2016/08/03

吉田文(2016)「教養教育の学習成果の測定は可能か」


  • 学習成果測定:産業界・政府=アカウンタビリティ重視,大学=学生の成長・教育改善重視
  • アメリカ:汎用的な評価指標開発 ← 背後にあるアクター間の対立と対立論理が重要
  • 緊縮財政下の配分原理=アカウンタビリティ(新自由主義):投入税金に対する成果を明確にすること,実績に基づく資金配分が合理的
  • 2000年以降,学習成果重視のアクレディテーション(2006スペリングスレポート)← 背景に,K-16=誰でも大学へ
  • 学習成果評価の4つの方法:
    1. 機関データ(中退率,卒業率,GPA,就職状況,ST比,寄付金額,外部資金額),学習成果を表すものかは疑問
    2. ランキング,実際の学習に影響を与えるとは考えにくい
    3. 学生調査,間接評価であり信頼性に疑問
    4. 直接評価,具体的な方法とその合意が困難,(GPAも直接評価だが,到達度を測定するもので,向上の程度を測定しない&専門を超えた共通性を持たない)
  • 学士課程の学習成果は,GPAのような知識の獲得程度による測定は適切でない。
    • 専攻を問わず学士課程としての共通性を持たない。
    • 学士課程の学習成果は知識の獲得ではない。(何ができるようになったかを市民としての社会的責任もって価値判断できること,学習の仕方を学ぶことで情報処理能力を高め批判的思考力を涵養すること)。
    • → 教授法は学生中心であるべき。
  • 一般教育の矛盾:多様な科目の提供 ⇔ 科目間の一貫性 → 科目は多様でも批判的思考力など知的スキルの形成で一貫性が確保できればよい。
  • もともとアメリカは4年の教養教育カレッジが,専門教育に特化する課程で2年の一般教育課程縮減になった。
  • Credit Transferでも学習成果を問うようになる。
  • 教養教育の学習成果プロジェクト
    1. ランド教育助成審議会・Value Added Assessment Initiative:
      • 知識(人文・社会・自然にわたる幅広い領域),判断力(知識を用いて決定・優先順位づけ・判断),知るための方法(情報処理,批判的思考)の3カテゴリーで学生を直接評価。
      • 標準テスト開発。→ 2004年College Learning Assessment標準化テスト(批判的思考力,分析的論理的思考力,問題解決力,文章表現力とその範囲設定)。
      • その後AHELOでの使用検討された。
    2. AAC&U・ルーブリック評価:
      • 狭隘なテストによる測定はエビデンス分化をゆがめる。
      • 評価項目を策定:(1)人類の文化と自然界に関する知識(自然,社会,数学,人文,芸術),(2)認知的・実践的技能(文章・口頭コミュ,探究・批判的・創造的思考,数量リテ,情報リテ,チームワーク,学習の統合,(3)個人的・社会的責任(市民的責任,倫理性,認知的知識の獲得と行為,生涯学習志向)
      • 16ルーブリック開発,横軸=時系列(1〜4年次4回測定),縦軸=項目
      • よく使われるルーブリック:文章コミュ,口頭コミュ,批判的思考力,情報リテなど。← 数量的評価が可能なものがよく使われている。
      • 実際にルーブリックを使う大学は少ない。