Orion, D. and Weick, K. (1990) "Loosely Coupled Systems: A Reconceptualization," Academy of Management Review, 15(2), 203-223.
- LCに言及した研究は多いものの,背後にある構造や原理を踏まえたものが少ない。
- Glassman(1973)のLCは,システム間に共通要因が少ない,または共通要因が弱い関係を指した。Weick(1976)では,各要素が反応しながらも独自性と分離が保たれていることをLCとした。その背後は,突発的(非連続的),散発的(非定常的),無視可能(深刻でない),間接的(非直接的),漸進的(即座でない)。
- LCは組織の単純すぎる問題に使われすぎなので,あらためて複雑な問題を解明するものとしてのLCを示す。
- 先行研究は,大きく分けると因果関係,類型化,効果,問題状態,組織の成果の5つに言及するものが多いが,これに注目するうちはLCの背後にある原理を理解できない。
- LCの背後にある考えは,Thompsonの組織形態は内在的な矛盾を調整するよう設計される,を理解しないとむずかしい。
- 合理性と矛盾を扱うには,両者を切り離す必要がある。
- そこでThompsonは,テクニカルコアはクローズド,組織はオープンにして,マネジャーをその仲介にした。
- LCは,2つの矛盾を個別の論理で説明することなく,同時に説明できるものである。
- 結果として,LCはオープンとクローズ,不確定と合理性,自然と意図を同時に持つ組織となる。
- よって,組織内の不確定性だけに注目した研究は,全体を説明できない。
- LCは,どんな組織を対象にしても,テクニカルコアレベルと組織レベルを同時に考察できる。
- 独自性を無視して反応性を扱えば,組織はタイトカップリングになる。反応性を無視して独自性を扱えば,組織はデカップリングになる。
- 両方見るからLCになるという基本を押さえることから始める。
- なぜある組織はLCになるかという研究:3つの理由がある:(手段と目的間の)不確定性による,外部環境の断片化による,内部環境の断片化による。→ LCをデカップリングとしている。
- LCを類型化する研究:個人間,部署間,組織間,階層間,組織と環境の間,アイディア,活動,意図と行為の間の8つに分けられる:これらも,進行中の行為をとらえて弁証法的に解釈したにすぎない。← 静的な主体の行為をとらえることと変わらない(スポーツチーム間のLC,高齢者福祉施設間のLC)。
- LCを管理戦略としての望ましい有効性があるとみる研究:モジュール性,不可欠な要素,裁量度の3つに注目する。
- LCは組織運営上問題であり直す必要があるとみる研究:教育管理の研究に多い:リーダーシップの促進(管理職はオフィスを出て構成員と対面で話す機会を持つべき),特定の問題箇所に注目して解決する,価値観の共有(目的と手段の不一致を価値の共有によって解決する=Cultural Coupling)の3つの研究がある。
- LCは成果につながるという研究:組織の安定性を確保する,問題部分を切り離せる(Buffering),変化に適応できる(Adaptability),仕事の満足度を高める(自己決定度が高い,コンフリクトを避けられる,小グループを維持できるため),効果的である(多様化したグループだと成果が高いなど)の5つの視点がある。
- これらのモデルをまとめると,
- LCの原因 → LCの類型化 → LCの直接効果 → 問題としてのLC ⇒ LCの組織成果
- 5つの立場は潜在変数で,はじめの4つは連続性がある。
- どのように一面性を避けるか。
- LCは自律性(有機的組織)とコネクション(機械的組織)という矛盾するコンセプトを統合する長年の努力の成果。
- Thompsonは2つを統合した。Lawrencen and Lorschはリエゾン・部署横断委員会で部署化を統合した。LCもこの延長線上にある。
- LCは組織の定義を見直す。単一のアクターと見ると指揮系統を強調して要素を過小評価する。要素の集合と定義すると,指揮系統を過小評価する。組織の二重性をそのまま取り入れる。
- LCは組織の流動性,複雑性,社会構築の側面を扱える。
- 要素に分解しない,単純化しない,静的に扱わない。