ジェレミー・ブレーデン, ロジャー・グッドマン(2021)『日本の私立大学はなぜ生き残るのか』中央公論新社
- 私立大学の40%が同族経営
- 大学を閉じる=親族の持つ主要な事業を危機に陥れたり、評判に傷をつけることになる=家業を自分の代で潰したくない
- 高等教育の状況を公立・私立セクターで分類する
- ゲイガー(1986)
- 大衆化した私立セクター:日本、フィリピン
- 公立と並列する私立セクター:オランダ、ベルギー
- 周縁化された私立セクター:フランス、スウェーデン、イギリス
- アメリカ的私立セクター
- リーヴァイ(1986)
- 国家主導型:民間資金の大学がほとんどない(西欧州)
- 公立自律型:民間資金の大学がほとんどない(オーストラリア、イギリス)
- 公立・私立均質型:資金獲得が異なる2セクターがあり、私立セクターも公的資金を受け取る(ベルギー、カナダ、オランダ)
- 公立・私立明確分離型・私立少数型:私立は民間資金、公立は公的資金、学生の1〜5割が私立(ラテンアメリカ諸国)
- 公立・私立明確分離型・私立多数型:私立は民間資金、公立は公的資金、学生の5割以上が私立(日本、インド、ブラジル、フィリピン)
- 公立大学をモデルにした認証評価など、政府が規制を押しつける方針は、私立セクターの存続に脅威
- 大学が自分のポジションを測る方法:規模、キャンパス立地、創立年
- 私立大学のガバナンス=二元構造
- 学長付託型:理事会が大学の自治を尊重、学長が一番の権限を持つ
- 経営・教学分離型:学長の責任が教育研究に限定、多くの非学術面は理事会
- 学長・理事長兼任型:理事長が学長を兼任、ワンマン、オーナー経営、全体の22%
- 助成と規制
- 1970年代に始まった政府の私大助成金システム
- 国が私立への助成をする=人口増や高スキル労働力需要へ対応しながら、在籍者数を厳しく管理できるようになった
- 大学設置が厳しく管理される=既存大学は独占市場=需要が増える中、顧客を失わず学費を上げられる→家計も大学は私的利益と考えて許容
- 日本の特徴は、受験の選抜度による明確なヒエラルキーや高校卒業生への高い依存度
- 奨学金は、ヒエラルキーの仮想大学で受給割合が高く、債務不履行の割合も低ランク層で高い
- 7年ごとの認証評価サイクルは長すぎる、本当に絶望的な大学を見つけるには、評価プロセスの仕組みが効果的にできていない
- 日本では、同族経営組織にネガティブなイメージがある、当事者も注目を集めたくないという2点で研究が欠けている
- 世界では、私立セクター拡大が言語的・宗教的文化の不均質性への対応、日本では、高需要に政府が対応しないコトへの対応(税金を高等教育システムに投入することを避けるために、私立大学の経営に大幅な自由を認めた
- 家族メンバー間の信頼関係が同族経営の強み、経済が下降傾向時に力を発揮する
- 同族ビジネスの原則
- いい時も悪い時も節約に努める
- 設備投資のハードルの高さを維持する
- 借金がほとんどない
- 企業買収が少なく、規模も小さい
- 驚くほどの多様性を見せる
- 国際性を持っている
- 人材を確保している
- 同族経営が普及している理由:少人数のメンバーが組織を継続的にコントロールでき、外からの介入や詮索を阻むことができるため
- 問いではなく謎(puzzle)を提示せよ
- 同族経営の特徴は、近代性と非近代性の巧みな折衷