間嶋崇(2008)「組織アイデンティティと組織不祥事」『専修大学経営研究所報』174,1-28
- 自己アイデンティティ:
- 斉一性:自分について自分も他人も同一の人と認めること,
- 連続性:昔の自分も今の自分も一 貫して同じであること,
- 帰属性:自分自身は何らかの集団に属し,それと一体感を持っていること。
- 社会的アイデンティティ:
- 所属する社会集団の特性によって記述される個人の自己概念・自己定義。
- 2つの研究の焦点:
- 集団間の葛藤と社会変化の分析に用いる。人々が肯定的な社会的アイデンティティを得るために,外集団に対する内集団の肯定的で価値づけられた特徴を維持し,高めようとする個人の欲求に焦点を当てる(集団間の理論)。
- 成員に共有された社会的アイデンティティが,個人の自己知覚や行為を非個人化するという考えに基づいたもの。(集団過程の理論)。
- 3つの代表的機能:
- 内集団びいき:内集団に好意的・肯定的な態度を示すことがいきすぎて集団ナルシズムになる。
- 過度の同調:内集団規範の学習によるグループシンク。
- 不確実性の削減:社会的文脈における自身の不確実性があるとき,どの集団のアイデンティティが最も不確実性を削減するかを探し,明確に定義され,他と明確な区別ができ,安定的で規範的なものを選ぶ。
- 組織アイデンティティ:
- 我々は何者か,何を欲しているかに対する理解・定義
- 3つの基準を満たす必要がある
- 中心的性質:何らかの方法で組織の本質と見なされる性質,
- 特異性:他組織と区別する性質,
- 時間的連続性:時間を超えた連続性の度合いを表す性質
- 理解の3つのレンズ
- 組織アイデンティティ:一枚岩か多様性か
- 多様性 → ハイブリッド(同類とはみなされない完全に分節されたアイデンティティの組み合わせ)かマルチプル(2つ以上の多様なアイデンティティの維持・ 表現を仮定し,アイデンティティ間のコンフリクトを想定しない)か。
- ハイブリッド → イデオグラフィック(下部組織にそれぞれのアイデンティティを維持・表現する多様性)か,ホログラフィック(組織全体 で多様なアイデンティティを維持・表現)か。
- 組織アイデンティティと組織に基づくアイデンティティ
- ミクロ・ミドル・マクロの関係がある(個人が所属組織の特性に基づいて自分自身のアイデンティティの一部を確立するという側面も存在する=組織に基づくアイデンティティ)。
- コーポレートアイデンティティ:
- 組織の外部のステークホルダーに向けて,組織の中心的で特異なアイデアをいかに表現し伝えるかに関係するマネジメント志向・マーケティング志向の概念。
- 組織アイデンティティは,組織の自省的な問いへの組織自身の理解ないし定義(組織・組織メンバーたちが主体的に創出していくもの)。
- 組織アイデンティティの形成プロセス
- 組織イメージ→(鏡映)→組織アイデンティティ→(反省)→組織文化→(表現)→組織アイデンティティ→(印象づけ)→組織イメージ。
- ただし,組織イメージ=組織の他者として行為する者によって持たれる組織に関する観念のセット。
- 鏡映(mirroring):他者という鏡に映し出された自分(組織イメージ)と彼らのアイデ ンティティとの間に不一致が生まれるとアイデンティティは不安定になり,自己定義の見直しが迫ら れるようになる。
- 反省(reflecting):鏡に映ったイメージを既存文化を通して反省しながら,アイデンティティは強化されたり,変化したりして組織文化の中に埋め込まれていく。
- 表現(expressing):シンボル(広告や CI,デザイン,アーキテクチャ,制服など)による組織アイデンティティの表現が組織文化理解の表現に結びつく。(組織文化理解が組織アイデンティティの表現を通して表現される。)
- 印象(impressing):広告やロゴ,制服などによって表現された組織アイデンティティが 他者に組織に対する印象を残す。
- このプロセスが機能不全になると,組織ナルシズムや過剰適応を引き起こす。
- 組織ナルシズム:外部に耳を貸さず・鏡映のプロセスを無視/信用せず,組織文化のみ参照するアイデンティティの構築から生まれる,自分本位でひとりよがりな状態。
- 過剰適応:外部のイメージをあまりに気にしすぎ,自分が誰なのか,その意味を見失ってしまう。