2016/08/08

Tierney, W. and Minor, J. (2004) "A Cultural Perspective on Communication and Governance," New Directions for Higher Education, 127, 85-94.


  • ガバナンス研究の関心:構造や役割の分析が中心。意思疎通については対象にならない。 → ここでは,ガバナンスにおけるコミュニケーションの役割を考察する。
  • 教員集団は,構造改革だけでなくコミュニケーション戦略に注目すべき。(教員権威が小さくなったことを,構造改革や上層部のせいにしがちだが。)
  • 組織文化がコミュニケーション様式を決める。
  • ガバナンスは機関のタイプと文脈と切り離せない → しかし,共通点もある:学部カリキュラムの決定には教員が深く関与,予算の決定にはあまり関与しないなど。 → 多様な調査結果もある:コミュニケーションの質は上位層は良好と思うが,教員はそれほど良好と思っていない。
  • 多くの大学は,教員ガバナンスを持っている:しかし,その手段は教授会,常設委員会,特別委員会などしかない。
  • 機関を問わず見られることは,そうした構造の外側で起こるコミュニケーションを通じて意思決定が行われること。
  • 組織内のコミュニケーションを分析する方法:
    1. どのように意味が付与されているか,
    2. 文書や発言がどのように構成されているか,
    3. コミュニケーションシンボルやセレモニーが誰によってどのように活用されているか。
  • (1)意味づけ
    • Situated meaning:会話を通じて変換されたり交渉された特定状況の理解のことで,話者間の関係や相手への態度を反映する。
    • 大学の構成員は構造の理解に努める言語力の高い人たち。→ どこでコミュニケーションが起こるか(会議など)だけでなく,そこに埋め込まれた社会政治的構造も考慮すべき。
    • 誰がガバナンスに関与し,誰がしていないか,どこでガバナンスが起こっているか,公式・非公式のコミュニケーションがどこで用いられているかに注目する必要がある。
    • 歴史,文化,文脈がガバナンスを形成する。
  • 組織構造ばかり見て分析しても,コミュニケーションが成果に与える影響は見えない。(どのシェアドガバナンスシステムが優れているかという提言はできない。)
  • (2)文書と発言の機会
    • 口頭発言は,文書の再生・再構築・強化・拡張に使われる。
    • 大学組織は文書偏重,特にウェブの発展後は顕著。
    • 文書と発言の分析では,中心アクターと周辺アクターの役割を考慮しなければならない。
    • シェアドガバナンスは,教員集団が信じることについて再記述する文化的な約束である。(単に意思決定で投票を行うことなどではない。)
  • (3)セレモニー
    • 組織構造・プロセスには参加者にとってシンボリックな重要性がある(Birnbaum)。
    • 学長がセネト会議に来ない:学長が忙しいことを表すだけ?セネトは会議を軽視していると解釈する。
    • 組織構造の中の象徴的な意味に配慮できる人は,ガバナンス機能をよく理解している。
  • 2つの提案:コミュニケーション経路に注目する,文書や発言の影響力を受け止める
  • 変革は現場で起きる,委員会や学長室では起こらない(Leslie 1996)。
  • 教員が投票権を持たない=シェアドガバナンスが機能していない,ではない。教員の関与は,多様な段階で多様な形態があり得る。そのためのコミュニケーションを可能にすることが,シェアドガバナンスを機能させる上で最も重要。
    • ありがちな間違い:ルールカップルの関係を強化しようとする試み。
  • 文書と発言のシンボリックな意味を理解している人ほど,そのコミュニケーション機能を有効に活用する。
    • 学長や理事は,定期的にニュースレターなどを出す一方,教員集団のニュースレターはめったに出ない。
    • コミュニケーションは,タイミング,内容,スタイルが重要。