2020/10/19

北居明(2016)「組織文化の構造と変革プロセスに対する批判的考察 : 社会構築主義的観点から」『甲南経営研究』57(1),199-225

  •  組織文化変革の多くは失敗、困難で時間のかかる試みであるので、研究蓄積も進まない。
    • →既存研究の組織文化のモデルと変革プロセスが組織文化の変革を困難にしているのでは?
    • 既存研究=組織文化の多層モデル提示→深層の変革の必要性を主張
    • ←むしろ表層で発生する相互作用に着目すべきでは?
  • シャインの3レベルモデルの含意
    • 文化が頑丈で変革が困難であることが理解できる
    • 変化の重要な部分は本来目に見えないものであることに気づける(メンバーは自分たちの文化を説明できない)
  • Kotter & Heskett(1992)の2レベルモデル
    • 価値観を変えるのは困難、行動は変えやすい
  • その多層構造モデルも、本質的部分の変革が困難であり、それを明らかにすることが変革には重要という主張
  • 文化変革プロセスモデルの研究:基本の解凍・変化・再凍結モデル
    • 学習棄却→役割モデル提供→内面化+新しい行動の導出のプロセス
    • 変革には、経営理念、市場戦略、組織構造・人事制度の変革が効果的
    • 成熟期の組織文化の変革には, 客観性と文化に対する洞察を兼ね備えたリーダーが必要(Schein 1985)
    • 変革のためには、まず既存の文化の変革の必要性を認識し、文化のどの部分を変革するのかを明らかにするために、文化の深層に対する洞察が求められる
  • 多層モデルの文化のまとめ
    1. 組織文化の変わりにくさの源泉は、文化の意識されにくく可視化されにくい部分にある
    2. 変革は既存の組織文化に染まり切っておらず、客観的な洞察力を持つ人々が主導することが望ましい
    3. 組織文化の変革プロセスには、変革を主導する人々(=イノベーター)と変革を受け入れる人々(=感受性の低い人)の少なくとも 2 種類のグループが存在する(=前者は後者に安心感を与える必要がある)
  • 構造機能主義:過度に社会化され、統制された人間観に基づく
  • 社会構築主義:会話を通じてリアリティが構築される
    • 1次リアリティ:解釈の余地のない事実やデータで構成される(≠客観的現実)
    • 2次リアリティ:1次リアリティに対する価値づけ・意味づけ
    • 通常これらは混在し、1つのリアリティとなっている(Watzlawick 1990)
  • 変化の概念
    • 構造機能主義=会話と独立した物質的特性のある内容の変化(Scheinの場合、人間や環境に関する仮定のリストの変化)
    • 社会構築主義=会話の中に新たな会話を展開すること
      • 変化が起こった証拠は1次リアリティでわかる
      • どのようは変化が起こるかは2次的リアリティに依存
  • 文化を維持しているのは言語、慣習的な会話に新たな会話を導入することで文化の変化が起こる。ただし、その変化の方向性は新たな会話が、どのような2次リアリティを形成するかに依存する。
  • 構造機能主義の文化変革=教育モデル=メンバーの反感・抵抗を生む→介入者は洞察の正当性や客観性を担保するために権威づけを行う必要がある→メンバーがますます反感を持つ
    • 変化の起こりにくさの原因=メンバーの学習への不安、既存文化への愛着←それもあるが、介入者の病理的問題発見と切除アプローチが意欲を下げる
  • 変革者に文化が正しく解釈される必要がある ⇔ それよりも、推進者とメンバーの協働を促進し、問題解決に向けた積極的な行動を引き出せる方が重要
  • 組織文化の解明には、人工物の用いられ方に注目することが重要
    • 全ての行動はコミュニケーション、その相互作用パターンの背後にあるルール
  • 介入方法として有力:例外、最高、偶然、奇跡に関する会話の促進
  • Appreciative Inquiry(対話型組織開発)の4プロセス
    • 発見:過去に焦点を当ててこれまでの最高体験に関する物語を語り、最高体験をもたらす共通要素を取り出す
    • 夢:理想の未来像を共有する
    • デザイン:理想の未来像を実現する理想の組織像を探る
    • 運命:理想に近づくアクションを提案して実行の準備をする

2020/10/18

数家鉄治(2015)「行政改革と組織改革 -地方自治体の行政経営的組織改革-」『大阪商業大学論集』11(2),31-46

  • 行政組織の持続性は保障されていない:制度的環境が変化⇔行政職員の主観的認識とズレ
  • 税<地方交付税 → 職員が住民要求よりも交付税確保に知恵を絞る方に向かわせる
    • → 住民の期待しない事業に予算がつく、期待する事業が後回しにされた気持ちになる
  • 行政組織は法改正に敏感でなければならない(病院など多様な事業をするために多数の法律が関与している)
  • 結局、行政組織は組織と制度が密接に関係している=精度が組織に与える影響が大きい。
  • 減点主義的な人事評価→自己の守備範囲を狭くして、その領域での穴をなくすことに注力→全体的整合性との関係性を軽く考えて、意図せざる穴を増やす→他の人の守備範囲との間に隙間をもたらして、それらの間の調整を難しくする→組織にムダ・ムラをもたらすっ→市場競争を欠くので、競争で是正できない。値打ちのある仕事とムダな仕事の区別をあいまいにし、 選択と集中をしにくくし、力の配分を間違いやすい。
  • 市町村合併→職員数増・削減目標設定→職員がルーチンに追われて人材育成やルーチン外の仕事をする余裕がない→ICT化=非正規対応可能→人材育成よりも目の前の問題を非正規で対応するので人的資源が劣化しやすい→ルーチンをこなす即戦力の非正規が増える→組織能力を劣化させる。
  • 行政改革は改革というより改善。
  • 行政組織は利害関係が多様=機が熟さないのに改革すると失敗しやすい。
  • 組織文化と組織の罠は違う(アージリス)
    • 罠:防衛的な思考枠組み。組織文化に主因があるとはかぎらない。

2020/10/17

前田一之(2017)「組織文化と学長リーダーシップに関する実証的研究」『大学論集』49,85-100

  • 組織文化とリーダーシップ研究
    • Schein(2004):組織の変革期に組織特性によって強い展望(Strong Vision_を持ったリーダーか、構成員の意見を重視する提言重視型(Fuzzy Vision)のリーダーのいずれかが必要になる。変革期は長期にわたり新たな前提認識が組織に組み込まれなければならない。
    • Taylor(1986):大学の主たる目標に組織文化は影響を受ける→伝統定期大学=学長は文化の体現者=自大学出身者
    • Kezar(2004):学内の意思決定過程は効果的に機能していないというメンバーの認識→組織構造等の形式的手続きの改変より、リーダーシップ、関係性、信頼という非公式側面を重視する必要がある
  • 学長リーダーシップと組織文化の概念の具体化を図る
    • アンケートで因子分析、構造的特性を検証し、企業リーダーシップと比較
    • ←中央集権的な制度整備は大学組織で有効かを検証するために有益
    • 副学長が上司の学長のリーダーシップを評価する部下評定方式(三隅 1988)
    • 国公私329校
  • 結果
    • 学長リーダーシップ7因子:信頼関係構築、大学差別化、大学理念・目標達成、分権化、提言活用、経営強化、凝集性
    • AGIL枠組みで解釈:企業トップはGとIの比重が高いがLは逆
  • 組織文化測定尺度:競合価値フレームワークがよく使われる(北居 2014)
    • 縦=柔軟性・適応生⇔安定性・コントロール、横=内部重視と統合⇔外部重視と差別化:クラン、アドホクラシー、ヒエラルキー、マーケット
  • 結果(国公私間比較)
    • ヒエラルキー、マーケットで差異なし
    • アドホクラシー:国立+、公立±、私立−、クラン:国立−、公立±、私立+
    • 国立と公私の文化的差異を決めるのはアドホクラシー、公立と私立の文化的差異を決めるのはクラン

2020/10/16

新江孝・伊藤克容(2014)「組織変化におけるマネジメント・コントロールの役割 : 新たな視点の提案」『原価計算研究』38(2), 15-26

  • Learning Visioning Planningモデル
    • 組織変化を3つのサブプロセスからなる連続したプロセスとして捉える
    • Learning:経験の蓄積
    • Visioning:認知的枠組みの更新
    • Planning:最適資源配分
  • LVPモデルでケース記述をすることができる
  • 組織変化のコンテンツ:組織が変化するとは、何が変わるのか?
    • Mintzberg and Westley:有形は容易に変化する、無形は変化しづらい→4段階(2系統)
      • 人員配置・業務内容、機械・設備
      • システム・手続き、プログラム
      • 組織構造、戦略ポジション
      • 組織文化、戦略ビジョン

2020/10/15

市田明子・高野研一(2020)「国家公務員の活性化に向けた組織の文化とリーダーシップの影響」『国際P2M学会誌』14(2), 249-266

  • プロジェクト・プログラムマネジメント(P2M)
    • Ver.1:一つの戦略のもとで総合的な視点から複数のプロジェクトの最終着地点を見出す、システム構築後の運営段階で評価を行うことに重点を置く。
    • Ver.2:プログラムのゴール設定や価値獲得の方法を経営戦略にフィードバックさせる。
    • 3Sモデル:スキームモデル(事業の構想)、システムモデル(システムの構築)、サービスモデル(事業の運営)。
  • 公務員:本来持っている公共のために役に立ちたいという動機の最大化を目指す必要がある。
  • 仮説:国家公務員の職務満足は組織の文化や管理職のリーダーシップの影響を受ける。
    • 因果関係を定量的に分析。
  • 組織文化→職務満足
    • 前向きなコミュニケーション:両公務員+
    • 内向き志向:国家公務員–、市町村職員NS
  • リーダーシップ→職務満足
    • 国家公務員+、市町村職員NS

2020/10/14

濱中淳子(2020)「入試改革の迷走」『教育学研究』87(2),14--26

  •  今回の改革の特徴:逆流効果とい 名の教育的配慮と未来志向
  • 理解が深い専門家ほど逆流効果の問題点がわかり、改革に尻込みする ⇔ 素人は未来を根拠に改革案を出すため批判されにくい → 素人に優しい改革論議
  • 研究者側の問題
    • 反論の余地を残す主張:
      • センター試験は良問 ⇔ 設問文だけで答えが導き出せる『基礎的な知識及び技能』に偏った出題がいまだに改善されていない ← センター試験批判の決定打を出せていない
      • 格差問題:民間試験受験料はバイトで工面可能、格差を問題にするなら進学後の学費の方がはるかに深刻な問題
    • 不十分な実態把握:エビデンスが偏っている、改革にマジョリティが何を指示しているかのデータがない、改革推進派を思いとどまらせるデータを示していない
    • 未来を描かない論法:研究者はエビデンス(過去のデータ)志向、未来志向は危ういが、十分に答えていない(未来派も、未来の教室、APU、N高に注目、探究学習に関心)

2020/10/13

吉田文(2020)「大学「教育」は改善したのか」『教育学研究』87(2),2-13

  •  教育方法の改革推進
    • 改革の始まりは教育方法:1991年答申でFD、シラバス、TA、自己点検が登場→キャップ制、SD、セメスター、GPA(←小道具)
    • 2004年に方向転換=教員の改革から学生の変化へ→2008年教学マネジメント(個別の教育方法をトータルに機能させるために持ち出された)
  • 教育内容の改革
    • 1998年21世紀答申:学士力に触れた程度で言及少ない(学問の自由への配慮)
    • →初年次教育とキャリア教育で改革=入口と出口の接続問題
    • キャリアガイダンスだけは設置基準で義務化
    • 90年代後半からの就職問題社会化→就職対策としてのキャリア教育→教育の問題化=労働市場問題・経済問題と切り離し、個人の努力の問題にすり替えた
  • 競争的資金による改革
    • 教育を大学の組織的取組とし、他機関との競争と、その結果としての評価の俎上に載せたという点で画期的
    • 5つの特色:学生支援に特化した事業、事業期間の短期化、申請しないことのレッテル化、審議会提言との密接化、定量評価項目の細分化
  • 面従腹背
    • FDは義務化して実施率は上がったが、関与する教員は二極化or限定
    • 初年次教育とキャリア教育は、ディシプリンフリーで拒否反応が少なく、瞬く間に定着
    • 学会が政策を批判せず有効な実践方法の情報交換をレゾンデートルとした
  • MEXT改革の意図:大学教員の眼を教育に向けさせ、教育を組織化すること
  • 大学トップ、中間団体とも改革に反対すれば経常費や競争的資金などの縮減につながり、大学財政に支障をきたす
  • 大学の自主性を働かせる余地のない改革の中で、大学が学生の主体性を育成することは望めない

2020/10/07

宇多川元一(2019)『他者と働く』NewsPicksパブリッシング

  • 技術的問題:既存の方法で解決できる問題。
  • 適応課題:既存の方法で一方的に解決できな複雑で困難な問題。
  • 対話=新しい関係性を構築すること:適応課題を解く方法。
    • 組織とはそもそも関係性。
    • お互いに分かり合えていないことを認めることが対話に不可欠。
    • 権限や立場に関係なく、自分の中に相手を見出し、相手の中に自分を見出し、双方向にお高いを受け入れあっていくこと。
  • 対話を技術的問題として、マネジメント論を駆使しても解決しない。その前提に、自分が良いと考える基準があり、相手を一方的に評価する関係性があるから。
  • 適応課題の4タイプ
    • ギャップ型:価値観と実際の行動のギャップ。ある意味合理的に発生する(ex.男女対等の社会参画、背後に男性中心のナラティブあり)。
    • 対立型:お互いのコミットメントが対立する。営業VS開発など。
    • 抑圧型:言いにくいことを言わない。先行き悪くても撤退できない時など。
    • 回避型:本質的な問題を回避するために逃げたり別の行動にすり替える。対策を打っているという言い訳が典型的。
  • ナラティブ:語り(物語)を生み出す解釈の枠組み。
    • それぞれの立場にナラティブがあり、どれが正しいではない。各自の置かれた環境における一般常識のようなもの。
    • ナラティブアプローチ:どう相手をとらえる私の物語を対話に向けていくかを主軸にしたもの(どう相手に話をするかではない)。
  • 溝に橋をかける4プロセス
    • 準備:相手と自分のナラティブに溝(=適応課題)があることに気づく。自分のナラティブを脇に置く。
    • 観察:相手のナラティブを探る=背後にある課題をよく知る。協力者がいないと観察はうまくできない。
    • 解釈:溝を超えて橋がかけられそうな場所やかけ方を探る=相手にとって意味ある取り組みは何かを考える。相手のナラティブにおいても意味があるようにするにはどうすれば良いかを考えることが解釈。
    • 介入:実際に行動して橋をかける=相手の見えていない問題に取り組み、かゆいところに手が届く存在になる。ナラティブが見えると、介入のリソースは組織内にたくさんある。
  • 批判研究:戦略論とは、戦略を考える人と実行する人という支配関係を気づかないうちに組織内に作り出すための言語的な権力の発生装置だ。←批判だけで現実を変えていない。批判は問題をより良いものに変えるためのもの。それには現実の社会的構成に注目し、現実を作り出す日常の会話に注目し、言葉を変えることで現実を変える。
  • 反対のナラティブに来て、そこから自分のナラティブを見てもらう(営業から法務に来てもらい、チェックの作業をみてもらう)。
  • 中立な人間は存在しない。誰もがそれぞれのナラティブを生きている。自分の偏りを認めないと、相手の偏りを受け入れるのは難しい。
  • 組織の上層ほど、不満や困りごとを分かってもらえる相手がいない。それが外部コンサルタントを利用する要因にもなる。孤立状態を解消するには、上の立場の仕事を共有する。
  • 人が育つとは、その人が関わる仕事において主人公になること。その人のナラティブの中に学んだことが意味あるものとして位置付けられないと、学んだことを使わない。
  • 部下は弱い立場ゆえの正義のナラティブに陥りやすい。上司は道具としてのメンバーの関係性に陥りやすい(実行が重要なフェーズではその関係も重要)。
    • 権力は、関係性を変えるので、対話を妨げる。常にこの問題があることを知り、メンバーと新しい関係性を更新し続けることが必要。
  • 正しい説明という暴力:エビデンスに基づく癌治療。医師と患者のナラティブは異なる。
  • メタファー:理解を作り出す言葉の結びつき。機械、有機体=メンバーは組織を構成する部分であって中心ではないというメタファー。

2020/10/04

鳥飼玖美子(2018)『英語教育の危機』ちくま新書


  • 平泉・渡部論争:実用英語を話せる英語と競技に解釈したことが誤解の源。
    • 平泉は英語教育の効果が上がらないのを、学習意欲の欠如と生活で不便がないことを理由に指摘していた。
  • コミュニケーションを道具と割り切り、数値で測定できると考えている限り、言語力もコミュニケーション能力も伸びない。
  • グローバル人材育成戦略=英語を駆使してグローバルに戦う企業戦士の育成
  • 資質は生まれつきの性質や才能を指すが、文科省は教育基本法に依拠して育成可能と解釈している。
  • CEFRのCan-Doは、評価の尺度として開発された能力記述文だが、日本は到達目標として解釈した。
  • コミュニケーション能力には、言語知識、一貫性を持って話したり書いたりする能力、言語を状況に応じて適切に使える能力、相手の真意を汲み取れる能力が含まれる。
  • 文化(文明)とは、知識、信仰、芸術、道徳、法律、慣習、その他、社会の構成員としての人間によって習得された全ての能力や習慣の複合総体である(エドワード・タイラー)。
  • コンテクストを共有する度合いが高い=ハイコンテクスト=長い歴史文化を共有する国=忖度文化。
  • 多様な人種や民族の国家=ローコンテクスト=言葉を駆使して説明する。
  • コミュニケーション能力の4要素
    • 文法的能力:音声、語彙、構文、文法。
    • 方略的能力:聞き取れなかった際にどう対応するか、言いたいことが言えない時、単語を思いつかない時にどうするか。
    • 談話能力:ひとまとまりのメッセージをどう一貫性と結束性を保って書いたり話したりするか。
    • 社会言語的能力:文化的規範によってどの表現を使うか、目的・場面・状況に応じて規範を知って使う。
  • ベネットの異文化感受性発達モデルの6段階
    • 自文化中心段階
      • 否定:文化に違いがあることに気づかないか無視する。
      • 防御:自文化が優れていると考え、他文化を否定的なスレテオタイプで見る。
      • 最小化:人間は基本的に同じだと考える。
    • 文化相対化段階
      • 容認:価値観の違いを理解し、文化的差異の現実を受け入れる。
      • 適応:意識的に他文化の視点に立ち、自分の行動を変える。
      • 統合:1つではなく複数の文化に属し、多様な文化的視点を持つ。

2020/10/01

加藤洋平(2013)「自治体組織におけるフラット化の課題」『自治体学』27(1),53-58

  • 官僚制=中央から組織全体を自由にコントロールできる ⇔ フラット化=個人に自律を求める=行政責任が変わる(公共性が個人に委ねられる)。
    • フラット化は階層を低くする=昇進を狭める。
  • 日本の行政組織は縦の系列の分業関係が不明確な組織構造=意思決定方式として稟議制が発達。
    • 大部屋主義:曖昧な職務遂行体制のこと。全員が適宜仕事を分担しつつも、お互いが協力し合うことが可能であり、曖昧な職務分担のもとで集団に属して職務を行える。
  • フラット化の検討の視点:意思決定が迅速になったか、個人の自律性が担保されてるかの2点。
  • 佐賀県の事例:意思決定が迅速化したのは定型的業務。非定型業務では遅くなるケースもあり。意思決定過程、職員の職務、決定責任が不明確なままなため、自律性も担保されない。
  • なぜ集団職務体制なのか:戦後改革の際、行政組織に個人の自律性を重んじる職階制が実施されなかったため。職場の風土に適していない制度(職務記述書(Job description)に基づく職務分類(Position classification)によって職務を行うことは我が国の職場の実態 には一般的に妥当しない)。
  • 日本の行政組織は、個々の職員の専門的な能力に依存するよりも、組織全体としての能力を重視しており、曖昧な職務分担のもとで幅広い知識を持った職員が集団的に職務を遂行する体制。
    • 単にフラット化してもうまくいかない。

2020/09/23

両角亜希子(2020)『日本の大学経営』東信堂


  • 経営人材が自律的・協働的に経営を行っていくには、どこに留意し、どんな工夫をすればよいかをまとめた。
  • 大学進学率の地域間格差は大きい(東京=73%、青森・岩手=38%)。格差是正は必要だが、大学の戦略として注目すべき。
  • 推計は将来予測ではなく、どの程度のインパクトがあるかを知り、どのような対策をとるべきかを検討するために行う。予測が正しいかどうか自体は重要ではない。
  • 構成員の課題共有が経営状態の良し悪しに影響を与える。
  • 大学経営改善批判:大学の努力が足りないのか、大学の努力を超えた状況にあるのかを検討すべき。
    • 公立大学は定員充足の目標を設定しない大学が多い。
    • 人件費比率等の経営目標設定は国公立で特に低い。
    • 大学全体の授業開講数の検討は、ほとんどの大学で目標設定をしていない。
    • 本部・部局のたり取りを熱心に行っているのは国立大学。
    • 学部別予算編成・管理は、定員1000人未満で最も実施されている、5000〜10000人で最も実施されていない
  • 日本の企業=過剰計画・過剰分析・過剰法令遵守(オーバープランニング、オーバーアナリシス、オーバーコンプライアンス)が競争力を失わせている。分析・管理は、問題の改善ができることもあるが、やりすぎの弊害も大きい。
  • アメリカの戦略マネジメント研究:組織文化や風土の観点に注目。暗黙的で潜在的な機能を持つ組織文化がマネジメント改革を促進することも阻害することもある重要な資源。
  • 戦略課題について、重要な指標についてはシンプルにわかりやすい数値目標を示すことが有用。
  • 年度計画の実質化、数値目標の設定、中長期計画の策定といったマネジメント改革は、組織内の課題共有度を高めることを通じて、経営改善にプラスの影響あり。ただし、小規模大学では明確な関係なし。
  • どのようなガバナンスのパターンが日本の私立大学においてみられるのか、どのようなタイプの大学でどのようなガバナンスをとっているのかという「類型化」が重要。
    • →学長付帯型、理事長・学長兼任型、経営・教学分離型
  • 小規模大学でも努力しなければ課題共有は進まない、大規模大学でも工夫次第で浸透が進む
  • 大規模大学ほど数値目標を多く使う。各活動の状況把握が難しいため。
  • Keller(1993):各大学の得意分野や個性を明確化することが重要。そのために戦略策定のプロセスを確立することが必要=経営側と教学側の両方がメンバーとなる共同協議会(Joint Big Decision Committiee)を作ることを推奨。
  • 失敗する戦略計画:
    • 戦略計画の内容の充実度に比して、多くの人間が会合、文書作成に時間を使い過ぎている
    • 優先順位や歩み寄りのない各学科による画一的な要求事項の山
    • 明確な目標、責任の割り当て、時間行程管理などがなく、現実的ではないもの
    • 進行中の事業と戦略計画がつながっていないもの
  • アメリカの学長:理事会が承認した方針(財政立て直し、ランキング向上など)を実現できる具体的な政策に落とし込んで実行(人員削減・寄付募集の強化、有名教授招聘、キャンパス整備、授業料・奨学金政策など)
  • 学長の時間の使い方:小規模=企業家、中規模=管理者、大規模=政治的指導者
  • ガバナンスの原則は公共性と自主性
  • これから教員組織を作る=学長付託型、理事長学長兼任型が多い→学部の増設や規模拡大の中で全てに目を配って運営するのが難しくなり、経営・教学分離型へ移行するのではないか。
  • ガバナンス改革は手段ではない:教学改革・入試改革などで一定の成果を上げて学内の信頼感を得たところで、必要なガバナンス改革も実現でき、それによってさらに改革がしやすくなるという時間的順序をたどる大学が多い。
  • 日本の私学法の特徴:自主的な相互規制という概念を導入=私学の集団としての自主性の意義を考え直す時期に来ている。
  • 韓国において、公共性を高めるために、学外者をいれるのではなく、教職員の参加志向を強化したのは非常に興味深い。
  • 学長選考過程において、構成員の意見を聞くプロセスがあることは重要であるが、そもそも学長として誰が望ましいのかについての情報を学内構成員は十分に持ち合わせていない。不適の学長を選んだ責任を負うわけでもなく、最終的な判断が構成員の直接選挙に任されているという状態はリスキーと言わざるを得ない。
    • →補者の発見・育成、選任、評価という一連のシステムの中で検討する必要がある。まず学長の評価をしっかり行うことが重要。
  • 統合では、移籍教員とその処遇問題がセンシティブで難しい。
  • 学生調査の共有、教養教育の合同実施、教職員研修の合同実施、事務の共有化は大学単独で実施するよりも、効率も効果も高くなることが考えられるが、自分の大学内でやろうという自前主義が強いため、連携は期待されるほどは進んでいない。
  • アドミニストレーダーという用語を用いられることが多いが、幅の広い概念であり、この言葉を使う時には注意が必要:経営幹部・管理職=top-leel admin、教員がプロフェッショナル=middle-level admin は特に区別が必要。
  • ミドルアドミニは意思決定に参加しない、この点の誤解が多い。日本の大学職員の方が大学全体の方向性や戦略に対るす意識が高く、様々な場面で影響を与えているのではないか。
  • 小規模大学ほど、学長がもっとリーダーシップを発揮すべきだという意見が多い。
  • 小規模大学ほど、職員の自己啓発を奨励されていない傾向がある。
  • 低偏差値の大学ほど、専門職化の要求が高い。
  • 経営人材として大学職員の役割の重要性が高まっていることには間違いないが、大学職員の一般論として語るのではなく、組織特性や管理運営機構を踏まえた議論が必要。
  • 授業や教育に対しては、年齢による意識の違いはそれほど大きくない。管理運営に対しても、年齢の高い教員ほど政策などに対して批判の目が向くが、若手教員ほど学内の運営に対しての批判が強い。
  • 日本の大学教員はなぜ自営モデルが好き?=自営モデルの居心地のよさ
    • 日本の大学教員の多くが、ほかの大学教育のあり方・モデルに触れる機会が少なく、変化のしにくさに影響を与えている。
    • 日本はほかの国と比べて教育活動でも研究活動でも他者に評価される機会が少ない。
  • 大学の内部組織の作り方にはヨーロッパ的な内部組織である、講座(チェア)とファカルテイと、アメリカ型の内部組織である、デパートメントとカレッジの大きく2つがある(クラーク 1994)。
  • 大学改革推進には、ガバナンスよりマネジメント、マネジメントより人材育成が重要。

2020/09/13

小方直幸・立石慎治・串本剛(2020)「国立大学における組織再編と学士課程教育の再構築」『大学論集』52,19-34

  • 学士課程教育4類型
    • (0)専門学部型:専門・教員→教育
    • (1)学位プログラム:学部[専門・教員←教育・DP]
    • (2) 教教分離型学位プログラム:教員組織[専門・教員]←[教育・DP]
    • (3)非伝統的学部:[[専門・教員]←→[教育・DP]]
  • (3)は理念・理想通りとなりうるか、(2)は望ましい唯一解か?
  • 分析視点:対象学部の教員の専門分野の類似度、調達方法を考察(設置申請の教員名簿から)。教育課程の構造・内容を、コースと教員の専門の対応から、コースがない場合は必修科目の類型化と分布から考察。
  • 教育目標は、既存組織にない分野を重視して決められる。
  • 教員は学内他組織から調達可能なら、広く調達が目指される。それで困難なら新採する。
  • 専門の凝集性が高く、規模があると、コースを設定して学習経路を明示する。
  • 凝集性が低いと、必修の設定、能力の測定で学習経路を可視化する。
  • 非伝統学部=専門に基づく教育課程編成ができない→DPをあらかじめ設定して教育課程編成。
  • →学内他学部、資源で教育課程編成は大きく変わる=類似学部名でも大きく異なる教育課程ができる。

2020/09/12

Blanco, G. and Metcalfe, A. (2020) "Visualizing Quality: University Online Identities as Organizational Performativity in Higher Education," Review of Higher Education, 43(3), 781-809


  • 大学のブランディング・アイデンティティ研究
  • AAU加盟大学62校のウェブサイト、Aboutページを内容分析
  • Rose (2016)のビジュアル分析の4段階:データ収集、脱ビジュアル初期コード、コーディング、分析
  • 大学紹介ページで、ランキングと認証評価状態に言及しているかを確認、その頻度を算出
  • 多様な質に関連するエンブレムを表示
  • AAUメンバーシップの長さによって、表示が異なる点を見出す

2020/09/11

Taylor, J. and Martineau, M. (2020) "Creating IR and Faculty Partnerships Toward the Shared Goal of Student Success," New Directions for Institutional Research, 184, 61-73


  • 学内でデータが使われるための条件:正確な結果が得られること、適切な文脈で使われること。
  • 教員とIRの連携の4モデル
    • 学部配置のアナリスト:学部が給与を折半してIRerを配置
    • フェロープログラム:半年〜1年IR室を教員が兼務
    • 機関評価の研究プロジェクト:IRデータを使う特定テーマに教員主導で取り組む
    • アドホックの研究プロジェクト
  • ただし、これを実現するには人員のやりくりとリーダーシップ、またインセンティブシステムが必要。

2020/09/10

戸田山和久(2020)『教養の書』筑摩書房


  • 古典:独りよがりにならない程度の大きさの集団に対して、国境を超えて、長期に渡って通用する作品ならなんでも古典。当然知ってるよね、こっちも知ってることを前提に進めますよ。
  • 文化が階級と結びついているからと言って、文化なしとか1種類の文化にすると、結果が悲惨になる。文化は多少の悪徳の匂いを伴う。文化は階層と結びつき、上からの軽蔑と下からの反発が動因になって文化は豊かになる。
  • 楽しみと結びついた知識の働きは検索で代替できない。
  • 教養には自分をより大きな価値の尺度に照らして相対化できることが含まれる。自分の持つ価値観や常識を、さらに高次の価値に照らして批判的に吟味することが含まれる。必要なら自分を変えていく心のゆとりを含む(闊達)。
  • 公共圏、私有圏、親密圏は簡単に調和しないし、対立する。教養はこれらの折り合いをつけるスキルが含まれる。3つの世界にまたがってしたたかに生きる=それぞれの圏にふさわしい行動を切り替えて生きていく、一貫するのは窮屈な生き方。
  • 教養の定義:社会の担い手であることを自覚し、公共圏における議論を通じて、未来へ向けて社会を改善し存続させようとする存在であるために必要な素養・能力(市民的器量)であり、己に規矩を課すことによってそうした素養・能力を持つ人格へと自己形成するための過程も意味する。
    • 素養・能力:(1)大きな座標系に位置づけられ、互いに関連づけられた豊かな知識、かつ、既存の知識を絶対視しない健全な懐疑。(2)より大きな価値基準に照らして自己を相対化し、必要があれば自分の意見を変えることを厭わない闊達さ、公共圏と私生活圏のバランスを取る柔軟性。(3)答えの見つからない状態に対する耐性、見通しの聞かない中でも少しでも良い方向に社会を変化させることができると信じ、その方向に向かって(1)と(2)を用いて努力し続けるしたたかな楽天性とコミットメント。
  • Cognitive miser:真理の認識にはコストがかかるので、認知コストを節約して情報処理を効率化する方が合理的(進化的に合理的なので合理的思考が苦手)。
  • 第1種疑似科学=テレパシー、血液型人間学、超心理学(トンデモ系がやる)、第2種疑似科学=科学の誤用=マイナスイオン、健康ビジネス(ペテン師がやる)、第3種疑似科学=複雑なシステムを対象=因果を突き止めるのは容易でないのに一方的に決めつける(科学者自身がやる)。
  • ドイツの教授資格試験に合格した学者は、私講師でスタートし、大学行政の仕事がない代わりに固定給はもらえず、学生からの聴講料で生活する。だから学生の集まる最先端人気授業をしなければならない代わりに、好きなことを自由に教えられる。これはイノベーションを生み出すのに都合がいい。学問の自由のオリジナルな姿は、国にも大学にも、何を教えるか、何を学ぶかに口出しさせない。

2020/09/09

Stupnisky, R., BrckaLorenz, A., Yuhas, B. and Guay, F. (2018) "Faculty members’ motivation for teaching and best practices: Testing a model based on self-determination theory across institution types," Contemporary Educational Psychology, 53, 15-26.


  • 有効な教授法があるのに、なぜ教員は使わないのか?→どのような動機づけがあれば使うのか?
  • Faculty Survey of Student Engagementのデータ14512サンプルを使用
  • 全機関でのSEM
  • 機関タイプ別のSEM

2020/09/08

生方裕一(2020)『自治体PDCAサイクルの有効性に関する研究 : 行政評価と会計情報に着目して』


  • 民間企業における経営手法等を積極的に導入する=戦略,内部管理,外部マネジメントを踏まえた組織経営を行うこと(Allison 1982、外山ほか 2014)。
    • 具体的には、(1)行政組織に対して,政策や担当業務に優先順位をつけ,日々戦略的に業務を行うこと,(2)優先順位に基づく戦略に従い,各々の事業に設定された業績目標の達成に向けて,どのように資源や人材を割り当てるのかを考えること,(3)行政組織の運営を職員だけが行うのではなく,住民も参画させ,職員と住民とが協働で運営する行政組織を目指すこと。
  • 行政評価の実施,評価結果等の行政評価情報や公会計情報の整備に多くの手間とコストが投入されているにも関わらず,これらの情報の有効活用については課題がある。
    • →行政評価を実施することで得られた行政評価情報と会計情報が予算編成に与える効果を検証する。
  • PDCAサイクルを回すためには,Check を行う事で得られた成果情報が Action として Plan に反映される必要がある(松尾 2009)。
  • 松尾(2006)のPDCAサイクル:
    • 実施計画作成・次年度予算編成→予算執行→行政評価→行政評価結果を基に事務事業内容の見直し・予算要求への反映・実施計画のローリング
  • 本研究のPDCAサイクル:
    • 予算編成・実施計画→予算執行→行政評価→行政評価の結果を予算編成に活かす
  • PDCA:品質管理→組織業務管理のマネジメントサイクルに発展。
    • Checkによる成果情報をいかにPlanに反映させるか。

松尾貴巳. 2006. 「地方公共団体における業績評価システムの導入研究―予算編成における行政評価システムの意義とその効果についての実証分析―」『会計検査研究』(33):121-135.
外山公美・平石正美・中村祐司・西村弥・五味太始・古坂正人・石見豊. 2014.「日本の公共経営-新しい行政」北樹出版.
大西淳也・福元渉. 2016. 「PDCA についての論点の整理」『PRI Discussion Series』16A-09.

2020/09/07

桧垣伸次(2011)「批判的人種理論の現在」『同志社法学』63(2),929-982


  • 批判的人種理論:人種と法と権力とのあいだの関係を改変することを目的とした根本的な法学運動。法制度は人種的マイノリティから力を奪うとの信条を持つ、法律の専門集団(特に学問の世界)における改革運動。
  • 主要な目的:マイノリティや他の社会的に従属させられている集団の解放。レイシズムと闘うための様々な方法論を主張。行動主義的な側面があり、理論だけではなく、実践も必要とする。
  • アファーマティヴ・アクションのような一時しのぎのアプローチではなく、根本的な社会経済的な変革をもたらすような包括的なアプローチが必要。
  • 理論的起源:民権運動、批判的法学研究、フェミニズム。
  • リベラリズム批判:既存のリベラリズム法学そのものを批判し、法の客観性、中立性、確定性に疑義を唱え、また、法の構造が、不公正なヒエラルキーをどのように維持あるいは促進させるかを、脱構築の手法を用いて明らかにした。
  • ナラティブの手法:自身の経験や、フィクションなどを論文中に挿入し、それにより、自身の主張を述べるもの。マイノリティの視点、経験を伝える方法論を展開。⇔アプローチは法的ではなく、知的な精密さを欠いており、主観的で、過度に感情的である。マイノリティは問題に近すぎるため、客観的に論じることができないという批判。

2020/09/04

高田正哉(2015)「C・ライト・ミルズの都市社会研究における高等教育への視点」『東京大学大学院教育学研究科基礎教育学研究室紀要』41,125-134

  • ミルズのアメリカ社会批判:過度な専門化による官僚制の拡大、大都市化によるコミュニティの喪失。
    • 高等教育へ批判的スタイルを適用することで、高等教育とアメリカ社会を批判する。
  • 当時の高等教育:有閑階級による独占。
  • ミルズの批判は、教育が経済的なもの中心になったことへの批判(実学転換主張ではない)。
  • ミルズの公衆:私的と公共的という2つの次元を往還して思考できる存在。公衆の対極は大衆(=私的という1次元でしか思考できない)。
  • 大都市=市民が公共的なものから離れている。←アメリカ社会はもともとコミュニティによる参加型民主主義が機能していた。→なくなると政治的なものに触れる機会がなくなる→大衆になる。
  • 高等教育=公衆のコミュニティ(大都市には公衆のコミュニティがない)。←大学は生涯教育の場。
    • 生涯学習は、古典やリテラシーを教えたり、技術の更新ではない。自己の異質性に自覚的であることを促す場であるべき。
    • 公衆のコミュニティで討議を提起するのは非公式リーダー。←それだけで討議できるのか?
    • 生活経験の言語化(知的職人性)によって対話を作ることが必要。

2020/09/02

8 Ways to Improve Your Online Course

オンライン授業を改善する8つの視点

  • 学生と個人的なつながりをつくる
    • 自己紹介をするだけ→アンケートを行い、結果を共有、その時に自分の意見を挿入する
    • 春学期どうだったか、オンライン授業はどうすれば良くなるか、秋学期に何を期待するか、この授業を取った理由は何かなどをきく
  • 学生を動機づける
    • 授業の価値、効用を説明する
  • 学生の集中を支援する
    • オンライン授業失敗の主要因は集中度
    • まず課題の提示から始める、どのような内容か、活動か、期限がいつかを示す
    • 1つの活動時間(投票、ブレイクアウト、質疑応答)を短くする
  • コミュニティ感を醸成する
    • ブレイクアウト でアイスブレイク活動をするなど、学生同士を知り合いにする
    • 授業終了後に残る
  • 意味ある議論をする
    • 目的を明確にする、ブレーンストーミング、相互教え合い、批判、診断・分析
  • 学生の参加度を高める
    • 理解度を確認するための投票活用、アクティブラーニング活動を取り入れる(ケーススタディに取り組む、文書やビデオを要約する)、
  • 公平性を担保する
    • アクセスに難がある学生に配慮する、特に同期授業に参加できない場合の代替学習機会を用意しておく
  • 学習に困難を感じる学生を特定して支援する
    • 出席状況・アクセス状況をモニターする、自己評価できる基準やルーブリックを渡す、用語集や補助教材を渡す


https://www.insidehighered.com/blogs/higher-ed-gamma/8-ways-improve-your-online-course

2020/09/01

6 Models for Blended Synchronous and Asynchronous Online Course Delivery

反転授業の6バリエーション

  • Flipped Classroom:1時間非同期・2時間同期、低学年向け
    • 動画、リーディング、クイズなどで自己学習、同期前に終わらせておく
    • 同期ではより複雑な課題、問題解決、知識構築に取り組む
  • Guided Lab Time:3時間同期(ただし学生は個人/グループで自主学習)、低学年向け
    • 自己学習の間に教員が巡回してアドバイスや相談を受ける
  •  Integrated Lab Time:1時間同期・2時間非同期・1時間同期、高学年・研究指導向け
    • 教える技術や概念を扱う議論やデモで始める、その後技術や概念を学ぶ自己学習に取り組み、その成果を最後に持ち寄って発表とフィードバックを行う
  • Capstone/Independent Learning:2時間非同期(教員支援あり)・1時間同期、高学年向け
    • 教員とのチュータリングセッションのある個人学習に取り組む
  • Project-Based Course:2時間非同期・2時間同期、高学年向け
    • 現実問題の調査に取り組み、その結果を対面で報告する、対面では相互批判を行う、個人学習中に教員は簡単なチェックインをしておく
  • Self-Directed Course:3時間非同期、自己管理できる自立した学生向け
    • 自己学習+非同期掲示板議論




2020/08/31

7 Activities to Build Community and Positive Classroom Culture During Online Learning

オンライン授業のチームビルディング技法

  • Discussion Starters
    • 「あなたの理想の家はどのようなものか?どこにあるといいか?」
    • お互いの考えや考え方を知るための質問
    • 質問を見せて2人1組で4分間ブレイクアウト 、別の質問を見せて別ペアでブレイクアウト 、計3回繰り返す
  • That’s Me!
    • 「猫を飼ってます」「オレオが好きです」「姉がいます」
    • 全員カメラオフでギャラリービュー、質問に対してYesの人はカメラオン、簡単な説明をする
  • Flipgrid Introductions
    • Flipgridは教員が作ったトピックに自撮り動画をポストするサービス
    • 「休みの日におすすめの番組は?」「今後1つのメニューしか食べられないなら何を選ぶ?」「他の人が知らない自分を1つ紹介して」
    • 投稿に対して少なくとも1回は返信を付けることを課しておく
  • Human Bingo
    • お互いの共通点を探すビンゴ(事前に自分を表すビンゴ表を作り、共通相手を探して話しかける)
  • Write and Show
    • 授業の最後に一言書いてみせる
    • 「今の気持ちは?(初回授業終了時)」「この新聞記事の内容の感想は?」「この問題に見出しをつけて」
  • What’s Going On in This Picture?
    • 写真を見せて3つの質問を出す
    • 「何が起こっている?」「そう考えた理由はなに?」「他に特徴を見つけられない?」
    • ブレイクアウト に移行して、口頭かチャットで質問に答える
  • Meditation and Mindfulness
    • 1日中スクリーンの前にいるのは疲れる
    • 4秒で吐く、4秒止める、4秒で吸う、4秒止める 



2020/08/18

チェイト,R.・ライアン,W.・テイラー,B.(2020)『非営利組織のガバナンス』英治出版


  • ガバナンスとは「組織の全体としての方向性、有効性、監督機能、説明責任が果たされるようにするためのシステムやプロセス」である。
  • ガバナンスとリーダーシップは、成功する組織の陰と陽である。ガバナンスなきリーダーシップは、専制、不正、個人の縄張りを生む危険性がある。リーダーシップなきガバナンスは、萎縮、官僚主義、無関心を生む危険性がある。
  • そうしたガバナンスを理解し実践する3つのフレームワーク(受託、戦略、創発)がある。ガバナンスは組織の価値・インパクト向上のためにあるという本質的な意義に立ち返り、ボードが思考し、活動するためのマインドセットを3つに整理した。
  • 効果的なガバナンスとは、状況を振り返り「センスメイキング」(行動のあとに思考して過去の出来事を理解し、新しい意味を見出す力)する能力が理事会にあるかどうかにかかっている。
  • 理事が、受託、戦略、創発の全てのモードで能力を発揮する時、リーダーシップとしてのガバナンスが実現する。
    • 3つのモードは全て同等に重要。
    • タイプ1:ガバナンスの基礎を形成する
    • タイプ2:戦略に関わり、優先順位や方向性を決め、資源を振り分ける。タイプ2なしに、ガバナンスは力も影響力も持たない。
  • 多くの理事が無力なのは、彼らがただ役割について「混乱している」からではなく、自分たちの役割に「満足していない」からで、やりがいが感じられない仕事だから、成果も上がらない。
  • 理事会の公式な仕事の大半は、たまにしか発生しないという事実を念頭に置いている人はほとんどいない。CEOの採用や解雇は常時ないし、ミッションに関する重要な問いも常に持ち上がるわけではない。
    • →これでは退屈なので、多くの組織が必要以上に戦略構築の役割を理事会に持たせ、興味を引く戦略的問いをできるだけ多く議題に盛り込むようになった。
    • →そのうち、理事も職員も「会議開催」と「ガバナンス」を同義だと思い始める。
    • →一方で、決定的に重要なことはほとんど持ち上がらないため、理事は「私は何の役に立っているのか」と疑問を抱くようになる。
    • 公式の仕事には、そもそも満足感を得られないものがある(秩序と監督)。非公式の仕事には、重要だが楽にこなせてしまうものがある(存在自体が運営陣の気を引き締める)。非公式な仕事には、やりがいはあるが周りから歓迎されないものがある(現場の業務に関わる)。
  • 改革のための問い:私たちは何をガバナンスしているのか?(×ガバナンスとは何か?)
  • 社会学者の「メンタルマップ」の研究では、近所の地図をどう描くかに基づいて人々を理解する。
  • リーダーシップとしてのガバナンスは、創発モードで動くことだけに終始するわけではない。現代の組織において非常に重視されている運営者のリーダーシップと同様に、ガバナンスにおいても、各モードを習得するだけではなく、いつどのモードで行動するかの判断も大切になってくる。だから、リーダーシップとしてのガバナンスは複雑な活動であって、規定された任務だけ実践してできるような代物ではない。良い仕事は「機会と能力とのバランス」で決まる(チクセントミハイ)。

  • タイプ1のガバナンスの目的:
    • 資源の流用・浪費・悪用を防止すること
    • 団体のミッション達成のために資源を効果的かつ効率的に配分すること
    • 団体のミッションを守り、目的から気づかぬうちに逸脱したり、目的が承認なしに変更されないようにすること
    • 理事に団体の利益だけを考えて動くよう求めること
  • タイプ1のガバナンスの元になっている組織観(メンタルマップ)
    • 官僚制度とプリンシパル・エージェントモデル
    • 組織は閉鎖的なシステムと見なされ、外部環境からの影響を考えずに自由に目標を設定・追求できると考えらる。(理事会は、普段は問題がないか組織内部に目を向け、外部に目を向けるのは主に財務上の目的があるとき。)
  • 4つの誤った組織観がタイプ1ガバナンスの前提になると、大きい代償を払う。
    • 非営利組織を官僚組織として捉えてしまう
    • CEOをただの代理人として捉えてしまう
    • 理事会は名実ともに所有者だと捉えてしまう
    • 組織を閉鎖的なシステムとして捉えてしまう

  • タイプ2ガバナンスへのメンタルマップの移行:
    • ルール遵守→成果
    • 内から外を見る→外から内を見る
  • タイプ1のやり方でタイプ2の仕事をする
    • 戦略に官僚主義を持ち込む。財務と同じやり方で戦略を扱う→理事会にかけられる計画のほとんどは、重要な事柄が既に考盧され解決された後(代替案やリスクなどは、省略されているか要約されている)。
  • 戦略計画が行動のための青写真というよりも、理想を描いたものにすぎないと感じる6つの問題
    • 現在より未来に注目し、都合の悪い現実に触れない。「教職員が唯一否定できない前提が現状である」。
    • 組織の構造や物事の進め方を具体的にどう変えなければならないかまで明記している計画がない。意思決定と実行との間には一貫したパターンが必要(人員、施策、事業、予算、報奨、設備投資は、計画と一致していなければならない)。
    • 戦略がない(何がその目指す成果を生むのか、何が競争上の優位性を高めるかが精査されていない)。
    • 計画は事前に職員を巻き込んでお膳立てされており、提案が理事会で取り消されたり修正することをCEOが嫌がると思ってしまう。
    • 予想外の出来事で計画が無意味になると、理事は幻滅する。
    • 非営利組織のプロセスは複雑で成果が見通しにくい。
  • タイプ2モードのガバナンス
    • 全体を俯瞰する問いを出す(我々や他の大学の「ビジネスモデル」は、今後20年間有効か?もしそうでないなら、何が変わらなければならないか?その変化を実現するために、我々は優位な立場にあるか?)。
    • 理事会の構造を、戦略的優先事項に合わせる。タスクフォースや臨時の作業グループを活用して、理事が他の関係者とともに、戦略上重要で、期限が決まっており、結果を出さねばならない案件を扱う。


  • 中身がよく分かっていない認知プロセスが先にあって初めて、道徳的コミットメントが生まれ、それをミッション策定プロセスにおいて明文化する。創発的思考の認知プロセスで目標が生まれたあとに戦略が立案され、課題の原因分析が生まれたあとに問題解決プロセスが始まる。
  • 組織は戦略を策定したり問題を解決したりする前に、認知的な生産物である「意味」や「理解」を作り出す。
    • コミュニティポリシングの提唱者も警察の新しい運営管理の提唱者も、同じデータを使ったが、異なる意味づけをし、それが異なる戦略を導いた。
    • センスメイキングは主観的で選択肢が多いからこそ、大きな力を持っており、ガバナンスにおいても強く求められる。
  • →どうやって物事がちがて見えるようになったかが重要。これは3つの段階がある。
    • 手がかりやヒントに気づく:人は一部に注目したり強調することで意味のある判断を下す。
    • フレームの選択と活用:人は職業上使い慣れたフレームを通して物事を見る。フレームは価値観にも基づいている。意識的に異なるフレームを通して状況を見ることで、センスメイキングの選択肢を増やせる。
    • 振り返って考える:組織の過去を振り返って以前は気づかなかった新しいパターンを見つけて、新しい戦略を提案する。
  • ガバナンスとしてのリーダーシップ
    • 「リーダーの最初の責任は、現実を定義することである」「リーダーとは意味を付与する者である」
    • リーダーは、問題を心に残る言葉でフレーミングしたり、感覚に訴える生々しいイメージを使ったり、意味深長なメタフアーを使ったりする。このようなリーダーの振る舞いが、人々の認識を形づくり行動を促す。
    • 優秀なリーダーは、単に自らの創発的洞察力で組織に貢献するだけではなく、周りの人を創発的思考に関わらせる。
    • リーダーの助けを得て組織でフレーミングする適応課題は、「価値観、信念、行動における変化」を伴うので、必ずと言っていいほど意見の対立を引き起こす。

  • タイプ3のメンタルマップを使う:非合理的で創発的な組織には、3つを備えたメンタルマップが必要。
    • 目標は多くの場合、反対されていなくても、暖昧なものである。
    • 未来は不確かである。
    • 意味づけが重要である。
  • 理事と運営陣は、受託的・戦略的・創発的思考が求められる三重らせんに遭遇する。
    • ヴァンダービル卜大学の、全国ランキング上位を目指すための取り組みとして、ユダヤ人学生数を増やすための施策。
    • タイプ1のガバナンス:これは合法か?この対策、教育課程、職員、設備投資にかかる経費はいくらか?
    • タイプ2のガバナンス:この施策はうまくいくか?我々の比較優位と比較劣位はどこにあるか?この市場における主要な競合相手は誰か?他の関係者はどう反応するか?ユダヤ人学生はここで快適にやっていけるか?
    • タイプ3のガバナンス:我々は固定観念の強化に寄与しているのか、多様性を推進しているのか、それともその両方か?これは自己利益のために他者を利用しているのか、それとも双方に利益をもたらすか?大学のこのような「エリート戦略」は、大学のコア・バリューと一貫しているか?我々はなぜ大学の「序列」の上を目指すのか?
  • 組織の境界で活動する(歩き回るマネジメント、Management by wandering around)
    • 私立大学の理事会と学部長の5か年戦略計画の立案
    • 理事と学部長が相手グループの立場で、4つの問いを考える。
      • 理事たちが理事会に加わることに決めた-番の理由は何か?
      • この大学の理事として、最もやりがいがあること・困難なことは何か?
      • 理事会について何か1つ変えられるとしたらそれは何か?
      • あなたがより効果的に仕事をするために理事会には何ができるか?
    • お互いに何を理解して何が分かっていないかを学ぶ。その後、理事と教授の金剛チームで、学生、教授、保護者、卒業生の立場から見た成功する大学教育の鍵を議論する。
    • →より鋭いセンスメイキングができるようになる。
  • ほとんどの理事は、今後3〜5年間の組織の戦略的優先事項を正しく列挙することができる。一方で過去3〜5年間に起きた組織の成功や失敗を説明できる理事はほとんどいない。
    • 過去を振り返り、成功や失敗に問いかけることで、新しい洞察が得られる(大学が奨学金を増やしていないのに、受験者の人数が著しく増加し、質も劇的に向上したのはなぜか?)。
  • 創発的な議論を促すために、あえて会議の基本ルールを中断する。4つの方法で思考を促す。
    • 行動が目標を導くのであり、その逆ではない、という前提に立つ(予算からミッションについて何が明らかになるかを問う、どの候補者が採用委員会に気に入られてそれはなぜかを見る)。
    • 事実に反することや仮説を検討する(もし政府からの助成金が、自分たちで自由に管理できる財産から来ていたらとしたらどうだろう?利益にはなるが我々にふさわしくないことは何か?)。
    • 直観を現実として扱う。
    • 触媒となるような問いを投げかけ、創造性や探求心を引き出す(この団体の特徴を最も良く表す3つの形容詞、あるいはフレーズは何か?、自分で団体のランキングを作れるとしたら、この団体が一位になってほしいと思うのはどういうランキングだろうか?)。

  • 非営利組織は資産を自ら築くのではなく外から獲得してくるのが一般的。
    • 正直で礼儀正しい理事は、それ以上正直で礼儀正しくなることはない。有能な弁護士や銀行家が今以上に著しく有能になることもない。男性や女性、あるいは黒人や白人であることは、時間とともに増すものではない。
  • 理事会資本の4つの形態


  • 組織は前例の多さに安心感を覚える。多くの理事は、潜在能力が発揮されていないと思っているが、理事会や職員がガバナンスに下手に「手出しする」のをためらっている。
    • 古い習慣を壊す新しいやり方を学ぶ必要がある。
    • ガバナンスの各モードにどれくらい時間を使うかを、あらかじめ割り当てないようにする。
    • 特定モード、特に創発モードを非生産的に使いすぎない。
  • ガバナンスの目的を問う
    • タイプ1=コントロールする仕組みとしての理事会
    • タイプ2=方向性を決める理事会
    • タイプ3=意味を形成する理事会
  • 理事会の価値を問う
    • 理事会を必要としない仕事は何か?理事会を必要とする仕事は何か?今の理事会にしかできない仕事は何か?
  • ガバナンスにおける満足感を問う
    • 実際に何に一番時間を使ったか?
    • どの仕事が組織の成功やミッションのために最も重要か?
    • 理事会がやらないか委任すると決めたらなくなって一番寂しい仕事は何か?



2020/08/17

渡部淳(2020)『アクティブラーニングとは何か』岩波新書


  • 民主主義は、思想、制度、手続きと運用の3つの側面からなっている。
  • 総合的な学習のいちばんの特徴は、時間が設定されているものの、内容についての規定がなく、学校が自由に内容をデザインする点。いわば、空っぽの器。
    • ねらいの第1は、自ら課題を見つけ、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
    • 第2は、学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること。
  • 学生は就職活動を経験して、表現力やコミュニケーション力を求められる社会の実際と授業のギャップを実感してアクティブラーニングの導入に賛成する。
  • 調べたことを発表したり自分の意見を発言することは、自分の表現力を高める行為であるだけでなく、周囲の生徒を豊かにすることにつながると考えられている(学びの互恵性)。
    • テストで得点でき、提出物を出せる人が授業で発言しないのは、他者への貢献を嫌う利己的な行為となる。そうでなければ、家庭内で抑圧を受け、そうした状態になっている可能性があると考える。
  • アクティブラーニングが成立するには、生徒が個別にその意義を理解しているだけでなく、教室の中に発表・表現することを励ます雰囲気が醸成されていく必要がある。
  • アクティブラーニングの多様な形態(山地 2014)
    • 活動範囲広・構造自由度高:知識の活用・創造をめざす(プロジェクト学習、創成学習、フィールドワーク、実習
    • 活動範囲広・構造自由度低:表現志向(プレゼン、レポート・ライティング、ディベート)
    • 活動範囲狭・構造自由度高:応用志向(問題基盤学習、シミュレーション、ケースメソッド、ゲーム)
    • 活動範囲狭・構造自由度低:知識の定着・確認をめざす(ミニテスト、クリッカー、演習、実験、調査
  • 教育方法の被規定性:教科書の要点を講義で解説する=知識の伝授を目標としている。
    • 目標・内容・方法・評価の4要件が関連している。
    • 内容と方法は表裏一体の関係にある。
  • なぜ教育ディベートがブームとなったのか。
    1. 90年代の教育現場にとってディベートが目新しく斬新な方法と映った。(おやつにはりんごとみかんのどっちがよいか、夫婦別姓は是か非か)。
    2. 新学力観がコミュニケーション能力を重視していたため、表現志向の活動に対する注目が学校現場で急速に広がっていた。
    3. バブル経済時で国際化の進展につれ、単なる英会話でなくディベート能力を備えた人材が必要という社会的関心と教育界のそれがパラレルな関係にあった。
  • アクティブラーニングのツールとしてのディベートの学校現場での意義:
    1. 討論の素材となる情報を集め、整序して提供するリサーチ能力の育成。
    2. 資料や情報をまとめ、そこから事実に即した有効な論理を組み立てる力(論理的思考力)の育成。肯定否定の両方の立場から複眼的にものを見る、資料批判をする批判的思考力の育成。
    3. 言葉による表現能力の育成。
    4. 演劇的表現力の育成(ロールプレイング)。
    • これらの能力をゲームの形で総合的に追求できる点がディベートのメリット。
    • 実践の頻度を高めようにも十分な時間が確保できない。ディベートをうまく活用するには、教師・生徒がまずゲームのルールに慣れることが先決。フォーマットをなぞるだけで精一杯で、論題を探究的に深めるまでに至らないのが実態。
    • 日本の討論文化がバリアになっている:意見と意見を発する人の人格を分けて考える発想を持ちにくい。人柄と事柄の区別が曖昧。話す内容が論理的かどうかではなく、誰がその意見を言ったかに意識がいく。

2020/08/11

Deaker, L., Stein, S. and Spiller, D. (2016) "You can’t teach me: exploring academic resistance to teaching development," International Journal for Academic Development,


  • 大学教員がFDを嫌がる理由:4タイプに分類できる(Quinn 2012)
    • 教育より研究が重要、研究者は自動的に教育力が高い
    • 学生の質が低い、学生の質向上でFDは不要になる
    • 教育はテクニックである、教育の理論などは不要
    • 教育改善は質保証の学生募集のためである
  • この4つの視点を手掛かりに、学生のよる授業評価に関する教員の考えを聞き取る調査を実施。
    • 2大学2426人に質問紙配付、回収率44%、912の記述コメントと40インタビューを分析。
  • Discipline discourse
    • 「自分を教育者としてどのように見ていますか?」
    • 先行研究よりはこの傾向は強くない
    • アイデンティティ形成がより重要=FDerの仕事が複雑化している
  • Student deficit discourses
    • 「学生は授業の質を判断できると思いますか?」「学生の声を授業改善に使いますか?」
    • 先行研究以上にこの傾向が強い
    • 教員が持つ感情の問題でもあり、FDでアプローチするのは難しい
  • Skills discourses
    • 「学生の評価が気になるので新しい授業方法を試しにくいですか?」
    • 教育をテクニックとしてではなく、背後にある考え方や理論とともに示すことが重要。
  • Performativity discourses
    • 「FDに参加していますか?」「大学の授業評価の活用方針が自分の教育に影響してますか?」
    • 先行研究よりもこの傾向は強くない

2020/08/10

高橋伸夫(2012)「殻 ―(7) センスメーキング―」『赤門マネジメントレビュー』11(3),145-172


  • ワイクのいうセンスメイキングが回顧的=後知恵で過去の経験の意味を考えているということ。
    • センスメイキングの重要な目標:秩序、明快さ、合理性の感覚が得られること。
    • 戦略というフレームワークも後知恵。リーダーや意味を与える者(sense-giver)。
  • 人は事後的に合理性を見出そうとする。
    • 自分の選択がいかに正しいかを確認したい(本命内定後も就活を続けて悪いところを探す)。
  • 会議が必要なのは、選択肢がベストであることを皆で確認する手続きであるから(合理化のプロセス)。
    • 意思決定論の教科書のような複数の選択肢から最善のものを選ぶ意思決定はまれ。

2020/08/09

山田敏之(2010)「組織の倫理学習メカニズム」『創価経営論集』34(1),101-120


  • Crossan et al(1999)のダイナミックモデル
    • 直観:組織学習の起点、あらゆる階層で効果的な学習が生起しないといけない。
    • 解釈:対話を通じて洞察やアイディアを説明するプロセス、これで個人は環境の認知マップを開発する。共有された意味と理解を創造する活動。
    • 統合:共有された理解を開発し、相互調整を通じて調和された行動をとるプロセス。
    • 制度化:繰り返された行動が確実に行えるよう、ルールや手続きにするプロセス。制度化された学習は変革が困難で、学習が不適切になる危険がある。
    • 制度化と直観には緊張関係がある。直観のアイディアを実行するにはルールを打破しないといけない。この緊張関係のマネジメントが、ダイナミックプロセスを有効に機能するためのポイント。

2020/08/08

佐藤秀典(2008)「March の組織学習観と学習の近視眼―近視眼が問題なのか?」『赤門マネジメント・レビュー』7(6),409-418


  • 学習を促進するメカニズム:単純化と専門化
    • 単純化:バッファーを設ける(全体を一度に解決しない)、環境をイナクトする(バッファーで問題が分割可能でない場合)
  • 近視眼が生じるメカニズム
    • 単純化は過去の環境へのイナクトメントが有効でなくなった時に能力が有効でなくなる。
    • 既存の能力を用いる学習の方が、新たな能力開発よりも短い期間でリターンを得られるので、特定領域の学習が一層進む。
    • 特定部分の学習は他の部分の学習を抑制する。
    • 要するに、探索よりも活用が優先されること。
  • 探索より活用が優先されるロジック:
    • 学習の罠=どちらかが過剰になること。
    • 失敗の罠=探索が過剰になる(失敗が新たな探索を生む)、成功の罠=活用が過剰になる(活用が短期の成功を生みさらに探索を重視する)。
    • 活用の方が探索よりも早いフィードバックをもたらすので、より過剰になる。
  • Marchの組織学習:組織内でのルーティンの生態学的な変遷
    • 基礎となる考え方=ルーティンベース、歴史依存、目的志向
    • →組織学習=新たなルーティンの発生・淘汰
    • →探索・活用も発生・淘汰もトレードオフ
    • Marchは、淘汰でルーティンが絞られるプロセスに注目していて、発生には関心が薄い。

2020/08/07

Poyatos-Matas, C. and Allan, C. (2005) "Providing feedback to online students: A new approach," HERDSA 2005


  • グループフィードバックの技法
    • 学生の提出したエッセイを匿名化する。
    • 教員が採点したのち、匿名状態でディスカッションフォーラムに公開し、他の学生のエッセイを吟味する。
    • フィードバックは評価観点ごとにクラス全体にウェブで示し、学生は個人別にフィードバックを受け取らない。
    • ただし、全体フィードバックでは、個別エッセイの事例を引用しながら示す。
      • Essay 1 would have been improved with the inclusion of an introduction and a tighter conclusion. You will notice that people tried different approaches to starting their essay such as using a quote or definition to spark interest (Essay 2, 4); being as brief and direct as possible (Essays, 3,5, 7) or by moving from the general to the specific (Essay 6). Most people opted for a short conclusion. Starting the conclusion with the words ‘In conclusion’ is a very clear way of signposting where you are taking the reader.
  • この方法の長所
    • (1)個人別よりも広いフィードバックを受けられる。
    • (2)比較、省察、応用を促すことができる。
    • (3)できた人もできない人もクラス全体のパフォーマンスから学べる。
    • (4)評価のプロセスが透明になる。
    • (5)他の学生の成果から学ぶことができる。

2020/08/06

Nets, N. and Gruttner, M. (2020) "Does the effect of studying abroad on labour income vary by graduates’ social origin? Evidence from Germany," Higher Education,


  • 実証分析:1年目、5年目、10年目の年収(10年目については上下0.5%をサンプルから除外)を2ヶ月以上留学経験ダミーを説明変数として回帰
  • その他のコントロール変数:

    2020/08/03

    安藤史江(2019)『コアテキスト組織学習』新世社


    • 誰が学ぶのか:
      • 個人:目標共有した個人が組織のために学ぶ+広く伝達・共有する
      • 擬人化された組織:歴史、価値観、技術、アイデンティティ
      • 個人と組織の関係性:社会化プロセス、コミュニケーションパターン、グループダイナミクス、適合圧力(組織は要素分解が逆効果になるシステム)
    • 学習成立の基準:
      • 知識の変化:量が増える、種類が増える、レベルが変わるなど基準が曖昧
      • 行動の変化:知識が増えても行動が変わらないと学習とみなさない
      • 認知の変化:知識や行動で測れない認知変化が必須(女性活躍のアリバイづくりは学習ではない)
      • ルーティンの変化:「情報処理を通じて学習主体の潜在的な行動範囲が変化したとき、その主体は学習した」→行動範囲の変化=存在に関する捉え方、認知する対象の広がり、認知の仕方の入念さ・緻密さ、認知の徹底さに関する変化
    • 研究関心:組織学習プロセスとはどのような現象か、どのような性質を持つのかを詳細に描き出す(秩序と無秩序のような一見相反する要素をマネジメントする中で生まれてくる組織現象:シミュレーション、仮想実験手法、分厚い記述)



    • サイクルで捉える組織学習:(1)サブブロセスに分けて理解する、(2)学習主体が移り変わる形でプロセスを理解する
    • 組織ルーティン変化のパターン:(1)新たなルーティンの単純な追加(他社情報収集)、(2)新たな導入に伴う既存ルーティンの修正(改善、漸進的変化)、(3)既存ルーティンの置き換えとしての新たなルーティン(変革、急進的変化)
    • 共通の組織学習プロセス=安定から不安定への移行の繰り返し(解凍・再形成・凍結)
    • サブブロセスで見る組織学習サイクル:知識の獲得→情報の分配(移転)→情報の解釈→組織の記憶
    • 学習主体からとらえる組織学習サイクル:個人の新年→個人の行為→組織の行為→環境の反応
    • 統合型学習サイクルモデル:パターン3を深い学習サイクル、パターン1・2を浅い学習サイクル
    • 学習主体の移り変わりを描くサイクルモデル:4Iフレームワーク(個人と組織の中間にグループがある)
      • フィードフォワード=パターン3が多く、フィードバックにはパターン1・2が多い
      • 限られた資源をめぐって常に組織内の各所で綱引きが繰り広げられ、その結果として相互作用を持つ代償様々なダイナミックな動きが並存していることを表現した点が貢献
    • 4つの学習の不具合に加えた3つの不具合:状況的な学習(学習をその場限りにしてのちに活用できるようにしない)、断片的な学習(部分的な学習は残るが共有うされない)、機械主義的学習(絶好の機会が来ているのに時間が必要な時、チャンスを逃さないようあえて全体の整合性を考えずに行う)



    • 有能さの罠(学習曲線の限界):より有効性の高い組織ルーティンを探索する動機づけを失う。
    • 適応学習(学習曲線)を促進する2つのアプローチ:単純化と専門化。
    • 適応学習がもたらす3つの近視眼:時間的(長期的利益より短期で成果が出る学習を優先)、場所的(市場の全体最適より自組織の成果を選択)、成功バイアス(成功経験の蓄積からリスク選好型の意思決定をする)。
    • 学習曲線の自浄作用
      • 一次学習:経験の蓄積による生産性の向上
      • 二次学習:組織に混乱や不安定さをもたらし、一時的に負の影響だが、組織が一掃の発展を模索する上で不可欠な学習
        • 2次学習に前向きな組織ほど高い業績を示すことがわかっているが、近視眼の力が大きすぎて自浄作用が働く暇もない。

    • 2種類の組織学習
      • 低次学習:シングルループ、逸脱減少プロセス、一次学習、活用、持続的学習、操作的学習
      • 高次学習:ダブルループ、逸脱増幅プロセス、二次学習、探索、一時的な学習、概念的学習
    • 低次学習の特徴
      • 発生状況:よく理解された状況、繰り返しを通じて発生
      • 進め方:ルーティン、情報処理型、狭い探索範囲、既存のタスクやルールに対する統制
      • 発生する階層:すべてのレベル
      • インパクト:部分的成果、短期的利益、問題解決スキル
    • 高次学習の特徴
      • 発生状況:曖昧な状況、発見や洞察の中から発生
      • 進め方:非ルーティン、情報創造型、広い探索範囲、既存の統制力不足に対処する異なるルールや構造の開発
      • 発生する階層:主に上層部
      • インパクト:組織全体にわたる成果、長期的利益、問題定義スキル
    • 高次学習を実現する条件
      • アンラーニング:高次学習の先行要因(棄却=アンラーニング→置き換え=学習活動→学習成果)
      • なぜ組織アンラーニングが難しいか:(1)個人レベルで難しい(熟練化された無能)、(2)組織・システムレベルで難しい(メンバーは表向きの信奉理論よりも使用理論に支配されており、これがwin-loseゲーム行動やメンツを潰さない協調行動を取らせ、加速度的なエラー発生になる)。
      • →介入が必要:心理的安全を図りながら価値観をほぐし、組織アンラーニングの仕方を学ぶ。
    • 両利きの経営:2種類の組織学習を両立するマネジメント
      • 70年代の両利き:ハード型:効率的な部門と創造的な部門をトップが調整
      • 近年の両利き:ソフト型:メンバー個人の自律性や意思決定に力点をおき、メンバーの動きやすさを支援する

    • ダフト=ワイクの4つの解釈モード
      • 環境が分析不可能・環境に対して組織が受動的:間接的=反応型の組織行動
      • 環境が分析不可能・環境に対して組織が能動的:イナクトメント=試掘者型の行動
      • 環境が分析可能・環境に対して組織が受動的:状況適応的=防御型の組織行動
      • 環境が分析可能・環境に対して組織が能動的:発見=高度な専門知識を用いて精緻な情報収集と分析を行う
    • 解釈モードは自由にマネジメントしにくい
      • 組織イデオロギーと組織アイデンティティが変わりにくいため。いかに利益がでるとしても自分たちらしさに反することは否定する。
      • →ダイバシティで幅と柔軟性を高める。
    • 今後の研究課題
    • トリプルループ学習:支配している価値の前の埋め込まれた前提システム(一組織の境界を超えて存在する組織間・社会システム)を問う。
      • →感情的障害、政治的障害、果たすべき管理統制の3つを克服する必要がある。

    2020/07/20

    山岡徹(2015)『変革とパラドックスの組織論』中央経済社


    • 組織変革:何かを変える取り組みでは共通だが、誰が何の目的で何をどのように変えるかは、前提や土台を持たない概念=曖昧さと多様性。
    • パラドックス:平時に顕在化しない矛盾要素が組織変革プロセスで顕在化しやすい=いかに対処するかが、変革のパフォーマンスを左右する。

    • 組織マネジメントの課題は内部統合と外部適応。
      • 組織変革の対象は内部統合プロセスの変革、外部適応プロセスの変革、内部統合と外部適応のプロセス変革の結合
    • 内部統合のジレンマ:分化と統合のジレンマ
    • 外部適応のジレンマ:過去の経験からの学習による適応と、それがもたらす硬直性(学習する組織は長期的に存続できない)。
    • 見解1:組織変革の難しさは、現状から変化しないことではなく、想定外に変化する組織を思い通りに捉えられない点にある。
    • 見解2:組織変革の難しさは、トップのビジョンが実現できないことではなく、トップのビジョンを否定する必要がある点にある。
    • 見解3:組織変革の難しさは、変革の成果の定着ではなく、定着した過去の変革の成果を棄却しなければならない点にある。
    • 見解4:組織変革の難しさは、ゴールのレベルの高さではなく、明確なゴールが存在しない点にある。

    • 組織の成立の3要素:共通目的、協働意欲、コミュニケーション(動態的な状態としての組織の定義)。
    • 組織変革をとらえる3つの次元
      • 活動内容:メンバーが組織に提供する活動内容を変革する。
      • 活動の束ね方:
        • 束ねる=メンバーの活動を調整・統合すること(構造・プロセス・文化・リーダーシップを通じて)。
          • 構造アプローチ:(垂直的)メンバーの業務範囲や手続きのルール化、達成度に応じた褒賞、(水平的)異なる部門から会議参加、クロスチーム編成。
          • 近接性による調整:複数部門を物理的に近接させてコミュニケーション促進(自動的には生じないが)。
          • マトリックス構造による二重調整:二重の命令系統のクロス
          • 垂直的調整と水平的調整の相互作用
          • 活動の束ね方と時間:水平的は時間がかかかる→垂直と併用する。
          • 活動の束ね方と外部環境:垂直=安定環境、水平=流動環境
          • 垂直的調整と水平的調整の重層性:2つの束ね方のバランス・順序を考慮して交錯させる
        • 活動を束ねる文脈的アプローチ
          • 文化と制度:文化と制度は総合形成プロセスがある。急な人事制度変革は、既存の組織とメンバーの規範と矛盾する場合に信頼関係が壊れる。
          • 技術的要因:情報化は組織で同時に束ねられる情報や活動を拡大する。
        • 束ね方の革新と組織の境界:効率性(内部化・外部化)、パワー(重要な外部要因への対処)、競争力(提携・企業間関係)、アイデンティティ
      • 目的定義:共通目的にはアイデンティティ、経営戦略、制度の側面がある。
        • 共通目的には階層性がある(家電の提供→テレビの提供、エアコンの提供)
        • 目的の体系化:上位目標は曖昧になりやすい→曖昧さを排除=下位組織間の矛盾が顕在化→調整コスト増加→調整コストがメリットを上回る→矛盾をあえて許容する →あえて曖昧に束ねる方が調整コストを削減しながら環境適応能力を高められる可能性がある
    • 共通目的は組織全体で整合させるプロセスと、多様性や矛盾を温存して創発的・適応的に体系化するプロセスという相反するプロセスが存在する。←相互作用を通じて共通目的が維持・形成される動態的プロセスが重要。

    • 変革型リーダーは意味創造の主体 ⇔ 交換型リーダーは経営支援の交換で影響力を獲得するリーダー
      • 一方で、変革型リーダーはフォロワーの主体性を阻害する可能性を持つ
    • 変革と組織学習
      • 合理的分析アプローチはコストが大きく、大まかなプランと現場で実践・学習サイクルを繰り返す方が環境適応能力を高められる。

    • 変革の対象:多岐にわたる=戦略、目標設定プロセス、リーダーシップ、意思決定・問題解決、コミュニケーションパターン、コンフリクト管理、組織学習
      • これらを何をどの順番で変えるかは組織の環境解釈力や文脈で変わる
    • ストレッチ目標の導入でパフォーマンスが改善=スラック資源を豊富に有し、近年の業績が好調な組織
      • ⇔ 目標未達のリスクが大きいストレッチ目標をあえて導入する動機は希薄
      • 生き残りを図るために極端なストレッチ目標を導入する
      • → ストレッチ目標を達成できない組織ほど導入し、達成できる組織ほど導入しない
    • 探索と活用は互いに異質でトレードオフ関係にあるため、同時に高いレベルでバランスさせるのは困難と考えられている。
    • 両利き能力の類型
      • 構造的:二重構造組織=活用・探索それぞれに特化した部門を持つ ⇔ 互いの調整が困難
      • 文脈的:各メンバーが整合性(全体目標に向けて協力する)と適応性(従来と異なるタスク環境に素早く応える)を同時に行動で示せる能力を持つ

    2020/07/14

    Doten‐Snitker, K., Margherio, C., Litzler, E., Ingram, E. and Williams, J. (2020) "Developing a Shared Vision for Change: Moving toward Inclusive Empowerment," Research in Higher Education,


    • 工学系部局で、教員、職員、管理職、学生を巻き込んだ共有ビジョン構築によって変革に取り組んだケーススタディ
    • 部局の変革:役割と責任を変えることを意味する=部局組織と中のメンバーの心理的な関係性(契約)を変えることとして認識される。
      • → 役割期待を変えることは不満足と抵抗を生むが、役職者との信頼関係によって軽減される。つまり変革においては、関係者との信頼関係をどう維持・発展させるかが鍵。
    • 共有ビジョンは高等教育機関の文脈に合った変革のモデル。
    • 共有ビジョンを作るには、変革の過程に民主的な価値を組み込む必要がある。これが関係者の信頼を維持・発展させる。この信頼は、取り組み過程の信念を通じて形成される。ゆえに民主的価値が重要。
    • シェアドガバナンスでは、単に相談相手として参加するのではなく意思決定主体になることが重要。
    • ケーススタディでは、管理職や社会科学者を巻き込むことを条件としたSTEM改革プロジェクトを扱う。
    • 12のフォーカスグループ面接を実施。
    • Abductive analysis:通常のinductiveアプローチのGTAではなく、既存の理論枠組みの上にデータと理論を再帰的に構築するもの。
    • 9のコードを生成:各コードと共有ビジョンとの共起回数をカウント=共有ビジョン、コミュニケーション戦略、教員、学生、外部者の見方、職員、抵抗、報酬、共同作業。
    • これらの結果を、誰がチームに関与したか(誰がステークホルダか)、共通の方向性、コミュニケーション、共同作業の観点からケースを記述。

    2020/07/13

    Kligyte, G. (2021) "The logics of collegial practices: Australian and New Zealand/Aotearoa perspectives," Higher Education, 81(4), 843-864


    • これまで同僚制は無条件に良いものとして扱ってきた
      • →大学教員は多様化している=同僚制自体が重層化している
    • Logics framework:方法論として採用→11類型のロジックを特定
    • 同僚制が議論される4つの場面:ガバナンス構造、文化、行動規範、知的相性
    • ディスコース理論を用いて分析:ディスコースを存在論的なカテゴリーとして扱う=同僚制は日々の学術的な活動から浮かび上がるもの
    • 6大学15人の教職員インタビュー:機関をばらけることで日常活動を固有化せず一般化できる
    • インタビューはGlynos&Howarthの枠組みで整理:社会的活動は4つの軸で整理できる=政治的、倫理的、社会的、イデオロギー的
    • 分析手法:Glynos&Howarthのロジックフレームワーク=実践を機能してさせるルールや文法
    • GTA的なまとめ方で11のロジックを生成:
      • Assimilation:新人が参入する際のような、非公式で自己組織方の特徴
      • Legitimacy:ボードやセネトで行われるコンセンサス指向型の意思決定
      • Fair Go:仕事を公平に分担する意思決定
      • Subversion:表面的に全学方針に沿いながら、実態で自分たちの利益を優先する
      • Diversity:意思決定の際に多様な意見を出して最適な選択肢をとる
      • Innovation:新人を全学の公式活動に巻き込む際に、明確な目標や成果を気にするよりも、将来の卓越性や成果に向けた関係性構築を重視すること
      • Disruption:公式組織の枠を超えて新しい取り組みをつくること
      • Reconfiguration:組織目標実現に取り組む過程で、質や卓越性への貢献として現れる
      • Redistribution:小規模・短期の取り組みをスケールアップする際に、異なる視点を取り入れるために不満等をあげること
      • Emancipation:マイノリティや弱者などの地位向上の取り組みを通して実践される
      • Transformation:共通目的のためのプロジェクトや協働を通して新たな知の生成や関係性をつくること
    • これら11ロジックは、伝統、質、新規性、社会公正の4カテゴリーに分類できる

    2020/07/12

    Harris, N. F. (2020) "Working Together to Lead the College to Bigger and Better Things: Exploring the Relationship Between Academic Deans and Senior Administrative Teams" New Directions for Higher Education, 189, 41-55


    • なぜ学部長の研究は多いのに、学部長が最も協働する幹部職員の研究は少ないのか。
      • →ある大学で年間予算をまとめるケースを通して考察する。
    • 幹部職員と行うことは大きく3つ
      • 共通理解をつくる:予算案のオーサーシップを共に持つ
        • アイディアを生成する:よく聞く、ありえない意見を出し合う、問を投げる
        • コミットメントを高める
        • 成功を祝う
      • 優先順位に関する混乱を作る
      • 協働するために学ぶ
    • Appendixのインタビュー質問リストが優れている。

    2020/06/19

    藤村正司(2020)「高等教育組織存立の分析視角(3) ―自己の規律化―」『大学論集』52,1-17


    • 目的:国立大学が財政自治権を持たない上,設置者負担の規律を欠いた国立大学法人法を適用したことで,財布の紐を握った行政の裁量が強まる悪循環を指摘した研究が少ない。→  制度派経済学(主人・代理人論)の誤用(契約後の政府過小投資で大学がホールドアップ問題に直面)として論証。
    • 国立大学の規律づけ=ディシプリンに根ざした組織原理=外部観察者には無政府状態 → 同僚制モデルから官僚制・市場モデルに転換させる必要あり
    • 脱制度化プロセス
      • 1960代後半:学生紛争→学長中心管理の必要性提言(46答申)→73年筑波大設置
      • 大綱化以降の教養カリキュラム再編:全学教育が学部教育を相対化(←本当?)
      • 99年積算校費廃止:大学全体で配分するトップダウン型
    • 国立大学法人法のポイントは組織原理条文の存在:法人大学分離(国大協は法人大学一体を主張していた)
    • 「不完備な長期契約」による上位者の制御拡大問題:
      • エージェントの動機づけを機会主義と捉えている(=性悪説)
      • 運営費交付金算定基準を定めていない
    • 定量指標による財源再配分=努力不足に対する財務省の制裁⇔監査可能性の拡大ではなく
    • 一方で,ミッションの再定義と言いながら,中期計画は答申の意向に沿った横並び→検証の儀式化,他律的な監査可能性の設定→強制的同型化
    • 運営費交付金等コスト当たりTop10%論文数:低燃費で論文生産性の高い理工系に有利→大学間格差拡大

    2020/04/13

    田村知子・村川雅弘・吉冨芳正・西岡加名惠(2016)『カリキュラムマネジメント・ハンドブック』ぎょうせい


    • 育成すべき資質・能力を整理する視点(論点整理より)
      • 教科等を横断する、認知 的・社会的・情意的な汎用的なスキル(コンピテンシー)等に関わるもの
      • 教科等の本質に関わるもの(その教科等ならではのものの見方・考え方、処理や表現の方法など)
      • 教科等に固有の知識や個別スキルに関わるもの
    • 育成すべき資質・能力を整理する柱
      • 何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)
      • 知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)
      • どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等)
    • カリキュラムマネジメントの定義
      • カリキュラムを主たる手段 として、学校の課題を解決し、教育目標を達成していく営み(田村 2014)
      • 各学校が、学校の教育目標をよりよく達成するために、組織としてカリキュラムを創り、動かし、変えていく、継続的かつ発展的な、課題解決の営み(田村 2011)
    • 学校が教育の目標を達成するよう教育を行うということは、教育課程の編成と実施の過程が重要になる。← 学校の裁量が拡大されてきたから。
      • 教育課程行政においては、学校の教育課程の基準である学習指導要領の大綱化・弾力化が図られ、現場主義や説明責任が強調されてきた。
      • 学校の裁量の拡大と並行して、教育課程に基づいた学校の教育活動の結果とし て教育の目標の達成の状況が問われる=証拠に基づいた検証が強調される。
    • H15:学習指導要領の「基準性」という言葉が用いられ、 学習指導要領に示していない内容を加えて指導できることが明確にされる。
    • カリキュラムの研究的定義:学校教育における児童生徒の経験の総体
    • カリキュラムの概念モデル
      • 「意図したカリキュラム」:国家又は教育制度の段階で決定された算数.数学や理科の内容
      • 「実施したカリキュラム」:教師が解釈して児童生徒に与えられる算数.数学や 理科の内容
      • 「達成したカリキュラム」:学校教育の成果、すなわち、児童生徒が学校 教育の中で獲得した算数・数学や理科の概念、手法、態度
    • 教育課程の研究的定義:学校の教育活動全体の基幹となる計画
      • 学習指導要領での定義:学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画。
    • アクティブラーニングの定義(論点整理):課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び。
      • 授業づくりのポイント3点
        • 習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程が実現できているか
        • 他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを拡げ深める、対話的な学びの過程が実現できているか
        • 子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程の実現ができているか
    • タイラーのカリキュラム編成の4つの問い(工学アプローチ)
      • 学校は、どのような教育目標を達成するよう努めるべきか
      • どのような教育経験を用意すれば、これらの目標は達成できるか
      • これらの教育的経験は、どのようにすれば効果的に組織できるか
      • これらの目標が達成されているかどうかは、どのように判定できるか
    • アトキンのSchool based curriculum development
      • 副次的な効果の問題 に気づかれない
      • 長期的な効果が無視される
      • 測定しにくい目標が無視される
      • 目標 に一時性がある(時代に左右される)
      • → 教室における豊かな学習活動から新たなカリキュラムが開発される重要性
    • 分散型リーダーシップ:ビジョンを 共有した上で、リーダーシップを分散する。
    • 学校文化:学校で長期間共有された意味や価値観、行動パターンなどの束。
      • 文化には質(方向性)、量(どれだけ多くの関係者が共有してい
      • るかの程度)、時間(どれだけ長期間保持されているか)という側面がある。
    • 2つの組織文化:教職員の関係性や働き方+カリキュラム文化
    • カリキュラム文化:共有された教育観、授業観、指導観、生徒観、カリキュラム観。

    2020/04/05

    安藤知子(2010)「学校組織における「教育改革」への意味付与の様相」『上越教育大学研究紀要』29, 1-11


    • 教育改革の成否では、学校内部の主体性確立が重要(当事者の教師の受け止め方=内側からの改革意識を生み出せるか)。
    • 改革:あるシステムの因果的連関を組み替えようとする働きかけ(沼上 2003)。
      • 行為者の枠組みの変容や行為者間に行き渡っている信念の変容も意図に含むと考えるべき。
    • 中学校で事例研究
      • 2003/6~2006/5まで76日参与観察。
      • 教育改革注目校で、教育改革を意識化させるインタビューやアンケートを避け、日常会話の中での言及のされ方や頻度に注意して同席。
      • 校内資料、観察フィールドノート、録音データで分析。
    • 観察結果
      • 第1期:明らかに規律重視、秩序維持最優先の生徒指導。改革進行の実感を持つ機会はなし。校長の推薦授業が職員室で話題にならない。
      • 第2期:教頭異動、1年部が大幅異動=規律重視最優先の暗黙了解がなくなる。新取り組みに抵抗しつつも導入、教員はどう実施するかに焦点化した議論。
      • 第3期:PTA提案の取り組みに抵抗しつつも校長の意向で実施、取組が多数参加で新聞掲載、外部からの注目を実感する契機。
      • 第4期:保護者関連行事が職員室の会話に登場し始める。
    • 考察
      • 第3期に焦点的に関知されていた複数の諸施策が、カテゴリー化され、包括的に意味づけられていく。
    • 施策提供側が夭死した意味の理解や浸透という指標ではうまくいっていない。当事者の主体性を前提とすれば、各学校なりの受け止め方があり、その教養範囲を広く構えることで改革の趣旨は多面的に実現可能。教育改革の評価を求めるなら、長期的視野を持って意味変容・行動変容を辿っていくことが必要。

    2020/04/04

    福畠真治(2015)「企業経営・学校経営研究における理念とその浸透に関する諸研究のレビュー」『東京大学大学院教育学研究科教育行政学論叢』(35), 119-148


    • 組織化の理論:ある考えが組織の中でどのように解釈・再解釈されて形成されていくのか。
      • 定義:意識的な相互連結行動によって多義性を削減するのに妥当と皆が思う文法。→ 相互連結行動(個人同士の相互行為)を最小単位とした行為を中心としたサイクルを繰り返し行うことで、組織が抱える将来の予測における多義性・多様な選択肢を少しずつ削減し、最終的に1つの意思決定・行動に収斂させる過程を指す。
      • 文法=(1)一人ではできないことをさせるレシピ・処方箋、(2)いかに種々の相互連結行動を組み立てるかに関するルールや習慣の体系、(3)変数と因果関係から有意味な構造(因果マップ)を作り上げるためのルール。
    • 組織化・センスメーキングにおいて目的・目標の一致は必ずしも必要ない。
      • 組織の行為はせいぜい目標解釈的。目標はばらばらで未来は不確実で、行為の差異を説明するものとして目標を論じるのは有効でない。目標は実際の活動と不可分に絡み合っており、目標はそれ以前の行為の総括として理解した方が生産的である。
      • → 将来に多義性が残る状態では、1つの目標・目的を設定することは困難、実際の組織活動はまず行動してからその結果に対して、後付けで解釈・意味付与を行うことで、多義性を削減していき、最終的に1つの目標間を形成すると捉える方が自然。
      • 因果マップ:メンバーの経験における因果関係を図示したもの。
        • +→-:逸脱・減衰ループ=システムは安定
        • 符号が同じ:逸脱・増幅ループ=多義性が削減されず収斂しない
        • 因果マップの過程:(1)構成員による多義性の知覚とそれに対処すべきルールの数と相互連会サイクルの数が決定される。(2)ルールとサイクルで多義性が削減されるが、増幅ループの場合は、9つの方法で変える(因果の向きを逆転する、つながりの符号を変える、2つの変数を切断する、関係の方向がなくなることがある、変数そのものをなくす、結合を強める、結合を弱める、発端の変数の影響がバイパスによって相殺される、変数が曲線的に関係している)。
    • ESRモデル:組織化の中心的役割を果たすプロセス
      • 生態学的変化:イナクトしうる環境=意味付与の素材を提供するもの
      • イナクトメント:自然淘汰における変異、変化を隔離し深く注意を払うための囲い込み
      • 淘汰:イナクトされた多義的なディスプレーに多義性を削減しようとしてさまざまな構造をあてがうこと
      • 保持:多義的だったディスプレーをメリハリのある因果の形に要約したもの
      • 組織の至る所で常に多数のESR連鎖が行われ、それらがルースカップリングで結びついている。組織は常に流れの中にある。
      • → そのダイナミクスを捉えるには、最小単位である相互連結行動、それが集合して構築されるESR連鎖をどう観察するかに依存する。
    • センスメーキング理論=組織化理論の発展版
      • 解釈(テクストをどう読むか)とは違う。テクストがどう構築されるかも問題にする(読みだけでなく創作・発見・創造)。
      • 中心となるレシピの要素:(1)これまでの考えや行動を正当化すること、(2)センスメーキングの課程で抽出された情報とそれに合致させるフレームワークを選択すること、(3)ある行為が生まれた後にそれを回顧的にとらえて意味づけしていくこと、(4)現状では理解しきれない状況が発生した時がセンスメーキングのきっかけとなること、(5)正当化され意味づけがなされた事柄を共通理解可能な形で捉え直していくこと、(6)センスメーキングをは全て行為から始まること。
    • センスメーキング理論の7つの特性
      • アイデンティティ構築に根付いたプロセス:主体は、センスメーキングの過程の中で自己の再定義を繰り返し、そのつど他者に対してその自己を提示することで、いずれの自己が適切かを決定しようとする存在。
      • 回顧的プロセス:センスメーキングの目的が多義性の削減にあり、現在の状況を跡づけ的に意味づけ・再解釈することで、行為の選択肢を絞り込む。
      • 有意味な環境をイナクトするプロセス:経験の流れの中に違いが生じた際に行為者が不快有意を払うべく変化を隔離する行為(ESRモデルのイナクトメントと同じ)。
      • 社会的プロセス:一人で行うものではない。常に他者の存在を想定し、その中でプロセスが進行していく。
      • 進行中のプロセス:センスメーキングには始まりがない、人は常に物事の中にある。物事はある時点から過去を振り返って焦点を当てる時に物事になる。ただし、流れのリアリティが最も鮮明になるのは流れが中断される時で、その情動がセンスメーキングに影響を与える。
      • 抽出された手掛かりが焦点となるプロセス:センスメーキング過程で選択・イナクトメントによって手掛かりが抽出・囲い込まれるが、その手掛かりがどのようなものとなるかはコンテクストで決まる。
      • 正確性よりももっともらしさ主導のプロセス:センスメーキングに必要なのは優れた物語、正確性は二次的。もっともらしさ=納得できるか。
    • Weickの考える組織:ルーチンを相互に結びつける集主観性、解釈を相互に強化する間主観性、この2つの形態を行き来する運動を継続的コミュニケーションという手段で結びつける社会構造。
      • ルーチンは完全に自動で行われるのではなく、常に繰り返し達成去れ発展している。達成が繰り返されるとイノベーションや間主観性につながり、繰り返されないとコントロ=ルや集主観性につながる。
      • → 組織の発展にはイノベーション(間主観性)が必要だが、それだけでは不安定になるので、議論・予期・正当化でコントロール(集主観性)することでバランスをとる。 
    • センスメーキング理論におけるフレーム
      • 意味=進行中の経験を何かしら伝えるために会話文へ結びつけられた言葉によって生み出されるもの。
        • 言葉=生み出される発話を制約する、発話を知るために押しつけられるカテゴリーを制約する、このプロセスの結論を保持するラベルを制約する。
        • 一方で、言葉と指すものには常にズレがある。
        • 流れを適度に保ち、カテゴリーが実世界の中に適度にイナクトされれば、センスメーキングは成功する。
    • センスメーキングは3要素からなる:フレーム・手掛かり・連結。
      • フレームの6カテゴリー
        • イデオロギー:手掛かりはイデオロギーで意味が確定され、多義性が削減される。
        • 第三次コントロール(前提コントロール):第一次=直接監督、第二次=プログラムやルーチンのコントロール、第三次=自明視されている過程や定義によるコントロール。初期の影響力は以後のステップを左右するので、この前提は重要。
        • パラダイム:繰り返し元出される標準らしき一連の説明。
        • 行為の理論:個人の認知構造の組織版。環境からの信号をフィルタ・解釈・反応するメタレベルのシステム。
        • 伝統:実践に埋め込まれているノウハウはシンボルとなる時のみ持続し伝達される。
        • 物語:センスメーキングにもっともらしいフレームを提供する。
    • 組織化もセンスメーキングも鍵となるのは、回顧性・行為の先行性
      • 設定した目的・目標を有意味なものにする活動を否定することになるという批判もある。

    2020/04/03

    渡辺伊津子(2018)「管理職の苦境とアンビバレンス : センスメーキングによる問題解決」『駒沢大學經営學部研究紀要』(47), 1-22

    • 組織におけるアンビバレンスの状況とそれに伴う苦悩は、「役割」や「地位・立場」に伴って生じるもので、個人的な問題として扱えない。
    • アンビバレンス=「両面的な感情」を持つことから生まれる心理的葛藤(Ashforth et al 2014)。
      • (1)不安をもたらす(→ 一方の感情を我慢・切り捨て、もう一方の感情を誇張することで身を守ろうとする)、(2)罪悪感をもたらす
    • 教師や医師は特に多くの規範的な期待に囲まれている。
      • 教師の場合:教師の自己概念、教師と子どもの関係、教師と保護者の関係、教師と同僚・教育委員会の関係など。
    • アンビバレンスの従来的対応策=いずれも満足いくものではない・問題の解決にならない
      • 回避:否認、分裂、抑制、逃避、気晴らし、情動の解放
      • 支配:反応の形成、反応の拡充、合理化、正当化
      • 妥協:灰色の妥協、黒であってしかも白であるという妥協
    • 規範的期待の対立や矛盾が無くなるものでないなら、解消を図るより矛盾や対立をどのように活かすか、対立から生じてくる緊張を創造的なものにするにはどうしたらいいかを考えたほうが生産的。
      • 組織における多くの成果は、実のところ、対立や矛盾に伴う緊張関係の中から生まれている。
    • センスメイキングによる解決例
      • 葛藤する規範「患者に対して感情的に接してはならない」「患者には常に深い関心を持っていなければならない」。
      • → 後者を「感情を抜きにした」関心と置き換える。
      • → 矛盾を解消したのではなく、「感情を抜きにした」という、関係を変える新しい意味を自ら作り出す。= センスメーキングによって、規範的期待の矛盾対立を解決する。

    2020/04/02

    Daenekindt, S. and Huisman, J. (2020) Mapping the scattered field of research on higher education: A correlated topic model of 17,000 articles, 1991–2018, Higher Education,


    • トピックモデルにおける前処理
      • 50語以下のアブストは除外:トピックモデルは短文でパフォーマンスが悪い
      • 大文字、句読点、数字、ストップワード(the, and)、頻出語(higher education, results, article → トピック特定に貢献しないため)を除去。
      • スペルの標準化(UK→US)。
      • Porter’s word stemming algorithm:語を基幹化(argue, argued, argues → argu)。
      • 頻出しない語(1%以下)を除去。
    • Rのstmパッケージでcorrelated topic modelを推定。

    2020/03/27

    細谷竜一・神岡太郎(2018)「センスメイキング理論に基づくビッグデータアナリティクス利用効果の実証モデル」『経営情報学会2018年春季全国研究発表大会要旨集』


    • センスメイキング(意味付与):環境の変化を感知し,組織がもともと持っている解釈の枠組みだけでは正しく意味づけできないような新規の,予期されていない,混乱をきたす,または複雑な事象を個々人が理解しながら組織化していくプロセス。
      • 事象を単純な因果関係で説明せず,複雑な事象を人々が俯瞰的に振り返り,組織社会的なコンテキストの中での自分の立ち位置を見出しながらその事象の自らにとっての意味を納得し,次になすべきことを考えるのに役立てる。
      • センスメイキングの1つの結果として,特性7(尤もらしさ)によって生み出される「共同化された主観」がある。
      • メンバーが主観的に事象を見つつも,変化する状況の中でその共同化された主観が刻々とアップデートされながら組織として整合性の取れた振る舞いをもたらす。
    • センスメイキング資源:センスメイキングを行うために組織の中で利用可能な資源。
      • 7つの特性ごとに,その発揮のための組織的な資源がなければならない。
        • 7つの特性=アイデンティティ、振り返り、環境の成立、社会的コンテキスト、進行中、顕著な手掛かり、尤もらしさ。
      • 組織が過去のデータを保持し,その正当な利用をメンバに認めているなら,組織は特性2(振り返り)を促す資源を提供してると捉える。
      • より多くのセンスメイキング資源が利用可能であるほど,より効果的なセンスメイキングが起こりやすい。
    • 組織におけるセンスメイキングの3プロセス:スキャン(データ収集)・解釈(意味付与)・学習(行動)
    • アジリティ:環境の変化に俊敏に対応する組織の能力。
    • ビッグデータ利用→センスメイキング資源増→アジリティ増の仮説が成り立つ(SEMで分析)

    2020/03/26

    佐藤那央(2017)「相互主観的な視座からみたセンスメイキング」『組織学会大会論文集』


    • Weickの組織化論:自然淘汰に準えた動的なプロセス(=組織化)
      • ⇔ 組織を固定的な客体として認知。
    • 組織化プロセス:ESRモデル
      • Enactment:何らかの「変化」に気づいた成員が、それを囲い込み、環境を創造する。
      • Selection:それによって切り取られた事象の多義性を削減していくことで意味が形成される。
      • Retention:それが多義的な事象の説明の一つとして保持されていく。
      • → 組織化=意識的な相互連結行動(interlocked behavior)を使って多義性(equivocality)を削減する際に用いられる総意として妥当性を確認した文法
    • センスメイキングを実践する主体がどのような存在であるか、組織化に関する行為が彼らにとってどのような意味を持つかは議論されていない。
      • 主体と環境が切り離され、外部から規定されたモデル。
      • センスメイキングを通じた組織化は主体が単純に多義性を認識し、その縮減を試みる活動ではなく、組織成員間の相互主観的な事象として扱わなければならない。
      • 主体が多義性を削減するセンスメイキングという行為そのものに意味がある。

    2020/03/25

    広田照幸(2019)『大学論を組み替える』名古屋大学出版会


    • 改革を有害というためには、大学に関する規範論が必要。しかし、大学に関する理想・価値・規範についての考え方が関係者の間で不明瞭になり、改革を批判する論理を構築できていない。
    • 現在の教育改革は、実現すべき究極の目標や価値を含んでいない空虚な改革、シニシズムに満ちた改革。
    • 大学教育にコンピテンス育成を求める企業は、依然として専門的知識の修得を学生の求めているわけではない。以前よりも正課を求めるようになったが、それがコンピテンスである限り、具体的な中身を持つ専門的知識が要求されているわけではない。
    • 達成水準を詳細に定めても、異なる文脈に置かれた学生のアウトカムの比較や同等性を保証することはできない。到達や達成に関する質は直接的には観察できないし測定もできない。課題への学生の反応といったエビデンスで推論するもの。つまり、達成は物理的な変数ではなく、曖昧な境界を観念である。また、量を伴うものとして使われる語は、解釈において伸縮性があり、文脈依存的である。
    • 質保証を論じる人の多くが、価値中立的な技術論と考えているが、質保証が権力や権限の再配分を伴う政治的側面を持ち、それが第一線教員の消極・抵抗に結びついていることを考えるべき。
    • カリキュラムの編成について同僚と議論し、特定の科目の要・不要を決める、授業内容をすりあわせて相互に関連づけた内容にする、修得されるスキルを想定しながら授業方法について意見交換することが、多くの教員にとって自分の専門職的自律性を脅かされる機会と受け止められかねない。
    • カリキュラムを改善するという作業は、それ自体がミクロレベルでの政治的性格を持っている。
    • 教員は、相互に議論しようにも当該分野の全体的な教育像が描けていないことが多く、話し合い自体が困難である。また、割拠性(特定分野の教員が1人しかいない)が、学生にとっての教育を話し合う際の障害として機能する。
    • 教育の質改善で最も重要なのは、第一線教員が自由に意見交換すること、それを通じてカリキュラムや授業の問題点を緩やかに共有すること。→参照基準に目を通して、同僚と自由に意見交換する機会を作る。参照基準と現実の教育の距離について、同僚と考える。
    • 大学は、卒業生の就職だけでなく、国家を越えた多様で複雑な課題や人類社会が直面する課題の解決に資する人間。
    • 大学教育の評価が問題化してきた要因は、大衆化。大学は多すぎるのか、社会からの疑念がある以上、大学に相応しい教育を明確にし、それを提供していることを社会に責任を持つ必要がある。
    • ともかく数字でという姿勢が、教育研究の現実を歪めたり改革努力を形骸化させる。
    • 教育研究が本来的に持つ目標の二重性(高い理想の目標と実践的な目標)を理解せず、目標の達成を直接評価しようとするために形骸化が生じる。
    • 現実の多様性を無視した不適切な形式的要件の要請と制度化が質保証を形骸化する。
    • 評価は、強い統制機能を持っている。大学組織の多元性、教育観の多様性、部局や教員の自律性を無視して、一定方向の改善を外から押しつけることは困難。
    • 2000年以降の大学改革は、(1)できるだけお金をかけず改革するため(財務省意向)、(2)大学間の競争やトップの戦略で改善を図り(経産省意向)、(3)改善のモデルを文科省が示して細かくチェックする(文科省意向)ことで徹底させるもの。教授会自治が滅んで国の大学統制が強化された。
    • 2018年グランドデザイン答申で1箇所だけ大学の自治の重要性が指摘された箇所。
      • 学問の自由および大学の自治とは、大学における学問の研究とその結果の発表および教授が自由かつ民主的に行われることを保証するため、教育研究に関する大学の自主性を尊重する制度と慣行であり、国際的にも高等教育の根幹を支える概念となっている。つまり憲法で保障されている学問の自由は大学と教員・研究者に蓄積された知識に基づいた研究と、その結果の発表と教授の自由であり、大学の自治はこれらの自由を保障するためのものである。教育研究の自由が保障されていることが、新しい知を生み出し、国力の源泉となる根幹を指させていることを再確認しておく必要がある。
    • 大学は目的論的でない反省が制度化された唯一の制度である。何かの目標に従属した知ではなく、心理への関心自体が正当化されている場である(コーワン 2006)。
    • 学問の自由はこれを保障するという条文は、大学で教えられる教育内容にも及ぶ(ポポロ事件判決)。
    • Society5.0の問題:(1)多様な価値の選択をめぐる政治や民主主義が欠落している。市場と政府のみが社会を構成している。(2)人間観が単純すぎる。仕事での有用性を発揮する人間、私生活で快適さや快楽を追求する人間という中身の乏しい人間像。(3)教育観が単純すぎる。経済に有用なもののみが教育の中での価値を与えられている。
    • ロボットが代替することが不可能なのは、人生に意味を見出すこと。

    2020/02/25

    森利枝(2015)「米国の高等教育におけるCompetency-Based Educationの展開に関する考察」『大学研究』41,29-40


    • CBE:ぱらつきのある学修者の能力に応じた「足し算」の教育ではなく、最終的に獲得すべき能力の定義に基づいた「逆算」の教育。
    • 1970:成人の高等教育機会の拡大を支える手法=Prior Learning Assessment。
    • PLA単位化の方法
      • 全国標準化テストの受験(AP、CLEP、DDST、Excelsior Collegeテスト)。
      • 個別大学が提供するテストを受験。
      • アメリカ教育協議会(American Councilon Education:ACE)が提供する企業・軍における教育訓練を単位化するプログラムを利用。
      • 主としてポートフォリオに基づいた個別の審査を受ける。
    • 2000年以降の再注目:
      • (1)説明責任の問題:学習時間よりも獲得した能力を重視(DQPとCBEは齟齬ない)。
      • (2)コスト削減:学費が高騰しすぎた=既に能力があるなら迅速に単位認定。
      • (3)学生の学修のモードの変化:オンライン学習が従来の単位計算になじまない。
    どうやって評価するのかという肝心な部分が分からない。

    2020/02/24

    青木久美子(2017)「「新しい」大学教育 ─ コンピテンシーに基づく教育(CBE)の実践」『日本労働研究雑誌』687,37-45


    • コンピテンシーを適切に客観的に評価するためには,コンピテンシーの定義と,それを可視化したルーブリックが欠かせない。
      • 従来の教育=教える内容・教材の制作に重点
      • CBE=コンピテンシー評価のためのルーブリック・メト リクスの開発にリソースが割かれる
    • 大学のプログラム内でのコンピテ ンシーの習得の評価
      • (1)単位等価の科目ベース(course-based with credit equivalency)←大多数
      • (2)直接評価(direct assessment)←少数
    • 1単位に相当するコンピテンシーユニットを定義→12コンピテンシーで12単位=フルタイム。
      • コンピテンシーユニットは成績が出ない⇔奨学金換算にはGPAが必要→合否のみだが合ならBの成績にする
    • ソフトウェア開発など、大学カリキュラムに取り入れにくい変化の早いものが対象(=ブートキャンププログラム)。産業界からは人気ある。

    2020/02/09

    花田真吾(2016)「国際教育政策の借用メカニズムに関する一考察」『国際教育』22,10-34


    • 教育政策の借用理論(Educational Policy Borrowing)(Phillips & Oches 2003):借用する側の政策決定者が、明確な意思を持って他国から学び、それを自国のコンテキストに適応させることで、自国の教育をより良いものにしていくこと。
      • 類似理論:Policy Learning(Hall 1993)、Lesson Transfer(Rose 1991)
    • 教育政策の借用プロセスを、(1)動機づけ(Cross-Cultural Attraction)、(2)意思決定(Decision)、(3)政策実施(Implementation)、 (4)内在化(Internalisation / Indigenisation)の4つの段階に分類し、各段階における借用メカニズムを分析する。
      • 動機づけを探る:(1)自国の教育の現状に対して不満足がある、(2)教育制度が重大な欠陥を抱えている、(3)第3者機関からの外部評価が悪い、(4)経済環境の変化、(5)政変、(6)経済社会で求められる人材の資質(知識や能力)の変化。
      • 意思決定の分類:理論的意思決定(Theoretical Decision)、現実的意思決定(Realistic/Practical Decision)、緊急措置的意思決定(Quick fix)、まやかし的意思決定(Phoney)。
      • 政策実施:政策実施の手法とその進行過程、 実施に関係するアクターの役割について考察。
      • 内在化:(1)自国の教育制度への影響、(2)借用した政策が自国の教育制度へ適応するまでの観察、(3)3自国の教育政策との調和を踏まえて、借用の効果を考察。

    2020/02/08

    林隆之(2018)「内部質保証システムの概念と要素:先行研究のレビューと「教育の内部質保証に関するガイドライン」の定位」『大学評価・学位研究』19,3-22


    • 内部質保証における質
      1. 非凡さ(Exceptional):議論の余地なく他大学より特別、あるいは、高水準・卓越(Excellence):優秀な入学生・優れた教育環境・優秀な卒業生(プロセスは入らない)
      2. 完全性:プロセスにおける無欠陥
      3. 目的適合性
      4. 投資に見合う価値
      5. 変容(学生への付加価値)
      • 質保証機関は3つめを重視する傾向がある→内部質保証はPDCAサイクルを基本にする傾向がある。
      • 政府等は4つめを重視、5つめこそ重視すべきという主張もある。
      • 結局ステークホルダによって重視する質は異なる→異なる視点を広く考慮せよ。
    • 内部質保証における保証
      • 点検によって目的・水準が達成されていることを確保し、アカウンタビリティと改善に資すること→実際は3つの意味も含まれる。
        • 質向上を含む、質文化の形成を含む、質に関する価値・信念・責務を共有しているという文化的・心理的要素を含む。
    • なぜ外部質保証だけではダメなのか?(Kis 2005)
      • 改善に必要なニーズを把握し、実現手段についての知識が得られる。内的モチベーションを持てる。(外部=説明責任、内部=改善)。
    • 内部質保証が機能する条件
      • 教員自身がオーナーシップを有すること。
      • リーダーシップ、パートナーシップ、コミュニケーションがあること。
      • 教員の自己評価能力が高いこと。

    2020/02/07

    戸村理(2019)「大学組織研究のレビューと展望:関連諸学との対話から」『教育社会学研究』104,125-145


    • 大学組織の複雑性の源泉(Sporn 1996:42):目標の曖昧さ、教員本意の組織体、目標達成の基準設定の不確かさ、教員の自律性と自由への要求、環境に対する脆弱性。
      • → マネジメント(共同作業の統率)が確約されない。
      • → 教員の行動は部分最適となり、葛藤・阻害・抵抗を生む。
    • 大学の管理と運営:管理=設置者の管理権、運営=大学内部における管理(羽田 2005:32)。
      • 経営=運営に含まれる(?)。ガバナンス=定義が広範。
    • 大学組織で生じる問題を安易な葛藤にすべきでない。レベル(層)によって異なる原理や価値を信奉するもの同士の対話と考えるべき(広田 2013)。
      • 国家・政府、社会、市場 ⇔ 機関・基本組織・構成員
    • 大学組織の理念モデル:複雑性・多層性を考察できるクラーク、コーガン・ベッチャー。
      • クラーク:学科→政府・国家までの6レベル垂直構成
      • コーガン・ベッチャー:個人・基本組織・機関・中央権力の軸と、各層に準拠する運営・規範形態の軸の2軸
      • マクネイ:同僚制・官僚制から法人制・企業制への変容
    • 機関レベルの組織:政府による大学管理と、大学内部の管理
      • 前者は、歴史・理念考察と現行のガバナンス法制の考察の2つ
      • 後者は、法人と教学、理事会と教授会の権限の整理
    • 基本組織レベル:講座制の研究
    • 構成員レベル:大学教授職研究・大学職員論
    • 今後の展望:教育経営学と組織社会学(組織論)
      • 組織社会学:環境に対する組織への適応に注目
      • → 大学組織特有の組織慣性が何か、それを発生させる要因やメカニズムを探る研究が必要。

    2020/02/06

    Elliott, C. and Goh, S. (2013) "Does accreditation promote organizational learning? A multiple case study of Canadian university business schools" Journal of Management Development, 32(7), 737-755.


    • 社会的構築主義に基づく組織学習:学習は次のプロセスで進む。
      • 意味の共同生成→行動→新しい知識の生成→制度プロセスの改善→暗黙の仮定の更新。
    • 4大学から、7〜10人に面接、全31サンプル。認証評価時の関係者(学部長、副学部長、認証評価コーディネータ、プログラムディレクター等)、一般教員。
    • 「認証評価は継続的な改善を促進してますか?」の問いにポジティブに回答するか否かで判定(7割以上=4、4割以上=3、2〜3人=2、2+1以上の根拠文書=1)。
      • 分析視点は、(1)OLがみられるか、(2)持続性が不足しているか、(3)OLが内部で牽引されているか、(4)関与が不足しているか。
      • 機関A=4・1・0・1
      • 機関B=0・0・0・0
      • 機関C=2・4・0・0
      • 機関D=2・2・2・2
    • 認証評価はある程度学習を促進するが、シングルループ中心。

    2020/02/05

    Get Your Large Classes Fired Up and Ready to Discuss

    https://www.facultyfocus.com/articles/effective-classroom-management/fired-up-and-ready-to-discuss/

    Smith, W. and Lewis, M. (2011) "Toward A Theory of Paradox: A Dynamic Equilibrium Model of Organizing" Academy of Management Review, 36(2), 381-403.


    • 組織内葛藤の研究:コンティンジェンシーからパラドックスへ
    • 組織内葛藤の論点:学習・成果・所属・組織の4軸での葛藤がある
      • 学習:過去を壊すことと学習を重ねることの葛藤
      • 成果:組織の有効性を巡る多用・競合的な目標の同時追求の葛藤
      • 所属:個人の価値観・役割と集団の価値観・役割の葛藤
      • 組織化:組織内での共同と競争、指示と委譲、管理と柔軟性の葛藤
      • 学習・所属:適応への必要性と変化への要望への葛藤
      • 学習・組織化:明確化・安定化のためのルーチン化と柔軟性と迅速な成果のためのダイナミクスの付与の葛藤
      • 学習・成果:将来の能力形成と現在の成果の保証の間の葛藤
      • 所属・組織化:個人と集団、個人行動と集団行動の間の葛藤
      • 所属・成果:個人が追求したい目標と組織が職業として要求する目標の葛藤
      • 成果・組織化:目的と手段、メンバーと顧客、高いコミットメントと高い成果の間の葛藤
    • 動的均衡論:組織は常に逆方向に適応しながら維持される。
      • リーダーの役割は葛藤を維持し、継続的な改善を進めること。
    • 動的均衡モデル
      • 潜在的な葛藤→(環境変換・メンバーの葛藤認知)→顕在的な葛藤→(安定性を求める認知と行動、保守性と感情的不安、組織的な怠惰)→崩壊
      • 潜在的な葛藤→(環境変換・メンバーの葛藤認知)→顕在的な葛藤→(認知・行動の複雑さ、感情の平穏、組織のダイナミックケイパビリティ)→受容→パラドックスの解決→安定性(=長期成功の源泉となる短期のピークパフォーマンス)

    2020/02/04

    Kezar, A. and Holcombe, E. (2019) "Barriers to organizational learning in a multi-institutional initiative" Higher Education, online first


    • 大学における組織学習は困難。促進には、データ部門に信頼と透明性が必要。
    • 学外主体が組織内の学習を促進する可能性がある。学内者は適切な学外情報を持っていないことが多いため。
      • 例えば認証評価は学習促進の契機になる場合がある。
    • 学習の障害:心理的・認知的障害と組織要員の2つがある。
    • この研究では学外の優れた実践に触れながらも、それから学べない組織の特徴が示される。

    2020/02/03

    Crossan, M., Lane, H. and White, R. (1999) "An Organizational Learning Framework: From Intuition to Institution" Academy of Management Review, 24(3), 522-537


    • 4Iの3段階目、Integrating:共通理解を作る上で、対話と共同行為が重要。それが組織的に調整され、繰り返され、意味あるものになると、組織化へ進む。
    • 4Iの4段階目、Institutionalizing:タスクが定義され、行動が特定化され、特定の行動が行われるよう組織的な制度が導入された状態。
    • Interpriting:個人とグループレベルの架橋が必要。
    • Integrating:グループと組織レベルの架橋が必要。
    • Intuiting:主観的で個人の経験に根ざしている。
    • Interpriting:共通言語、共通イメージを磨き、共有された意味・理解を作る社会的な活動。個人の理解と行動に焦点化。
    • Integrating:一貫性のある集団の講堂に焦点化。ストーリーテリングが重要。ストーリーは実践における複雑さを包含している。教室で教えられる抽象化されたものと違う点。
    • Institutionalizing:制度、構造、戦略、ルーチンに落とし込むことで、メンバーが替わっても行動が維持される。これは不連続な変化なので、急進的で大変革と見なされてしまう。
    • Feed forwardとFeedbackは同時に起こる。当然緊張関係にある。
    • 最も難しいのは、Interpriting→IntegratingのFeed forwadと、Institutionalizing→IntuitingのFeedback。
      • 前者は、既に存在する共通理解を壊すという困難がある。そのためには、共同で何かを行動する経験が必要。認知では既存の共通理解を書き換えることは困難。共同の行動は経験が共有される。
      • 後者は、創造的破壊が必要という困難がある。

    2020/02/02

    Maguire, M. and Delahunt, B. (2017) "Doing a Thematic Analysis: A Practical, Step-by-Step Guide for Learning and Teaching Scholars" All Ireland Journal of Teaching and Learning in Higher Education, 8(3). 3351-33514


    • Thematic analysis:方法論というよりは方法である。
      • 他の方法論が特定の認識論や理論パラダイムに紐付いているのに比べて、柔軟な手法であるため。
    • ありがちなミス=インタビュークエスチョンを主題としてしまうこと。
      • これは単にデータを要約したり整理しただけ。分析ではない。
    • 主題には、意味的と潜在的の2段階がある。
      • 意味的=データに表れた意味
      • 潜在的=背後にある考え、前提、概念を特定したり検証する
    • 分析はトップダウン(特定のテーマに沿って分析)とボトムアップ(データからテーマを析出)の2つがある。
    • 分析は6段階
      • データに馴染む:ノートや第1印象を書き留める。
      • 初期コードの生成:データを小さい意味の塊にする。ある程度意味の塊を見つけてコード化する。
      • 主題を探す:コードを関連づけてより大きな主題にまとめる
      • 主題を検証する:6つの問いで見直す:(1)主題は意味があるか?、(2)主題はデータに根ざしているか、(3)主題に当てはめすぎていないか、(4)重複がある時、本当に分ける必要があるか、(5)副主題はないか、(6)他に主題はないか
      • 主題を定義する:各主題は何に関するものか、主題は何を言おうとしているものか、副主題がある場合、それらはどう主題と関連しているか、主題同士はどう関連しているかを明確にして、図にする。
      • 文章化する

    2020/02/01

    Bree, R. and Gallagher, G. (2016) "Using Microsoft Excel to code and thematically analyse qualitative data: a simple, cost-effective approach" All Ireland Journal of Teaching and Learning in Higher Education, 8(2). 2811-28114


    • 主題分析:データにある主題(パターン)を特定、分析、報告する手法。
    • コーディング:コメントを短冊に切り、主題に沿って並べ替え、適切な見出しをつけること。
      • オープンマインドが重要:常に新しい主題の付け方を歓迎して受け入れる。

    2020/01/31

    Lewis, K. (2012) Constructions of professional identity within UK higher education administration and management


    • 高等教育に経営的発想の要請→内部で新しい仕事の必要性→教員と職員が一緒に働く機会の増加→職員によるプロフェッショナルの定義の揺らぎ(教員万能論の崩壊)→職員の新しいキャリア志向の獲得
      • 特に研究費獲得、学習支援、留学生獲得、海外協定、民間連携交渉、広報、eラーニング、初年次教育の分野で準アカデミック領域が生成
    • アイデンティティには意味が含まれ、そのため形成にはインタラクションが必要となる(Jenkins 2008)
      • アイデンティティは社会的に構築される
      • アイデンティティはプロセスとして理解される(あるいはプロジェクトとして理解される)(Giddens 1991)

    2020/01/30

    「結節点としての2020年」『IDE現代の高等教育』No.617,2020年1月

    合田隆史「2020年結節点としての可能性」
    • 1968:『断絶の時代』(ドラッカー):知識経済への移行と教育革命
    • 1969:『大学の効用』(カー)
    • 1971:「46答申」(中教審):学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策
    • 1972:『成長の限界』(ローマクラブ)
    • 1972:『未来の学習(フォールレポート)』(ユネスコ教育開発国際委員会)
    • 1973:『脱工業社会の到来』(ベル)
    • 1973:『リカレント教育(生涯学習のための戦略)』(OECD)
    • 1973:『エリートからマスへ』(トロウ)
    • 1987:「生涯学習体系への移行」答申:不断の大学改革元年
    • 1989:「新しい学力観」学習指導要領改訂
    • 1992:英国高等教育システム一元化
    • 1994:『現代社会と知の構造』(ギボンズ):知のモード論
    • 1996:『知識基盤経済』(OECD)
    • 1996:「生きる力」提唱答申
    • 1997:『学習社会における高等教育(デアリングレポート)』
    • 1999:ボローニャ宣言
    • 2002:職業教育分野におけるコペンハーゲン・プロセス決議
    • 2003:「キーコンピテンシー(DeCeCo)」(OECD)
    • 2005:『知識社会に向けて』(ユネスコ)
    • 2005:「21世紀型市民育成」答申
    • 2006:『スペリングス報告(連邦教育長官諮問委員会報告書)』
    • 2006:「社会人基礎録」(経産省)
    • 2007:「学力の3要素」学校教育法改正
    • 2008:「学士力」(文科省)

    • Society 5.0:第5期科学技術基本計画(2016-20)で超スマート社会を実現する政策パッケージのこと。

    2020/01/29

    「教育と研究の間」『IDE現代の大学教育』No.615,2019年11月

    阿曽沼明裕「大学の組織と教育・研究機能」

    • 教育と研究の組織的機能分化
      • セクター間分化:大学セクター外に研究機関(マックス・プランク等)
      • 大学間分化:研究大学群と教育大学群
      • 大学内組織分化:学部以外に研究所等
      • 人の分化:教育専任と研究専任の教員
    • もともとカレッジ(学寮)は教育組織=教員組織
    • → 近代的ディシプリンが追加:講座(正教授と支配下の研究所)
    • → 日本は複数教員(教授1・助教授1・助手2)の講座=教育機能・研究機能・教員帰属機能を一体化させた組織
    • アメリカは18世紀の学生数増加でカレッジが拡大し、デパートメントを置く(複数の教授をまとめたもの)→ デパートメントの存在が大学院プログラム運営を可能にした
      • デパートメントは教員組織、研究と大学院教育の場、これを軸に、学位プログラム・研究プロジェクトの間にマトリクスが形成されている。
    • 教員組織を教育組織・研究組織から独立させる利点:
      • 教員組織=ディシプリンベース=硬い組織
      • 教育プログラム・研究プロジェクト=柔軟な組織
      • 教員に安心・安定性を与えながら、変化する教育研究ニーズに対応できる
      • 教育と研究の組織的な機能分化を進めながら、教員レベルで教育と研究を両立させられる
    • マトリクスは有効だが、マネジメントが必要、資源が豊富でないと維持できない、教員はマルチタスクで教育負担を減らす工夫がないと非効率になる

    2020/01/19

    田中正弘(2005)「教育借用の理論」『人間研究』41,29-39


    • 教育借用は、(1)ある国の教育状況の徹底した科学的・学 術的調査、(2)ある国の教育問題の解決方法が最良であるという考えの浸透、(3)ある国との明確な差異を措定することを通して改革の必要性を探求する政治的な試み、(4)自国の認知された欠陥を際立たせる目的で外国の教育例を、意図的であるかないかを問わず、歪曲(誇張)する行為に起因する。
    • 外在化が「適切な改革政策を決定するための『枠組み』として」利用されるなら、その行為の真の目的は、外国の教育制度を自国に正確に再現することではない。
      • 『借用』に関心がなく、方向性を示唆することを目指す。

    2020/01/06

    Braun, V. and Clarke, V. (2006) Using thematic analysis in psychology. Qualitative Research in Psychology, 3(2), 77-101

    • 主題分析の強みは柔軟性
      • 一般に質的分析は2つの流派に分けられる
        • 特定の理論的・認識論的立場に立つもの:(1)限られた枠組みに適応可能なもの(会話分析,解釈的現象学分析),(2)理論的枠組みは広いが分析方法が厳密なもの(グランデッドセオリー,ディスコースアナリシス,ナラティブアナリシス)
        • 理論的・認識論的立場を越えて適用可能なもの:主題分析
      • ただし,その柔軟性が「なんでもあり」と批判の対象にもなる
        • 本稿の目的の1つは,適切な方法論と柔軟性の境界を明示すること
        • 分析者が明確な仮説を持つことがポイント
    • データコーパス:調査で得た全データ → データセット:コーパスから取り出した分析に使うデータ
      • データセットの作り方:(1)データコーパスに含まれる個人から構成,(2)データコーパスに含まれる特定のテーマに関する発話から構成(両者を組み合わせることは可能)
      • データアイテム:個人の発話
      • データ抽出:データのコードの束(データアイテムから抽出されたもの)
    • 主題分析:データ内のパターン(テーマ)をレポートする技法
      • 追試可能性の担保には,プロセスと実践手法が極めて重要
    • 主題:リサーチクエスチョンに関連する重要な,データ内にあるパターンまたはテーマ
    • 主題は,帰納的(ボトムアップ)でも演繹的(トップダウン)でも特定できる。
    • 分析の6段階
      • (1)データに自分自身をなじませる
        • データを何度も読む,アクティブリーディングをする(意味・パターンを見つけながら読む),トランスクリプトを自分で作る
      • (2)初期コードの生成
        • データに何があるか・何が興味深いかの初期リストを作成する
        • 全データを均等に読む
        • トランスクリプトをハイライトしてコーディングする
        • コードはできる限り多くのテーマ・パターンを出す
        • 文脈を損なわずにコーディングする(コーディング批判の的)
      • (3)テーマを探す
        • コードのリストを見て,潜在的なテーマにまとめる
        • 複数のコードからテーマを見出す
        • この作業に,表,マインドマップ,ポストイットを使うのもよい
        • コード間の関係,テーマ間の関係,テーマの階層をまとめる
        • テーマ・サブテーマの候補をまとめたらこの段階は終了
      • (4)テーマを検証する
        • ステップ1:全てのテーマが一貫性のあるパターンを形成していることを確認する
        • そうでなければ,新しいテーマを作る,コードを別テーマに充てる,テーマを削る
        • これで仮のテーママップを得る
        • ステップ2:仮テーママップが,全データを反映していることを確認する
        • この確認は重要だが,エンドレスの再コーディングに注意
      • (5)テーマを定義・命名する
        • 各テーマについて,詳細な分析を記述する。各テーマが語るストーリーに加えて,データを通じて語るストーリー全体の中でどう位置づくか・フィットするかを説明する。
      • (6)レポートを書く
    • 分析はトランスクリプトの表面ではなく,意味のレベルで行われている必要がある
    • よくある5つの失敗
      • 分析をしていない:文字を抜き出すことがコーディングではない
      • インタビューの質問をテーマにする
      • 分析が甘い:テーマに重複がある,内的な一貫性がない
      • データと結論が整合しない
      • 理論と分析が整合しない
    • 優れた分析のためのチェックリスト

    2020/01/05

    保城広至(2017)「社会科学と歴史学の統合の可能性」『組織科学』51(2),4-13


    • 社会科学は過去を扱う学問である:歴史学から学べることは多い。
    • 社会科学と歴史学の違い
      • 社会科学:社会現象に何らかの類似したパターンを見出す法則定立的学問(nomothetic)。因果関係を解明することが説明。演繹中心。
      • 歴史学:特殊かつ1回限りの現象に注目して緻密な分析を行う個性記述的学問(idiographic)。ある現象が何であるか,通説と異なる新事実を明らかにすることも説明。帰納中心。
    • 厳密な演繹・帰納は分けられない:データや資料の解釈に主観が避けられないため。
    • アブダクション:批判に十分耐えられる説得的で実証的な仮説ができるまで,資料と作業仮説の間を往復すること。

    2020/01/04

    黄雅雯(2013)「EMS企業における活用と探索の検討 : 鴻海社の事例」『早稲田商学』437,171-208


    • Gupta(2006)の拡張
      • 探索と活用を実務的にどう定義するか,範囲を限定するか,両概念は対立的か直交的か,組織の環境適応は双面型メカニズムと断続的均衡メカニズムのどちらかによってより促進されるか,組織は継続的な成長を実現するために必ず両者のバランスを取るべきなのか,を整理。
      • 分析対象が個人・チーム・組織かによって両概念の意味・範囲が異なる。
        • ex:両活動が必要となる資源が不足であればあるほど,両活動のトレードオフ関係が深まる。単一ドメインにおける両活動は対立的関係になりがちだが,複数のドメイン間の両活動は直交的であり,同時に存在することが可能。
      • 双面型組織:同じ組織内で漸進的な変化と革新的な変化を同時に使いこなす組織。→ 2つの顔を持つ組織が必要。→ 大きい規模で集権的かつ強い文化と直結するプロセスという部門,革新的変化の活動を担当するための小さい規模で分権的かつ弱い文化と直結する独立した別の部門から構成。
      • 断続的均衡メカニズム:双面型メカニズムの代替案=経営者が活用と探索という両者の活動を時間を介して相互に起こすことにより,両者活動間のパラドックスを解消しようとする調整メカニズム。
    • Lavie et al(2010)の拡張
      • 探索と活用の両立を可能にする組織の特徴
        • 組織文脈的双面性,組織構造的分離性,時間的分離性,事業的分離性。
        • 共有ビジョン・一体アイデンティティによるストレッチ・支援・規律・信頼→組織文脈的双面性を醸成。
    • 活用と探索に関する既存研究=定量分析が大半,両者の活動を両立する実態を解明しようとするプロセス分析がなされていない。
    • 単独事例研究
      • 研究開発が顕著,特許多数 → 急激な成長(売上増)はそれ以前の研究開発に起因するという仮説。
      • アニュアルレポート,書籍・雑誌・新聞,DBで分析。
    • ボトルネック(金型技術)に惜しみなく資金を投入。
    • 事業展開を探索した際に,分離型の組織構造を採用。
    • 事業展開の探索と特許出願を同期化。中央法務部が定型業務+研究開発の方向やM&A先の選定などの経営諸機能も果たした。
    • 共通利用可能な未利用資源を絶えず創造し,事業展開の探索を促進。

    2020/01/03

    高橋真吾(2016)「組織システムのモデル化と組織学習の分析」『計測と制御』55(1),22-28


    • 現代の組織論:組織はオープンシステムとして定義される
      • (1)社会的な存在,(2)目標によって駆動,(3)意図的に構成され,調整される活動システム,(4)外部の環境と結びついている(Barnard)。
    • 組織シミュレーション研究:組織設計と組織学習に焦点化。
      • 組織のモデルの解像度の低い順に,Abstract Model, Middle Range Model, Facsimile Model。
      • Abstract:複雑な社会現象の原理的な理解を目指し,システムの性質を支配するシステム構造を少数 のパラメータで記述するシンプルなモデル。ただし難しい。→ モデル化したい状況の要因を入れる → Middle Range。
      • Middle Range:どこにモデル化の焦点を当てるかや,本質的に着目すべき 要因の影響を調べるのに適する。最もアプローチしやすい。
      • Facsimile:特定の現場状況での具体的な特性をモデル化。最も解像度の細かいモデル。
    • 組織システムの成長・失敗は意思決定の結果=組織モデルと意思決定モデルは連関している。
      • 複雑システムモデル:
        • Rational unitary actor model:一人の合理的個人による決定により組織の意思決定が行なわれているとして組織意思決定を扱う。
        • Organizational model:サイバネティックなアプローチから組織システムをモデル化するときの基本。複数の意思決定主体の意思決定結果の統合により組織目標を達成することが主題。
        • Political model:個人やセクタの目標が組織目標に取っ て代わる状況を扱う。組織メンバー間あるいはセクタ間 のコンフリクトや権力構造の存在を認める。
        • Contextual view:ゴミ箱モデル。予測不可能な環境複雑性を前提として,個人の 意思決定が優先した組織行動を扱う。
        • Evolutionary model:組織の環境適応や学習に主眼が ある。個々の組織メンバーの自律的意思決定行動と組織 全体の行動との関係を進化的方法によりモデル化する。
      • マネジメントサイエンスアプローチ
        • 合理的意思決定モデル:意思決定者 に完全な計算・推論・情報収集能力が備わっていることを 仮定。
      • カーネギーモデル:必ずしも期待 効用が最大となる最適な選択が行われるのではなく,満 足化による決定が行われることを組織意思決定の基準と して提示。
      • ゴミ箱モデル
      • サイバネティックモデル:オープンな社会-技術システムであり,階層的な構造をもっ ている.また構造安定性の志向をフィードバック機構に より実現し,環境に対して適応的で成長志向をもってい る。
      • 計算組織論:組織を主に,適応(adapt),学習(learn),応答(react, respond),進化(evolve)の特徴でとらえる。
    • 組織学習のモデル化:ダブルループのモデル化が困難


    2020/01/02

    鈴木修(2012)「「探索」と「活用」のバランスの実現に関する考察」『組織科学』45(4),66-81


    • 「探索」と「活用」のバランスの維持は組織の長期的な適応に重要な役割を果たす一方,どちらか片方に専心しないと組織学習が進まない(Levinthal and March 1993)。
      • March(1991)は,適応過程としての組織学習を「探索」と「活用」との間の資源配分過程と捉えた。
    • 先行研究では,組織学習の焦点が新しい知識や技術の追求なのか,既存の知識・技術の再利用なのか,に着目して,「探索」と「活用」の操作化が試みられてきた。
      • 組織の長期的な適応には両者の適度なバランスが必要である(March)。
    • 組織学習は,環境要因や組織学習活動等の相互作用の克服を目的とした2つの機構によって促進される。
      • 分解(decomposition)やイナクトメントから構成される経験の簡素化(simplification)と,適応反応類型の特化(specialization)・代替(substitution)の2つ。
      • → これらは,組織学習を容易にすると同時に,3つの視野の狭窄を併発する。
      • → 短期集中(overlooking of distant times),第二に全体観の喪失(overlooking of distant places),第三に失敗経験の軽視(overlooking of failures)。
      • → この結果,「探索」と「活用」とのバランスが乱れ,組織の学習態様は「探索」,「活用」のどちらか一方に偏る。
    • 従来の研究:「探索」に役立つ組織能力をより濃厚に有する組織と,「活用」に役立つ組織能力を濃厚に有する組織とが存在する。→ バランスを維持する組織を考察する必要性あり。