2014/06/15

上田正仁(2013)『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』 ブックマン社


  • 発見やアイディアは考えるというプロセスから生まれる。考える力は,問題の本質を見極める力,創造力は,それを独自の方法で解決に至るまでやり遂げる能力。
  • マニュアル力は,考える力を身につける基礎力になり,創造力を発揮する土台になる。
  • 自ら考え,創造する力は,問題を見つける力,解く力,あきらめない人間力の3つの要素からなる。この実践のキーワードは捨てること,情報を集めて要点を理解したら一旦捨て,知識ではなく智恵を身につけることが,自ら考え,創造する力を高める。
  • 疑問を大切にする習慣を身につける
  • 講義の冒頭で「この講義は対話形式にします」と宣言,どんな小さな疑問や質問も他の学生の理解の助けになるので,遠慮せず発言してというと,対話が始まる。
  • 研究室に入って最初の課題は,やりたいテーマを自分で見つけること,そのために対話をして,学生自身が発見できるようなヒントを出していく。学生の理解が深まる適切な文献を読んでもらう。
  • 一人で考える時は,自己と対話する。問題の種をメモする。思考に行き詰まったら,私は何を何のために考えているのかを意識する。
  • 分からないを3つに分ける,(1)事実を知らない,(2)答えが分からない,(3)何が分からないのか分からない。
  • (1)ならとにかく調べる(マニュアル力で対応できる),(2)なら考え続けて問題を煮詰める,(3)が問題を見つける力の最も肝心な部分で,対話で何が分からないかを明確にする。
  • メモを書いて,書いたものを読み返す習慣作りが重要。
  • 情報収集中に答え探しになったら,その問題はイノベーションにつながるものではなかったと言うこと。情報収集の目的は,何がまだ行われていないかを探すこと。
  • メモは必ず自分の言葉で書く。
  • たいていの問題は,類型化,要素化,各要素の個別解決で対応できる(マニュアル力の活用)。
  • 答えの見えない問題は,類型化を多角的に行う。
  • あきらめない人間力とは,長い時間をかけて試行錯誤し,失敗の原因を分析して次のトライを計画できること。
  • マニュアル力,考える力,創造力は,高校,大学,大学院で問われる優秀さの尺度。
おもしろい本だが,趣旨はメモを取って粘り強く考え続けるというもの。対話を重視するという点は,教授法として興味深い。対話が思考を促進するのは分かるので,自分と対話する方法について詳しく書いてあるとよかった。