2023/02/24

Narayan, A., Northcott, D. & Parker, L. (2017) Managing the accountability–autonomy tensions in university research commercialisation, Financial Accountability and Management, 3, 335-355

  •  研究の商業化:研究管理を研究者の自律性から組織による管理への移行をもたらした
    • 大学はこの緊張関係をどう緩和すべきか?
    • →競合する外部と内部のロジックにどう対処するか?
    • →ブリッジング、バッファリング、デカップリングが、説明責任と自律性の緊張管理において重要になる
  • 研究の商業化の背景は、高等教育予算削減・大学の自己資金調達
    • 説明責任要求増大→研究者の自律性の低下
  • 組織環境とは?=組織化された社会的信念、規則、神話、規範、受け入れられた慣行の現れ(=制度的環境)
    • →模倣・規範の圧力を通じて各組織を均質化する、あるいは、3戦略で対応するか両手利きで対応する
    • ブリッジング戦略:ネットワーク、コラボレーションで従来と異なる関心を持ち込んで管理すること
    • バッファリング戦略:正式な構造と運用のための構造を分離する、正当なイメージを投影できる構造や慣行を象徴的つくる
    • デカップリング戦略
    • 差別化戦略(両手利き)
    • 統合戦略(両手利き)
  • ただし、組織の歴史、文脈、価値観にも注意を払わないと解釈を誤る
  • 研究デザイン
    • 2002~2012の8年間=研究商業化圧力の期間
    • 28回インタビュー、ドキュメント
    • 伝統研究大学と新興教育大学の2ケーススタディ
  • 研究大学の商業化圧力対応
    • 両手利き組織としての2研究所設立
      • 学術部門から切り離された自律的な管理と独立外部予算(バッファリングでもある)
      • →自律性確保と商業化促進が矛盾しないようにできた
  • 教育大学の教員認識=商業化につなげるためにも自律性が必要=高い緊張
    • 当初はデカップリングで対応:商業化は別活動、基礎研究重視から切り離す
    • →文化的コンフリクトに:教員の多くは基礎研究にしか興味ない
    • →研究活性化は教育の質向上につながるというロジックで公式戦略を策定
    • →産業界と連携した研究の推進を公約する
    • →ブリッジングを選択:小規模研究センターの乱立
    • →実際には、外部資金を得たセンターは大きな裁量が与えられていた(研究大学は、完全に独立した研究センターがなかったのに)←隠れ蓑効果?
    • →ただし、商業化の優先は不明確、成果も出なさそう
  • 2つの事例から何が言えるか?
    • 予算削減・説明責任政策=研究目標と戦略の均質化につながった→緊張は緩和できた
    • 同じ戦略をとりながら、異なる結果になった=戦略は文脈に依存する(高い研究能力、構造的な両義性、資源への自律性、商業化インセンティブがあると、より容易に緊張が管理できる)
    • 基礎研究と商業化を補完するには、デカップリングとブリッジングが選ばれる
  • 政府の圧力政策にどう対応するか?
    • 積極的に対抗しない=変化に対応する
    • 研究者間で共有された価値観・規範・信念→規範的圧力になる→研究者の自律性要求を強化する+研究構造・プロセスの均質化を通じてコラボレーションを促進する
    • →研究商業化目標を採用することで、組織の安定と国際的評価の向上を追求できる→大学の戦略やミッションの均質化(Parker 2011)←正当性の獲得、継続的資金調達
  • 研究能力と商業化能力が高度に発達している場合=両利きな組織構成を採用することで、研究の商業化に関する説明責任と自律性の緊張関係を管理できる可能性がある
    • 両利きであるためには、予算、人材、システム、構造の自律性と、基礎研究または商業化(あるいはその両方)を追求する上で研究者が自らの判断を行使するための柔軟性とインセンティブを許容する文化的背景が必要
    • 研究能力が未発達な場合、次のステップである商業化を目指すよりも、研究を進めることに重点が置かれるため、商業化活動が周回遅れになる可能性がある
  • 自律性と商業化は選択問題ではない:ブリッジングで補完することができる
  • 結論として、研究者の自律性と商業化という相反する論理を調整する適切な戦略があれば、必ずしも基礎研究が犠牲になるとは限らない