2026/02/28

Tamir, E., and K. Machovcová. 2025. “Fostering Resilience in Higher Education: Middle Management Strategies for Institutional Survival.” Higher Education Quarterly 79, no. 4: e70071.

  • コロナ危機において、イスラエルとチェコの大学の中間管理職(学科長・プログラム責任者)が、業務量の大幅な増加に直面しながらも、組織を機能させるために強いコミットメントを示した調査
    • イスラエル=学生の帰属意識・定着率重視の戦略
    • チェコ=研究業績の維持が組織の成功に不可欠
  • クラッキングカルチャー:圧倒的な業務量に、管理職が限られた時間とエフォートを戦略的に分割して優先順位をつけること
    • 全てを完璧にこなさない、何を優先するか取捨選択、一部の領域を犠牲
    • イスラエル=学生エンゲージメントに全振り
    • チェコ=教育と研究の継続性確保優先

2026/02/27

Gann, R.J., Hulme, J.A. (2025). Scholarship reimagined: creating the DARSHE, an inclusive and flexible framework for developing scholarship in higher education. Higher Education

  • EFAs:Education-Focused Academics:教育専任教員
  • EFAsの学識の定義が多様すぎる=業績評価が困難
  • 既存モデル=DART(Dimensions of activity related to teaching)は、公式のSoTLや出版業績を特権化しすぎる
    • DARTモデル:縦軸=非公式VS体系的、横軸=非公開VS公開
      • 第1象限=Scholarship of T&L
      • 第2象限=Scholarly Teaching
      • 第3象限=Practive of Teaching
      • 第4象限=Sharing about Teaching
  • 学術活動は、公開↔︎非公開、非公式↔︎体系的と、次元を行き来するもの
  • よって、より柔軟なDARSHEが必要(Description of Activities Relating to Scholarship in Higher Education)

  • ポスト1992大学、社会科学系教員80名のワークショップ
  • PadletでDARTを示して実際の経験を収集
  • Reflextive thematic analysisで教員が直面する課題や既存モデル批判を抽出
  • フレームワークを改善して公表

  • DARTモデルの縦軸(非公式VS体系的)を暗黙的エビデンスVS明示的エビデンスに再定義した点が重要
  • DARTは正しい定義を巡る論争だったが、SARSHEは協働やキャリア開発のためのリフレクションツールと位置付ける点が重要

2026/02/26

Kallunki, J., Viseu, S. & Silvén, P. (2025) Network governance in Finnish higher education and science policy, 2012–2021. Higher Education

  • フィンランドの教育省は大学にどの程度の影響力があるのか?
  • ネットワークガバナンス:従来のトップダウン型の政府統治や純粋なコーポラティズムと対比される、現代的な政策形成および統治の理論的枠組み
    • 多様なアクターが協働:政策はネットワークのつながりの中で形成される
    • 階層の平坦化・権限の分散:伝統的なトップダウンに比べて、アクター間の階層や権限が分散
    • 継続的な交渉と柔軟性:政策の目的や内容に関する交渉は継続的に行われる
  • 国家の空洞化は回避:ネットワークガバナンス化=国家権力喪失ではない
    • ネットワーク参加者は平等に近づくが、教育省が審議会の権限を定め、メンバーを決め、議長を任命し、資金を提供してネットワークを調整・管理
    • つまり、非対称な権力関係は存在する
    • ただし、命令ではなく、交渉と説得による間接統治(Steering by information):ネットワークの場を利用して情報の共有・交渉・説得を行い、間接的にシステム全体を統治

2026/02/25

Cite this article Williams, K., Lewis, J.M. (2025) Context is everything: national variation in societal impact assessment. Higher Education.

  • Context is everything:社会的インパクトには、世界共通の普遍的基準は存在しない
    • 引用数などの研究指標評価は、インパクトの画一化を招いてきたが、ナラティブによるインパクト評価なら、画一性は防げる
    • しかも、各国特有の文脈・政策・文化的優先事項を反映している
  • ナラティブ形式のインパクト評価をトピックモデル分析する研究
    • イギリス:Research Excellence Framework
    • オーストラリア:Engagement and Impact assessment
    • 香港:Research Assessment Exercise
    • いずれも国主導の大規模研究評価プログラム
    • これだけフォーマットが標準化されているのに、中身に書かれるインパクト形式には国の文化や地域性が反映される

2026/02/24

田代志門(2025)「同意によらない社会調査をどう正当化するか」『理論と方法』40(1), 41-55

  • 人を対象とする研究における同意取得
    • 研究参加はある種の社会貢献活動への参加(ボランティア)
    • それを正当化するのは本人の自発的意思
  • ベルモント・レポートの3原則
    • 十分な量の情報提供、相手が理解している、内容に自発的に同意
  • オプトアウト:二次利用を本人に通知または知りうる状態にして拒否がなければ同意
    • データ取得時点から時間が経過した教育活動データなど
  • 研究者と本人がコンタクトできない=拒否機会の確保を求めるのは非現実的
    • 透明性確保のための情報公開が重要
    • 集団の代表者に連絡して許諾を取る例もある
  • Covert reserach(秘密研究):対象集団の一部であれば許される?
    • 研究の公益性によって正当化できる
  • 「インフォームド・コンセント」(医学分野用語)という用語を社会調査に無批判に適用せず、対象者尊重のための多様な手段の一つにすぎない
  • 個人の同意だけでなく、調査の公益性を評価すべき

2026/02/23

Rebecca M. Chory, Ronald L. Dufresne, Evan H. Offstein, and J. Stephen Childers Jr., (2025) Cultivating Courage, Cowardice, or Complacency? An Identity-Based Perspective on Faculty Resistance to Managerialism. Academy of Management Learning and Education

  • 大学がマネジリアリズム化しているのに、なぜ教員がそれに抵抗しないのか?
    • 経営学教員が抵抗しないのは職業的アイデンティティによる
      • 経営学教員=実務志向、研究がマネジリアリズムを作り出してきた張本人
      • これは学内で他分野から異端扱いにもなる
  • 教員の社会科が必要、カリキュラムも批判的マネジメント研究をすべき
  • 歴史的分析、文献レビューと著者の体験・観察を統合する手法

2026/02/21

Cite this article Pek, S., Kennedy, J. (2025) Deliberative impact and governance: toward a wider evaluation of student mini-publics and their consequences. Higher Education

  • 大学における学生参画
    • mini-publics=ランダムに選ばれた学生が学習や議論をして提言をまとめる熟議アプローチ
  • この取り組みにどういう意味があるのか?→ 大きく5つ
    • 提言の政策への反映
    • 熟議に向けて学生組合の議論プロセスが変わる効果
    • 参加者の熟議スキルの向上
    • 教職員・役職者の熟議スキルの向上
    • 一般学生にはインパクトなし、学生自治への無関心の蔓延
  • mini-publicsは万能薬ではないが、大学側が提言にコミットするなら大学ガバナンスに有効になりえる

2026/02/20

Boyce, A. S., Nieminen, L. R. G., Gillespie, M. A., Ryan, A. M., and Denison, D. R. (2015), Which comes first, organizational culture or performance? A longitudinal study of causal priority with automobile dealerships. Journal of Organizational Behaviour., 36, 339–359.

  • 優れた文化が高い業績をつくるのか、高い業績が優れた文化をつくるのか?
    • 本論文の結論は、組織文化→業績:良い組織文化を作るための投資をすべき
      • データでは組織文化→顧客満足→業績
  • 長期追跡データで検証
    • 組織文化:従業員の組織文化調査尺度
    • 顧客満足:実際に得られた満足度
    • 業績:車の販売台数
    • 統制変数:店舗規模、立地、過去の販売実績
    • 交差遅延パネル分析:文化が先の方が一貫して強い

2026/02/19

González-Calvo, G., and M. Arias-Carballal. 2025. “ Navigating the Storm: A Duo-Autoethnography on Resisting Shipwreck in Times of Educational Change.” European Journal of Education 60, no. 4: e70371

  • 社会的加速理論(Social Accelaration Theory):現代社会の本質と人の抱える生きづらさを捉える理論
    • 近代化とは、単なる変化ではなく、社会のあらゆる側面の絶え間ない加速である
    • →3つの加速
    • 技術的:技術変化は人間の時間を節約するはず
    • 社会変動:制度・価値観・ライフスタイル・働き方・人間関係の変化・陳腐化のスピードが速くなる=絶えずアップデートが求められる
    • 生活ペース:行動の速さがあがり、限られた時間で行うタスク量が増える→食事時間・睡眠時間を短縮、倍速視聴、マルチタスク
  • 現代人は常に時間が足りず、忙しさに追われる
    • 社会変動ややるべきことが増えるスピードが、技術によって節約できた時間を圧倒的に上回ってしまう
    • この原価が来ると、人は自分の人生をコントロールしている感覚を失い、深い疎外感を経験する
  • 大学での官僚的要求・管理業務増大が教員にもたらす困難も同じ
  • 教員の感じる4つの阻害
    • 行動:本当にやりたいことではなく、システムからやらされていることに支配される
    • 時間:常に時間がなく、急いでやるプレッシャーがある
    • 空間:教室は豊かなコミュニティを築く居場所ではなく、タスクを処理する作業場であり単なる通過点
    • 自己:慢性疲労で自分がなぜ教師になったかの初心や使命を見失う

2026/02/17

Nadav, N., P. Benoliel, and C. Schechter. 2026. “ How Principals' Systems Thinking Shapes Teacher Team Effectiveness: Exploring the Role of Organisational Learning Mechanisms.” European Journal of Education 61, no. 1: e70373

  • 管理職の持つシステム思考は、メンバーの効力感やイノベーションに影響するのか?
  • Organisational Learning Mechanismsを図る尺度を使って調査
    • Schechter (2008):27項目尺度
    • これと、Collective Teacher Efficacy(12項目)、Principals' Systems Thinking(17項目)、senior management team innovation(5項目)の調査を実施

  • Schechter, C. (2007). Organizational Learning Mechanisms: The Meaning, Measure, and Implications for School Improvement. Educational Administration Quarterly, 44(2), 155-186.
  • 4因子尺度
    • 情報の分析(Analyzing information): 収集した情報に対し、集団での意味づけを通じて解釈を行うプロセス。
      • 教員は教育活動を計画するために協働する。
      • 教員はカリキュラムと指導を改善する方法について協働する。
      • 学校の目標について議論するためにスタッフ会議が開かれる。
      • 教員は生徒のために教科内容を修正・調整するために協働する。
      • 専門的な課題について審議するためにディスカッショングループが会合を開く。
      • 生徒の行動を評価するために会議が開かれる。
      • 生徒の学業成績を評価するために会議が開かれる。
      • 学校が生徒の成績やカリキュラムをどのように評価するかを決定するために会議が開かれる。
      • 保護者や地域社会の他のグループと共同でイベント・取り組み・プロジェクトが実施される。
    • 情報の保存・検索・活用(Storing-retrieving-putting to use of information): 組織の経験を記憶としてコード化して保存し、それを引き出して意思決定や行動の指針とするプロセス。
      • スタッフ会議では、前回の会議の要約報告書が活用される。
      • 学習と指導に関する過去の報告書が評価目的に使用される。
      • スタッフ会議では、過去の会議で下された決定が参照される。
      • 評価のフィードバックに基づいてカリキュラムが修正される。
      • 学校活動の監視と評価の過程で得られた情報が、将来の組織活動の計画に実行(反映)される。
      • 学校活動の分析と評価に基づいて指導方法が修正される。
      • 学校活動やプロジェクトの要約報告書が作成される。
      • 教員の仕事や学校プロジェクトの要約が、誰もがアクセス可能で周知の場所に保存される。
      • 成績報告書、手順書、教育資料などが保管され、簡単に検索(取り出し)できるリソースルーム(資料室)がある。
      • 各カリキュラムやプロジェクトには最新の指導ファイルがある。
    • 情報の受信・伝達(Receiving-disseminating information): 学校関係者に情報が提供され、その情報を共有するプロセス。
      • 専門的な変化やイノベーションに関する報告書が回覧される。
      • 学校のプログラムやプロジェクトに関する評価報告書が回覧される。
      • 学校のカリキュラムに関する定期的な評価報告書が回覧される。
      • 専門的および教育的な参考資料が提供されている。
      • 教育・教育学的な研究に関する専門文献(論文や書籍など)が届く。
    • 情報の探索(Seeking information): 能動的に情報を探求するプロセス(他校の戦略に学んだり、会議の議事録を読み返したりすることを含む)。
      • 教員はスタッフ会議の要約(議事録)に目を通す。
      • 教員は学習を目的として他の教員の授業を観察する。
      • 他の学校との専門的な学習の連携(ネットワーク)がある。

2026/02/14

Nijstad, B. A., Stroebe, W., & Lodewijkx, H. F. M. (2006). The illusion of group productivity: A reduction of failures explanation. European Journal of Social Psychology, 36(1), 31–48.

  • ブレーンストーミングでは、出されるアイディアの量は、グループよりも個人の方が多い
    • しかし、参加者はグループの方が効果的だという、なぜ?
    • →従来の研究:他者のアイディアを自分ものと勘違いするから、他者の成果を見て自分に安心するから
    • →本研究:認知的失敗(自分が新たなアイディアを思いつけないという失敗)が減少するので、満足度が高いと感じる
  • グループ生産性錯覚の原因は、社会的要因だけでなく、プロセスにも要因がある
  • 自分が行き詰まっても他者が発言すると、何か作業が進んでいるという錯覚を感じる=実際の生産性が低くても満足度が高まる

2026/02/13

Ronald Purser, 2025 AI is Destroying the University and Learning Itself, Current Affairs

  • AIが大学と大学の学習を破壊する

  • 教育の企業化
    • 財政赤字で教員やプログラムを削減しながら、AI企業に支出してツールを導入している=組織の自己欺瞞(公教育が民間資本への利益供給システムに成り下がる)
  • 教育目的の喪失
    • AIは思考や学習環境を変える技術、真の知的労働は悩み葛藤しながら自身の声をみつけること、それが効率性・最適化重視という技術への服従になっている
    • その結果、教育が表面的な学習の模倣へ劣化している
  • 不正行為の蔓延
    • 奨学金やビザ維持などGPAへのプレッシャーは、AI不正を生存戦略にしている
    • 学生にAIを禁じながら教員はAIで資料を作っている
  • テック企業の欺瞞
    • テック企業がAIで莫大な利益を得ながら、不正利用問題を学生がAI倫理を持つべきと自己責任論を説く
    • その一方で、AI懸念者には、進歩を恐れる人というレッテルを貼り、根本問題から目を背けてる
  • AI植民地問題
    • 進歩の裏で、データセンターの電力・水資源消費、アフリカでの低賃金の有害コンテンツ排除労働がある

2026/02/12

Riffe, K. A., and M. J. Pifer. 2026. “ Academic Departments as Microfoundations of Institutional Governance.” New Directions for Higher Education

  • 大学のガバナンス研究はマクロな組織構造(執行部や教授会)にのみ焦点化
    • 基礎単位の学科や部門が、全学ガバナンスに果たす役割が不明確
  • → Microfoundationに注目して実態調査
    • 日常的な行動・相互作用・ルーティンから説明する
  • 効果的なガバナンスに寄与する要因
    • 整理:部門の業務がどのように構成されているか、メンバーがタスクの完了方法について共有し、効果的な理解をどう構築するか
      • ファイリングシステム、役割分担、作業手順
    • 動機づけ:部門の業務がどう奨励され、メンバーがどう評価され、仕事をするよう奨励されるか
      • 昇任、褒賞、バーンアウトの回避、目標と優先順位
    • 促進:部門の業務がどう実施され、メンバーがどう支援されているか
      • 部門会議、議題設定、研修や能力開発、委員会
    • 社交:部門の業務がどう学ばれるか、メンバーが部門の文化や業務、役割をどう理解するか
      • リーダーシップ、移行、能力開発、透明性、メンタリング、ロールモデル
  • ガバナンスとは、単なる「トップダウンの官僚的な構造」や「規則集」ではなく、日々の部門会議の進め方や、若手教員へのメンタリングといった「草の根の相互作用」の中にこそ本質が存在する
    • 部門のリーダーが意図的に透明性や同僚性を育むことこそが、一人の教員をガバナンスの主体として育て上げ、ひいては大学組織全体の健全性と変革能力を高める

2026/02/11

Lei, W., M. H. Alharbi, Z. Yu, M. M. Ariffin, and M. Shutaywi. 2026. “ Governing Laboratory Education in the Post-Pandemic Era: A Multi-Level Governance Framework.” European Journal of Education 61, no. 1: e70430.

  • コロナ対応の教育は、オンラインばかりが強調され、実験・実習科目の課題を検討していない
    • VR、オンライン実習など局所的な手法や技術の議論ばかり
  • 大学組織(=複雑な官僚組織)の中で、実験・実習科目がどう再構築されているかというガバナンスプロセスに注目する
  • マルチレベルガバナンスフレームワークを提示
  • マルチレベルガバナンス
    • ガバナンスを3つの階層と3つのプロセスで説明する
    • 階層
      • マクロ:国家・システム階層:感染症対策ガイドライン、実験室の安全基準、予算配分、学位認定要件などが決まる
      • メゾ:大学組織・制度階層:大学執行部、学部長、実験室主任など、マクロ方針を受けて、キャンパス立ち入り方針、オンライン授業の制度化など、学内ポリシーを作る
      • ミクロ:現場・実践階層:教員やTAなど降りてきたルールの中で実際の教育活動をどう成立させるかを実践、検討、交渉する
    • プロセス
      • 翻訳:上位階層で決まった抽象的ルールが下層に降りる際に、文脈に合わせて解釈・再定義されるプロセス(ガイドラインはどうマニュアルに変換されるか?)
      • 相互作用:階層間・階層内アクター間の交渉や衝突(トップの要求に現場の価値観が衝突した際にどう調整されるか?)
      • フィードバック:下層の実践や課題が上層に伝わり、次のルール改定や資源配分に至るプロセス
  • 危機状況で必要なのは、現場の自律性や規範を尊重しながら相互作用やフィードバックが機能する健全な組織ガバナンスを構築すること

2026/02/10

瀬崎颯斗, 渡邊智也, 岩田貴帆, 小野塚若菜(2024)「教員のフィードバック・リテラシーに関する文献レビュー」『日本教育工学会研究報告集』3, 200-207

  • 教員のフィードバックリテラシー:学習者がフィードバックを取り入れることを可能にし,学習者のフィードバック・リテラシーの発達を促すように,フィードバック・プロセスをデザインするための知識,専門性,気質
  • 3側面で構成
    • デザイン:取り入れるためのデザイン=効果的なフィードバック・プ
    • ロセスを促進する方法でアセスメント環境をデザインすること
      • カリキュラムとアセスメントの流れを設計することで,学習者がフィードバックを生成することと取り入れることを促進する
      • ピア評価や典型事例の評価などの活動を通して,学習者が自分の取り組みや他者の取り組みについて判断を下せるようにサポートする
      • タイムリーなガイダンスや本質的なフィードバックを用いることで,課題で要求されることを明確にしたり,課題後のフィードバックが遅すぎて学習者が取り入れられないという問題を避けたりする
      • フィードバックに関与し,フィードバックを取り入れることを促進す必要に応じてテクノロジーを導入する
    • 関係性:学習者とのフィードバックにおけるコミュニケーションや関係性の側面に敏感に注意を払うこと
      • フィードバックの共有方法において,支援の姿勢,親しみやすさ,気配りを示す
      • フィードバック・プロセスを,教員と学習者のパートナーシップとして捉える
      • フィードバック・コミュニケーションにおける関係性の側面を強化するためにテクノロジーを導入する
    • 現実的:フィードバックの実際をかじ取りする中で現実的な落としどころを管理すること
      • フィードバックの異なる機能間の緊張を調整する
      • フィードバック・プロセスにおける専門問領域に関わる要素を管理する
      • 適時性,効率性,可搬性のためにテクノロジーを導入する
      • フィードバックに割かれる教員の仕事量と,学習者にとって有益なものとのバランスをとる

2026/02/09

瀬崎颯斗, 渡邊智也, 小野塚若菜(2023)「フィードバック・リテラシーに関する研究動向」『日本教育工学会研究報告集』3, 152-159

  • フィードバックリテラシー:情報を理解し,自身の取り組みや学習方略を向上させるために情報を利用する際に必要な理解,能力,気質
    • 学習者が様々な情報源から得た情報を理解し,それを活用して自分の取り組みや学習方略を向上させるプロセス(Carless and Boud 2018)
  • プロセスの4要素
    • フィードバックの価値を理解する
      • 学習の改善におけるフィードバックの役割と,そのプロセスにおける積極的な学習者の役割を理解し,評価する
      • フィードバック情報は,さまざまな形で,さまざまな情報源からもたらされることを理解する
      • フィードバックにアクセスし,保存し,再確認するためにテクノロジーを利用する
    • 判断する
      • 自分や他者の取り組みについて,学術的に適切な判断を下す能力を身につける
      • 相互フィードバックのプロセスに生産的に参加する
      • より確かな判断をするために,時間をかけて自己評価能力を磨く
    • 感情を管理する
      • 批判的なフィードバックを受けたとき,感情の平衡を保ち,防衛を避ける
      • ピアや教員から積極的に提案を引き出し,必要に応じて対話を続ける
      • 内外のフィードバックに基づいて,継続的な改善に努める習慣を身につける
    • 行動を起こす
      • フィードバック情報に対して行動を起こす必要性を認識する
      • 継続的な改善を目的として,さまざまなフィードバック経験から推論を導く
      • フィードバックに基づいて行動するための方略のレパートリーを身につける

2026/02/08

Chau, Q., Nguyen-Quy, T. & Tran-Ai, C. (2026) How do returnee faculty members contribute to organizational changes? Case study of a Vietnamese university of social sciences. Higher Education

  • 国外大学教員の帰国で、国内大学は活性化するか?変革エージェントになってくれるか?
  • 実際にローカル教員と帰国教員を比較すると、大量生産より倫理的で質の高い研究、学生に高い学問基準を求める教育、期限までに体裁を整える業務より専門性の追求という違いはある
  • しかし、この葛藤がイノベーションに繋がらない、なぜ?
  • 大学の評価システムは、帰国教員を評価する仕組みを持っていない
    • ローカル教員の手抜き業務はペナルティを受けない
    • 帰国教員のパフォーマンスは、個人の努力
    • 帰国教員は孤立、脆弱化、持続しない
  • 建設的な緊張関係を無効化する大学の制度的構造・官僚的評価システム・管理職の姿勢
  • 帰国教員は、専門性を評価してくれる学外コミュニティに貢献の場を写していまう
  • 金銭的な報酬ではなく、帰国教員の働きを正当に評価する象徴的承認と、取り組みを制度化するサポートことが重要、政策者や執行部は検討すべき

2026/02/07

Ward, R. and Cate, L. (2026), The Balance of Power: A Contemporary Framework for Enhancing Shared Governance in Higher Education. New Directions of Higher Education..

  • シェアドガバナンスは、現在の環境で持続可能なのか?
    • 効率性・市場重視、アカデミックキャピタリズムなど→迅速な意思決定が必要 ⇔ 教員側はシェアドガバナンスプロセスの衰退を懸念
  • 基盤の理論枠組み
    • 古典理論(1966AAUP声明):権力を構造的に分散させる
    • 戦時的・官僚的解釈論:非公式な交渉や人間関係の力学を重視
  • 2つのビジネス枠組みの援用
    • RACIモデル(プロジェクト管理・役割明確化):意思決定関係者を4分類する(実行責任者、説明責任者、協業先・相談先、報告先)
    • Bolman & Deal(組織内の複雑な力学を理解するモデル):構造、人的資源、政治的、象徴的
  • 2つのビジネス枠ぶみを統合して、Shared Governance Power Allocation Frameworkをつくった
    • B&Dモデルの4柱に、RACIを入れたもの
    • 10%の予算削減を迫られた中規模公立大学にどう適応できるかをケーススタディ
  • シェアドガバナンス:教員・管理職・理事会が領分を守る牧歌的モデル→効率化の波で管理層に権限が偏った機能不全→権力の縄張り争いから脱却し、決定事項ごとに各関係者の役割分担を明確にし、スピーディ・効率的・透明な協働プロジェクト管理システムへ進化させないといけない