2016/09/09

堀哲夫(2009)「認知過程の外化と内化を生かしたメタ認知の育成に関する研究(1)」『山梨大学教育人間科学部紀要』11,12-22


  • 外化:内部で生じる認知過程を観察可能な形で外界に表すこと。
    • ノート,ワークシート,レポートなど。
    • 発問と応答のような一瞬のやり取りで固定化されず,見えなくなる外化は,学習者にとってその相互作用を記憶に留めていくことが難しく,学習における操作の対照となる内容も明確でないので情報処理の負荷も大きい。
  • 内化:前提として内省が含まれている。
    • 内省:自分自身の考え方ややり方について意図的に吟味するプロセス + 獲得した認知的技能や知識をデータとして新たな技能・知識を作り出す批判的思考力。
    • 認知プロセスが外化されていると,内省の対象として比較対照・編集などの操作がしやすくなり内省が促進される。
    • 学習者が一人で内化の機能を働かせることは無理,教師が適切な内化を促す働きかけを行う。それは次の外化につながる。
  • 板書授業:
    • 教師の認知過程の外化であり,ノートテイクは学習者の外化ではない。
    • 教師の学習への働きかけが明確でない。
    • 内化が適切に行われない。
    • 学習目標(資質・能力の形成)が達成できない。(教師と学習者の働きがかみ合わないので。)
  • 通常,同一の学習内容に対して外化と内化が繰り返されることはない。
    • → 次の学習内容に対する外化を行う。
    • 従来の研究は,個別の教材や特定の機器における効果などに止まっていて,具体的教育実践のシステムとして提案されていない。
    • → (1)教師の働きかけによる認知過程の外化と内化により,学習者の不適切な点を明確にする,(2)そこに教師が働きかけることにより外化と内化を繰り返すことの2点が重要。
    • これには教師の3つの役割が重要:
      • 外化への働きかけをする:優れた外化をしても働きかけがなければ高まらない。
      • 高次の資質・能力は,教師からの絶え間ない働きかけがなければ獲得されない。
      • 働きかけは,学習内容を習得させるためものと,資質・能力を育てるもの(習得した内容の重要事項をまとめる問いかけ)が区別して行われる必要がある。
  • One Page Portfolio Assessmentを実施:
    • 単元タイトル,受講前後の本質的な問い,学習履歴,自己評価の4つで構成。
    • 単元タイトル:単元終了後に学習者に外化させる。
    • 学習前の本質的な問い:「植物に取り入れられた水はどうなりますか?絵や図で説明してもかまいません。」
    • 学習履歴1〜4:「今日の授業で一番大切だと思うことを書いてみましょう。」
    • 学習後の本質的な問い:「植物に取り入れられた水はどうなりますか?絵や図で説明してもかまいません。」(比較できるよう前後で同じにする。)
    • 学習後の自己評価:学習を振り返って何がどう変わったか,それに対する自分の学習の意味づけなど,自分の考えたことを記述。
    • このシートの長所:(1)認知過程を外化する(本当?教師の想定の内容を外化させていない?),(2)外化に対する教師の働きかけを明確にできる,(3)学習履歴になる(ワークシートでも可能では?),(4)頭で考えたことを書く(所定の場所に書くのは同じでは?)
内化への働きかけの重要性を指摘しながら,その検討が弱い。