2025/07/26

船津昌平(2023)『制度複雑性のマネジメント』白桃書房

  • 協働する組織には、それぞれに正統で合理的な論III!があり、だからこそコンフリクトが生じる
    • 単体では正統で合理的な組織同士が、協働すると整合性をとれなくなる
  • 中心テーマ=組織が制度複雑性に対処すること
  • あまりに当然祝された規範に従い、自身の意思決定と行動に「正しさ」を感じている
  • 分業は単なる分業にとどまらず、分化していく → 分業を担う部門に権力が生じる → 社会文化的な特徴の違いに発展する(川上 2009)
    • 織的に高度化し、分業が進展するから分化し、個人への内面化が起きる
    • これは、従来、統合によって解決すべきと考えられてきた
  • 制度複雑性:論瑚の対立によってコンフリクトが引き起こされる状態
  • 制度ロジック:制度(超個人的・組織的に存在する規範や行動パターン)に関してそれらを運用する論理のこと
    • 複数の制度ロジックがコンフリクトを生じさせている状態が制度複雑性
  • 分化された組織において、複数の部門を越境することのできる人材の存在が、橘波しを可能にする
  • イノベーションマネジメント論と経営組織論を架橋する立場の研究
    • 制度ロジック多元性:logic multiplicity(Besharov & Smith 2014)
    • 組織外部から影響を受けるオープンシステム下にある前提
  • 制度とは?
    • 組織を取り巻く文化的環境(佐藤・山田 2004:5)
    • 当然視されるもの(Mutch 2018)
    • 複合的な社会規範の体系で、慣習・習律・法を含む
    • → ①慣習・習律・法などを複合した規範の体系であり、②社会的、つまり佃人や組織の固有性を超えて観測される、超仙人/超組織的なものであり、③個人や組織にとって意識・無意識に参照され、④行動を再生産するもの
  • 制度セクター:制度の分類
    • 西欧で特筆すべき典型的制度セクター:資本主義市場、官僚主義的国家、民主主義、核家族、キリスト教(Thoronton & Ocasio 2008)
  • 制度ロジック前の制度論
    • 同型化論:組織が重視するのは、効率性でも合理性でもなく、組織が正統性を得られるか(=社会的・文化的なシステムの中で認められるか)
    • 制度合理性(Lounsbury 2008):主体がどの制度を参照しているかによって合理性の測定指標が異なる
    • 制度的企業家(Institutional Entrepreneur)(Greenwood & Suddaby 2006):制度を変革する主体が登場することで、一様な状況が打破され、変化がもたらされる(=脱制度的なヒロイックな主体)→ 制度的企業家は、制度や社会の影響を低く見積もりすぎているという批判あり
    • 結局、制度論は、社会科過剰(非合理的なのに同化する)と社会化過小(制度にかかわらず変革するヒーロー)という両極端で揺れてきた
  • 制度ロジックは、これを克服した
    • Thoronton & Ocasio(1999):出版業界という制度の中で、組織が運用する主要なロジックが変化したので、制度に埋め込まれた組織の行動も変化した
      • 学術的に価値のある本を出すべき→売れる本を出すべきへの変移
  • 制度をどの粒度でカテゴライズするかで、制度ロジックの意味が変わる
    • キリスト教でくくるか、宗教(キリスト教のロジックと仏教のロジックがある)でくくるか
  • ロジックという表現
    • 特定のロジックに沿って行動することを、受動にも能動にも使える点がポイント
    • 組織は制度を参照し、自らの主導的な論理を形成する、このときの制度と組織・個人をつなぐものが、制度ロジック(=制度化で行動を基礎づけ、主体の行動を導く論理)
  • 制度ロジック多元性を構成するロジックは、社会性と事業の2つのロジックが中心
  • Besharov & Smith(2014)の制度ロジック多元性下の対応:中心性と両立性
    • 中心性:被数の制度ロジックが組織の機能に等しく有効となる、または、関連があるとみなされる程度
    • 両立性:複数の制度ロジックの実体化が、組織の行動に合致する・強化する程度
  • マクロとメゾ
    • 組織レベルの精度ロジックは、マクロ単位における制度セクターから生じる(マクロレベルに還元可能である=制度と組織・個人のインタラクションを重視する制度論における理論的基盤)
    • 組織を分析単位とする研究では、行動パターンをアドホックに説明する制度ロジックを用いるので、還元できる制度セクターが想定されず、一貫性を欠く。(組織が置かれる制度的環境との関係を記述せずに制度ロジックを用いることは、制度論の理論的背景を看過する。)
  • 一旦整理
    • 制度ロジック:ある制度において、行為主体によって運用される論理
    • 制度ロジック多元性:個人や組織は、通常、複数の制度ロジックの影響を受ける状態
    • 制度複雑性:制度に多元性が生じ、組織に両立しがたいコンフリクトを及ぼしている状況(複数の制度ロジックそのものがコンフリクトを起こすのではなく、組織が二枚舌を使うために生じる)
  • 制度複雑性はアイデンティティや規範に関わるので、十分な資源があれば解決できるものではない
  • 解釈主義の2つの意味
    • 調査対象者による事実への一次的解釈
    • 研究差による二次的解釈
    • ジオイア法では、一次、二次、具体的データの連関を図表化して表現
  • 事業ロジックと科学ロジックの例
    • 事業ロジックは自明→科学ロジックは新奇なもの→十分に理解する必要がある→まず科学ロジックを理解して実践に組み込む必要が生じる(つまり二項対立ではなく、新たなロジックを取り込むことで、既存ロジックが顕在化・析出した)
  • 第3ロジックの例
    • 科学ロジックにも事業ロジックにも由来しない、国家プロジェクトというロジック(双方に強く影響できるロジック)を道具的に活用することで、2つのロジックに起因するコンフリクトを解決するロジックを使った(ハイブリッドしたわけでも、どちらかのロジックに一元化したわけでもない)
    • 第3・第4のロジックは、元のロジックと親和性があることで、道具的に活用してもコンフリクトにならない点がポイント
  • イノベーションのモデル
    • リニアモデル:研究→開発→生産→マーケティングの一方向で進行するプロセス
    • 連鎖モデル:絶え間ない失敗からの学習、コミュニケーション、調整の結果としてイノベーションが生まれる
  • 産学連携のイノベーションモデル
    • アカデミック・キャピタリズム
      • 学術成果を収益化し、大学に商業成果をもたらそうとするモデル
      • TLOオフィスによる知財ビジネス
    • シーズ・ニーズ・モデル
      • 大学でシーズを産み、企業が持つニーズと結びつける
      • 基礎・応用区分問題が避けられない
    • アカデミック・エンゲージメント・モデル
      • 知識移転ではなく知識共創(複数の組織で七期を共創)
      • 学術成果か商業成果かの二者択一を超え、教育にも効果があるとする
  • 場の概念(space、place)
    • space:座標的な区域、外敵を入れないようにする縄張り(=物理空間)
    • place:縄張り内の価値を含む(どこが安心でき発揮できる場所か)(=価値空間)
  • 精読不雑性に対応する際に注目する側面:組織の構造、認知、採用されるイノベーションモデル、それを包摂するスキームの4つ
  • 制度は、時代・国によって意味内容が変動・変化する
    • それなのに理念型として端的に描き、複数の制度を対立構図に置いて単純化すること自体が問題
    • 現象に対して境界を引き、理念型を指定するのは、研究者による恣意
      • マクロな文脈を無視して切り取った組織を対象に、安直な二項対立構図をあてはめて研究を量産するべきでない
  • 分断は二者が明確な線引きで別れた時に生じる、自らを正答と見なして相手の批正統制を喧伝する時に分断が生じる。
  • 人間は対立構図を用いて説明する癖がある
  • 組織は制度のなかに蝿め込まれるからこそ安定する。安定は分化を生み,分化された組織や部門は、区分化されて先鋭化する