2016/06/30

「高等教育は持続可能なのか」『大学時報』368,日本私立大学連盟

矢野眞和「持続可能性の条件」

  • 税収入の増加という政府の便益と私学助成の政府支出を秤にかけると、私学助成の投資効果は個人の投資効果よりも大きいことが分かる。私立大学の拡大によって儲かってきたのは、家計よりも政府である。公的収益率という計測概念を提唱して、私学助成は効率的であり、国の補助金額を増やすのが経済合理性にかなっていると主張してきた。
  • 東京都民調査の結果によると、「どちらかといえば」を含めると、「個人もしくは家族が負担すべきだ」を選択した人が80%を占めた。
  • 高い授業料が社会問題化しない一つの理由は、国公立大学の存在にある。学力があれば、授業料が安い国公立大学に進学すればいい。国公立に進学できない学力であれば、無理をして大学に進学しなくてもいい。学力がないのに進学したいのなら、自分で資金を調達して私立大学に行けばいい(大衆大学無効説)。
  • 現在の高い授業料システムを前提に、高卒者の進学や大卒者の学び直しを奨励しても、その実現は難しい。無償にならなくても、低授業料制や後払い制を導入して、大人が学ぶための経済障壁を低くする必要がある。


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