Paulsen, R. (2016) Slipping into functional stupidity: The bifocality of organizational compliance, Human relations, 70(2), 185-210
- 公共職業安定所のFS研究:FSは、個人の性格ではなく、一過性の非省察的コンプライアンス様式
- 仕事に「従事」している人=13%(ギャラップ調査)
- 63%=給料をもらうために続けている←経済的余裕があれば仕事を辞めたいと言う人の割合と同じ
- なぜ、これほど多くの人が不満なのに職場が維持されるのか?
- 組織的に支持された省察性・実質的推論・正当化の欠如があれば、メンバーによる気の進まない仕事の遂行を支援できる
- 職場におけるシニシズム研究:メンバーは、思考と行動を切り離し、システムを「見通す」ことで、システムの外側に立てる。
- シニシズム=舞台裏の身振り
- 批判家でさえ、他のメンバーと同様に日常の仕事に従事する
- FS=「意識化概念」=気づきと指針を与えるもの⇔処方箋
- ただし、意識化概念は全面的適用へ拡大されて、研究分野をファッションで覆うリスクもある。
- ↑省察性を欠くという特徴ゆえにあとからでなければとらえられないため。
- 人間の意識は二重性を持つ
- メンバーは仕事中に愚かな行動をとっても、それを後から批判的に省察し、何度でも再演する能力を保持している。
- FS研究の2つの障害
- FSは、職場における他の機能的行動と区別するのが難しい
- FSとは、組織的な場において、道具的合理性を無反省に適用すること
- 「外科医の合図でメスを渡す看護師」省察なく行うが、これは機能的に愚鈍とは言えないのでは?
- FS概念の問題点
- Functional stupidityとFunctional intelligenceの区別は難しい=ある場面で省察的であったり正当化を求めるには、高度な知性の発揮が必要。倫理的に曖昧であったり、自分の仕事の目的が揺らいでいる時、非省察的な道具性はStupidになる。
- 非省察的なモードは、インタビューで検証しにくい。インタビューによって、批判的な思考を始めるとFSを実践していることにならない。
- →FSはどのような形で存在するか?を問うべき(現状に批判的な問いを持たない人はいないのでは?)
- 省察的な「愚かさの自己管理」がないところでFSを明らかにすることは困難。
- 冒頭のとおり、多くの人は仕事を終わらせるためにあまり考えないようにする。←この説明自体、省察的にしかできない。
- 本事例はまれな例:全対象者が既存組織を非難した事例。
- 発話と行動の不一致:主観的な説明における虚偽、道徳的な話法が原因
- Layer of understanding:率直な議論をするために必要なこと
- SPESでの観察研究
- 週数回のスタッフミーティングの見学
- 在職22年のITマネジャーに6ヶ月キーインフォーマント
- 3~7年勤続の27名に面接:構造化質問
- 労働プロセスの効率性
- 特定の行動計画や管理プロセスに関する感情や考え
- 職業規範に関する考え
- 期待や義務における時間的変化
- 理想と実際の労働プロセスの間の対立
- これらの対立をどのように処理するか
- 全員、求職者を助けるためにやりたいことと、求職者に要求されることの間にコンフリクトを経験
- 求職者面接、新聞記事、内部報告書
- 実証分析:鍵になる質問は「一日をどうやり過ごすか?」

- 「自分が納得できない規則や命令に従うことについてどう感じるか?」
- Marcuseの1次元思考:経験主義(何であるかのみを考察する)、運用主義(何であるかの中の現象を測定可能なものに還元する)、潜在性という反事実的領域に属する思考を放棄することの3つに注目する。
- 2次元思考:省察的な行為を妨げるものではない。絶望もその1つ(=劇的に変化する必要があるという強い感覚を保証するという意味で、最も一面的でない態度)。
- SPESの事例:
- 1980年代:サービス>コントロール→細部にわたって失業者をコントロール
- 移民対象の新基準:数字達成不可能=ストレスが大きくなる
- 組織の否定的な側面を語ることは「不毛」
- 絶望とシニシズムの違い:前者は「もしかしたら違ったかも」を含むが、後者は希望の共有がない。
- マネジャーによるシニシズム共有:モラルを脅かさない←メンバーは上からの指示を擁護すると思ったら、クソだなと。→メンバーも楽になる。
- 現場のメンバー:「自分は人に言われたことをやる。できるだけ早く、簡単に、効率よくやるだけ。」という権威に縛られていることを省察的に話すことができる。←権威が実際に権威である必要はない、泣き言を言うよりもましと考える。
- 職場は、労働市場、組織文化、分野、職種等の要因で独自のStupidityを構築する。
- 健康主義:現実主義(仕事の正の側面に焦点化すること)でもいいが、健康主義の方が個人が管理しやすい。
- 建設的:健康主義よりは制限された省察性に陥りやすい
- 倫理的経験主義:「意味のない仕事はない。事務的ではあるが、必要悪だ。」←悪としてみる点でポジティブシンキングとは違うが、悪に変わるものがないので疑わない。
- 代理人シフト:自分の仕事は政府・経営陣が提示したことを伝えること。
- 言われたことをする:仕事は何でも大事。依頼をこなすことが大事。
- 適者生存:法律や規則を読むことを楽しむべき。
- 権威主義の終着点=この仕事が好きだ。
- Stupidity self-management:個人が疑念、批判、その他省察的な懸念を脇に置き、組織生活のポジティブな側面に集中するプロセスのこと。
- メンバーが組織権威との衝突を経験する→遵守を選択する→多様な遵守モードがある
- メンバーは組織の不条理や欠点を認識している
- 仕事は省察の機会を与えない⇔仕事が省察の能力を奪うわけではない
- 自分が批判的であると同時に批判的である組織をどう再生産できるのか?
- ジレンマに直面するメンバーの反応=絶望、シニシズム、権威主義等の態度
- ↑いずれの態度も、その態度を変えることなく省察できる
- Pulish or Prish:満足する研究者はいない、しかし皆適応する。その適応は、ある者は絶望的に、ある者はシニカルに、ある権威主義的な者はリラックスして。
- どの態度をとっても、査読の過程ではそうした省察的態度を押し殺して目の前の課題に集中する。