大場淳(2011)「大学のガバナンス改革」『名古屋高等教育研究』11,253-272
- ガバナンスの改革は,単純に諸制度を変える話ですまない。
- 多様な関係者間の黙示の合意に基礎を置く非公式な行動規範を含むため(=法令や明文化された規則、正式な議決やその他の決定に基づく権限配分や権利・義務の設定等だけではない。)
- → ガバナンスの非公式な側面,すなわち組織文化の理解が図られた上で、,当該組織文化と組織運営の一連の手順の間に調和が図られていなければならない。
- ガバナンス:意思決定に係る諸々の組織構造やその過程全般。
- 大学の同僚性 → 組織の規模拡大により,構成員全員が 共有できる目的設定や,意思決定過程を明確に系統立てて構築することを困難にした → 変革が不可避に → トロウの運営形態変遷。
- → 非合理性が指摘される:マルチバーシティ,組織化された無秩序,ゴミ箱状態,愚者の技術
- → 組織論者がルースカップリングととらえる。→ 急速な環境変化に組織全体は対応できない。→ 企業的大学へ(Clark 1998)。
- 高等教育の市場化で,大学のガバナンスも市場に対応した企業的なものになった。(マクネイ:同僚性から企業性へ)。
- Sporn(1999):環境変化に適応する大学の特徴:専門的経営,経営的精神,同僚的組織運営,支持的リーダーシップ,多様化された組織,(阻害要因:資源の依存,法的規制,保守的文化,弱い統合,目標と戦略の欠如)。
- 組織文化:組織の構成員間で共有された価値観や信念・行動様式等の総体。
- どの組織にも象徴的側面としての文化がある。
- 構成要素:観念文化,制度文化,行動文化,視聴覚文化
- クラークの分類:学問領域文化,企業文化(この2つが学内文化の根源),専門職文化,制度文化。
- 組織文化を無視した運営体制強化 = 上意下達や過度の経営主義 = 強い抵抗。
- → リーダーシップ,関係構築,信頼が重要。
- リーダーシップは組織文化と表裏一体(相互に影響を与える)。
- 大学ではカリスマリーダーシップは非生産的。
- トップに卓越した人材を置かず,各階層に置くべき(Fullan and Scott 2009)。
- 政策や法人化は,学長の権限拡大や執行部への権限集中の文脈でリーダーシップを議論してきた。
- 学長・学部長調査による権限主体の認識の齟齬
- マクネイの示唆:同僚性→企業性(分権的)
- 国立大学法人化:同僚性→法人性(指示的)
- 自律性が拡大した大学の組織文化変革では,学習を促す教職員開発が重要。