは,テクニカルコアはクローズド,組織はオープンにして,マネジャーをその仲介にした。
        • LCは,2つの矛盾を個別の論理で説明することなく,同時に説明できるものである。
        • 結果として,LCはオープンとクローズ,不確定と合理性,自然と意図を同時に持つ組織となる。
        • よって,組織内の不確定性だけに注目した研究は,全体を説明できない。
          • LCは,どんな組織を対象にしても,テクニカルコアレベルと組織レベルを同時に考察できる。
          • 独自性を無視して反応性を扱えば,組織はタイトカップリングになる。反応性を無視して独自性を扱えば,組織はデカップリングになる。
          • 両方見るからLCになるという基本を押さえることから始める。
      • なぜある組織はLCになるかという研究:3つの理由がある:(手段と目的間の)不確定性による,外部環境の断片化による,内部環境の断片化による。→ LCをデカップリングとしている。
      • LCを類型化する研究:個人間,部署間,組織間,階層間,組織と環境の間,アイディア,活動,意図と行為の間の8つに分けられる:これらも,進行中の行為をとらえて弁証法的に解釈したにすぎない。← 静的な主体の行為をとらえることと変わらない(スポーツチーム間のLC,高齢者福祉施設間のLC)。
      • LCを管理戦略としての望ましい有効性があるとみる研究:モジュール性,不可欠な要素,裁量度の3つに注目する。
      • LCは組織運営上問題であり直す必要があるとみる研究:教育管理の研究に多い:リーダーシップの促進(管理職はオフィスを出て構成員と対面で話す機会を持つべき),特定の問題箇所に注目して解決する,価値観の共有(目的と手段の不一致を価値の共有によって解決する=Cultural Coupling)の3つの研究がある。
      • LCは成果につながるという研究:組織の安定性を確保する,問題部分を切り離せる(Buffering),変化に適応できる(Adaptability),仕事の満足度を高める(自己決定度が高い,コンフリクトを避けられる,小グループを維持できるため),効果的である(多様化したグループだと成果が高いなど)の5つの視点がある。
      • これらのモデルをまとめると,
        • LCの原因 → LCの類型化 → LCの直接効果 → 問題としてのLC ⇒  LCの組織成果
        • 5つの立場は潜在変数で,はじめの4つは連続性がある。
      • どのように一面性を避けるか。
        • LCは自律性(有機的組織)とコネクション(機械的組織)という矛盾するコンセプトを統合する長年の努力の成果。
        • Thompsonは2つを統合した。Lawrencen and Lorschはリエゾン・部署横断委員会で部署化を統合した。LCもこの延長線上にある。
        • LCは組織の定義を見直す。単一のアクターと見ると指揮系統を強調して要素を過小評価する。要素の集合と定義すると,指揮系統を過小評価する。組織の二重性をそのまま取り入れる。
        • LCは組織の流動性,複雑性,社会構築の側面を扱える。
        • 要素に分解しない,単純化しない,静的に扱わない。

      2016/09/26

      Weick, K. (1976) "Educational Organizations as Loosely Coupled Systems," Administrative Science Quarterly, 21(1), 1-19.


      • 教育活動は,工業品生産よりも農産物生産のモデルでとらえられる。
      • 校長とカウンセラーはある程度結びついているが,お互い独立している。
      • カップリングを考える上で,重要な要素は中核的技術と権威の2つ。
      • 意図と行為は緩やかに結びついているのに(March & Olsen),プランニングに時間をかけすぎ,プラン通りに行動したかを評価して,何も達成されていないと怒るマネジャーは滑稽。(目的と手段も緩やかに結びついている。)
      • 選挙システムは,選ばれたマネジャーが,任期中の個々の問題では反対にあったとしても任期を全うできるというシステム。
      • LCシステムは,環境変化をよりよく捉えるセンサーとなる。一部の要素が,システム全体に影響を与えることなく局所的な調整や修正を行える。これは,優れた問題解決方法を多く開発することにつながる。一部の機能不全も,全体に影響しない。
      • 行為の結果が曖昧であるなら,その行為の意図が,結果の代理となる。教育にはこうした要素がある。(子供がいい絵本を読む結果はわからないが,大人がいいと思う絵本を与えることは,子供にいい影響を与えると正当化される。)
      • LCは従来の研究ではとらえられず,文脈の厚い記述か比較研究で理解される。計画・行動,目的・手段の関係では理解できない。
      • 学校組織がLCになるのは,中核的技術によるもの。

      2016/09/23

      Hatch, M. (2013) "Technology," Organization Theory, Ch.5


      • Techneはギリシャ語でスキルやアーティストという意味。この章のテクノロジーは専門知識と理解すべき。
      • Modernistは技術が何を生むかを見るが,シンボリック研究は,技術そのものが社会的構築とイナクトメントによってどのように算出されるかに注目する。
      • 技術は,監視とコントロールの手段を提供する。
      • あらゆる組織は固有の専門知を有する:大学の場合は市民になるための教育する技術。(インプットをアウトプットに変換する技術)。
        • 具体的には,苦情の処理,予算策定,レポートの発表なども技術。
        • 大学の場合,教育研究の技術(教室・研究室・事務室)にある技術。
        • これらはさらに,タスクレベルの技術に分けられる(学生参加の技術や試験作成の技術,研究設計やデータ分析の技術,学生募集や入学手続きの技術)。
      • サービスとは,(1)生産と消費が同時に行われる,(2)目に見えない,(3)貯蔵できない特徴がある。
      • 技術の3分類
        • Woodward:技術の複雑性分類
          • 少数一括生産(複雑性小):小SoC,小管理階層,分権的意思決定,有機的組織。大学の教室もここに入る。
          • 大量生産(複雑性中):大SoC,集権的意思決定,機械的組織。製造業など。
          • 連続生産(複雑性大):少数一括生産と同じ。石油精製プラントなど。
        • Thompson:投入・算出の標準化度 × 変換技術の標準化度で分類
          • IO標準化度高・変換技術標準化度高 = Long-linked:Woodwardの連続生産にあたる。
          • IO標準化度低・変換技術標準化度高 = Mediating:銀行が行う貸し手と借り手の間に入る技術にあたる。
          • IO標準化度低・変換技術標準化度低 = Intensive:救急病院や実験研究室の技術にあたる。専門的な技術のコーディネートがもとめら
          • IO標準化度高・変換技術標準化度低 = ?
        • Perrow:仕事の分析容易度(例外が発生したときにどれだけ所与の対処法があるか) × 仕事の変動性(所与の技術でどれだけ例外が発生するか)で分類
          • 分析容易高・変動性低 = Routine技術:事務員の仕事。
          • 分析容易低・変動性低 = Craft技術:美容師の仕事。例外が発生したら対応方法を考案する必要がある。
          • 分析容易高・変動性高 = Engineering技術:会計士の仕事。例外は多いが専門的知識で対応できる。
          • 分析容易低・変動性高 = Non-routine技術:研究者,宇宙飛行士の仕事。
      • ルーチン度と技術の複雑性の関係(Wooedward)
        • 縦軸:ルーチン低→高,横軸:技術複雑性低→高
        • 逆U字のカーブを描く。(アーティスト→職人→製造員→技術者→デザイナー・科学者)。
      • 技術の相互依存性による組織設計(Thompson)
        • pooled task interdependence:アウトプットが各部門の努力の和になっている技術(大学における各学部など)。→ ルールと手続きの標準化によるコーディネーションが必要。
        • sequential task interdependence:Long-linkedと同じ,各部門の連続的な努力がアウトプットになる技術。→ 上に加えて,プランニングとスケジューリングによるコーディネーションが必要。
        • reciprocal task interdependence:アウトプットが相互の情報交換に依存する技術(外科手術など)。→ 上に加えて,相互調整によるコーディネーションが必要。

      2016/09/22

      Hatch, M. (2013) "Organizational Social Structure," Organization Theory, Ch.4


      • 組織理論が注目する2つの組織構造:
        • 物理的構造:建物,場所,記念物の持つ象徴的な意味
        • 社会的構造:人間関係と,その役割や責任
      • 社会的構造の起源は,官僚制
        • ウェーバーは官僚制を理念上のモデルとして用いた(具体的な組織の望ましい状態を指すために用いたものではない)。
      • 官僚制の重要な3要素:分業,権威の階層性,ルールと手続きの標準化
        • 分業は効率的・効果的な目標達成のために行われる。分業は部署化につながり,マネジャーは部署を通して管理するので,権威の階層性とも密接な関係がある。
        • 権威とは法的な権威であり,通常トップが持つもので,意思決定をする権限を指す。階層は,公式な報告関係を定義するもの。昔は1人に報告する形だったが,現在はデュアルレポーティングが普通になっている。
        • 標準化は,書面で示された方針,ハンドブック,職務内容指示書,マニュアル,組織図などを指す。
        • 提案された時代は,縁故採用や不当圧力に対する合理的モデルだったが,今では手続き主義,無思考などの弊害がある。
      • 組織の社会的構造を測定する指標
        • サイズ:従業員数
        • 管理職割合
        • 部署数:階層の数と部門の数
        • 統合:部署横断チーム,連絡窓口などの調整活動の数
        • 集権化度:意思決定をトップレベルで行っている度合い
        • 標準化度:仕事のルーチンかや標準化の度合い
        • 公式化度:ルール,ルーチン,コミュニケーションが文書化されている度合い
        • 専門化度:部署の仕事が狭く限定されている度合い
      • Positivistの組織構造理論:機械的組織と有機的組織
        • どの組織もこの2つの中間にある。
        • 階層的管理を強化したり,官僚制が強化されるとイノベーション(柔軟性や創造性)が損なわれる。
      • 環境への適応:部署化と統合化の度合いを変えることで行う
        • 安定環境:公式化・階層化が進む。
        • 環境の不安定化:より関係性を志向するようになる。
        • 製造や販売のような部署は,短期の頻繁なフィードバックを要するが,研究開発のような部署は長期のフィードバックを要する。
      • 階層や部署が増えると統合の要求が高まる
        • 組織的統合の最も共通するメカニズムは階層:公式のレポーティング関係をつくればいい。
        • ただし,これだけではいつか破綻が来るので,いずれは有機的組織へ移行しなければならない。
      • 2つのインプリケーション:
        • 環境が不安定化すると,より部署化や階層化が進む。
        • これはどちらも統合化の圧力を高めるが,環境条件で対応が違う。安定環境では,階層と集権化による統合が好まれる。不安定環境では分権化とその共有による統合が好まれる。
      • 官僚制は分権化された組織
        • 機械的組織は,集権化された組織。官僚制は,高度に公式化されているが,分権化された組織(ルールによって上階層が行う意思決定と同じ意思決定を行うことが下階層で行うよう委譲されているから)。
      • ミンツバーグは,組織内外の要請に応じて5つの組織構造を示した。
        • 単純組織(初期組織),機械的官僚制(大量生産:ファーストフードなど),プロフェッショナル官僚制(複雑で安定環境:コンサルなど),部門制(複雑で不安定環境:スピンオフなど),アドホクラシー(不安定環境:シンクタンクなど)。
      • グレイナーの組織ライフサイクル
        • 創業段階→(リーダーシップ危機)→指揮命令段階→(自律性危機)→権限委譲段階→(コントロールの危機)→調整段階→(形式主義の危機)→協働段階→(刷新の危機)→消滅
        • 協働段階では,組織構造の質的な変化が求められる。求められるリーダーシップも統合力になる。
        • 刷新の危機段階では,任期付きの仕事,二重権威,度重なる実験的試みで心理的な負担が大きくなり,燃え尽き症候群などにマネジャーも従業員も悩むことになる。グレイナーはこの帰結として,組織はなくなるしかないと指摘している。
      • オープンシステムモデル:サポート活動(Katz and Kahn)
        • コアとなる活動が確立されると,環境とのやりとり(インプット・アウトプット)のために必要なサポート活動が組織される。サポート活動を円滑にするために維持活動(財務,人事,施設)が必要になる。それらを環境に適応させるために適応活動(チップの意思決定,戦略,広報)が組織される。
      • シンボリックアプローチ:ルーチンと即興
        • ルーチン:構成員が特定の状況下で何をすべきか理解するための手続きや行動
        • 即興:ルーチンを変えるためのアイディア
      • CoP:部署や権限構造を超えた集まり。これを組織化する方が効率的かについては意見が分かれる。
      • フェミニスト組織:現状のルールや手続きは男性に合理的な制度を前提にしている。→フェミニスト官僚制:より公平なルールと分業による組織化ができる。

        2016/09/21

        大場淳(2011)「大学のガバナンス改革」『名古屋高等教育研究』11,253-272


        • ガバナンスの改革は,単純に諸制度を変える話ですまない。
          • 多様な関係者間の黙示の合意に基礎を置く非公式な行動規範を含むため(=法令や明文化された規則、正式な議決やその他の決定に基づく権限配分や権利・義務の設定等だけではない。)
          • → ガバナンスの非公式な側面,すなわち組織文化の理解が図られた上で、,当該組織文化と組織運営の一連の手順の間に調和が図られていなければならない。
        • ガバナンス:意思決定に係る諸々の組織構造やその過程全般。
        • 大学の同僚性 → 組織の規模拡大により,構成員全員が 共有できる目的設定や,意思決定過程を明確に系統立てて構築することを困難にした → 変革が不可避に → トロウの運営形態変遷。
          • → 非合理性が指摘される:マルチバーシティ,組織化された無秩序,ゴミ箱状態,愚者の技術
          • → 組織論者がルースカップリングととらえる。→ 急速な環境変化に組織全体は対応できない。→ 企業的大学へ(Clark 1998)。
          • 高等教育の市場化で,大学のガバナンスも市場に対応した企業的なものになった。(マクネイ:同僚性から企業性へ)。
          • Sporn(1999):環境変化に適応する大学の特徴:専門的経営,経営的精神,同僚的組織運営,支持的リーダーシップ,多様化された組織,(阻害要因:資源の依存,法的規制,保守的文化,弱い統合,目標と戦略の欠如)。
        • 組織文化:組織の構成員間で共有された価値観や信念・行動様式等の総体。
          • どの組織にも象徴的側面としての文化がある。
          • 構成要素:観念文化,制度文化,行動文化,視聴覚文化
          • クラークの分類:学問領域文化,企業文化(この2つが学内文化の根源),専門職文化,制度文化。
          • 組織文化を無視した運営体制強化 = 上意下達や過度の経営主義 = 強い抵抗。
          • → リーダーシップ,関係構築,信頼が重要。
        • リーダーシップは組織文化と表裏一体(相互に影響を与える)。
          • 大学ではカリスマリーダーシップは非生産的。
          • トップに卓越した人材を置かず,各階層に置くべき(Fullan and Scott 2009)。
          • 政策や法人化は,学長の権限拡大や執行部への権限集中の文脈でリーダーシップを議論してきた。
        • 学長・学部長調査による権限主体の認識の齟齬
          • マクネイの示唆:同僚性→企業性(分権的)
          • 国立大学法人化:同僚性→法人性(指示的)
        • 自律性が拡大した大学の組織文化変革では,学習を促す教職員開発が重要。

        2016/09/20

        DiMaggio, P. and Powell, W. (1983) "The iron cage revisited: Institutional isomorphism and collective rationality in organizational fields," American Sociological Review, 48 (2), 147-160.


        • 組織はなぜ同型化していくのか。→ 3つの経路がある。(ただし3つは独立とは限らず現実は相互依存。)
          • 強制的:組織外からの要請(含命令),文化的期待(プレッシャー)にる同型化。
          • 模倣的:環境の不確実性からの同質化(=目的を認識できない or 技術を理解できない → 成功事例を模倣する。)
          • 規範的:専門職化による同質化。職能団体が正統性を得ると仕事の仕方の規範的なルールができる。2つの源泉があり,専門職教育機関での規範的教育の影響と,職能団体による行動規範。同じバックグラウンドを持つ人は,同じように情報をフィルターするので,仕事が似てくる。特に経営職が専門職になってからはより進む。
        • 組織フィールド=組織の環境を概念化したもの:同類組織の集合+取引相手・統制集団・専門職団体+他の規範的・認知的影響の源泉
        • 専門職がいると組織フィールドでの競争は,地位の競争になる。
          • 病院は患者に選ばれるためには,患者のニーズに応えるのではなく,他の病院ができることは全てできる病院でなければならない。(病院産業は,組織の数が保たれ,参入・退出が困難なフィールド。)
        • 同型化への移行過程(組織レベル)
          • 仮説1:他の組織にへの依存度が高いほど,組織構造,風土,行動は似てくる。
          • 仮説2:資源提供の集中度が高いほど,その組織への類似度が高くなる。
          • 仮説3:手段と目的の関係性が不明確であるほど,組織は他の成功組織をまねる。
          • 仮説4:組織の目的が不明確であるほど,組織は他の成功組織をまねる。
          • 仮説5:構成員が依拠する学術的知見への信頼が高いほど,同業の他組織に似てくる。
          • 仮説6:マネジャーが他組織と交流したり専門職集団に所属するほど,同業の他組織に似てくる。
        • 同型化への移行過程(フィールドレベル)
          • 仮説1:業界が単一の重要資源に依存するほど,その業界は同型組織になる。
          • 仮説2:業界が政府や公的機関とのやりとりが高まると,その業界全体が同型組織になる。
          • 仮説3:業界に観察可能な代替組織が少ないほど,業界の同型組織化は進む。
          • 仮説4:業界で用いられる技術や目的が不明確であるほど,業界の同型組織化は進む。
          • 仮説5:専門職の業界では,業界は同型組織になる。
          • 仮説6:業界の構造化が進むほど(リーダーとフォロワーの関係が安定=組織間の情報交換が活発),業界の組織は同型になる。

        2016/09/19

        Chaffee, E. (1985) "Three Models of Strategy," Academy of Management Review, 10(1), 98-98.


        • 戦略という言葉は,同じメンタルモデルを前提に使われているが,実際にはその定義に合意はない。戦略は多面的で,状況依存であるため。
        • 戦略は,フォーカスに応じて3つに分かれる。
        • 線形戦略:プランニングにフォーカス,方法論,逐次的な行動計画を含意した戦略。
          • トップに組織を変革する能力がある,タイトカップリングを前提とする。
        • 適応戦略:SWOTのマッチを探る戦略
          • リニアとの違いは,(1)常に内外の状況を評価と戦略変更が同時に行われる,(2)ゴールを強調せず手段に焦点化,(3)外部環境は複雑で理解が困難と考える。
          • 組織と環境はオープンと考え,環境と共に組織は変化する必要がある。
        • 解釈戦略:戦略を組織が利害関係者に認識されるためのシンボルとして位置づける
          • リニアと同様に環境を扱う,ただしリニアは環境を組織行動の手段として扱う,解釈は環境をコミュニケーションを通じて扱う。
          • 適応と同様,組織と環境はオープンだが,解釈は構成員の態度変化が成果達成に重要と考える。
        • 線形=目標達成のためにいかに競合と競争するかの戦略,適応=組織は環境の変化に応じて事後的に変化する,解釈=利害関係者が組織を支持するシンボルを与える戦略。
        • 戦略の階層性:機械,生物,文化で階層化(線形,適応,解釈に対応)
          • 上から下へ統合していくことが重要だが,どう統合したらよいのか。(また,統合したとしてそれは本当に機能するのか。)現実には3つの面を別々に取り入れている。

        2016/09/16

        Kezar, A. and Dee, J. (2011) "Conducting Multi-paradigm Inquiry in the Study of Higher Education Organization and Governance: Transforming Research Perspectives on Colleges and Universities," in Smart, J. and Paulsen, M. (eds.), Higher Education: Handbook of Theory and Research, 26, Ch.7, 265-315.


        • マルチパラダイム研究への導入を行う。
          • パラダイム:研究コミュニティで共有されている仮定,実践,合意。
          • パラダイムが違う:3つの仮定が異なる。
            • 存在論:客観的存在か主観的構築か。
            • 認識論:知識に歪みがないか社会的に構築されるか。
            • 方法論:演繹的か帰納的か。
        • 3つのパラダイム
          • Functionalist:客観的対象を実証的に分析。演繹的研究設計。
          • Interpretive:多様な解釈から最も現実をとらえられる共通部分を取り出す。(質的研究と混同されるが,Functionalistも質的研究を行う。)
          • Critical:より平等な社会と労働のために問題を暴くことが目的。
        • パラダイムシフト:研究者グループ内で前提の変化が起こること。
          • Bolman & Dealの貢献は,複数の見方を持ち込んだこと。(ただし,フレーム分析は1パラダイムに依拠した見方。)
        • シェアドガバナンス,リーダーシップ,ダイバシティ,組織変革は,マルチパラダイムな研究分野。
        • 高等教育では,Functionalistが支配的。信頼や組織学習が見過ごされてきた。
        • Functionalistの高等教育研究:
          • (1)組織構造はそのプロセスの理解が明確,(2)権威,集権・分権,階層,役割が明確,(3)合理性,効率性,効果性が重要。
          • それは一面的という批判:マルチバーシティ,プロフェッショナル官僚制,全学戦略チームなど。
        • Interpretiveの高等教育研究:
          • 個別化された文化や文脈が重要,分析対象は組織内の言葉,議論,情報交換のパターン。
          • 組織構造よりも関係性,信頼関係がより重要と考える:ゴミ箱モデル,特別チーム,コンフリクトなど。
          • 優れたガバナンスは大学によって違う。扱いが難しいが,信頼が中心。
        • Criticalの高等教育研究:
          • 教職員の努力にもかかわらず,結局とトップだけで意思決定される現実:実は,シェアドガバナンスは表面的。トップはシェアされている演出をしている。
          • 予算削減による専任教員減と非専任教員増 → トップダウンガバナンスを促進。(アカデミックキャピタリズムの本質は,教員のパワーのそぎ落とし。)オンライン教育も増える。
        • Postmodernの高等教育研究:
          • 丁寧な説明と議論による全員一致を目指す意思決定は,反対意見者がもう意見を言いたくないという状況まで追い込んで意思決定をすること。→ 丁寧な議論が大事なのではなく,反対意見を積極的にとりあげるリーダーシップが重要。
        • マルチパラダイム研究への進み方
          • 大きく,Review,Research,Theory Buildingの3つのアプローチがある。
          • Reviewのための技法:
            • Bracketing(別のパラダイムを添え木にする):リニア戦略による分析を中心にして,戦略を理解する文化や価値観の重要性を分析に入れる。
            • Bridging:リニア戦略とカオス理論の併置,リニア戦略を戦略の進行中も戦略策定時と同じ条件を想定していいのかという長期における戦略の妥当性を考察。
          • Researchのための技法:
            • Sequential:異なるパラダイムによる分析を順次行う:データによる実証研究 → 予想と反する結論 → 分厚い記述で実証結果がもたらされる個別文脈を記述。(笑顔と売り上げの反比例研究など)。
            • Parallel:異なるパラダイムによる研究を同時に行う:組織文化研究はこの方法でないと難しい。
          • Theory Buildingの技法:
            • Interplay:異なるパラダイムを並置して,矛盾を導く。
          • 基本的には,研究テーマを決めたら2つのReviewを行い,SequentialかParallelのどちらかにいくかを決める。それぞれの研究をしたら,Interplayへ進むのが基本手順。
        • マルチパラダイム研究の課題
          • そもそも研究者が学んでいない。大学院生にも教えられない。(しかし,大学院生が行うには時間がなさ過ぎる研究。)
          • 基本的には,異なるパラダイムの研究を常に読んでスキルを磨く+異なるパラダイムの研究者と共同研究を行う。これは中堅教員以上が取り組む課題。

        2016/09/15

        水田健輔(2010)「国立大学法人化の評価と環境変化に対する対応」『国立大学法人化後の経営・財務の実態に関する研究』国立大学財務・経営センター研究報告第12号,第2部第5章,43-55


        • 組織・環境相互作用を説明するパラダイム
          • 実証主義:環境が組織に影響を及ぼす普遍原理があると仮定
            • 個体群生態学理論(適者生存)
            • コンティンジェンシー理論(環境変化の度合いに応じて組織は最適な特徴を持つ)
            • 資源依存理論(組織は特定の外部主体への資源依存を避けて自己決定能力を守る)
            • 不規則変換モデル(random transformation)(合理的な説明ができない変化が起きる)
          • 社会構築主義
            • 制度理論(社会的文化的枠組みに順応して自身の正当性を構成員や外部に主張する)
            • 新制度理論(制度は与件でなく,組織と構成員の行動が制度の源泉になっている)
        • 環境の影響が大・組織の決定力小 → 外部環境を無抵抗に受け入れるしかない(個体群生態学理論)
        • コンティンジェンシー理論を経て,環境の影響小・組織の決定力大の資源依存理論へ変化する。
        • → 国立大学法人化がこのルートで説明できる。
        • 制度の3つの柱:
          • 規制的:国立大学に無条件に適用される制度
          • 規範的:高等教育アクセス保障(低学費),先端的研究(社会的期待)→ 中期目標で恥をかかないような行動を選択
          • 文化認知的:競争的資金獲得のインセンティブシステム,任期付き教員拡大
        • 調査データによる分析:
          • 国立大学は自己決定力に自信をつけつつある(自校有利度がプラス変化)。
          • ただし,総合大学がリーダー,単科大学がフォロワー。

        2016/09/14

        井上祐輔・高瀬曜・太田雅晴・川村尚也(2006)「民間非営利組織の制度的環境への適応戦略」『日本社会情報学会第20回全国大会』29-32


        • 非営利組織:制度的環境の影響 > 技術的環境の影響(技術以前にまず制度的環境に適応しなければ存続できない)。
        • 組織・環境関係の理論
          • コンティンジェンシー理論:技術的環境への適合に注目
          • 資源依存理論:他組織依存を減らすために自律性を高めようとする(統合や多角化による自律,依存を認めた上での協調,ロビイングなど依存を上位機関で解決の3戦略)。
          • 新制度派組織論:組織が存続するには,制度的ルールの組み込みが必要(制度的圧力 → 通説として機能)。
            • 制度的ルールは互いに矛盾したり,組み込みが非効率なことがあるので,組織はコアの活動とそれを切り離して保護する。
        • 非営利組織:制度的ルールの対立を利用して,自律性を獲得・維持する。
          • 2つの対立するルールを同時に取り込む → 圧力を相殺できる → ルールを組み込んだ組織構造を内部活動から切り離す(De-coupling)。結果として,ルールを取り込みながら自律性を獲得できる。
        経営協議会の過半数は学外者であることというルールを受け入れ,重要事項の決定を協議会で行う。協議会の効率的な運営のために,事務局で一元処理するルーチンをつくる。

        2016/09/13

        Hatch, M. (2013) "Organization-Environment Relations," Organization Theory, Ch.3


        • 組織環境で注目する理論は3+1:contingency theory,resource dependence theory,population ecology,and institutional theory
        • organizational boundaryの定義は単一ではない。分析目的によって異なる。
          • 学費値上げを検討するとき:学生は消費者(外)
          • 学部資金獲得を検討するとき:学生は構成員(内)
          • 新しい教育プログラムを検討するとき:学生は成果物(内)
        • 組織間ネットワーク分析:組織の中心性がわかる。(サプライチェーンと類似)。
        • 組織環境の領域:法的,物的,経済的,技術的,社会的,政治的,文化的セクターがある。
        • 環境状況理論:環境が安定的=組織は機械的が合理的,環境が不安定=組織は有機的が合理的
          • 不確実性は,複雑さ(環境要素の数・多様性)と変化の早さ(要素の変化速度)の2つで定義する。
          • この不確実性の認知能力には限界がある。→「information theory of uncertainty」:情報が不足する時に不確実性を経験する。
        • 資源依存理論:組織間ネットワークで他のアクターとの支配・依存関係を理解する。
          • 当然,資本(投資家),設備(技術),生産物(消費者),人材(労働者),原料(供給者)が含まれる。
          • 資源調達の多様化,マーケティング,イメージキャンペーンなどが改善に貢献する。
        • 資源依存理論 = 組織の分析レベルが重要,Population Ecology = 環境そのものが重要。
          • 資源依存理論 = 希少な資源の獲得競争に生き残る,Population Ecology = 所与の資源の中で生き残ったペストプラクティスを見る(Ecological Niche)。
          • 進化論と同様,変換,選択,生き残りのプロセスを経る。
          • とはいえ,勝者最適の論理はトートロジー,競争の激しい分野しか適応できないという2つの弱点がある。
        • 制度理論:組織のあり方は,社会制度や文化に大きく影響される(経済的合理性だけで決まらない)。= 横並びには理由がある。
          • 暗黙の社会的ルールは,組織や企業が正当であると社会で認められ,人が採用できたり銀行と取り引きできたりという資源を獲得し,安定して生き残るために取り入れなくてはならない「通説」(myth)になっている。
          • 同質化のメカニズム
            • 強制的:法令・規制
            • 規範的:暗黙のルール(大学教員はこうあるべき,大学とはこうあるべき,研究者の処遇はこうあるべきなど)
            • 模倣的:よくわからないので他をまねる(不確実性が高いときに取られる)→ ベストプラクティスとして規範的になる。
          • 同質である ≠ 競争力がある:社会的に認められている(=正当性を持つ)ことが組織の生存に欠かせない(資源の獲得)ため。
            • ノーベル賞学者の招聘は,大学の生産性向上には貢献しないが,評判を高める(規範的同質化を進める)。
        • イナクトメント:組織メンバーが環境を創造する上で果たしている積極的な役割。← この過程に環境との関わりを含む
        • ステークホルダー理論:株主だけでなく,組織に関わる人全ての満足を高めるよう組織は行動すべき(一般には,株主重視→従業員重視)。倫理を指摘したもの。

        2016/09/12

        Ott, M. and Mathews, K. (2015) "Effective academic governance: Five ingredients for CAOs and faculty," The Collaborative on Academic Careers in Higher Education


        • シェアドガバナンスが重要なのはわかるが,うまくいっているという根拠はどこにあるか?
        • この調査で明らかにしたのは,5つの要素がバランスよく保たれている時に,シェアドガバナンスが機能していると言える。
          • 執行部へのインタビュー調査で得られた知見。

        • 信頼:シェアドガバナンスの核心,3つの要素が信頼を高める。
          • ガバナンスへの期待を明確にする(文書で決まっていることは確認する,決まっていないことは急がない)。
          • 構成員の期待に常に沿った取組をする(決まっているやり方は変えない)。
          • 透明性を常に確保する(意見や情報を隠さない)。
        • 目的の共有感:シェアドガバナンスに衝突は不可欠だが,最終的にどこへ向かうかという共通の理解を作り出すことで克服できる,2つの要素がそれを可能にする。
          • 機関の将来像の共有(共通の優先課題の設定で個別の問題を乗り越える)。
          • 部署間の関係づくりを進める(異なる部署から来る人が一緒に座る機会を頻繁に設ける,これは時間がかかるので急がない)。
        • 問題を扱える形で理解する:問題をどう理解するかが重要で,そのためには多様な見方をテーブルにのせることが重要,2つの要素がそれを促進する。
          • 多様な見方を尊重する(学内にある知恵を活用しない手はない,反対意見を積極的に議論にのせる = Everyone has voice, Every voice is heard)。
          • 多様な人を会議に招く(そのための共通会議時間を設定しておく,会議の中で時間の一部を共通問題のためにとっておく)。
        • 適応力を高める:単一の有効なガバナンス解はない,形を決めずに少しずつやり方を変えて試せることが重要,2つの要素がそれを高める。
          • 開発型のリーダーシップとガバナンスの実践(ガバナンスのあり方自体も常に議論のテーブルにのせる)。
          • ここぞで柔軟さを発揮できるようにする(どうしても急いで決めたりトップダウンで決めないといけない場面のための信頼貯金をつくる)。
        • 生産性を高める:ガバナンスが有効かどうかは最終的に変化したかどうか,シェアドガバナンスは実質的な変化をもたらすことができる,そのための2つの要素がある。
          • 成果にフォーカスしたガバナンスを行う(意思決定は取り組むことを決めるために行う,成果が出たときは褒賞する)。
          • 公平性と褒賞を活用する(ガバナンスに伴う負担は広く共有してもらう,それに応える褒賞を出す)。
        • 結局重要なことは,ソフトガバナンスを重視すること。(ソフトもハードもどちらも大事)。
          • それでもリーダーはハードガバナンスに目がいきがち。

        • 今からできることはいくつかある。
          • 今一度学内にある多様な人材を知ること(多くのリーダーはほとんど知らない)。
          • 現状に関する率直な話を始める(立場や形式に沿った話は既にしている)。
          • 常に何が目的なのかを語る。意思決定で目的を常にリファーする。

        2016/09/09

        堀哲夫(2009)「認知過程の外化と内化を生かしたメタ認知の育成に関する研究(1)」『山梨大学教育人間科学部紀要』11,12-22


        • 外化:内部で生じる認知過程を観察可能な形で外界に表すこと。
          • ノート,ワークシート,レポートなど。
          • 発問と応答のような一瞬のやり取りで固定化されず,見えなくなる外化は,学習者にとってその相互作用を記憶に留めていくことが難しく,学習における操作の対照となる内容も明確でないので情報処理の負荷も大きい。
        • 内化:前提として内省が含まれている。
          • 内省:自分自身の考え方ややり方について意図的に吟味するプロセス + 獲得した認知的技能や知識をデータとして新たな技能・知識を作り出す批判的思考力。
          • 認知プロセスが外化されていると,内省の対象として比較対照・編集などの操作がしやすくなり内省が促進される。
          • 学習者が一人で内化の機能を働かせることは無理,教師が適切な内化を促す働きかけを行う。それは次の外化につながる。
        • 板書授業:
          • 教師の認知過程の外化であり,ノートテイクは学習者の外化ではない。
          • 教師の学習への働きかけが明確でない。
          • 内化が適切に行われない。
          • 学習目標(資質・能力の形成)が達成できない。(教師と学習者の働きがかみ合わないので。)
        • 通常,同一の学習内容に対して外化と内化が繰り返されることはない。
          • → 次の学習内容に対する外化を行う。
          • 従来の研究は,個別の教材や特定の機器における効果などに止まっていて,具体的教育実践のシステムとして提案されていない。
          • → (1)教師の働きかけによる認知過程の外化と内化により,学習者の不適切な点を明確にする,(2)そこに教師が働きかけることにより外化と内化を繰り返すことの2点が重要。
          • これには教師の3つの役割が重要:
            • 外化への働きかけをする:優れた外化をしても働きかけがなければ高まらない。
            • 高次の資質・能力は,教師からの絶え間ない働きかけがなければ獲得されない。
            • 働きかけは,学習内容を習得させるためものと,資質・能力を育てるもの(習得した内容の重要事項をまとめる問いかけ)が区別して行われる必要がある。
        • One Page Portfolio Assessmentを実施:
          • 単元タイトル,受講前後の本質的な問い,学習履歴,自己評価の4つで構成。
          • 単元タイトル:単元終了後に学習者に外化させる。
          • 学習前の本質的な問い:「植物に取り入れられた水はどうなりますか?絵や図で説明してもかまいません。」
          • 学習履歴1〜4:「今日の授業で一番大切だと思うことを書いてみましょう。」
          • 学習後の本質的な問い:「植物に取り入れられた水はどうなりますか?絵や図で説明してもかまいません。」(比較できるよう前後で同じにする。)
          • 学習後の自己評価:学習を振り返って何がどう変わったか,それに対する自分の学習の意味づけなど,自分の考えたことを記述。
          • このシートの長所:(1)認知過程を外化する(本当?教師の想定の内容を外化させていない?),(2)外化に対する教師の働きかけを明確にできる,(3)学習履歴になる(ワークシートでも可能では?),(4)頭で考えたことを書く(所定の場所に書くのは同じでは?)
        内化への働きかけの重要性を指摘しながら,その検討が弱い。