本論文は、成人教育の分野がどのような研究を行い、今後どういう方向へ向かうかについて述べたサーベイ論文である。サーベイの視点は成人教育を「単一のモデル」で説明する研究としてこれまでの研究を整理するものである。
その本論を要約すると、(1)初期の成人教育研究を牽引してきたのは、学習行動を研究する心理学者であった、(2)その後子供の教育との対比するという点から成人教育者が説明を加えた、(3)現在は批判科学的な社会学者・女性学者など成人教育の領域の外から意見が出ている、というものである。この主張は、今後の研究課題についてなんら語っておらず、お粗末極まりないという以外にないところが残念である。ちなみに、Andragogyについて若干考察した点があるが、(i)Andragogyはインストラクションのデザインのガイドラインに過ぎず、大人にユニークとはかぎらない、(ii)自発的な学習が大人にユニークであることを示した研究はない、(iii)伝統的学生より学校に通うことでキャリアを変えられる可能性があるという面で、成人教育は優れて社会的な問題である、という意見をまとめている。
問題意識は重要であるが、それほど重要な文献ではないかもしれない。