マッツ・アルヴェッソン, ヨルゲン・サンドバーグ(佐藤郁哉 訳)(2023)『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方』白桃書房
- 読者がそれまで当然視していた各種の前提に対して挑戦を突きつけるようなものでなければ、広範な関心を集めて大きな影響を及ぼしていく可能性は低い
- ギャップ・スポッティング方式でリサーチ・クエスチョンを作成すると、先行研究の根底にある理論的前提の大部分を特に問題視しない
- ギャップ・スポッティング=問題を過小評価 ⇔ 社会構築主義・ポストモダニズム・フェミニズム・批判理論=問題を過度に強調(=実証主義的な経営科学の基盤に対して衝撃を与え、その安定性を揺るがすことができていない)
- リサーチクエスチョンの構築:先行文献の根底にある前提を再検討することによる問題化
- リサーチクエスチョンのタイプ
- 記述的:何らかの現象を構成する要素について明らかにする(=本質・機能・根拠)(オンライン環境において学生の学習はどのようになされるか?)
- 比較的:複数の現象間の関係に関する知識を生む問い(=相違・同等)(福祉サービス受給者の間で、男女間にはどのような類似点と相違点があるか?)
- 説明的:複数の現象とその属性の間に存在する相互関係に関する知識を生む問い(=相関・条件)、属性間の比較に関す津知識を前提とする
- 規範的:物事がどのように行われるべきかに関する知識を生む問い(同性愛への敵を持つ集団における、受容態度の改善)
- ギャップ・スポッティングの基本形
- 混乱:先行文献の中から対立点を見つける
- 軽視・無視:先行文献で軽視・無視されている点を明らかにする(見落とし、不十分、実証データの裏付け不足、特定の側面の検討不足)
- 適用:理論や概念の新しい適用可能性を明らかにする(先行文献の拡張と補完)
- これらの組み合わせもあり
- 組織のバッファリング:現場レベルの業務から脱連結された正当化榊造を榊築し、それによって現場の業務は制度的プレッシャーから「免れて」、従来どおりに実施されることも多い
- 面白い研究:紛れもなく自明の事実のように見えることが実際には事実ではないことを示す
- 組織化:特定の現象が組織化されていると思われているのに、実は無秩序であると指摘する
- 抽象化:個人レベルの特徴・傾向という前提や通念に挑戦し、実際にはそれが社会全体レベルにおける現象である(あるいはその逆)ことを指摘する
- 相互関係:相互にに無関係であると想定されてきた対象同士のあいだに実際には何らかの関連があると示す
- 因果関係:原因と結果の関係にあると考えられているものの中で、それ自体が独立して成立している現象(独立変数)と考えられていたものが,実際には何か他の現象によって引き起こされて従属的に生じる現象であることを示す
- 理論は何もない真空状態の中にそれ自体が独立して浮かんでいるような言|リlではなく、常に当面の研究テーマに関して研究者が抱いている前提にもとづいており,またそれに制約されている
- RQを生むには、研究テーマに関する既存の理論の根底にある前提に光をあてて,それに対して挑戦する
- 反帰納(counter-induction):異なる理論的立場に含まれている,互いに矛盾する前提を相互に比較してみること.なじみの理論的立場の前提を、それとは矛盾する前提と比較する
- 例:ゴミ箱モデル=意思決定の合理性という通念を否定、「組織化された偽善」というアイデアでは、組織において、組織逆営の柔軟性を維持するため、話し合い・決定・実践という3つのプロセスが相互に脱連結される傾向がある
- 例:ジェンダー実践=ジェンダーを生物学的・固定的なものでなく、日常の相互作用の中で持続的になされる社会的行為を通して実現されるものとして概念化
- ギャップ・スポッティングなロジックを強化する学者の規範
- 蓄積規範:学術的な知識は、特定の分野内での漸進主義的な蓄積を通じて前進していくということを想定
- 言及規範:他の研究者の基礎の上に立脚し、それらの研究を引用することの必要性を強調
- ヒューリスティクス:「既に語られていることに対して疑問を投げかけ、それを新しいアイデアや見解に変えていくための」ツール(Abbott 2004)
- 問題化の骨子=研究活動の根底にあって,当然視され不問にされることが多い各種の前提を問い直していくこと。その上で.代替的な前提基盤を作り上げ,それを踏まえた新たな問いを生み出し定式化して新たなアプローチによる研究と議論の出発点にしていくこと。