2023/02/25

Yuzhuo Cai & Nicola Mountford (2022) Institutional logics analysis in higher education research, Studies in Higher Education, 47:8, 1627-1651

  •  制度ロジック
    • 当初定義:キリスト教圏の個人に内在する矛盾した実践と信念が、政治的な場における個人の行動をどのように形成するか(Alford & Friesland 1985)→5ロジック:官僚制、資本主義、核家族、民主主義、宗教
    • 次の定義:個人が実生活を生み出し、時間と空間を組織し、社会的現実に意味を与えることにより、個人の具体的な行動、仮定、価値観、信念に関する社会的に構築された歴史的なパターン (Thornton & Ocasio 1999)→6ロジック:国家、市場、家族、宗教、職業、企業
    • →コミュニティをいれた7ロジック(Thornton, Ocasio, & Lounsbury 2012)
  • 制度ロジックを使った高等教育研究
    • 当初は新制度論中心(同型化プロセス)
    • 大学は専門職組織でありながら、複数の制度的論理を含み、相互に競合する複雑な制度システム
    • 制度ロジックの混乱の源=体系的に分析できていない
    • ロジックに関する多くの研究があるのに、それらがどのように識別、記述、測定できるのか議論していない
    • →組織研究者が制度的ロジックを質的に捉えるために用いる3技法:(1)パターン演繹、(2)パターン照合、(3)パターン誘導
  • 4つ観点で先行研究を整理
    • 高等教育研究において、どのような制度的論理分析のアプローチが用いられているのか?
    • 高等教育研究において、どのような制度的論理が確認・適用されているのか?
    • 制度的論理を高等教育研究に適用する際に、どのような課題が見られるか?
    • 高等教育研究における制度的論理の使用は、制度的論理の理論にどのように貢献するのか?論理理論にどのように貢献するか?
  • 3技法
    • パターン演繹:「大量のテキストデータを収集し、テキストをカウント可能な出現頻度に変換し、分析してパターンを明らかにする
      • 既存研究にパターン演繹が少なすぎる
    • パターン照合:現存する文献からパターン(ロジックの理想型)を特定し、データを理想型と比較する
      • 質的インタビューやドキュメント分析によるパターン推論研究あり
    • パターン誘導:ボトムアッププロセスで生のデータに焦点を当て、パターン(ロジック)を特定して、現存の文献と比較する
      • (1)古典的な制度論理の文献で述べられている社会論理をガイドの枠組みとして使用する研究
      • (2)影響力のある学者(Gumport 2000; Berman 2011など)が特定したフィールドレベルのロジックを用いる研究
      • →ボトムアップのプロセスで高等教育研究の「新ロジック」を特定した研究が多い
  • 制度的ロジックを捉えるとは?=研究者がどのようにロジックを特定し、記述し、測定するかということ
    • →高等教育研究は、制度的ロジックを捉えることと実証研究における組織分析にロジックを適用することの双方が含まれる
    • →一方で、上の3パターンの境界は、実際かなりあいまい。(テキストからパターンを明らかにする=誘導と照合の両方で可能。)
    • 組織論者は理想型制度論理を社会レベルの論理と捉えているが、高等教育研究者が考える理想型制度論理は、社会レベルと現場レベルの両方である
  • 高等教育制度ロジック研究を再定義
    • 帰納的推論・演繹的推論×社会レベル・現場レベル
  • 社会レベル×帰納的:古典理論があてはまり、実際はほとんどない
  • 社会レベル×演繹的:古典的な制度論理の文献で定義された社会的制度論理を直接適用した実証研究
    • 理想型としての8つの社会的論理のすべてに言及、個々の研究で2~5の論理を適用
    • 議論されるロジックは、市場、職業、国家が最も多い。
    • 厳密に制度ロジック研究の理論に従う傾向がある⇔高等教育特有のロジックを見落とす可能性
  • 現場レベル×演繹的:実証分析の指針となる理想的なタイプとして、他の文献にある特定の現場レベルの制度論理を引用する研究
    • ロジックが18もあるのは多すぎる(似たものも多い):学術、市場、専門職、商業、管理、高等教育産業、高等教育社会、科学、ビジネス、学問の自由、操作的、経済的、学術資本主義、国家、官僚、三重らせん、セクター、時代
        • →現場レベルの理想型ロジックがないことが問題
    • 競合する2ロジックを使うものが多い:専門職VS商業的、学術VS商業、官僚制VS企業制
    • ロジックの解釈に違いがありすぎる問題
      • 最も一貫して使用されるロジック=「社会制度としての高等教育(教育的・ 民主的利益の名の下に、より広範な活動を正当に追求することを可能にするもの)」と「産業としての高等教育(目的と実践を経済合理性の範囲に限定するもの)」(Gumport  2000 2003)
      • →これらを企業ロジックと専門職ロジックで表すと考える研究と、市場論理と学問論理と解釈する研究がある→学術と専門職は交換可能ではない。
      • さらに、Gumportのロジックをのぞいて、追跡ができない
  • 現場レベル×帰納的:特定の制度的ロジックを参照せず、経験的データを帰納的に分析
    • →フィールドレベル・アクターレベルのロジックを修正・拡張する
    • →30以上のロジックを作る
  • 個人は自分の利益のために制度ロジックを戦略的に選択する(エージェンシーの重要な役割)、こういうミクロレベルのメカニズムを明らかにすることが必要
    • 競合するロジック間で妥協したりバランスを取るための戦略:ブリッジング、バッファリング(Narayan, Northcott & Parker 2017)、相反する制度ロジックに個人が対応する戦略マップ(Gebreiter & Nunung 2019)