白石賢(2009)「組織の不祥事問題と組織形態--中央省庁「三報告書等」からみた組織の不祥事問題」『企業と法創造』6(2),273-290
- ルールで縛れば不祥事は生じにくくなるか?→ 組織における不祥事発生の原因を,組織における情報の集中と分権の議論を発展させることにより検討。
- 3報告書の共通点:個人の使命感・責任感の欠如の下での行動が,情報伝達・情報共有といった組織構造の問題を通して組織全体としてのルール違反,誤った・偏った意思決定・行動として顕在化したこと。
- (1)使命感・責任欠如,(2)情報伝達・共有の問題,(3)利害関係者を中心とする偏った意思決定の問題,(4)閉鎖的な組織の問題。
- 「企業不祥事や事故に共通するのは,それが単純なミスではなく,積極的な意思決定のもとで違反の黙認・隠蔽・秘匿・偽装が行われ,その意思決定の多く は,会議や非公式な懇談でなされている。」
- 適切な意思決定:正しい情報が過不足なく意思決定者のところにあり,伝達する機能が必要。
- 中央官庁の意思決定は課長レベル。定型化されたものは組織上部へ伝える必要性が少ない。
- 環境が安定=情報集中型・人事分権型,環境が不安定=情報分権型・人事集中型(双対原理)
- ← 情報が分権型=現場間調整が必要で労働者に一般的な幅広い技能を求めるので,人事を集中することが効率的
- 情報システムとしてのヒエラルキー:ピラミッド構造では,情報チャンネルは線形的にしか増加しないですむ。
- ヒエラルキー組織:階級システムとしてのヒエラルキーがあるから,情報システムとしてのヒエラルキーが機能する。
- → ただし,この組織はコミュニケーション障害が多く生じる。
- メンバーの個人的要因,組織内構造要因,文化的要因,コミュニケーション状況要因のうち,組織内構造要因による。
- 情報が上司に伝わる時:(1)その情報が上司に不愉快な結果をもたらさない場合,(2)いずれ上司が他の経路から入手するので,伝えておくこ とが望ましい場合,(3)上司がさらにその上司と交渉する場合にその情報が必要であり,その情報がないと上司が不快に感じると思われる場合。(Simon)
- 人事集中システムは,労働者の仕事ぶりのモニターが不十分になる(現場から離れているので)。→ 異動させて長期間で情報を集め,相場をつくる(=積み上げ型褒賞)。
- 組織にヒエラルキー構造がある方が,ゴミ箱型意思決定(見過ごし・飛ばし)が起きやすい。