- 体が物質的には普段食べているものでできているように,知性は普段接している人や媒体から得られる情報・知識によって形作られている。
- 法令上は学長だが慣例として総長と呼ぶのは,法科分科大学や工科分科大学にそれぞれ分科大学長がおり,それらの学長を束ねる役職として総長を置いたため。
- 東大生の多くは,努力は得意。目標を立てたら,その実現に向けてどの程度時間をかけて努力をすれば達成できるかを考えて実行しているようだ。
- 研究者は,学問にイノベーションを引き起こすのが仕事。
- 研究は,課題を決める時点で研究成果が面白いかどうかの大半が決まり,さらに大きな課題を取り扱いやすく解けそうな小問題に分解し,段階を踏んで取り組んでいくもの。つまりは,何を研究するかよりもどう研究するかが大事。
- 「日本の会議はモノを決めるためではなく,参加者がモノを認識するためにある。」
- 研究ばかりしていると見過ごしがちな学問の暗黙の前提を,講義で教える際に見直し吟味する機会は,常識を疑うという研究の基本に毎回立ち返らせてくれるため,画期的な研究の種にもつながるし,少なくとも学問の体系が毎年頭の中で整理整頓され洗練されていく。講義は教授の自己啓発の源である。
- 研究は,やるかやらないで,やってみてうまくいかなかったら別の方策を考えるという,逃げ道を用意することはいけない。やるからには,きちんと成果をあげる意思を持ち,それを裏打ちする周到な計画を立てねばならない。
- パーキンソンの第1法則:完遂に利用可能な時間を使い尽くすまで仕事はふくれあがる=官僚は仕事を作るのが仕事。→仕事の量が増えすぎると,与えられた時間内で処理可能になるまで手続きが簡素化される?
- 成果が出るまで長い時間を要する大問題と,すぐに白黒つく短期的課題の両方を両立させるのが研究マネジメントであり,ポートフォリオである。
あとがきで若手に東大もいいよとアピールしたかったとあるものの,あまり東大の魅力は伝わらない。また,基本的に体験記であるため,大学教員や大学組織の考察は浅く,参考になる部分は少ない。なぜなら,本書のタイトルは,京大教授と書いても,大して差はない。