2025/09/03

斎藤環(2013)『承認をめぐる病』日本評論社

  • 他者の許しがなければ、自分を愛することすら難しい。その風潮を批判しても始まらず、若者がコミュニケーションと商人に依存していく過程には、強い必然性がある。
  • 思春期の子供にとってキャラとして承認されることが最も重要。キャラを与えられないことは、教室内に居場所がないことを意味する。
  • マズローの承認欲求段階説では、高次の欲求であるはずの承認欲求が全面化し、衣食住よりも承認という逆転現象が見られる。
  • キャラとしての承認を求めることは、承認の根拠を全面的に他者とのコミュニケーションに依存すること。
  • 他者による承認を切望しながら、それがかなわない可能性を恐れるあまり、どうせ自分なんか・・・という低い自己評価で自分を守ろうとする。
  • 承認の病を回避する方法はいくつかある
    • 他者からの承認とは別に、自分を承認する基準を持つ
    • 他者からの承認以上に、他者への承認を優先する
    • 承認の大切さを受けれつつ、ほどほどに付き合う
  • 若者が就労したいのは、承認欲求のため。就労へ動機付けたいなら、生理的〜関係欲求までを十分に満たす必要がある。生存の不安から実存の不安への変化。
  • 若者にとって家族の機能は、関係欲求までの全ての欲求を満足させること。衣食住を保証、批判や叱咤激励を控え、親密なコミュニケーションを取る、ここまで可能になれば本人の状況が改善するし始める。
  • 実存の不安=自分は何者か、自分の人生に意味があるのか。
  • 現代は対人評価の基準がコミュニケーションスキルに一元化されている。コミュニケーション偏重主義。

2025/09/02

Transforming Classroom Discussions with Communication Practices from Health Coaching

  • 学生が恥ずかしがったり表面的にしか議論に参加してくれない → OARSフレームワーク、言い換え、アクティブリスニングの3つを活用せよ(Health coachingで使われる技法)
    • OARS=open-ended questions, affirmations, reflective listening, and summarization

  • OARS
    • オープンクエスチョンで問う:「インセンティブが与えられると、人はなぜやる気が出ないのでしょうか」「あなたの経験では、仲間をやる気にさせたものは何ですか」
    • 学生の発言を肯定する:「素晴らしいコメントですね」「良い質問ですね」は言わない → 「○○さん、運動プログラムにおける有酸素性エネルギー産生の応用について、あなたの考えを自発的に話してくれてありがとう」、「○○さん、あなたのコメントは、ゴッホがひまわりを絵画に使用する際の視点を反映したもので、本当に感謝しています」
    • 省察的な傾聴:学生が発言したことを教員がどう理解したかを確認して問いかける「○○さん、あなたは山岳アスリートの間で、個人的な達成感が強力な動機づけになりうると言っていますが、そうなのですか?もし○○だとしたら、どうなると思いますか?」← 学習の重要なポイントを思い出させるための質問
  • 言い換え
    • 5W1Hを使って、質問を再構成する
      • やる気を高めるにはどうしたらよいですか?→ やる気を高める要因は何ですか?、やる気を最も感じる/最も感じない場所はどこですか?、やる気を最も示す/最も示さない人は誰ですか?、なぜやる気は満ち引きするのですか?
  • アクティブリスニング
    • 学生の声を聞く
      • 回答に十分な時間を与える、沈黙を恐れない
      • 名前で呼びかける
      • 学生の近くへ行く
      • 目を合わせる
      • パラフレーズする

2025/09/01

Brufau Alvira, N., P. Bannister, and A. Santamaría Urbieta. (2025) “ Validating the PANDORA GenAI Susceptibility Rubric for Higher Education Assessment: A Field Test of All Translation and Interpreting BA Assignments.” Higher Education Quarterly 79(4)

  • AI proof な課題をどう作るか?→ 批判的思考力、創造性、協調性を問う
  • 提出物の「形式」を工夫する
    • AIが生成しやすいプレーンなテキストから、AIにとって扱いにくい、または人間が介在しないと作成できない形式に変更する
      • 音声または動画形式での提出を求める:学生が自分の言葉で説明したり、プレゼンテーションしたりする様子を録画・録音させ、本人の理解度や思考のプロセスを確認する。
      • 共同作業の課題で、動画内にチームメンバー全員が映り、参加していることを要求する 。
      • 入力情報をテキスト以外の形式にする:課題の元となる資料を、単純にコピー&ペーストできない画像ファイルなどで提供します。
  • 「成果物」だけでなく「プロセス」を評価する
    • AIは最終的な成果物に至るまでの試行錯誤の過程を示すのは苦手。
      • 思考の過程を記録させる:Wordの「変更履歴」機能やバージョン履歴の提出を求め、どのように文章が推敲されたかを確認する 。
      • 参照した情報源や思考の軌跡を記録させる:参照した資料のリスト、重要な部分に色分けで印をつけたテキスト、授業で議論した内容や個人の経験とどう関連付けたかの説明などを提出させる。
      • 翻訳レポートの比重を高める:翻訳課題で、なぜその翻訳を選択したのか、文化的な背景をどう考慮したのかなどを記述する「翻訳レポート」の配点を高くする。
  • 学生の「主体性」と「創造性」を引き出す
    • AIは指示されていない範囲で主体的に考え、創造性を発揮することは困難。
      • 学生自身にトピックを選ばせる:教員がトピックを指定するのではなく、学生にトピックを自由に選ばせ、なぜそのトピックを選んだのか理由を説明させる。
      • 創造的な解決策を評価する:翻訳課題などで、特に優れた独創的な解決策に対して加点するなど、創造性を評価基準に明記します 。
      • 指示をあえて曖昧にする:詳細な指示書を与えるのではなく、大まかなガイドラインのみを示し、学生自身に具体的な内容を考えさせます 。
  • 真の共同作業を求める
    • AIは人間同士の有機的な協調作業に取って代わることはできない
      • 相互依存的なタスクにする:単なる分業ではなく、前の人の作業内容を踏まえないと次の作業に進めないような、連鎖的で相互依存的な共同課題を設計する。
      • 共同作業の証拠を求める:提出された文書の中に全員の作業の痕跡が確認できることや、前述の通り、発表動画に全員が参加していることなどを評価基準に含める。
  • 単にAIの利用を禁止するのではなく、課題の設計そのものを見直すことで、学生がAIを単なる「答えを出す機械」として使うのではなく、思考を深めるための「アシスタント」として活用するよう促す。

2025/08/31

Bannister, P., Santamaría Urbieta, A., & Brufau Alvira, N. (2025). Appraising higher education assessment validity: Development of the PANDORA GenAI Susceptibility Rubric. Journal of Applied Learning & Teaching, 8(1), 1-15.

  • PANDORA GenAI Susceptibility Rubric
    • 教員の自身の作成した課題が、学生による生成AIの不正利用に対してどれほど脆弱(vulnerable)であるかを自己評価する基準
  • 基準3段階
    • レベル1:GenAI感受性低:満足のいく結果を得るためのAI利用が困難または非常に困難
    • レベル2:GenAI感受性中:満足のいく結果を得るためのAI利用が可能
    • レベル3:GenAI感受性高:満足のいく結果を得るためのAI利用が容易
  • 観点9項目
    • 入力・出力形式と知的タスクの複雑さ
      • 無料のGenAIツールに耐性のある入出力形式(複雑なマルチメディア、特殊なファイル形式など)、有料AIサービスや大幅な人的処理を必要とする形式。タスクが主観的な意見、正当化、またはAIの能力を超える複雑なメタ認知・感情プロセスを要求する。
      • 部分的にGenAIに耐性のある入出力形式。非テキスト要素の人的処理が必要で、AIの出力を要求された形式に変換する必要がある。タスクはAIツールで部分的に達成可能だが、ある程度の人的な入力が必要。
      • GenAIに対して脆弱性が高い入出力形式。簡単に貼り付け可能な指示で、提出形式が無料のAIツールで直接生成可能。タスクはAIツールで完全に達成可能(例:記述、説明、議論、作成、比較など)。
    • 共同での執筆
      • 真に相互依存的な共同作業が必要。共同作業が明確に評価される。
      • 部分的な共同作業、または真の共同作業が明確に評価されない。
      • 個人タスク、または真の共同作業を伴わない、容易に分割可能なグループワーク。
    • トピックの選択
      • 正当な理由のあるトピック選択。
      • 正当な理由のないトピック選択。
      • 正当な理由なくトピックが課されるか、選択肢が限定される。
    • 創造性の範囲
      • 創造性のための十分な余地がある。
      • 創造性のための一定の余地がある。
      • 創造性のための余地が非常に限られている。
    • 指示の具体性
      • 一般的なガイドラインのみ。学生は具体的なパラメータを決定し、選択を正当化する必要があり、GenAIプロンプトには大幅な人的入力が必要。
      • 一般的および具体的な指示が混在。一部のパラメータ選択は許可されるが正当化は不要。GenAIプロンプトに必要な学生の入力は最小限。
      • 非常に詳細な指示(例:テンプレート、チェックリスト)があり、GenAIプロンプトとして直接使用可能。
    • プロセス重視の評価とトピック情報のアクセス性
      • 評価は成果物と開発プロセスの両方を対象とし、すべてのステップを実証する必要がある。<br><br>トピックに関する情報がオンラインで容易に入手できず、GenAIツールにはアクセス不可能。
      • 主な焦点は成果物だが、開発プロセスの一部のステップの実証が必要。ピックに関する情報はオンラインで入手可能だが、見つけるのが困難。GenAIは部分的にアクセス可能。
      • 焦点は成果物のみで、開発プロセスの実証は不要。トピックに関する情報がオンラインで容易にアクセスでき、GenAIが完全にアクセス可能。
    • 執筆者であることの証拠
      • 強固な執筆者証拠が必要(例:共有オンライン文書、説明動画への出演)。
      • 執筆者証拠は必要だが、容易に操作可能(例:編集可能な画像)。
      • 執筆者証拠は不要。


2025/08/30

Muhammad Ajmal, Zeenat Islam, Azmat Islam (2025) Enhancing organizational performance in higher education through knowledge-centered culture and absorptive capacity: the mediating role of the knowledge creation process. The Learning Organization

  • 大学の組織パフォーマンスはどう向上するのか?
  • 組織の知識吸収能力、知識中心文化、知識創造プロセスを定義して、質問紙で測定し、パフォーマンスとの関係を見る
  • 組織の知識吸収能力:Absorptive Capacity
    • 組織が外部の新しい知識を認識し、同化し、変革し、そして活用する能力のこと(単に新しい情報を取り入れることではない)
    • 新しい情報を、組織内の既存知と結合して活用する能力
    • 教員が新しい研究手法、教育方法を取り入れて活用する場面を想定
    • 4側面で測定
      • 認識:組織にとって価値のある外部の知識や情報を見つけ出す能力
      • 同化:獲得した新しい知識を組織が理解し、処理する能力
      • 変革:新しい知識を既存の知識と組み合わせて、組織独自の新しい洞察や知識体系を構築する能力
      • 活用:新しく生み出された知識を、新製品・サービスの開発や業務プロセスの改善などに商業的・実践的に応用する能力
  • 知識中心文化:Knowledge-Centered Culture
    • 組織全体で継続的な学習とイノベーションを奨励する文化
    • 組織内で情報が円滑に共有され、部門や専門分野を超えた協力が奨励されているか
  • 知識創造プロセス:Knowledge Creation Process
    • SECIモデルを想定
  • パフォーマンスの測定
    • 多面的な成果として定義(14項目尺度で測定)
      • 「過去2年間で自分たちの組織は、新しい事業機会を特定する能力を向上させた」「過去2年間で自分たちの組織は、内部プロセスを合理化する能力を向上させた」など
  • 結果
    • KCP→OP:プラス
    • AC→KCP:プラス
    • KCP→(AC→OP)媒介:プラス
    • KCC→(AC・KCP):マイナス、なぜ?
      • 本来プラスだが、官僚的な非効率性、硬直的な階層構造、縁故主義によって、教員のモチベーションがそがれたり、イノベーションを妨げている

2025/08/29

Deterding, N. M., & Waters, M. C. (2018). Flexible Coding of In-depth Interviews: A Twenty-first-century Approach. Sociological Methods & Research, 50(2), 708-739.

  • グラウンデッドセオリーは、よく使われるが、現代の研究環境に合わない
    • 開発されたのが1960年代、コーディングは、マーカー、はさみ、インデクスカード
    • →二次分析ができない
    • 現在はQDAソフトウェアがある
    • 分析を一人で行う前提→現在は100件のインタビューをチームで分担して分析
  • 「フレキシブルコーディング」を提案
    • 細部から始めず、全体から徐々に絞る
    • 具体的には、3つのコードを使う
      • 属性コード:回答者の年齢、性別、人種、居住地などの情報をインタビュー記録全体に適用する
      • 索引コード:インタビュー項目に沿った、トピック・テーマごとのコード(学歴、子ども時代など)を、テキストの大きな塊に適用し、あとから特定の話題を簡単に見つけられるようにする
      • 分析コード:特定の議論の中心となる、概念的なコードで、索引コードをつけた後で、関連部分に絞って適用する
    • 分析を3段階で行う
      • 第1段階:全体像の把握
        • 逐語録全体を読み、質問項目に沿って索引コードをつける(データ全体を整理する)
        • 分析の初期的なアイディアをメモとして記録する
      • 第2段階:分析コードの適用
        • 特定のテーマに焦点を絞り、索引コードを使って関連する逐語録のみを抽出し、そのデータに対して詳細な分析コードを適用する
      • 第3段階:理論の検証と精緻化
        • QDAソフトの検索・クエリ機能で、分析コードと属性コードをクロスさせる
        • 特定の属性を持つ人の間に、どのような傾向が見られるか、理論の例外となるケース(ネガティブケース)を特定、主張の妥当性を検証する

2025/08/28

Robinsson Cardona-Cano, Esteban López-Zapata, Juan Velez-Ocampo (2024) Leadership styles, collaborative integrative behavior and ambidexterity in university research groups. The Learning Organization, 31 (2), 185–204.

  • 大学の研究グループにおいて、リーダーのリーダーシップスタイル、および、チームの協力的・統合的行動が、組織の両利き性(Ambidexterity)にどう影響するのか?
    • 組織の両利き性:組織が2つの異なる活動を同時にバランス良く行う能力(具体的には下の2つの学習活動)
      • 知の探索(Exploration):リスクを取り、実験・革新を通じて、新しい知識を探究する活動
      • 知の深化(Exploitation):既存の知を改良し、効率性を高め、既有知を最大限活用する活動
  • コロンビアの大学に所属する研究グループが対象
    • 165グループ506名研究者にサーベイ、回帰分析
  • 調査目的
    • リーダーが示す3つのスタイル(変革型、取引型、自由放任型)が組織の両利き性にどう影響するか?
    • メンバー自身の協力的・統合的行動は、組織の両利き性にどう影響するか?
  • 分析
    • 変革型リーダーシップ(ビジョンで導く)は両利き性を促進するが、取引型・自由放任型は影響しない
    • 協力行動(メンバーが相互に助け合い、積極的に情報交換をする)も両利き性を送信する
  • 含意
    • 研究リーダーに、変革型のスキルを高める研修が必要
    • 個人の成果だけでなく、チームとしての成果を評価して奨励する大学の方針や制度の導入が必要
  • 変革型のリーダーシップとは?
    • メンバーからの尊厳・信頼を集め、ロールモデルとして振る舞うこと
    • 魅力的なビジョンを掲げ、仕事に意味とやりがいを与える
    • 現状に疑問を投げかけ、メンバーが新しい視点や創造的な方法で取り組めるようにすること
    • メンバーの個性やニーズに関心を持ち、コーチングやメンタリングで個人の成長を支援すること

2025/08/27

Andrew Cavanagh, Glen Croy, Julie Wolfram Cox, and Abe de Jong, (2023) Developing and Harnessing Historical Sensibility to Overcome the Influence of Dominant Logics: A Pedagogical Model. Academy of Management Learning & Education, 22(4), 595–620

  • なぜ経営者は過去の経験から学べず、同じような経営危機が起こるのか?
    • → 根本原因は、支配的ロジックにある
    • → ビジネススクールが学生の歴史観(Historical sensibility)を育むことで克服せよ
  • 支配的な制度ロジック:社会や組織の中で当たり前とされる価値観・行動様式・歴史的形成原則、これが経営者の思考・意思決定の範囲を狭める
  • 歴史観=未来の行動指向の意思決定において、あり得たかもしれない複数の過去に対する感度・認識を持つこと
    • 歴史を学び、過去が現在をどう規定しているかを内省 + 知見を未来の行動に生かし、支配的ロジックの制約を超える
  • 3つの能力の育成が必要
    • 歴史文書を調達して評価する能力
      • 支配的ロジックに合わない情報も含めて、公式・非公式のアーカイブから幅広く探す能力
      • 入手した文書の信頼性、文書に書かれない沈黙を批判的に読む史的批判力
    • 調達した情報を批判的に分析して統合する能力
      • 自分の先入観を認識した上で、文書の詳細を注意深く分析する能力
      • 支配ロジックの筋書きを安易に当てはめず、複数の視点からナラティブを統合する能力
    • 分析・統合した内容を影響力ある形で伝達する能力
      • 聞き手の慣習や価値観に合わせて表現を工夫し、支配ロジックに疑問を投げかける、説得力あるコミュニケーションを行う能力

2025/08/26

Betina Szkudlarek and Mats Alvesson, (2024) Doing Silence: How Silence Is Produced in Meetings. Academy of Management Learning & Education, 23(2), 304–324

  • 組織における沈黙はどのように生み出されるのか?
    • 本来自由な発言が奨励され、能力も高いはずの大学教員集団なのに
  • 従来の説明
    • 恐怖と無意味さ
    • ↑ 専門職集団はこれだけで説明できない
      • 非公式な場では機能不全を口にするのに、公式会議では黙る
      • なぜ沈黙が選択されるのか?
  • 18名のテニュア教員インタビュー、ビジネススクール教員
  • 複雑な個人レベルの動機がある
    • 日和見主義(Opportunism):組織の利益より、個人の昇任・論文出版を優先するため
    • 便宜主義(Convenience):議論の参加は時間と労力がかかる無駄なこと、波風たたない楽な方を好むため
    • 無能力感(Ineptitude):発言することは特別な能力を持つリーダーの役割であり、自分にはその能力・資質がないと思い込むため
    • 分離感(Detachment):組織の問題は自分事でないとして、関与を避ける態度。自分の期待値を下げることで、不満に対処する。
  • 沈黙を生み出す多次元プロセスがある
    • 沈黙は、積極的に選択して実行される、社会的プロセスである
      • 背景要因:組織の構造(官僚制)、文化(コミュニティ欠如)、個人動機(上の4動機)が相互に作用する
      • 沈黙への傾倒:相互作用の結果、沈黙は仕方ないと正当化する内的思考、陰口という外的行動につながる
      • 状況的実践と定着:会議の場でみんな黙っていることを経験・観察し、沈黙が当たり前という規範が学習され、組織内に定着する
      • 再生産サイクル:沈黙が定着し、再度、組織の構造・文化、個人動機に影響し、サイクルを再生産する
  • どう対応するか?
    • 個人の意識改革:自分が再生産に関わっていることを自覚し、発言すること、発言者を支持することを実践する
    • 会議の再設計:会議を情報伝達でなく、参加者の声を引き出す場として再設計する
    • 専門職教育:大学院段階から、組織の一員としての責任・倫理を学ぶ

2025/08/25

Abhilash Acharya, Bijaya Mishra (2022) Can “organizational unlearning” be the normalizer for purposeful routines in any learning organization? An interview with Prof Eric Tsang. The Learning Organization: An International Journal; 29 (4): 317–324.

  • 組織学習、組織的アンラーニング、学習する組織は誤解されやすい
  • 概念は、組織ルーチンという具体的な行動様式に結びつけることで区別する
  • 組織学習
    • 経験からの学びを、組織の行動指針となる組織ルーチンに反映させ、それを改訂していくプロセス
    • メンバーが何かを学んでも、それがルーチンに反映されなければ、それは個人学習
  • 組織的アンラーニング
    • 新しいルーチンを導入するために、古いルーチンを意図的に捨てるプロセス
  • 学習する組織
    • 組織学習・組織的アンラーニングの両方に長けている組織
    • 学習もアンラーニングも必ずしも良い結果を生むとは限らないが、これらのプロセスをうまく実践し、高いパフォーマンスを上げている組織が学習する組織
  • アンラーニングが重要
    • アンラーニングは常に必要ではない(設立間もない組織など)
    • 組織レベルのアンラーニングには、まず個人レベルのアンラーニングが前提

2025/08/24

Orfanidis, C. (2025) “ Moral Diversity in Institutional Policies Governing the Student Usage of Generative AI: An International Comparison.” Higher Education Quarterly 79(4)

  • イギリス、カナダ、アメリカの36大学を対象に、学生のGAI利用ポリシーの特徴を比較分析する
  • なぜAIを許可・制限するのか?
    • 道徳的一貫性(Moral consistency):既存の学術倫理規程(=外部の助けを借りて課題を行ってはいけない)との一貫性を優先するアプローチ。GAIの許可は、既存ルールと矛盾する。特にカナダで見られる。
    • 責任ある未来への備え(Respoinsible Futureproofing):学生がGAIの普及した労働市場に備えられるよう、指導することが大学の責務と考えるアプローチ。特にイギリスで見られる。
  • 個別授業でのGAI使用を許可するかどうかの最終決定は誰か?
    • 絶対的権限(Absolute authority):個々の教員が最終的に決定する・大学は最終判断を教員に委ねる(カナダ)
    • 抑制された権限(Restrained authority):大学が全体方針を定め、教員はそれを学生に伝えて実行する役割。大学は教員の裁量を制限(イギリス)
    • ハイブリッドな権限(Hybrid authority):大学が全体方針を示しながら、個々の教員にもルール設定の裁量を与える=方針に一貫性がなくなる危険(アメリカ)
  • 大学の方針は多様な倫理観に基づいている
  • 3カ国から12大学ずつ、36大学のポリシーを収集
    • QSランキング→ランダム並べ替え→上から12大学抽出→ウェブサイトから文書収集
  • 帰納的主題分析(Inductive thematic analysis)で分析
    • ポリシーを読んで内容にラベルをつけるコード化→コードをグループ化してカテゴリー作成→カテゴリーを統合・洗練してテーマを抽出→道徳的一貫性等を抽出

2025/08/23

Ralund, S., and F. Weiss. (2025). “ The University Sector Has Become More Application-Oriented: Evidence From Course Descriptions Using Text Analysis for the Case of Higher Education in Denmark.” Higher Education Quarterly 79(3)

  • 大学で教えられている内容は、より応用・実践志向があるのか?
  • 2014年と2021年のシラバスで比較、約30万件
  • 7分野に限定:人文科学、自然科学、技術科学、社会科学、ビジネス、健康、法学
  • 事前に実践的であるとされる122の語を特定し、これが使われていると実践的と判断
    • Project、case、apply、practicalなど
    • Lexicon:専門用語集を作成→人の目で判定

2025/08/22

Perkins, M., Furze, L., Roe, J., MacVaugh, J.(2024). The Artificial Intelligence Assessment Scale (AIAS): A Framework for Ethical Integration ofGenerative AI in Educational Assessment. Journal of University Teaching and Learning Practice, 21(6)

  • 学生にGAIの使用を禁止したり取り締まることは学習につながらない
  • 学習目標に応じてGAIの利用レベルを示すための枠組み
  • 教員・学生の双方に透明性と指針を与えてくれる。


  • レベル1:使用不可
    • 学生自身の知識とスキルのみで課題を完成させる
    • 対面同期の議論、口頭試問
  • レベル2:アイディア出し・構造化の補助
    • ブレストやアイディアの構造化にGAIを活用、最終成果物にGAIのコンテンツを含めてはいけない
    • レポートのアウトラインを作成する、GAIで生成したアイディアについて議論する
  • レベル3:GAIによる編集補助
    • 学生自身が作成した文章の質向上のためにGAIを使用する、新たなコンテンツ作成には使わない
    • 文章の推敲(推敲前と推敲後の両方を提出する)
  • レベル4:タスク実行と人間による評価
    • 課題の一部をGAIに実行させ、学生はその生成物に対する批判的な分析や考察を行う
    • AIに特定テーマで文章を生成させ、その内容の正確性やバイアスを学生が評価・分析する
  • レベル5:全面的なGAI活用
    • GAIをコパイロットとしてつかう、課題遂行の全般にわたって協働的なツールとして使う
    • GAIを駆使してソフトウェアや芸術作品を完成させる



https://leonfurze.com/2024/08/28/updating-the-ai-assessment-scale/

2025/08/21

Croucher, G. (2025) “ Academic Democracy in the Age of Corporate Governance: Addressing Challenges to Widening Participation in University Governance.” Higher Education Quarterly 79(3)

  • 大学のガバナンスには大きく2つの対立軸がある
    • Academic Democracy:大学は教職員・学生といった構成員によって自主的に運営されるべき(共同体統治)
    • Corporate Governance:理事会の監督の下で、法的・財務的な責任を負うべき
      • 意思決定の責任の所在を明確にし、リスク管理を徹底する
      • 理事会メンバーは特定グループの代表ではなく、全体の利益のために行動する受託者である
  • Corporate Governanceが主流になることで、Academic Democracyが困難になっている
    • 誰が何を統治するかが曖昧
      • 学問の質の保証には専門家の判断が不可欠なのに、意思決定の責任は理事会が負うとなると、最終的な権限は誰が持っているのか?
      • 教職員・学生が理事会メンバーになると、役割葛藤に陥る(全体利益の受託者なのか、グループの代表なのか)
    • ガバナンス参加拡大に限界がある
      • 学生を参加させようとしても、在学期間が短く、知識・経験が不足し、実質的に貢献が難しい
      • 学生自身がコミュニティの一員よりも教育サービスの消費者と自認している
    • 外部(制度)の影響がある
      • 大学は、政府、規制、資金、社会からの期待などの圧力にさらされている
      • 民主的に決めたことが外圧で覆される可能性がある(外圧の期待に沿う限りにおいてのみ自治が許される)
  • これらを克服するには熟議(Deliberative Democracy)が必要
    • 1つの理事会で全てを決めず、このなる役割の複数のガバナンス組織を相互に連携させる(教授会の権限を拡張する(施設管理や予算配分まで))
    • 会議体の目的に応じて、教職員・学生が最大限参加できる仕組みを用意する

2025/08/20

Gioia, D. A., Corley, K. G., & Hamilton, A. L. (2012). Seeking Qualitative Rigor in Inductive Research: Notes on the Gioia Methodology. Organizational Research Methods, 16(1), 15-31

  • 質的研究に対する、研究者の主観的な解釈に過ぎないのでは、という批判をどう乗り越えるか?
  • Gioia法の特徴
    • 参加者を熟達した主体と見なす=参加者が使う言葉や表現をそのまま生かすことを重視する
    • 1次分析:参加者の言葉をそのまま反映したコード・ラベルを抽出する、この段階では分析者の解釈をできるだけ加えない
    • 2次分析:1次コードの共通するパターンと関係性を、分析者が一歩引いた視点から探し、より抽象的な研究者中心・理論中心のテーマにまとめる

2025/08/19

Bulsara, D., S. Parker, and J. Cornell. (2025) “ Experiences and Perceptions of Academic Motivation in Adolescents With a Refugee Background: A Reflexive Thematic Analysis.” European Journal of Education, 60(3)

  • 再帰的主題分析(Reflexive Thematic Analysis)を用いた研究(Braun and Clarke 2022)
    • 研究者の主観性や解釈を分析の核として積極的に活用する手法
    • 研究者の役割
      • RTA:データに意味を与える能動的な解釈者
      • TA:データからパターンを抽出するコーダー
    • テーマの捉え方
      • RTA:分析者の解釈を通じて生成するもの
      • TA:データの中に存在するテーマを発見する・特定する
    • 分析プロセス
      • RTA:再帰的=データの熟読、コーディング、テーマ構築を再帰的に繰り返し進めるプロセス
      • TA:直線的=手順通りに実行する
  • 難民を対象とする研究は難しい
    • 手の届きにくいグループである(厳格な保護措置が必要)
    • そのため、少数のサンプルに焦点化する傾向がある
    • 直接インタビューするには、幼い・脆弱
    • そのため、対象の観察で補完する
  • RTAのプロセス
    • (1) 全てのトランスクリプトを慎重に読み込むことで、データセット全体に慣れる
    • (2) データセット内の関連する明示的・暗黙的な概念にコードラベルを付与するため、データセットを体系的に反復的にコーディングする
    • (3) コードラベルを全て検討し、研究質問の文脈において共有されたパターン化された意味を特定することで、初期のテーマを生成する
    •  (4) 初期のテーマを全データセットとの照合により再検討し、参加者の学業動機に関する経験と認識について説得力のある物語を伝えるパターンが存在するかどうかを確認
    • (5) テーママップの開発を通じて、テーマの精緻化、定義、および命名を行う
    • (6) データセットから選択した具体的な例を用いて、一貫した分析的物語の開発の中でさらに精緻化を行う

2025/08/18

Sun, Z., M. A. Lim, and H. Cockayne. (2025) “ Reputation Management in a Chinese and UK University: What Do Universities' Self-Representations Through Social Media to Governments and International Students Say About Their Resource Dependence?.” Higher Education Quarterly, 79(3)

  • 高等教育機関のグローバル競争の激化
    • → 企業型レピュテーションを開発せよ(Carrillo-Durán and García García 2020)(本当?)
    • 留学生の情報源がソーシャルメディアへ移行、なのに、量的研究ばかり(=制度・文化のニュアンスに鈍感になる)
    • 中国の出願者に対して、西洋の文脈でメディアが活用されてしまう
  • 中国の大学は、政府との連携の中でソーシャルメディアを活用する
  • 英国の大学は、ニーズに基づく柔軟な情報提供のためにソーシャルメディアを活用する

2025/08/17

Ghamrawi, N., Ghamrawi, N.A.R. and Shal, T. (2025) Leading or Managing in the Middle: Exploring the Identities of Head of Departments in Higher Education Using Dynamic Systems Model. Higher Education Quarterly, 79

  • ミドルリーダーの役割アイデンティティ形成に関する研究
  • 一般にミドルリーダーになることはキャリアアップだが、アカデミックな文脈ではそうならない
    • 重要な仕事なのに、祝意にも弔意にもなる
  • DSMRI:Dynamic Systems Model of Role Identity:個人のアイデンティティが重要な役割を果たす
  • 3人の学部長経験者の日記、ナラティブとインタビューで1年追跡調査
    • 自分をリーダーなのか、マネジャーなのか、どちらで定義するのか?
    • → 当初はリーダーと定義するが、次第にマネジャーになる
    • 管理業務が多すぎて対応に追われるうちに、マネジャーの認識になる
  • 何がアイデンティティ認識を変えるのか?
    • マネジメント業務が多すぎる
    • 上級職がマネジメントに傾倒しすぎている(自分も同じようになってしまう)
    • 情報が少なく、役割が曖昧(実際には重要な意思決定に関われる権限は少ない)

2025/08/16

高木航平(2025)「大学団体における大学の公共性言説の分析」『大学経営政策研究』15, 37-53

  • 大学の公共性:何を持って公共的と呼ぶかが多様すぎる
    • 政策・制度研究:公と私の二分法
    • 設置者の公私、教育費用の公的支出と家計負担、精度への官と民の関与、受益者の範囲が社会か個人か、ガバナンスや情報公開の公開性、生産される知識が排除的・競合的か否か
  • 公共性の社会認識:言説空間や構成員の公共性認識を探る
  • 大学関係者の言説から、公共性の社会認識の特徴を示す
    • 国大協と私大連で比較、どう違うか・どう変化したか、提言と報告書をテキスト分析
  • 公共性の意味(齋藤 2000):(1)Official(公的)、(2)Common(公共、公益、共通財産)、(2)Open(公開)
  • 私大連の公共性:高等教育は共通的価値を持つが民の領域の活動

2025/08/15

高橋真木子・矢吹命大 (2025)「研究推進支援機能を担う専門人材とその機能,評価に関する一考察:バウンダリー・スパニングという概念を用いて」『研究 技術 計画』40(1), 98-107

  • URAの仕事=大学の執行部、研究者、事務系職員とともに、大学組織がもつ研究資源を最大化するため、研究者や研究領域、研究組織の境界を越えて接続させること=バウンダリースパニング
    • イノベーションには組織の境界を越えたコミュニケーションが重要
    • ⇔ 異なる考え・言語ゆえにコミュニケーションが困難
    • → 効果的に行うために支援する個人・部署が必要

2025/08/14

Dickens, E., Han, A., Shafiq, N. & Taggart, J., (2025) “Curriculum developers: An emerging subset of educational developers”, To Improve the Academy: A Journal of Educational Development 44(1): 5.

  • CDerとは?:FDer等のEDerの一部
    • アメリカとカナダのCDerがどのような仕事をしているかを質問紙調査
  • やっていることはFDerと同じ、ただし、個人を対象としたEDと異なる点は、学部全体と共同して複雑な変革に取り組むこと
    • 実際調査でも一部のものは、FDerと変わらないと考えていた
  • カリキュラムという語の曖昧さが仕事上の問題になることが多い
    • ここではBens et al(2021)の定義を使う:うまく統合された教育・学習経験の集合であり、つながった全体を形成しているもの。個々のコースを超えてアカデミック・プログラムや同様の連続性を持つもの。
  • RQは、(1)教育開発の中でカリキュラム開発の仕事はどのように構成されているのか?、(2)カリキュラム開発者は自分たちのしている仕事をどのように説明し、認識しているのか?
  • MLで参加を募集して35名を調査の対象にした
  • カリキュラム開発は、学部から直接依頼を受けることで始まる
  • CDerはそれに、ファシリテータとして関わる(教員は所有職が強いから)
    • それ以外にはプロジェクトマネジャーがあるが、反論もある
    • 学部教員の抵抗に遭うことが課題
    • 「中間的な存在」と自己定義

2025/08/13

Vieira, A., Rodrigues, L. and Barbosa, M.-L. (2025), Measuring Change in Institutional Diversity in Higher Education in Brazil. Higher Educ Q, 79: e70022

  • 潜在プロファイル分析による機関ロジックの分類を行う研究
    • ブラジルの国立・私立大学を対象:すなわち、機関によってさまざまなロジックがありうる
    • ブラジルでは高等教育制度の拡充が図られているが、それが機関の機能に与える影響を実証データで推定(2010→2019年変化として推定)
  • 結果として、9つの機関グループを特定
    • 研究志向大学は、変化なし
    • 小規模私立はハイブリッド化、営利機関は産業ロジックの強化あり
  • データで機関のロジックを見る点がおもしろい
    • 学生データを用いる(機関×学生のデータ?)
    • ソースはブラジル高等教育センサス、および、大学院入学者の成績・国籍・在籍期間データ(評価機関である高等教育人材改善調整機構の調査)
  • 推定されたクラスター
    • 大規模・仮想化、分散型・多機能型、応用・夜間型、専門職型、フンボルト型・技術型、教育型、地域統合型、少人数・教員研修型の9つ
    • これらを2010→2019で変化したかどうかを推定
  • 組織機能を5つの領域で把握:ガバナンス、教育、研究、国際、社会貢献
  • これらを43変数で測定
    • ガバナンス:規模(職員数・学生数・学部数)、期間(設置からの経過年)、立地(首都のコースの在籍者数)、経営(経営参画教員数)、教員(女性・黒人・障害教員割合)、機関(障害学生へのアクセシブルなコースの割合)
    • 教育:学生(学位の種類、提供形態、専攻別在籍者数、奨学金受給者数、インターンシップ参加率)、教員(常勤教員数、博士保持教員数割合)
    • 研究:学生(修士、博士取得率)、研究費獲得学生数、トップ雑誌掲載数
    • 国際:学生(国際プログラム参加学生比率)、教員(外国人教員数)
    • 社会貢献:学生(社会活動従事学生数割合)、教員(社会活動従事教員数割合)
  • これらを探索的因子分析(データの次元縮約のため)→7因子特定
    • 規模、教員業績重視、アカデミックトレーニング重視、フルタイムオファー、バーチャル教育、実践活動参画、学術的役割の統合、教員の研究の質

2025/08/12

Díaz, B., Delgado, C., Han, K.et al. (2025) A scaffolding model for designing and implementing work-integrated learning experiences based on analysis of university and company's arrangements.High Educ.

  • 実践コミュニティ(Lave and Wenger 1991)の4つの前提
    • 人間の社会性、知識は実行能力である、知ることは参加すること、学習は意味
  • 2つの実践コミュニティ間の相互作用
    • プローカーと境界オブジェクトの2つで生み出される
    • ブローカー:2つのコミュニティに参加して、一方から他方へ要素を紹介できる人
    • 境界オブジェクト:つながりを組織化するための、成果物・文書・用語・概念
  • 相互作用によって3タイプのつながりが生まれる
    • 境界的実践・重複(オーバーラップ)・周縁
    • 境界的実践:2つのコミュニティ間で互換性のある新しい実践が生まれること
    • 重複:個人が両コミュニティに参加する(ただし所属で境界が区別される)
    • 周縁:外部メンバーが選択的にコミュニティに入ってくる
  • このモデルをインターン教育に応用する
    • 大規模インターン学習は段階的に進める:オーバーラップ→境界的実践→周縁

2025/08/11

学生にシラバスを読ませる戦略

  • 共同アノテーション:Hypothesis・Perusall
  • (同期)クイズ・(非同期)質問用掲示板
  • シラバスをNotebookLMに読ませてポッドキャスト作成

https://www.facultyfocus.com/articles/effective-teaching-strategies/beyond-syllabus-week-creative-strategies-to-engage-students-from-day-one/

2025/08/10

Islam, M.S., Fujimoto, Y., Haque, A. et al. (2025) Responsible leadership in higher education in developing countries. High Educ 89, 465–485

  • 公立大学と私立大学には、国によって文脈上の違いがある
    • 例:私立=予算に制約がある=雇用の安定に懸念がある(←これ自体が国によって異なる)
  • 本論文の場合は、バングラデシュの大学が、ポジティブなシグナル(=Responsive Leadership)を発することで、雇用安定への認識をどう変えるかが焦点
  • RL:包括的・倫理的なステークホルダとの関係を培うこと ⇔ Transformational Leadership(=主眼が、リーダー・フォローわー関係、フォロワーのパフォーマンス向上にある)
  • 調査では私立大学ほどRLが顕著→雇用不安の緩和につながっている

2025/08/09

Laivuori, M., Toom, A., Tikkanen, L. et al. (2025) How does curriculum making contribute to teaching culture in higher education?. High Educ.

  • Curriculum making:教員がカリキュラムを構築・解釈・意味づけする動的なプロセスをさす
    • 教員観でカリキュラムに関する共通の理解が前提として必要
      • これには、知識の共有とチェンジマネジメントが必要
        • 知識の共有=カリキュラム開発を巡るセンスメイキングを共有し、知識を共有するためのコミュニケーションが行われること
        • チェンジマネジメント=知識を単に共有するのではなく、そのための構造的なサポートをすること
  • フィンランドの大学教員
    • 教育学的な知識を持つ教員ほど、振り返りやフィードバックを活用する傾向がある
    • 教育学的なトレーニングと知識共有に正の相関がある
  • 教育文化の2つの指向性:個人主義と開発志向
  • カリキュラムはチェンジマネジメントと知識共有の2つが統合することで具現化される
    • こうした協働的なカリキュラム作成が、教育文化を変える
  • 実証分析でもチェンジマネジメントが開発志向文化を支えている
  • 調査項目は、チェンジマネジ目と3項目・知識共有9項目で測定(Pietarinen et al, 2017)
    • Pietarinen, J., Pyhältö, K., & Soini, T. (2017). Large-scale curriculum reform in Finland—Exploring the interrelation between implementation strategy, the function of the reform, and curriculum coherence. The Curriculum Journal, 28(1), 22–40.

2025/08/08

Zou, T.X.P., Timmermans, J.A. (2025) What is in a name? Unpacking internationalisation of the curriculum using a threshold concepts lens. High Educ.

  • Threshold concept:それなしには学習者が成長できない、理解・解釈・見方のこと
    • 8つの特徴:変容的、厄介、不可逆的、統合的、境界的、拡大された言語使用によって示される言説的、学習者の主観の転換を受け入れる再構成的、限界性
  • オンライン・デルファイ法:同じ専門家グループに3段階質問(Threshold conceptの収集→パネル形成→調査)
  • 抽出されたカリキュラムの国際化に関するTC
    • IoCとは何か?
    • IoCは教員と学生に何をもたらすのか?
    • IoCはどのように進められるか?
    • IoCは多様化とどう関連しているのか?

2025/08/05

Loughlin, C. (2025) Building higher education: the tension between espoused educational values and physical infrastructure. Higher Education,

  • なぜこれだけ学習者中心の学習が主張されながら、新たに教室が作られる時に、講義室や固定机が選ばれるのか?
    • 大学が掲げる理念と実際に使用される理論が一致していない
  • 「行動が組織的である」:異なる個性を持つ個人が同じように行動し、人が去り、新しい人が組織に入ってきても、行動がそのまま維持されていること(Argyris 1999:141)
  • ランク下位の大学では、出席率を重視する必要がある(だから講義室が必要とはならないはずだが)
  • 調査では、講義を重視するという認識は示されないが、学習者中心の学習を重視する認識も示されず、学生数増加への対応といったキャンパス体験向上が重視されることがわかる

2025/08/04

Jingjing Yao, Han Li, Zhi-Xue Zhang, and Jeanne M. Brett, (2025) Information Exchange in Negotiations: Trust Level, Trust Radius, and Harmony Concern in East Asia versus West. Academy of Management Journal,

  • 一般に、信頼・情報交換・共同利益の間には強固な関係があると言われるが、それは西洋のサンプル、中国では、信頼水準が低くとも共同利益が達成されることがある(Yao et al 2021)。
  • 西洋=信頼半径が広い=新しい交渉相手は規範的な信頼と協力に収まる交渉に限られる
  • 儒教国=信頼半径が狭い=信頼レベルが情報交換を予測しない=他者との対立や不和を避け、調和を維持しようとする ← これが交渉時の情報交換や共同利益促進の代替要因となる
  • 本研究の重要な含意:東アジア特有の、調和への懸念に動機づけられた交渉が、新たな情報交換経路となることを示す=西洋は人を問題から分離する・東洋は人を重視することが問題解決に役立つ
  • 東洋文化の下では、信頼レベルは情報交換の理由にならない。一方、調和重視、親しみやすさ、有効性、人間関係を損なう行動の回避が情報交換の理由になる(これらは、西洋文化の下では理由にならない)。
  • なぜなのか?:調和の価値は、東アジア固有の文化だから
  • 東アジアの交渉者が、情報交換を躊躇する時、それは信頼の低さのためではない
    • 信頼半径が狭いので、新しい相手との情報交換に消極的な傾向がある
    • 調和の重要性を強調することで情報交換を促せる

2025/08/03

沖清豪(2023)「日本教育制度学会における高等教育制度に関する研究の蓄積と動向」『教育制度学研究』2023(30S), 225-243

  • 高等教育機関の置かれた社会的、政治経済的、国際的状況の変容
    • 進学率上昇、男女とも同一世代の半数が大学へ進学
    • 個人レベルでの多様な情報処理が可能(PC、インターネット、スマートフォン)
    • 留学生受け入れ計画、国際ランキング重視の大学改革、教育の国際化
    • 公的資金の適切な配分のための、自己評価・外部評価・認証評価
    • 国際ランキング重視・学位の質保証を通じた互換性確保(Dサプリ、チューニング)
    • 高大接続改革

2025/08/02

Grigonoli, D., D'Ambrosio, M. and Pierzchalski, F. (2025) Gender-Based Violence in Academic Contexts: Between Capitalist Logic and Ordinary University Practices in Italy and Poland, European Journal of Education, 60(1), 1-11

  • 女性差別やセクハラ、性役割分業の不均衡による、大学組織での男性優位は、市場化で加速する。なぜか?
  • 市場化(国家主義からの解放)は、大学組織の民主化ではなく、アカデミックキャピタリズムをもたらす=NPMに基づく起業家的大学を作る=商業化(販売のために教育・研究が生産されること)・資本化(教育・研究が経済を発展させる)を進める
  • これらは、家父長制を永続させる効果を持つ(なぜ?)← 明確には論じていない?

2025/08/01

Dennis A. Rivera, Mariane Frenay, Magali Paquot, Pauline de Montpellier, Valérie Swaen, (2025) Beyond the process: A novel analytical model to examine knowledge construction in MOOC forums, Computers & Education, 235

  • オンライン学習での議論を評価する方法を開発する:LODAMモデル
    • 横軸=社会的次元:前のメッセージとの関係で競争的か協調的か
    • 縦軸=認知的次元:前のメッセージとの関係で収束的か発散的か
    • これらを5段階尺度で測定
  • これを前提に調査
    • essentially contested conceptsに注目
    • ECCについて議論する時、どのようなタイプの対話が生じるか?
    • 学習デザインを変えると、学習者はECCのどのような特徴について議論するか?
    • 社会的交流を促進する設計のMOOCフォーラムでは、学習者がECCの特徴をより多く議論するか?
    • 2つのMOOCコースの3600以上の投稿が分析対象
    • デジタル会話分析(Giles et al 2015)で分析

2025/07/29

渡邉雅子(2024)『論理的思考とは何か』岩波新書

  • 合理性と合理的行為
    • 合理:意識的に行われる行為
    • 形式合理性(道具合理的行為):手段に関わる合理性
    • 実質合理性(価値合理的行為):目的に関わる合理性
  • 合理的行為の4類型


  • 4カ国の作文の構造


  • 4領域の価値観

2025/07/28

ジェレミー・ブレーデン, ロジャー・グッドマン(2021)『日本の私立大学はなぜ生き残るのか』中央公論新社

  • 私立大学の40%が同族経営
  • 大学を閉じる=親族の持つ主要な事業を危機に陥れたり、評判に傷をつけることになる=家業を自分の代で潰したくない
  • 高等教育の状況を公立・私立セクターで分類する
    • ゲイガー(1986)
      • 大衆化した私立セクター:日本、フィリピン
      • 公立と並列する私立セクター:オランダ、ベルギー
      • 周縁化された私立セクター:フランス、スウェーデン、イギリス
      • アメリカ的私立セクター
    • リーヴァイ(1986)
      • 国家主導型:民間資金の大学がほとんどない(西欧州)
      • 公立自律型:民間資金の大学がほとんどない(オーストラリア、イギリス)
      • 公立・私立均質型:資金獲得が異なる2セクターがあり、私立セクターも公的資金を受け取る(ベルギー、カナダ、オランダ)
      • 公立・私立明確分離型・私立少数型:私立は民間資金、公立は公的資金、学生の1〜5割が私立(ラテンアメリカ諸国)
      • 公立・私立明確分離型・私立多数型:私立は民間資金、公立は公的資金、学生の5割以上が私立(日本、インド、ブラジル、フィリピン)
  • 公立大学をモデルにした認証評価など、政府が規制を押しつける方針は、私立セクターの存続に脅威
  • 大学が自分のポジションを測る方法:規模、キャンパス立地、創立年
  • 私立大学のガバナンス=二元構造
    • 学長付託型:理事会が大学の自治を尊重、学長が一番の権限を持つ
    • 経営・教学分離型:学長の責任が教育研究に限定、多くの非学術面は理事会
    • 学長・理事長兼任型:理事長が学長を兼任、ワンマン、オーナー経営、全体の22%
  • 助成と規制
    • 1970年代に始まった政府の私大助成金システム
    • 国が私立への助成をする=人口増や高スキル労働力需要へ対応しながら、在籍者数を厳しく管理できるようになった
    • 大学設置が厳しく管理される=既存大学は独占市場=需要が増える中、顧客を失わず学費を上げられる→家計も大学は私的利益と考えて許容
  • 日本の特徴は、受験の選抜度による明確なヒエラルキーや高校卒業生への高い依存度
  • 奨学金は、ヒエラルキーの仮想大学で受給割合が高く、債務不履行の割合も低ランク層で高い
  • 7年ごとの認証評価サイクルは長すぎる、本当に絶望的な大学を見つけるには、評価プロセスの仕組みが効果的にできていない
  • 日本では、同族経営組織にネガティブなイメージがある、当事者も注目を集めたくないという2点で研究が欠けている
  • 世界では、私立セクター拡大が言語的・宗教的文化の不均質性への対応、日本では、高需要に政府が対応しないコトへの対応(税金を高等教育システムに投入することを避けるために、私立大学の経営に大幅な自由を認めた
  • 家族メンバー間の信頼関係が同族経営の強み、経済が下降傾向時に力を発揮する
    • 同族ビジネスの原則
    • いい時も悪い時も節約に努める
    • 設備投資のハードルの高さを維持する
    • 借金がほとんどない
    • 企業買収が少なく、規模も小さい
    • 驚くほどの多様性を見せる
    • 国際性を持っている
    • 人材を確保している
  • 同族経営が普及している理由:少人数のメンバーが組織を継続的にコントロールでき、外からの介入や詮索を阻むことができるため
  • 問いではなく謎(puzzle)を提示せよ
  • 同族経営の特徴は、近代性と非近代性の巧みな折衷

2025/07/27

竹中亨(2024)『大学改革』中央公論新社

  • 国立大学法人評価は複雑
    • 大学を見る個別評価に、他大学を入れた比較評価を掛け合わせる仕組みだから
  • ドイツとの比較
    • 国立大学が高等教育の主柱、大学は国家が公教育という社会的要請を受けて接地したもの
  • ドイツの評価の簡素化
    • 数値指標:教育=修了者数、研究=外部資金額
    • 研究業績に関する指標が見られない
    • 新たに収集するコストがない
  • イギリスのTEF:アンケートでの学生満足度が主たる評価材料の1つ→成績インフレに
  • ドイツの教員待遇は日本と似ている
    • 待遇で研究者を動かすのは研究者をホモ・エコノミクス視する短絡思考
  • 社会インパクト論
    • 政府側にニーズがあるのはわかるが、それで評価するのは拙速(インパクトは社会側の受け取り方にも左右される:mRNAワクチンの例)
    • つまり、生み出そうとして生み出せない
    • だったら、地域貢献の方がわかりやすい
  • ドイツの大学への基盤的交付金の構造


  • 大学改革=統制強化という考えは、主要国の中では例外
  • ドイツでは、大学の法人格と経営的自律は無関係
    • 法人格を与えるか否かと予算の減額は別問題のはず
    • イギリスではもともと部局自治の伝統だったが、今は大学としての一体的行動が求められるようになり、学長などの経営陣の発言力が強まり、全学的な経営管理が強化された
    • → 政府から大学への権限委譲・学内での経営管理的統制の強化・競争の促進(直接統制から間接コントロールへ)
  • NPM:現場の裁量拡大+大学の統制は目標管理で行う
    • 達成の手段は問わない(終わりよければすべてよし)
    • 現場組織を市場競争的な環境に置く
    • 執行部に企業風のマネジメントを導入する(上意下達色の強い意志決定構造・内部統制の仕組みを設ける)
    • つまり、規制緩和であり、市場メカニズムを使った分権化
    • 日本では成功したとは言えない:規制緩和的な施策が十分に実施されなかったため
  • ドイツでは、学位プログラムの新設は大学の権限、質保証は事後の大学認証のみ
  • 大学はインプット・アウトプットに機械的な相関がない
    • 時間をかければ教育・研究の質が高まるわけではない
    • 個々のユニットの独立性が高くなる、結びつきはフラットで緩やか、構造が斉一的な企業とかなり異なるのに、同様の体制を求めてもうまくいかない→事業部制の方があてはまる
  • ドイツは目標管理という点ではおなじなのに、大学へのコントロールが違う
    • 大学は4年単位で戦略計画を策定し、政府と業績協定を結ぶ
    • 業績協定に記されるのは、大まかな指針のみ
    • 業績協定の目標には質的なものが多い(○○を実現する、○○を目指す)=方向性を幅広に表現する
    • 協定には目標しか記載しない(取り組み方は問わない)
    • 協定は選択的=大学が重要と見なす目標だけを対象とする ⇔ 日本は全ての活動を書く
    • 厳密な検証ができない以上、厳密な応報はできない


  • 自由と規制の矛盾を解決する方法は自己規律しかない(専門家集団に適したコントロールのあり方)
  • ドイツでは自己認証、自らの学位プログラムの質を壬生から審査する
    • 学内に独立色の強い審査部門を設ける ⇔ 学長室に質保証の専門家チームを置いて自己認証の業務を進める
    • お手盛りを防ぐため、システム認証、自己認証がきちんと作動しているかの審査がある
  • 大学コンロロールの類型化
    • クラークの三角形:国家統制(許認可・行政指導)、市場メカニズム(顧客獲得)、教授自治(合議的意思決定)
    • イコライザー論:大学コントロールを5要素に分解し、その強弱の組み合わせで記述する(国家規制・教授自治・外部統制・経営管理的統制・競争の5つ)


    • 今の日本の特徴
      • 法人化の規制緩和が不徹底に終わり、国家規制が強い
      • 大学のアクター化に向けて経営陣の権限を強化したため、経営管理的要素が強い
      • この反動で、教授団の合議的意思決定は交代
      • 外部ステークホルダによる統制は、経営管理的統制の陰で強くならない
  • 高等教育で市場競争が生じるという想定自体に無理がある
    • 競争自体は大きな役割を果たすべき
    • 競争環境なしに大学の自律を拡大するのは無意味、競争に対応するための自律を与えずに大学間競争を促しても意味がない
    • 今の競争は、公的資源を巡る競争
    • 競争は多元的にであるべき=優劣を定める物差しが複数あり、それぞれの物差しで複数の評価が並立する競争
    • 大学自らの意思で、選択と集中を行うことが大事
    • 多元的な競争の中で、大学は独自性を強め、選択と集中は大学間ではなく、大学内部で行われる

2025/07/26

船津昌平(2023)『制度複雑性のマネジメント』白桃書房

  • 協働する組織には、それぞれに正統で合理的な論III!があり、だからこそコンフリクトが生じる
    • 単体では正統で合理的な組織同士が、協働すると整合性をとれなくなる
  • 中心テーマ=組織が制度複雑性に対処すること
  • あまりに当然祝された規範に従い、自身の意思決定と行動に「正しさ」を感じている
  • 分業は単なる分業にとどまらず、分化していく → 分業を担う部門に権力が生じる → 社会文化的な特徴の違いに発展する(川上 2009)
    • 織的に高度化し、分業が進展するから分化し、個人への内面化が起きる
    • これは、従来、統合によって解決すべきと考えられてきた
  • 制度複雑性:論瑚の対立によってコンフリクトが引き起こされる状態
  • 制度ロジック:制度(超個人的・組織的に存在する規範や行動パターン)に関してそれらを運用する論理のこと
    • 複数の制度ロジックがコンフリクトを生じさせている状態が制度複雑性
  • 分化された組織において、複数の部門を越境することのできる人材の存在が、橘波しを可能にする
  • イノベーションマネジメント論と経営組織論を架橋する立場の研究
    • 制度ロジック多元性:logic multiplicity(Besharov & Smith 2014)
    • 組織外部から影響を受けるオープンシステム下にある前提
  • 制度とは?
    • 組織を取り巻く文化的環境(佐藤・山田 2004:5)
    • 当然視されるもの(Mutch 2018)
    • 複合的な社会規範の体系で、慣習・習律・法を含む
    • → ①慣習・習律・法などを複合した規範の体系であり、②社会的、つまり佃人や組織の固有性を超えて観測される、超仙人/超組織的なものであり、③個人や組織にとって意識・無意識に参照され、④行動を再生産するもの
  • 制度セクター:制度の分類
    • 西欧で特筆すべき典型的制度セクター:資本主義市場、官僚主義的国家、民主主義、核家族、キリスト教(Thoronton & Ocasio 2008)
  • 制度ロジック前の制度論
    • 同型化論:組織が重視するのは、効率性でも合理性でもなく、組織が正統性を得られるか(=社会的・文化的なシステムの中で認められるか)
    • 制度合理性(Lounsbury 2008):主体がどの制度を参照しているかによって合理性の測定指標が異なる
    • 制度的企業家(Institutional Entrepreneur)(Greenwood & Suddaby 2006):制度を変革する主体が登場することで、一様な状況が打破され、変化がもたらされる(=脱制度的なヒロイックな主体)→ 制度的企業家は、制度や社会の影響を低く見積もりすぎているという批判あり
    • 結局、制度論は、社会科過剰(非合理的なのに同化する)と社会化過小(制度にかかわらず変革するヒーロー)という両極端で揺れてきた
  • 制度ロジックは、これを克服した
    • Thoronton & Ocasio(1999):出版業界という制度の中で、組織が運用する主要なロジックが変化したので、制度に埋め込まれた組織の行動も変化した
      • 学術的に価値のある本を出すべき→売れる本を出すべきへの変移
  • 制度をどの粒度でカテゴライズするかで、制度ロジックの意味が変わる
    • キリスト教でくくるか、宗教(キリスト教のロジックと仏教のロジックがある)でくくるか
  • ロジックという表現
    • 特定のロジックに沿って行動することを、受動にも能動にも使える点がポイント
    • 組織は制度を参照し、自らの主導的な論理を形成する、このときの制度と組織・個人をつなぐものが、制度ロジック(=制度化で行動を基礎づけ、主体の行動を導く論理)
  • 制度ロジック多元性を構成するロジックは、社会性と事業の2つのロジックが中心
  • Besharov & Smith(2014)の制度ロジック多元性下の対応:中心性と両立性
    • 中心性:被数の制度ロジックが組織の機能に等しく有効となる、または、関連があるとみなされる程度
    • 両立性:複数の制度ロジックの実体化が、組織の行動に合致する・強化する程度
  • マクロとメゾ
    • 組織レベルの精度ロジックは、マクロ単位における制度セクターから生じる(マクロレベルに還元可能である=制度と組織・個人のインタラクションを重視する制度論における理論的基盤)
    • 組織を分析単位とする研究では、行動パターンをアドホックに説明する制度ロジックを用いるので、還元できる制度セクターが想定されず、一貫性を欠く。(組織が置かれる制度的環境との関係を記述せずに制度ロジックを用いることは、制度論の理論的背景を看過する。)
  • 一旦整理
    • 制度ロジック:ある制度において、行為主体によって運用される論理
    • 制度ロジック多元性:個人や組織は、通常、複数の制度ロジックの影響を受ける状態
    • 制度複雑性:制度に多元性が生じ、組織に両立しがたいコンフリクトを及ぼしている状況(複数の制度ロジックそのものがコンフリクトを起こすのではなく、組織が二枚舌を使うために生じる)
  • 制度複雑性はアイデンティティや規範に関わるので、十分な資源があれば解決できるものではない
  • 解釈主義の2つの意味
    • 調査対象者による事実への一次的解釈
    • 研究差による二次的解釈
    • ジオイア法では、一次、二次、具体的データの連関を図表化して表現
  • 事業ロジックと科学ロジックの例
    • 事業ロジックは自明→科学ロジックは新奇なもの→十分に理解する必要がある→まず科学ロジックを理解して実践に組み込む必要が生じる(つまり二項対立ではなく、新たなロジックを取り込むことで、既存ロジックが顕在化・析出した)
  • 第3ロジックの例
    • 科学ロジックにも事業ロジックにも由来しない、国家プロジェクトというロジック(双方に強く影響できるロジック)を道具的に活用することで、2つのロジックに起因するコンフリクトを解決するロジックを使った(ハイブリッドしたわけでも、どちらかのロジックに一元化したわけでもない)
    • 第3・第4のロジックは、元のロジックと親和性があることで、道具的に活用してもコンフリクトにならない点がポイント
  • イノベーションのモデル
    • リニアモデル:研究→開発→生産→マーケティングの一方向で進行するプロセス
    • 連鎖モデル:絶え間ない失敗からの学習、コミュニケーション、調整の結果としてイノベーションが生まれる
  • 産学連携のイノベーションモデル
    • アカデミック・キャピタリズム
      • 学術成果を収益化し、大学に商業成果をもたらそうとするモデル
      • TLOオフィスによる知財ビジネス
    • シーズ・ニーズ・モデル
      • 大学でシーズを産み、企業が持つニーズと結びつける
      • 基礎・応用区分問題が避けられない
    • アカデミック・エンゲージメント・モデル
      • 知識移転ではなく知識共創(複数の組織で七期を共創)
      • 学術成果か商業成果かの二者択一を超え、教育にも効果があるとする
  • 場の概念(space、place)
    • space:座標的な区域、外敵を入れないようにする縄張り(=物理空間)
    • place:縄張り内の価値を含む(どこが安心でき発揮できる場所か)(=価値空間)
  • 精読不雑性に対応する際に注目する側面:組織の構造、認知、採用されるイノベーションモデル、それを包摂するスキームの4つ
  • 制度は、時代・国によって意味内容が変動・変化する
    • それなのに理念型として端的に描き、複数の制度を対立構図に置いて単純化すること自体が問題
    • 現象に対して境界を引き、理念型を指定するのは、研究者による恣意
      • マクロな文脈を無視して切り取った組織を対象に、安直な二項対立構図をあてはめて研究を量産するべきでない
  • 分断は二者が明確な線引きで別れた時に生じる、自らを正答と見なして相手の批正統制を喧伝する時に分断が生じる。
  • 人間は対立構図を用いて説明する癖がある
  • 組織は制度のなかに蝿め込まれるからこそ安定する。安定は分化を生み,分化された組織や部門は、区分化されて先鋭化する

2025/07/25

金間大介(2022)『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』東洋経済新報社

  •  人前でほめないでほしい2つの背景
    • 自己肯定感が低い:基本的に自分はダメ、その心理状態のまま人前でほめられると、ダメな自分への大きなプレッシャーになる
    • ほめられたことを聞いた他人の中の自分像が変化したり、自分の印象が強くなるのを怖がる
  • 自分や他人に不利益な結果を与えられると、自ら選択したことを後悔したり、選択そのものを避ける心理作用が働く
  • 恐怖は瞬間的に唐突に訪れるので、とても強く、反射的に自分を支配し、長く確実にその後の人生を支配する
    • 自分が属する狭いコミュニティの人達に目立つことが恐怖
  • 若者は社会情勢を見て行動を決めているのではなく、昨日今日の自分の周りの空気感が全て
  • 就活で好まれる安定した会社=安定したメンタルで働けるという意味
  • 若者にとっての社会貢献=貢献する舞台を整えてもらった上での貢献
    • 責任を取る誰かがおり、調整や意思決定をしてくれ、その上で自分らしさを発揮するお膳立てをしてもらってからするのが社会貢献、最後に君がいてくれて本当に良かったと言ってもらうもの。
    • つまり、社会貢献は、身近な人達からの承認欲求の向かう先
  • 他人と比較して自分は何点だと思うか(-5〜+5で評価)


    • 実際にはそれほど思いやりがあるとは思えない、それほどリーダーシップがないとも思えない
    • (常に上との競争をしてきた帰結か?)
  • 支援者と被支援者の関係性がすぐに分かる支援:自分を中心とした、自分のやりがい、そのわかりやすい関係性を求めている
  • 頼まれたらやる自分をしっているから、自分は人より優しいという自己評価になる
  • 日本の大学生:自分に関する不足感が大きい(ビジネス知識がない、経験がないなど)
  • 自分に自信がない・自己肯定感が低いゆえに作動する欲求が、貢献欲求(承認欲求の一種)
  • ただ乗り問題
    • 日米比較の調査
      • 日本人はフリーライド傾向がある
      • それを見た他の人は、自分の損を顧みずに報復行為をとる(スパイト行動)
      • 協力しないことが怖いことを学習する
      • 結果的に日本人は、比較的協力的な行動をとる(本当?)
    • モチベーションの源泉には報酬がある(内的と外的)
    • アメリカ人=人は与えてもらう時よりも与える時の方が、より強く幸福を感じる
    • 日本人=公共財の負担は義務、または、何らかの形で決められたシステムの一種
    • 日本人は、ポジティブな共助が苦手
    • アメリカ人は、内的報酬を満たすための共助、日本人は他人・隣人が怖いために共助ではなく公助に頼る
    • 日本人は見知らぬ人とコミュニケーションを取ることが極端に少ない
    • 徹底した自己責任主義が、極端な内向き思考と他者への恐怖心を生んでいる
  • 集団の規模が大きいほど、不確実で挑戦的な課題に直面した際、集団の愚に陥りやすい
  • いい子の症候群:教わったもの・与えられたものは自分のものではないという認識
    • どんなに重要なことを学んでも自分のものではない→就活PRがバイトとサークルになる、これでは自己肯定感は一生上がらない

2025/07/24

矢野眞和(2023)『今に生きる学生時代の学びとは』玉川大学出版部

  • 教育効果を論じる4つの窓

  • 大卒ホワイトカラーが一人前になるのは、どの国でも30歳ぐらいの年数が必要だと考えられている
    • 大学卒業から30歳までの期間が長い日本では、短い国と比較して、卒業直後には大学知識の有用性が低いけれども、その後の経験を通して有用性が高まる
  • 大学の選抜度を問わず、個別の大学を取り上げれば、その範囲で学び習慣仮説が成り立っている
  • 政策科学では、内部システム(教育システム)の最終結果(出力)がアウトプットであり、そのアウトプットが外部システム(教育の外にある社会経済システム)に与える影響の総体をアウトカムという
    • 個人レベルでは、教育システム内で身についた学力や規範がアウトプット、そのアウトプットが外部システムである卒業後の人生(働き方、所得、仕事の満足度、健康など)に与える影響がアウトカム(ラーニングアウトカム批判)
  • Gritで使われたやり抜く力の測定法:情熱の5因子と粘り強さの5因子
    • 私は挫折してもめげない。簡単にはあきらめない
    • わたしは努力家だ
    • いちど始めたことは、かならずやり遂げる
    • わたしは勤勉だ。絶対にあきらめない
    • 重要な課題を克服するために、挫折を乗り越えた経験がある
    • 5件法で回答、あまり考え込まずに、同僚や友や家族とくらべてどうか、または、たいていの人とくらべてどうか、と考えて回答
  • KJ法での分類:既成概念にとらわれずに現場の声を吸い上げてグルーピングする方法
    • 既成概念で分類するなら、何のために言葉を収集したのかわからない
  • 経済学と社会政策の対立思考
    • 経済学=価格を媒介にして、お金を支払ってでも手にいれたい欲望(=需要)に資源を配分する市場メカニズムを理論化
    • 社会政策=価格ではなく選挙による立法府を媒介にして、好ましい社会の必要(social needs)に資源を割り当てる官僚的ルールを設計するプロセスを理論化
    • 市場と政府の二つの社会装置に私的ニーズを充たす社会的ネットワーク(家族・コミュニティ・非営利組織)を加えれば、社会問題の所在を理解しやすくなる

2025/07/23

佐藤郁哉(2024)『リサーチ・クエスチョンとは何か?』ちくま新書

  •  リサーチクエスチョンの定義:社会科学系の実証研究のさまざまな段階で設定される研究上の問いを疑問文形式の簡潔な文章で表現したもの
    • 実証研究のための問い、疑問文形式、簡潔な表現、研究のさまざまな段階で設定される問いという4点
  • 調査という言葉自体に、調査する側・される側という不均等な関係を暗示する意味が含まれる→慎重に配慮する
  • 日本語のリサーチには、調べ物に近い意味がある
  • →ここでは、調査研究において設定される、資料やデータの分析を通して、一定の答えを求めることができる問いに絞る
  • 社会調査における2W
    • 実態を明らかにする問い(What):どうなっているのか、事実関係・物事の記述に関する問い
    • 因果関係を解明する問い(Why):なぜそうなっているのか、因果・物事の説明に関する問い
    • つまり、記述の問いと説明の問い
    • ただし、Whyは曖昧な問いになりやすい:方向性と明確さが欠けているため
      • → Who、When、Where、What、Howなどによって言い換える
  • 書くことで調べる
    • 調査は数人のインタビューが終わった段階で原稿を書く
    • ストーリー性のある原稿を各作業が、リサーチ・クエスチョンの大幅な見直しにつながることが多い
  • 良い問いの3条件:意義、実証可能性、実行可能性
    • 調べる価値や意義があり、データによって答えを求めることができ、かつ、調査を行う者の身の丈にあった問い
  • 調査研究には、事例について知ること、事例を通して知ることの両要素が含まれている
  • 統計調査も、時間・空間を限定した特定の対象から得た情報にもとづく意味では事例研究

2025/07/22

阿部幸大(2024)『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』光文社

  • 英語圏のAW教育に見るアーギュメントの強さ
    • 強い動詞を使え:他動詞モデルでは、動詞の強さとアーギュメントの強さは表裏一体
    • 受動態を避けろ:誰が誰を排除するのかが文法的に避けられない(ないがしろにされている→排除する)
    • Iの積極的使用:自分の主張を出し、その論証に責任を負う
  • 先行文献を引用する=他人の意見を引用しない限り、自分のアーギュメントにアカデミックな価値があることを示すことが構造的に不可能
    • 論文は常に一種の反論として書かれるため
    • 否定と主張のセットがアカデミックな価値を創る上での必須条件
  • 人文学の機能の1つは、常識を刷新すること
    • 同性愛者は変態→変態理論(Queer理論)問うこと我を使って反撃→常識を覆す
  • 論文とは、イントロで飛躍したアーギュメントを提示し、本文の論理的なパラグラフでその飛躍を埋める文章
    • 人文系の論文が長い理由=アーギュメントが大きな飛躍を伴うから
  • 1パラグラフ・1トピックの法則=本文全体でパラグラフ数とトピック数は一致する
    • → パラグラフを作るには、まずトピックから育てる
    • ただし、初学者にはトピック(単発のアイディア)をパラグラフに構築するところが難しい
    • 1パラグラフで論証可能な規模のトピックであれば、パラグラフになる
    • 飛躍のないものは、ファクトとロジック
    • パラグラフには、小さな飛躍を伴うトピックセンテンスが書かれ、他の文章は事実と論理だけを書く
  • 文献を読んで調べた情報をパラグラフで使う
    • 細部を記録しておくことが必要
    • 初学者の文章がスカスカになる原因
    • パラグラフに使える可能性のあるデータは片っ端からメモする
  • パラフレーズは、文章作成の最重要技法
  • アーギュメントの提示には、アーギュメントを詳述するパラグラフを1つ用意する
    • アーギュメントの真意を伝えるための必要十分な周辺情報・文脈を入れる
    • 週ちょうどや視点を変えながら、アーギュメントを何度かパラフレーズする
    • 先行研究と違うことを示すのではなく、アーギュメントに価値があることを伝える
  • 先行研究の整理に1パラグラフを使い、複数の先行研究が同じことを言っていると述べる
  • 複数の先行研究が暗黙のうちに共有している前提を見出し、そこに介入すると宣言する

2025/07/21

河村茂雄(2025)『ピアフィードバックのゼロ段階』図書文化社

  •  ピアフィードバックには対話が必要
    • 会話=価値観を共有する仲間との交流(不安の強い現代は会話の形成も困難)
    • 対話=他者との相互理解を目指して行う交流
  • なぜ表面的なピアフィードバックになるのか?
    • 評価する力量の形成不足
      • 学習者に事前に評価の方法を学ばせ、練習が必要
      • 指導者がまずやって見せ、学習者に練習課題を評価してもらい、それにフィードバックする
    • 人間関係の問題
      • 不安が強い、人間関係が悪い
  • グループの人間関係状態
    • 1:対立や軋礫が頻発し‘協働どころか一緒にいること自体が不快な状態
    • 2:他者と関わりたいと思えず,相互に無関心でかかわりもない状態
    • 3:グループという意識がもてず,気の合う人とだけ個で関わっている状態
    • 4:事務的に所属しており,やらされる形で一緒に活動している状態
    • 5:同じ価値観を有し気心が知れた「仲間」が形成され,この良好さを維持するために,互いに相手を肯定的に評価し合う「会話」で交流している状態
    • 6:互いに高め合うために,「仲間」以外の相手とも,批判的な思考に基づく「対話」ができる状態
    • 7:価値観も宗教も多様な人たちと,共通の目的を達成するために‘みんなと批判的な思考に基づく「対話」ができる状態
    • 1・2=ピアフィードバック以前、協働活動もできない
    • 3・4=形だけの協働活動
    • 5=人間関係がよい状態
    • 6・7=対話にはこの段階が必要
  • 学習には、受容・発見と有意味・機械的の2次元がある(Ausubel)
    • 受容・発見軸:学習内容がどう学習者に伝達されるか
      • 発見=学習者が自らの仮説を立てて検証することを通して学習が進む
      • 受容=学習内容が完成された形で指導者から示され、それを受容するよう学習が進む
    • 有意味・機械的軸:学習内容が学習者にどう受け入れられるか
      • 有意味=新しい知識が学習者の既有知識構造と関連付けられるよう学習を進める
      • 機械的=新しい知識を構造化できない
    • 教えて考えさせる授業が有意味発見学習
  • SBIフィードバック:振り返りを結果に対する反省ではなく、プロセスに対する認め合いにする
    • ○○さんは、今日の司会で
    • 状況:みんなをリードしていた
    • 行動:積極的に流れを創る発言をしていたから
    • 影響:みんなの話す量が増えました
  • 同一化傾向の集団:安定度高×活性度高
    • 何をするか:率直に自己開示する機会を増やす
    • どうするか:正解のないテーマの学習に取り組む
    • ピアフィードバック:KPT型(Keep=継続すべきこと、Problem=課題、Try=改善点)で考える
  • 形骸化傾向の集団:安定度高×活性度中
    • 何をするか:受容的なフィードバック機会を増やす(認め合い、励ましを多くもらう)
    • どうするか:プロセスに対する認め合いを促す(SBIフィードバック)
    • ピアフィードバック:リーダーだけでなく、全メンバーにSBIFB
  • 空洞化傾向の集団:安定度中×活性度中
    • 何をするか:適応行動に価値があることを知る(安易な同調や安全行動ではなく)、適応行動を伴う課題を指導者が与え、係や班の目的を説明し、行動のひな形をつくり、役割交流を中心に活動する
    • どうするか:ピアフィードバックのひな形を用意し、細かく構成して取り組む
    • ピアフィードバック:活動の進み具合・様子、活動でよくなったこと、頑張ったメンバーの様子の3点を発表
  • 無気力化傾向の集団:安定度中×活性度低
    • 何をするか:自己中心的な安全行動の定着を壊し、適応行動の価値や達成感を少しずつ味わう
    • どうするか:まず個人行動→ソーシャルスキル+小グループ活動、緩やかに・短く・低いハードルの関わり方を積み重ねる
    • ピアフィードバック:できた適応行動に、教師が意味づけをする
  • 防衛的風土の集団:安定度低×活性度低
    • 何をするか:集団活動への抵抗感を減らす、頑張る人を否定する行動に対応する
    • どうするか:あえて個人活動に取り組む、その際に枠を用い、枠の中で活動させる
    • フィードバック:教員が、進み具合、よくなったこと、求める支援について話す

2025/07/20

山川修・早川公(2023)『ディープ・アクティブラーニングのはじめ方』春風社

  • ディープ・アクティブラーニング:3つの要素
    • 深いアプローチ:概念を自分で理解しようとする学習(浅い=授業で与えられたことを満たす)
    • 深い理解:転移可能な理解
    • 深い関与:目の前の学習に興味を持って取り組む
    • 3つを満たす学習モデル=円ゲストロームの拡張的学習
  • 探究的学習の6ステップ(エンゲストローム 2010)

  • 地域PBLでの6ステップ


  • どうやって問いを立てるか?→ひな形をデザイン思考に沿って提供
    • (1)なぜ?(着眼)のコツ:一歩下がる(知っている感覚を脇に置く)、他の人が何を見失っているかに気をつける、前提条件を疑う、今抱いている疑問を疑う
    • (2)もし〜だったら?(発散)のコツ:通常組み合わせないものを組み合わせる、わざと間違える、様々な視点から考えたあとしばらく放置して熟成、散歩で考えることを意識せず考える
    • (3)どうすれば?(収斂)のコツ:まず試してフィードバックをもらう(思考ではない)
  • 質問ワーク:(1)メンバー間の信頼関係を高める、(2)問いの投げかけを通じて課題の本質を探究する
    • 人数:3〜6人
    • 時間:1人20分×人数
    • 準備物:なし
    • 進め方
      • (1)まず1人1分で、自分が解決したい課題に関して話す(全員が話す)
      • (2)誰(フォーカスパーソン: FP)の課題に関して取り扱うかを決める(1分)
      • (3) FPが、自分の課題に関して再度説明する(1分)
      • (4)サポートパーソン(SP)が質問を行い、それに対して誰かが答える形でワークを進める(10分)
      • 5)メンバー全員が質問ワーク中にキャッチした課題の本質に関して手短に述べる。ただし、FPはSPの話を聴いた後で最後に話す(3分)
      • (6)質問ワークをして何を発見したかを話しあう(5分)
      • (7)時間がある場合、(2)に戻り次のメンバーの課題に向きあう。
  • 地域PBLは5日間の集中講義
  • SBIフィードバック:状況(Situation)、行動(Behavior)、影響(Impact)
    • メンバー間の信頼関係を創るため、1日の始めに、リーダーシップの3要素のどこを自分で意識するかを宣言する
    • 1日の最後に、SBIの観点で、他のメンバーにフィードバックする(どういう状況で、どういう言動が、私に影響を与えたかを伝える)
  • URシート(U-Reflectionシート):U理論をベースにシート記入
    • 今日の活動中で、驚き・興味・不満・不安・違和感を感じたか?
    • それらの経験から何が分かるか?どういう意味を持つか?(発見)
    • 発見を生かすために考えられることはあるか?
    • 今日の感想を自由に書いて
  • デザイン思考はコトづくり ⇔ 従来思考はモノづくり
  • デザイン思考の5段階
    • 共感:相手の立場に身を置く、フィールドワークをする、
    • 問題定義:さまざまなデータをもとに真の問題を設定する、共感をアイディアにするため、共感マップで整理する(ユーザの言っていること、考えていると思われること、やっていること、感じていると考えられることの4つで分類する)
    • アイディア化:3つのアンラーニング(社会的に正しいこと、実現可能なこと、価値のあることを発想しないといけないという前提を捨てる)
    • プロトタイピング:作り込みすぎず、この程度で十分 & 数を出す
    • テスト:ユーザに体験してもらう
  • PBLのスケジュール
  • 発表は2分のストーリーテリング
    • PPTで落とされがちな、感情や心情を表現するのに適している
    • 4つのツールキット
      • プロット:起承転結、行動・葛藤・解決策、ピクサーピッチ(むかしむかしあるところに、毎日、ある日、それによって、またそれによって、最後には)のどれかの枠で考える
      • 構造:プロットを支える設定
      • 役割・役柄:配役を決める
      • 関係性:親子を、社会的属性で捉えるか、どう接していいか分からないととらえるか

2025/07/19

森口佑介(2024)『つくられる子どもの性差』光文社新書

  • 親が子どもをつかんだりたたいたりする関わり方をすると、子どもの攻撃背が高まる
  • 身体的な管理・体罰を子育ての手段としては絶対にするべきではない
  • 幼児期までに育ってほしい10の姿:健康な心と体、自立心、協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活との関わり、思考力の芽生え、自然との関わり・生命尊重、数量・図形・標識・文字への関心と感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現
  • 実際の成績では男女で読解力は同じ、親は女子は読解が高いと考える、親の思い込みが興味を持つ分野に大きな影響を与える
  • 一次感情と二次感情:
    • 一次=基本感情:文化圏に関係なく持つ、喜び、驚き、悲しみ、怒り、嫌悪、恐れの6つ
    • 二次=高次感情:文化によって異なることがある、自分という意識が必要な感情
  • 共感(empathy)と同情(sympathy)は違う
    • 共感=他者と同じ感情を経験すること(自分と他者の区別なし)
    • 同情=他者に対して表出する哀れみに近い感情(自分から他者へ向けた感情)
  • 2〜3際ごろに自分を女の子・男の子と見なすようになる。その時の周囲の人の期待・働きかけで、○○らしい行動や選択をしてしまう→ジェンダーステレオを形成する
  • 親や教師が子どもへの関わり方を男女で変えている、その結果子どもも心の性差をつくっている。それは無自覚に行われている。

2025/07/18

マッツ・アルヴェッソン, ヨルゲン・サンドバーグ(佐藤郁哉 訳)(2023)『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方』白桃書房

  • 読者がそれまで当然視していた各種の前提に対して挑戦を突きつけるようなものでなければ、広範な関心を集めて大きな影響を及ぼしていく可能性は低い
  • ギャップ・スポッティング方式でリサーチ・クエスチョンを作成すると、先行研究の根底にある理論的前提の大部分を特に問題視しない
  • ギャップ・スポッティング=問題を過小評価 ⇔ 社会構築主義・ポストモダニズム・フェミニズム・批判理論=問題を過度に強調(=実証主義的な経営科学の基盤に対して衝撃を与え、その安定性を揺るがすことができていない)
  • リサーチクエスチョンの構築:先行文献の根底にある前提を再検討することによる問題化
  • リサーチクエスチョンのタイプ
    • 記述的:何らかの現象を構成する要素について明らかにする(=本質・機能・根拠)(オンライン環境において学生の学習はどのようになされるか?)
    • 比較的:複数の現象間の関係に関する知識を生む問い(=相違・同等)(福祉サービス受給者の間で、男女間にはどのような類似点と相違点があるか?)
    • 説明的:複数の現象とその属性の間に存在する相互関係に関する知識を生む問い(=相関・条件)、属性間の比較に関す津知識を前提とする
    • 規範的:物事がどのように行われるべきかに関する知識を生む問い(同性愛への敵を持つ集団における、受容態度の改善)
  • ギャップ・スポッティングの基本形
    • 混乱:先行文献の中から対立点を見つける
    • 軽視・無視:先行文献で軽視・無視されている点を明らかにする(見落とし、不十分、実証データの裏付け不足、特定の側面の検討不足)
    • 適用:理論や概念の新しい適用可能性を明らかにする(先行文献の拡張と補完)
    • これらの組み合わせもあり
  • 組織のバッファリング:現場レベルの業務から脱連結された正当化榊造を榊築し、それによって現場の業務は制度的プレッシャーから「免れて」、従来どおりに実施されることも多い
  • 面白い研究:紛れもなく自明の事実のように見えることが実際には事実ではないことを示す
    • 組織化:特定の現象が組織化されていると思われているのに、実は無秩序であると指摘する
    • 抽象化:個人レベルの特徴・傾向という前提や通念に挑戦し、実際にはそれが社会全体レベルにおける現象である(あるいはその逆)ことを指摘する
    • 相互関係:相互にに無関係であると想定されてきた対象同士のあいだに実際には何らかの関連があると示す
    • 因果関係:原因と結果の関係にあると考えられているものの中で、それ自体が独立して成立している現象(独立変数)と考えられていたものが,実際には何か他の現象によって引き起こされて従属的に生じる現象であることを示す
  • 理論は何もない真空状態の中にそれ自体が独立して浮かんでいるような言|リlではなく、常に当面の研究テーマに関して研究者が抱いている前提にもとづいており,またそれに制約されている
  • RQを生むには、研究テーマに関する既存の理論の根底にある前提に光をあてて,それに対して挑戦する
    • 反帰納(counter-induction):異なる理論的立場に含まれている,互いに矛盾する前提を相互に比較してみること.なじみの理論的立場の前提を、それとは矛盾する前提と比較する
    • 例:ゴミ箱モデル=意思決定の合理性という通念を否定、「組織化された偽善」というアイデアでは、組織において、組織逆営の柔軟性を維持するため、話し合い・決定・実践という3つのプロセスが相互に脱連結される傾向がある
    • 例:ジェンダー実践=ジェンダーを生物学的・固定的なものでなく、日常の相互作用の中で持続的になされる社会的行為を通して実現されるものとして概念化
  • ギャップ・スポッティングなロジックを強化する学者の規範
    • 蓄積規範:学術的な知識は、特定の分野内での漸進主義的な蓄積を通じて前進していくということを想定
    • 言及規範:他の研究者の基礎の上に立脚し、それらの研究を引用することの必要性を強調
  • ヒューリスティクス:「既に語られていることに対して疑問を投げかけ、それを新しいアイデアや見解に変えていくための」ツール(Abbott 2004)
  • 問題化の骨子=研究活動の根底にあって,当然視され不問にされることが多い各種の前提を問い直していくこと。その上で.代替的な前提基盤を作り上げ,それを踏まえた新たな問いを生み出し定式化して新たなアプローチによる研究と議論の出発点にしていくこと。

2025/07/17

溝上慎一(2023)『インサイドアウト思考』東信堂

  • インサイドアウト思考:思考の初発プロセスに焦点を当てた思考
    • 自由にいろいろ考えてみよう、考えを作っていこう、の思考様式
    • 原初的な創造的思考
      • 創造的思考は、価値観が多様化した現代社会において、人々の個性化する人生を構築するために必要な思考
      • ああらしい考えなら、どんなものでも立派な創造的思考
  • アウトサイドイン思考:論理的・批判的思考
    • 思考した結果を受けてその思考がどのようなものであったかを吟味する思考様式
  • 思考とは:情報処理を推し進めて、ある状態を作り出す働き、または、それに向かうプロセス
  • 創造的思考:社会的評価、アハ体験、心的飛躍の要因を取り除き、情報処理の初発プロセスに移動させる必要がある
  • 外化:認知的な情報処理プロセスを内と措定した時の、外への出力を指す(認知的な情報処理プロセスの内部を通って外に出力されること
    • アクティブラーニングは自分の考えや理解を外化すること
  • リフレクションは、変えられない過去を反省するのではなく、未来に向けた思考を行うことに意味がある(=アウトサイドイン思考とインサイドアウト思考が相補的に組み合わされたもの)
  • 自分とは何者かの定義は、個人が自由に行うもの
    • それを心の底からこれでいいのだと感じるには、重要な他者や社会から是認される必要がある(エリクソンのアイデンティティ問題)
    • デュルケムの近代的個人化:社会の単位が家族や近隣関係などの中間集団から個人へ移行し、中間集団との媒介的関係を通して個人化が進んだ(中間集団の伝統や慣習の束縛から解放され、自由や独立を獲得する形で自己定義が可能になった)
  • 近代国家の学校教育:生まれ育ったコミュニティや社会の伝統から脱文脈化した、汎用的な知識・技能を基礎・基本として習得する場所
    • 汎用的な知識・技能を土台として、個人のライフを構築することが求められるようになった → より高度な知識技能を習得してライフを構築する人が出る(進学者)
  • 探究的な学習は、学習パラダイムにウェイトをかけた学習であると同時に、教授パラダイムを求めるもの

2025/07/16

山内祐平・池尻良平・澄川靖信(2024)『EdTechで創る未来の探究学習』明治図書

  • 「探究」に共通する要素:学習者が「物事を発見すること」
  • 探究学習のフレームワーク


  • 本書の探究学習の定義:物事の本質を発見しようとする一連の学習活動
  • 想定する探究学習のモデル


  • 教師データ=正解がついているデータ
  • 歴史の探究:一般にWhy型・How型の問いがよい
  • 探究学習では、問いがなぜ大事なのかをていねいに説明する
  • 問いの表現がその後の学びに大きな影響を与えることを知っている教員は多い ⇔ この感覚は児童・生徒にはほとんどない
    • 受験やテストの影響などで「問いは与えられるもの」という意識を持っている児童・生徒が多く,そこでは常に推敲された問いが用意されているため,問いの持つ影響力を知る機会がないため
  • 文献調査の探究は、どの文献を収集対象にするのかを明確に決め,他の人も同じように収集できるように収集方法を公開することが必要
  • 誰に発表し、誰と議論するのかという観点から「発表・議論」の場をデザインする
    • このフェーズでの学習を高めるだけでなく、螺旋的につながる2度目の探究学習にも大きな影響を与えうる
    • 同学年だけで形式的に発表し合う高校よりも、下の学年や外部の人が参加して発表・議論する場をデザインしている高校の方が、主体的に2度目の探究学習をしている生徒が多い
  • 問いづくりが難しいのは、それが学習者の興味関心や生活経験にねざしており「問うてみたい」という動機を持っているという個人的な文脈と、探究することによって今までにない新しい知見を他者にもたらすことができるという社会的な文脈を同時に満たす必要があるから

2025/07/15

李在鎬・青山玲二郎(2025)『AIで言語教育は終わるのか?』くろしお出版

  • 記号接地:ことばの意味を本当に理解するためには、まるごとの対象について身体的な経験を持たなければならない。
    • 記号を別の記号で表現するだけでは、いつまで経ってもことばの対象についての理解は得られない。AIは記号接地をまったくしていない。
  • AIの言語が設置していないと本当に言えるか?
    • 接地:身体性を有した主体としての言語話者が言語記号を自らの感覚や思考と結びつけることではなく、語彙や文法といったシステムに内在化された、言語表現の背後にある認知主体とその視点の存在を、記号的に「埋め込む」こと
    • 大規模言語モデルを用いた今日のAIは、人間にかなり近いレベルでの接地に成功していると言える。
      • ここでの「接地」とは、思考の背後にいる主体とその視点を、個々の言語が持つ規則または規範に基づいて記号化し、表現全体の中に埋め込むというプロセスを指す。

2025/07/14

小熊英二(202)『基礎からわかる論文の書き方』講談社現代新書

  • アメリカで習うパラグラフ
    • いろいろな役割を持つパラグラフの書き方を習い、部品を組み立てるようにして、エッセイを書く(=積み木モデル)
    • 基本形式(Opinion essay)
      • 最初のパラグラフ:象徴的な物語・ナラティブで読み手の関心を引く
      • 本論第1パラグラフ:データで現状を記述する
      • 本論第2パラグラフ:他国と比較して問題を明確化する
      • 本論第3パラグラフ:原因や影響を分析する
      • 最後のパラグラフ:やはり格差の問題だ、こういう対策をすべきだと結論する
  • アメリカのライティング教育は、内容以上に形式が評価される(essayの元の意味は試論)
    • 日本の国語教育は、主人公はどういう気持ちか、筆者の言いたいことは何かなど、相手に共感する能力を訓練する
    • 作文は自分の気持ちを素直に書くことが求められる
  • なぜ形式を指導するか?
    • 文化の違う相手には、感情や人柄で説得が難しいから→論理で説得する技法が重視される
    • 形式で評価する方が、客観的な評価をしやすい
  • 論証に使う根拠は文献・調査・実験で調べたものに限る(レポートでは必ず出典を明らかにする)
  • レポートにない卒論の特徴
    • 自分の研究はどこが新しいのか、これからどういうやり方で研究をするのかの2つを示す
  • アメリカ型の論文形式:説得の技法が発展したもの、真理探究の技法ではない
  • IMRAD形式と序論・本論・結論形式(ハンバーガーエッセイ形式)
  • 論文は全ての過程が公開されている必要がある
  • 主題・対象・方法問題
    • 対象=目で見たり耳で聞いたりして調査できるもの
    • 主題=調査で明らかになったデータをもとにした、論証したいと考えている普遍的な問い
    • 小さく絞るのではなく、具体的に調べられる対象から普遍的な真理を探究する
  • 大学で教えられている学問
    • 経験的に観測できる対象から、観測できない主題を探究する学問
    • 主題と対象を意識的に区別すると良い
  • 主題は問いの形で立てる、具体的に調べられる対象から問いを探究する、自分が調査可能な対象を設定する
  • 方法と方法論
    • 方法論はレシピ=個別の方法を組み合わせて1つのシステムになっていること=材料の調達→盛り付けにはいかない、調達→調理→盛り付けという順序が必要
  • サンプリング
    • 無作為抽出でなくても、極端な例でもいい、なぜその対象を選んだのか、それを調査して何を明らかにするかによる
  • ナラティブ分析
    • 個別の事実をつないで1つの筋書きにする語り方(同じ体験をしても、その語り方が全く違う=個別の事実をつなぐまとめ方が違う、それを分析するのがナラティブ分析)

2025/07/13

松下佳代・前田秀樹・田中孝平(2022)『対話型論証ですすめる探究ワーク』勁草書房

  • 3つの論題:論題=議論の主題
    • 事実論題:事実の有無・審議を議論の対象とする(原子力発電所が日本で最も多いのは福井県である)
    • 価値論題:価値判断(善、美しさ、重要性)を議論の対象とする(地球温暖化対策として、原子力発電所の活用が大切である)
    • 政策論代:行動や政策の是非(ある行動を取るべきか、ある政策を実施すべきか)を議論の対象とする(原子力発電所を廃止すべきである)
    • 政策論代の中には、事実論題と価値論題が、多層的に含み込まれた構造になっている
  • 問題・課題・問い
    • 問題:ある対象や状況についての問題意識やその背景、そこから設定した課題や問いを包含する
    • 課題:疑問だ、解決すべきだ、知りたいと思う問題の領域や具体的な事柄
    • 問い:課題の粒度を小さくした問い、中でも探究上の問いをリサーチ・クエスチョンという
    • 問いづくりのポイント


  • 問いをブレイクダウンしてリサーチクエスチョンを立てる
    • なぜを問う→どうなっているのかという実態を問う問いを挟む→さらになぜと導く
    • 例:なぜ地域によって大学進学率は異なるのか?→直接答えず、日本の大学進学率はどうなっているのか?、と実態を問う→地方において、男子と女子でなぜこれほど大学進学率は違うのか?と問う→地方における女子の進学率が、男子と比べて低い地域にはどのような特徴があるのか?←探究ができる粒度の問い(=リサーチクエスチョン)になった
  • 仮説は、事実の観察と、文献から浮かび上がる
    • むしろ、問いと仮説を思いつくように文献を読む→文献を読む時に4つを探す
      • 目うろこ、激しく同意、納得いかない、激しく反発
    • 主張=仮説のうち、根拠や対立する主張への反駁を通じて正当化されたもの
  • 事実・論拠・主張
    • 事実・データ:個別低・具体的
    • 論拠・理由づけ:一般的・抽象的
  • 論拠・理由付けのタイプ
    • 因果関係:放射線を受ける(原因)と、動植物に奇形が生じる(結果)
      • 事実:原発近くで奇形の花があった
      • 論拠:放射線を受けると動植物に奇形が生じる
      • 主張:この花は原発事故による汚染で生じた
    • アナロジー:2つの対象の類似性に基づいて主張を導く
      • 事実:Aは性質Pを持つ
      • 論拠:AとBは類似している
      • 主張:Bも性質Pを持つだろう
    • 規範:〜は良い・悪い、〜してもよい・いけない
      • 事実:死刑は罪を償う機会を奪う
      • 論拠:何人も罪を償う機会を奪ってはならない
      • 主張:死刑制度は廃止すべきだ
    • 権威:専門家の見解に依拠する
      • 事実:XはPと主張している
      • 論拠:XはPに関して信頼できる専門家である
      • 主張:Pは正しい
  • 結論を示す
    • 事実論題:XはAである
    • 価値論題:Aはよい・重要だ
    • 政策論代:Aを行うべきだ

2025/04/29

Mutanga, O. (2025) Resolving the public–private good binary in higher education using Ubuntu philosophy. High Educ,

  • 教育の公的側面と私的側面の境界は曖昧
    • 高等教育は公共財:市民参加、社会的結束、経済発展への貢献
    • 実際は、経済的資源があることが入学の条件(授業料徴収)
  • カリキュラムの商品化:知識生産より経済的要請によるカリキュラム(科学・工学>人文社会)
  • 公共・私益の二元論では大学は捉えられない:大学は本質的にハイブリッドな機関
    • 高等教育が植民地時代の事業から生まれたポストコロニアル文脈で、この二元論は特に問題になる
    • → 高等教育を共有された関係的な善として認識する統合的アプローチが必要=相互責任、倫理的スチュワードシップ、認識論的正義の場
  • Ubuntu哲学:対話・熟慮・尊重
  • 教育は関係善(共有材)
    • 集団的責任・倫理的参加・世代間公平性
    • 参加型ガバナンス、責任分担に基づく資金調達、社会インパクト優先の指標(⇔ 市場主導型のランキング指標)

2025/03/21

Supporting the Instructional Design Process: Stress-Testing Assignments with AI

  •  論述課題を出す前に、学生がどのような点でつまずきやすいかを判断するためのプロンプト


I'd like to analyze a n assignment prompt for potential issues before giving it to students.
Here's my context:

[Insert course level, subject, and modality] [Insert key student demographics and
characteristics]

The assignment prompt is [discussion forum, written assignment, etc].
A few things I’m concerned about are : [ xxx].
Here's the assignment prompt I ’d like you to analyze: [ Insert prompt text]

Please simulate 30-40 student responses across different skill levels and provide an analysis that includes: [some possibilities include:]

1. Common misinterpretations students might make
2. Structural or organizational challenges
3. Content development patterns and potential issues
4. Population-specific concerns based on my student demographics
5. Hidden assumptions in the prompt that might need clarification
6. Key strengths of the prompt that should be preserved
7. Suggested refinements prioritized by importance

Please provide this analysis in a clear, organized format focusing on action able insights rather than showing the simulated responses themselves.


2025/03/16

Wu, H. & Pan, Z. (2005) hat Deserve Studying the Most? A Q-Methodology Approach to Explore Stakeholders' Perspectives on Research Priorities in GenAI-Supported Second Language Education. European Journal of Education, 60(1), e12898

  • 第二言語学習における生成AIの活用について、教員や学習者等の関係者がどのような認識を持っているかを探索する研究
  • Q方補論を使う点が特徴
  • Qセットの作り方
    • 第二言語教育の文献検索:第二言語・ChatGPTで等で22〜24年論文を検索
    • 707件から関連のないものや会議録を除いて98論文特定→24アイテム作成
    • 15人20分の半構造化インタビュー:10を追加して34アイテム作成
  • Pセットの作り方
    • 学士〜博士の学生、第二言語研究者、第二言語教師(小学〜大学)、計19名
  • Qソート
    • アイテムを同意・不明・反対で分類、どの度合いでソート
    • どうやってソート?それぞれ「重要だと思いますか?」でいいのか?
  • Qセット
    • GenAIを第二言語の教授/学習に活用した際の感情的な体験。
    • 第二言語教育におけるGenAIの使用に影響を与える認知要因。
    • 第二言語学習におけるGenAIの使用に影響を与える外的要因。
    • 第二言語の教授/学習にGenAIを活用した際の心理状態。
    • GenAIの使用が第二言語の教師/学生の認知特性に与える影響。
    • GenAIを活用した外国語学習に対する認識と見解。
    • GenAIによる語彙学習のサポート方法
    • GenAIによる第二言語学習者の読解力の向上方法
    • GenAIによる第二言語学習者の作文能力の向上方法
    • GenAIによる第二言語学習者の会話能力の向上方法
    • GenAIによる第二言語学習者の実用能力の向上方法
    • GenAIによる第二言語学習者のコミュニケーション意欲の向上方法
    • AI生成の学生課題を特定する第二言語教師の能力の評価と開発
    • GenAIが第二言語教師の指導力を向上させる方法
    • GenAIが第二言語教師の学術研究を支援する方法
    • 第二言語教育におけるGenAIに関連する測定ツールの開発
    • 第二言語教師および学生のGenAI利用能力の開発
    • 第二言語教育におけるGenAIに関する法的および倫理的考察
    • GenAIが第二言語教室における教師と学生の交流を促進する方法
    • ライティング評価ツールとしてのGenAIとその評価における有効性
    • GenAIから望ましいフィードバックを得るための効果的な指示の作成
    • 信頼性の高い第二言語試験の作成におけるGenAIの役割
    • 第二言語学習環境における教師、学生、GenAI間のコラボレーションの促進
    • 特定の第二言語教育環境における特定のGenAIプラットフォームの有効性の評価
    • 第二言語学習者の非公式学習におけるGenAIの活用
    • GenAI時代の第二言語教師のアイデンティティ
    • 第二言語カリキュラムの開発におけるGenAIの役割
    • GenAIが第二言語教育政策に与える影響。
    • AIが生成した標準的な回答を使用する場合における、第二言語教師による生徒の課題の評価方法。
    • GenAIが第二言語学習者および教師に与える負の影響。
    • GenAIが学習者の第二言語の文化学習を促進する方法
    • 学習者の第二言語学習のさまざまな側面(習熟度やモチベーションなど)を分析する方法
    • 特定の第二言語コース(ビジネス英語など)に特化したGenAIエージェントを作成する方法
    • GenAIを既存の第二言語教育理論と統合する方法、または新しい理論を開発する方法

2025/03/12

Wingrove, P., Zuaro, B., Nao, M., Yuksel, D., Littvay, L. & Hultgren, A. (2024) University autonomy is a predictor of English medium instruction in European higher education. Higher Education

  • 何がEMIを推進するのか?
    • 言語学がガバナンスを扱わない、社会学が言語を扱わない
  • 大学自治度スコアカードで測定(Pruvot & Estermann 2017)
    • 学問・財政・人員配置・組織の4側面で自治を測定
  • 自治度が高いほどEMI提供確率は上がる
    • ただし、財政の自治度は効果なし
    • EMIの提供は、エコシステムの中で行われる(=プログラム開発、教職員雇用、学生募集、収益確保、これらは全て内生的なプロセス)

2025/03/11

Creating Active Virtual Learning Communities in Asynchronous Online College Courses: Why it Matters and Ideas to Try

  • オンラインプログラムの課題は:動機づけとメンタルヘルス
    • 学生間の接点がない、特に非同期学習
  • そこで非同期オンラインラーニングコミュニティ
    • ただし、自律的には機能しない、仕掛けが必要
    • 自己紹介スライドを投稿させる(作成の具体的指示がポイント)
      • 例:写真、楽しい事実、住んでいる場所、好きな食べ物、短期的な目標、卒業後の長期的な目標を含めなさい
    • アナウンスはテキストだけでなく、Canvaで作る(??)
    • 掲示板はテーマ別に細かくスレッドを作る
      • 趣味、学習内容、学習分野、言語別など
    • 同期セッションを夜間・週末に設ける、
    • 授業は録画していつでもアクセス可にする

https://www.blogger.com/blog/post/edit/663528368423630354/3525546237987536383

2025/03/02

Etomes, S.E., Endeley, M.N., Aluko, F.R. & Molua, E. (2024) Transformational leadership for sustainable productivity in higher education institutions of Cameroon, Higher Education,

  • 組織運営において、生産性の低さや失敗の責任は下層や中層の管理職にあることがほとんど
  • Turnaround Leadership:どんなに悪い状況でも、学校やシステムを再生する機会と捉えることができるという考え方。短期的な解決策にとどまらず、持続的な改革を実現するために人々を動機づけるにはどうすればよいのかを考える。
  • 教育機関はプロセスの質がアウトプットの質を決める。(ここでのプロセスは教育・学習のプロセス。)
  • Transformational Leadership:4要素で定義できる=理想化された影響力、動機づけ、知的刺激、個別配慮)
    • → この論文では4要素が高等教育の生産性をどの程度説明するかを調査
    • RQ:
      • 理想化された影響力が高等教育の持続可能な生産性にどう影響するか
      • インスピレーションを与える動機づけが高等教育の持続可能な生産性にどう影響するか
      • 知的刺激が高等教育の持続可能な生産性にどう影響するか
      • 個別的配慮が高等教育の持続可能な生産性にどう影響するか
    • Transformational Leadership:組織のミッションとビジョンを認識させ、必要なサポートを提供し、より高いパフォーマンスを発揮できるように鼓舞することで、従業員のパフォーマンスを期待されるレベル以上に高めるリーダーシッププロセス
  • six secrets of educational change(Fullan 2011):スタッフを愛する、仲間を目的意識で結びつける、能力開発を促進する、学習環境を整える、透明性のルールを身につける、システム学習
  • カメルーンの国立私立の大学教員2745名調査、37問の質問紙調査
    • 教員個人の学部長行動や組織内活動の認識を問う質問項目
  • 学部長は理想的な行動をとっていると多くの教員は認識している
  • 効果的な変革型リーダーシップの実践の中心は、コラボレーションであるべき
    • リーダーは問題解決策の提供はしない
    • リーダーには、文化、知識、スキルの多様性を尊重しながら、協力者が意思決定に効果的に参加できる機会の創出が求められる
      • それには、リーダー・フォロワーがビジョンを共有し、モチベーションを高め、変化を持続させる戦略を提供し、信頼感を与え、効果的なコミュニケーションを確保し、変化に必要なリソースやトレーニングを提供する必要がある

2025/03/01

Yang, L., Chen, L. (2025) A lexical comparison of the public good of higher education: concepts, contextual underpinnings and implications, focusing on Japanese, Chinese and English. High Educ 89, 53–81

  • 公共財としての高等教育:何を意味するのか不明確
    • 言語的・文脈的なニュアンスを含め、概念自体が曖昧
    • 高等教育が組み込まれている国家・社会によっても異なる(社会的・政治的・教育的文化に根ざしているため)
  • 言語は文化の一部、文化は言語の一部(Brown 1994, p.165)
    • どのような用語が英語のpublic goodを最もよく捉えられるのか?
    • 日本語は公共財で近似
  • 日本語の関連語
    • 私・自己 → 個人 → 身内・家族 → 仲間 → コミュニティ → 会社 → 社会 → 国・国家 → 世界
    • 日本語は直線、中国語は同心円、英語はベン図

2025/02/27

林嶺那・深谷健・箕輪允智・ 中嶋茂雄・梶原静香(2020)「Q方法論 (Q methodology) の行政学への応用」『行政社会論集』32(3), 195-233

  • Q方法論:価値観を解明するアプローチ
    • 人々の主観的な考え(価値観・世界観・事象への意味づけ)から主要な視点を相対的に明らかにする
    • 視点を明らかにするためのアイテムセット(Qセット)を作成し、それを一定の分布に沿って並べるQ分類を参加者が実施する
    • Q分類を通して量的データを収集し、そのデータから因子分析で主要な視点を抽出
  • 参加者の主観的・一人称的視点の解明に用いる方法論(Watts & Stenner 2012)
    • 因子分析の改良から出発
  • 因子分析との違いを明確にするためにQの名称をつける
    • 基本3手順:Q分類でデータ収集、因子分析、定性データ加味
    • 変数による因子分析ではなく、人による因子分析
    • 変数因子分析=R方法論:相関係数に基づく
    • ↑ 個人を主体として定義できないと批判
      • R方法論=個人が母集団から相対的にどういう位置にあったか、個人を構成する諸特徴の共変関係に注目、共変関係から普遍的な因子を導出
      • Q方法論=個人の特徴そのものに関心を持つ、個人間の類似性・相違生の解明に焦点化、調査対象集団の特徴をうまく説明する類型を導出
  • 扱う問いの3タイプ
    • 代表に関する問い:特定の集団が当面する制度・文化的な状況において、ある問題やトピックがどのように理解されているのかを人々に問う
    • 理解に関する問い:個人が有する意味のない実に焦点化、状況を明確にした上で、あるトピックや問題に関する個人の理解のあり方を問う
    • 行為に関する問い:ある問題への応答のあり方を問う。いじめにどう対応すべきか、何が適切な行為と考えるかを問う
    • 実際は、3つを明確に区別できないのでは?
  • 調査設計
    • 単一参加者デザイン:一人を対象にQ分類の実施を、異なる指示のもとで何度も実施する
    • 多数参加デザイン:多くの人に同じ種類のQ分類を実施
  • Qセット:各個人によって順位づけられたアイテムの相対的な位置に関心がある
    • ⇔ R方法論=各個人の相対的位置に関心
    • Pセット・Pサンプル:Q分類を実施する調査参加者セット、200あるいは40〜60
    • アイテムは多くの場合、文章の形を取る、40〜80、表現が明快であること、否定的な表現を避ける
  • Q分類:アイテムを参加者が一定の分布に沿って並べ替える作業
    • 分布:最も同意する〜全く同意しない、1次元、0を含む±4、6、9、11、13段階分布
    • アイテム数で分布幅変える:40以下=-4〜+4。60以上=-6〜+6、尖りすぎずフラットすぎないこと
    • 馴染みのないテーマはどちらとも言えないが増えるので、0付近の幅を増やす
    • 重要、重要でない、どちらとも言えないの3つから始める
    • FlashQ、HtmlQ、Q-Assessor、Q-sorTouch
  • 因子分析
    • 結局普通に因子分析すればいいの?
    • より解釈が容易な構造を得るために回転を行う(=ある因子について0か1に近い因子負荷量が得られるような操作を施すこと)、因子相互の相関を認める斜交回転を行ったほうが単純な構造を得やすい
    • 各因子がどのような視点・世界観を表しているのかを推定する:単一の因子に対してのみ有意な因子負荷量を有するQ分類データの重みづけ平均を利用(二つ以上の因子に対して有意な因子負荷量を有するQ分類については交絡があると判断され、因子の推定には使われない
      • 1%水準で有意な因子負荷量を有するQ分類を使いたい:因子負荷量の絶対値が、1をQセットのアイテム数の平方根で割り、それに2.58を掛けた値を超えるかどうかで判断
      • 重みづけ:1) ある因子に有意な因子負荷量を有する各Q分類の結果に基づき、1から因子負荷量の2乗を引いた値で、因子負荷量を割る。2)そうして得られた値の中で最大のものの逆数をとる。3) 前2者の値を掛け合わせることで重みづけの指数を得る
    • 指数を使って因子が示す視点・世界観の推定を行う
      • アイテムを1から開始で得点化
      • 特典と重みづけ指数を掛ける
      • その値を標準化したZスコア作成
      • Zスコアの高い順にQ分類分布の右端からアイテムをおいて文流を完成(因子配置と呼ぶ)
  • 事後インタビュー
    • 文流を終えて、各アイテムをなぜそこにおいたのかを明らかにする
  • 結果の解釈
    • 各因子の中で高位・低位のアイテム、他の因子より高位・低位のアイテムについて、インタビューで得た情報(+情報を得た人物情報:性別・年齢・仕事等のコード)を追記、各アイテムの中で解釈上重要と思われるアイテムについてストーリー化する
  • 事例研究の2つの問い
    • 一般の公務員はどのような仕事観を持っているのか
    • 一般職公務員にとって理想の課長とは何を意味するのか
  • Qセット作成
    • 公務員の仕事に関する認識を解明するために有用と思われるアイテムを先行研究から100個収集 → 実務経験者助言を入れて包摂生・多様性・理解の容易さの3つを満たす47アイテム作成
      • 例:仕事に新しい工夫を施すこと、注意深く仕事を進めること、仕事上の人脈を構築すること
    • 20〜50代正規職員73名
  • Q分類実施
    • 2質問:「あなたが仕事を進める際のお考えについてお聞きします。」「あなたにとって理想的な課長像をイメージしてください。(実際に存在しない人物であっても構いません。)そのイメージされた理想的な課長像についてお聞きします。」+属性シート、ヒアリング協力可否
    • 実施手順:
      • 47アイテムのカードを問いに対して、重要性が高い・低い・どちらでもないの3山に分ける
      • 高い山から、最も重要性が高いカードを2枚選び、5の列に置く、同様に4〜1列が埋まるまでカードを置く、0列にカードを置かない
      • 低い山から、最も重要性が低いカードを2枚選び、-5の列に置く、同様に-4〜-1列が埋まるまでカードを置く
      • 残ったカードを0列に置く
      • 並べ終わった47枚のカードに書かれた番号を回答用紙に転記
      • 最短19分、最長62分、平気31分
    • データに因子分析
  • インタビュー同意者12名に45分のインタビュー実施
    • Q1:「~というカードからどういった状態や行動をイメージするか?」「その状態や行動はあなたにとってどれだけ重要か?それはなぜか?」 
    • Q2:「~から課長のどういった状態や行動をイメージするか?」「その状態や行動は課長にとってどれだけ重要か?それはなぜか?」
  • 結果
    • Q1:四つの仕事観の類型(調和型・堅実型・積極型・自律型)を提示
    • Q2:二つの理想の課長像の類型(バランス型・モチベーター型)を提示
    • インタビューで具体例提示
      • 調和型=他者との協力、職場の一体感、相手の立場に立つことなどを特に重視する仕事観(異動で大きく異なる仕事をするため、相互支援・サポートが重要)

2025/02/26

箕輪允智(2023)「都道府県公務員の仕事観:Q方法論による主観性の解明と都市公務員との比較考察から」『自治総研』49(540), 1-34

  • 公務員の仕事:担当業務の成果を直接感じる機会が少ない(特に広域になるほど)+職員価値観の多様化=動機づけ誘因の多様化 → 仕事への動機づけ確保が困難
  • 官僚行動の第一の統制は、官僚が持つ価値観(Dahl 1970)
  • 問い:都道府県の職員はどのような仕事観を有しているか
    • 基礎自治体より広域自治体は仕事の抽象度が高い
  • Q方法論:仕事観を捉えるといった、個人の主観性を含む価値意識を捉えることに適した調査方法
  • 調査
    • 「あなたが仕事を進める際のお考え」のQセット47項目
    • Pセット119、事業系・管理系半数ずつ、一般職と管理職含む、ほぼ男性
    • 配置図

    • 47項目を重要度高・中・低に分類 → 各項目を配置図にあてはめ(=個人は強制的にアイテムに優先度をつける)→ +5と−5について、なぜそこに配置したかの自由記述
    • 47項目の記述統計作成、Rのqmethodパッケージ、因子抽出Centroid法、バリマックス回転
  • 4因子抽出:規範重視型、模範行動型、対人調和型、平穏着実型
    • 各因子のzスコア高項目5つを提示、それぞれの自由記述併記
    • 規範重視の人数が特に多い

2025/02/24

坂本辰朗(2021)「ファカルティ・ディベロプメントとは何であったのか」『学士課程教育機構研究誌』10, 5-18

  •  FD=成熟と学習の過程
    • 教員の職能開発を訳すことは不適切
    • Develop=自らの成熟と学習+他者の成熟と学習への働きかけ
    • Developの対象=教員として大学の諸学務に関与する能力≠授業技術
  • FD=一種の永久運動
    • 常に新たな目標を生み出すシステムが必要
  • FD=大学のミッション実現に努力することが最良のFD
  • FDを永久運動であることを支える理論やパラダイムがない

  • アメリカのFDの特徴=テニュア獲得を目指して研究と教育に関する能力を高める
    • → 今のテニュア教員は約45%(=テニュア制度崩壊)
    • ↑ 財政難が原因:予算がない=非テニュア教員で退職者を埋める(=大学の企業化:corporatization)
      • UCの99〜09年:学生40%増、専任教員23%増、幹部職員97%増
    • 実際は非テニュア教員にこそFDが必要

  • 2010年代のFD関連業績は圧倒的に行動主義
    • パラダイムシフト、学生中心、〜学習法
    • → POD(2002)Guide to FD:教員が常にvital・flourishingであるための組織的な取り組み
    • 半数が非テニュアなので、標準キャリアモデルは今や困難
    • メンター≠アドバイザー → 利他性を追求した幸福な生を送るために何を行なっているかをアドバイスする人

  • FDの研究・教育・学務の3つは不可欠・不可分
    • 大学の抱える疑問にscholarly approachを維持する
  • FDは教育活動
    • 過度に学習の問題にし過ぎ(学習化:lernification)(ビースタ)
    • ビースタの教育の機能:資質化・社会化・主体化
      • 人間が生きるにあたって必要は資質をあたえること(知識・技能・理解)
      • 人間が生きる特定の社会の伝統・慣習・規範に参加してふさわしい一員になること
      • 社会への順応で人間が社会へ埋没することに抗う
      • これは便宜上の区分で、ある教育活動が〇〇化にあたらない
    • 行動主義は人間の中に起こっていることが見えなくなる
  • 価値創造を目指すべき、創造された価値を目指してはいけない

2025/02/23

種子島健一(2017)「問題解決における不良定義問題への研究アプローチの 概観と展望」『九州大学心理学研究』18, 1-7

  •  心理学の問題解決研究:良定義問題(well-defined)と不良定義問題(ill-defined)
  • 不良定義:解決に必要な情報の欠如
  • → 解決者自身が目標を決定し,可能な行動およびその妨げとなっている障害を発見することにより,欠如した情報を補填し,定義しながら問題解決を行う
    • 洞察:諸情報の統合によって一気に解決の見通しを立てること
    • 類推:先行経験から得られた知識を直面する問題に適用することで,問題を解決すること
  • 不良定義問題=解決者の置かれた文脈で、解決のためにできる行動の定義が異なる
    • →外的と内的の2つの文脈がある
    • 外的:解決者が問題解決に取り組んでいる場所やその場に存在する物体などの物理的環境および他者存在や文化あるいは社会的役割などの社会的環境
    • 内的:問題解決中の解決者に生じている感情状態および情動を含む身体情報としての生理的状態や身体運動

2025/02/22

橋本鉱市(2000)「文理学部の成立と改組」『学位研究』12, 115-129

  •  学芸学部構想
    • 高等学校と師範系学校を統合→学芸学部:一般教育・LA+教員養成
      • 師範系は教員組織が脆弱→伝統ある高等学校と合併するメリット大
    • →CIEが圧力:高等学校→文理学部、師範系学校→教育学部
      • CIE=LAとして大学を統合すべき ⇔ 教員は専門教育が必要と反対
  • 文理学部の曖昧さの根源はこれ
    • CIEのLA、教育刷新委員会の学芸学部、高等学校希望の専門学部のいずれでもない
    • → 一般教育の担当、自身が専門課程を持つ、教育学部と協力して教員養成にあたる、3つの重要課題を負わされた
  • → 文法理の混在・齟齬が問題に
  • 文部省の3原則:予算増・定員増・学部増を認めない=文理学部改革は手詰まりに → ベビーブームでその後原則は放棄 → 教養部を含む複数学部への分離独立が実現(法文・人文+理+教養)
    • 理は独立を果たしたが、文法は独立できなかった(その後の改組圧力につながっていく)

2025/02/13

岡本能里子(2018)「ルート・ヴォダック,ミヒャエル・マイヤー(編著) 野呂香代子(監訳) 『批判的談話分析入門 ―クリティカル・ディスコース・アナリシスの方法̶』 三元社,2010」『社会言語科学』21(1), 392-396

  • 批判的談話分析:言語語を「社会実践」とみなし,支配や抑圧などの社会現象や社会問題に関わる談話に焦点を当て,そこに埋め込まれた言語と権力の関係を明らかにし,社会問題の解決を目指すアプローチ
  • アプローチ≠方法論
  • 前もって関心を社会問題に限定する、差別を受けているグループを擁護する役割を担う
  • 発信された静的な談話の意味や真理の追求が目的ではない
    • 不平等な権力関係を内包した談話を批判的に分析する
    • 社会問題の定期・解決を通した社会変革を目指す
  • 分析対象は社会的権力を持つ人による支配・被支配のイデオロギーが自然な形で埋め込まれた談話(新聞、テレビ、CMなど)
    • イデオロギー:権力や支配関係を構成し、再生産させる観念体系