- 研修は企画書をつくる(継続,実践,問題を持ち越さないため)
- 担当者名,研修名,講師名,研修目標,企画意図(動機・現状),内容(目標達成に必要なポイント),受講予定者,研修方法,期日,場所,予算,期待される成果,評価方法・指標
- プログラムもつくる
- 担当者名,研修名,研修日時・場所,研修対象・人数,研修目標,展開(時間・方法),会場設営,必要物品,事前・事後課題,その他
- 教育デザインの中心はビジョン(目的・方向性=こんな実践がしたい),参加者が納得して参加するために必要。
- 誰に研修を提供するかは,そもそも必要な能力(キャリアラダー,アウトカム表など)から設計する。このうち,あれもこれもにならないよう,学びたいことと学ぶべきことの2軸で整理する。
- 目標は参加者自身が自己評価できる表現にする。〜を学ぶ,〜を理解するよりも,患者に〜の看護を提供する,という現場での還元を念頭につくる。
- どんな研修も,(1)そもそもなぜこの研修をしなければならないのか,(2)現場でどのような問題が起きているのか,(3)この研修を受講して職員にどのような看護実践をしてもらいたいのか,の3つを自分なりに理解できれば研修企画はできる。
- 短い時間で成果を出す研修とするために,目標を具体的なイメージで確認することが重要。
- 納得してもらうための話し方は,実物(ヒヤリハット)を見せて解説する,自分の言葉で話す,こんな時どうしたらいいと思いますかと参加者に話してもらう。
- マイクを渡す際は,意見を聞かせてもらっていいですか?という疑問形で聞く。最初にマイクを渡す人は,偶然の確率で当たるという設定がよい(一番遅く起きた人など)。話してもらった後は,なるほど,つまり〜が一番大切と言うことですか,と言い換える。
- 満足度評価は,何に満足したかをきく。それ以外に評価では,そもそも学んでほしかったこと,現場で達成されているかも評価する。
- 研修が終わったら,企画書にアンケート結果,全体評価を加えて報告書を引き継ぐ。
2014/06/30
渋谷美香(2010)『はじめての教育委員』日本看護協会出版会
2014/06/27
大学評価コンソーシアム(2014)『勉強会 「米国における IR 実践を通して考える日本型 IR」 実施報告書』
- 2年制のプログラムは Associate of Science (AS)・Associate of Applied Science (AAS),1年以上2年未満のプログラムを修了すると Diploma,1 年以内の短いプログラムはCertificate という学位が授与される。日本の短大が授与する学位は Associate of Arts (AA)と言い, AS や AAS とは異なる。
- MnSCUには3つの基準日がある。(1)授業が始まって10日後の10th Day,(2)30 日目 (30th Day)(学生関係,IPEDS提出),(3)学期終了後のファイナルデータ(財務レポート用)。
- DBは本部が管理,データ入力・修正は各オフィスが行う。IR室は学内のほぼ全てのデータに誰の許可もなくアクセスすることができる。
- 授業アンケートはウェブで回答依頼。
- Enrollではヘッドカウントとクレジット売り上げの2つが重要。
- 履修登録数は学生の自由で何単位取ってもよい,1単位約170ドル。よって,学生数より単位の売り上げ(授業料収入)が重要。BSU では12〜18 単位を履修する際,授業料は一律になり,この授業料設定を Banded Tuition と言う。
- Fall-to-Fall Retention Rate は2年生になって学生が帰ってくることを言う。放っておくと戻ってこないというのが基本。
- 2年目に戻ってくる学生は卒業率が高いという研究から,リテンションを見ようとなる。
- アメリカの学生は学生は就職するために進学するので,仕事が見つかると仕事が見つかると大学をストップして働いてしまう。
- テニュアは,そのプログラムがどんなに赤字でも,プログラムを維持して教員を雇い続ける保証ではない。もちろん人員を削減は,ノンテニュアが先に対象になる。だから学長が学長がプログラムを廃止できる。
- 一般的に Grade は Indirect Measures として捉えられており,どのように学生のラーニ ングプロセスに寄与しているかを示す指標にはならない。代わりに,教員にスコアリングを依頼する(?)。
- 全ての大学に当てはまるIRの定義はない。少なくとも上の人がデータを求めていることが必要。
- アメリカである特定の仕事をやりたければ,それに関係する学部・学科を卒業している必要があり,基本的に全学部全学科が求人の対象ということはない。 IR の求人対象学科が広く(数学,統計,心理,高等教育など)その中でIRとは何かを合意することができない。
- アメリカの約4000の大学・短大のうち,Large・Very Large が 15.4%、Medium が 23.2%,Small・Very Small が 61.4%。小規模な IR が全体の 70%を占める。
- その大学のIRは,IRで働く人ではなくAdministratorで特徴づけられる。
- 基本は信頼を積み重ねる仕事。
- Assessment を通して Effectiveness を見る。
- アメリカの大学の職員は終身雇用ではない。
- IR から出た数字がファイナルとしての数字。
- 修得単位はシラバスを提出して提出してOKであれば他大学でも認められる。
- 実際改善は難しいので,改善を試みた証拠を試みた証拠をデータで出す。
- 直接評価の1つとして,入学時に受けた試験をその後も受けて差を見る方法がある。
- データの所有権・アクセス権を個人や特定のオフィスに限定させない。
2014/06/25
Healey, M., Jordan, F., Pell, B. and Short, C. (2010) "The research–teaching nexus: a case study of students’ awareness, experiences and perceptions of research," Innovations in Education and Teaching International, 47(2), 235-246
- 調査機関は旧ポリテク。
- 調査では,授業中の研究経験を尋ねる,対象は最終学年の学部生と院生でメールで学生に質問紙送付。2002年実施,回答率8%(196/2450)。
- Awareness = passive experiences, Involvement = active experiences
- 多くの学生は卒業研究で経験する。
- 研究経験をポジティブに評価する学生は少ない。理解の向上は52%,大学院で勉強したい学生は10%。
- ただし,その理由となる共通要因は見られない(最大の項目で15%)。
- 大衆化大学こそ,能動的・探求型学習は,教育と研究を接続する現実的な方法と考えられる(先行研究では研究大学ほど学生の研究経験は多いとされているが)。
2014/06/24
ガマゲー・D(2012)「大学のための戦略的リーダーシップとプランニング」『高等教育機関の発展 グローバルな視点からのアプローチ』第6章
- 従来のリーダーは,人格的資質や直感に依存してきたので,高等教育機関内の根本的変化に影響を与えることを期待されてこなかった。
- それが今では,先取り的,革新的,戦略的であることが求められ,ビジネススタイルのマネジメントの採用が求められている。
- ハーバード,ケンブリッジ,オックスフォードは,才能やアイディアを獲得するために世界市場で競争している。世界規模で戦略的リーダーを探すという重大な決断をした。
- プランニング・プロセスで注目すべき点(Gamage 2006):(1)民主的でオープンなマネジメントか,独裁的で閉鎖的なマネジメントか,(2)財政・人的資源面で効率的か浪費的か,(3)組織の目標に対して共通認識や献身を培うか,士気をくじくか,(4)専門組織として発展するか,官僚的な形式主義を強めるか。
- プランニングが重要である理由:(1)経営機能の連続性の中で第一位にあること,(2)全体の組織に影響する行為であり波及性を持っていること。
- 戦略的プランニングのプロセスには,戦略的分析,戦略的選択,戦略的実行の3つの概念的段階を含む。
- プランニングのパースペクティブ
- プランニング:論理的・合理的・計画的でGoalsとObjectivesを設定する。
- 論理に基づく修正循環:マネジャーの限定合理性を考慮,選択肢の継続的な比較の中で最高の選択を行う。
- 政治的:利害グループ間の妥協点で戦略が決まる,取引と交渉を通して組み立てられる。
- 文化的:マネジャーの経験と組織の歴史・経験を通して選択が行われる。
- 先見的:戦略の選択は組織のビジョンによって行われる。リーダーは大学の戦略的問題を処理する時や,構成員にそうした未来像を明確に伝達する際に,直観的で革新的な鋭敏さを活用することが求められる。
- 自然選択的:環境要因などの外的要因による変化が有益であるなら,この要因を保持する選択をする。
2014/06/23
木戸裕(2010)「ヨーロッパの高等教育改革とドイツの大学」『大学史研究』24,5-31
- 大学のランキングや,入学者獲得の競争が起きるには,ある程度の大学数が必要。どの大学を卒業したかではなく,どの試験・学位に合格したかが重要で入学した大学で卒業する必然性がないドイツでは,そうしたことが起こらない。
- 「高等教育に関するエクセレンス構想」:2006年10月=カールスルーエ工科大,ミュンヘン大,ミュンヘン工科大,2007年10月=アーヘン工科,ベルリン自由,フライブルク,ゲッティンゲン,ハイデルベルク,コンスタンツ:これらがエリート大学と呼ばれはじめる。
2014/06/22
クライグ・マキニス,ポール・ラムズデン,ドン・マコナキー(杉本和弘訳)(2014)『高等教育における教育・学習のリーダーシップ』東北大学高等教育開発推進センターPDブックレット Vol.5
- 管理職リーダーにとって,教育と研究の関係性の肯定的側面を育むことができるか。役職者にも生産的な研究者たることを求めることで,大学が教育と研究の関連を活用していくことが組織文化として重要であると強調される。
- 5つの原則:戦略的ビジョンを策定する,卓越性を引き出し実現させる,教育・学習のリーダーシップを委譲する,教育活動を褒賞・表彰・発展させる,学生を巻き込む
2014/06/20
中原淳(2014)『研修開発入門』ダイヤモンド社
- 研修の内製化の意味は,教えることで学ぶ,ネットワーク形成などの副次的効果の方に意味がありそう。
- ニーズの探索は,戦略(経営陣)ニーズ,事業(現場)ニーズ,組織(人事)ニーズの3つを探索する。企画者が自ら探索する点と,ニーズが失われたものをやめる点がポイント。
- 学習者のプロファイリングは,経験,知識,言語能力,権限(立場),肝(知りたいこと・関心)の5側面から行う。
- 研修の目標設定では,なぜ学ぶことが必要なのか(理由),何を学び変化してもらうか(学習者の変化),どのような変化を現場に導くのか(学びの適用・転移)の3つが求められる。
- 行動目標は,ナレッジ・プラクティス・バリューの3分割が有効。バリューの行動目標化は,葛藤状態を取り入れて記述する(バリューを暗唱できる→顧客が欲しているものと,自分が売りたいものが一致しない時に,顧客の望むことを優先して商談を進めることができる)
- 案内には個別に名前を入れて送る(招待状)。
- 研修の開発は,質の高いコンテンツを生むだけでなく,コンテンツを魅力的に見せ,適切な人に集まってもらい,経営にインパクトをもたらすまでが研修開発。
- 研修講師は開始時点で,この人は学ぶ価値のある何かを持っていると思わせ,信頼を勝ち取らなければならない。そのためには,自分が何者で,経歴やその場にいる意味を明確にし,講師として伝えるべき内容知や経験知を持っていることを感じてもらう必要がある。その上で,傾聴の態度を示す。=自分のステータスを意図的に上げ下げする。
- ラップアップは包んで届けること。(1)学んだことを別の言葉で言い換えて,再度主張する,(2)学んだこと同士を関連づける,(3)学んだことの利用シーンをさらに提示する。
2014/06/19
橋本鉱市(2006)「専門職の「量」と「質」をめぐる養成政策 ―資格試験と大学教育―」『東北大学大学院教育学研究科研究年報』54(2)111-135
- Carr-Saunders and Wilson (1933):(1)長期の訓練によって獲得された専門的技術の存在,(2)特別の責任感情と倫理綱領の存在,(3)結社の形成,(4)給与形態をとる固定報酬制の採用
- 竹内(1971):(1)組織形成,(2)理論的知識に基づく技術,(3)高度な教育訓練,(4)行為の綱領,(5)愛他的サービス,(6)能力のテスト,(7)不可欠な公共サービス,他計18
- 石村(1969):社会的側面:(1)公益奉仕を目的とする継続的な活動,(2)科学や高度の学識に支えられた技術,(3)技術の使用時体を支える一般理論,(4)教育・訓練,経済的側面:(5)サービスの開放性,(6)一対一の契約関係,(7)利他主義と中立主義を,社会的側面:(8)専門職団体の組織化への政治運動,(9)団体による資格付与と教育訓練,(10)倫理的自己規制
- 時井(2002):(1)高度な知識・技術を身に付けるための長期の教育訓練,(2)国家または団体による資格認定、(3)一定の倫理的規制,(4)非営利目的,(5)高度な自律性
- Freidson(1992):(1)国家によって公的に承認されたライセンスに基づく「組織化された自律性」であること,(2)他の職種の規制からの自由だけでなく,分業体制において「支配的」地位を占めることによって,規制への自由をもつこと,(3)成員補充の自足性をもつこと,(4)クライアントを規制する正当な権利を与えられていること
石村善助(1969)『現代のプロフェッション』至誠堂
時井聰(2002)『専門職論再考』学文社
Carr-Saunders, A. M. and Wilson, P. A. (1933) The Professions, Oxford Univ Press
Freidson, E. (1970) Professional Dominance: The Social Structure of Medical Care, Atherton Press
進藤雄三・宝月誠訳『医療と専門家支配』恒星社厚生閣
2014/06/18
金井壽宏・楠見孝(2012)『実践知』有斐閣
- 実践知:Practical Intelligence:よりよく生き,働く上で,より上手に物事を楽しむ上で役立つ知能・知性
- 実践知を獲得する学習過程を熟達化とする。
- 実践知の特徴:(1)個人の実戦経験によって獲得される,(2)仕事において目標指向的,(3)仕事の手順や手続きに関わる,(3)実践場面で役立つ(Sternberg et al 2000)
- 暗黙知の構成要素は,タスク管理,他者管理,自己管理の3つのようである。
- 熟達化の段階:初心者(仕事の手順・ルールを学習し,手続き的熟達化が行われ,状況が見えるようになる),一人前(定型的仕事は速く正確に自動化されて実行できるが,新奇の状況の対処はできない,アルバイトの限界),中堅者(柔軟な手続き的熟達化,状況に応じて規則を適用,文脈を越えた類推ができ,類似的な状況で過去の経験や獲得したスキルを使える),熟達者(高いレベルの完璧なパフォーマンスを効率良く正確に発揮,事態の予測・分析・判断が正確で信頼でき,難しい問題解決状況に対処,全ての人が到達しない)
- 実践知の獲得:観察学習,他者との相互作用,経験の反復,経験からの機能と類推,メディアによる学習
- 獲得の差が出る要素:経験から学習する態度(朝鮮製,柔軟性,状況への注意とフィードバックの活用,類推),省察(振り返り+見通し),批判的思考(明確化,判断の基盤の検討,判断)
- 獲得を促進する環境要因:移動に伴う困難(新たな責任,能力顕示),仕事の特徴(変革創造,重責任,仕事の多様性,負担大),仕事の障害(困難状況,サポート欠如,難上司)
- リーダーを育て,育成の仕組みを作ることはリーダーの役割の1つである。リーダーは,育て親リーダーの薫陶を受けながら経験からリーダーシップを学ぶ,その学びは育て親が自分なりのリーダーシップ論を言語化し,それと言行一致した行動を取る時に最も促進される。
- リーダーシップ持論を暗黙知から形式知にすくい上げる方法:3つの一皮経験(いつ,どの立場で,誰と,何を成し遂げた),それぞれから得た教訓+後にどう活かしているか,どの教訓がどのように現時点のリーダーシップのもとになっているか選ぶ,教訓のうちLSに関わると思われるものが持論であることを確認,薫陶を聞く,OffJTと持論の関係を確認
- MBAの授業で経験を省察するレポート,共有と議論。
- 省察の三層:行為の中,行為に関して,行為の省察に関して
- 学校の授業の特徴:不確実性(今日通じた手法が明日の教室でも通じるとは限らない),複雑性(授業はさまざまな価値を内包し,相反する価値の葛藤も抱える),観察による徒弟制(教師になる前の授業観形成)
- 教師が持つ専門的知識は,「授業を想定した教科内容知識」を持つこと。教科内容を授業や子どもの知識と結びつけて再構成すること。
- この知識は,教師のコミュニティで学ばれる。実際の授業で試し,それを省察する過程ではじめて形成される。この過程では,新しい教科内容を学ぶことはなくても,教材に対する見方を転換することがある。
- 教師の実践知の継承はメンタリング。メンタリングの過程で,初任者の具体的な授業に文脈付けながら,自分の実践知を言語化して省察できるため。
- 人間存在の二重性:主体性と共同性。主体性だけでは自己主張ばかりする発想や行動にとりつかれ,やがて自己破壊をもたらす(Bakan 1966)。交わりの中の主体性,観形成の中から生まれるアイデンティティ=自分らしさは,自分が成し遂げてきたものと,誰と共に成し遂げたかという関係性の中から形成される。
- 熟達化への動機付け要因:有能感が得られる,用具性(結果的にもたらされる価値),動機付けの持続(自己決定と自己イメージの高揚)
- 初心忘るべからずは,初心者の頃の初心だけでなく,中堅者の頃の時々の初心,エキスパートになってからも老後の初心が問われ,いずれも忘れてはいけない。
2014/06/17
大塚雄作・山田剛史(2012)「大学教育評価」『生成する大学教育学』第5章
- 評価情報の収集と得られた評価情報に対する価値付けのプロセス全体を評価活動ととらえる。
- 評価の要素と種類:目的(診断的,形成的,総括的,改善志向,判断志向,知識志向),人的(自己,他者,外部,第三者,相互,参加協調型),対象(達成度,熟達度,学習成果,満足度,パフォーマンス,ポートフォリオ,授業,成績,大学),位置(インプット,プロセス,アウトプット,アウトカム,インパクト),基準(相対,絶対,集団基準,目標準拠,観点別,個人間,個人内),表現(量的,質的)
- 改善のためには質的評価が有用で弱点を明らかにする必要があるが,アカウンタビリティを示すには量的評価が望まれ長所を表現することが優先される(Vroeijenstijn 1994)。=大学評価の困難性。→ メタ評価
- メタ評価の基準:評価利用者の情報ニーズに役立つ(有用性),評価が現実的で効率的(実行可能性),評価が多くの人に影響するので法的・倫理的に問題がないこと(正当性),評価結果が十分な情報を伝える(正確性)
2014/06/16
「大学教育のマネジメントと革新」『高等教育研究』第17集,2014
大森
- (答申は)学位プログラムの体系化は教学経営において実現されると位置づけている。
- 認証評価機関の定義でも,内部質保証は未成熟な概念。(基準協会:PDCAによって質向上を図り,教育サービスが一定水準であることを自ら証明する学内プロセス,評価機構:自学の諸活動の点検評価を行い,その結果から改善に努めて質を自ら保証すること,=どちらも自己点検・評価。)
- 英国でも経営の強化は質保証に結びつかない。(コンプライアンスにとどまり,学習成果に直接結びつく教授・学習過程にインパクトをもたらす実質化に至っていない。)
- ワイクは多くの現実の組織で,目的と手段・アクター間など,組織の構成要素間の結びつき・対応関係はルースでしかないことに着目した。
- コンプライアンスにとどまるのは,実質化へのインセンティブに欠けることが問題の本質。(注力しても,わかりやすいランキングなどのブランド確立に結びつかない。)
- 「優位にある大学の威信は,在学する学生の質によって維持される。これは閉じた循環をなす。このシステムにおいては,大学がプロセスやアウトカムの質について気に掛ける理由はない。」(Baldwin and James 2000)
- 「年間36-40週にわたり計120時間の授業を受けると1単位が与えられるというカーネギー単位は,高大接続問題の解決ツールとして採用され,1910年までにほぼ全ての高校がカーネギー単位を採用した。」
- CFAT設立以前から,学生の学修を時間で計ることは米国の大学で実践されていた。
- 米国では学期末試験への信頼が低く,外部試験員制度も根付いていなかったために家業時間は便利な尺度となった(Kleplin 1971)。
- マネジメントの不全は権限体系の美構築に起因すると思われやすい。→ 学長のリーダーシップ論。
- 公務を掌り,所属職員を統督する→統督=学問研究の自由と大学教員の特殊性に鑑み,いわゆる監督は細部にわたらず,大局的立場に立ってなされるべきことと解釈される。
- 学生処分は学長が行う,入退学などは教授会の議を経て学長が定める=大学は,上級者が下級者に委任して監督権を行使する官僚制ではなく,それぞれの領域の特質に対応して学内機関に権限を配分するシェアド・ガバナンス(事項によって責任主体を区分し,教育研究については教員の責任とする)。
- 大学の基本組織は,大学令以来学部である。設置認可は学部・学科単位で行われる。よって教員定数は大学ではなく学部に帰属する。
- 現在の学長リーダーシップ論は,株主利益の最大化を目指すコーポレート・ガバナンスを軸にし,あたかもそれが普遍的なガバナンスであるかのような前提で大学のガバナンスを組み立てており,教育・研究を遂行する組織の特質に対応したマネジメントを探求していない。
- 現在の論は,マネジメントにおける認知的限界の問題が全く視野に入っていない。特に,意思決定を制約する組織の階層性問題(人間は,複雑な問題を独立した部分に要素分解し,主要な局面のみを捉えた単純なモデルを持ち,極大化ではなく満足できるレベルを達成する満足かを目指す。→ 組織内の意思決定の不一致を導き,組織内コンフリクトの発生源となる。)
- 階層による価値規範が多元的であるからこそ,それを統合・調整するマネジメントの手法が課題なのである。
- 認知的限界は,学長に権限と責任を集中させることで克服できない。それゆえ,マネジメントのあり方が問題であり,学修する組織の概念は示唆的(部分的認知能力を克服し,組織全体がビジョンを共有し,システム思考を核としてメンタルモデルを変容していくこと)。
- センゲは,組織が効率的・効果的に作動しない理由を,問題を分割して把握すること,断片化して扱うことに求める。
- 学長リーダーシップ論は,マネジメント理論の展開に即したものではなく,ある特定のタイプ(=官僚制モデル)の理論に固執し続けているものだと言える。
- シェアド・ガバナンスが日本でも教育マネジメントを効果的に達成するとは言えない。欧米大学では運営参加は大学教員の業務の一部であり,専門職の責務であるが(大学教員の専門性に組織市民性が位置付いている),日本では雑務とされがち(管理運営負担を問題視すらする)で,職務としても位置付いていない(学校教育法)。
- 大学におけるカリキュラムマネジメントは,大学の自主性・自律性が制度的・行政的にも確保されていることを前提にして,大学の教育理念を実現するために,教育活動の内容・方法(カリキュラム)上の連関性と条件整備活動(マネジメント)上の協働性との対応関係を,組織構造と組織文化を媒介としながら,PDCAサイクルを通じて組織的・戦略的に動態化していく営み(中留)。
- この枠組みで念頭に置かれているのは,学長・学部長を含む教員間の協働=職員の役割は不明。
2014/06/15
上田正仁(2013)『東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方』 ブックマン社
- 発見やアイディアは考えるというプロセスから生まれる。考える力は,問題の本質を見極める力,創造力は,それを独自の方法で解決に至るまでやり遂げる能力。
- マニュアル力は,考える力を身につける基礎力になり,創造力を発揮する土台になる。
- 自ら考え,創造する力は,問題を見つける力,解く力,あきらめない人間力の3つの要素からなる。この実践のキーワードは捨てること,情報を集めて要点を理解したら一旦捨て,知識ではなく智恵を身につけることが,自ら考え,創造する力を高める。
- 疑問を大切にする習慣を身につける
- 講義の冒頭で「この講義は対話形式にします」と宣言,どんな小さな疑問や質問も他の学生の理解の助けになるので,遠慮せず発言してというと,対話が始まる。
- 研究室に入って最初の課題は,やりたいテーマを自分で見つけること,そのために対話をして,学生自身が発見できるようなヒントを出していく。学生の理解が深まる適切な文献を読んでもらう。
- 一人で考える時は,自己と対話する。問題の種をメモする。思考に行き詰まったら,私は何を何のために考えているのかを意識する。
- 分からないを3つに分ける,(1)事実を知らない,(2)答えが分からない,(3)何が分からないのか分からない。
- (1)ならとにかく調べる(マニュアル力で対応できる),(2)なら考え続けて問題を煮詰める,(3)が問題を見つける力の最も肝心な部分で,対話で何が分からないかを明確にする。
- メモを書いて,書いたものを読み返す習慣作りが重要。
- 情報収集中に答え探しになったら,その問題はイノベーションにつながるものではなかったと言うこと。情報収集の目的は,何がまだ行われていないかを探すこと。
- メモは必ず自分の言葉で書く。
- たいていの問題は,類型化,要素化,各要素の個別解決で対応できる(マニュアル力の活用)。
- 答えの見えない問題は,類型化を多角的に行う。
- あきらめない人間力とは,長い時間をかけて試行錯誤し,失敗の原因を分析して次のトライを計画できること。
- マニュアル力,考える力,創造力は,高校,大学,大学院で問われる優秀さの尺度。
2014/06/13
羽田貴史(2003)「大学組織の変容と質的保証に関する考察」『高等教育システムにおけるガバナンスと組織の変容 』COE 研究シリーズ8,第1章
- 大学組織とシステムの明確な特質は,高度に断片化された専門職主義である(Clark 1983)。
- 大学組織は業務そのものが,断片化を拡大する性質を持っており,組織としての一体性を維持するためには,意図的かつ恒常的なガバナンスが不可欠であるという特質を持っているのである。
- クラークは組織レベルをシステム(政府など),事業組織体(大学),専門分野(講座・学科)の3つに分け,変動要因の規程力が上と下で異なるとした。
- ベッチャー=コーガンモデルは,これに個人レベルを含めた点が重要。
- 高等教育における「質」概念は,普遍的・絶対的なものではなく,歴史的・相対的な概念である。定義を困難にする理由のひとつには,高等教育の「質」とは,単一の尺度によって規定されるものではないことがある(=授業,教育計画,研究,職員配置,学生,建物,設備,地域社会へのサービス,学問的環境を包括した機能と活動)。多元的であるだけでなく,「絶対的な質というのは真や美のようなものだ」とする意見もある。
2014/06/12
小野善生(2013)『最強の「リーダーシップ理論」集中講義』日本実業出版社
- 結果を出すリーダーは,課題設定と人脈づくりがポイント。課題設定はビジョンと戦略・計画の接続点で,課題設定を対話による意見交換で課題に関する情報を集めて行う点がポイント。その意見効果でネットワークが重要になる。
- 組織変革の8段階:危機感を植え付ける→同士を募る→ビジョンを打ち出す→ビジョンを組織内に浸透させる→ビジョン実現のための環境整備(メンバーのモチベーションサポート)→短期的実績のアピール→トライ&エラー→成果の定着と持続的発展
- ウェーバーの支配の3類型:合法的,伝統的,カリスマ的支配→近代組織の基本は合法的=官僚制:規則,階層性,文書主義,専門トレーニング,フルタイム勤務,習得可能な規則(マニュアル化)
- 規則の独り歩き,最低限の行動,不満足を生む対応,手段の目的化が官僚制の逆機能。→環境変化の状況で機能しない→カリスマ支配へ。環境が安定してくると合法・伝統支配に戻る。
- 優れたリーダーの4つの戦略:人を引きつけるビジョンを描く(過去・現在・未来の時間軸で考える),あらゆる方法で意味を伝える(インパクトのある言葉),ポジショニングで信頼を勝ち取る(言うことや考えを変えず立場や姿勢を一貫する),自己を創造的に活かす(?自己観と全身全霊で打ち込むイメージが共に肯定的)
- 優れたリーダーに世代を超えて共通する点は,高い学習意欲と厳しい試練に耐えた経験。
- サーバントリーダーに求められるものは,他者に奉仕したいというモチベーション,Win-Winを重視するマインドセット,部下の自主性を尊重すること,部下の話を傾聴するコミュニケーションスタイル,部下へのコーチング・メンタリングから共に学びよりよい仕事をする業務遂行能力,他者のやる気を大切に考える成長についての考え方,責任を明確にして失敗からも学ぶ考え方。
- サーバントリーダーの10属性:傾聴,共感,癒やし(支える),気づき(ヒントを与える),説得(仕事の理解を促す),概念化(わかりやすく説明する),先見力・予見力,執事役,成長に関わる,コミュニティづくり。
- ミンツバーグのマネジャーの10役割:対人関係(フィギュアヘッド,リーダー,リエゾン),情報関係(モニター,周知伝達役,スポークスマン),意思決定(企業家,障害処理者,資源配分者,交渉者)=インプットとアウトプットのシステム
2014/06/11
中原淳(2014)『駆け出しマネジャーの成長論』中公新書ラクレ
- マネジャーとは,他者を通じて物事を成し遂げる人,具体的には,3分野10の役割がある
- 対人関係:挨拶,ベクトル合わせ,連絡
- 情報関係:分析,伝達,宣伝
- 意思決定:変革,障害やりくり(解決しない),配分,決定
- 新人マネジャーに求められるものは生まれ変わること(=新たに学び直す)
- 今のマネジャーは,(1)突然化(フラット化の弊害),(2)二重化(プレイヤーもこなす→バランス欠く人増える),(3)人材の多様化,(4)煩雑化(予防線業務の増加),(5)若年化の5つの問題がある。
- マネジャーになることはポジティブな経験であるが,目標達成,板挟み,業務量,現場離脱などの面での不安も同時に経験する。
- 新人マネジャーは,部下育成(優先順位をつける),目標咀嚼(仕事の意味づけをするワーディング+上役を動かすロジック),政治交渉(友達作り・Win-Win・共有ビジョン),多様な人材活用,意思決定(メリット・デメリットなど選択肢を用意),マインド維持(現実に折れない→話す),プレマネバランスの7つが当面の課題。
- マネジャーの育成には,メンタリングとフォローアップ研修が重要。また,ミニ経験としてのOJT指導が重要。
2014/06/10
松本雄一(2003)『組織と技能』白桃書房
- 人材育成は基本的に「自学」のプロセスであり,諸制度はそれをサポートするものである。
- Katz(1955):管理者の能力を考察する3技能:
- 技術的(方法,プロセス,手続き,テクニックを含む特定の活動に対する理解と熟達)
- 人間的(集団のメンバーに効率よく仕事をさせたり,チームの協働を促す能力)
- 概念的(組織全体を見て,組織の異なる機能を組み合わせたり,一部の変化を他に波及させたり,個々の仕事と業務全体との関係を明らかにする能力
- Mace(1950):技能の心理学的概念
- 身体的(Physical):感覚・知覚的きっかけによって導かれる身体動作を通じて,意図した一連の動作を生み出す能力
- 知的(Intellectual):一般化された知識や心像(イマジネーション)
- 社会的(Social):他者への微妙な感情表現や微妙な自分自身の表現
- 技能の概念整理
- 技能は生得的なものでなく,練習や経験の産物である
- 技能は意図する結果を生み出す能力である
- 技能は自動化された能力である(言語で表現しにくい)
- 技能にはその能力とメタ能力(変化する状況を理解・推論して必要な技能を用いる能力)という階層構造がある
- 組織学習研究の整理
- 組織学習研究は,組織目標や環境に対して行動を変化させる適応としての学習と,行為の理論や知識を獲得する知識獲得としての学習の2つのカテゴリに分けられる。
- 適応としての学習は個人の学習を組織の学習に援用して発展したが,その内容は組織的な技能形成に類似した側面がある。
- 知識獲得としての組織学習は共有による知識の保有・発展という概念を用いることで発展した。
- 組織学習研究では実践の概念が欠落したが,技能形成においては実践による体得が最も重要である。
- 状況的認知研究の整理
- 学習する技能や知識は,学習する状況の中に埋め込まれており,教授者・学習者・周囲の状況の三者の相互作用により学習はより効果的に進められる。
- 技能形成は,状況をうまく利用した教授者のガイドによってより効果的に進められる。
- 技能形成は,経験のある先輩が後輩を助けたり,話し合いながら作業を遂行するオープンな相互作用を起こしやすく状況を作ることでより効果的に進められる。
- 全ての技能を自身が保有する必要はなく,他者や状況に埋め込まれた技能をうまく利用することで,タスクやより効率よく達成される。
- 技能形成は,技能を保有する共同体への参加と,そこでのアイデンティティの構築が同時に達成される。
- 技能形成は,その共同体の中での実践がなければ完全には達成されず,共同体における即興的な実践を通じて相互的に達成される。
- 技能形成は,組織内だけでなく,組織外の共同体との協働や相互作用を通じても達成される。
- 技能形成は,その技能に対して価値的にコミットすることが必要であり,解釈の努力を伴う継続的な模倣がより効果的に技能を形成することにつながる。
- 本書の考察
- 技能は意図する成果を生み出す能力(スキル)とスキルを状況に応じて使い分ける能力(インテリジェンス)による階層構造をなす。
- 両者はその形成方法に違いがある。
- 両者を合わせてコンピタンスと呼び,その形成が学習者の目指す熟達目標である。
- 技能は,スキル,インテリジェンス,コンピタンスの順に形成していく。
- スキルは意図が変わらなければ,状況によって変化する度合いは少なく,その意味でポータブルである。
- インテリジェンスの形成については,状況的実践の重要性が大きく,具体的な状況下での具体例に基づくテクスト指向型教育が有効である。
- 状況的実践:技能形成の基本プロセスである実践を効果的に進めるための,状況的セッティングが重要。教授者は,学習者の周囲の状況を把握・コントロールすることで,学習者の主体的な実践を促進する。
2014/06/09
広田照幸ほか(2013)『組織としての大学』シリーズ大学6,岩波書店
広田
- 大学の上部と下部では,全く異なる価値や目標に準拠した活動がなされ,必然的に対立や葛藤が生じる。(大学の存続を目指して戦略的な億票を設定する学長と,専門職規範に導かれて目の前の教育研究を充実させることに傾倒する教員。両者は別のものに情熱や使命感をあてている。)
- どの分野の教員も,1つの機関に一人しかおらず,適切な教育内容や方法の選択は個々人に委ねざるを得ないことが,組織的な教育改革の取組を困難にする一因。
- 普遍的な善や真理に対する情熱を持つ末端の大学人は,競争への最適な適応を目的とすることは,人間にとっての線でも正義でもないと考える。機関が設定する目標が特殊利害に左右された狭いものにすぎず,末端の大学人の設定する目標の方が,より普遍的・包括的であることが起きる。
- 進まない改革と,果てしない改革が対立しているのは,大学組織がそうによって異なる価値や目標を持っているため。
- (1)大学組織は,自律・自治を必要としている,(2)分権化が謳われながら,財務ルール等の規制が強い状態が続いている,(3)日本では私立の割合が多いため,トップのリーダーシップを言い立てると,財政基盤の脆弱な私立がトップダウンの金儲け主義に走る事態を生み出しかねない。
- 大学のガバナンスとは,大学が教育・研究・社会サービスなどの社会的役割を果たすために,人的・物的資源を整備・活用し,その組織を運用していく仕組みとプロセスを意味する言葉である。
- 高等教育のガバナンスとは,高等教育を管理・運営するための諸ルールの体系であり,システムレベルにおける機関に対する管理と,機関内部の管理(=運営・自治)との2つのレベルがある。
- バートン・クラークの類型:官僚制(=政府が大きな力を持つ,欧州大陸),同僚制(教員が大きな力を持つ,UK),市場型(市場メカニズムが大きな力を持つ,US)で,日本は国立=官僚制,私立=市場型。
- 大学教育の質が,大学ガバナンスの主要課題にならなかった背景は,新卒一括採用と企業内訓練。大卒者に求められるのは,大学教育で学んだ具体的な知識や技能ではなく,一般的な学習能力と雇用者が求める業務を遂行する柔軟性で,カリキュラムで習得する学習成果と,採用者に求める能力は対応しない。
- NPM改革は,民間企業モデルを提要するという単純な命題のみ強調され,公的部門と民間部門の違いを考慮しない。公共サービスの量と質を改善することは,財政規律と対立・緊張関係にあるのが常態である以上,単にサービスを拡充すればよいという議論にならない。
- 大学評価の2つのレベル
- (1)組織志向性=業績測定型
- 大学の組織としてのガバナンスに関心を持つ評価で,行政改革の文脈を背景に抱え,財政・納税者視点の評価。
- 評価で問われるのは実績であり,数値目標を推奨し,予算要求と連動する。
- (2)専門志向性=プログラム評価型
- 認証評価,自己点検評価で,特に受益者の視点からのミニマム・スタンダードの評価。
- 高度の専門性と裁量性を持つ教員集団の提供する対人サービスの水準を問う評価。
- 独立行政法人制度は,典型的なNPM制度。NPMは,政府の活動を企画立案機能と実施機能に分け,実施機能の部分について効率化の手段を講じる手法の総称。実施機能の長は,行政コスト縮減のために民間手法を用いるため,組織の長に組織管理の権限が集中するようにミドルマネジメントの強化が図られる。
- これは,教員の専門性に深刻な影響を与える。専門への忠誠を誓うところに専門職の立脚点はあるが,組織への忠誠を喚起する改革が進むと,専門人ではなく組織人が生まれてしまい,専門への忠誠への危機感となる。
- 大学評価が本来対象とすべきなのは,対人サービスプログラムについてである。(それは最終的に業績測定評価になるのでは??)
- 行政学では,評価の際に限界値(これ以下では許されない水準),期待値(可能ならば達成したい達成目標水準),充足値(一応成功と言える水準)の3基準を使い分ける。
- プログラム評価は,限界値で評価すべきであるが,大学側は社会的な評価を受けるために期待値の議論へ傾斜しがち。
- センター等が置かれる場合,専門性を有するものは職員ではなく教員の身分を有する場合があり,その採用は通常の職員とは別に公募に依存することが少なくない。
- 専門性の高い業務のための教育訓練資源を大学が有していない場合,OJTでは育成できず,外部から専門家を雇用するが,それらは大学の特性を理解しないために効果的でない場合も多く,内部職員のキャリアを閉ざす可能性もあり,トレードオフ問題になっている。通常,専門職は専門職団体を通じて養成される。
- 専門性を持つ職員の要請には,長期教育により獲得される理論・知識と倫理的規範の存在が必要であり,OJTに加えて,大学院等組織的・系統的教育の機会が提供されることが重要。
- 大学は営造物である→利用者はその管理運営に関与しない→学生は利用者である→学生は大学運営に関与しない
- 大学は共同体である→共同体構成員は互いに対等である→学生も共同体構成員である→大学の管理運営に対して学生と教員は対等な参加資格を持つ
- 前者は近代国家の成立に由来,後者は中世の大学起源 or 研究と教育の統一を求めたベルリン大学まで遡る。
- 欧州の学生参加は,教授団に権限が集中しすぎた大学を,国の直接的な統制下に置かずに分権化する方法として実現した。
2014/06/08
It has more impact on educational effectiveness to change learners than it does to change teachers, SEDA 53 ideas 8
- 教育改革を最も効果的に進める方法は,学生の変革であり,その後,教員,カリキュラム,組織変革の順で効果は小さくなる。
- そこで,学生が学習する際の変革の方向を考える。
- イギリスの学生は,規程の半分しか勉強していない。まずは,単純に学習時間を増やすこと。(それは教員の関与が必要では?)
- もう1つは,メタ認知の強化。リーディングが遅いと嘆くよりも,この章が必要か否かを見極めて,スキムするか読み込むかを決める力をつけること。
2014/06/07
Lee, Jaeseong and Cho, Joonmo (2014) "Who teaches economics courses better?: using student–professor matched data for the principle of economics course," Applied Economics Letters
- 回帰式:SET_itcp = a X_tcp + b Y_tci + g Z_tpc + d_t + d_c + d_p + d_itcp
- SETは授業評価スコア,学生iの授業cの教員pのある期tのスコア
- Xは教員の属性変数(性別,年齢^2,勤続^2,職位,役職経験の有無),Yは学生の属性変数(性別,年齢^2,経済専攻ダミー,ダブルメジャーダミー),Zはクラスの属性変数(クラスサイズ^2,午前時間割ダミー,週1回開講ダミー,曜日ダミー,筆記試験ダミー,課題数),d_tは年次ダミー,d_cはクラス固定効果,d_pは教員固定効果,最後は誤差項
- サンプル数は2944
- 結論として,研究業績と授業評価は正の相関あり,応用分野だと評価上昇,教科書を書いていると評価上昇,その他の固定効果はあまり有意でない。
- マイクロデータを利用できるなら面白い方法。
- 大学が研究大学か否かも興味深いところ。
2014/06/06
寺倉憲一(2014)「大学のガバナンス改革」『調査と情報(国立国会図書館)』No.826
- 我が国の大学では、伝統的に学部や学科における構成員の自治が強いため、学部長や教授会に決定権限があるとする意識が根強く、現在でも、各学部や学部教授会において事実上の意思決定が行われるなど、学長がリーダーシップを発揮し難い場合があるとされる。
- 教授会は「重要な事項を審議するため」に置かれると規定され、議決機関でなく審議機関であると位置付けられており、設置根拠が学校教育法であることから、教育研究に関する事項を審議するものと解される。
- 「重要な事項」という文言が抽象的なこともあって、実際の教授会の審議事項は大学の経営面に関することも含め広範に及び、本来は学長や理事会に決定権があるはずの事項についても、内部規則等により教授会に決定権が認められている大学も多く、学長のリーダーシップを阻害しているとの指摘もある。
- 教授会の権限については、戦前の帝国大学の時代に、政府等による人事への介入とのせめぎ合いの中で徐々に獲得されたものであり、戦後、学校教育法等に規定が置かれたことは、憲法第23条の規定により認められた大学の自治を保障する意義を持つと説明されていることからみても、十分に尊重する必要がある。
- 国立大学の教授会の権限については、旧国立学校設置法中に規定が整備されたことがあり、国立大学に置かれる教授会は、「教育公務員特例法」で定められた事項(教員採用のための選考等)を行うほか、(1)学部又は研究科の教育課程の編成に関する事項(第1号)、(2)学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項(第2号)、(3)その他当該教授会を置く組織の教育又は研究に関する重要事項(第3号)について審議するとされた。国立大学に関する限り、既に平成11年の段階で教授会の役割が整理されていたことになるが、法人化に伴い旧国立学校設置法は平成16年4月に廃止された。
- 意向投票の結果を学長選考会議等がそのまま追認するような場合には、過度に学内の意見に依拠することになり、学内外から幅広く人材を登用しようとする法制度の趣旨からみて、適切とはいえないとの指摘もある。私立大学では、学長選考方法に法令上の規定はなく、各大学の判断に委ねられている。
- 知識の発見、伝達、応用を固有の使命とする大学では、専門領域ごとの下位の組織単位や専門的知見を有する個々の教員の知的生産活動こそが原動力であり、その創造性を最大限に発揮し得る環境が整備されていなければ、組織としての使命を果たすことが困難になる。
- ガバナンス改革のためには、法改正だけでなく、組織文化の変革が伴わなければならないと考えられるが、それをもたらすのは組織全体の学習である。
2014/06/05
『IDE 現代の高等教育』No.561,2014年6月
- 部局に自治はない。大事なのは大学の自治である。(黒木)
- みんな,10年前と比較して,大学が教育に力を注ぐようになったと考えている。
- 一方,リーダーシップについての見方は多様で,思ったほどリーダーシップが発揮されていないという批判と,それは当たり前で大学におけるリーダーシップはトップダウンとイコールではないという現実派に分かれる。
2014/06/04
『IDE 現代の高等教育』No.559,2014年4月
- ヘックマンの研究:認知スキル(認知能力=ペーパーテスト測定可)だけでなく,性格スキル(非認知能力=ペーパーテストで測定不可)も後年で伸びる。ゆえに,青年期の教育は性格スキルに集中すべき。
- なお,性格スキルは,真面目さ,開放性,外向性,協調性,精神的安定性の5つから成る。
- 大学は学びの方法も対象も自由度が大きく,教育の動機付けの大きな可能性がある場所であり,性格スキルを磨く格好の場所である。(浅原)
- 「世間のFDは根本的な問題があり,大学教員の能力とは全体的なもので,筆者たちはそれを追求していることをわかっていただくのに小一時間かかり,この時ほど,通俗的なFD概念の弊害を実感したことはない。」(羽田)
- 研究,教育,大学人,市民性の4側面について,能力の獲得状況と重視する傾向を調べると,研究能力の獲得状況には満足していないのに,教育はある程度達成されれば十分と考えている。教育について,研究のように絶えず深化し,課題がつきることのない持続的目標をどのように顕在化して共有するかが重要である。
- 専門職として成り立つには,(1)体系的な理論を持っているか,(2)権威を持っているか,(3)社会的に認められた特権を持っているか,(4)倫理綱領を持っているか,(5)固有の文化を持っているかの5つの問いに集約される。大学教員は,専門分野とリンクした教授・学習の体系的な理論を確立する必要があり,倫理綱領も共有しておらず,機関の実情に応じた教員の行動規範を掲げる必要がある。(小笠原)
- ドイツ由来の概念である,教授の自由は学出研究の基本にある原則は,それぞれの教授活動,教授の内容や方法は,密室性を保証されなければならないとされ,これが文系の壁となっている。
- FDは組織的な活動が求められるが,大学教員は組織的な活動を避ける傾向が強い。
- 実は,規格化されたFDは,教員を信用していないアプローチで,力のない人を対象にしたものかも知れない。力のある教員には羅生門アプローチの方が,教員の創造性を刺激する可能性がある。問題は,誰がまたはどのように,力の有無を判定するか。
2014/06/03
沖大幹(2014)『東大教授』新潮社
- 体が物質的には普段食べているものでできているように,知性は普段接している人や媒体から得られる情報・知識によって形作られている。
- 法令上は学長だが慣例として総長と呼ぶのは,法科分科大学や工科分科大学にそれぞれ分科大学長がおり,それらの学長を束ねる役職として総長を置いたため。
- 東大生の多くは,努力は得意。目標を立てたら,その実現に向けてどの程度時間をかけて努力をすれば達成できるかを考えて実行しているようだ。
- 研究者は,学問にイノベーションを引き起こすのが仕事。
- 研究は,課題を決める時点で研究成果が面白いかどうかの大半が決まり,さらに大きな課題を取り扱いやすく解けそうな小問題に分解し,段階を踏んで取り組んでいくもの。つまりは,何を研究するかよりもどう研究するかが大事。
- 「日本の会議はモノを決めるためではなく,参加者がモノを認識するためにある。」
- 研究ばかりしていると見過ごしがちな学問の暗黙の前提を,講義で教える際に見直し吟味する機会は,常識を疑うという研究の基本に毎回立ち返らせてくれるため,画期的な研究の種にもつながるし,少なくとも学問の体系が毎年頭の中で整理整頓され洗練されていく。講義は教授の自己啓発の源である。
- 研究は,やるかやらないで,やってみてうまくいかなかったら別の方策を考えるという,逃げ道を用意することはいけない。やるからには,きちんと成果をあげる意思を持ち,それを裏打ちする周到な計画を立てねばならない。
- パーキンソンの第1法則:完遂に利用可能な時間を使い尽くすまで仕事はふくれあがる=官僚は仕事を作るのが仕事。→仕事の量が増えすぎると,与えられた時間内で処理可能になるまで手続きが簡素化される?
- 成果が出るまで長い時間を要する大問題と,すぐに白黒つく短期的課題の両方を両立させるのが研究マネジメントであり,ポートフォリオである。
あとがきで若手に東大もいいよとアピールしたかったとあるものの,あまり東大の魅力は伝わらない。また,基本的に体験記であるため,大学教員や大学組織の考察は浅く,参考になる部分は少ない。なぜなら,本書のタイトルは,京大教授と書いても,大して差はない。
2014/06/02
川端望(2004)「国立大学法人の管理運営制度と教員の地位」『全大教時報』第27巻第6号,全国大学高専教職員組合,65-76
- 法人化に伴う管理運営制度の変化は、個々の大学が独立した法人となること、教職員が非公務員になること、研究・教育と経営が分離されることの3点を柱とする。
- 文科省は従来国立大学法人の運営費交付金のうち人件費分を義務的経費として予算請求を行ってきたが、財務省の要求に応じてこれを裁量的経費とする方針変更を行ったのである。裁量的経費となることの意味は、一方で国家公務員時代と類似の人件費保障がなくなり、さらに政府財政の現状においてはマイナスシーリングや効率化係数がかかることを意味する。他方では、人件費と物件費の区別がなくなり、交付された運営費交付金の使途について大学の自由度が増すことを意味する。
- 研究・教育と経営の分離は、事実上評議会が最高議決機関であった従来の体制が否定され、大学内での権限配分が変化した。教職員は、教員や職員のまま学長・理事になることはできない。 総長は、役員会の議を経て、中期目標に関する意見提出、年度計画、予算の作成及び 執行並びに決算に関する事項、当該国立大学、学部、学科その他の重要な組織の設置 又は廃止に関する事項などについて決定する。従来は、大学の予算の見積りの方針に関する事項や学部、学科その他の重要な組織の設置又は廃止及び学生の定員に関する事項が評議会の審議事項であり、 最終決定権も事実上評議会が持っていた。法人化によって、これらに相当する決定権が役員会に吸い上げられたといってよい。
- 多くの 国立大学教員が当然のように受け止めてきた人事システムの中で、教特法に よって法的保障が与えられてきたことが2点あり、教員人事に関する教授会・評議会自治である。
- 教員の採用及び昇任のための選考は、評議会の議に基づき学長の定める基準により、教授会の議に基づき学長が行うことになっている。また、教員は評議会の審査によるのでなければ、意に反して転任、降任、免職されることはなく,、懲戒処分を受ける こともない。
- もうひとつは、研修機会の確保である。教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。また、教員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。教員人事が教授会を中心に行われることも、手続きを踏んだ上で授業や会議以外の時間に自宅で原稿執筆をしたり、自費で学会出席のために遠出したりすることが認められるのも、教特法に基づくものである。しかし、これらに関する明文での法的保障は、非公務員化によってすべて消滅したのである。ただし,教特法はもともと私立大学には適用されない。
- 国立大学法人法では、学長候補者は学長選考会議が選考し、学長選考会議は、教育研究評議会と経営協議会から同数ずつ選ばれた委員によって構成されるが、 それに加えて、現職の学長や理事を委員全体の3分の1を上限に加えることもできる。
- この規定には、二つの考え方が表現されていると理解できる。ひとつは、研究・教育を行う者の代表者だけでなく経営に携わる審議機関の代表者にも学長選考権を認めるべきだという考えである。もうひとつは、 学長や理事の権限強化を、次期学長の選考にも及ぼそうという姿勢である。
- これらは、いずれも学長選挙の公正さという点から見て問題がある。もともと学長は経営協議会の委員全員を任命できるのであるから、経営協議会の代表は学長の影響下にあると言ってよい。その上、現職の学長や理事が加わるのであれば、学長選考会議が現職の学長の意向を強く反映する構成となる可能性が高いのである。
- 国立大学法人の学長選挙においては、広範な構成員が参加すべきだと考えられるが、その根拠は従来の大学自治理念だけにあるのではない。学長の強い権限をチェックするものがいないという、国立大学法人のガバナンス上の欠陥を補う必要性が注目されるべきである。
2014/06/01
UNESCO (1997) Recommendation concerning the Status of Higher-Education Teaching Personnel
- 教員は所与の条件下で効果的な教育を行う,学術的な研究を行う,研究不正を行わない,秘密情報に基づく研究を行わない,専門職として最高水準の成果を追求する,社会への説明責任を果たすことなどが,教員の責務である。
- この宣言を,学長トップダウンを否定し,教授会の決定を尊重する論拠として用いる人がいるが,これを持ち出す以上は,教員の責務についても果たされていることを示す必要がある。
登録:
コメント (Atom)