2020/07/20

山岡徹(2015)『変革とパラドックスの組織論』中央経済社


  • 組織変革:何かを変える取り組みでは共通だが、誰が何の目的で何をどのように変えるかは、前提や土台を持たない概念=曖昧さと多様性。
  • パラドックス:平時に顕在化しない矛盾要素が組織変革プロセスで顕在化しやすい=いかに対処するかが、変革のパフォーマンスを左右する。

  • 組織マネジメントの課題は内部統合と外部適応。
    • 組織変革の対象は内部統合プロセスの変革、外部適応プロセスの変革、内部統合と外部適応のプロセス変革の結合
  • 内部統合のジレンマ:分化と統合のジレンマ
  • 外部適応のジレンマ:過去の経験からの学習による適応と、それがもたらす硬直性(学習する組織は長期的に存続できない)。
  • 見解1:組織変革の難しさは、現状から変化しないことではなく、想定外に変化する組織を思い通りに捉えられない点にある。
  • 見解2:組織変革の難しさは、トップのビジョンが実現できないことではなく、トップのビジョンを否定する必要がある点にある。
  • 見解3:組織変革の難しさは、変革の成果の定着ではなく、定着した過去の変革の成果を棄却しなければならない点にある。
  • 見解4:組織変革の難しさは、ゴールのレベルの高さではなく、明確なゴールが存在しない点にある。

  • 組織の成立の3要素:共通目的、協働意欲、コミュニケーション(動態的な状態としての組織の定義)。
  • 組織変革をとらえる3つの次元
    • 活動内容:メンバーが組織に提供する活動内容を変革する。
    • 活動の束ね方:
      • 束ねる=メンバーの活動を調整・統合すること(構造・プロセス・文化・リーダーシップを通じて)。
        • 構造アプローチ:(垂直的)メンバーの業務範囲や手続きのルール化、達成度に応じた褒賞、(水平的)異なる部門から会議参加、クロスチーム編成。
        • 近接性による調整:複数部門を物理的に近接させてコミュニケーション促進(自動的には生じないが)。
        • マトリックス構造による二重調整:二重の命令系統のクロス
        • 垂直的調整と水平的調整の相互作用
        • 活動の束ね方と時間:水平的は時間がかかかる→垂直と併用する。
        • 活動の束ね方と外部環境:垂直=安定環境、水平=流動環境
        • 垂直的調整と水平的調整の重層性:2つの束ね方のバランス・順序を考慮して交錯させる
      • 活動を束ねる文脈的アプローチ
        • 文化と制度:文化と制度は総合形成プロセスがある。急な人事制度変革は、既存の組織とメンバーの規範と矛盾する場合に信頼関係が壊れる。
        • 技術的要因:情報化は組織で同時に束ねられる情報や活動を拡大する。
      • 束ね方の革新と組織の境界:効率性(内部化・外部化)、パワー(重要な外部要因への対処)、競争力(提携・企業間関係)、アイデンティティ
    • 目的定義:共通目的にはアイデンティティ、経営戦略、制度の側面がある。
      • 共通目的には階層性がある(家電の提供→テレビの提供、エアコンの提供)
      • 目的の体系化:上位目標は曖昧になりやすい→曖昧さを排除=下位組織間の矛盾が顕在化→調整コスト増加→調整コストがメリットを上回る→矛盾をあえて許容する →あえて曖昧に束ねる方が調整コストを削減しながら環境適応能力を高められる可能性がある
  • 共通目的は組織全体で整合させるプロセスと、多様性や矛盾を温存して創発的・適応的に体系化するプロセスという相反するプロセスが存在する。←相互作用を通じて共通目的が維持・形成される動態的プロセスが重要。

  • 変革型リーダーは意味創造の主体 ⇔ 交換型リーダーは経営支援の交換で影響力を獲得するリーダー
    • 一方で、変革型リーダーはフォロワーの主体性を阻害する可能性を持つ
  • 変革と組織学習
    • 合理的分析アプローチはコストが大きく、大まかなプランと現場で実践・学習サイクルを繰り返す方が環境適応能力を高められる。

  • 変革の対象:多岐にわたる=戦略、目標設定プロセス、リーダーシップ、意思決定・問題解決、コミュニケーションパターン、コンフリクト管理、組織学習
    • これらを何をどの順番で変えるかは組織の環境解釈力や文脈で変わる
  • ストレッチ目標の導入でパフォーマンスが改善=スラック資源を豊富に有し、近年の業績が好調な組織
    • ⇔ 目標未達のリスクが大きいストレッチ目標をあえて導入する動機は希薄
    • 生き残りを図るために極端なストレッチ目標を導入する
    • → ストレッチ目標を達成できない組織ほど導入し、達成できる組織ほど導入しない
  • 探索と活用は互いに異質でトレードオフ関係にあるため、同時に高いレベルでバランスさせるのは困難と考えられている。
  • 両利き能力の類型
    • 構造的:二重構造組織=活用・探索それぞれに特化した部門を持つ ⇔ 互いの調整が困難
    • 文脈的:各メンバーが整合性(全体目標に向けて協力する)と適応性(従来と異なるタスク環境に素早く応える)を同時に行動で示せる能力を持つ