2016/06/15

福留東土(2013)「アメリカの大学評議会と共同統治」『大学論集』44,49-64


  • 大学はその運営において必然的に多様な主体の責任ある関与が必要とされる組織体である ← 学術の推進+社会の多様なニーズ対応+健全な運営・財務
  • → 権限の配分問題にしてはいけない。→ 多様な主体がガバナンスに参加できる道を開く。
  • 米国大学のガバナンス主体:理事会,執行部,評議会
    • 理事会:学外者,最終意思決定権,規則上多様な機能,多くの権限を委譲
    • 執行部:学長・副学長,公募・専門職,
    • 評議会:大学単位の教員組織,全学的視点で教学事項の管理運営に関与
  • 19世紀後半=偉大な学長の時代:教育機関から大規模研究機関へ変革する上で,強権的な牽引力が必要だった → 20世紀以降=組織化・官僚制化して個人特性に依存しなくなった
  • 1915,AAUP,学問の自由の擁護が目的
  • AAUP 1966 statement:理事会,管理者,教員,学生,その他主体間の十分な意思疎通と協働,あるいは適切な分担によって各種の意思決定が行われるべきである。
    • 教員のガバナンス参加に関連する内容:カリキュラム,科目の内容と方法,学位授与条件および学位授与,研究,教員の地位・給与,教育面を中心とする学生生活に主たる責任を持つ。
    • これら事項の最終権限あるいはチェック機能は,理事会が保持するか学長に委譲されているが,教員集団の見解に反対することはごく稀なケースに限られるべきであり,その場合その理由が教員側に伝えられなければならない。
  • 1868大学設置法:評議会=教育や内部運営に関する一定の権限を付与されてはいたが,教育の内容や最終的な学位授与の権限は理事会の権限事項とされていた ← 弱い存在
  • 1899,ベンジャミン・ウィーラー(dictator, benevolent despot)
    • 学長の大学運営の主要権限保持を取り付ける。→ 優れた研究者を高給で呼んで,自由に研究してもらう。
  • バークレー革命:ウィーラーの健康悪化+WW1混乱
    • 学長:大学の教育研究に影響を及ぼす理事会や州政府のあらゆる決定を評議会へ伝える。
    • 部局長(Deans)と研究所長(Directors)は学長の推薦に基づき,理事会が任命する。学長はその前に適切な委員会を通して評議会の見解を聞くものとする。
    • 評議会は,すべての教授(professors)と講師(instructors)から構成される(教育経験2年未満の講師は投票権を持たない)。評議会は自らが定めた方法により議長を選び,委員会を構成する。
    • 評議会は,理事会の承認の下に,入学・修了・学位授与に関する条件を定める。
    • 部局の教授陣の権限は評議会から委譲される。
    • → 革命の成功により,教員は自らの手で自らの方向性を決めることができるようになり,ここに現在のシステムの原型が出来上がった。
  • 評議会と他の運営主体との関係:学術審議会へ執行部が出席することで,評議会とアドミニストレーション双方の意思疎通と政策形成に対する相互理解が図られる仕組み。
  • システムの議長・副議長は教員の代表として理事会へ出席する(理事会での投票権なし)。
  • 評議会の全学的組織の特徴:評議会メンバーは教育研究の現場の見方を全学レベルの議論に反映させるが,同時に全学的視点から見た際にどのような判断が大学にとって相応しいかという観点から議論に参加する。
  • 共同統治における意思決定:各ガバナンス主体と「共同」で行われる=教員集団の見解が最終的な決定とならない。
  • 共同統治の欠点:最終決定に至るまでに膨大な時間と労力を要し,機動的な意思決定には不向き