2014/07/16

田尾雅夫(1995)『ヒューマン・サービスの組織―医療・保健・福祉における経営管理』法律文化社


  • 対人サービスのための技術は本来不確かで,こうすればこうなるなど,確信を持って人に接することができない。その自信のなさが,外部の環境に影響されたり,他から受ける影響に引きずられたりする。
  • さらに,その自信のなさを隠すために,サービス関係の中に強者と弱者の関係を構築して不安定さを和らげようとする。→ 露骨に示されると,組織としての正当性を失い忌諱される。
  • サービス組織=その活動による無形の成果を外部のクライエントに提供する組織。(例)バス,鉄道,医療,保健,福祉,教育。
  • 対人サービスは与える立場と受け取る立場をつくり,受け手を頼らざるを得ない弱い立場におく。
  • Hesernfeld (1983)の組織区分:
    1. 私立営業組織:私立病院・私立学校。組織も顧客も自由な市場を前提に行動し,サービスの質を競いながら互いを選択肢あう。組織は名声を確立しなければならない。
    2. 慈善組織:更正施設,老人ホーム。組織は独自の加入基準を設けて顧客を選別しようとするが,顧客は組織を選別する自由を持たない。入所審査が欠かせない。顧客は組織に入ると囲い込まれてしまう。
    3. 公的アクセス組織:救急病院,ハローワーク。組織は顧客を選べず,サービスを受けたい顧客にそれを提供しなければならない。組織は顧客より優位に立てない(待ち時間を長くしたり手続きを面倒にしたりして試みるが)。ハローワークで見込みある人を優先し,そうでない人を後回しにする場合も。
    4. 慣例組織:公立学校,福祉サービス。顧客に選択余地がない。あらゆる人が対象者なのに資源は有限なので,組織は,顧客が必要とする資源を独占すればするほど,組織の都合に合わせてサービスの質を落としたり,処遇態度を改善する意欲に欠ける。
  • 人的サービス組織では利害調整が不可欠。
    • 組織が利害ブロックの集積:病院は医師,看護師,義歯などの集合。
    • フラットなピラミッド構造:ヒエラルキーはあるが階層が少なく,上位者でもブロックを越えた権威を持たない。縦にシャープより,横に並びがち。
    • 横のコミュニケーション・チャネルに発達:業種間の連絡調整のために横のネットワークが発達。厳密な階層性や命令の一元化が発達しない。
    • 個人裁量が大きい:管理機構が脆いため,個人の裁量が大きい+プロフェッショナリズムの価値観が拍車。
    • 組織的権威の退行:結果的に官僚制の権威が露骨に発揮される機会が少ない。
  • 組織内集団間の対立・競合
    • 事業構造が高コストだが,経営資源に限界がある。
    • ブロック内部の利害に固執する:ブロック同士は異質であるため,トップによる管理的介入が実効に乏しく,ブロックが自立的に行動する。
    • 威信の再配分のために競合する:ブロック間に威信が均等に配分されていないので,後発職業群が専門職化を進めて社会的威信の再配分を求める。
  • ルースカップリングは,ここの作業単位が,半分相互依存で,半分自律的である。互いの関係を限定することで,状況が大きく変動しても,影響を局所にとどめ,影響を強く受けないようにしている。
  • 意思決定はゴミ箱モデルになる。
  • 達成すべき組織目標があるが,内部のパワー関係で目標が変更される。達成困難な目標を外から規範として押しつけられることがある。
  • 公的目標の設定で問題になるのは,何が達成すべき目標化を技術的に明示しがたいために,便宜的・規範的に目標を捏造することになるため。