2016/10/04

Hatch, M. (2013) "Organizational power, control, and conflict," Organization Theory, Ch.8


  • 政治活動:合理的な組織では,権威の力を損ない管理統治を脅かすものとして位置づけられる。
  • 意思決定における限定合理性:政治活動によって意思決定が支配される余地をつくる。→  水面下の連携を通じて次善最適の意思決定になる。
    • これは組織全体にとって得策になることはあまりないが,デッドロックを壊したり行動に移す上では有効なこともある。
  • 支配力:別の者・集団にせざるを得ないことをさせる力。
  • 支配力の種類:権威,個人の性格,専門性,威圧,希少・重要な資源のコントロール,規範的な制裁,機会(支配力の強い人とのコネ)。
    • このうち,権威だけはコストが小さい。他はコストが高い。
  • 支配力をつくる方法:
    • 他者に対して
      • 依存関係をつくる(不確実性の高い領域で仕事をする,重要な領域の仕事の中心をとる,代替不可能なスキルを身につける)
      • 組織を代表して不確実性に対応する(回避・予想・吸収)
      • 個人的なネットワークをつくる
      • 専門性を伸ばし続ける
    • 組織内で
      • 情報の流れを操作する
      • 問題を操作する(問題の定義,議論の優先順位づけ,問題の除外で行う)
      • 意思決定の水準を操作する(長期と短期,リターンとリスク,自分の能力や関心にあった基準設定)
      • 協力・連携関係をつくる(組織外,組織内(忠実な下位部署,任命委員会,重要な会議に参画する)
      • 自分の意見を支持する組織外の有力者を連れてくる
  • 組織内政治:不確実性や意見の相違がある状況で,望ましい成果を得るために支配力や資源を獲得・発展・行使する組織内の活動。
  • アイデンティティ政治:支配力の関係には一定の属性傾向がある(自学出身,医学部出身)
  • 3つの統制(支配力も統制の1つとして使われる):圧力・支配力による統制,報酬による統制,規範による統制
  • 戦略的状況理論:
    • 学内で学生募集力がある,外部資金を多数取れる部署 = 支配力を使うことができる(上層に人を送るなど)
    • これは,支配力の分布が不確実性と関連しているという意味。→ 組織のニーズに対応できる部署が支配力を得る。
    • 不確実性を支配力に変換する3つのルート:単位の実質化不適格の場合
      • 回避:シラバスに時間外学習を記述するシラバス作成方針を立案する
      • 予測:他大学の対応状況を調査・分析して情報提供する
      • 吸収:不適格の指摘を受けて改善に対応する
  • 資源依存理論:
    • 環境の不確実性は組織内の個人や集団に支配力を集める機会を与える。
      • ある主体が代表して不確実性に対応しても,より重要な資源を押さえて別の主体が対応することがある。
  • 言語と象徴の支配力:文科省が言っている,学長が言っている
  • 組織統制の理論:成果による統制
    • サイバネティック理論
      • 統制の目的:望ましい成果と実際の成果の差異を調整すること
      • 統制の対象:成果と行動
      • プロセス:組織の目標を設定→各部署の目標水準を設定→目標と成果の差を測定→差異を評価して修正する
      • 資源の配分を使って統制する。目標設定,成果水準の設定,成果や行動の測定手法を開発することからはじまる。(成果よりも行動指標の方が測定が容易)。
      • 成果に見たな場合の対応:(1)組織が目標か成果水準を見直す,(2)主体が目標か行動を変えることで,パフォーマンスを上げる,(3)主体を変える・やめさせる。
    • エージェンシー理論
      • 統制の目的:管理者が望む行動を対象が最大限行うことの保障
      • 統制の対象:成果と行動
      • プロセス:管理者と対象とで契約をする→契約した義務に合致しているかをモニタリングする→契約に合致した場合に報償する。
      • プリンシパル側のモニター能力が得られる情報の質と量に依存するため,モニター結果を操作するホールドアップ問題がある。
      • アウトプット測定が容易であればこの方法は強力。
    • 市場・官僚・集団
      • 統制の目的:協働のための取引コストを最小化すること
      • 統制の対象:成果と行動と象徴
      • プロセス:市場=他組織の成果と比較する(成果統制),官僚統制=注意深い観察でルールに合致しているかを比較する(行動統制),集団=組織のメンバーを文化,価値観,期待で統合する(象徴統制)
      • 競争が少ない環境(または市場の失敗)では,組織は官僚的,分業的,権威階層の側面を強化する。(大規模組織が官僚化しやすい理由)。非営利組織は常にこの状況とは言えない(教育バウチャー制など)。
      • さらに,市場も官僚制も失敗すると(環境が複雑で急速に変化する時など),集団統制が好まれる。その時は,組織の目的に構成員が向かえるように,適切な行動を定義する価値観や規範で統制する。
      • 大規模専門職組織はこの統制が多い(専門職集団の規範・期待があるので)。ただし,この統制力が組織の目的と一致するとは限らない。
    • 実際はこの3つを組み合わせて統制する。
      • 社会的システムが最も発達⇔最も未開発:集団⇔官僚⇔市場
      • (環境モニタ)情報システムが最も発達⇔最も未開発:市場⇔官僚⇔集団
  • 別の支配力:イデオロギー,管理主義,ヘゲモニー(=学外の専門家を連れてくる)
    • TQM,PDCAは典型的なヘゲモニー。こうした測定やラベリングは,組織メンバーを小さい抵抗で強くコントロールすることを強いる方法。



  • コンフリクト理論
    • コンフリクト=相互作用の一種,ある努力に対して妨害・強制・攻撃・抵抗・復讐すること。
  • コンフリクトはその便益を最大化するよう,適切にマネジメントすべき。
    • 適度なコンフリクトは,部署内に適度な一体感・協力関係・生産性をもたらすため。
  • コンフリクトを減らす方法:
    • 回避戦略:物理的な隔離,資源の増配分,感情や意見を抑える
    • 協力戦略:より上位の目標を設定する(創発する)
    • スムージング:類似点・共通点に目を向けて強調する
    • 妥協戦略:交渉してもらう
    • 階層委任:より上位の権威に問題を理解してもらい裁定してもらう
    • 構造変化戦略:人事異動
    • 対面戦略:物理的に近づける
  • コンフリクトを増やす方法:
    • 抑制されたコンフリクトを表面化させる
    • コンフリクトのロールモデルを示す(不同意のうまい表明の仕方を見せる)
    • 既にあるコミュニケーションのルートを変える
    • 情報を隠す
    • コミュニケーションの量を必要以上に増やす
    • 意図的に曖昧なメッセージを流す
    • 下位部署の活動や成果に差別を行う
    • 既存の支配構造を否定する