2020/08/03

安藤史江(2019)『コアテキスト組織学習』新世社


  • 誰が学ぶのか:
    • 個人:目標共有した個人が組織のために学ぶ+広く伝達・共有する
    • 擬人化された組織:歴史、価値観、技術、アイデンティティ
    • 個人と組織の関係性:社会化プロセス、コミュニケーションパターン、グループダイナミクス、適合圧力(組織は要素分解が逆効果になるシステム)
  • 学習成立の基準:
    • 知識の変化:量が増える、種類が増える、レベルが変わるなど基準が曖昧
    • 行動の変化:知識が増えても行動が変わらないと学習とみなさない
    • 認知の変化:知識や行動で測れない認知変化が必須(女性活躍のアリバイづくりは学習ではない)
    • ルーティンの変化:「情報処理を通じて学習主体の潜在的な行動範囲が変化したとき、その主体は学習した」→行動範囲の変化=存在に関する捉え方、認知する対象の広がり、認知の仕方の入念さ・緻密さ、認知の徹底さに関する変化
  • 研究関心:組織学習プロセスとはどのような現象か、どのような性質を持つのかを詳細に描き出す(秩序と無秩序のような一見相反する要素をマネジメントする中で生まれてくる組織現象:シミュレーション、仮想実験手法、分厚い記述)



  • サイクルで捉える組織学習:(1)サブブロセスに分けて理解する、(2)学習主体が移り変わる形でプロセスを理解する
  • 組織ルーティン変化のパターン:(1)新たなルーティンの単純な追加(他社情報収集)、(2)新たな導入に伴う既存ルーティンの修正(改善、漸進的変化)、(3)既存ルーティンの置き換えとしての新たなルーティン(変革、急進的変化)
  • 共通の組織学習プロセス=安定から不安定への移行の繰り返し(解凍・再形成・凍結)
  • サブブロセスで見る組織学習サイクル:知識の獲得→情報の分配(移転)→情報の解釈→組織の記憶
  • 学習主体からとらえる組織学習サイクル:個人の新年→個人の行為→組織の行為→環境の反応
  • 統合型学習サイクルモデル:パターン3を深い学習サイクル、パターン1・2を浅い学習サイクル
  • 学習主体の移り変わりを描くサイクルモデル:4Iフレームワーク(個人と組織の中間にグループがある)
    • フィードフォワード=パターン3が多く、フィードバックにはパターン1・2が多い
    • 限られた資源をめぐって常に組織内の各所で綱引きが繰り広げられ、その結果として相互作用を持つ代償様々なダイナミックな動きが並存していることを表現した点が貢献
  • 4つの学習の不具合に加えた3つの不具合:状況的な学習(学習をその場限りにしてのちに活用できるようにしない)、断片的な学習(部分的な学習は残るが共有うされない)、機械主義的学習(絶好の機会が来ているのに時間が必要な時、チャンスを逃さないようあえて全体の整合性を考えずに行う)



  • 有能さの罠(学習曲線の限界):より有効性の高い組織ルーティンを探索する動機づけを失う。
  • 適応学習(学習曲線)を促進する2つのアプローチ:単純化と専門化。
  • 適応学習がもたらす3つの近視眼:時間的(長期的利益より短期で成果が出る学習を優先)、場所的(市場の全体最適より自組織の成果を選択)、成功バイアス(成功経験の蓄積からリスク選好型の意思決定をする)。
  • 学習曲線の自浄作用
    • 一次学習:経験の蓄積による生産性の向上
    • 二次学習:組織に混乱や不安定さをもたらし、一時的に負の影響だが、組織が一掃の発展を模索する上で不可欠な学習
      • 2次学習に前向きな組織ほど高い業績を示すことがわかっているが、近視眼の力が大きすぎて自浄作用が働く暇もない。

  • 2種類の組織学習
    • 低次学習:シングルループ、逸脱減少プロセス、一次学習、活用、持続的学習、操作的学習
    • 高次学習:ダブルループ、逸脱増幅プロセス、二次学習、探索、一時的な学習、概念的学習
  • 低次学習の特徴
    • 発生状況:よく理解された状況、繰り返しを通じて発生
    • 進め方:ルーティン、情報処理型、狭い探索範囲、既存のタスクやルールに対する統制
    • 発生する階層:すべてのレベル
    • インパクト:部分的成果、短期的利益、問題解決スキル
  • 高次学習の特徴
    • 発生状況:曖昧な状況、発見や洞察の中から発生
    • 進め方:非ルーティン、情報創造型、広い探索範囲、既存の統制力不足に対処する異なるルールや構造の開発
    • 発生する階層:主に上層部
    • インパクト:組織全体にわたる成果、長期的利益、問題定義スキル
  • 高次学習を実現する条件
    • アンラーニング:高次学習の先行要因(棄却=アンラーニング→置き換え=学習活動→学習成果)
    • なぜ組織アンラーニングが難しいか:(1)個人レベルで難しい(熟練化された無能)、(2)組織・システムレベルで難しい(メンバーは表向きの信奉理論よりも使用理論に支配されており、これがwin-loseゲーム行動やメンツを潰さない協調行動を取らせ、加速度的なエラー発生になる)。
    • →介入が必要:心理的安全を図りながら価値観をほぐし、組織アンラーニングの仕方を学ぶ。
  • 両利きの経営:2種類の組織学習を両立するマネジメント
    • 70年代の両利き:ハード型:効率的な部門と創造的な部門をトップが調整
    • 近年の両利き:ソフト型:メンバー個人の自律性や意思決定に力点をおき、メンバーの動きやすさを支援する

  • ダフト=ワイクの4つの解釈モード
    • 環境が分析不可能・環境に対して組織が受動的:間接的=反応型の組織行動
    • 環境が分析不可能・環境に対して組織が能動的:イナクトメント=試掘者型の行動
    • 環境が分析可能・環境に対して組織が受動的:状況適応的=防御型の組織行動
    • 環境が分析可能・環境に対して組織が能動的:発見=高度な専門知識を用いて精緻な情報収集と分析を行う
  • 解釈モードは自由にマネジメントしにくい
    • 組織イデオロギーと組織アイデンティティが変わりにくいため。いかに利益がでるとしても自分たちらしさに反することは否定する。
    • →ダイバシティで幅と柔軟性を高める。
  • 今後の研究課題
  • トリプルループ学習:支配している価値の前の埋め込まれた前提システム(一組織の境界を超えて存在する組織間・社会システム)を問う。
    • →感情的障害、政治的障害、果たすべき管理統制の3つを克服する必要がある。