安藤知子(2010)「学校組織における「教育改革」への意味付与の様相」『上越教育大学研究紀要』29, 1-11
- 教育改革の成否では、学校内部の主体性確立が重要(当事者の教師の受け止め方=内側からの改革意識を生み出せるか)。
- 改革:あるシステムの因果的連関を組み替えようとする働きかけ(沼上 2003)。
- 行為者の枠組みの変容や行為者間に行き渡っている信念の変容も意図に含むと考えるべき。
- 中学校で事例研究
- 2003/6~2006/5まで76日参与観察。
- 教育改革注目校で、教育改革を意識化させるインタビューやアンケートを避け、日常会話の中での言及のされ方や頻度に注意して同席。
- 校内資料、観察フィールドノート、録音データで分析。
- 観察結果
- 第1期:明らかに規律重視、秩序維持最優先の生徒指導。改革進行の実感を持つ機会はなし。校長の推薦授業が職員室で話題にならない。
- 第2期:教頭異動、1年部が大幅異動=規律重視最優先の暗黙了解がなくなる。新取り組みに抵抗しつつも導入、教員はどう実施するかに焦点化した議論。
- 第3期:PTA提案の取り組みに抵抗しつつも校長の意向で実施、取組が多数参加で新聞掲載、外部からの注目を実感する契機。
- 第4期:保護者関連行事が職員室の会話に登場し始める。
- 考察
- 第3期に焦点的に関知されていた複数の諸施策が、カテゴリー化され、包括的に意味づけられていく。
- 施策提供側が夭死した意味の理解や浸透という指標ではうまくいっていない。当事者の主体性を前提とすれば、各学校なりの受け止め方があり、その教養範囲を広く構えることで改革の趣旨は多面的に実現可能。教育改革の評価を求めるなら、長期的視野を持って意味変容・行動変容を辿っていくことが必要。