桧垣伸次(2011)「批判的人種理論の現在」『同志社法学』63(2),929-982
- 批判的人種理論:人種と法と権力とのあいだの関係を改変することを目的とした根本的な法学運動。法制度は人種的マイノリティから力を奪うとの信条を持つ、法律の専門集団(特に学問の世界)における改革運動。
- 主要な目的:マイノリティや他の社会的に従属させられている集団の解放。レイシズムと闘うための様々な方法論を主張。行動主義的な側面があり、理論だけではなく、実践も必要とする。
- アファーマティヴ・アクションのような一時しのぎのアプローチではなく、根本的な社会経済的な変革をもたらすような包括的なアプローチが必要。
- 理論的起源:民権運動、批判的法学研究、フェミニズム。
- リベラリズム批判:既存のリベラリズム法学そのものを批判し、法の客観性、中立性、確定性に疑義を唱え、また、法の構造が、不公正なヒエラルキーをどのように維持あるいは促進させるかを、脱構築の手法を用いて明らかにした。
- ナラティブの手法:自身の経験や、フィクションなどを論文中に挿入し、それにより、自身の主張を述べるもの。マイノリティの視点、経験を伝える方法論を展開。⇔アプローチは法的ではなく、知的な精密さを欠いており、主観的で、過度に感情的である。マイノリティは問題に近すぎるため、客観的に論じることができないという批判。