高橋勅徳(2007)「企業家研究における制度的アプローチ」『彦根論叢』365,53-69
- 制度的アプローチ:
- 国・地域・業界・集団などマクロの分析対象を仮想する,
- 正統性,文化(規範)等を鍵概念として起業という行為を捉える,
- マクロへの帰結に注目するという理論志向を有する。
- 埋め込み(embedednessを理論的基盤に置いた埋め込みアプローチ,
- 人が起業する行為を選択するメカニズムに注目,
- 特定の集団内部で単一の文化が共有される前提をおく,
- 企業がイノベーションに帰結する現象を説明できない,
- 新制度学派社会学(DiMaggio)を理論的基盤に,制度の生成・変革への注目から起業への注目に至った制度的起業アプローチで研究,
- 人々の行為に影響する文か(規範)に注目,
- 業界内で複数の文化が存在し,業界内で権力を行使しうる主体が多数存在することを前提。
- 新制度派社会学:
- 官僚制・事業部制・職能制といった組織形態が,経済的合理性に基づく合理的判断によって選択されるのではなく,そのような組織形態が肯定され,企業・官庁などあらゆる組織体に受け入れられ,普及してく社会的コンテクストの中で捉えるべき。
- 文化そのものの多様性・多元性を想定し,どのように文化が形成され,正統であると受け入れられ,普及していくのかを問う。
- → 制度も単一の文化が通底した一枚岩の存在ではなく,多様な規範を持つ集団が結合され,一時的に安定した存在として捉える。
- 制度的起業アプローチ:
- 特定の正統性の源泉との連携を実現することで,競争優位や参入障壁の構築を試みる個別企業の戦略性に注目する研究群,
- 特定の技術仕様がいかにしてディファクト・スタンダードに成り得たのかについて,様々な制度当局との関係(=ネットワーク)に注目し,分析を試みる実証的研究など,
- 正統性を鍵概念としつつ,新規事業の成立を様々なアクターの相互関係として捉える研究群がある。
- 特定の市場に対して強制的同型化を迫りうる権力を保有した制度当局が存在することは希(医薬業界はこれにあたる)。
- → 新たな技術や新規性の高いサービスを提供するベンチャー企業であるほど,様々な制度当局との連携の中で市場の中で自身の事業を守り,育てうる正統性を構築せねばならない。
- 新技術・新サービスの普及のために,行政や学会,教育機関ど顧客や業界関係者に強い影響力を持つ制度当局との関係作りを通じた正統性の構築プロセスを描く。