2016/09/29

東俊之(2004)「制度派組織論の新展開 : 制度派組織論と組織変革の関係性を中心に」『京都マネジメント・レビュー』6,81-97


  • 非連続的組織変革論:環境不確実性の高い状況下での大規模で抜本的な変革
  • 制度:複数の関連しあう役割が統合されてつくられた役割の複合体。
    • 制度は社会内部の個人がある行為を行うばあいに,社会的に認知され確立された標準的な行為の様式であり,個人の行為を規制する。このように公式に承認された役割期待のルールにしたがって形成された具体的な行為の様式は,それが社会の規範的秩序として確立されるとそれは制度体になる。
    • → 今の企業の活動は社会によって支持されることが必要不可欠。
  • 制度派組織論:制度的環境から正統性を確保することで組織は安定する。
    • 環境の変化が比較的緩やかにおこり,またその環境から正統性を受けることが組織存続のための必要条件である。
    • 組織が環境変化に対して能動的に行動する存在とは考えられていない。
      • 組織はすべて制度的環境に埋めこまれているという基本的仮定から出発し,組織構造や組織成果は制度的環境の影響を受け,組織は制度的環境から正当性を確保し,,社会的支持を得る限りで存続可能になると考える。制度派組織論では,制度的環境は,制度に制約を与える存在でもあり,同時に組織の活動を正統化し活性化する存在でもある。
    • ⇔ 不確実性の高い環境で,環境変化を先取りした組織変革がつねに求められている。
  • 60年代の組織研究:オープン・システムとしての組織の研究
    • コンティンジェンシー理論:技術や規模市場といった技術的要因と組織構造との関係に注目。
    • 制度派組織論:社会に広く浸透している価値や規範といった文化的要因と組織との関係に注目。(Selznick=旧制度派組織論,DiMaggio & Powell=新制度派組織論)。
  • 旧制度派組織論:組織と制度を区別
    • ある特定の仕事をするために考案された合理的機械としての組織。
    • 社会的に必要な圧力によって生まれた反応性・順応性を持った有機体としての制度。
    • → 組織が制度となることによって,社会的に存在理由を認められる。このプロセスが制度化(institutionalization)。← 3段階
      • 組織(=フォーマル体系=技術的・合理的・非人格的・課業志向的体型)は個人や集団の反応的相互作用によって条件付けられている。
      • 時間がたつと,反応的相互作用が型にはまる(社会構造が生み出される)。この型は歴史的で,特定の組織の特殊な経験を反映。
      • 組織は価値を注入されたとき(単に道具としてでなく,直接的な個人的欲求充足の源泉として,また集団的完全性の媒体として重宝視されるとき)制度となる。
      • → 組織が制度へと変化する制度化のプロセスに影響を及ぼすことがリーダーシップの本質。
  • 新制度派組織論:制度的環境(社会に広く認知されている価値や規範といった文化的要因)によって組織構造が規定される。
    • 組織の公式構造は,組織の持つ合理性によって意図的に形成されるものではなく,社会から正統性を確保するために,「制度的ルール」への適合を目指した結果として形成される(Meyer & Rowan)。
    • 制度的ルール:典型(typification)や解釈(interpretations)が交換されることによって社会につくられた類型(=神話)。
      • → 官僚制を導入するのは,それが機能的だから選択されるのではなく,官僚制を導入することで機能的になるという神話があり,それに適応するために選択される。
    • 組織の環境適応を,技術的環境から社会全体の価値・規範・思考基準の次元まで広げた精緻化が貢献。
    • 一方で,実践的含意が薄い:制度的プレッシャーへの反応は受動的で,裁量の余地がない。(視点がマクロなのでミクロなインプリが薄い。)
  • 組織変革の仮説(Greenwood & Vinings)=マクロ視点とミクロ視点の統合
    • 変革の特性:
      • 制度に引き出された模範によって組織は構造化される。
      • ある模範から別の模範への抜本的変革は,制度的コンテクストの中にある組織の規範的埋め込みが問題となる(部分的変革はより日常的に起こる)。
      • 制度的コンテクスト内の組織の規範的埋め込みが強力であればあるほど,変革は進化的よりも革命的。
    • カップリングによる違い:
      • タイト:抜本的変革は珍しいが,変革が起これば革命的になる。
      • ルース:抜本的変革は,タイトよりも一般で,変革は進化的に起こる。
    • 境界による違い(制度フィールドは他のフィールドよりも閉鎖的):
      • 不浸透性の制度フィールド:抜本的変革は低い割合でしか起こらない → ペースが革命的
      • 浸透的なフィールド:進化的変革
    • 抜本的変革のダイナミクス(制度的圧力による同型化へのダイナミクス):
      • ダイナミクスの促進段階:関心と価値コミットメントが重要。
        • 価値コミットメントが競争型(現状満足と代替手段模索グループに分かれる)か改善型(全グループが代替手段を模索)なら抜本的変革。関心への不満が生じると抜本的変革。
        • 改善型は革命的変革,競争型は進化的変革に関係。
      • ダイナミクスの実践段階:抜本的変革はパワー依存と行動のための能力によって起こる。
        • 抜本的変革は,価値コミットメントが改善型か競争型で,パワー依存との結合がなければ起こらない。
        • 抜本的変革は,価値コミットメントが改善型か競争型で,行動のための能力の十分な授与との結合がなければ起こらない。
        • 行動のための能力の高さが革命的変革に関係する。
  • 個人が持つ価値の重要性:
    • 威圧的なプレッシャーは変革の開始時に重要な役割を果たす。しばらくすると組織メンバーが共有する価値と一致するようになる。この一致がなければ,儀式的一致を見るにすぎず,すぐに元来保持している価値によって元の組織デザインやオペレーションへと逆戻りする。
  • 制度環境や市場環境からのプレッシャーのみならず,自らが環境を創造することによって組織変革がもたらされるという側面(イナクトされた環境)を統合する必要がある。