Hatch, M. (2013) "Organizational Social Structure," Organization Theory, Ch.4
- 組織理論が注目する2つの組織構造:
- 物理的構造:建物,場所,記念物の持つ象徴的な意味
- 社会的構造:人間関係と,その役割や責任
- 社会的構造の起源は,官僚制
- ウェーバーは官僚制を理念上のモデルとして用いた(具体的な組織の望ましい状態を指すために用いたものではない)。
- 官僚制の重要な3要素:分業,権威の階層性,ルールと手続きの標準化
- 分業は効率的・効果的な目標達成のために行われる。分業は部署化につながり,マネジャーは部署を通して管理するので,権威の階層性とも密接な関係がある。
- 権威とは法的な権威であり,通常トップが持つもので,意思決定をする権限を指す。階層は,公式な報告関係を定義するもの。昔は1人に報告する形だったが,現在はデュアルレポーティングが普通になっている。
- 標準化は,書面で示された方針,ハンドブック,職務内容指示書,マニュアル,組織図などを指す。
- 提案された時代は,縁故採用や不当圧力に対する合理的モデルだったが,今では手続き主義,無思考などの弊害がある。
- 組織の社会的構造を測定する指標
- サイズ:従業員数
- 管理職割合
- 部署数:階層の数と部門の数
- 統合:部署横断チーム,連絡窓口などの調整活動の数
- 集権化度:意思決定をトップレベルで行っている度合い
- 標準化度:仕事のルーチンかや標準化の度合い
- 公式化度:ルール,ルーチン,コミュニケーションが文書化されている度合い
- 専門化度:部署の仕事が狭く限定されている度合い
- Positivistの組織構造理論:機械的組織と有機的組織
- どの組織もこの2つの中間にある。
- 階層的管理を強化したり,官僚制が強化されるとイノベーション(柔軟性や創造性)が損なわれる。
- 環境への適応:部署化と統合化の度合いを変えることで行う
- 安定環境:公式化・階層化が進む。
- 環境の不安定化:より関係性を志向するようになる。
- 製造や販売のような部署は,短期の頻繁なフィードバックを要するが,研究開発のような部署は長期のフィードバックを要する。
- 階層や部署が増えると統合の要求が高まる
- 組織的統合の最も共通するメカニズムは階層:公式のレポーティング関係をつくればいい。
- ただし,これだけではいつか破綻が来るので,いずれは有機的組織へ移行しなければならない。
- 2つのインプリケーション:
- 環境が不安定化すると,より部署化や階層化が進む。
- これはどちらも統合化の圧力を高めるが,環境条件で対応が違う。安定環境では,階層と集権化による統合が好まれる。不安定環境では分権化とその共有による統合が好まれる。
- 官僚制は分権化された組織
- 機械的組織は,集権化された組織。官僚制は,高度に公式化されているが,分権化された組織(ルールによって上階層が行う意思決定と同じ意思決定を行うことが下階層で行うよう委譲されているから)。
- ミンツバーグは,組織内外の要請に応じて5つの組織構造を示した。
- 単純組織(初期組織),機械的官僚制(大量生産:ファーストフードなど),プロフェッショナル官僚制(複雑で安定環境:コンサルなど),部門制(複雑で不安定環境:スピンオフなど),アドホクラシー(不安定環境:シンクタンクなど)。
- グレイナーの組織ライフサイクル
- 創業段階→(リーダーシップ危機)→指揮命令段階→(自律性危機)→権限委譲段階→(コントロールの危機)→調整段階→(形式主義の危機)→協働段階→(刷新の危機)→消滅
- 協働段階では,組織構造の質的な変化が求められる。求められるリーダーシップも統合力になる。
- 刷新の危機段階では,任期付きの仕事,二重権威,度重なる実験的試みで心理的な負担が大きくなり,燃え尽き症候群などにマネジャーも従業員も悩むことになる。グレイナーはこの帰結として,組織はなくなるしかないと指摘している。
- オープンシステムモデル:サポート活動(Katz and Kahn)
- コアとなる活動が確立されると,環境とのやりとり(インプット・アウトプット)のために必要なサポート活動が組織される。サポート活動を円滑にするために維持活動(財務,人事,施設)が必要になる。それらを環境に適応させるために適応活動(チップの意思決定,戦略,広報)が組織される。
- シンボリックアプローチ:ルーチンと即興
- ルーチン:構成員が特定の状況下で何をすべきか理解するための手続きや行動
- 即興:ルーチンを変えるためのアイディア
- CoP:部署や権限構造を超えた集まり。これを組織化する方が効率的かについては意見が分かれる。
- フェミニスト組織:現状のルールや手続きは男性に合理的な制度を前提にしている。→フェミニスト官僚制:より公平なルールと分業による組織化ができる。