2020/01/04

黄雅雯(2013)「EMS企業における活用と探索の検討 : 鴻海社の事例」『早稲田商学』437,171-208


  • Gupta(2006)の拡張
    • 探索と活用を実務的にどう定義するか,範囲を限定するか,両概念は対立的か直交的か,組織の環境適応は双面型メカニズムと断続的均衡メカニズムのどちらかによってより促進されるか,組織は継続的な成長を実現するために必ず両者のバランスを取るべきなのか,を整理。
    • 分析対象が個人・チーム・組織かによって両概念の意味・範囲が異なる。
      • ex:両活動が必要となる資源が不足であればあるほど,両活動のトレードオフ関係が深まる。単一ドメインにおける両活動は対立的関係になりがちだが,複数のドメイン間の両活動は直交的であり,同時に存在することが可能。
    • 双面型組織:同じ組織内で漸進的な変化と革新的な変化を同時に使いこなす組織。→ 2つの顔を持つ組織が必要。→ 大きい規模で集権的かつ強い文化と直結するプロセスという部門,革新的変化の活動を担当するための小さい規模で分権的かつ弱い文化と直結する独立した別の部門から構成。
    • 断続的均衡メカニズム:双面型メカニズムの代替案=経営者が活用と探索という両者の活動を時間を介して相互に起こすことにより,両者活動間のパラドックスを解消しようとする調整メカニズム。
  • Lavie et al(2010)の拡張
    • 探索と活用の両立を可能にする組織の特徴
      • 組織文脈的双面性,組織構造的分離性,時間的分離性,事業的分離性。
      • 共有ビジョン・一体アイデンティティによるストレッチ・支援・規律・信頼→組織文脈的双面性を醸成。
  • 活用と探索に関する既存研究=定量分析が大半,両者の活動を両立する実態を解明しようとするプロセス分析がなされていない。
  • 単独事例研究
    • 研究開発が顕著,特許多数 → 急激な成長(売上増)はそれ以前の研究開発に起因するという仮説。
    • アニュアルレポート,書籍・雑誌・新聞,DBで分析。
  • ボトルネック(金型技術)に惜しみなく資金を投入。
  • 事業展開を探索した際に,分離型の組織構造を採用。
  • 事業展開の探索と特許出願を同期化。中央法務部が定型業務+研究開発の方向やM&A先の選定などの経営諸機能も果たした。
  • 共通利用可能な未利用資源を絶えず創造し,事業展開の探索を促進。