- マレーシアの大学でのPD:How to Get Published Quickly
- 教員の不安を助長するPD → 本当にこれでよいのか?
- ワークショップの再設計
- ジャーナリング+自身の学問的軌跡と重圧の言語化+小グループ対話
- =省察的・関係性重視のPDF
- Rethinking professional development
- ジャーナリング:セッション開始前とセッション中に自分の考えや感情を書き出すワーク
- 自分自身の学問的キャリアにおける重要な転機を振り返り、特定する
- 日常的に繰り返し感じているプレッシャーを正直に言語化
- 小グループ対話
- 時間を区切ったナラティブ・ラウンド、公平な持ち時間の中で、自分の物語や状況を語る
- アドバイスをすぐにしない、相手の状況を正しく理解し、明確にするための質問から始める
- どうすれば高インパクト論文を書けるか →
- 「自分はなぜこの研究をしているのか」「何に苦しんでいるのか」を言語化
- ピアとの安全な対話を通じて研究者としてのアイデンティティを再構築・再確認
- カウンセリングやコーチングに近い実践的なワークショップ
2026/03/17
Hu, H., & Hashim, H. (2026). Beyond compliance: rethinking professional development for early-career academics in publication-driven cultures. International Journal for Academic Development, 1–5.
2026/03/13
Petchey, S., Brown, K., & Niebert, K. (2026). Analogies as an overlooked tool for fostering students’ higher-order thinking: insights from graduate teaching assistant training. International Journal for Academic Development, 1–15.
- 高次の思考力の育成ではアナロジーが重要
- アナロジー:なじみのある領域と、なじみのない領域を比較する、人間の基本的な思考パターン
- 抽象的な概念→なじみのある言葉で構成→学生が持つ事前知識・個人経験で学習を構築する
- アナロジーが記憶の定着と応用を助け、学習内容の関連性の認識を高め、傾向・パターン・一般化可能なルールを明らかにする
- アナロジーは、わかりやすい例えではなく、関係性や因果律を深く考えさせる構造的ツールである
- 従来のFDは、マニュアル化された手法やPBLなどばかりが注目され、教員の自律性や専門的判断を奪っていた
- 理系教育は記憶再生型の学習や試験に偏っていた
- スイスの大学の科学教育のTA向けFDプログラムでアナロジーを導入
- 具体的にはFARガイドを使った(Focus, Action, Reflection)
- Focus:その概念の何が抽象的で理解しにくいのかを考える、学生の事前知識を確認し、なじみのあるアナロジーを選ぶ
- Action:学生がそのアナロジーに本当になじみがあるかを確認する、アナロジーとターゲット概念の類似点を議論する
- Reflection:アナロジーがどの程度有用・明確だったかを評価し、改善する
- アナロジーは、インタラクティブな授業へのハードルを下げられる
2026/03/12
Hasse, R., Hwang, H. & Mormann, H. (2026) Expanding institutional analysis: helping professionals and the reconstruction of academic individuals. Higher Education
- 大学改革は研究者個人をどのように変容させているのか?
- FD専門職のような対人支援専門職は、教員の役割拡大を支援すると同時に、期待値を上げすぎて教員の欠如も明示してしまう
- 専門職が学内で提供するワークショップやコーチング
- 多くの場合、標準化されたフォーマットがある
- → その実践は欠如志向(Deficit orientation)がある
- = 教員=頭で考えてばかり&社会的・感情的スキルに欠ける人
- 専門職は、本来なら問題視されなかったことを対処すべき課題として再定義するという問題自体の創出をする
- 教員は強みを伸ばすよりも欠点を埋めることにエフォートを割くようになる
- 従来の議論は、大学経営の高度化(=官僚制化)と教員の自律性(=同僚性・学問の自由)という二項対立
- → 大学の管理が強くなると、教員はエージェント(歯車)になると考えられてきた
- → 実際は、教員もエンパワーされたメンバーとしての個性を発揮している+管理と矛盾しない・相互に強化している
- FD担当者が自らの存在意義を確保するために、教員の欠如を絶えず創出し、欠如レッテルを貼る機能を果たしている
- 教員は、学術以外も評価されるルーブリックによって、強みを伸ばすよりも穴を埋めて全ての項目でそこそこを目指すメンタリティに陥る危険がある
- これらを、実際に提供されたFDプログラムの文言を分析して、教員がどのように再定義されているかを読み取った
2026/03/11
舟津昌平(2023)『組織変革論』中央経済社
- 企業は明らかに答えの見えない問題や,経験したことのない苦境に対して「ステイ」を選択することは難しく,何らかのアクションを起こさないといけない
- 組織は目まぐるしく変化する外部環境に適応し生き残るために変革を必要とする
- 変革をしなくても生き残る組織も存在する
- 変革は素晴らしい,どんな組織も変革をしないといけない→変革革とは何か,本当に必要なのか
- 変革は非常に難しい
- 組織の成立条件:定義は一定ではない
- 4条件(Daft):(1)社会的な「実体」であること,(2)目標によって駆動されること,(3)意図的に構成されること,(4)外部の環境と結びついていること
- 3条件(Barnard):(1)共通目的,(2)貢献意欲,(3)コミュニケーション
- (1)目的を持つ、(2)意図を持つ、(3)環境と関与し合う
- 環境とは:組織の外にあって影響をもたらすもの
- タスク環境:業界セクター、原材料セクター、市場セクター
- 一般環境:人的資源セクター、国際セクター、財務資源セクター、技術セクター、経済セクター、政治・法律セクター、社会文化セクター
- 環境セクターのうち、強い影響を持つものがタスク環境
- 変革=目的を達成したいといった意図の介在によって組織にもたらされる変化
- Changeは変化にも変革にも使う
- 変革は意図が伴う
- 何が変われば変革か:組織の構造か文化
- 組織変革の定義
- 変革とは広義には組織の構成要素を,狭義には組織の構造あるいは文化を変化させることを意味する
- 変革は環境との整合性をとりながらおこなわれる
- 変革には組織による意図が伴う。変化じたいは変革ではなく,意図の伴った変化を変革とよぶ
- 変革の目的は,組織が生存あるいは成長することにある
- 組織コミットメントの強い人が組織変革を決断し主導する
- 変革は必要か・誰にとって必要か:組織変革は,それが必要であると強く思い,組織変革に対して高いモチベーションをもつ人にとって必要
- 成功・失敗は何らかの基準を決めないと下せない
- 経営や変革において、経営者の認知という主観的で合間ないものが強力に作用する
- 組織生態学の前提:組織は自ら環境に適応できない、結果的に適応した組織が存続する
- 経営資源アプローチの問題点:資源に価値があるのかの目利きは難しく、事前に評価できるとは限らない
- ダイナミックケイパビリティ:環境に適応するための柔軟な自己変革能力が必要
- DCの3プロセス:感知・捕捉・変革
- 学習の定義(Huber 1991):ある情報処理を通じて主体の潜在的な行動の範囲が変化したとき
- 組織学習の目的は環境適応
- 低次学習:解決法がどこかに存在し、それを見つけて当てはめることで問題が解決される学習
- 高次学習:明示的な知識のみならず価値観や理念の変革を伴う学習(雰囲気が変わる)
- ルーチンが作られる2プロセス:ルーチンが頻繁に行われ、繰り返される+意思決定が単純化されている
- 組織はルーチンの器でありルーチンの束
- 組織変革では何らかのルーチンを変革したり既存のルーチンを止める必要がある
- いかにルーチンの引き出しを持つかが組織変革にとって重要
- ダブルループ学習は根本的に相当難しい、組織慣性をふまえればなおそう
- ボトムアップのみでなく、トップダウンの変革が必要
- リーダーをめぐる文脈は複雑:近年の資質論への回帰(リーダーシップではそれを受け入れる人々の存在が重要なため)
- コンティンジェンシー理論で考慮される状況性は3つ:支持率(リーダーがどのくらい支持されているか)、タスクの明確さ(不確実性が高いと問題の明確化が困難)、権限の強さ、これらでリーダーシップのあり方を決めるとよい
- シェアドリーダーシップ:リーダーシップは集団の中で結果的に発揮されていればよい、タスクAはYさん、タスクBはXさんでよい、公式リーダーはそれおを阻害しないように調整する
- 変革型リーダーシップの対は交流型リーダーシップ
- 基本は互酬関係、交流型リーダーシップは仕事の質や量が互いに何を与え合うかで決まる
- 変革型リーダーシップ:合理性を超えたコミットメント
- 4つの構成要素:理想化された影響(フォロワーがリーダーのようになりたい)、モチベーションの鼓舞(リーダーの鼓舞でフォロワーのモチベーションが上がる)、知的刺激(リーダーがフォロワーの問題意識や学習を刺激)、個別配慮(個人別にアドバイスや悩み相談を行う)
- 負の側面:フォロワーが疑問を感じても従わないといけない、チームに自信を持たせることは多様性や創造性を失うことでもある
- リーダーシップの持論アプローチ(金井 2007):リーダーシップ研究を広く知った上で、各自が持論といえるリーダーシップ観をもちなさい
- 特定の個人のものでなく、状況に応じて集団で共有されるなら、誰でも発揮場面が来る、その時に向けて自分の立ち位置や考えを明確にせよ
- 分化:組織内で分業した集団が独自の価値観や文化を持つこと
- 経営陣はどこかの部門出身→セクショナリズムが経営陣に浸透する状態は問題
- ゴーン改革の3質問:何が問題だと思うのか、どうすればよいと思うのか、その中であなたは会社に何が貢献できるのか→Just do it
- 組織変革とは
- 定義
- 目的:環境適応による成長・生存
- 主体:組織にコミットする個人
- 類型:変革の成功・失敗と生存の関係
- 潮流
- 推進派:経営戦略論(経営者の主観と机下の合致による生存)
- 懐疑派:組織生態学(組織創生時の初期条件による生存)
- 重要な下位概念
- 組織学習:変革のための知識のマネジメント
- リーダーシップ:変革を主導する人のマネジメント
- イノベーション:変革における新しさのマネジメント
2026/03/10
吉田文・濱中淳子・渡邊浩一(2025)『専門書を読む』ミネルヴァ書房
- 大学での学習
- 特定の専門分野を集中的に学ぶことに主眼がある
- 専門分野の知識を得るだけでなく、それをもとに研究というスタイルをとって知識の生産に参加する点に、初中等教育と異なる特徴がある
- それには、関連する図書・論文にあたって学ぶことが必要
- 研究するにはこれまで生産されてきた知識を渉猟し、到達点や問題点を探す=専門書・論文を読みこなさないといけない
- 知識階級は読書がつくる
- 旧制高校では哲学書と総合雑誌(中央公論、改造、文藝春秋)が読まれた
- 大正〜昭和期にマルクス主義の登場で変化
- 危険思想→読書が危険思想温床の場→禁止
- 今の大学生は読書をしない(半数移譲は1日に全く本を読まない)
- 一方で1日60分移譲どくよする学生は2→3割に増えている(漫画が増えた?)
- 15名で輪読授業:毎週2名割り当てプレゼン+全員レジュメ
- レジュメ:要約、補足説明、最も重要な点、批判すべき点、ディスカッショントピック、参考・引用文献
- 相互閲覧可で共有
- 要約・批判・ディスカッショントピックに課題あり
- 見解の要約ではなく事実の要約
- 事実に批判、著者の見解に根拠なく異議
- トピック曖昧
- 批判をさせる
- 事実ではなく、事実に関する著者の主張を批判する
- 批判の際に具体的な根拠を示す、曖昧に批判はしない、冒頭で著者は〜と述べていると簡潔に示してから批判
- 批判は全否定ではない、評価すべき点は評価してから批判
- 批判はnot A but Bよりnot only A but also Bの形の方がやりやすい
- ディスカッショントピックとたてる
- トピックを投げかけることで、どのような議論を行えそうかを想像しながら提案する
- 唐突にトピックを立てず、それまで考えた重要な点、批判すべき点をふまえてさらに議論したい点を検討する
- トピックを立てる際、自分の見解も加える
- 発表者を置かない輪読
- 全員が文献の概要メモを作成
- 全体的な感想を言う
- 議論1:文献の主張を確認
- 祇園2:現実の問題への応用
- 議論3:疑問点・問題点
- まとめ・次回までの課題確認
2026/03/09
山中司・坂場大道・増田智香(2025)『探究学習のための「問い」の立て方』朝日出版社
- 総合的な探究の時間は、実社会や実生活における複雑な文脈の中に存在する事象を対象
- 実社会や実生活における複雑な文脈の中に存在する問題をさまざまな角度から傭撤して捉え、考える
- 正解が存在しない課題に対して、最適解や納得解を見いだすことを重視
- 総合的な学習=問題解決を通して自己の生き方を探る
- 総合的な探究=自己のあり方や生き方と切り離せない課題を自分で見つけて解決していく
- 他人事の探究=成果が探究者の生き方に変化をもたらさない
- 探究内容と探究者の関わりが軽視されると他人事探究になる
- 時間の制約から本当に興味を持たない問いを選ばざるを得ない
- → 当事者性と公共性を重視した問いを立てる必要がある
- 初期段階では自分を中心とした研究に取り組むべき、自分がいるところから始める
- 好きなものを探究するより、嫌いなものや苦手なもの、考えなければならないこと、考えずにはいられなことから始めるとよい
- 嫌いなものは、それを広めるのではなく、なぜ嫌いかという視点を持ちやすい
- 体験にもとづいた問いが必要
- 花粉症が辛い→なぜ花粉症になるのか
- 花粉症のせいで入試に失敗した→一発勝負の受験でよいのか
- 体験を書くときは箇条書きではなく文章で総裁を記す
- 日本人は他人に興味を持つことが下手、他人に関心を持っていない振る舞い方をしてしまう傾向がある
- 日本人は、個人の得意な分野・よく知った領域・馴染みのある内容、特定範囲内だけで生活や活動をしてしまいがち
- 問いの公共化
- 操作的定義:人によって指すものが変わるものを、客観的に測定可能なものに置き換える
- 英語が得意な人→TOEIC L&Rで730点以上の人
- 社交的な性格の人→ある性格テストで社交的と分類された人
- チャンクダウン:問いに含まれる複雑な概念や用語を簡単で具体的な言葉に細分化する
- 戦争はなぜ起きるか→人が他者に対して暴力を使うにはどのようなりゆうがあるか
- 人が寺や神社に行く理由はなにか→人はどういう時に祈るのか
- 探究学習に向かない問い
- 規模が大きすぎる:存在とは何か
- 高度な専門性が必要:量子力学によって宇宙をどう説明できるか
- 情報が集めにくい:未知の生物種は地球上に何種類存在するか
- すでに広く受け入れられた答えがある:食事後から入眠までに何時間あけるべきか
- ハウツー:英語を勉強する最適な方法とは
- 調べたことを列挙する:花粉症の原因はなにか
- 調べればすぐにわかる:日本で漢字が使われるようになったのはいつか
- 予想・推測:もしコロナがもう一度起こったらどうなるか
2026/03/08
佐藤直樹(2022)『「世間教」と日本人の深層意識』さくら舎
- 世間とは日本人の共同幻想
- 日本人はいつも他人を邪魔しないようお互いに気を遣っている
- 個人とは尊厳ある個人と言われると、日本人は尊厳がどういうものかわからない
- 世間に生きる人間は、個人ではなく役割として生きている
- 役割を引き受けるほど世間が広くなる、尊厳と関係ない
- 役割は終われば消える、尊厳は他者が破壊できない
- 世間が競争をなくす方向で形作られてきたから
- 日本人の不幸は孤独になること、孤独とは世間の中で役割がないこと
- 欧米の個人は孤独が本質
- 世間の中にいてルールに従っているととりあえず楽
- 要請に応じない組織の名前を公表する
- Twitterの匿名率は世界が30〜40%、日本は75%以上
- 日本は匿名でないと自由に発言できないから
- 最小単位の個人の集合が社会、個人の結びつきが法律で定められている人間関係
- 明治維新で、日本は世間と社会の二重構造になった
- 世間が土台・社会が上部
- 世間=他人に迷惑をかけるなルール
- それで解決できない時=法のルール
- 近代法の基礎:社会契約
- 人は生まれながら自然権を持つ→自然状態では殺し合いになる→自然権の一部を国に移譲し、殺し合わないよう国に守ってもらう(社会契約・国家契約)
- キリスト教の浸透で欧州の世間は社会にかわった
- 告解:心の中を神に対して自白することで内面が生まれ、個人が生まれる、内面を見ると自分とは何かを考えざるを得ない
- 個人は自分の意見を言う時に周りをみない
- 自分の内面を神にプレゼンするのが告解
- 日本人の恥は周りに対するもの
- 日本語は世間の言葉、英語は社会の言葉
- 鬱になりやすい性格:メランコリー親和型=真面目、責任感が強い、几帳面、仕事熱心、仲間への配慮=世間で一番好かれるタイプ→抱すぎて自殺
- 日本は欧米から輸入した近代家族が定着していない
- 3つの特徴:私的領域と公的領域の区別、家族が情緒的関係から成る、夫婦の性別役割分業
- 子供が問題を起こしても家族は社会から非難されず、子供を守れる
- 家族の原理は愛情、社会の原理は競争(市場)
- 日本の家族は世間を気にするから公私が分離できず、家族が世間と対立できない
2026/03/07
相原君俊(2025)『組織文化形成メカニズム』中央経済社
- 文化は他者に対する意見と偏見を持ち,自分の文化はいつでも正しいと考えるため,異文化を受け入れることは大きな文化的挑戦となる(Schein 2016)
- 組織文化論:80年代に経営学でブーム
- 組織文化を計画的に変革する組織開発論と日本的経営の成功
- → 組織の顕在的側面に注目してきた組織論は,組織の潜在的側面を分析して変革の対象とした
- 組織文化研究は,共有された意味体系としての組織が,学習能力や自己変革能力,メンバー同士あるいは環境との社会的相互作用を通じて,長い間に進化する能力を持っていることを明らかにした(野中・竹内 2020)
- 組織文化は長期的視点から管理すべき
- 強い文化=多くの人が文化を共有している
- 人は群れる:自分と似た価値観・思考パターン・認識の仕方を持つ人が周囲にいると嬉しい
- 組織文化とは(山倉 1998):メンバーによって共有されている価値・規範・信念
- 組織部下とは(伊丹・加護野 2003):組織の価値観、人々に共有されたパラダイム、行動規範の共有の意義の3つからなる
- 価値:人が組織内で何に価値を置くか、何が大切で何が大切でないか
- パラダイム:認識と思考のパターン=メンバーが認識・判断・行動に至るプロセスで行われる思考の中の共通項
- → これらは抽象的でどのようにでも解釈できる → 具体的には行動規範
- 小原(2007)
- 機能主義的組織文化論:環境そのものを所与ととらえ,組織の外にある客観的実在物として扱い,外部環境の変化に対して,組織もそれに適応させて受動的に変化し,適応する結果として理解されるもの
- 解釈主義的組織文化論:環境は組織内部の個々人の間主観的,意識的な相互作用の産物である意味世界,いわば社会的な構成物であり,組織は,組織内部の個々人自らが主体的.自律的に環境に働きかけ,組織内外の環境を可能な範囲で変革したり,創造したりするプロセスに中心が置かれるもの
- 多くの支持を受ける組織文化モデル(Schein 1989):ある特定のグループが外部への適応や内部統合の問題に対処する際に学習した,グループ自身によって,創られ,発見され,または,発展させられた基本的仮定のパターン
- 組織文化が他の諸概念と異なる重要な特徴:組織のメンバーによって共有された基本的仮定のパターンとして理解している点
- 組織文化の4つの特徴(咲川 2018)
- 構成員によって共有されている、当該組織と他組織を区別する、組織や職場の中に根付いている、意味を持ち象徴となる
- 本書の定義:組織構成メンバーが組織内で学習を行った結果,組織自身によって創られ,共有された,組織特有の共通の価値観 パラダイム,行動規範をベースとする,意味の解釈 および思考のパターン
- 組織文化には学習の要素が欠かせない
- 組織文化の逆機能(伊丹・加護野 2003):思考様式の均質化(思考の多様性を奪い個性を殺した集団になる危険)、自己保存本能(組織の存続より組織文化の存続が目的になる)
- 現地化成功企業=知識移転と技術移転が優れている
- → 形式知と暗黙知の両方が伝わることは必須
- 共通言語とは、言葉だけでなく、言葉+その言葉に付随する暗黙知
- シンボリックマネジャー(Deal and Lennedy 1982):強い文化を持つ組織で率先して文化を維持・形成する人
- 多くの時間を、文化の価値管理、英雄、儀式にについて考えることに費やす
- 日本組織は高コンテクスト文化、組織文化に依存する割合が高い
- 学習をもたらす組織文化:放任も管理も必要、組み合わせて学習を促進する組織文化を形成する
- 実践コミュニティ(Lave and Wenger 1991)とは:安定した物理的な場所でなく、実践に参加している人の協働の活動を通じて結び合わされた関係のネットワーク→ 参加者の目標・価値観・位置取りも多様で非公式
- 実践コミュニティは誕生・成長・死のサイクルがある
- 実践コミュニティの成功は個人の情熱に負うところが大きい(Benger et al 2002)
- Lave(2019)の批判:実践コミュニティで高まるのはKnowledgeabilityであり、知識ではない、知識は部分的に切り離された単体の固形物、メンバーの頭の中に部分的にしか存在しない、Knowledgeabilityは他者との関係の中で作られるソーシャルライフと継続した実践の一部である学習が両立して高まる
- 優れた実践コミュニティでは、メンバーがコアグループ・アクティブグループ・周辺グループの間を行き来する
- 実践はメンバーが参加する中から生まれるので、メンバーが多すぎると共有をうまくできない(トムソン 2017)
- 実践コミュニティの構成要素:相互関与・共同事業・共有されたレパートリー
- 相互関与=意味の交渉プロセス、参加と物象化が相互に作用する中で起こる
- 意味の交渉プロセス:実践コミュニティへの参加やそこでの対話 非言語コミュニケーションを通じて得た体験を,時間をかけて形に変え,自身のコンテクストを修正するプロセス
- 意味は既存ではなく、一から構築するものではなく、すべて交渉のプロセス、意味は常に交渉の産物
- 特定人物による既存の専門知識やマニュアルなど物証化されたものを利用することだけで成り立つ活動では意味の交渉は存在しない、意味が固定かされコントロール下に置かれるなら実践コミュニティではない
- 実践コミュニティを理解する分析概念:文化的透明性(Cultural Transparency)
- ブラックボックス=文化的に不透明な人工物
- グラスボックス=文化的に透明な人工物
- コーラの瓶を見たことがない人は神聖なものと思うかも
- バウンダリーオブジェクト:実践コミュニティ間におけるそれぞれの視点をつなぐもの
- 複数の実践コミュニティが相互に接続することを組織化できる物象化の形=文書・用語など
- 組織間協働を推進できる
- ただし、他の実践コミュニティで物象化された人工物を他のコミュニティに持ち込んでも文化的透明性を欠くことが多い
- 心理的安全なチーム:必要なことを発言したり,試してみたり,挑戦してみたりしても安全(罰を与えられたりしない)と認識されていること(外交的である、アットホームで結束してる,すぐ妥協する生ぬるい職場、ではない)
- ミクロレベルでの実態を考察しなければ,組織文化の形成を説明することは不可能、実践コミュニティは組織文化との親和性も高く,ミクロのレベルで考察可能、組織文化形成には,学習の共通体験が必要不可欠であり,学習の共通体験を考察するには,実践コミュニティに着目するとよい
2026/03/06
溝上慎一(2024)『学校教育目標のアセスメントとカリキュラム・マネジメントの組織化に向けて』東信堂
- 学校教育の目標段階
- 人間形成を目指す目的(aim)
- 知識・技能等の修徳を目指す目標(Objectives)
- 梶田の定義
- 目的=期待目標
- 目標=到達目標
- 石井の定義
- 目的と目標の中間:ゴール(Goal)
- これらをふまえた目的・目標の近接用語の整理
- 資質・能力
- 教育基本法第5条2における義務教育の目的として掲げられる「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うこと」とされるものから概念化されたもの
- 資質は遺伝的な要素を持つ先天的能力であるが、教育によってさらに向上させることができるもの、一定の資質は後天的に獲得できる
- 資質・能力は、幅広く能力をとらえるもの
- 現行の学習指導要領は、資質・能力の育成を異なる2つの意味で説いている
- (1)汎用的な資質・能力
- (2)教科それぞれの知識・技能に付随する特定領域における資質・能力
- 汎用的な能力を高める講座:実施では特定領域の課題が必要(コミュ力を育成→貧困や格差について考えてもらう)
- 特定領域を超える汎用的な資質・能力を育てるうプログラムであるのに、その実践においては特定領域の課題に頼らざるを得ない構造的ジレンマ
- 特定の資質・能力を積み重ねるだけでは汎用的な資質・能力には必ずしも至らない
2026/03/05
横山拓(2024)『組織マネジメントにおけるメタ学習』東京大学出版会
- メタ学習:高次学習に関するメタレベルの学習
- 急激な環境変化が次々と起こる状況では,何度も高次学習をしなければならず,そこでは高次学習それ自体に熟達していく必要がある
- 調査期間中、それ以前の得意技を捨てまったく新しいやり方にチャレンジするような形で,マネジメントスタイルを次々と変化させていったマネジャー
- メタ学習とは、変身したことではなく、変身の仕方が上手になること
- 高次学習:既存の手法をアンラーンし、新たな手法を創出すること
- 高次学習そのものに習熟する必要がある
- マネジャーは過去の成功経験を新たな仕事に適用し、それにより失敗する
- 適応は適応力を阻害する(Weick 1979)
- 両利き経営:組織内で新規事業を担当する部署と既存事業を担当する部署を分ける、前者を独立・分離するなど、組織デザイン変更で新たな環境変化に対処する
- 有能性の罠(Competency trap)(Levitt & March 1988):過去に成功した既存ルーチンが新たな組織ルーチンの探索を阻害する
- → 組織学習論は、ある学習曲線上で効率化を進める低次学習と、所与の条件自体の見直しや作り直しを伴う高次学習を区別する
- 高次学習のミニチュアとは:(1)新規性のある解決策の創造、(2)既存の制約のアンラーニング、2つの要素を含む必要がある
- 洞察問題:解決にひらめきや発想の転換を必要とする問題
- (1)答えを聞けばごく簡単な問題なのに解けない、(2)同じ失敗を何度も繰り返す、(3)有益なヒントや手がかりを与えられても見逃してしまう、(4)問題解決が主観的にアハ体験として唐突に訪れる
- だからといって洞察問題で実験??
- 個人学習と組織学習
- 組織学習論には、個人を学習主体とする立場、組織を学習主体とする立場、、個人・組織両者を学習主体とする立場がある
- 本書は第1の立場=非連続環境変化では個人レベルの学習が必要だから
- 優れたマネジャーのパフォーマンスを平均値で分析すると個々のマネジャーの認知システム変化は捉えられない、学習や発達に重要な役割をはたすゆらぎや個別性が誤差になってしまう
- ダイナミクスの記述には、縦断的な単一事例分析が適している(Siggelkow 2007)
2026/03/04
今津幸次郎(2024)『「学校いじめ」のメカニズムと危機管理』黎明書房
- 1980年代からいじめる行為が大人から見て深刻な問題とされ、いじめが一般名詞となった
- 学校いじめは1970年代に北欧で社会問題となり、80年代を通じて世界共通の解決すべき深刻な問題となった
- Bullying=身体的な暴力、いじめ=精神的圧力:どちらも被害者を産む点で共通
- 攻撃性行動:加害と被害の関係の中で、加害行為の奥にある心理・行動性向が何であるかを問うべき
- いじめという語の議論で、発達上の変化に言及しない
2026/03/03
松下佳代・前田秀樹・田中孝平(2022)『対話型論証ですすめる探求ワーク』勁草書房
- 3つの論題
- 事実論題:事実の有無・真偽を対象(原子力発電所が日本で最も多いのは福井県である)
- 価値論題:価値判断(善さ・美しさ・重要性)を対象(地球温暖化の対策として原子力発電の活用が大切である)
- 政策論題:行動や政策の是非(ある行動をとるべきか・ある政策を実施すべきか)を対象(原子力発電所を廃止すべきか)
- 政策論題には、事実論題と価値論題が多層的に含み込まれている
- 問題・課題・問い
- 問題:ある対象や状況についての問題意識やその背景、そこから限定した課題や問いを包含する
- 課題:疑問だ・解決すべきだ・知りたいと思う問題の領域や具体的な事柄
- 問い:課題の粒度を小さくした問い、その中で単球場の問いをリサーチクエスチョンという
- 問い作りのポイント
- 問いの視点を変える
- 問いの規模を変える:深い・浅い、規模の狭い・広い
- 疑問視を変える(Why、If、How)・主語を変えたり限定する・修飾語を変える
- 問いをブレイクダウンしてリサーチクエスチョンを立てる
- なぜという問いを立てる→どうなっているのか(実態を問う問いを挟む)→なぜを問う
- なぜ地域によって大学進学率は異なるのか→日本の大学進学率はどうなっているのか→地方において大師と叙してなぜこれほど大学進学率は違うのか→地方における女子高校生の進学率が男子と比べて低い地域にはどのような特徴があるのか(粒度が小さくなった)
- 問いと仮説を思いつく文献の読み方=4つの箇所を探す
- 目から鱗(なるほどそうだったのか)
- 激しく同意
- 納得いかない
- 激しく反発
- 仮説から主張
- 仮説のうち、根拠(事実・データと論拠・理由づけ)や対立する主張への反駁を通じて正当化されたものが主張
- 論拠・理由づけのタイプ
- 因果関係:事実・データ=原発近くで奇形の花がある→論拠=放射線を受けると動植物に奇形が出る→主張=この花は原発事故によって生じた
- アナロジー:事実・データ=Aは性質Pを持つ→論拠=AとBは似ている→主張=Bも性質Pを持つだろう
- 規範:事実・データ=行為aは行為Aの一種である→論拠=行為Aをすべきだ→主張=行為aをすべきだ
- 権威:事実・データ=XはPと主張している→論拠=XはPに関して信頼できる専門家である→主張=Pは正しい
- 結論
- 事実論題:XはAである
- 価値論題:Aは良い・重要だ
- 政策論題:Aを行うべきだ
2026/03/02
ブレーデン, J.・グッドマン, R.(2021)『日本の私立大学はなぜ生き残るのか』中央公論新社
- 日本の私立大学の40%は同族所有・同族経営
- 大学と閉じると、親族の持つ主要な事業全体を危機に陥れたり評判に傷をつけることにつながるから、大学を閉じない=家業を自分の代でつぶしたくない
- 私立大学が生き延びる背景:各アクターの立場の力が過小評価されていた
- 当時の日本社会は、アクターの力より社会の規制力の方が強調されていた
- 同族経営大学の運営は、高度に中央集権的で、トップダウン意思決定
- ゲイガー(1986)の国公立・私立関係分類
- 大衆化した私立セクター:日本・フィリピン
- 公立校並立私立セクター:オランダ・ベルギー
- 周縁化された私立セクター:フランス・スウェーデン・イギリス
- アメリカ的私立セクター
- リーヴァイ(1986)の分類
- 国家主導型:民間資金大学がほとんどない(共産主義国・西欧州・フランス領アフリカ諸国)
- 公立自律型:過去に私立があったが民間資金大学がほとんどない(オーストラリア・イギリス・イスラエル・ニュージーランド)
- 公立・私立が均質化:私立も公的資金を受けるよう発展(ベルギー・カナダ・チリ・オランダ)
- 公立・私立明確に分かれる私立少数派:私立は民間財源(ラテンアメリカ諸国)
- 公立・私立明確に分かれる私立多数派:(ブラジル・インド・日本・フィリピン)
- 日本の大学のポジションを決めるもの:規模・キャンパスの場所・創立年
- 私立大学の3ガバナンス
- 学長付託型:学長が全ての権限を持ち、日常的なことの決定権は学内に委譲、理事会が大学自治を尊重
- 経営・教学分離型:学長の責任は教育研究のみ、財務・管理は理事会・理事長
- 学長・理事長兼任型:ワンマン・オーナー経営、22%がこれ
- 見逃されがちな問題は事務組織の位置付け
- アカデミック組織と並行の大学=事務が教授陣の利益を守り、教授会ルールを円滑に進めるように働く(職員が教員の下位の立場にある)
- 事務組織が学校法人と密接な関係・立場=教授会とは一線を画した大きな力を持ち、教員が立ち入れない官僚ロジックで大学運営
- 憲法89条:公金を公の支配に属さない教育に支出してはならない(私立セクターへの政府干渉を最小限にしたいという戦後改革者の意図)
- 70年代に私立学校振興法成立=2つの重大インパクト
- 国が私立大学を助成する=人口増加期の大学需要に応えながら私立大学のコントロールを可能にした
- 学費上昇を許容した(私的利益と理解され家計が上昇を許容した+アクセスが入試選抜で管理されているとみなされた)
- 実際は、国による管理は教育・研究の質の担保には及んでいなかった
- なぜMGUのような大学も法科大学院を申請したのか:学内で最も強い存在の法学部を大学が軽視しているというネガティブな印象を持たれないようにするため
- 学生募集には不利な立場だったが、夜間・週末授業でニッチを創出した
- 学内教員はコースについてほとんど知らず、別の2つの大学が運営されているよう
- 閉校大学の特徴:変革を求めて外部専門家を頼った、伝統的学問アイデンティティを手放し、急激な学部再編をした、資産の一部を売却し組織のコントロールを手放すことを受け入れた、文科省に無益な紳士絵をした、職員の忠誠心や地域サポートを有効活用できなかった(要するに柔軟なレジリエンスに欠けた)
- 能力主義的選抜を行うには、日本では入学試験が最も実現可能な方法で、若者の通る道として重要な通過儀礼の1つだと広く受け入れられている
- 行政も一般入試以外の入学者を50%以下にするよう求めている
- 日本の大学システムは90年代以降変わっていない=受験選抜度によるヒエラルキーと高校卒業生への高い依存
- 大学レジリエンスの大きな源は、法人内の他の教育機関との相互補助
- 奨学金を得る学生は、ヒエラルキーの下層の大学で割合が大きい、債務不履行も下層の大学の方が大きい
- 認証評価は、本当に絶望的な状態の大学を見つける上で効果的なシステムになっていない
- 同族経営の大学は私立大学の40%
- なのになぜ研究されないのか
- 同族経営にはネガティブなイメージがある
- 同族経営組織自体も注目を集めたくない
- 世界の私立大学拡大=言語的・宗教的不均一性への対応
- 日本の場合は需要が溢れているのに政府が対応しないだけ
- 多額の税金を高等教育に使わないために、私立に大きな自由を与えた
- 同族経営は、安定性・管理体制確保、財務情報の秘匿、大学の目的・ミッション維持
- 同族ビジネスの強みは家族メンバー間での信頼関係
- これは経済が下降時に力を発揮
- 基本的に良い時も悪い時も節約に努める
- 設備投資のハードルの高さを維持する
- 借金をしない
- 買収をせず規模が小さいまま
- 驚くほどの多様性
- 国際性がある
- 人材を確保している
- 同族経営の本質的な目的は家族の富を守り拡大すること
- 少人数メンバーで組織をコントロールでき、外からの介入や詮索を阻める
- ガバナンスコードの導入=理事会支配やワンマン経営が全く弱まらない
- 研究する際は問いではなく謎を示せ
- 問いを解くことにどんな価値があるか、何がわかるのか、なぜ解かないといけないのかを示せ
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