2020/01/06

Braun, V. and Clarke, V. (2006) Using thematic analysis in psychology. Qualitative Research in Psychology, 3(2), 77-101

  • 主題分析の強みは柔軟性
    • 一般に質的分析は2つの流派に分けられる
      • 特定の理論的・認識論的立場に立つもの:(1)限られた枠組みに適応可能なもの(会話分析,解釈的現象学分析),(2)理論的枠組みは広いが分析方法が厳密なもの(グランデッドセオリー,ディスコースアナリシス,ナラティブアナリシス)
      • 理論的・認識論的立場を越えて適用可能なもの:主題分析
    • ただし,その柔軟性が「なんでもあり」と批判の対象にもなる
      • 本稿の目的の1つは,適切な方法論と柔軟性の境界を明示すること
      • 分析者が明確な仮説を持つことがポイント
  • データコーパス:調査で得た全データ → データセット:コーパスから取り出した分析に使うデータ
    • データセットの作り方:(1)データコーパスに含まれる個人から構成,(2)データコーパスに含まれる特定のテーマに関する発話から構成(両者を組み合わせることは可能)
    • データアイテム:個人の発話
    • データ抽出:データのコードの束(データアイテムから抽出されたもの)
  • 主題分析:データ内のパターン(テーマ)をレポートする技法
    • 追試可能性の担保には,プロセスと実践手法が極めて重要
  • 主題:リサーチクエスチョンに関連する重要な,データ内にあるパターンまたはテーマ
  • 主題は,帰納的(ボトムアップ)でも演繹的(トップダウン)でも特定できる。
  • 分析の6段階
    • (1)データに自分自身をなじませる
      • データを何度も読む,アクティブリーディングをする(意味・パターンを見つけながら読む),トランスクリプトを自分で作る
    • (2)初期コードの生成
      • データに何があるか・何が興味深いかの初期リストを作成する
      • 全データを均等に読む
      • トランスクリプトをハイライトしてコーディングする
      • コードはできる限り多くのテーマ・パターンを出す
      • 文脈を損なわずにコーディングする(コーディング批判の的)
    • (3)テーマを探す
      • コードのリストを見て,潜在的なテーマにまとめる
      • 複数のコードからテーマを見出す
      • この作業に,表,マインドマップ,ポストイットを使うのもよい
      • コード間の関係,テーマ間の関係,テーマの階層をまとめる
      • テーマ・サブテーマの候補をまとめたらこの段階は終了
    • (4)テーマを検証する
      • ステップ1:全てのテーマが一貫性のあるパターンを形成していることを確認する
      • そうでなければ,新しいテーマを作る,コードを別テーマに充てる,テーマを削る
      • これで仮のテーママップを得る
      • ステップ2:仮テーママップが,全データを反映していることを確認する
      • この確認は重要だが,エンドレスの再コーディングに注意
    • (5)テーマを定義・命名する
      • 各テーマについて,詳細な分析を記述する。各テーマが語るストーリーに加えて,データを通じて語るストーリー全体の中でどう位置づくか・フィットするかを説明する。
    • (6)レポートを書く
  • 分析はトランスクリプトの表面ではなく,意味のレベルで行われている必要がある
  • よくある5つの失敗
    • 分析をしていない:文字を抜き出すことがコーディングではない
    • インタビューの質問をテーマにする
    • 分析が甘い:テーマに重複がある,内的な一貫性がない
    • データと結論が整合しない
    • 理論と分析が整合しない
  • 優れた分析のためのチェックリスト