2008/09/09

Feldman, K. (1997) "Identifying Exemplary Teachers and Teaching: Evidence from Student Ratings," in Perry, R. and J. Smart eds.Higher Education in Europe, No.2, pp.368-395.

 本論文は、学生による授業評価の結果を用いて模範的な授業(教師像)を取り出す試みについてまとめられたものである。学生の授業評価を用いて分析を行った研究にはいろいろあるが、本論文は研究の高さと教育の有効性の相関を見たり、学生の授業評価から教育改善のフィードバックを取り出すものとは異なる。
 分析手法は若干複雑ではあるが、以下の通りである。まず、評価項目を教育上重要な28のカテゴリーに分ける。そしてまず、個々の項目と学生のパフォーマンスの相関を見る。この過程で学生のパフォーマンスの高さに重要なカテゴリーがリストアップできることになる。次に、この結果に授業全体の評価を加えて同様のリストアップをする。授業全体の評価は、個々の項目の積み上げであり、これと個々の項目との相関を学生のパフォーマンスとの相関を比較することは、興味深い点である。この結果が驚くほど一致しない。これらを通じて、本論文では重要なカテゴリーをリストアップする。最重要なカテゴリーを一部取り上げると、教員が興味を湧かせる工夫、授業の目標と実際の内容が一致していること、教員によって新しい知識が注入されること、などである。
 本論文では、学生による評価にまつわる様々な議論についてもまとめており、興味深い内容になっているが、分析上は全く扱われないのでやや残念なことと無意味に長いと思われる。本論文は、先行研究の内容(データや結果)をやや角度を変えて再解釈するというものになっており、分析自体について正確に把握するためには先行研究に当たらなければならない(further reading として、Feldman, K. (1989), "The Association between Student Ratings of Specific Instructional Dimensions and Student Achievement: Refining and Extending the Synthesis of Data from Multisection Validity Studies," Research in Higher Education, pp.583-645.)。