2014/07/31

杉本均編(2014)『トランスナショナル高等教育の国際比較』東信堂


  • トランスナショナル高等教育 ≒ 留学しない留学
  • 教育は売り手の資源が枯渇しない魔法のような貿易(Teichler)
  • しかしどう考えても,トランスナショナル高等教育は理想的な高等教育であるとは言えない。
  • 高まる高等教育需要を国内高等教育機関でまかなえる国は少数。
  • イギリスは,新大学の方がTNHEに積極的。学部レベル・理系中心(伝統大学は大学院・文系中心)。
  • インドでは,Twining形態が多い。ほとんどが無認可教育機関。外国大学のインド分校は2010年法で可能になったが,過去20年政府の統制から外れて行われていた。
  • 教育サービスの特性:資源の無尽蔵性,取引場所の非限定性,サービスの提供者と評価者が同一。
  • TNHEのマーケティング成功要因:高等教育需要が高い,学位の価値が高い(収益率が大きい),国内高等教育が未発達,自国と渡航先の教育・生活コスト差が大きい,渡航先と自国の言語環境が似ている
  • 王立メルボルン工科大は,ベトナム政府の後押しでベトナム校を設置した。ベトナムは今後も高等教育への外国資本の導入を考えている。
  • RMITの前身は職業教育機関で,現在は高等教育+技術継続教育の二元制大学。
  • ベトナム校は,学費の安さと質の統制の2つをアピールポイントとして訴求している。教授言語は英語。
  • 質保証では,特に成績評価の適正化プロセスを重視。成績評価方法は,メルボルンのコース調整担当者とベトナム校の副担当者の調整で行う。ベトナム校の試験の抜き取り調査も行う。 
  • オーストラリアの大学が海外に出る際に,政府の許認可などは不要,各大学は自律的に事業展開をできる。
  • TNHE主要受け入れ国は,マレーシア,中国,香港。
  • 香港の特質:英語が正式言語,自由市場経済が基礎,中国と他の国を結びつける役割。
  • 香港は高等教育の規模抑制:留学が多かった,経済発展が緩やかで人材需要が小さかった,高等教育費用が高すぎた。50年代からの私立カレッジ=中国語で授業。
  • 80〜00年,規模拡大:地域の教育バブ化。高等教育拡大は,自由な市場を通じたものではなく,政府がニーズや変容を踏まえて定めた方針や計画によって拡大が進んだ。=自由市場経済社会に適応しながら,高等教育機関は市場から隔離されている。
  • TNHEは,政府が具体的な基準や条件を設定しないと同時に,必要な情報を確実に公表することで,質の評価とそれによる質の維持向上の役割を市場に委ねている。=自由な市場の維持の重視。⇔ 中国は政府主導で質保証
  • タイはTNHEに懐疑的・警戒感。タイ独自の価値と知識に基づく創造的なリーダーシップを養成する高等教育への転換を目指す。
  • タイの大学の国際化1:部局意思決定=優秀なタイ人をインターナショナルプログラムへ → 国内で十分な教員が揃わないので外国人教員を招聘。
  • タイの大学の国際化2:国際的な組織によって私立大学を設立=アサンプション大学,アメリカ式,欧米と単位互換。
  • タイの大学の国際化3:大学全体で国際化戦略を構想+学内に国際化プログラム=マヒドン大学インターナショナルカレッジ,アメリカリベラルアーツ型。
  • ラオスは国内に博士課程がない,タイとのジョイントディグリープログラムを模索。→ TNHEが生まれつつある。しかし,私立カレッジが関心を持たない。
  • タイの留学受入は,CLMVからが主流。
  • インドは世界第2位の留学生送り出し国。世界水準の教育に対する需要増。→ 現在はTNEが注目される。
  • 90年代にFEPがインド進出,規制法律なし,その後質保証と商業化を問題視,経営・工学系へのFEP統制開始(2011)。
  • AICTEによる規制
    • AICTEの許可なしに学位・ディプロマ提供につながる教育活動を行ってはならない
    • FEPがインドの機関と連携して教育プログラムを提供する場合,所在国の質保証機関から認証されていること
    • FEPがインドで提供する学位は,所在国のものと同等に扱われること
    • FEPの学位はインドの認定大学と同等に扱われること
    • FEPのフランチャイズ展開は認めない
  • 認証を得たFEPは6校しかない → 68は承認なしFEP=規制が機能していない
  • FEP単独の分校はなし,通常はインドの機関との提携。英米豪墺加で8割。教授言語は英語(準公用語が英語)。
  • FEPは政府系56%,民間34%。66%は所在国質保証機関の認証あり,3%認証なし,31%不明。
  • インドの高等教育はイギリス式システムを踏襲,カレッジ制を採用=学位授与権を持つ1つの大学に複数のカレッジが加盟する制度(=カレッジは学位授与権持たない)。
  • 大学に加盟しない私立非加盟機関・カレッジもあるが,TNEを提供する機関の多くはこれ。TNE提供機関の9割は民間機関。
  • TNEプログラムではTwiningが最も多い(インドと所在国どちらか・双方に滞在して双方の単位を取得)。
  • インドのTNEプログラムは,英語圏先進国FEPと,都市部に展開するインドの機関の提携で実現,半数は非正規で質保証認証なし。
  • WIUインド校の場合:大学と称し,WIU本校からの学位授与をするが,インドの大学法で認定された学位は出せない。AICYEの承認も受けず,インドの質保証機関の認証もなし。=アメリカでは学位として認められる,インドでは学位として認められない。→ 公的機関就職・政府系大学院へは行けない。多国籍企業への就職に使えるので,学生の人気は高い。教員はほとんどインド人。
  • IIPMの場合:ベルギーIMIと提携,MBA,BCAを授与。世襲の中小企業経営者の家から学生が来る=政府認定学位の必要なし。インドにいながらグローバルな企業環境・企業文化を学べる点が人気。海外旅行が一般的でない中,海外派遣プログラムがある点も人気。ただし,入学者選抜の質保証なし,IMIがベルギーの質保証認証を受けているかも不明。教員はほとんどインド人。
  • 政府は,規制強化を検討(罰金含む)。
  • TNHEの成功は,大学のアカデミックな水準や威信と相関するか?

2014/07/30

Hillel Schmid (2006) "eadership Styles and Leadership Change in Human and Community Service Organizations," Nonprofit Management and Leadership, vol.17, no.2, 179-194


  • リーダーシップのタイプは,Task oriented⇔People orientedの軸と,External orientation⇔Internal orientationの軸で,4つに分かれる。
  1. Task-Internal:組織構造と内部の業務プロセスを考慮に入れた上で,ゴール達成を強調する
    • プランニング,調整,管理職の意思疎通,予算配分,意思決定の役割を重視
    • リーダーシップは権威的・中央的。意思決定にメンバーを関与させない。
    • タイトなコントロールと監督。
    • リーダーはルールからの逸脱を許容しない。
  2. Task-External:リーダーの行動は,ゴール達成と正当性獲得にフォーカスし,外部環境から資源を得る
    • リーダーシップは権威的・中央的。資源獲得,組織ドメインの拡張と確立,競争優位性の改善にフォーカス。
    • リーダーは,人的側面をあまり考慮せずゴール志向。
    • 問題解決や意思決定は公式の権威に基づく。
  3. People-Internal:リーダーのフォーカスは人で,他者を動機づけ,インセンティブを与え,相談と巻き込みを行う。
    • メンバーを育成し,ゴール達成に関与させる。
    • リーダーは,メンバー自身の満足感の達成を重視し,意欲的な目標設定と自己開発を支援する。
    • リーダーは,問題解決やコンフリクト解決のためのツール,仕組み,方法論,技術の開発に取り組む。
  4. People-External:外部環境のマネジメントを強調し,外部組織に対する自組織の依存度を下げつつ,外部組織の自組織への依存度を上げる。
    • 人的資源開発,従業員の訓練に資源を割り当て,外部環境によって組織に課される制約に対処する
    • リーダーや管理職は政治的な活動に取り組み,外部環境の諸要因とアライアンスや共同体制の構築を試みる。機会やリスクの評価のために,外的要因からの圧力を緩和しようとする。
    • 人的要因の重要性を強調し,スタッフの専門性向上に取り組むことで,外部環境や例外処理への対応力を強化する。

要するにPMの枠組みの延長ではないか。

2014/07/29

山田洋一(2010)『発問・説明・指示を超える対話術』さくら社


  • 発問・指示・説明は教師側からの働きかけ。これらは聞く・返すという子ども側からの表出があって成立し,そのための対話術が必要。
  • 良い授業とは,教師からの働きかけと,子どもの表現・表出がバランスしている授業。
  • 対話術は,引き出し型,束ね型,寄り添い型に分かれる
    • 引き出し型:自分を低い位置に置く,わざと間違える,プラス評価と疑問でつっこむ,自慢話を体全体で聞く,得意なカテゴリーで指名する
    • 束ね型:例示して納得させる,擬態語・擬音語で印象を強める,子どもの名前で〜型,一言で言うと
    • 寄り添い型:そのままを認める,同じ表情をする

2014/07/28

白井一之(2013)『場面別でよくわかる発問・指示の極意』明治図書出版


  • 発問や指示は,教師の教材研究や指導観,児童理解の上に成り立つもの。
  • 発問は,ねらいを達成した具体的な子どもの姿を考えることでつくる。
  • 授業モデルから主発問を考える。
    • 本時のねらい → 教材や問題 → 主発問 (←既習事項・既習経験) → 考え1・考え2・考え3 → 話し合い → 高められた考え → ねらいを達成した具体的な子どもの姿
  • 学力には3要素がある
    1. 基礎的な知識・技能の習得
    2. 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力
    3. 学習に取り組む意欲
  • 学習指導要領の内容は1に,学習の仕方が身に付くようにする学習は2に対応する。主発問は1に対応し,補助発問は2に対応する。
  • 学習の仕方が身に付く補助発問1=解決の見通しを持つ
    • 既習の問題との違いを見出す(これまでの学習とどこが違いますか?):算数は多く使える。
    • 解決に必要な既習事項を想起する質問(今までどんなことを学習してきましたか?)
    • 方法や考え方の見通しを立てる発問(解決に使えそうなものはありますか?)
    • 結果の見通しを立てる発問(答えはいくつくらいになりそうですか?)
  • 学習の仕方が身に付く補助発問2=自分の考えを表現する
    • 既習事項を活かして解決させる(他の考えでもやってみましょう)
    • 自分の考えをわかりやすく表現させる(図で書いてみましょう,他の表現方法で書いてみましょう)
    • より良い考えを見出させる(どの考えが良いか考えておきましょう)
  • 学習の仕方が身に付く補助発問3=一人の発表を共有できるようにする
    • わかりやすい表現をさせる(一言で言うと何ですか,キーワードで言うと何ですか,図で説明してみましょう)
    • 考えを広げる(どうですか,同じ考えに人はいますか?)
    • 表現されたものを読み取らせる(式や図で見て分かった人はいますか?)
    • 良い発表をさせる(発表の仕方が良かったですね,まねして発表してみましょう)
  • 学習の仕方が身に付く補助発問4=話し合いを深める
    • 自分や他者の考えや方法の共通点・相違点を見つける(これらの考えを見て,気がついたことはありますか?)
    • 共通点に気づかせる(同じ点はどこですか?)
    • 相違点に気づかせる(違う点は何ですか?)
    • 話し合いで考え方の良さをみつける(わかりやすい考えはどれですか?)
    • より良い考えを導く(いつでも使える考えはどれですか?)
  • みなさん,いい顔をしていますね。よい学習ができそうです。では挨拶をしましょう。目を合わせれば,先生は自分のことを見てくれたと思い,学習の意欲は十分に高まる。
  • 指示=学級の規律を確立する,主発問=学習のねらいを達成する,補助発問=学習の仕方を身につける

2014/07/25

山崎将志(2007)『ファシリテーション』ファーストプレス


  • ファシリテーションとは,会議のプロセスをマネジメントすることで,スピーディな合意形成を図り,質の高いアウトプットを出すこと
  • コラボレーションを前提にしてビジネスが動くようになると,文化の違いを克服しなければならない。同じ言葉を違う異意味で使ったり,自社で当たり前のことが,他社で特別なことだったり。だからこそ,知的作業のルールが必要となる。
  • ファシリテータの役割は,会議における段取りと仕切り。仕切りの発言は,基本的に確認と質問。会議に必要な適度な刺激を与えつつ,拡散する議論を一定の範囲内にまとめる。
  • 議事録の目的は,次のアクションアイテムを明示すること,情報共有,証拠を残すの3つ。また,若手の基礎力測定(構成力,文章力,理解力,テーマに対する知識の多寡=ナレッジワーカーの基礎スキル)と仕事の基本動作(仕事の品質に対する感性,期限の重要性)の伝授に役立つ。
  • ゴールには,情報共有(必ずしも会議でなくてよい),創造(アイディア出し),調整(利害関係のすりあわせ),決定(ヒトモノカネの新しい配分方法を決める)の4つがある。
  • 会議での5つの役割:マネジャー(決定を下す,議事進行不可),ファシリテータ(中立,議論整理,内容への意見述べない),書記(発言や論点の可視化,議事録作成),参加者,専門家。

2014/07/24

澤谷敏行・河口浩・五藤勝三(2014)『大学職員のための人材育成のヒント: 失敗事例から学ぶケースワーク28の視点』関西学院大学出版会


  • 専門性を持つ職員は,そこに戻ろうとする傾向があり,専門分野でのネットワークを持っているために居心地が良く,これまでの繰り返しが多くなったり,仕組みづくりを考えられない職員が多い。専門性のない部署の方が,社会の変化に柔軟に対応できている。
  • 中国では,教員から行政管理職員へ転身して役職者になる。授業を持つ者もいるが,行政職が主体。
事例は面白いが,考察が極めて稚拙。また,年長者による若者批判的なコメントも散見され,タイトルにある人材育成という視点が欠落している印象が残念。

2014/07/23

宮下清(2001)『組織内プロフェッショナル』同友館


  • 日本企業の人事管理の特徴
    • 画一的:職種・階層・学歴を問わない,職種・階層による処遇格差が少ない。
    • 集団対象:能力や構成の違いを想定せず,集団の利益を重視。
    • 一方通行:情報が個人に開示されず,運用も一方的。
日本の大企業ホワイトカラーの専門性を明らかにしたいという著者の意図には共感するが,残念ながらプロフェッショナル論に正面から挑まず,英米と日本は違うで逃げているので,示唆がほとんどない。

2014/07/22

今井芳昭(1996)『影響力を解剖する―依頼と説得の心理学』福村出版


  • 意図的でない影響力
    • 参照影響力(Referent power):社会的影響力の1つ,理想の人と同じ考えや行動をする。
    • 行動感染(Behavioural contagion):空を見上げる。知らない人からの影響。好奇心と状況が不確かであることが理由。
    • 観察学習:社会的学習の1つ。モデルとなる人をまねる,他人がしかられるのを見て要領よく行動する。
    • 傍観者効果:周囲に人がいるので困っている人を助けない。他者の無反応に寄る影響(大したことでない),社会的責任の分散(誰かやるさ),他者からの評価(出しゃばりと思われたくない)が原因。
    • 社会的促進・社会的手抜き:一人より学習室の方が勉強がはかどる,いつも勝てる将棋が,人がいると負ける。これも他者からの評価が原因。
    • 漏れ聞き効果(Overheard effect):地震が来るという噂を聞いて準備する。偶然聞くことによる受け手に構えがなく衝撃が大きいことが原因。
  • 正当影響力は,規範を内在化しなければならず,規範を受け入れるかどうかは受け手の自由に任されているので,脆い基盤の上に成り立っている。
  • 権威は,正当影響力と専門影響力が融合したもの。正当影響力の脆弱性を補完するために,専門性を制度化することで,正当影響力と権威が生じる。
  • 専門影響力は,受け手から信頼されないと消失してしまう。また,影響力の範囲は専門領域に限られる(ハロー効果で影響がある場合もある)。
  • 説得は,専門性+信頼性で成り立っている。

2014/07/21

徳岡慶一(1996)「pedagogical content knowledgeの特質と意義」『教育方法学研究』日本教育方法学会紀要 21, 67-75


  • PCK研究の背景:教師=カリキュラム開発者が開発したカリキュラムを指導書通り実 行する者。どんな教師が使っても大丈夫な教材が開発される=非専門職。→ 教職の専門性確立要件の研究。
  • PCKは単にPKとCKを結合したものではない。
    • PCKは,教材についての知識それ自体の範囲に収まらず,授業を想定した教材についての知識という次元に至るもの。
    • PCKには,教科で最も一般的に教えられるトピックに対する,最も有効な表現形態,最も強力な例・説明・実演が含まれる。=他人に理解できるように教育内容を表現する知識。
    • 学習者が学習に持ち込む概念・先行概念も含む。=仮に先行概念が誤っているなら,その再構成に最も有効な教授方略についての知識が必要。
  • PCKの例:学習者がよく知るテレビの主人公を例にして,学習者にとって未知のシーザーを教える。
  • PCK=内容の専門家の理解と,教育者の理解を区別するカテゴリー。
  • 教師が理解した教育内容はそのままでは教えるのに適さず,学習者が理解できるように翻案されなければならない。そこで,教師は自分が理解している内容と学習者の思考過程との間を往復してPCKを作り出さなければならない。

2014/07/18

八田幸恵(2010)「リー・ショーマンにおける教師の知識と学習過程に関する理論の展開」『教育方法学研究』本教育方法学会紀要 35, 71-81


  • 教師の基礎知識(Knowledge Base)
    • 内容に関する知識(Content Knowledge)
    • 一般的な教育方法に関する知識(General Pedagogical Knowledge):教材を伝達する時に現れる,教室を運営し組織する広く一般的な原則と方略
    • カリキュラムに関する知識(Curriculum Knowledge):教師にとって交換の道具(Tools of the trade)として役に立つ教材とプログラムについての特定の理解
    • Pedagogical Content Knowledge:教師に特有の領域であり,専門職的な理解の特別な形。内容に関する知識と教育方法に関する知識の「特別な混合物」
    • 学習者とその特性に関する知識(Knowledge of Learners and their Characteristics)
    • 教育の文脈に関する知識(Knowledge of Educational Contexts):グループ・教室での学習,学区の政策・財政,コミュニティと文化の特性
    • 教育の目的・目標・価値,それらの哲学的・歴史的・基盤に関する知識(Knowledge of Educational Ends, Purposes and Values, and their Philosophical and Historical Grounds)
  • PCKはどのように形成されるのか?:教師の思考・学習過程(教育的推論)を通して形成される
    1. 理解(Comprehension):教育の目標,教育内容についての理解と批判的な検討
    2. 翻案(Transformation):(1)教材の準備(教材の構造化・分節化(既成の教材の批判的検討が必要)),(2)表現(教育内容を学習者が理解できるように表現を改める(類推や比喩等)),(3)選択(教授法とモデルから教授学的な選択(講義,グループ学習,作業等)),(4)適合(学習者の特性(能力,言語,誤った先行概念等)に教材を合致させる),(5)仕立て(特定のクラスの生徒及びグループに教材を合わせる)
    3. 指導(Instruction):実際の授業場面で,観察可能な教授行為がみられる
    4. 評価(Evaluation):学習者の理解度及び教師自身の教授行為の評価(PCKの活用))
    5. 省察(Reflection):授業を振り返り,目標達成の観点から出来事や成果等について検討する
    6. 新しい理解(New Comprehensions):推論と経験が加わった新しい包括的理解
  • 翻案:教師は理解した教育内容を,そのままでなく学習者が理解できるように「翻案」しなければならない = 教師は自身が理解している教育内容と学習者の思考過程との間を往復してPCKを形成する。
  • 知識の源泉
    1. 学問における学識(Scholarship  in content  disciplines):ある内容領域における重要な概念とその領域における真理の決定方法についての知識。
    2. 教育の素材と構造(Educational material and structures):具体的なカリキュラム,テスト,公的あるいは非公的な教師への指導,教職の組織学区の統治機関,政策と財政の一般的メカニズムなど(=教師が日常的に利用する道具や行動する文脈)。
    3. 正式な教育的学識(Formal educational scholarship):教授・学習・発達の領域における研究成果と方法論,および教育についての規範的・哲学的・倫理的基礎を含む。
    4. 実践の知恵(Wisdom of practice):教師が実践の中で自覚的・無自覚的に培ってきた知恵,実践のガイドラインとなる原則。← PCKはここからは生することが多い
  • ブルーム・タキソノミーは,ブルームの意図を越えて誤った使われ方をされる。
    1. 分析的なカテゴリーが評価のための指標になった。= プログラムやテストをデザインする枠組みとして使われる。
    2. 教育目標の連続性と階層性についての理論として使われるようになった。
  • ちなみに,ブルーム・タキソノミー:認知=知識,理解,応用,分析,総合,評価。情意=受入,反応,価値づけ,組織化,個性化
  • ゲス=ニューサムの統合モデル:教師の知識は,内容,教育方法,文脈の3つの知識から成り立ち,3つの統合によって教育実践が行われる = PCKという知識が存在するわけではない。⇔ 翻案モデルは3つの知識を独特な形へ翻案したのがPCK。

2014/07/17

高橋綾(2008)「対話における哲学的思考の学習 : クリティカルシンキングとエンゲストロームの学習論より」『臨床哲学(大阪大学)』9,39-59


  • 授業構成1
    • クリティカルシンキングの導入:手続きの紹介と一問一答式の問題を導入として用いる
    • 対話のなかで思考や判断を吟味する:ソクラテスの対話ゲームという三人一組の対話型のロールプレイゲームを行い,その報告や,哲学的に議論するためには何が必要かについて振り返りを行った。
    • 自分たちで問いを作り,全体で議論をする
  • 実践の結果
    • 思考や議論の「技術」だけを先に取り出して教えてもうまく機能しない
    • 議論のために適切な問いを立てることは,よほど実践を経た者でなければ容易ではない
    • 講師の積極的介入が重要
  • 授業構成2:「基礎」的技術を先に教えて「実践」に移るという単線的二段階方式をやめる。実際に議論をしつつ,自分たちの行った議論を評価し反省するメタレベルの議論を複線的に行う。
    • テーマについて,少人数のグループで議論をし,それを全体に発表してもらうとともに,全員で自分たちが行った議論についての評価と反省を行う。
    • 講師が進行役をして,議論のなかで問いをつくり,それについて全員・グループで議論する。
  • 実践の結果
    • 内容についての対話(コンテントダイアローグ)と対話についての対話(メタダイアローグ)を並行して行うことは難しい。
    • 介入の難しさ(上からの介入への反発とうまくいかないことへの介入要求)
  • 批判的思考=観察とコミュニケーション,情報と論証についての,能動的で創造的な,解釈と評価の技術と態度である(Fisher and Scriven)。
  • この定義に基づくCTに必要な技術:(1)観察や情報,証拠の正当性を判断すること,(2)論理構造を見出すこと,論拠と結論はそれぞれなにか,どのような手順でそれが導き出されているのかを確定し,吟味すること。→ 過去志向的
  • 従来の問題:知識や技術と実践を切り離して考え,実践とは先に習得された知識や技術が適用される場にすぎないという二分法。
  • エンゲストロームは知識・技術と応用・実践という従来の教育(教授者中心)の二分法をとらない。「どう教えるか」ではなく,学習者が具体的な状況のなかで何を手がかりにして自らの学習を進めていくのかに着目し,「どうすれば学習者の学習プロセスの形成を手助けできるか」を考える。
  • さらに,学習のプロセスを単線的で加算的なものとして描くのではなく,動的で垂直的な階層的発展として描くことにある。この学習プロセスの階層的発展にとって最も重要なことは,知識や技能が加算的に増えていくことではなく,「学習者の主体性が増大すること」である。
  • このプロセスに至る3段階
    1. 実践に参加する学習者が,手本に盲目的に従い,熟達者の実践を模倣するのみ。
    2. 自分が無意識に行っていた操作が、ある課題や状況に取り組む一つの「方法」であることを認識し,操作の反復・遂行から,ひとつの「方法」として成功しているか失敗しているかを評価し,方法を適用するのに適切な場面を選ぶことができるようになる。(セルフモニタリング)
    3. 自分の学習が置かれてい る文脈やその目標そのものについての反省とその組み替えが起こる。学習者は提示された問題を解くのではなく,問題や課題そのものを自ら創造し,「この問題の意義と意味とは何か,私はなぜこれを解かなければならないのか」を問う。
  • 哲学的思考の学習目標:「哲学的思考とは何か,それはどのように学ばれ,その学習は何を目指すのか?」という問いが,学習者によって「私たちにとって哲学的に考えるとはどういうことか?私たちはそれをどのように学ぶべきか?それによって私たちは何を目指しているのか?」という形で引き受けられ,継続して思考されていくこと。→ 「哲学することを教授することはできない」「哲学することを学ぶことはできる」
  • 高校生のアンビバレントな態度は,学習と変容のための起爆剤となる。

2014/07/16

田尾雅夫(1995)『ヒューマン・サービスの組織―医療・保健・福祉における経営管理』法律文化社


  • 対人サービスのための技術は本来不確かで,こうすればこうなるなど,確信を持って人に接することができない。その自信のなさが,外部の環境に影響されたり,他から受ける影響に引きずられたりする。
  • さらに,その自信のなさを隠すために,サービス関係の中に強者と弱者の関係を構築して不安定さを和らげようとする。→ 露骨に示されると,組織としての正当性を失い忌諱される。
  • サービス組織=その活動による無形の成果を外部のクライエントに提供する組織。(例)バス,鉄道,医療,保健,福祉,教育。
  • 対人サービスは与える立場と受け取る立場をつくり,受け手を頼らざるを得ない弱い立場におく。
  • Hesernfeld (1983)の組織区分:
    1. 私立営業組織:私立病院・私立学校。組織も顧客も自由な市場を前提に行動し,サービスの質を競いながら互いを選択肢あう。組織は名声を確立しなければならない。
    2. 慈善組織:更正施設,老人ホーム。組織は独自の加入基準を設けて顧客を選別しようとするが,顧客は組織を選別する自由を持たない。入所審査が欠かせない。顧客は組織に入ると囲い込まれてしまう。
    3. 公的アクセス組織:救急病院,ハローワーク。組織は顧客を選べず,サービスを受けたい顧客にそれを提供しなければならない。組織は顧客より優位に立てない(待ち時間を長くしたり手続きを面倒にしたりして試みるが)。ハローワークで見込みある人を優先し,そうでない人を後回しにする場合も。
    4. 慣例組織:公立学校,福祉サービス。顧客に選択余地がない。あらゆる人が対象者なのに資源は有限なので,組織は,顧客が必要とする資源を独占すればするほど,組織の都合に合わせてサービスの質を落としたり,処遇態度を改善する意欲に欠ける。
  • 人的サービス組織では利害調整が不可欠。
    • 組織が利害ブロックの集積:病院は医師,看護師,義歯などの集合。
    • フラットなピラミッド構造:ヒエラルキーはあるが階層が少なく,上位者でもブロックを越えた権威を持たない。縦にシャープより,横に並びがち。
    • 横のコミュニケーション・チャネルに発達:業種間の連絡調整のために横のネットワークが発達。厳密な階層性や命令の一元化が発達しない。
    • 個人裁量が大きい:管理機構が脆いため,個人の裁量が大きい+プロフェッショナリズムの価値観が拍車。
    • 組織的権威の退行:結果的に官僚制の権威が露骨に発揮される機会が少ない。
  • 組織内集団間の対立・競合
    • 事業構造が高コストだが,経営資源に限界がある。
    • ブロック内部の利害に固執する:ブロック同士は異質であるため,トップによる管理的介入が実効に乏しく,ブロックが自立的に行動する。
    • 威信の再配分のために競合する:ブロック間に威信が均等に配分されていないので,後発職業群が専門職化を進めて社会的威信の再配分を求める。
  • ルースカップリングは,ここの作業単位が,半分相互依存で,半分自律的である。互いの関係を限定することで,状況が大きく変動しても,影響を局所にとどめ,影響を強く受けないようにしている。
  • 意思決定はゴミ箱モデルになる。
  • 達成すべき組織目標があるが,内部のパワー関係で目標が変更される。達成困難な目標を外から規範として押しつけられることがある。
  • 公的目標の設定で問題になるのは,何が達成すべき目標化を技術的に明示しがたいために,便宜的・規範的に目標を捏造することになるため。

2014/07/15

太田肇(1993)『プロフェッショナルと組織―組織と個人の「間接的統合」』同文舘出版


  • 方法論的個人主義:個人の態度や行動に焦点をあて,そこから個人を取り巻く社会や組織を説明しようとする=心理学での認知的アプローチ。
  • プロフェッションとは
    • Carr-Saunders=Wilson (1933):長期の教育訓練で得られる専門化された知識技術の保有,能力テストと倫理規範の維持を目的とする職業団体の組織,サービスに対する報酬が一定で,利益でなく謝礼・給料 ⇒ 法曹。
    • Wilensky (1964):長期の教育訓練で獲得される体系的に知識に基づく専門的技術(≠科学的)であること,一連の道徳的規範を信奉すること。
    • Greenwood (1957):体系的な理論,プロフェッショナルとしての権威,コミュニティの承認,倫理的規範,プロフェッショナルの文化
  • 専門職組織=病院,大学 ⇔ 企業などの非専門職組織 → もう少しゆるやかなプロフェッション基準が必要=組織内専門職=建築士,技師,科学者,デザイナー
  • 特定の組織内でのみ価値を持つ能力=スペシャリスト
  • Gouldner:専門職のアイデンティティの2分類=コスモポリタン,ローカル
  • 期待理論(モチベーションの過程理論の1つ):個人の努力を喚起するモチベーションは,主観的な価値(報酬・成果の個人的価値=自己実現欲求)と主観的な可能性(努力が報酬につながる期待)の積と考える。
  • 組織・社会と個人の交換関係
    • ノンプロフェッショナルは,個人は組織に最大限の貢献をし,組織は個人に低次・高次の欲求充足を行う=最適基準
    • プロフェッショナルは,個人は組織に対して必要な範囲で貢献し,組織は個人に低次欲求の充足と,高次欲求充足の条件を提示する=満足基準。一方,個人は専門家集団に最大限の貢献を行い,高次欲求の充足を得る=最適基準。
  • プロフェッショナル取り込みの抵抗モデル
    • 取り込みの度合いを横軸,相手に対する依存度を縦軸にすると,個人は右上がり,組織は右下がりの関係があり,均衡点で取り込み度合いが決まる。
    • プロフェッショナルが労働市場で優位であるほど=代替的選択肢の数が多いほど,組織要求に従わなくなる。(March=Simon 1958)
  • Kornhauser (1962):プロフェッショナルは,官僚制組織とプロフェッショナル規範との間で葛藤を経験することを明らかにした(プロフェッショナル規範の維持には自治が不可欠)。
  • 組織と個人の直接的統合:個人は組織の目的のために貢献することで自己目的を達成し,組織はそれを可能にする構造を備えた管理を行うことで組織目的を達成する。
  • プロフェッショナルは,自己実現,尊厳・自尊の高次欲求の充足場所は組織内部に限定されず,組織に限定的にコミットする。
  • 間接的統合:短期的・直接的には組織目的と一致しないプロフェッショナルの志向に基づく活動を,長期的・間接的な貢献も含めて組織の利益に結びつけること=組織と個人の関係をオープンシステムで捉える。→ 組織・仕事・個人 ⇔ 組織・個人(直接的統合)

2014/07/14

Dee FInk, L., A Self-Directed Guide to Designing Courses for Significant Learning


  • 授業の設計においては,学習目標,教授学習活動,評価とフィードバックの3つが「統合」されていることが重要。
    • 目標=批判的な考え方の学習,活動=講義 ⇒ 目標と活動が統合されない
    • 目標=考え方の学習,評価(試験)=考え方の質問を入れる,活動=講義 ⇒ 学習活動と評価が断絶(低い評価となる)
  • これを避けるために,授業設計でははじめに「強固な主要要素の構築」からはじめることで,一貫性のある授業を組み立てる。
  • 授業設計のプロセス
    • 初期段階=強固な主要要素の構築
      • 1.状況要因
      • 2.学習目標
      • 3.フィードバックと評価手順
      • 4.教授学習活動(能動的学習=豊かな学習体験,徹底した省察的対話,情報とアイデア)
      • 5.統合
    • 中間段階=主要要素の一貫性確保
      • 6.授業構成
      • 7.インストラクショナル方略
      • 8.学習活動の全体計画作成
    • 最終段階=重要な残りの作業
      • 9.どのようにして成績をつけるか
      • 10.どんな場合に失敗するか
      • 11.計画内容を学生に分からせる
      • 12.授業の進捗状況をどのようにして確認するか
  • (1)状況要因を考慮する
    • 教授学習状況の事情
      • 受講者数,対象学年,授業の回数・時間,授業形式(講義,実演,オンライン)
    • 学習状況の一般的事情
      • 大学,学部,社会,同僚から,授業・カリキュラムに対してどのような学習の期待が持たれているか
    • 教科の性質
      • 理論的か,実践的か,その組み合わせか。領域内で重要な変化や論争が発生しているか
    • 学習者の特性
      • 学生の生活状況,事前の知識・経験,最初に抱いている感情,好まれる学習形態,彼らの学習目標・期待
    • 指導者の特性
      • 教員の教育信条・価値観・心構え,科目に関する知識,指導に関する強み
  • (2)学習目標
    • 授業終了後2-3年後に,授業が学生にどんな影響を与えることを望むか,授業を受けた学生と受けなかった学生の違いは何かを考える
    • 重要な学習目標として加えたい意義ある学習形態:基礎知識,学び方を学ぶ,関心を向ける,人間の特性,応用,統合化
  • (3)評価とフィードバック
    • 中間・期末試験による評価を乗り越えるには教育的な評価が必要
    • それは,(1)将来を考えた評価=できるだけ現実に近い状況を再現する質問や問題や,自由形式にして事前に完全に組み立てられない問題とする,(2)評価基準を明確にする=この領域で質の高い仕事は一般的にどんな特徴や特性があるかを示す,(3)自己評価の機会を与える,(4)教員は頻繁・迅速・優良が明確・愛情あるフィードバックを行うこと。
  • (4)教授学習活動
    • 情報の受容を越えるには,行動する・観察する(体験)と,自己や他者と対話する(省察)が必要。
    • 能動的学習の全体像は3つで構成される:(1)体験:行動・観察,実習・模擬,豊かな学習体験,(2)情報とアイディア:一次情報源にあたる,授業中・授業外にオンラインアクセス,(3)省察的対話:内容や学習プロセスについてミニットペーパー,学習ポートフォリオ,日報を書く
  • (5)統合
    • 以下を満たせば合格:(1)授業の状況的制限や機会を明確にするために,主要な状況要因の全てを分析している,(2)理解と記憶でなく,複数の意義ある学習に焦点を合わせた学習目標を含んでいる,(3)4つの評価を含んでいる,(5)先の4つが相互に影響して支え合っている。
  • (6)授業構成
    • 単純に学期(15週)を4〜7に割る。授業の重要な概念,問題点,トピックを4〜7選定し,適正なシーケンスを決める。テーマの複雑性の増大をどう反映させるかを決める。
  • (7)インストラクショナル方略=学習活動の組み合わせ
    • 授業内活動と授業外活動のシーケンスを決める。
  • (8)学習活動全体の計画
    • (6)と(7)を統合する(4トピックに関するキャッスルトップダイアグラム)。

http://www.deefinkandassociates.com/GuidetoCourseDesignAug05.pdf

2014/07/11

太田肇(1998)「プロフェッショナルとインフラ型組織」『彦根論叢』滋賀大学,312,43−60


  • プロフェッショナルと仕事との関係は最適基準,組織との関係は満足基準によって支配される(プロフェッショナル ・モデル,仕事人モデル)。
  • 仕事よりも組織へのコミットメントが強く,所属組織の内部で主要な欲求を充足する 「組織人」は,組織との間で最適基準による交換関係を築く(組織人モデル)。
  • プロフェッショナルが能力を発揮し,また企業がそれを活用して利益に結びつけていくためには,組織の目的とプロフェッショナル個人の目的を統合しなければならない。
  • 直接統合=個人が協働に参加した時点で,組織の目的を自己の仕事上の目的として受け入れていること
    • 個人が能力を発揮して成長し,自己実現や達成を遂げていくためには,組織全体と密接に関係する重要な仕事に従事し,全体の意思決定に参加できること,ならびに大きな責任と権限を与えられることが必要。
    • 個人は満足が得られ,組織は最大限の貢献を引き出すことができる。
  • 直接統合のもとでは,有機的組織が理想
    • 有機的組織=全体と部分の相互作用,豊富なコミュニケーション,権限の委譲,柔軟な職務形態 ⇔ 官僚制組織(機械的組織)
  • 有機的組織は,全体と部分の利害一致を前提にしたコミットメントを要求する
    ⇔ プロフェッショナルは,所属組織に対して限定的・手段的に関与しようとする
    ⇒ 有機的組織の諸特徴は,プロフェッショナルにとって魅力に乏しい・専門の仕事を遂行する妨げ → インフラ組織の提案
  • 間接統合= 組織目的とは必ずしも一致しない自己の仕事上の目的を追求することが一定の範囲で容認される(ただし,仕事の成果をとおして組織の利益に貢献していくことが絶対条件)。

2014/07/10

中野秀一郎(1981)『プロフェッションの社会学』木鐸社


  • 官僚制は組織体制を強調し,個人の組織に対する忠誠を要求する。それに対して職業的要因は個人の役割を重視し,組織体は個人的活動と円滑な人間関係のために奉仕すべきであるという考え方をとる。官僚的原理は身分制を通して対人関係を重視するのに対して,専門職業家の原理は個人とその仕事を重んずる(フランシス&ストーン)。
  • ホールの専門職の態度的属性:(1)主要なリファレンスとして職能集団を利用する,(2)一般大衆への奉仕を信念とする,(3)自己制御に対する信仰,(4)使命感,(5)自主性。ホールの官僚制の構成要件:(1)権威の階統序列,(2)分業,(3)規則の存在,(4)手続き上の特殊化,(5)非人間性,(6)技術的能力。一部は負の相関(階統序列性),一部は正の相関(技術的能力)。
  • Established Professionほど組織と専門職の葛藤強い。
  • 専門職思考の強さと組織へのコミットメントの強さにより,便宜主義,ローカリズム,コスモポリタニズム,二重忠誠をつくると,威信の高い大学で二重忠誠あり(Lipset 1972)。→単純な二項対立で扱えない。
  • 若い時は研究のみ,熟練になると組織の要になる,研究条件の整備に関わるなど政治的役割を担うなど,キャリア過程での役割変化にも留意すべき。
  • 大学教員はもともと組織の中のプロフェッションという性格を有する。(ただし,発生は知的ギルド)。
  • 大学人の役割には,そもそも内的葛藤がある(教育・研究・行政・啓蒙)。(補完・一貫性もある)。
  • 年齢が若いほど研究志向。

2014/07/09

ロバート・マルザーノ,ジョン・ケンドール(2013)『教育目標をデザインする: 授業設計のための新しい分類体系』北大路書房


  • ブルームの分類体系
    • 知識
      • 詳細な知識
        • 語句
        • 事項
      • 詳細な知識を扱う手法や方法
        • 形式
        • 傾向と系列
        • 分類とカテゴリー
        • 判断基準
        • 方法
      • 普遍と抽象
        • 原理と一般化
        • 理論と構造
    • 理解
      • 転換(入った情報を異なる形に変換)
      • 解釈(情報の背景にある構造について正確に把握する)
      • 外挿(情報に基づいて推論・予測する)
    • 応用(最も定義が曖昧)
      • どのように抽象化するか教えられなくても適切に抽象化できる
    • 分析
      • 要素
      • 要素間の関係
      • 要素をまとめる組織形態
    • 総合(=新しい知識の構造化,最も創造性を要求される)
      • 独自のコミュニケーション
      • 操作の計画,一連の操作
      • 一連の抽象的な関係
    • 評価(=知識の価値についての判断)
      • 意見
      • 判断
  • 思考と学習の関係を単純化しすぎている。
  • 新しい分類:
    • 1軸:処理のレベル
      • 取り出し
      • 理解
      • 分析
      • 知識の活用
      • メタ認知システム
      • 自律システム
    • 2軸:知識の領域
      • 情報
      • 心的手続き
      • 精神運動手続き
  • 授業デザインのプロセス=これらは全て,教育目標を明確化し,構造化することを起点にしている。
    • 教育目標の明確化(学習終了時に何ができていればいいかを明確にする)
    • 教育目標の構造化(最終目標に至る下位目標の系列を設定する)
    • 学習者の状態把握(学習者のレディネス,興味・関心などの把握)
    • 学習課題の決定(下位目標に対する学習課題を設定する)
    • 学習活動の決定(学習課題を学習するための活動を決定する)
    • 評価方法の決定(学習成果を診断する方法や問題を決定する)

2014/07/08

ピーター・センゲ ほか(2014)『学習する学校』8-12章,英治出版


  • 基本理念
    • 変化は小さくはじまり,有機的に育つ=ある学校でうまくいったプログラムを広げようとしてもだめ。
    • 持続的な学びには個人的なコミットメントが必要=権威者の命令では改善に熱心に取り組めない
    • 資金は最重要の資源ではない=学習のディシプリンが重要
    • 組織学習は他の方法より時間が短くてすむ
    • パイロットグループは変化をもたらす培養器=変化は小さくはじまる
    • 組織学習にはあらゆるレベルのリーダーシップが必要
  • 学校の目的:(1)技能を持った労働者の育成,(2)個人の経済的成功(競争力あるスキルの付与),(3)自分自身の人生のためのスキル・知識の吸収,(4)人々の能力の標準化,(5)社会的公正の拡大,(6)自己規制できる大人の育成
  • 教えることは倫理観に関わる問題。民主社会の中で子どもの発達に責任を持つこと。
  • グッドラッドの学校の4つの倫理的側面
    • ●政治的・社会的な民主制への文化適応=学校は若い世代に民主制を理解させるもの
    • ●知識へのアクセス=学校は若い世代に人類の関心事となるテーマに体系立てたやり方で出会わせる唯一の機関
    • 育みの教育学=全ての子どもが自分の学習に必要な栄養を与える科学であること
    • 責任ある学校のスチュワードシップ=教員は学校内の全ての教室で起きる教育的活動を自らの責任と理解すべき
  • 倫理的側面を振り返る問い
    • 自分の教え方・教室・学校についてどれだけ批判的か(現在の構造から利益を得ているのは誰か,損をしているのは誰か,構造はどんな価値観を肯定しているか)
    • 自分は学校の学習条件を変えるために働いているか(白人は進学コースへ,一般コースに入れない)
    • 自分は学校教育の目的は何かと問い続けているか(⇔手段だけを問うてるか)
    • 自分は継続的な探求に深く関わっているか
  • 学校のビジョンは,保護者,生徒,教員でつくる点が特徴
  • 学校が共有ビジョンを生み出せない理由の一つは,教員が一人で仕事をしていること(教員は孤立した中で努力している)。だから,パートナーを見つけないといけない。
  • プログラムの目的を変えることは,それに関わる人が一緒に変わること。2年はかかる。どんな組織も変革の際に時間的投資を省くわけにはいかない。
  • 教育実践は批判的な振り返りを通して強化されなければならない。しかし,教えることについて会話していない学部も多い。
  • シナリオプランニングは学校向き。ただし時間がかかる,1年以上。
  • 教員は自分だけでは信じていることから足を踏み出せないため,コミュニティに支えられた注意深い対話を続ける必要がある。
  • 教育リーダーに求められる学習者中心のリーダーシップは,学習が学校システムの文化の一部であることを理解すること。=確信が持てないことは当然で,探求し続け,驚きにであることも恐れず,未知との遭遇に喜びを感じる人間であること。

2014/07/07

ユーリア・エンゲストローム(2010)『変革を生む研修のデザイン』鳳書房


  • 教授の質は技術的な方法で高めることはできず,学習や教授への理論的な洞察が必要である。
  • 用語の整理
    • 教育=人間の発達に対して,意識的・目標志向的に影響を及ぼすこと。他の活動(ゲーム,娯楽,政治活動)の文脈の中で経験される影響もある。
    • 研修=特定の技能や能力の獲得を目的とした教育
    • 教授(Instruction)・指導(Teaching)=体系的な教育の形式。学び手の人格に効果的(=阻害要因から保護する)に影響を与えること。
  • 指導の質の改善において,教授の外的要因と内的要因の区別が決定的に重要。指導を生産的に計画し実行できるかは内的要因への精通にかかっている。
  • 指導の外的要因と内的要因
    • 教授目標:観察可能な望ましいパフォーマンス(行動目標形式で表現) ⇔ 習得すべき内容かパフォーマンスの方向付けのベース(認知的目標形式で表現)
    • 学習の動機づけ:生徒の注意を保つ刺激・報酬・罰 ⇔ 知的な出会いや認知的コンフリクトを通して換気される主題事項への関心
    • 教授内容の選択:出来合いの事実やパフォーマンスの図式 ⇔ モデル・原理・アイディアのシステム,談話の様式
    • 教授方法:さまざまな形式(エンターテイメント,つかの間の注意の維持) ⇔ 一連の教授的手立てによる学習の全体的サイクルの段階的な具体化
    • 計画の提示:時間割,講義概要,スライド ⇔ 教授のテーマ単位を示すカリキュラム
    • 指導場面における講師:プレゼンテーションスキル,社会的相互作用の駆使,組織化スキル,視聴覚技術 ⇔ 主題事項の内容の把握,カリキュラムへの柔軟な依存,教師の倫理
  • 学習を知識・技能・態度に分けることは,学習に関する概念を誤解している。
  • 学習は,受容・蓄積を越える複雑な心的・実践的活動であり,学習者は常に情報を選択・解釈し,新しく手に入れた素材を現在の活動や既有の構成物に関連づけ,溶け合わせる。→ 有意味学習
  • 学習の基礎は「内化」=物質的行為を心的行為に変換することであり,このプロセスにおいて言語と発話が重要な役割を果たす。言葉は,物質的現象や行為が認識され,同定される際のツールである。
  • 生産的学習の構造:道具=観察と実験のツール,書物,他者による説明,学習者=好奇心を持った観察者,問題解決者,対象=問題,説明を要する現象
  • 伝統的な学校の構造:道具=文房具,スタディ・スキル,学習者=生徒,対象=学校のテキスト
  • 探求的学習の4条件:正当な学習の動機づけ,主題事項の内容の適切な組織化,妥当な学習プロセスの進行,学習プロセスにおける十分な社会的相互作用と協働
  • 動機づけの3タイプ:状況的(持続しない・妨害受けやすい,テーマの魅力,教師の刺激,おもしろいパフォーマンス),疎外された(報酬を受ける・罰を避ける,勉強は切り抜けるもの),実質的(学習者が従事する実践の習得・理解・発展・変換に「使用価値」を感じること)
  • 実質的な動機づけをつくる条件:
    • 学習者が自分の知識・技能と自分の直面する新しい課題の必要条件との間にあるコンフリクトを経験し,認識する時に実質的な動機づけが生じる。
    • コンフリクトは,学習者の仕事とニーズ,主題事項の内容の双方にとって中心的でなければならない。よって,学習者の仕事実践における矛盾や問題,学習者の既有枠組み,教授される新しい構造を注意深く分析する必要がある。コンフリクトを使う目的は,学習者に自分の実践と主題事項の双方にとって中心的な問題を熟考させることである。
    • コンフリクトを説明し,類似した状況を解決できるようになるには,どのような種類の原理・概念を構成すべきかを示す。実質的な動機づけは,学習者が問題解決をしている間に,方向付けのベースを形づくることで生まれる。
    • 動機づけの強化は,実践的な活動を伴うことで行われ,これが主題への興味を長期的・自立的に発展させる。
    • そのために講師は,慎重な知的・実践的な努力を要する高度な要求と挑戦を学習者に対して設定しなければならない。
  • 知識の組織化:カテゴリー(アヒル,ブタ→鳥と哺乳類),ステップ(手続きやプロセスの記述,ex.マニュアル),ネットワーク(動的)
  • 知識の質は2つの軸で組織化される:1軸=知識はどのように表彰されるか(記号的・言語的,視覚的・画像的,身体的・感覚運動的),2軸=知識はどのように組織化されるか(事実,定義と分類,手続き的記述,システムモデル)
  • 学習の6つのステップ:どこかが欠けると学習は表面的で断片的になりやすい
    1. 動機づけ:コンフリクトを経験・認識していることが前提。
    2. 方向づけ:問題解決に必要な知識の原理と構造を説明する予備的仮説を示す。
    3. 内化:新しい知識の助けを借りて,予備的なモデルを豊かにしていくこと。
    4. 外化:具体的な問題を解決し,モデルをツールとして応用すること。問題に対する解決策を考え,発話・図表・計画・スケッチ具体的行為の助けを借りて自分の説明モデルを再構成する時に外化が起こる。
    5. 批評:自分の獲得した説明モデルの妥当性と有効性を批判的に評価すること。
    6. 統制:自分自身の学習を検討すること。
  • コンフリクト状況が成果をあげるかは,課題がどれだけ入念に準備されたかによる。
  • 原理の学習を促進したいなら,固定した外的なパフォーマンスを目標として列挙したり望ましい行動結果をあげて説明するだけでは十分ではない。
  • 行動目標は十分ではない → 認知的目標の設定=学習の観点からいえば,外的なパフォーマンスの構築基盤となる原理や構成概念の理解を目標として実質的に記述することが重要。
  • 意味のある丸ごとの課題を構成するために必要な決定的要素は,課題の中に文脈を包含することである。
  • 方向付けのベース:人が自分なりに物事を解決したり,その物事を評価したり,その物事に関連する課題を解決したりする際に用いるモデルのこと。(駅の地図を書く=いったことのない人は弱いベースを持つ → 避難経路を書かせると行った人も誤ったモデルを持つ。)
  • アインシュタインは創造的だが,勇気や自信のある態度だけでその性質を持ち合わせたのではなく,物理学を理解するための何年にもわたる体系的な研究に基づいている。つまり,創造性はそれの適用される内容や文脈から独立して訓練・開発できない。
  • 教授計画の単位(カリキュラム)の要件
    1. 比較的独立した実質的なテーマを伴っていること(テーマ単位)
    2. テーマ単位の核心は,重要で新しい理論的洞察か,教授的に価値のある概念であること
    3. テーマ単位の内容が,理論的洞察と実践的応用が結びつく方法で編成されること
    4. テーマ単位の長さと範囲は,探求的学習の完全なサイクルを実現するのに十分であること
  • 教授方法の外的側面(講義,議論=教授形式)は,どのような教授機能(=探求的学習のサイクルのどのステップが試みられているか)に関連しているかで評価される。
  • 教授形式は,大まかに説明,指示,発問に分けられる。
  • 教授機能は,9ステップに分かれる。
    1. 準備:新しいテーマ単位に向けて学習者を準備する
    2. 動機づけ:認知的コンフリクトをつくり,新しいテーマ単位に対する学習者の興味を呼び起こす
    3. 方向づけ:認知的コンフリクトを説明・解決するモデルを探す中で,学習者に示される
    4. 新しい知識の伝達と精緻化:具体化・多様化で方向付けのベースを豊かにする。
    5. 体系化:テーマ単位の本質的な要点に立ち戻る
    6. 実践化:行為に向けての準備状態をつくる
    7. 応用:新しい方向付けのベースを用いて,新しい課題を解決する
    8. 批評:方向づけベースの説明力や有用性を評価する
    9. 評価と統制:自分の学習を評価して修正する
  • 優れた教師は平均して5以上の教授機能を使用,成功しない教師は3か4使用
  • カリキュラムの目的は,教授学習プロセスを導き,モニターすること。
  • 指導技術の内的要因:(1)教授学習について,一貫した理論的見方に依拠して教授計画が立てられること,(2)あるトピックについて方向付けのベースの質をいかにうまくデザインできるか,(3)教員の倫理=学習者に経緯を持った関係を気づくこと,教授内容や主題事項の扱われ方に真剣であること
  • 良い教授の黄金律
    1. カバーする主題事項を少なくして,徹底的に教える
    2. 脱文脈化された断片知識を教えず,なぜを問うよう促すこと
    3. コンフリクトによって実質的な動機づけを喚起すること
    4. 主題事項の本質的な原理を明らかにする方向付けのベースを作り出すこと
    5. 探求的学習のサイクル(動機づけ,方向づけ,内化,外化,批評,統制)を目指すこと
    6. 自分の教授を,自分のカリキュラムと比較し,他の教師が何をしているかに気づく
    7. 学習者を尊重し,言葉を指示し,教える内容を真剣に捉え,教える内容について自らの見方を形成する
  • 研修の2つのデザイン:インストラクショナル・デザインと,学習環境のデザイン。前者をOff-JT,後者をOJTとするが,両者をどう関連づけるかが課題。
  • ブルームの認知的領域(知識,理解,応用,分析,統合,評価)と探求的学習のプロセス(動機づけ,方向づけ,内化,外化,批評,統制)は似ている。ただし,認知的目標の中身が,方向付けのベースによって語られる点が違う。=観察可能な行動の背景に入り,なぜそのような手続きをとるのか,その起源と原理は何なんかを問うことを意味し,その問いに答えようとする際に用いるツールが方向付けのベース。
  • 方向付けのベース=複数の人に共有されるメンタルモデル
  • 方向付けのベースは,プロトタイプ,先行オーガナイザー,アルゴリズム,システムモデル,肺細胞の5タイプに分類できる。
  • テーマ単位=単元

2014/07/04

赤堀侃司(2006)『授業の基礎としてのインストラクショナルデザイン』日本視聴覚教育協会


  • 先行オーガナイザー:説明に先行してキーワードを示すなどのこと。今から3つのことを言います,というだけで聞く側の頭に構造ができる。これが先行オーガナイザーの役割。
  • 授業展開=ガニエの授業事象=注意を引きつける,学習目標を知らせる,以前に学習した内容を思い出させる,新しい情報を印象強く提示する,学習のガイダンスをする,実際に行わせる,フィードバックを与える,学習者の実行を評価する,多様な実行をさせる。
  • IDにとって最も重要なことは経験知(英文のテキストでも効果的である)。

2014/07/03

吉田文(2014)「大学院における大学経営人材育成」『IDE現代の高等教育』No.562,2014.7


  • IOEのMBA in HEは2年生180単位が必要。30単位で構成される3科目(モジュール),高等教育における財源管理,高等教育における教育・研究,組織としての高等教育機関の戦略的経営がある。単位所得要件は,レポート執筆(15単位=3000語,30単位=5000語)。
  • 2年次にプロジェクト(30単位1万語)か修論(60単位2万語)を選んで修了のための研究を行う。
  • イギリスの修士課程は多くが1年制。有職者が対象であるため,MBAは2年制。1年3期,各期に30単位分履修(必修1科目,選択2科目)。1週間に30時間の集中講義。
  • 定員は1年次25人,志願者は60人程度ある。
  • 180単位=MBA(90%),120単位=ディプロマ,60単位=サーティフィケート
  • 志願要件は4年以上の大学職歴,実際は10年程度の経験者が多い。
  • 授業料(国内年間12540£)は全額・一部負担=職場で選抜を経て志願するケース多い。

2014/07/02

藤村正司(1996)「周辺国家とアカデミック・プロフェッション」有本章・江原武一 編『大学教授職の国際比較』第2部第2章


  • いかなる社会でも人は中心と周辺からなる従属関係を認知図として,自己の位置とアイデンティティを確認する。
  • 周辺は,中心の標準的価値を拒否し,周辺自体で創造性を培う継続的な努力へ変容する契機を持っている(中心と周辺の関係は一方的でなく,同時的かつ循環的)。
  • 中心・周辺関係は4分類できる:世界中心・国内中心,世界周辺・国内中心,世界中心・国内周辺,世界周辺・国内周辺。
  • 勤務大学×学位取得国のクロス表から,75%の教員は母語で学位を得ている一方,北米・西欧への従属関係も見える。

2014/07/01

堀公俊・ 加留部貴行(2010)『教育研修ファシリテーター』 日本経済新聞出版社


  • 研修でなぜ集まるのか:一人ではできない大きな経験をする,一人で考えるより相互作用の中で豊かな知識を得る,仲間を得るため。=研修は人材開発と組織開発を同時に行う。
  • 研修の3つの学習スタイル
    • 知識伝達型(講義)=学習転移モデル,聞く・見る・考える,正しい知識を持った人が持たない人に転移する(子ども,未経験者,初心者向き)
    • 問題解決型(協働)=経験学習モデル,話し合う・体験する・創作する,自らの経験と考察をもとに問題解決をしながら学ぶ(大人,経験者向き,参加者主体)
    • 省察型(省察)=批判的学習モデル,分かち合う・内省する・深め合う,自ら振り返ることでこれから何を学ぶべきかを学ぶ(経験豊富な人向き)
  • 研修効果の40%が事前,20%が研修中,40%が事後に決まる(出所?)。
  • テキストをしっかりしておけば講義はほぼ成功(=まずコンテンツを磨く)。
  • 話す時は,ポイントと例示を繰り返す。ロジカルモードとストーリーモードを使い分ける。
  • 話す時は,語尾を言い切り,傍観者的説明をしない。(信頼感が損なわれる)。
  • つかみはいらないし,受けようと思わない。内容が魅力的なら参加者はついてくる。
  • ファシリテータは,失敗談をよく語る。(インストラクターは話さない)。独り言もつぶやく,参加者の知識も活かす(これなんだったけ)。
  • 答えやすい質問から入る:想起質問(〜を聞くと何を思い浮かべるか),Yes/No,事実を尋ねる(リーダーシップに関する本は,世の中に何冊くらいあるか?),過去の経験を尋ねる(リーダーシップについて悩んだことはありますか?),事例から入る(〜という事件がありましたが,どう考えますか?)
  • 質問の深め方:何を知っているか(事実・経験),何を感じたか(知覚・感情),どのように考えたか(思考・考察),何が大切なのか(価値・原理),これから何をすべきか(行動・決定)
  • アイスブレイクとしてのクイズ:「メンタルヘルスという言葉が生まれたのは1985年である。」
  • 振り返りは葛藤にフォーカスする。感じ方や受け止め方は人によって違う。なぜそうなるのか,それは何を意味しているのかを掘り下げる。