『IDE 現代の高等教育』No.559,2014年4月
- ヘックマンの研究:認知スキル(認知能力=ペーパーテスト測定可)だけでなく,性格スキル(非認知能力=ペーパーテストで測定不可)も後年で伸びる。ゆえに,青年期の教育は性格スキルに集中すべき。
- なお,性格スキルは,真面目さ,開放性,外向性,協調性,精神的安定性の5つから成る。
- 大学は学びの方法も対象も自由度が大きく,教育の動機付けの大きな可能性がある場所であり,性格スキルを磨く格好の場所である。(浅原)
- 「世間のFDは根本的な問題があり,大学教員の能力とは全体的なもので,筆者たちはそれを追求していることをわかっていただくのに小一時間かかり,この時ほど,通俗的なFD概念の弊害を実感したことはない。」(羽田)
- 研究,教育,大学人,市民性の4側面について,能力の獲得状況と重視する傾向を調べると,研究能力の獲得状況には満足していないのに,教育はある程度達成されれば十分と考えている。教育について,研究のように絶えず深化し,課題がつきることのない持続的目標をどのように顕在化して共有するかが重要である。
- 専門職として成り立つには,(1)体系的な理論を持っているか,(2)権威を持っているか,(3)社会的に認められた特権を持っているか,(4)倫理綱領を持っているか,(5)固有の文化を持っているかの5つの問いに集約される。大学教員は,専門分野とリンクした教授・学習の体系的な理論を確立する必要があり,倫理綱領も共有しておらず,機関の実情に応じた教員の行動規範を掲げる必要がある。(小笠原)
- ドイツ由来の概念である,教授の自由は学出研究の基本にある原則は,それぞれの教授活動,教授の内容や方法は,密室性を保証されなければならないとされ,これが文系の壁となっている。
- FDは組織的な活動が求められるが,大学教員は組織的な活動を避ける傾向が強い。
- 実は,規格化されたFDは,教員を信用していないアプローチで,力のない人を対象にしたものかも知れない。力のある教員には羅生門アプローチの方が,教員の創造性を刺激する可能性がある。問題は,誰がまたはどのように,力の有無を判定するか。